(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134035
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】蓄勢装置
(51)【国際特許分類】
H01F 29/04 20060101AFI20240926BHJP
F16H 25/18 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01F29/04 502K
F16H25/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044118
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】辻本 裕希
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB31
3J062AC08
3J062BA12
3J062CC12
(57)【要約】
【課題】負荷時タップ切換器の小型化を図ることができる蓄勢装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る蓄勢装置3は、負荷時に変圧器のタップを切り換える負荷時タップ切換器に備えられる蓄勢装置3において、付勢力を蓄える蓄勢部材32と、第1部及び第2部で構成されたカム機構4の前記第1部を有し、前記蓄勢部材32が解放した前記付勢力を受けて移動する蓄勢体33と、前記第2部を有する基体31とを備え、前記第1部及び前記第2部の一方はカム面43を有し、他方は前記カム面43に沿って転動可能なローラ42及び該ローラ42を前記カム面43に向けて付勢する付勢部材41を有し、前記カム面43には、前記付勢部材41の付勢力により前記蓄勢体33を加速させるための加速部分と減速させるための減速部分とが設けられており、前記蓄勢体33の移動に伴って前記タップが切り換えられることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷時に変圧器のタップを切り換える負荷時タップ切換器に備えられる蓄勢装置において、
付勢力を蓄える蓄勢部材と、
第1部及び第2部で構成されたカム機構の前記第1部を有し、前記蓄勢部材が解放した前記付勢力を受けて移動する蓄勢体と、
前記第2部を有する基体と
を備え、
前記第1部及び前記第2部の一方はカム面を有し、他方は前記カム面に沿って転動可能なローラ及び該ローラを前記カム面に向けて付勢する付勢部材を有し、
前記カム面には、前記付勢部材の付勢力により前記蓄勢体を加速させるための加速部分と減速させるための減速部分とが設けられており、
前記蓄勢体の移動に伴って前記タップが切り換えられることを特徴とする蓄勢装置。
【請求項2】
前記蓄勢体は、
前記基体の一面に対向する第1面及び該第1面の逆側の第2面を有する底壁と、
前記第2面の縁部から前記一面に離反する向きに突出する側壁と
を備え、前記一面に沿って往復移動可能であり、
前記側壁は前記第1部を有し、
前記一面は前記第2部を有し、前記蓄勢体の往移動/復移動に伴って周方向に回転する駆動軸の軸長方向に交差し、
前記駆動軸の回転に伴って前記タップが切り換えられることを特徴とする請求項1に記載の蓄勢装置。
【請求項3】
前記蓄勢体は前記基体の一面に沿って往復移動可能であり、複数の前記第1部を有し、
前記基体は複数の第2部を有し、
複数の前記第1部は、前記蓄勢体の一方向の両側の部分に同数配されており、
前記一方向は前記一面に沿い、且つ前記蓄勢体の往復方向に交差し、
複数の前記第2部は複数の前記第1部に対向するようにして前記基体に配されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄勢装置。
【請求項4】
前記蓄勢体は前記基体の一面に沿って往復移動可能であり、
前記第1部が前記ローラ及び前記付勢部材を有し、
前記ローラの軸長方向は前記蓄勢体の往復方向に交差し、
前記一面に凸部又は凹部が一体に設けられており、
前記凸部又は前記凹部は、前記一面からの距離が前記往復方向に増減する向きに傾斜する傾斜面を有し、
前記カム面の前記加速部分及び前記減速部分夫々は前記傾斜面を含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄勢装置。
【請求項5】
前記蓄勢体は前記基体の第1面に沿って往復移動可能であり、
前記第2部が前記ローラ及び前記付勢部材を有し、
前記ローラの軸長方向は前記第1面に交差し、
前記蓄勢体の往復方向に沿う第2面に凸部又は凹部が一体に設けられており、
前記凸部又は前記凹部は、前記第2面からの距離が前記往復方向に増減する向きに傾斜する傾斜面を有し、
