(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134047
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240926BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044133
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】516163305
【氏名又は名称】ひょうご税理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】芝野 稔
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を適切に生成する。
【解決手段】情報処理装置は、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を含む資金繰りデータを生成する資金繰りデータ生成手段と、前記取得手段によって取得された情報に基づいて、仕訳データを生成する仕訳データ生成手段と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を含む資金繰りデータを生成する資金繰りデータ生成手段と、
前記取得手段によって取得された情報に基づいて、仕訳データを生成する仕訳データ生成手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
所定の会計ソフトウェアから、仕訳データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を含む資金繰りデータを生成する資金繰りデータ生成手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、入金データおよび出金データを少なくとも含む取引データにおける予定日または期日を取得する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記仕訳データ生成手段は、諸口が発生しないように前記仕訳データを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
経営分析結果を出力する経営分析手段をさらに有する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を生成する資金繰りデータ生成ステップと、
前記資金繰りデータに基づいて、仕訳データを生成する仕訳データ生成ステップと、
を有する情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を生成する資金繰りデータ生成ステップと、
前記資金繰りデータに基づいて、仕訳データを生成する仕訳データ生成ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会社法および法人税法において、貸借対照表および損益計算書等の作成が義務付けられているが、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)は計算書類に含まれておらず、あくまで個々の会社の任意作成となっている。現状、様々な会計ソフトウェア(例えば、特許文献1)が存在するが、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)と連動した使い勝手のよい会計ソフトウェアは出回っていない状況である。そのため、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を新たに作成するとなると、表計算ソフトウェア等を使用するなど、そのための作業に別途時間を要することになり、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)が必要だと認識していたとしても、よほど必要性がない限り作成されていないケースが大半であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、これまでの会計ソフトウェアが発生主義に基づいているが、資金の状況が随時見える化できていなければ、経営に活かせるはずもなく、日々の資金および会計をみずから把握することで、日々の活動および将来の計画にも活かしていく経営を推進する必要がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を適切に生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を含む資金繰りデータを生成する資金繰りデータ生成手段と、
前記取得手段によって取得された情報に基づいて、仕訳データを生成する仕訳データ生成手段と、
を有する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を適切に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る売上データ、仕入データ、経費データの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る資金繰りデータの一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る仕訳データの一例を示す図である。
【
図8】既存ソフトウェアにおける諸口の発生を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る諸口が発生しない仕訳データの一例を示す図である。
【
図10】変形例に係るデータの流れを示す図である。
【
