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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134056
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】携帯型充電端末
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240926BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20240926BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20240926BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240926BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20240926BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/70
H02J50/90
H02J50/10
H02J50/20
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044145
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】杉原 淳志
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】河村 知史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA10
5G503DA04
5G503GB08
5G503GB09
(57)【要約】
【課題】薄型化を可能とした携帯型充電端末を提供する。
【解決手段】携帯型充電端末10の筐体30は、充電側壁30aおよび受電側壁30bを備える。充電側壁30aには、2次電池16およびコイル20が対向して配置されている。受電側壁30bには、基板40が対向して配置されている。基板40には、外部からの電力を受電する受電アンテナ12が実装されている。受電アンテナ12が受電した電力は2次電池16に充電される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、蓄電装置と、充電インターフェースと、基板と、を備え、
前記筐体は、受電側壁および充電側壁を備え、
前記受電側壁および前記充電側壁は、前記筐体における互いに対向する2つの面を構成し、
前記充電インターフェースは、前記蓄電装置の電力を外部端末に供給するように構成され、
前記基板には、前記蓄電装置に供給するための電力を受電する受電アンテナが実装されており、
前記充電側壁に対向するようにして前記蓄電装置および前記充電インターフェースが配置されており、
前記受電側壁に前記受電アンテナが対向するようにして前記基板が配置されている携帯型充電端末。
【請求項2】
受電回路を備え、
前記受電回路は、前記受電アンテナからの電力を前記蓄電装置に充電するように構成されて且つ、前記基板に実装されている請求項1記載の携帯型充電端末。
【請求項3】
前記筐体のうちの前記受電側壁および前記充電側壁が構成する面は、長方形状を有し、
前記蓄電装置および前記充電インターフェースは、前記充電側壁が構成する面の長手方向に沿って配置されており、
前記受電アンテナは、前記基板における前記蓄電装置が垂直投影される領域と前記基板における前記充電インターフェースが垂直投影される領域とのうちの前記充電インターフェースが垂直投影される領域に寄せて配置されている請求項1記載の携帯型充電端末。
【請求項4】
前記充電インターフェースは、非接触充電用のコイルであり、
前記蓄電装置および前記充電インターフェースと、前記基板との間に、電磁シールド材を備える請求項1記載の携帯型充電端末。
【請求項5】
前記基板のうちの前記受電アンテナが形成されている領域と前記電磁シールド材との距離が、前記基板のうちの前記受電アンテナの形成されていない領域と前記電磁シールド材との距離よりも大きい請求項4記載の携帯型充電端末。
【請求項6】
前記蓄電装置と前記電磁シールド材とが接触している請求項4記載の携帯型充電端末。
【請求項7】
前記電磁シールド材には、開口部が形成されており、
前記基板に実装されている所定の部品が前記電磁シールド材の前記開口部に挿入されている請求項4記載の携帯型充電端末。
【請求項8】
前記基板は、互いに逆側の面である第1主面および第2主面を有し、
前記第1主面は、前記受電側壁に対向する面であり、
前記基板のうちの前記第1主面には、前記受電アンテナが実装されており、