前記カム面の前記加速部分及び前記減速部分夫々は前記傾斜面を含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄勢装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄勢装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の補助駆動装置は、負荷時タップ切換器の蓄勢機構(蓄勢装置)による駆動軸の駆動を補助する。
負荷時タップ切換器は、負荷時に変圧器のタップを切り換えるために、駆動軸の一端側に蓄勢機構を備え、駆動軸の他端側に切換開閉器を備える。蓄勢機構は、付勢力を蓄える蓄勢バネ(蓄勢部材)を備える。蓄勢バネが解放した付勢力を受けて、駆動軸が周方向に回転する。駆動軸の回転に伴って、切換開閉器が変圧器のタップを切り換える。
【0003】
補助駆動装置は、駆動カム、ローラ、及び付勢手段を備える。駆動カムは駆動軸の中途に同軸に固定された円盤状をなす。ローラは駆動カムの周面に沿って転動可能であり、付勢手段はローラを駆動カムに向けて付勢する。付勢手段の付勢力が、ローラを介して駆動カムに、駆動カムの回転方向に加わることにより、駆動軸が加速されるので、タップを速やかに切り換えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の補助駆動装置は蓄勢機構と切換開閉器との間に位置するので、駆動軸の軸長方向について負荷時タップ切換器の小型化を図ること困難である。
【0006】
本開示の目的は、負荷時タップ切換器の小型化を図ることができる蓄勢装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る蓄勢装置は、負荷時に変圧器のタップを切り換える負荷時タップ切換器に備えられる蓄勢装置において、付勢力を蓄える蓄勢部材と、第1部及び第2部で構成されたカム機構の前記第1部を有し、前記蓄勢部材が解放した前記付勢力を受けて移動する蓄勢体と、前記第2部を有する基体とを備え、前記第1部及び前記第2部の一方はカム面を有し、他方は前記カム面に沿って転動可能なローラ及び該ローラを前記カム面に向けて付勢する付勢部材を有し、前記カム面には、前記付勢部材の付勢力により前記蓄勢体を加速させるための加速部分と減速させるための減速部分とが設けられており、前記蓄勢体の移動に伴って前記タップが切り換えられることを特徴とする。
【0008】
本開示にあっては、負荷時に変圧器のタップを切り換える負荷時タップ切換器が蓄勢装置を備える。蓄勢装置は、蓄勢部材、蓄勢体、及び基体を備える。
蓄勢部材は付勢力を蓄える。蓄勢体は、蓄勢部材が解放した付勢力を受けて移動する。蓄勢体の移動に伴って、変圧器のタップが切り換えられる。
【0009】
カム機構は第1部及び第2部で構成されている。蓄勢体(及び基体)はカム機構の第1部(及び第2部)を備える。第1部及び第2部の一方はカム面を有する。第1部及び第2部の他方はローラ及び付勢部材を有する。ローラはカム面に沿って転動可能である。付勢部材はローラをカム面に向けて付勢する。カム面には、付勢部材の付勢力により蓄勢体を加速させるための加速部分と、付勢部材の付勢力により蓄勢体を減速させるための減速部分とが設けられている。
【0010】
カム面に沿って転動するローラが加速部分に位置する場合、付勢部材の付勢力が蓄勢体を加速させる。故に、カム機構は特許文献1に記載の補助駆動装置と同様に、タップの速やかな切り換えに寄与する。
カム面に沿って転動するローラが減速部分に位置する場合、付勢部材の付勢力が蓄勢体を減速させる。
負荷時タップ切換器がカム機構とは別体の補助駆動装置を更に備える必要はない。しかもカム機構は蓄勢装置の一部である。故に、負荷時タップ切換器の小型化を図ることができる。
【0011】
本開示に係る蓄勢装置は、前記蓄勢体は、前記基体の一面に対向する第1面及び該第1面の逆側の第2面を有する底壁と、前記第2面の縁部から前記一面に離反する向きに突出する側壁とを備え、前記一面に沿って往復移動可能であり、前記側壁は前記第1部を有し、前記一面は前記第2部を有し、前記蓄勢体の往移動/復移動に伴って周方向に回転する駆動軸の軸長方向に交差し、前記駆動軸の回転に伴って前記タップが切り換えられることを特徴とする。
【0012】
本開示にあっては、蓄勢体の往移動/復移動に伴って駆動軸が周方向に回転し、駆動軸の回転に伴ってタップが切り換えられる。以下では、駆動軸の軸長方向を単に軸長方向という。
蓄勢体は底壁と側壁とを備える。蓄勢体の底壁は第1面と第2面とを有する。第1面は基体の一面に対向する。第2面は第1面の逆側の面である。蓄勢体の側壁は、底壁の第2面の縁部から基体の一面に離反する向きに突出する。
底壁及び側壁に囲まれた空間が基体の一面に覆われないので、例えば蓄勢装置の組み立て時に、底壁及び側壁に囲まれた空間に、所定の部材(例えば蓄勢部材)を容易に配することができる。
【0013】