図11】変形例に係る経費データの一例を示す図である。
【
図12】変形例に係る仕訳データの一例を示す図である。
【
図13】変形例に係る処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
<概要>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置が適用される資金繰りデータ生成および仕訳データ生成の事例を示す図である。本実施形態では、情報処理装置は、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータ等に基づいて、資金繰りデータおよび仕訳データを生成する例について説明する。
【0010】
図1の例では、情報処理装置(資金繰りシステム)は、まず、ユーザから、売上データ、仕入データ、経費データ(人件費、諸経費等)の入力を受け付ける。売上データ、仕入データ、経費データは、別の会計ソフトウェア等で入力済の場合は、当該会計ソフトウェアからエクスポートされたデータを、情報処理装置にインポートしてもよい。
【0011】
また、情報処理装置は、所定の記憶部に設けられるデータベース(DB)から借入データ(借入金データ)および定時払いデータを取得する。
【0012】
そして、情報処理装置は、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータ等に基づいて、資金繰りデータを生成する。資金繰りデータは、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)の生成に用いられる。
【0013】
さらに、情報処理装置は、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータ等に基づいて、仕訳データを生成する。本実施形態では、当該仕訳データの生成において、諸口が発生しないように(資金の流れが一義的に決まるように)している。
【0014】
なお、情報処理装置は、生成した仕訳データを、テキスト形式(例えば、CSV形式)でエクスポートすることもできる。例えば、既存の会計ソフトウェアにインポートすることで、CSVデータを、元帳・試算表や資金繰り実績表を別途生成する際に用いることができる。なお、
図1において会計ソフトウェアから出力される資金繰り実績表は、本実施形態に係る資金繰りシステムにおいても同様の資金繰り実績表を出力することができる。しかし、本実施形態に係る資金繰りシステムにおいて出力される仕訳データに基づくことで、既存の会計ソフトウェアから出力される資金繰り実績表がより正確なものとすることができる。
【0015】
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0016】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0017】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0018】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0019】
<機能構成>
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0020】
情報処理装置1のCPU11においては、動作する際に、取得部31、資金繰りデータ生成部32、仕訳データ生成部33、出力部34等が機能する。
【0021】
≪取得部31≫
取得部31は、企業等の売上データ、仕入データ、経費データ(人件費、諸経費等)、借入データ、および定時払いデータ等を取得する。売上データ、仕入データの取得方法は特に限定されず、ユーザ操作によって入力されたデータを取得してもよく、既存の業務ソフトウェア等で入力済の場合は、当該業務ソフトウェアからエクスポートされたデータを、情報処理装置にインポートしてもよい。
また、取得部31は、入金データおよび出金データを少なくとも含む取引データにおける予定日(期日)を取得する。例えば、取得部31は、売上データ、仕入データ、経費データにおける期日として、「手形決済予定日」を取得する。「手形決済予定日」は、ユーザによって入力されてもよく、所定のマスタ(例えば、不図示の支払条件マスタ)に基づいて、自動で設定されたものであってもよい。また、取得部31が取得する取引データにおける予定日(期日)は、手形の期日に限定されず、売掛金、買掛金、未払金、未収入金等の、入金予定日(期日)または支払予定日(期日)が挙げられる。
【0022】
売上データ(売上入金データ)は、原則、ユーザによって入力されたデータである。例えば、得意先別に、12か月間の売上データを、請求書に基づいて入力されることが想定される。取得部31は取得した売上データを、売上DB41に格納するものとする。
【0023】
仕入データ(仕入支払データ)は、上記と同様、ユーザによって入力されたデータである。例えば、12か月分の仕入データを、仕入先から送付された請求書に基づいて入力されることが想定される。取得部31は取得した仕入データを、仕入DB42に格納するものとする。
【0024】
経費データは、人件費などの固定費や、諸経費に関するデータであって、例えば、毎月の人件費の予定または実績が入力されることが想定される。なお、会社毎に入力項目は異なるので所定のテンプレートを利用してもよい。取得部31は取得した経費データを、経費DB43に格納するものとする。
【0025】
借入データは、各種の借入金などに関するデータであって、本実施形態では、1年間の借入金の返済計画として予め借入DB44に登録されたデータから取得される。
【0026】