前記受電回路の少なくとも一部は、前記第2主面に実装されている請求項2記載の携帯型充電端末。
【請求項9】
前記受電回路は、前記受電アンテナが受電した交流電力を整流する整流回路と、前記整流回路の出力を前記蓄電装置に充電する充電回路とを含み、
前記整流回路は、前記第2主面のうちの前記受電アンテナが垂直投影された領域に実装されている請求項8記載の携帯型充電端末。
【請求項10】
当該携帯型充電端末の外部と通信するための通信用アンテナを備え、
前記基板は、長方形状であり、
前記通信用アンテナは、前記基板の長手方向のうちの前記受電アンテナが実装される側とは逆側の端部に寄せて実装されている請求項1記載の携帯型充電端末。
【請求項11】
前記基板は、互いに逆側の面である第1主面および第2主面を有し、
前記第1主面は、前記受電側壁に対向する面であり、
前記基板のうちの前記第1主面には、前記受電アンテナが実装されており、
前記基板に実装される部品のうち、前記基板から突出する量が最大の部品は、前記第2主面から突出している請求項10記載の携帯型充電端末。
【請求項12】
前記受電アンテナは、マイクロストリップアンテナであり、
前記基板には、回路部品が実装されている領域と前記受電アンテナが実装されている領域との間に前記受電アンテナのグランドが実装されている請求項1記載の携帯型充電端末。
【請求項13】
前記基板のうち前記受電アンテナが実装されている面に実装される前記受電アンテナ以外の部品の数よりも、前記基板のうちの前記受電アンテナが実装されている面とは逆側の面に実装される前記受電アンテナ以外の部品の数の方が多い請求項1記載の携帯型充電端末。
【請求項14】
前記充電インターフェースは、非接触充電のためのコイルであり、
受電回路と、非接触充電回路と、を備え、
前記受電回路は、前記受電アンテナからの電力を前記蓄電装置に充電するように構成され、
前記非接触充電回路は、前記蓄電装置の電力を前記充電インターフェースを介して外部に供給するように構成され、
前記基板には、前記受電回路と、前記非接触充電回路と、が実装されている請求項1記載の携帯型充電端末。
【請求項15】
前記充電側壁に対向するようにして、前記蓄電装置の電力の供給対象に当該携帯型充電端末を固定するための磁石が設けられており、
前記筐体のうち前記充電側壁を構成する部分の厚さよりも前記受電側壁を構成する部分の厚さの方が厚い請求項1記載の携帯型充電端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型充電端末に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、乾電池型の無線充電式電池装置が記載されている(図6B)。この無線充電式電池装置は、外部から送信される電力を受電することによって、内部の2次電池を充電する。
【0003】
ところで、たとえば多機能携帯端末等は、内部に専用のバッテリを備えるものが主流であることから、上記の乾電池型の無線充電式電池装置の適用は難しい。一方、多機能携帯端末を、建物内のコンセント等を利用することなく充電するニーズがある。
【0004】
そこで従来、携帯型充電端末が実用化されている。携帯型充電端末は、内部にバッテリを備えて且つ、バッテリの電力を多機能携帯端末に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6725531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記携帯型充電端末は、多機能携帯端末に十分な電力を供給可能であることが望まれる。そして、携帯型充電端末が多機能携帯端末に十分な電力を供給するためには、内部に大きな2次電池を備える必要が生じる。そのため、携帯型充電端末が大型化する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
[態様1]筐体と、蓄電装置と、充電インターフェースと、基板と、を備え、前記筐体は、受電側壁および充電側壁を備え、前記受電側壁および前記充電側壁は、前記筐体における互いに対向する2つの面を構成し、前記充電インターフェースは、前記蓄電装置の電力を外部端末に供給するように構成され、前記基板には、前記蓄電装置に供給するための電力を受電する受電アンテナが実装されており、前記充電側壁に対向するようにして前記蓄電装置および前記充電インターフェースが配置されており、前記受電側壁に前記受電アンテナが対向するようにして前記基板が配置されている携帯型充電端末。
【0008】
上記構成では、受電アンテナが受電した電力が蓄電装置に充電される。そのため、蓄電装置の容量を大きくしなくても、外部に十分な電力を供給することが可能となる。そして、筐体のうちの充電側壁に対向するようにして小型化された蓄電装置および充電インターフェースが配置される。これにより、蓄電装置および充電インターフェースを重ねて配置する場合と比較して、携帯型充電端末を薄型化することができる。
