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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134057
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
G01R15/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044146
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 大佐
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA05
2G025AB02
2G025AC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電流センサの全体のサイズを小型化しつつ、簡易な構成で測定精度を向上させる。
【解決手段】電流センサは、第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cと、少なくとも1つの磁気検出素子とを備える。第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cは、互いに間隔をあけつつ第1の方向に各々延在し、3相交流の電流が流れる。少なくとも1つの磁気検出素子は、第1の方向に直交する方向に向いた感度軸を有し、かつ、第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cを流れる電流により発生する磁界を検出して、第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cのうちのいずれか1つのそれぞれ対応するバスバを流れる電流値を測定可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をあけつつ第1の方向に各々延在し、3相交流の電流が流れる、第1バスバ、第2バスバおよび第3バスバと、
前記第1の方向に直交する方向に向いた感度軸を有し、かつ、前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバを流れる電流により発生する磁界を検出して、前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバのうちのいずれか1つのそれぞれ対応するバスバを流れる電流値を測定可能な少なくとも1つの磁気検出素子とを備え、
前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバのうち、前記少なくとも1つの磁気検出素子のうちの任意の一の磁気検出素子に対応するバスバ以外の2つのバスバは、前記一の磁気検出素子の感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されており、
前記第1の方向から見て、前記一の磁気検出素子は、前記対応するバスバ以外の前記2つのバスバから略等距離の位置に配置されている、電流センサ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの磁気検出素子として、第1磁気検出素子、第2磁気検出素子および第3磁気検出素子を備え、
前記第1磁気検出素子は、前記第1の方向に直交する方向に向いた第1感度軸を有し、かつ、前記第1バスバを流れる電流値を測定可能であり、
前記第2磁気検出素子は、前記第1の方向に直交する方向に向いた第2感度軸を有し、かつ、前記第2バスバを流れる電流値を測定可能であり、
前記第3磁気検出素子は、前記第1の方向に直交する方向に向いた第3感度軸を有し、かつ、前記第3バスバを流れる電流値を測定可能であり、
前記第2バスバおよび前記第3バスバは、前記第1感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されており、
前記第1バスバおよび前記第3バスバは、前記第2感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されており、
前記第1バスバおよび前記第2バスバは、前記第3感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されており、
前記第1の方向から見て、前記第1磁気検出素子は、前記第2バスバおよび前記第3バスバから略等距離の位置に配置されており、
前記第1の方向から見て、前記第2磁気検出素子は、前記第2感度軸と同一の方向において、前記第1バスバおよび前記第3バスバから略等距離の位置に配置されており、
前記第1の方向から見て、前記第3磁気検出素子は、前記第3感度軸と同一の方向において、前記第1バスバおよび前記第2バスバから略等距離の位置に配置されている、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、トンネル型磁気抵抗素子を含む回路を有する、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、巨大磁気抵抗素子を含む回路を有する、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、異方性磁気抵抗素子を含む回路を有する、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