定時払いデータは、定期的に支払う「リース料」、「水道代」、「電気代」、「新聞代」、「地代家賃」、「賃借料」等のデータであって、本実施形態では、1年間の定時払い額を、予め、定時払いDB45に登録されたデータから取得される。
【0027】
≪資金繰りデータ生成部32≫
資金繰りデータ生成部32は、取得部31によって取得された各種データに基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を含む資金繰りデータを生成する。
本実施形態では、資金繰りデータとして、
図6(A)~(C)に示すデータを生成する例について説明する。資金繰りデータの生成における詳細は後述する。
なお、資金繰りデータ生成部32は、生成した資金繰りデータを資金繰りDB46に格納するものとする。また、資金繰りデータ生成部32は、資金繰りデータに基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)等のデータを生成してもよい。
【0028】
≪仕訳データ生成部33≫
仕訳データ生成部33は、取得部31によって取得された各種データに基づいて、仕訳データを生成する。ここで、仕訳データ生成部33は、発生主義ベースの仕訳データと、入出金ベースの仕訳データとのいずれかまたは両方の仕訳データであってもよい。
また、仕訳データ生成部33は、諸口が発生しないように前記仕訳データを生成する。
本実施形態では、仕訳データとして、
図7(A)~(C)に示すデータを生成する例について説明する。仕訳データの生成における詳細は後述する。
なお、仕訳データ生成部33は、生成した仕訳データを仕訳データDB47に格納するものとする。
【0029】
≪出力部34≫
出力部34は、上述の仕訳データを、例えば、csvデータとしてエクスポートする。
例えば、資金繰りデータに基づいて生成された仕訳データの一覧表を所定の表示部に表示させ、ユーザがエクスポートするために選択(一括選択も可)した仕訳データのみがcsvファイルとしてエクスポートされるとよい。
【0030】
<処理内容>
図4は、本実施形態に係る資金繰り処理の一例を示す図である。
【0031】
ステップS1において、取得部31は、企業等の売上データ、仕入データ、経費データを取得する。
【0032】
売上データの一例を
図5(A)に示す。
「区分」は、「予定」または「実績」を示す項目である。
「売上計上月」、「得意先」、「相手勘定科目」、「相手補助科目」、「勘定科目」、「補助科目」、「売上金額」、「相殺」、「入金額」は、ユーザによって入力された項目、または、他の業務ソフトウェアからエクスポートされたデータに基づく項目である。
「入金条件」、「現金」、「振込」、「手形」、「電子記録債権」、「入金予定月」、「入金予定日」、「手形期日」、「預金種類」、「取扱銀行」、「支店名」、「口座番号」、「現金」、「振込」、「手形」、「電子記録債権」、「計」、「入金予定日」、「手形決済予定日」、「割引日」は、本実施形態では、所定のマスタ(例えば、取引先マスタ、入金条件マスタ等)に基づいて自動で設定される項目である。例えば、取得部31は、得意先マスタを参照して、「得意先」に対応する入金条件コードを抽出する、そして、取得部31は、入金条件マスタを参照して、当該入金条件コードに対応する「入金条件」等の内容を取得する。そして、取得部31は、取得した各内容に応じて、
図5(A)に示すデータを売上データとして、売上DB41に格納する。
【0033】
仕入データの一例を
図5(B)に示す。
「区分」は上述と同様である。
「売上計上月」、「仕入先」、「相手勘定科目」、「相手補助科目」、「勘定科目」、「補助科目」、「仕入金額」、「相殺」、「出金額」は、上述と同様に、ユーザによって入力された項目、または、他の業務ソフトウェアからエクスポートされたデータに基づく項目である。
「出金条件」、「現金」、「振込」、「手形」、「電子記録債務」、「出金予定月」、「出金予定日」、「手形期日」、「預金種類」、「取扱銀行」、「支店名」、「口座番号」、「現金」、「振込」、「手形」、「電子記録債権」、「計」、「出金予定日」、「手形決済予定日」、「割引日」は、本実施形態では、所定のマスタ(例えば、取引先マスタ、出金条件マスタ等)に基づいて自動で設定される項目である。なお、所定のマスタに基づく処理の詳細は、上述と同様であるため説明を省略する。
【0034】
経費データの一例を
図5(C)に示す。なお、経費データの各項目は、上述の仕入データと同様のため、説明は省略する。なお、経費データとしては、
図5(C)に示す経費データの他、
図11(A)~(C)を用いて後述するように、現金または預金で支払う経費データ(例えば、給与等)も含まれるものとする。
【0035】
ステップS2において、取得部31は、借入DB44、定時払いDB45を参照して、借入データ、定時払いデータを取得する。
【0036】
ステップS3において、資金繰りデータ生成部32は、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータ等に基づいて、資金繰りデータを生成する。
【0037】
図6(A)は、売上データに基づく資金繰りデータの一例を示す図である。資金繰りデータ生成部32は、上述の売上データに基づいて、
図6(A)に示す資金繰りデータ(売上)の各項目を設定する。
なお、売上データにおける、売上金額の1,000に対して、「振込」が0.7、「手形」が0.3となっているので、資金繰りデータ生成部32は、「売掛金」が700、「受取手形」が300になるようにレコード(行)を分けて、資金繰りデータが生成される。
また、相殺分(売掛金、支払手数料)も分けて、資金繰りデータが生成される。
【0038】
図6(B)は、仕入データに基づく資金繰りデータの一例を示す図である。資金繰りデータ生成部32は、上述の仕入データに基づいて、