【0009】
[態様2]受電回路を備え、前記受電回路は、前記受電アンテナからの電力を前記蓄電装置に充電するように構成されて且つ、前記基板に実装されている態様1記載の携帯型充電端末。
【0010】
上記構成では、受電アンテナを実装する基板と受電回路を実装する基板とを同一の基板とする。そのため、受電アンテナを実装する基板と受電回路を実装する基板とを互いに異なる基板とする場合と比較して、携帯型充電端末を小型化することが容易となる。
【0011】
[態様3]前記筐体のうちの前記受電側壁および前記充電側壁が構成する面は、長方形状を有し、前記蓄電装置および前記充電インターフェースは、前記充電側壁が構成する面の長手方向に沿って配置されており、前記受電アンテナは、前記基板における前記蓄電装置が垂直投影される領域と前記基板における前記充電インターフェースが垂直投影される領域とのうちの前記充電インターフェースが垂直投影される領域に寄せて配置されている上記1または2記載の携帯型充電端末である。
【0012】
上記構成では、受電アンテナが、筐体の長手方向における一方向に寄せて配置されている。これにより、受電アンテナが人の手によって囲まれることを抑制できる。特に、充電インターフェースが存在する部分は、把持される可能性が低い。そのため、基板のうちの充電インターフェースが垂直投影された領域側に寄せて受電アンテナを配置することにより、受電アンテナが手によって囲まれることをいっそう抑制できる。したがって、外部から供給される電力が受電アンテナに到達する前に手を通過することによって減衰することを抑制できる。
【0013】
[態様4]前記充電インターフェースは、非接触充電用のコイルであり、前記蓄電装置および前記充電インターフェースと、前記基板との間に、電磁シールド材を備える上記1~3のいずれか1つに記載の携帯型充電端末である。
【0014】
上記構成では、充電インターフェースによる電磁場が基板に影響することを電磁シールド材によって抑制できる。
[態様5]前記基板のうちの前記受電アンテナが形成されている領域と前記電磁シールド材との距離が、前記基板のうちの前記受電アンテナの形成されていない領域と前記電磁シールド材との距離よりも大きい上記4記載の携帯型充電端末である。
【0015】
上記構成では、基板と電磁シールド材との距離を一律とする場合と比較して、筐体を薄型化しつつも受電アンテナと電磁シールド材との距離を極力大きくすることができる。そのため、筐体を薄型化しつつも受電アンテナの性能を高めやすい。
【0016】
[態様6]前記蓄電装置と前記電磁シールド材とが接触している請求項4または5記載の携帯型充電端末である。
上記構成では、蓄電装置から発生した熱を電磁シールド材を介して効率的に放熱させることができる。
【0017】
[態様7]前記電磁シールド材には、開口部が形成されており、前記基板に実装されている所定の部品が前記電磁シールド材の前記開口部に挿入されている上記4~6のいずれか1つに記載の携帯型充電端末である。
【0018】
上記構成では、所定の部品に電磁シールド材を対向させる場合と比較して、筐体を薄型化できる。したがって、筐体の薄型化と、電磁シールド材による電磁シールド性能との好適な折衷を図ることができる。
【0019】
[態様8]前記基板は、互いに逆側の面である第1主面および第2主面を有し、前記第1主面は、前記受電側壁に対向する面であり、前記基板のうちの前記第1主面には、前記受電アンテナが実装されており、受電回路を備え、前記受電回路は、前記受電アンテナが受電した電力を前記蓄電装置に充電するように構成されて且つ、前記基板に実装され、前記受電回路の少なくとも一部は、前記第2主面に実装されている。
【0020】
上記構成では、受電回路の上記少なくとも一部を第1主面側に配置する場合と比較して、少なくとも一部を筐体のより内側に配置できる。そのため、受電回路の上記少なくとも一部を第1主面側に配置する場合と比較して、少なくとも一部を外部の衝撃から保護することができる。
【0021】
[態様9]前記受電回路は、前記受電アンテナが受電した交流電力を整流する整流回路と、前記整流回路の出力を前記蓄電装置に充電する充電回路とを含み、前記整流回路は、前記第2主面のうちの前記受電アンテナが垂直投影された領域に実装されている上記8記載の携帯型充電端末である。
【0022】
受電アンテナが受電した交流電力は整流回路によって直流電力に変換される。そのため、受電アンテナと整流回路とを基板の互いに逆の領域に配置することにより、受電アンテナと整流回路との間の電気経路を小さくすることができる。
【0023】