基体の一面は軸長方向に交差する。故に、蓄勢体と基体とは軸長方向に並ぶ。蓄勢体は基体の一面に沿って往復移動可能である。従って、蓄勢体が基体に対して軸長方向に接離することはない。カム機構の第2部は基体の一面にあるが、カム機構の第1部は蓄勢体の側壁にあるので、カム機構と蓄勢体及び基体とが軸長方向に並ぶことはない。以上の結果、負荷時タップ切換器の軸長方向の小型化を図ることができる。
【0014】
本開示に係る蓄勢装置は、前記蓄勢体は前記基体の一面に沿って往復移動可能であり、複数の前記第1部を有し、前記基体は複数の第2部を有し、複数の前記第1部は、前記蓄勢体の一方向の両側の部分に同数配されており、前記一方向は前記一面に沿い、且つ前記蓄勢体の往復方向に交差し、複数の前記第2部は複数の前記第1部に対向するようにして前記基体に配されていることを特徴とする。
【0015】
本開示にあっては、蓄勢体が基体の一面に沿って往復移動可能である。
蓄勢体はカム機構の第1部をN個有する(N≧2の偶数)。N個の第1部は、蓄勢体の一方向の両側の部分に{N/2}個ずつ配されている。蓄勢体の一方向は、基体の一面に沿い、且つ蓄勢体の往復方向に交差する。例えば基体の一面に直交する方向を上下方向とし、蓄勢体の往復方向を前後方向とした場合、基体の一面に沿い、且つ蓄勢体の往復方向に交差する方向は、左右方向である。
基体はカム機構の第2部をN個有する。N個の第2部は、N個の第1部に対向するようにして基体に配されている。
【0016】
蓄勢体がカム機構により一方向に拘束されるので、付勢部材の付勢力を受けた蓄勢体が一方向に位置ずれを防止することができる。即ち、付勢部材の付勢力を蓄勢体の往復方向に効果的に蓄勢体に伝えることができる。
【0017】
本開示に係る蓄勢装置は、前記蓄勢体は前記基体の一面に沿って往復移動可能であり、前記第1部が前記ローラ及び前記付勢部材を有し、前記ローラの軸長方向は前記蓄勢体の往復方向に交差し、前記一面に凸部又は凹部が一体に設けられており、前記凸部又は前記凹部は、前記一面からの距離が前記往復方向に増減する向きに傾斜する傾斜面を有し、前記カム面の前記加速部分及び前記減速部分夫々は前記傾斜面を含むことを特徴とする。
【0018】
本開示にあっては、蓄勢体が基体の一面に沿って往復移動可能である。
カム機構の第1部はローラ及び付勢部材を有し、カム機構の第2部はカム面を有する。
ローラの軸長方向は蓄勢体の往復方向に交差する。凸部(又は凹部)は傾斜面を有し、傾斜面は、基体の一面からの距離が蓄勢体の往復方向に増減する向きに傾斜する。カム面の加速部分及び減速部分夫々は凸部(又は凹部)の傾斜面を含む。カム面に沿って転動可能なローラの周面はカム面に向くので、例えば基体の一面に直交する方向を上下方向とし、蓄勢体の往復方向を前後方向とした場合、ローラの軸長方向は左右方向である。
凸部(又は凹部)は基体の一面に一体に設けられているので、カム機構の構成の簡素化と部品点数の削減とを図ることができる。
【0019】
本開示に係る蓄勢装置は、前記蓄勢体は前記基体の第1面に沿って往復移動可能であり、前記第2部が前記ローラ及び前記付勢部材を有し、前記ローラの軸長方向は前記第1面に交差し、前記蓄勢体の往復方向に沿う第2面に凸部又は凹部が一体に設けられており、前記凸部又は前記凹部は、前記第2面からの距離が前記往復方向に増減する向きに傾斜する傾斜面を有し、前記カム面の前記加速部分及び前記減速部分夫々は前記傾斜面を含むことを特徴とする。
【0020】
本開示にあっては、蓄勢体が基体の第1面に沿って往復移動可能である。
カム機構の第1部はカム面を有し、カム機構の第2部はローラ及び付勢部材を有する。
ローラの軸長方向は基体の第1面に交差する。蓄勢体の第2面は蓄勢体の往復方向に沿う。凸部(又は凹部)は傾斜面を有し、傾斜面は、蓄勢体の第2面からの距離が蓄勢体の往復方向に増減する向きに傾斜する。カム面の加速部分及び減速部分夫々は凸部(又は凹部)の傾斜面を含む。カム面に沿って転動可能なローラの周面はカム面に向くので、例えば基体の第1面に直交する方向を上下方向とし、蓄勢体の往復方向を前後方向とした場合、ローラの軸長方向は上下方向であり、蓄勢体の第2面は上下前後方向に沿う。
【0021】
凸部(又は凹部)は蓄勢体の第2面に一体に設けられているので、カム機構の構成の簡素化と部品点数の削減とを図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の蓄勢装置によれば、負荷時タップ切換器の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態1に係る負荷時タップ切換器を示すブロック図である。
【
図4】カム機構の作用を説明するための模式図ある。
【
図5】カム機構の作用を説明するための模式図ある。
【
図6】実施の形態2に係る蓄勢装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0025】
実施の形態 1.