【請求項6】
前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバの各々は、前記第1の方向に沿う第1仮想平面上に配置されている、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、前記第1の方向に沿う第2仮想平面上に配置されている、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
【請求項8】
前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバは、前記第1の方向に延在する仮想中心軸の軸周りにおいて略等間隔に配置されている、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流検出器の構成を開示した先行技術文献として、特開2001-74783号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された電流検出器は、複数の被測定導体と、磁電変換素子とを備える。複数の被測定導体には、それぞれに被測定電流が流れる。複数の被測定導体のそれぞれは、凹状またはクランク状に折り曲げられた折り曲げ部を有する。磁電変換素子は、折り曲げ部の近傍において、被測定導体に流れる被測定電流によって発生される磁束が感磁面に略垂直に入るように配置されている。
【0003】
電流測定装置の構成を開示した先行技術文献として、特開2005-207791号公報(特許文献2)がある。特許文献2に記載された電流測定装置は、複数の磁気検出手段と、電流算出手段とを備える。複数の磁気検出手段は、複数の被測定電流導体にそれぞれ電流が流れることによって生じる磁界の強さに応じた検出信号を得るために、複数の被測定電流導体より多い数量が所定位置にそれぞれ配置される。電流算出手段は、複数の磁気検出手段で得られた各検出信号に基づいて複数の被測定電流導体に流れる各電流の大きさを求める。
【0004】
電流測定装置の構成を開示した先行技術文献として、国際公開第2011/111456号(特許文献3)がある。特許文献3に記載された電流測定装置は、複数の導体と、複数の磁気センサとを備える。複数の導体の上方または下方にそれぞれ設けられた複数の磁気センサの各々は、複数の導体の延在方向に沿って互いに位置をずらして設けられている。複数の導体の延在方向と垂直な方向において、磁気センサの高さと隣接する導体の高さが略等しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-74783号公報
【特許文献2】特開2005-207791号公報
【特許文献3】国際公開第2011/111456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された電流検出器においては、被測定導体が折り曲げ部を有するため、その形状が複雑になる。折り曲げ部が、凹状またはクランク状に折り曲げられているため、被測定導体が立体的に折り曲げられることにより占有体積が大きくなる。このため、電流検出器が大型化する。
【0007】
特許文献2に記載された電流測定装置においては、測定する被測定電流導体以外の被測定電流導体を流れる電流の影響を抑制することにより測定精度を向上させるために、各磁気検出手段の出力の処理が可能な規模の電流算出手段を必要とし、電流測定装置の構成が複雑になる。
【0008】
特許文献3に記載された電流測定装置においては、複数の磁気センサの各々を複数の導体の延在方向に沿って互いに位置をずらして配置することによって、複数の磁気センサを設置するための面積が大きくなるため、当該装置の小型化することが難しい。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、全体のサイズを小型化しつつ、簡易な構成で測定精度を向上させることができる電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に基づく電流センサは、第1バスバ、第2バスバおよび第3バスバと、少なくとも1つの磁気検出素子とを備える。第1バスバ、第2バスバおよび第3バスバは、互いに間隔をあけつつ第1の方向に各々延在し、3相交流の電流が流れる。少なくとも1つの磁気検出素子は、第1の方向に直交する方向に向いた感度軸を有し、かつ、第1バスバ、第2バスバおよび第3バスバを流れる電流により発生する磁界を検出して、第1バスバ、第2バスバおよび第3バスバのうちのいずれか1つのそれぞれ対応するバスバを流れる電流値を測定可能である。第1バスバ、第2バスバおよび第3バスバのうち、少なくとも1つの磁気検出素子のうちの任意の一の磁気検出素子に対応するバスバ以外の2つのバスバは、一の磁気検出素子の感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている。第1の方向から見て、一の磁気検出素子は、対応するバスバ以外の2つのバスバから略等距離の位置に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電流センサの全体のサイズを小型化しつつ、簡易な構成で測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る電流センサの構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る電流センサの構成を示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る電流センサにおけるバスバと磁気検出素子の感磁面との間の隙間を示す断面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る電流センサにおけるバスバから発生する磁界を模式的に示す断面図である。