[態様10]当該携帯型充電端末の外部と通信するための通信用アンテナを備え、前記基板は、長方形状であり、前記通信用アンテナは、前記基板の長手方向のうちの前記受電アンテナが実装される側とは逆側の端部に寄せて実装されている上記1~9のいずれか1つに記載の携帯型充電端末である。
【0024】
上記構成では、通信用アンテナを基板の長手方向の端部に寄せて配置することにより、長手方向の中央部に配置する場合と比較して、人の手で通信用アンテナの周囲が覆われることを抑制できる。そのため、通信用アンテナが受信する電波の強度が過度に小さくなることを抑制できる。
【0025】
[態様11]前記基板は、互いに逆側の面である第1主面および第2主面を有し、前記第1主面は、前記受電側壁に対向する面であり、前記基板のうちの前記第1主面には、前記受電アンテナが実装されており、前記基板に実装される部品のうち、前記基板から突出する量が最大の部品は、前記第2主面から突出している上記1~10のいずれか1つに記載の携帯型充電端末である。
【0026】
受電アンテナや、受電アンテナのグランドが基板から突出する量は小さい。したがって、第1主面に受電アンテナが形成されることは、第1主面に、突出量が小さい部材が実装されることを意味する。そして、突出量が最大の部品を第2主面から突出されることにより、第1主面と受電側壁との距離を小さくすることが可能となる。そのため、携帯型充電端末を薄型化しつつも、基板と充電側壁との間のスペースを大きくすることができる。
【0027】
[態様12]前記受電アンテナは、マイクロストリップアンテナであり、前記基板には、回路部品が実装されている領域と前記受電アンテナが実装されている領域との間に前記受電アンテナのグランドが実装されている上記1~11のいずれか1つに記載の携帯型充電端末である。
【0028】
上記構成では、回路部品が実装されている領域と受電アンテナが実装されている領域との間に受電アンテナのグランドを実装する。これにより、受電アンテナによる受電効率を高めることができる。
【0029】
[態様13]前記基板のうち前記受電アンテナが実装されている面に実装される前記受電アンテナ以外の部品の数よりも、前記基板のうちの前記受電アンテナが実装されている面とは逆側の面に実装される前記受電アンテナ以外の部品の数の方が多い上記1~12のいずれか1つに記載の携帯型充電端末である。
【0030】
上記構成では、受電アンテナが実装されている面に実装される受電アンテナ以外の部品の数が、逆側の面に実装される受電アンテナ以外の部品の数よりも多い場合と比較して、受電アンテナが実装されている面にスペースのゆとりを持たせることができる。そのため、受電アンテナが実装されている面に受電アンテナのグランドのためのスペースを確保できる。
【0031】
[態様14]前記充電インターフェースは、非接触充電のためのコイルであり、受電回路と、非接触充電回路と、を備え、前記受電回路は、前記受電アンテナからの電力を前記蓄電装置に充電するように構成され、前記非接触充電回路は、前記蓄電装置の電力を前記充電インターフェースを介して外部に供給するように構成され、前記基板には、前記受電回路と、前記非接触充電回路と、が実装されている上記1~13のいずれか1つに記載の携帯型充電端末である。
【0032】
上記構成では、受電回路と非接触充電回路とが同一の基板に実装されるために、それらを互いに異なる基板に実装する場合と比較して、携帯型充電端末が備える基板の数を軽減することが可能となる。そのため、受電回路と非接触充電回路とを各別の基板に実装する場合よりもコストを削減することが可能となる。
【0033】
[態様15]前記充電側壁に対向するようにして、前記蓄電装置の電力の供給対象に当該携帯型充電端末を固定するための磁石が設けられており、前記筐体のうち前記充電側壁を構成する部分の厚さよりも前記受電側壁を構成する部分の厚さの方が厚い上記1~14のいずれか1つに記載の携帯型充電端末である。
【0034】
上記構成では、充電側壁の厚さを受電側壁の厚さよりも薄くするため、充電側壁の厚さを受電側壁の厚さとする場合と比較して、磁石によって携帯型充電端末を電力の供給対象により確実に固定することができる。また、受電側壁の厚さを充電側壁の厚さよりも厚くすることにより、受電側壁の厚さを充電側壁の厚さ以下とする場合と比較して、基板の実装部品をより確実に保護することができる。
【発明の効果】
【0035】
携帯型充電端末を薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の実施形態にかかる携帯型充電端末の構成を示すブロック図である。
図2】同実施形態にかかる携帯型充電端末の断面構成を示す断面図である。
図3】同実施形態にかかる携帯型充電端末の筐体内部の平面図である。
図4】同実施形態にかかる携帯型充電端末の筐体内部の平面図である。
図5】同実施形態にかかる携帯型充電端末の使用方法を例示する斜視図である。
図6】第2の実施形態にかかる携帯型充電端末の断面構成を示す断面図である。