図1は実施の形態1に係る負荷時タップ切換器の要部構成を示すブロック図である。
図中1は負荷時タップ切換器であり、負荷時タップ切換器1は変圧器2と共に用いられる。負荷時タップ切換器1は蓄勢装置3を備える。
【0026】
図2は蓄勢装置3の平面図である。
図3は蓄勢装置3の側面図である。
蓄勢装置3は、基体31、2つの蓄勢部材32、及び蓄勢体33を備える。
図2及び
図3に示すように、基体31は、一方向に長い矩形板状をなす。基体31の両面は上下に向く。以下では、基体31の長辺に沿う方向(及び短辺に沿う方向)を左右方向(及び前後方向)という。
【0027】
基体31の上面(基体の一面)には不図示の支持体が設けられており、支持体は2本の第1ガイドロッド311及び2本の第2ガイドロッド312を支持している。
各第1ガイドロッド311は基体31の上面から上側に離隔し、左右方向に延びる。2本の第1ガイドロッド311は、基体31の前後方向の中央部にて、左右方向に互いに離隔している。
各第2ガイドロッド312は基体31の上面から上側に離隔し、左右方向に延びる。2本の第2ガイドロッド312は、2本の第1ガイドロッド311よりも前後方向の外側に1本ずつ配されている。
【0028】
基体31の上面には前後2つの凸部313が設けられている。前側の凸部313は、基体31の前辺の中央部に配されている。後側の凸部313は、基体31の後辺の中央部に配されている。各凸部313は基体31の上面から上向きに突出している。
【0029】
2つの蓄勢部材32は2本の第1ガイドロッド311と一対一対応である。各蓄勢部材32はコイルバネ321及び2つのバネ受け322を備える。コイルバネ321は左右に延びる。2つのバネ受け322はコイルバネ321の左右方向の両端部に1つずつ取り付けられている。バネ受け322はコイルバネ321の伸縮を阻害しない。
蓄勢部材32は第1ガイドロッド311に貫通されており、第1ガイドロッド311に沿って伸縮可能である。蓄勢部材32が圧縮された場合、蓄勢部材32は付勢力を蓄える。
【0030】
蓄勢体33は底壁331、2つの側壁332、及び2つの側壁333を備える。
底壁331は、四隅が欠落した矩形板状をなす。底壁331の両面は上下に向く。底壁331の下面(第1面)は基体31の上面に対向しており、基体31の上面から適長離隔している。底壁331の上面(第2面)は、第1ガイドロッド311、第2ガイドロッド312、及び蓄勢部材32の下方に位置している。
各側壁332は矩形板状をなす。側壁332の両面は前後に向く。2つの側壁332は底壁331の前後両辺部に1つずつ配されている。側壁332は底壁331の縁部から上向きに(基体31の上面に離反する向きに)突出している。
【0031】
前側の側壁332の内面は前側の第2ガイドロッド312に対向しており、後側の側壁332の内面は後側の第2ガイドロッド312に対向している。各側壁332の内面には2つの摺動部材334が設けられている。2つの摺動部材334は互いに左右に離隔している。各摺動部材334は第2ガイドロッド312に沿って摺動可能に、第2ガイドロッド312に貫通されている。この結果、摺動部材334を介して蓄勢体33は第2ガイドロッド312に吊り下げ支持されている。
【0032】
蓄勢体33は、基体31の上面に沿って、所定範囲を直線的に往復移動可能である。具体的には、蓄勢体33は2本の第2ガイドロッド312に案内されて所定範囲を左右方向に往復移動可能である。蓄勢体33が移動する場合、摺動部材334は第2ガイドロッド312に摺動する。以下では、蓄勢体33が往復する所定範囲を所定往復範囲という。
各側壁333は矩形板状をなす。側壁333の両面は左右に向く。2つの側壁333は底壁331の左右両辺部に1つずつ配されている。側壁333は底壁331の縁部から上向きに突出している。
【0033】
各側壁333の上辺部には2つの切り欠き335が設けられている。2つの切り欠き335は互いに前後に離隔している。2つの切り欠き335を2本の第1ガイドロッド311が貫通している。第1ガイドロッド311の外周面は切り欠き335の内面から離隔している。左側(及び右側)の側壁333の内面における切り欠き335の周縁部は、蓄勢部材32の左側(及び右側)のバネ受け322に対して相対的に接離可能である。側壁333とバネ受け322とが互いに接触している場合、蓄勢体33から蓄勢部材32に、又は蓄勢部材32から蓄勢体33に、力を伝達することが可能である。
【0034】
図1に示すように、蓄勢装置3は伝達部34を備え、負荷時タップ切換器1はモータ11を備える。変圧器2の負荷に応じて、モータ11は半回転ずつ駆動される。伝達部34は、モータ11の回転力を、蓄勢部材32を圧縮する向きの力に変換して、蓄勢部材32に伝達する。また、伝達部34は、モータ11が半回転し終わるまで蓄勢体33を拘束する。モータ11が半回転する都度、蓄勢部材32が解放した付勢力を受けた蓄勢体33が第2ガイドロッド312に沿って移動する。