図5】比較例に係る電流センサの構成を示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態1および比較例に係るバスバと磁気検出素子との間の隙間に対する、印加電流に対する測定電流の誤差の関係を示すグラフである。
図7】比較例に係る電流センサの3相交流電流の位相に対する、印加電流および測定電流、並びに、印加電流に対する測定電流の誤差の関係を示すグラフである。
図8】本発明の実施の形態1に係る電流センサの3相交流電流の位相に対する、印加電流および測定電流、並びに、印加電流に対する測定電流の誤差の関係を示すグラフである。
図9】本発明の実施の形態2に係る電流センサの構成を示す斜視図である。
図10】本発明の実施の形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施の形態に係る電流センサについて図を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0014】
なお、図面においては、第1磁気検出素子の感度軸に沿う方向を第2の方向としてのX方向、各バスバが延在する方向を第1の方向としてのY方向、第1の方向および第2の方向に直交する方向を第3の方向としてのZ方向とする。また、電流センサにおける各構成要素間の距離とは、各構成要素の中心同士を結ぶ距離とする。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電流センサの構成を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る電流センサの構成を示す断面図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る電流センサにおけるバスバと磁気検出素子の感磁面との間の隙間を示す断面図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る電流センサにおけるバスバから発生する磁界を模式的に示す断面図である。
【0016】
図1図4に示すように、本発明の実施の形態1に係る電流センサ1は、第1バスバ10Aと、第2バスバ10Bと、第3バスバ10Cと、少なくとも1つの磁気検出素子と、基板21とを備える。
【0017】
第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cは、3相3線式のバスバである。第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cの各々には、3相交流の電流が流れる。第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cの各々を流れる電流は、振幅が等しく互いに位相が120°ずつずれた交流電流を構成している。
【0018】
第1バスバ10Aを第1の方向(Y方向)に流れる第1電流の電流値(I)、第2バスバ10Bを第1の方向(Y方向)に流れる第2電流の電流値(I)、および、第3バスバ10Cを第1の方向(Y方向)に流れる第3電流の電流値(I)においては、I+I+I=0の関係が成立している。たとえば、第1電流がU相の交流電流、第2電流がV相の交流電流、第3電流がW相の交流電流であってもよい。
【0019】
第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cの各々は、第1の方向(Y方向)に沿う第1仮想平面F1上に配置されている。本実施の形態においては、第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cの各々は、第2の方向(X方向)において互いに間隔をあけつつ並んで第1仮想平面F1上に配置されている。
【0020】
第1バスバ10Aは、第1の方向(Y方向)に沿って直線状に延在している。第1バスバ10Aを流れる第1電流の電流値(I)は、交流電流であるため、正の値または負の値をとり得る。第1電流が流れた際には、第1磁界B1が第1バスバ10Aの周囲に生じる。
【0021】
第2バスバ10Bは、第1の方向(Y方向)に沿って直線状に延在している。第2バスバ10Bを流れる第2電流の電流値(I)は、交流電流であるため、正の値または負の値をとり得る。第2電流が流れた際には、第2磁界B2が第2バスバ10Bの周囲に生じる。
【0022】
