IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-アンテナユニット 図1
  • 特開-アンテナユニット 図2
  • 特開-アンテナユニット 図3
  • 特開-アンテナユニット 図4
  • 特開-アンテナユニット 図5
  • 特開-アンテナユニット 図6
  • 特開-アンテナユニット 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134037
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】アンテナユニット
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20240926BHJP
   H01Q 9/20 20060101ALI20240926BHJP
   H01Q 9/30 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q9/20
H01Q9/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044120
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】塩津 哲也
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA01
5J046AB06
5J046BA03
(57)【要約】
【課題】測定対象物が存在する方向の検出に使用可能なアンテナユニットを提供する。
【解決手段】アンテナユニット1は、基板2の表層に形成された少なくとも2つのアンテナ10と、2つのアンテナ10のうちの一方のアンテナ11の下層全域に設けられ、導体層が抜かれた抜き部20と、を有し、抜き部20は、平面視において、外縁部の少なくとも一部が接地されていない非接地領域と接しており、一方のアンテナ11は、一端11Eから給電されると共に他端11Fが接地されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物が存在する方向の検出に使用可能なアンテナユニットであって、
基板の表層に形成された少なくとも2つのアンテナと、
2つの前記アンテナのうちの少なくとも一方のアンテナの下層全域に設けられ、導体層が抜かれた抜き部と、を有し、
前記抜き部は、平面視において、外縁部の少なくとも一部が接地されていない非接地領域と接しており、
前記一方のアンテナは、一端から給電されると共に他端が接地されているアンテナユニット。
【請求項2】
前記抜き部は、平面視が矩形で形成されており、
前記一方のアンテナは、前記抜き部のうち、互いに対向する2つの辺の一方側から給電され、前記2つの辺のうちの他方側で接地されている請求項1に記載のアンテナユニット。
【請求項3】
前記一方のアンテナは、インピーダンスを調整するインピーダンス調整部が設けられている請求項1又は2に記載のアンテナユニット。
【請求項4】
前記インピーダンスは、前記基板に実装される部品又は前記基板のパターンニングにより調整される請求項3に記載のアンテナユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物が存在する方向の検出に使用可能なアンテナユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波の送信や受信にアンテナが利用されている。このようなアンテナとして、例えば特許文献1に記載されるUWB(Ultra Wide Band)用アンテナがある。
【0003】
特許文献1に記載されるUWB用アンテナは、導体パターンが2枚の誘電体で挟まれた、モノポールアンテナで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-94437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンテナは、測定対象物の位置や測定対象物が存在する方向(角度)の検出に利用することが可能である。例えばアンテナを障害物検知に利用する場合には、障害物の位置や障害物が存在する方向を検出することが可能である。また、アンテナをビームフォーミングに利用する場合には、通信対象となる装置の位置や当該装置が設けられている方向を検出することが可能である。このような用途では、1つのアンテナユニットに対して、少なくとも2つのアンテナを備えて構成されるが、精度よく検出するには、2つのアンテナの距離(2つのアンテナの間隔)を適切に設定する必要がある。
【0006】