【0035】
例えば、蓄勢部材32が所定往復範囲の右端に位置している場合、モータ11が半回転している間に、伝達部34が備える不図示の圧縮用部材と蓄勢体33の左側の側壁333との間で蓄勢部材32が圧縮される。モータ11が半回転し終わったとき、蓄勢体33の拘束が解かれ、蓄勢部材32が付勢力を解放する。蓄勢部材32が解放した付勢力を左側の側壁333に受けることにより、蓄勢体33は左側に移動する。左側に移動した蓄勢体33は、所定往復範囲の左端にて不図示のストッパに当接し、停止する。蓄勢体33の停止時の衝撃を緩和するために、蓄勢装置3は蓄勢体33の移動に干渉する不図示の緩衝部材を備える。
【0036】
モータ11の次の半回転により、前述した圧縮用部材と蓄勢体33の右側の側壁333との間で蓄勢部材32が圧縮される。モータ11が半回転し終わったとき、蓄勢部材32が解放した付勢力を右側の側壁333に受けた蓄勢体33が、所定往復範囲の左端から右端に移動する。
モータ11の更に次の半回転により、圧縮用部材と蓄勢体33の左側の側壁333との間で蓄勢部材32が圧縮される。モータ11が半回転し終わったとき、蓄勢部材32が解放した付勢力を左側の側壁333に受けた蓄勢体33が所定往復範囲の右端から左端に移動する。
以上のようにして蓄勢体33は左側への移動及び右側への移動を交互に行なう。
【0037】
負荷時タップ切換器1は駆動軸12を備える。
駆動軸12の軸長方向は、上下に向く(即ち基体31の上面に直交する方向である)。駆動軸12は周方向に正逆に回転可能である。以下では、駆動軸12の周方向の一側(及び他側)への回転を正転(及び逆転)という。正転及び逆転の区別を行なわない場合、単に回転という。
【0038】
駆動軸12の上端部には従動部材121が設けられている。従動部材121は駆動軸12を中心に所定搖動範囲を搖動可能に設けられており、従動部材121の搖動に伴って駆動軸12が回転する。例えば従動部材121が所定搖動範囲の一側端から他側端に搖動した場合、駆動軸12は正転して停止する。従動部材121が所定搖動範囲の他側端から一側端に搖動した場合、駆動軸12は逆転して停止する。
【0039】
蓄勢装置3は移動変換部35を備える。移動変換部35は、蓄勢体33の左右移動を、従動部材121の搖動に変換する。例えば蓄勢体33が所定往復範囲の右端から左端に移動した場合、従動部材121は所定搖動範囲の一側端から他側端に搖動する。蓄勢体33が所定往復範囲の左端から右端に移動した場合、従動部材121は所定搖動範囲の他側端から一側端に搖動する。
以上の結果、蓄勢体33の左側への移動/右側への移動に伴って駆動軸12が正転/逆転する。
【0040】
駆動軸12の下端部には駆動部材122が設けられている。駆動部材122は、例えば駆動軸12の下端部に同軸に固定された円板であり、駆動軸12を中心に駆動軸12と一体に正逆に回転可能である。
【0041】
負荷時タップ切換器1は、タップ選択器13及び切換開閉器14を備える。
タップ選択器13には不図示の複数のタップが設けられている。複数のタップ夫々は変圧器2の巻線に接続されている接続端子であり、変圧器2の相異なる変圧比に対応する。
切換開閉器14はスイッチ15及び真空バルブ等を備え、タップを選択するための不図示の電路を、駆動軸12の正逆の回転に伴って開閉する。以下ではスイッチ15を例示して説明する。
スイッチ15は可動接点151及び固定接点152,153を備える。可動接点151は固定接点152,153間を往復移動可能である。可動接点151は変圧器2の中性線に接続されている。固定接点152,153夫々は、タップ選択器13の相異なるタップに接続される。
【0042】
負荷時タップ切換器1は運動変換部16を備える。運動変換部16は、駆動軸12の駆動部材122の正逆の回転運動を、可動接点151の固定接点152,153間の往復運動に変換する。運動変換部16の介在により、可動接点151は、駆動部材122の正逆の回転に伴って固定接点152,153間を移動し、駆動部材122の停止時に固定接点152,153の何れか一方に接続される。例えば駆動軸12の正転により、可動接点151は固定接点152から離隔して固定接点153に接続される。一方、駆動軸12の逆転により、可動接点151は固定接点153から離隔して固定接点152に接続される。
【0043】
可動接点151が固定接点152から離隔して固定接点153に接続された場合、タップ選択器13の一のタップが変圧器2の中性線に接続され、タップ選択器13の他のタップと変圧器2の中性線との接続が切断される。即ち、負荷時タップ切換器1は他のタップから一のタップに切り換える。
可動接点151が固定接点153から離隔して固定接点152に接続された場合、タップ選択器13の他のタップが変圧器2の中性線に接続され、タップ選択器13の一のタップと変圧器2の中性線との接続が切断される。即ち、負荷時タップ切換器1は一のタップから他のタップに切り換える。
【0044】