図7】同実施形態にかかる携帯型充電端末の筐体内部の平面図である。
図8】第3の実施形態にかかる携帯型充電端末の断面構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
「携帯型充電端末の機能単位」
図1に示す携帯型充電端末10は、多機能携帯電話等の多機能携帯端末に非接触で電力を供給する携帯型のバッテリである。
【0038】
携帯型充電端末10は、受電アンテナ12によって、携帯型充電端末10の外部から供給される電力を受電する。詳しくは、外部からの電力は、マイクロ波である。ここで用いるマイクロ波の周波数帯は、5.7~5.8GHzであってもよい。具体的には、ここで用いるマイクロ波の周波数帯は、たとえば5.75GHzであってもよい。また、ここで用いるマイクロ波の周波数帯は、たとえば5.8GHzであってもよい。なお、ここで用いるマイクロ波の周波数帯は、24GHz帯であってもよい。受電アンテナ12によって受電された電力は、受電回路14に入力される。受電回路14は、整流回路14a、充電回路14b、充電制御回路14cおよび通信部14dを備えている。
【0039】
整流回路14aは、受電アンテナ12によって受電された交流電力を、直流電力に変換する。充電回路14bは、整流回路14aから出力される直流電力を2次電池16に充電する。充電制御回路14cは、2次電池16への充電量を制御すべく、充電回路14bを操作する。
【0040】
通信部14dは、通信用アンテナ22を介して携帯型充電端末10の外部と通信する。通信部14dは、一例として、携帯型充電端末10の識別信号を通信用アンテナ22を介して外部に送信する。これにより、携帯型充電端末10は、ビーコンとなる。識別信号を送信することにより、外部の電力供給装置が携帯型充電端末10の存在を検知することが可能となる。同電力供給装置は、携帯型充電端末10の存在を検知することを条件に、無線で電力を送信する。通信部14dは、さらに、電力供給装置と、電力の供給量に関する情報をやり取りするように構成されていてもよい。
【0041】
2次電池16は、一例としてリチウムイオン2次電池である。
非接触充電回路18は、2次電池16の電力をコイル20を介して外部の機器に供給する電磁誘導方式の充電回路である。非接触充電回路18は、電力変換回路18aおよび非接触制御回路18bを備える。電力変換回路18aは、2次電池16の電力をコイル20へと供給する回路である。非接触制御回路18bは、電力変換回路18aを操作することによって外部機器への電力の供給量を制御する。
【0042】
「携帯型充電端末のレイアウト」
図2に、携帯型充電端末10の断面構成を示す。
携帯型充電端末10は、筐体30を備える。筐体30は、一例として樹脂製である。筐体30は、一例として、直方体形状を有する。図2には、筐体30の6個の面のうちの、面積が最大となる2つの面に直交する方向に平行にz軸を定義している。それら2つの面は、互いに対向している。それら2つの面は、x軸およびy軸に平行となっている。
【0043】
上記2つの面は、充電側壁30aおよび受電側壁30bによって構成されている。充電側壁30aは、携帯型充電端末10のうちのz軸の負側の面を構成している。充電側壁30aに対向するようにして、2次電池16、コイル20、および磁石70が配置されている。磁石70は、携帯型充電端末10を、電力の供給先であるスマートフォンなどの多機能携帯電話に固定するためのものである。
【0044】
図3に、筐体30の内部を、z軸の負の方向から見た平面構成を示す。図3に示すように、2次電池16と、コイル20および磁石70とは、筐体30の長手方向であるx軸方向に沿って配置されている。磁石70は、コイル20の外周を囲むようにして配置されている。
【0045】
図2に戻り、受電側壁30bに対向するようにして、基板40が配置されている。基板40のうちの受電側壁30bに対向する側の面である第1主面40aには、受電アンテナ12が実装されている。
【0046】
図4に、基板40を、第1主面40a側から見た平面図を示す。図4に示すように、基板40には、複数の受電アンテナ12が実装されている。受電アンテナ12は、マイクロストリップアンテナである。詳しくは、受電アンテナ12は、基板40の長手方向であるx軸方向において第1主面40aを2分割した一方の領域に実装されている。第1主面40aを2分割した他方の領域は、GND領域72である。GND領域72は、受電アンテナ12のグランドが実装されている領域である。
【0047】
図2に戻り、基板40のうちの第1主面40aとは逆の面である第2主面40bには、整流回路14aが実装されている。詳しくは、受電アンテナ12を第2主面40bに垂直投影した領域内に整流回路14aが実装されている。換言すれば、整流回路14aが実装されている領域のx軸成分およびy軸成分の集合は、受電アンテナ12が実装されている領域のx軸成分およびy軸成分の集合に包含される。