特許文献1に記載のUWB用アンテナは、上述したようにモノポールアンテナとして構成されている。一方、モノポールアンテナはグランド部が周囲に囲まれていると、所期の性能を実現できないことが知られている。このため、特許文献1に記載のUWB用アンテナを、上記アンテナユニットに適用するには、UWB用アンテナの導体パターンを基板のエッジ側に設ける必要がある。例えば、基板のサイズが予め決まっている場合には、2つのUWB用アンテナを近接して設けることができないので、基板におけるアンテナユニットが占める領域が大きくなってしまう。したがって、アンテナユニットが大型化する。また、基板のサイズによっては、2つのアンテナの距離を適切に設定することができず、測定対象物の位置や測定対象物が存在する方向(角度)の検出を適切に行うことができない可能性がある。
【0007】
そこで、測定対象物が存在する方向(角度)の検出を適切に行うことが可能な小型のアンテナユニットが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るアンテナユニットの特徴構成は、測定対象物が存在する方向の検出に使用可能なアンテナユニットであって、基板の表層に形成された少なくとも2つのアンテナと、2つの前記アンテナのうちの少なくとも一方のアンテナの下層全域に設けられ、導体層が抜かれた抜き部と、を有し、前記抜き部は、平面視において、外縁部の少なくとも一部が接地されていない非接地領域と接しており、前記一方のアンテナは、一端から給電されると共に他端が接地されている点にある。
【0009】
このような特徴構成とすれば、2つのアンテナのうちの少なくとも一方のアンテナが、所期の性能を具備するために基板のエッジに配置することが必要なモノポールアンテナで構成されないので、配置上の自由度を高めることができる。このため、2つのアンテナの距離(2つのアンテナの間隔)を設定し易く、基板におけるアンテナユニットが占める領域を小さくできるので、小型のアンテナユニットを実現できる。また、少なくとも1つのアンテナを、基板のエッジから離間して設けることができるので、性能を優先して設けることができる。したがって、アンテナユニットを使用して測定対象物が存在する方向(角度)の検出を適切に行うことが可能となる。
【0010】
また、前記抜き部は、平面視が矩形で形成されており、前記一方のアンテナは、前記抜き部のうち、互いに対向する2つの辺の一方側から給電され、前記2つの辺のうちの他方側で接地されていると好適である。
【0011】
このような構成とすれば、従来、基板の作製に利用されている方法により抜き部を形成でき、また、アンテナの給電と接地とを簡便に行うことができる。したがって、アンテナユニットの製造コストの増大を抑制できる。
【0012】
また、前記一方のアンテナは、インピーダンスを調整するインピーダンス調整部が設けられていると好適である。
【0013】
このような構成とすれば、測定対象物の位置や測定対象物が存在する方向(角度)の検出に適した性能を、より容易に実現できる。
【0014】
また、前記インピーダンスは、前記基板に実装される部品又は前記基板のパターンニングにより調整されると好適である。
【0015】
このような構成とすれば、アンテナのインピーダンスを容易に調整することができる。したがって、所期のアンテナの性能を実現し易くできる。
【0016】
また、前記インピーダンス調整部は、前記抜き部に設けられていると好適である。
【0017】
このような構成とすれば、インピーダンス調整部において生じる磁界に基づく磁束が、導体層を介して基板の他層に伝わることを抑制できる。したがって、導体層を介した、基板に設けられる他の部品に対する磁束の影響を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】アンテナユニットの平面図である。
図2】アンテナの位置を変更した場合のアンテナユニットの平面図である。
図3】その他の実施形態の抜き部を示す図である。
図4】その他の実施形態のアンテナの構成を示す図である。
図5】その他の実施形態のアンテナの構成を示す図である。
図6】その他の実施形態のインピーダンス調整部の配置例を示す図である。
図7】その他の実施形態のアンテナを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るアンテナユニットは、角度の測定や、ビームフォーミングに使用することが可能である。角度の測定とは、アンテナユニットから見た、測定対象物が存在する場所(位置)の方向(基準となる方向に対する角度)の測定を意味する。ビームフォーミングとは、アンテナユニットが予め設定された方向に向けて電波を送信したり、アンテナユニットが予め設定された方向からの電波を受信したりすることを意味する。このようなビームフォーミングを行う場合には、通信対象となる装置(測定対象物の一例)の位置や、当該装置が存在する方向(角度)を把握しておく必要がある。アンテナユニットは、このような測定対象物の位置や、当該測定対象物が存在する方向(角度)の測定(検出)に用いることが可能である。
【0020】