以上のようにして、蓄勢体33の移動に伴って駆動軸12が回転し、駆動軸12の回転に伴ってスイッチ15の切り換えが行なわれることにより、負荷時タップ切換器1は変圧器2の負荷に応じてタップを切り換える。この結果、変圧器2の変圧比が変圧器2の負荷に応じた変圧比に切り換えられる。
【0045】
図2及び
図3に示すように、蓄勢装置3はカム機構4を備える。
カム機構4は、2つの付勢部材41、2つのローラ42、及び2つのカム面43で構成されている。
蓄勢体33は、2つの付勢部材41を、前後2つの側壁332夫々の外面に1つずつ有する。2つの付勢部材41はローラ42を1つずつ支持している。付勢部材41及びローラ42の組はカム機構4の第1部である。即ち、カム機構4の第1部は、蓄勢体33の前後両側の部分に同数、配されている。
【0046】
基体31は、2つのカム面43を、基体31の上面における前後両辺部に1つずつ有する。カム面43はカム機構4の第2部である。カム機構4の2つの第2部は、前後2つの第1部に対向するようにして、基体31に配されている。
2つのカム面43は前後対称の構成である。以下では基体31の上面の前辺部が有するカム面43について説明する。
【0047】
カム面43は、傾斜面431、平坦面432、及び傾斜面433で構成されている。これらは右側から左側へ、この順に連続している。
傾斜面431は、凸部313の右側部の上面であり、右端が基体31の上面に一致し、左側ほど基体31の上面からの高さが大きく、左端が平坦面432の右端に一致する。
平坦面432は、凸部313の左右方向中央部の上面であり、基体31の上面からの高さが一定である。
傾斜面433は、凸部313の左側部の上面であり、右端が平坦面432の左端に一致し、左側ほど基体31の上面からの高さが小さく、左端が基体31の上面に一致する。
【0048】
2組の付勢部材41及びローラ42は前後対称の構成である。以下では前側の側壁332が有する付勢部材41及びローラ42の組について説明する。
付勢部材41はレバー411及びバネ412を有する。レバー411は一方向に長い部材であり、レバー411の長手方向は前後に向く。レバー411は、側壁332の外面から前向きに突出する。レバー411は、上下に搖動可能に側壁332に支持されている。バネ412は、レバー411が下向きに搖動する方向にレバー411を付勢する。
【0049】
ローラ42は、その軸長方向が前後に向くようにして、レバー411の先端部に支持されている。ローラ42の周面はカム面43に上下に対向しており、ローラ42はカム面43に沿って転動可能である。付勢部材41は、ローラ42をカム面43に向けて付勢する。この結果、ローラ42の周面がカム面43に押し付けられた場合にカム面43からローラ42に反力が加わる。
蓄勢体33が所定往復範囲の右端に位置する場合、ローラ42は所定右端位置にある。所定右端位置は、傾斜面431の下端の真上であり、カム面43から離隔している。蓄勢体33が所定往復範囲の左端に位置する場合、ローラ42は所定左端位置にある(
図3参照)。所定左端位置は傾斜面433の下端の真上であり、カム面43から離隔している。
【0050】
蓄勢体33が所定往復範囲の右端から左端に移動する場合、ローラ42はカム面43に左向きに接近し、傾斜面431、平坦面432、及び傾斜面433の順に、これらに沿って転動し、カム面43から左向きに離隔する。
蓄勢体33が所定往復範囲の左端から右端に移動する場合、ローラ42はカム面43に右向きに接近し、傾斜面433、平坦面432、及び傾斜面431の順に、これらに沿って転動し、カム面43から右向きに離隔する。
【0051】
図4及び
図5はカム機構4の作用を説明するための模式図である。
蓄勢体33は所定往復範囲の右端に位置しており、ローラ42は所定右端位置にある(
図4A参照)。
蓄勢部材32が解放した付勢力を受けて蓄勢体33は左向きに移動する。蓄勢部材32の付勢力は、圧縮されていた蓄勢部材32が伸張するほど小さくなる。
【0052】
蓄勢部材32が移動を開始すると、ローラ42はカム面43に左向きに接近し、傾斜面431に接触して傾斜面431を上る。ローラ42が傾斜面431を上っている間、傾斜面431からローラ42及び付勢部材41を介して右向きの力が蓄勢体33に加わる(
図4B参照)。このとき、蓄勢体33は減速する。しかしながら、蓄勢部材32の付勢力が大きいので、蓄勢体33が減速しすぎて駆動軸12の正転が阻害される虞はない。故に、可動接点151は速やかに固定接点152から離隔する。
【0053】
傾斜面431を上りきったローラ42は平坦面432に接触する。ローラ42が平坦面432に沿って転動している間、ローラ42と平坦面432との摩擦に起因する右向き力が蓄勢体33に加わるが、この力は蓄勢部材32の付勢力に比べて小さいので無視することができる(
図4C参照)。
【0054】