図6(B)に示す資金繰りデータ(仕入)の各項目を設定する。なお、上述と同様に、仕入データの「振込」、「電子記録債務」に合わせて、また、相殺も分けて資金繰りデータが生成される。
【0039】
図6(C)は、経費データに基づく資金繰りデータの一例を示す図である。資金繰りデータ生成部32は、上述の仕入データに基づいて、
図6(C)に示す資金繰りデータ(経費)の各項目を設定する。なお、経費データについては、すべて「振込」の上、相殺も発生していないので、経費データに対応する1レコードの資金繰りデータが生成される。
【0040】
ステップS4において、仕訳データ生成部33は、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータ等に基づいて、仕訳データを生成する。
また、仕訳データ生成部33は、諸口が発生しないように、借方と貸方とが1対1に対応するように、仕訳データを生成する。
【0041】
図7(A)は、売上データに基づいて生成された仕訳データ(売上)の一例を示す図である。
図7(B)は、仕入データに基づいて生成された仕訳データ(仕入)の一例を示す図である。
図7(C)は、経費データに基づいて生成された仕訳データ(経費)の一例を示す図である。
【0042】
図8(A)、
図8(B)は、既存の会計ソフトウェアにおける諸口の発生を示す図である。
図8(A)に示すように、既存の会計ソフトウェアでは、N:Nの仕訳の場合、相手勘定は「諸口」として取り扱われてしまう。このような諸口が発生した仕訳からは、
図8(B)に示す資金繰り実績表が作成される。例えば、給料に関する仕訳であっても、「経常支出」の「その他経常支出」で集計されてしまう。
【0043】
図9(A)~(D)は、本実施形態に係る諸口が発生しない仕訳データの一例を示す図である。
本実施形態に係る資金繰りシステムでは、取得部31によって取得されたデータに基づいて、仕訳データ生成部33は、
図9(A)に示す仕訳データ、および
図9(B)に示す資金繰りデータが生成される。
また、仕訳データ生成部33は、当該資金繰りデータに基づいて、
図9(C)および
図9(D)に示す資金繰り表を生成する。本実施形態に係る資金繰りシステムでは、既存の会計ソフトウェアとは異なり、その他の区分で集計されず、「経常収支」の「人件費支払」の欄に正確に表示されることになる。
このように、仕訳データを生成する前の金額、取引先を資金繰りシステムで1から生成できるため、諸口が発生しないように、仕訳データが生成される。
これにより、本実施形態に係る資金繰りシステムの場合、現金預金勘定を通すため、「諸口」は発生せず、正確な資金繰り実績表を生成することができる。
【0044】
ステップS5において、出力部34は、仕訳データ生成部33によって生成された仕訳データを、csvデータとしてエクスポートする。
【0045】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を適切に生成することができる。
また、本実施形態では、予定日または期日の入力を受け付けることで、入金予定金額、または支払予定金額を適切に管理することができる。
また、本実施形態によれば、諸口が発生しないようにしているため、資金繰り実績を正確に生成することができる。
上述のように、会計ソフトウェアにおいて、入金条件、支払条件を考慮して、資金繰りデータおよび仕訳データを作成することにより、より正確な資金繰りデータ等を作成することができる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、売上データ、仕入データ、経費データ(未払いがある場合)に基づいて、仕訳データを生成する例について説明したが、発生主義ベースの仕訳データを生成することもできる。例えば、売上データを入力することによって、下記のような発生主義ベースの仕訳データを生成することができる。
(借方)売掛金 xx(貸方)売上 xx
なお、上述の実施形態では、経費データにおいて、未払金の例について説明したが、例えば、給与等の支払いにおいて、現金または預金で給与等の経費を支払う場合は、支払いのタイミングで(実際に資金が動いたタイミングで)仕訳データを生成することもできる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0048】
(変形例)
上述の実施形態では、資金繰りシステムにおいて生成された仕訳データを、既存の会計ソフトウェアに連携する例について説明したが、既存の会計ソフトウェアにおいて生成された仕訳データを、資金繰りシステムに連携してもよい。
図10は、変形例に係るデータの流れを示す図である。
図10に示すように、既存の会計ソフトウェアにおいて生成された仕訳データを、資金繰りシステムに取り込んで(インポートして)、当該仕訳データにおける借方・貸方の補助科目、および入金条件マスタ(または支払条件マスタ)に基づいて資金繰りデータを生成してもよい。
この場合、取得部31は、既存の会計ソフトウェアから連携された仕訳データを取得する。なお、資金繰りシステムは、上述の実施形態における仕訳データ生成部33を含まない構成としてもよいことになる。
このように、資金繰りシステムと、既存の会計ソフトウェアとは、双方向に仕訳データをやり取りすることも想定される。これにより、既存の会計ソフトウェアを用いていたユーザは、当該会計ソフトウェアのデータを資金繰りシステムに連携するのみで、正確な資金繰りデータを把握することができる。
【0049】
上述の例では、経費データの例として、発生主義ベースのデータを用いて説明したが、入出金ベースのデータであってもよい。
図11(A)~(C)は、変形例に係る経費データの一例を示す図である。
図11(A)に示すように、入出金ベースの経費データが画面入力される。資金繰りデータ生成部32は、画面入力された経費データに基づいて、