以下、本実施形態のアンテナユニット1について説明する。しかしながら、アンテナユニット1は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0021】
図1は、本実施形態のアンテナユニット1の平面図である。また、図1にはアンテナユニット1の部分拡大図も示される。図1に示されるように、アンテナユニット1は、アンテナ10と、抜き部20と、インピーダンス調整部30と、制御部40とを有する。
【0022】
本実施形態では、アンテナユニット1は、少なくとも2つのアンテナ10を有する。アンテナ10は、空中伝搬する電波を受信して電気信号に変換し、当該電気信号を後述する制御部40に伝達する。空中伝搬する電波とは、アンテナユニット1が有するアンテナ10とは異なるアンテナ(図示しない)から送信された電波が、測定対象物において反射した反射波が相当する。もちろん、この電波を送信するアンテナは、アンテナ10と共用してもよい。
【0023】
本実施形態では、アンテナユニット1が2つのアンテナ10を有している場合の例を挙げて説明し、2つのアンテナ10の夫々を区別する場合には、アンテナ11とアンテナ12として説明する。アンテナ10は、基板2の表層の導体層をパターンニングして形成される。基板2は、例えば銅箔等の導体からなる導体層と、絶縁材料からなる絶縁層とが交互に積層されたプリント基板が相当する。本実施形態では、例えば4層基板が用いられる。4層基板とは、絶縁層を介して導体層が4層に積層して形成された基板である。基板2の表層とは、基板2における一方の面側の導体層を意味し、その表面に絶縁層が設けられていてもよい。なお、基板2は、2層基板であってもよいし、6層基板であってもよいし、それ以上の層数の基板であってもよい。
【0024】
本実施形態では、アンテナ11は、導電層を構成する導体を除いて(エッチングして)形成されたスリット11A、11Bと、スリット11Aとスリット11Bとの間にL字形状の導体で形成された給電線11Cと、給電線11Cの一端側に設けられた給電部11Dと、接地部11Gとで構成される。アンテナ11は、一端11Eから給電されると共に他端11Fで接地される。したがって、給電部11Dはスリット11Aを介して一端11E側に設けられ、接地部11Gはスリット11Bを介して他端11F側に設けられる。これにより、給電線11Cには、一端11Eから他端11Fに向かって電流が流れる。このようなアンテナ11は、所謂ノッチアンテナと称される。
【0025】
本実施形態では、アンテナ12は、モノポールアンテナで構成される。具体的には、アンテナ12は、導体で形成されたアンテナエレメント12Aと、アンテナエレメント12Aの基端部12C側に設けられた給電部12Bとで構成される。これによりアンテナ12は、給電部12Bからの給電に基づいてアンテナエレメント12Aに電流が流れる。この電流は、アンテナエレメント12Aの基端部12Cから先端部12Dに向かう経路で流れる。
【0026】
アンテナ11及びアンテナ12は、夫々、互いのアンテナ長が同程度となるように構成される。したがって、アンテナ11及びアンテナ12は、互いに同じ周波数帯の電波の受信を行うことが可能である。
【0027】
抜き部20は、2つのアンテナ10のうちの一方のアンテナ11の下層全域に亘って導体層が抜かれて形成される。本実施形態では、基板2は4層基板であり、アンテナ11は基板2の表層に形成されている。アンテナ11が形成されている導体層から順に、第1層(アンテナ11が形成されている導体層)、第2層、第3層、第4層とする。すなわち、導体層の間に設けられている絶縁層(布層)や、表面のソルダーレジストは層数にカウントしていない。
【0028】
図1に示されるように、アンテナ11が形成されている第1層では、アンテナ11の周囲の導体層が所定の範囲Rに亘って抜かれている。アンテナ11の下層とは、第2層、第3層、第4層が相当し、下層全域とは、基板2の平面視において、範囲Rと重複する第2層、第3層、第4層の夫々の領域が相当する。したがって、抜き部20は、基板2の平面視において、範囲Rに亘って導体層が抜かれた領域が相当する。なお、導体層が抜かれて形成されるとは、導体層がエッチングされて形成されていることを意味する。したがって、抜き部20には導体層が存在していない状態とされる。
【0029】
本実施形態では、抜き部20は、平面視が矩形で形成されている。抜き部20は、外縁部の少なくとも一部が接地されていない非接地領域と接している。外縁部の少なくとも一部とは、矩形を構成する4つの辺のうちの少なくとも1つの辺である。4つの辺の夫々を、辺20A、辺20B、辺20C、辺20Dとすると、辺20A、辺20B、辺20Cは、接地されたグランド領域GRと接するが、辺20Dは基板2のエッジと一致する。図1に示されるように、辺20Dは、接地されたグランド領域GRに接しておらず、接地されていない非接地領域と接する。このように、本実施形態の抜き部20は、3方向がグランド領域GRと接している。
【0030】