次いで、ローラ42は平坦面432から傾斜面433に接触して傾斜面433を下る。ローラ42が傾斜面433を下っている場合、傾斜面433からローラ42及び付勢部材41を介して左向きの力が蓄勢体33に加わる(
図5D参照)。このとき、蓄勢体33は加速する。蓄勢部材32の付勢力は小さいが、カム機構4による蓄勢体33の駆動補助により、駆動軸12の正転が促進される。故に、可動接点151は速やかに固定接点153に接近する。
更に、ローラ42はカム面43から左向きに離隔し、所定左端位置に至る(
図5E参照)。蓄勢体33は所定往復範囲の左端に到達し、可動接点151は固定接点153に接続される。
【0055】
以上の結果、固定接点152に接続されたタップから固定接点153に接続されたタップへと速やかに切り換えることができる。
蓄勢体33が左向きに移動している場合、傾斜面433がカム面43の加速部分として機能し、傾斜面431がカム面43の減速部分として機能する。
【0056】
蓄勢部材32が解放した付勢力を受けて蓄勢体33が右向きに移動する場合、蓄勢部材32が移動を開始すると、ローラ42が傾斜面433に接触する。ローラ42が傾斜面433を上っている間、傾斜面433からローラ42及び付勢部材41を介して左向きの力が蓄勢体33に加わる。このとき、蓄勢体33は減速する。しかしながら、蓄勢部材32の付勢力が大きいので、蓄勢体33が減速しすぎて駆動軸12の逆転が阻害される虞はない。故に、可動接点151は速やかに固定接点153から離隔する。
傾斜面433を上りきったローラ42は平坦面432に接触する。
【0057】
次いで、ローラ42は平坦面432から傾斜面431に接触する。ローラ42が傾斜面431を下っている場合、傾斜面431からローラ42及び付勢部材41を介して右向きの力が蓄勢体33に加わる。このとき、蓄勢体33は加速する。蓄勢部材32の付勢力は小さいが、カム機構4による蓄勢体33の駆動補助により、駆動軸12の逆転が促進される。故に、可動接点151は速やかに固定接点152に接近する。
更に、ローラ42はカム面43から右向きに離隔し、所定右端位置に至る。蓄勢体33は所定往復範囲の右端に到達し、可動接点151は固定接点152に接続される。
【0058】
以上の結果、固定接点153に接続されたタップから固定接点152に接続されたタップへと速やかに切り換えることができる。
蓄勢体33が右向きに移動している場合、傾斜面431がカム面43の加速部分として機能し、傾斜面433がカム面43の減速部分として機能する。
【0059】
カム面43の構成は上述したものに限定されない。例えば凸部313に替えて、又は凸部313と共に、凹部が基体31の上面に設けられており、凹部の内面がカム面43の一部又は全部を構成してもよい。また、基体31の上面がカム面43の一部を構成してもよい。
カム面43は、蓄勢体33の停止直前に蓄勢体33の移動を緩衝するために用いられてもよい。この場合、タップを切り換える際に生じる衝撃の緩和に寄与することができる。例えば、蓄勢体33が左向きに移動する場合、蓄勢体33が傾斜面433を下った後に不図示の傾斜面を上ることにより、蓄勢体33に右向きの力が加わるので、蓄勢体33の減速を促進することができる。
【0060】
以上のような蓄勢装置3によれば、負荷時タップ切換器1がカム機構4とは別体の補助駆動装置を更に備える必要はない。しかもカム機構4は蓄勢装置3の一部である。
また、蓄勢体33が基体31に対して上下方向に接離することはない。カム面43は基体31の上面にあるが、付勢部材41及びローラ42の組は蓄勢体33の側壁332にあるので、カム機構4と蓄勢体33及び基体31とが上下方向に並ぶことはない。
以上の結果、負荷時タップ切換器1の小型化(特に上下方向の小型化)を図ることができる。変圧器2が負荷時タップ切換器1を内蔵している場合、負荷時タップ切換器1の小型化は変圧器2の小型化に寄与する。
【0061】
カム面43として、基体31に設けられた凸部313の表面(又は凹部の内面)が利用されるので、カム面43を有する別個の部品は不要である。故にカム機構4の構成の簡素化と部品点数の削減とを図ることができる。
底壁331及び側壁332,333に囲まれた空間が基体31の上面に覆われないので、例えば蓄勢装置3の組み立て時に、底壁331及び側壁332,333に囲まれた空間に、所定の部材(蓄勢部材32)を容易に配することができる。
【0062】
なお、カム機構4の各1つの第1部及び第2部が、蓄勢体33の前側及び後側の一方のみに配されてもよい。
しかしながら、本実施の形態のようにカム機構4の各複数の第1部及び第2部が蓄勢体33の前後両側に同数ずつある場合、蓄勢体33がカム機構4により前後方向に拘束される。故に、付勢部材41の付勢力を受けた蓄勢体33が前後方向に位置ずれを防止することができる。即ち、付勢部材41の付勢力を左右方向に効果的に蓄勢体33に伝えることができる。
カム機構4の第1部は、蓄勢体33の側壁332の外面に限定されず、例えば蓄勢体33の底壁331の外面に配されてもよい。
【0063】
実施の形態 2.