図11(B)に示す資金繰りデータを生成する。そして、仕訳データ生成部33は、
図11(C)に示す仕訳データを生成する。
【0050】
なお、既存の会計ソフトウェアにおいて生成された仕訳データを、資金繰りシステムに連携する場合に、諸口が発生しないように変換を行うとよい。
例えば、既存の会計ソフトウェアから、
図12(A)に示す仕訳データを取得したとすると、資金繰りシステムでは、諸口が発生しないように、相手勘定科目に預金を通すよう変換するとよい(
図12(B))。
【0051】
なお、既存の会計ソフトウェアにおいて生成された仕訳データを、資金繰りシステムに連携する場合の処理の一例は、
図13に示すとおり、資金繰りシステムは、会計ソフトウェアから仕訳データを取得(S11)すると、入金条件マスタ、支払条件マスタを参照(S12)して、資金繰りデータを生成(S13)する。
【0052】
上述の例において、資金繰りシステムは、経営分析結果を出力する経営分析手段をさらに有していてもよい。経営分析結果は、経営計画書や、MQ戦略経営による分析結果が出力されるとよい。ここで、MQ戦略経営は、単価、原価、粗利、数量等に基づいて、利益を可視化するために用いられる手法である。上述の実施形態において、単価、原価は、例えば、商品マスタにおける対応する内容から取得するとよい。また、粗利は、単価、原価に基づいて算出される。また、数量は、例えば、所定の入力画面(売上伝票を入力する画面)において、ユーザによって入力されるとよい。なお、経営分析結果として、MQ戦略経営に基づく表形式で出力されるとよい。
【0053】
(その他)
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、情報処理装置の機能ブロックを他の装置(サーバを含む)等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックを情報処理装置に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0054】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0055】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0056】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0057】
換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
(1)すなわち、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータ(定時払いデータ)を取得する取得手段(取得部31)と、前記取得手段によって取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を含む資金繰りデータを生成する資金繰りデータ生成手段(資金繰りデータ生成部32)と、前記取得手段によって取得された情報に基づいて、仕訳データを生成する仕訳データ生成手段(仕訳データ生成部33)と、を有する情報処理装置である。
これにより、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を適切に生成することができる。
【0058】
(2)また、本発明は、所定の会計ソフトウェアから、仕訳データを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を含む資金繰りデータを生成する資金繰りデータ生成手段と、を有する情報処理装置である。
【0059】
(3)また、前記取得手段は、入金データおよび出金データを少なくとも含む取引データにおける予定日または期日を取得するとよい。
これにより、入金予定金額、または支払予定金額を適切に管理することができる。
【0060】
(4)また、前記仕訳データ生成手段は、前記資金繰りデータに基づいて、諸口が発生しないように前記仕訳データを生成するとよい。
これにより、正確な資金繰り表(実績)を生成することができる。
【0061】
(5)また、経営分析結果を出力する経営分析手段をさらに有するとよい。
【0062】
(6)また、本発明は、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータを取得する取得ステップと、前記取得手段によって取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を生成する資金繰りデータ生成ステップと、前記資金繰りデータに基づいて、仕訳データを生成する仕訳データ生成ステップと、を有する情報処理装置の制御方法と捉えることもできる。
【0063】
(7)また、本発明は、売上データ、仕入データ、経費データ、借入データ、および定時払いデータを取得する取得ステップと、前記取得手段によって取得された情報、並びに所定の入金条件および所定の支払条件に基づいて、資金繰り実績表、資金繰り予定表、日繰り表(予定・実績)を生成する資金繰りデータ生成ステップと、前記資金繰りデータに基づいて、仕訳データを生成する仕訳データ生成ステップと、をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラムと捉えることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1:情報処理装置、11:CPU、18:記憶部、19:通信部
31:取得部、32:資金繰りデータ生成部、33:仕訳データ生成部、34:出力部
41:売上DB、42:仕入DB、43:経費DB、44:借入DB
45:定時払いDB、46:資金繰りDB、47:仕訳データDB