アンテナ11は、抜き部20のうち、互いに対向する2つの辺20A,20Cの一方側から給電され、2つの辺20A,20Cのうちの他方側で接地されている。抜き部20のうち、互いに対向する2つの辺とは、平面視において矩形を構成する4つの辺のうちの互いに対向する2つの辺である。具体的には、図1に示される抜き部20における辺20Aと辺20Cとが相当する。本実施形態では、アンテナ11は、この辺20A側から給電され、辺20Cにおいて接地される。
【0031】
本実施形態では、アンテナ12の下層の導体層も矩形状に抜かれている。アンテナ12側の導体層が抜かれた領域を、抜き部50とする。抜き部50は、4つの辺のうち、2つの辺が非接地領域と接している。すなわち、抜き部50を構成する4つの辺を、夫々、辺50A、辺50B、辺50C、50Dとすると、辺50A、辺50Bは、接地されたグランド領域GRと接するが、辺50C、辺50Dは基板2のエッジと一致する。したがって、辺50C、辺50Dは、接地されていない非接地領域と接する。
【0032】
インピーダンス調整部30は、アンテナ11に設けられ、アンテナ11のインピーダンスを調整可能である。本実施形態では、インピーダンスは基板2に実装される部品により調整される。本実施形態では、インピーダンス調整部30は、上述した抜き部20に少なくとも一部が位置するように設けられる。本実施形態では、アンテナ11は、スリット11Aを跨いでグランド領域GRとの間にランドL1が設けられ、スリット11Bを跨いでグランド領域GRとの間にランドL2が設けられる。インピーダンス調整部30は、このランドL1、及びランドL2の少なくともいずれか一方に設けることが可能である。
【0033】
インピーダンス調整部30は、ランドL1及びランドL2の少なくともいずれか一方に設けることが可能である。インピーダンス調整部30を、ランドL1に設けない場合にはランドL1にはジャンパ部品(例えば、0Ωの抵抗器)を実装するとよい。
【0034】
上記のように、ランドL1や、ランドL2に部品を設けてインピーダンスを調整する場合には、インダクタ(例えばチップインダクタ)や、コンデンサ(例えばセラミックコンデンサ)を実装することが可能である。
【0035】
制御部40は、アンテナ10に給電すると共に、アンテナ10から伝達される電気信号に所定の処理を施して、アンテナ10が受信した電波が到来する方向(角度)を測定する。本実施形態では、2つのアンテナ10で同時に受信した電波の位相差と、2つのアンテナ10の間隔方向とに基づいて、受信した電波の方向を演算するインターフェローメータ方式が利用される。
【0036】
具体的には、アンテナ11とアンテナ12とにおける最も近接した部分の距離をd、アンテナ11が受信した電波の位相をΦ1、アンテナ12が受信した電波の位相をΦ2、光速をC、アンテナ11及びアンテナ12が受信した電波の伝搬周波数をfとすると、角度θは(1)式で算出される。
【数1】
【0037】
このようなインターフェローメータ方式で方向を測定する場合には、測角の角度範囲を最大にするために、アンテナ11とアンテナ12との距離dは、測定に使用する電波の周波数帯の最も高い周波数の波長の半分以下とするとよい。また、角度分解能を上げたい場合は、距離dは、測定に使用する電波の周波数帯の最も低い周波数の波長の半分程度とするとよい。
【0038】
また、アンテナユニット1により、測定対象物の位置を検出する場合には、上述したインターフェローメータ方式により測定した方向と、電波を送信してから測定対象物が当該電波を反射した反射波を取得するまでの間に時間と光速とに基づいて算出した距離とを用いて行うことが可能である。具体的には、アンテナユニット1と測定対象物との間の距離をL、電波を発してから受信するまでの時間をT、光速をCとすると、
L=(T×C)/2
により、算出することが可能である。
したがって、測定対象物は、インターフェローメータ方式により測定した方向に、距離Lだけ離間した位置に存在する。
【0039】
以上のように、アンテナユニット1は、測定対象物が存在する方向(角度)の測定を行うことが可能である。また、アンテナユニット1は、アンテナ10のうちの少なくとも一方(アンテナ11)が、モノポールアンテナとは異なるノッチアンテナで構成されている。このため、モノポールアンテナで構成されたアンテナ12を基板2のエッジに配置した場合でも、アンテナ11を、基板2における、測定対象物が存在する方向(角度)の測定に適したアンテナ12からの距離の位置に配置し易い。すなわち、使用する電波の周波数により、アンテナ11とアンテナ12との距離を、図1の距離dよりも大きくする必要がある場合でも、図2に示されるAの位置(図1における位置に相当)から、例えば図2に示されるBの位置への変更を容易に行うことが可能である。したがって、アンテナ10の配置の自由度を高めることが可能となる。