【0048】
基板40の第2主面40b側には、さらに、充電回路14b、充電制御回路14c、通信部14d、および通信用アンテナ22が実装されている。充電回路14b、充電制御回路14c、通信部14d、および通信用アンテナ22が実装されている領域と、整流回路14aが実装されている領域とは、基板40の長手方向であるx軸方向において、基板40を2分割する。
【0049】
第2主面40bは、充電用基板50に対向している。充電用基板50は、長手方向であるx軸方向の長さが基板40よりも短い。充電用基板50は、基板40のうちの整流回路14aが実装されている領域に対向して配置されている。充電用基板50には、電力変換回路18aおよび非接触制御回路18bが実装されている。
【0050】
筐体30内において、基板40および充電用基板50が収容されている領域と、2次電池、コイル20および磁石70が収容されている領域とは、電磁シールド材60によって分離されている。
【0051】
電磁シールド材60は、金属製である。図3に示すように、電磁シールド材60を、基板40に垂直投影した領域は、基板40に包含されている。図2に戻り、電磁シールド材60は、2次電池16に対向する領域と、コイル20および磁石70に対向する領域との境界付近において、屈曲部60aを有する。屈曲部60aは、電磁シールド材60の面に直交する方向に延びる。これにより、屈曲部60aは、2次電池16に対向する領域と、コイル20および磁石70に対向する領域とで、z軸方向に段差を生じさせる。図2に示すように、電磁シールド材60において、2次電池16に対向する領域は、コイル20および磁石70に対向する領域よりもz軸の正の方向に位置する。これは、2次電池16のz軸方向の長さである厚みが、コイル20および磁石70のz軸方向の長さである厚みよりも厚いことを利用している。これにより、基板40と電磁シールド材60との距離は、電磁シールド材60が充電用基板50に対向する領域の方が、電磁シールド材60が充電用基板50に対向していない領域よりも大きくなる。
【0052】
「使用例」
図5に示すように、携帯型充電端末10は、多機能携帯端末100に非接触で電力を供給することにより、多機能携帯端末100を非接触で充電する。ここで、携帯型充電端末10の充電側壁30aが多機能携帯端末100に対向して配置される。なお、図5には、携帯型充電端末10と多機能携帯端末100とが離れている状態を示しているが、実際に多機能携帯端末100を充電する際には、携帯型充電端末10の充電側壁30aを多機能携帯端末100に接触させることが望ましい。
【0053】
具体的には、磁石70によって携帯型充電端末10を多機能携帯端末100に吸着させた状態において、コイル20と多機能携帯端末100の受電コイルとの位置合わせを行うことが望ましい。これにより、コイル20から多機能携帯端末100への電力の伝送効率を高めることができる。
【0054】
なお、こうした状態において、人の手は、多機能携帯端末100の長手方向の端部側にかかる傾向がある。一方、受電アンテナ12は、携帯型充電端末10の長手方向においてコイル20側に寄せて配置されている。そのため、受電アンテナ12は、多機能携帯端末100の中央よりに配置されることとなる。したがって、受電アンテナ12の周囲が人の手によって覆われることが抑制される。
【0055】
「本実施形態の作用および効果」
携帯型充電端末10は、多機能携帯端末100等を充電するための端末である。そのため、多機能携帯端末100に十分な電力を供給可能とすることが要求される。この要求に応じるべく、2次電池16の容量を大きくする場合には、携帯型充電端末10自体が大型化する。
【0056】
そこで、携帯型充電端末10は、受電アンテナ12および受電回路14を備える。これにより、外部から供給される電力を2次電池16に充電できる。したがって、2次電池16の容量を小さくしても、多機能携帯端末100に十分な電力を供給可能とすることができる。そのため、携帯型充電端末10を小型化することができる。特に、携帯型充電端末10では、その長手方向に沿って、2次電池16およびコイル20を並べて配置する。これにより、2次電池16およびコイル20をz軸方向に並べて配置する場合と比較して、携帯型充電端末10を薄型化することができる。
【0057】
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下の作用および効果を奏する。
(1-1)磁石70を、コイル20側に寄せて配置した。磁石70およびコイル20は、いずれも2次電池16よりも薄いものを用いやすい。そのため、磁石70およびコイル20と、受電側壁30bとの距離を、2次電池16と受電側壁30bとの距離よりも大きくしやすい。そのため、受電アンテナ12が形成される領域における基板40と電磁シールド材60との距離を大きくしつつも、携帯型充電端末10を薄型化することができる。