第3バスバ10Cは、第1の方向(Y方向)に沿って直線状に延在している。本実施の形態においては、第3バスバ10Cは、第2バスバ10Bとの間の距離が、第1バスバ10Aと第2バスバ10Bとの間の距離に等しくなるように配置されている。第3バスバ10Cを流れる第3電流の電流値(I)は、交流電流であるため、正の値または負の値をとり得る。第3電流が流れた際には、第3磁界B3が第3バスバ10Cの周囲に生じる。
【0023】
少なくとも1つの磁気検出素子は、第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cのうちのいずれか1つのそれぞれ対応するバスバを流れる電流値を測定可能である。
【0024】
本実施の形態における少なくとも1つの磁気検出素子は、たとえば、図示しない4つのトンネル型磁気抵抗素子(TMR(Tunnel Magneto Resistance)素子)からなるホイートストンブリッジ型のブリッジ回路を有する。なお、少なくとも1つの磁気検出素子が、TMR素子に代えて、巨大磁気抵抗素子(GMR(Giant Magneto Resistance)素子)若しくは異方性磁気抵抗素子(AMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子)などの磁気抵抗素子からなるブリッジ回路を有していてもよい。また、少なくとも1つの磁気検出素子が、2つの磁気抵抗素子からなるハーフブリッジ回路を有していてもよい。さらに、少なくとも1つの磁気検出素子は、ホール素子であってもよい。
【0025】
本実施の形態においては、少なくとも1つの磁気検出素子として、第1磁気検出素子20Aと、第2磁気検出素子20Bと、第3磁気検出素子20Cとを備える。
【0026】
少なくとも1つの磁気検出素子は、第1の方向(Y方向)に沿う第2仮想平面F2上に配置されている。本実施の形態においては、第1磁気検出素子20A、第2磁気検出素子20Bおよび第3磁気検出素子20Cの各々は、第2仮想平面F2に位置し、第1の方向(Y方向)および第2の方向(X方向)に沿う基板21上に配置されている。第1磁気検出素子20A、第2磁気検出素子20Bおよび第3磁気検出素子20Cの各々は、図示しない配線を経由して、測定した電流値を信号として電流センサ1を制御する図示しない制御部に接続されている。
【0027】
図3に示すように、第2磁気検出素子20Bは、第2バスバ10Bに近い下面側に感磁面22を有する。感磁面22は、第3の方向(Z方向)において、第2バスバ10Bに対して隙間Gをあけて配置されている。なお、第1磁気検出素子20Aおよび第3磁気検出素子20Cの感磁面においても、第2磁気検出素子20Bと同様の隙間があいている。
【0028】
図2および図4に示すように、第1磁気検出素子20A、第2磁気検出素子20Bおよび第3磁気検出素子20Cの各々は、第1の方向(Y方向)に直交する方向に向いた感度軸を有する。
【0029】
具体的には、第1磁気検出素子20Aは、第1の方向(Y方向)に直交する方向に向いた第1感度軸A1を有する。本実施の形態においては、第1磁気検出素子20Aは、第2の方向(X方向)に沿う第1感度軸A1を有する。
【0030】
第2磁気検出素子20Bは、第1の方向(Y方向)に直交する方向に向いた第2感度軸A2を有する。本実施の形態においては、第2磁気検出素子20Bは、第2の方向(X方向)に沿う第2感度軸A2を有する。
【0031】
第3磁気検出素子20Cは、第1の方向(Y方向)に直交する方向に向いた第3感度軸A3を有する。本実施の形態においては、第3磁気検出素子20Cは、第2の方向(X方向)に沿う第3感度軸A3を有する。
【0032】
以下、各バスバと各磁気検出素子の配置関係について説明する。第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cのうち、少なくとも1つの磁気検出素子のうちの任意の一の磁気検出素子に対応するバスバ以外の2つのバスバは、一の磁気検出素子の感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている。
【0033】
具体的には、第1磁気検出素子20Aは、第1バスバ10Aを流れる電流の電流値を計測するため、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cが、第1感度軸A1と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている。
【0034】
第2磁気検出素子20Bは、第2バスバ10Bを流れる電流の電流値を計測するため、第1バスバ10Aおよび第3バスバ10Cが、第2感度軸A2と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている。
【0035】
第3磁気検出素子20Cは、第3バスバ10Cを流れる電流の電流値を計測するため、第1バスバ10Aおよび第2バスバ10Bが、第3感度軸A3と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている。
【0036】
第1の方向(Y方向)から見て、一の磁気検出素子は、対応するバスバ以外の2つのバスバから略等距離の位置に配置されている。本実施の形態においては、第1の方向(Y方向)から見て、第1磁気検出素子20Aは、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cから略等距離L1の位置に配置されている。なお、本実施の形態の距離に関する「略等距離」とは、電流センサの各構成要素を組み付ける際の製造工程における組み付け位置のばらつきを含む意味である。