【0040】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、抜き部20は3方向がグランド領域GRと接しているとして説明した。しかしながら、例えば図3に示されるように、抜き部20を基板2のエッジに設けることも可能である。この場合には、抜き部20の4つの辺の夫々を、辺20A、辺20B、辺20C、辺20Dとすると、辺20A、辺20Bは、接地されたグランド領域GRと接するが、辺20C、辺20Dは基板2のエッジと一致する。したがって、辺20C、辺20Dは、接地されていない非接地領域と接する。このように、抜き部20は、2方向がグランド領域GRと接するように構成することも可能である。なお、この場合、アンテナ11は、辺20A側から給電し、辺20B側の端部で接地するとよい。
【0041】
上記実施形態では、アンテナ11は、給電線11CがL字形状であるとして説明した。しかしながら、給電線11Cは、直線形状で構成することも可能である。具体的には、図4に示されるように、給電線11Cが抜き部20の辺20A及び辺20Cの一方から他方に向かって延出するように構成するとよい。
【0042】
上記実施形態では、アンテナ11は、給電線11Cが抜き部20の辺20A側から給電され、辺20C側で接地されるとして説明した。換言すれば、アンテナ11は、抜き部20における互いに対向する2つの辺20A及び辺20Cにおいて、給電と接地とが行われる。しかしながら、アンテナ11は、抜き部20における互いに隣接する2つの辺20A及び辺20B、又は、2つの辺20B及び辺20Cにおいて、給電と接地とが行われてもよい。具体的には、図5に示されるように、給電線11Cが抜き部20の辺20B側から給電され、辺20C側で接地されるように構成することも可能であるし、図3で示したように、給電線11Cが抜き部20の辺20A側から給電され、辺20B側で接地されるように構成することも可能である。
【0043】
上記実施形態では、インピーダンス調整部30が、給電線11C及び抜き部20の矩形を構成する辺20Aや、給電線11C及び抜き部20の矩形を構成する辺20Cに位置するように図示した。しかしながら、図6に示されるように、例えばアンテナ11の給電線11Cを複数に分割し、分割した給電線11C同士に亘ってインピーダンス調整部30を設けてもよい。
【0044】
上記実施形態では、アンテナ11のインピーダンスが基板2に実装される部品により調整されるとして説明した。しかしながら、インピーダンスは基板2のパターンにより調整することも可能である。この場合には、例えば図7に示されるように、給電線11Cを蛇行するように形成し、給電線11Cのインダクタンス成分やキャパシタンス成分によりインピーダンスを調整することも可能である。
【0045】
上記実施形態では、アンテナ10は、アンテナ11がノッチアンテナであり、アンテナ12がモノポールアンテナであるとして説明した。しかしながら、アンテナ10は、アンテナ11及びアンテナ12の双方をノッチアンテナで構成することも可能である。
【0046】
上記実施形態では、アンテナ10が2つのアンテナ11,12を有するとして説明した。しかしながら、アンテナ10は、3つ以上のアンテナを有して構成してもよい。
【0047】
上記実施形態では、アンテナ11にインピーダンス調整部30が設けられるとして説明したが、インピーダンス調整部30は設けなくてもよい。また、アンテナ12に、当該アンテナ12のインピーダンスを調整するインピーダンス調整部30を設けることも可能である。
【0048】
上記実施形態では、抜き部20は平面視が矩形であるとして説明したが、抜き部20の平面視は矩形とは異なる形状(例えば、多角形や円弧状部を有する形状)であってもよい。
【0049】
上記実施形態では、抜き部20は、2つのアンテナ10のうちの一方のアンテナ11の下層全域に亘って導体層が抜かれて形成されるとして説明したが、抜き部は、2つのアンテナ10のうちの少なくとも一方のアンテナの下層全域に亘って導体層が抜かれて形成されてもよい。すなわち、上記実施形態のように、2つのアンテナ10のうちの一方のアンテナ11の下層全域に亘って導体層が抜かれて抜き部20が形成され、且つ、2つのアンテナ10のうちの一方のアンテナ12の下層全域に亘って導体層が抜かれて抜き部50が形成されてもよい。また、抜き部50を形成せずに、抜き部20のみ形成してもよいし、抜き部20を形成せずに、抜き部50のみ形成してもよい。
【0050】
本発明は、測定対象物の位置や測定対象物が存在する方向の検出に使用されるアンテナユニットに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1:アンテナユニット
2:基板
10:アンテナ
11:アンテナ(一方のアンテナ)
11E:一端
11F:他端
12:アンテナ(他方のアンテナ)
20:抜き部
20A:辺
20B:辺
30:インピーダンス調整部
50:抜き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7