【0058】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0059】
図6に、本実施形態にかかる携帯型充電端末10の断面構成を示す。なお、図6において、図2に示した部材に対応する部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図6に示すように、携帯型充電端末10は、充電用基板50を備えない。そして、電力変換回路18aおよび非接触制御回路18bは、いずれも基板40に実装されている。詳しくは、電力変換回路18aおよび非接触制御回路18bは、いずれも基板40のうちの第1主面40a側に実装されている。また、本実施形態では、通信用アンテナ22も、基板40のうちの第1主面40a側に実装されている。
【0060】
図7に、基板40を第1主面40a側から見た平面構成を示す。図7に示すように、第1主面40aは、基板40の長手方向であるx軸方向において3つの領域に分割されている。第1の領域には、受電アンテナ12が実装されている。第2の領域は、GND領域72である。第3の領域は、電力変換回路18a、非接触制御回路18b、および通信用アンテナ22が実装されている領域である。図7に示すように、GND領域72は、x軸方向において、第1の領域と第3の領域とに挟まれている。
【0061】
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0062】
図8に、本実施形態にかかる携帯型充電端末10の断面構成を示す。なお、図8において、図2に示した部材に対応する部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図8に示すように、携帯型充電端末10は、充電用基板50を備えない。そして、電力変換回路18aおよび非接触制御回路18bは、いずれも基板40に実装されている。
【0063】
基板40の第2主面40b側には、大電力部品74が実装されている。一方、電磁シールド材60は、開口部60bを有している。開口部60bは、基板40に平行な面による大電力部品74の断面よりもわずかに大きい。そして、大電力部品74の先端は、開口部60bに挿入されている。
【0064】
また、電磁シールド材60は、2次電池16に接触している。詳しくは、電磁シールド材60は、一例として、2次電池16のうちの電磁シールド材60と対向する面の全面に接触している。なお、2次電池16のうち電磁シールド材60と対向する面と電磁シールド材60とは絶縁されている。これは、たとえば、2次電池16のうち電磁シールド材60と対向する面を絶縁部材によって形成することによって実現できる。
【0065】
また、筐体30のうちの受電側壁30bの厚さを、筐体30のうちの充電側壁30aの厚さよりも厚くしている。ここで、厚さは、受電側壁30bおよび充電側壁30aが形成する面に直交する方向の長さである。換言すれば、厚さは、z軸方向の長さである。
【0066】
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した態様の番号毎に、対応関係を示している。[1]蓄電装置は、2次電池16に対応する。充電インターフェースは、コイル20に対応する。[2]基板40に、整流回路14a、充電回路14b、充電制御回路14cおよび通信部14dが実装されていることに対応する。[3]長手方向は、x軸方向に対応する。基板における蓄電装置が垂直投影される領域は、基板40のうちのx軸座標成分およびy軸座標成分が2次電池16のx軸座標成分およびy軸座標成分に等しい領域に対応する。基板における充電インターフェースが垂直投影される領域は、基板40のうちのx軸座標成分およびy軸座標成分がコイル20のx軸座標成分およびy軸座標成分に等しい領域に対応する。[4]z軸方向において、2次電池16およびコイル20と基板40との間に電磁シールド材60が設けられていることに対応する。[5]図2等において、屈曲部60aよりもx軸の正方向側の電磁シールド材60のz軸座標が、屈曲部60aよりもx軸の負の方向側の電磁シールド材60のz軸座標よりも小さいことに対応する。[6]図8に対応する。[7]所定の部品は、大電力部品74に対応する。[8,9]整流回路14aが、受電アンテナ12を第2主面40bに垂直投影した領域に実装されていることに対応する。[10]長手方向は、x軸方向に対応する。「逆側の端部」は、基板40のうちのx軸の負方向側の端部に対応する。[11]最大の部品は、図2および図6における充電回路14bと、図8における大電力部品74と、に対応する。[12]グランドは、GND領域72に対応する。[13]図2および図8において、受電アンテナ12以外の電子部品が第2主面40b側に実装されていることに対応する。[14]図6および図8に対応する。[15]図8に対応する。