図6は実施の形態2に係る蓄勢装置3の平面図である。
本実施の形態の蓄勢装置3は、カム機構4に関する構成を除き、実施の形態1の蓄勢装置3と略同様である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
本実施の形態では基体31が前後2組の付勢部材41及びローラ42を有し、蓄勢体33が前後2つのカム面43を有する。以下では、前側の付勢部材41、ローラ42、及びカム面43について説明する。
【0064】
蓄勢体33の側壁332の外面(蓄勢体の往復方向に沿う第2面)には凸部336が設けられている。凸部336は、前側の側壁332の外面から前向きに突出しており、側壁332の左右方向の中央部に配されている。
【0065】
カム面43の傾斜面431、平坦面432、及び傾斜面433は、左側から右側へ、この順に連続している。
傾斜面431は、凸部336の左側部の前面であり、左端が側壁332の外面に一致し、右側ほど側壁332の外面からの距離が長く、右端が平坦面432の左端に一致する。
平坦面432は、凸部336の左右方向中央部の前であり、側壁332の外面からの距離が一定である。
傾斜面433は、凸部336の右側部の前面であり、左端が平坦面432の右端に一致し、右側ほど側壁332の外面からの距離が小さく、右端が側壁332の外面に一致する。
【0066】
カム面43として、蓄勢体33の側壁332に設けられた凸部336の表面が利用されるので、カム面43を有する別個の部品は不要である。故にカム機構4の構成の簡素化と部品点数の削減とを図ることができる。なお、カム面43の一部又は全部として側壁332に設けられた凹部の内面が利用されてもよい。
【0067】
付勢部材41のレバー411は、長手方向が基体31の上面(基体の第1面)に沿うようにして、レバー411の一端部を中心に搖動可能に基体31に支持されている。レバー411の他端部は凸部313の後面に対向している。バネ412はレバー411の他端部と凸部313の後面との間に介在しており、レバー411の他端部が後向きに搖動する方向にレバー411を付勢する。
【0068】
ローラ42は、その軸長方向が上下に向くようにして、レバー411の他端部に支持されている。ローラ42の周面はカム面43に前後に対向しており、実施の形態1の場合と同様に、ローラ42はカム面43に沿って転動可能である。付勢部材41は、ローラ42をカム面43に向けて付勢する。この結果、ローラ42の周面がカム面43に押し付けられた場合にカム面43からローラ42に反力が加わる。
蓄勢体33が所定往復範囲の右端に位置する場合、ローラ42は所定左端位置にある。所定左端位置は傾斜面431の左端である。蓄勢体33が所定往復範囲の左端に位置する場合、ローラ42は所定右端位置にある。所定左端位置は傾斜面433の右端である。
【0069】
本実施の形態のカム機構4の作用効果は、実施の形態1のカム機構4の作用効果と略同様である。
即ち、蓄勢体33が所定往復範囲の右端から左端に移動する場合、ローラ42は、傾斜面431、平坦面432、及び傾斜面433の順に、これらに沿って転動する。ローラ42が傾斜面431に接触している場合、傾斜面431からローラ42及び付勢部材41を介して右向きの力が蓄勢体33に加わる。このとき、蓄勢体33は減速する。また、ローラ42が傾斜面433に接触している場合、傾斜面433からローラ42及び付勢部材41を介して左向きの力が蓄勢体33に加わる。このとき、蓄勢体33は加速する。
【0070】
一方、蓄勢体33が所定往復範囲の左端から右端に移動する場合、ローラ42は傾斜面433、平坦面432、及び傾斜面431の順に、これらに沿って転動する。ローラ42が傾斜面433に接触している場合、傾斜面431からローラ42及び付勢部材41を介して左向きの力が蓄勢体33に加わる。このとき、蓄勢体33は減速する。また、ローラ42が傾斜面431に接触している場合、傾斜面433からローラ42及び付勢部材41を介して右向きの力が蓄勢体33に加わる。このとき、蓄勢体33は加速する。
【0071】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。更に、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 負荷時タップ切換器; 12 駆動軸; 2 変圧器; 3 蓄勢装置; 31 基体; 313 凸部; 32 蓄勢部材; 33 蓄勢体; 331 底壁; 332 側壁; 336 凸部; 4 カム機構; 41 付勢部材; 42 ローラ; 43 カム面; 431,433 傾斜面