【0067】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0068】
「蓄電装置について」
・2次電池としては、リチウムイオン2次電池に限らない。2次電池は、たとえば、ニッケル水素2次電池であってもよい。蓄電装置が2次電池であることは必須ではない。蓄電装置は、たとえばキャパシタであってもよい。
【0069】
「充電インターフェースについて」
・充電インターフェースとしては、コイル20に限らない。たとえば、携帯型充電端末10を、多機能携帯端末100に有線で電力を供給する端末として且つ、充電インターフェースを、有線で電力を供給するための装置としてもよい。また、充電インターフェースを、コイル20と、有線で電力を供給するための装置と、の双方としてもよい。その場合、たとえば、有線で電力を供給するための装置が基板に実装される回路である場合、充電側壁30aに対向して配置される部材は、充電インターフェースのうちのコイル20のみであってもよい。
【0070】
「通信用アンテナについて」
図6には、通信用アンテナ22を第1主面40aに実装したが、通信用アンテナ22を第2主面40bに実装してもよい。
【0071】
図2および図8には、通信用アンテナ22を第2主面40bに実装したが、通信用アンテナ22を第1主面40aに実装してもよい。
図2において、通信用アンテナ22を第2主面40bに実装する代わりに、充電用基板50に実装してもよい。
【0072】
・通信用アンテナ22の用途としては、携帯型充電端末10をビーコンとして機能させる用途に限らない。
「充電用基板について」
図2においては、充電用基板50のうちの基板40に対向する面に、電力変換回路18aおよび非接触制御回路18bを実装する例を示したが、これに限らない。たとえば、電力変換回路18aおよび非接触制御回路18bの2つのうちの少なくとも1つを、充電用基板50のうちの基板40に対向する面とは逆側の面に実装してもよい。
【0073】
・充電用基板50の長手方向の長さが、基板40の長手方向の長さよりも短いことは必須ではない。たとえば2次電池16として、厚さがより薄いものを用いて、電磁シールド材60に屈曲部60aを設けることなく、充電用基板50と電磁シールド材60とを対向して配置してもよい。その場合、基板40は、x軸の負の方向側の端部側においても、充電用基板50を介して電磁シールド材60と対向する。
【0074】
「電磁シールド材60について」
図3には、電磁シールド材60のx軸座標成分およびy軸座標成分が、基板40のx軸座標成分およびy軸座標成分に包含される例を示したが、これに限らない。たとえば、基板40のx軸座標成分およびy軸座標成分が、電磁シールド材60のx軸座標成分およびy軸座標成分に包含されてもよい。
【0075】
「受電側壁、充電側壁について」
・受電側壁30bおよび充電側壁30aのうちのx軸およびy軸に平行な面が長方形状であることは必須ではない。たとえば正方形状であってもよい。
【0076】
図2および図6において、図8に例示したように、受電側壁30bの厚さを、充電側壁30aの厚さよりも厚くしてもよい。
図8等において、受電側壁30bの厚さを、充電側壁30aの厚さ以下としてもよい。
【0077】
「受電回路14のレイアウトについて」
・受電アンテナ12を第2主面40bに垂直投影した領域に実装する部材としては、整流回路14aに限らない。垂直投影した領域に実装する部材は、たとえば充電回路14bであってもよい。またたとえば、垂直投影した領域に実装する部材は、整流回路14aおよび充電回路14bの双方であってもよい。
【0078】
「受電アンテナ12のレイアウトについて」
・受電アンテナ12をx軸の正方向に寄せて実装することは必須ではない。たとえば、基板40の中央部に実装してもよい。
【0079】
「磁石について」
・磁石を、充電側壁30aに対向して配置することは必須ではない。たとえば、多機能携帯端末100への電力の供給を有線で行う構成として且つ、磁石を受電側壁30bに対向して配置してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…携帯型充電端末
12…受電アンテナ
16…2次電池
18…非接触充電回路
20…コイル
22…通信用アンテナ
30…筐体
30a…充電側壁
30b…受電側壁
40…基板
40a…第1主面
40b…第2主面
50…充電用基板
60…電磁シールド材
60a…屈曲部
60b…開口部
70…磁石
72…GND領域
74…大電力部品
100…多機能携帯端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8