【0037】
第1の方向(Y方向)から見て、第2磁気検出素子20Bは、第2感度軸A2と同一の方向において、第1バスバ10Aおよび第3バスバ10Cから略等距離L2の位置に配置されている。第2磁気検出素子20Bは、第3の方向(Z方向)において第2バスバ10Bと並んでいる。
【0038】
第1の方向(Y方向)から見て、第3磁気検出素子20Cは、第3感度軸A3と同一の方向において、第1バスバ10Aおよび第2バスバ10Bから略等距離L3の位置に配置されている。
【0039】
なお、本実施の形態においては、第1バスバ10Aと第2バスバ10Bとの間、第2バスバ10Bと第3バスバ10Cとの間、第1磁気検出素子20Aと第2磁気検出素子20Bとの間、第2磁気検出素子20Bと第3磁気検出素子20Cとの間には、透磁率の高い磁性材料などからなる磁気遮蔽板、および、磁場を集磁するための軟磁性体などからなる磁性体コアは設けられていない。これにより、本実施の形態に係る電流センサ1は、全体のサイズを小型化できる。
【0040】
また、本実施の形態においては、各磁気検出素子を各バスバ上に配置する場合と比較して、測定したいバスバ以外のバスバに対して磁気検出素子を略等距離の位置に配置すればよいため、各磁気検出素子を実装する基板21の占有面積を小さくすることができる。これにより、本実施の形態に係る電流センサ1は、全体のサイズを小型化できる。
【0041】
ここで、比較例に係る電流センサについて図を参照して説明する。比較例に係る電流センサは、各バスバおよび各磁気検出素子の位置関係が本発明の実施の形態1に係る電流センサ1と異なるため、本発明の実施の形態1に係る電流センサ1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0042】
図5は、比較例に係る電流センサの構成を示す断面図である。なお、図5においては、発明の理解を容易にするため、基板を省略している。
【0043】
図5に示すように、比較例における電流センサ9は、第1バスバ10Aと、第2バスバ10Bと、第3バスバ10Cと、第1磁気検出素子20Aと、第2磁気検出素子20Bと、第3磁気検出素子20Cとを備える。
【0044】
第1磁気検出素子20Aは、第3の方向(Z方向)において第1バスバ10Aと並んでいる。第1磁気検出素子20Aは、第1バスバ10Aと離隔している。第1磁気検出素子20Aは、第1バスバ10Aを流れる電流の電流値Iを測定する。ただし、第1磁気検出素子20Aは、測定対象の第1バスバ10A以外の第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cを流れる電流による磁界の影響を受けるため、測定値にこれらのバスバの電流値が含まれる。
【0045】
第2磁気検出素子20Bは、第3の方向(Z方向)において第2バスバ10Bと並んでいる。第2磁気検出素子20Bは、第2バスバ10Bと離隔している。第2磁気検出素子20Bは、第2バスバ10Bを流れる電流の電流値Iを測定する。ただし、第2磁気検出素子20Bは、測定対象の第2バスバ10B以外の第1バスバ10Aおよび第3バスバ10Cを流れる電流による磁界の影響を受けるため、測定値にこれらのバスバの電流値が含まれる。
【0046】
第3磁気検出素子20Cは、第3の方向(Z方向)において第3バスバ10Cと並んでいる。第3磁気検出素子20Cは、第3バスバ10Cと離隔している。第3磁気検出素子20Cは、第3バスバ10Cを流れる電流の電流値Iを測定する。ただし、第3磁気検出素子20Cは、測定対象の第3バスバ10C以外の第1バスバ10Aおよび第2バスバ10Bを流れる電流による磁界の影響を受けるため、測定値にこれらのバスバの電流値が含まれる。
【0047】
一方、本実施の形態に係る第1磁気検出素子20A、第2磁気検出素子20Bおよび第3磁気検出素子20Cの各々は、第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cを流れる電流により発生する磁界を検出して対応するバスバを流れる電流値を測定可能である。
【0048】
具体的には、第1磁気検出素子20Aは、第1バスバ10Aを流れる電流値(I)を測定可能である。第2磁気検出素子20Bは、第2バスバ10Bを流れる電流値(I)を測定可能である。第3磁気検出素子20Cは、第3バスバ10Cを流れる電流値(I)を測定可能である。
【0049】
以下、各磁気検出素子が測定対象のバスバ以外のバスバを含めた磁界を検出しても測定対象のバスバの電流値のみを測定できることについて、第1磁気検出素子20Aにより第1バスバ10Aを流れる電流の電流値Iを測定する場合を例示して説明する。
【0050】
図4に示すように、第1磁気検出素子20Aにより検出する磁界Bは、各バスバから発生する磁界を合成したものとなる。第1バスバ10Aの周囲には、第1磁界B1が生じている。第2バスバ10Bの周囲には、第2磁界B2が生じている。第3バスバ10Cの周囲には、第3磁界B3が生じている。このため、第1磁気検出素子20Aにより検出する磁界Bは、B=B1+B2+B3と表される。
【0051】
第1磁界B1は、磁束密度および磁界強度の関係から、透磁率μを用いて、B1=μ(1/2πr)Iと表される。rは、第1バスバ10Aに対する第1磁気検出素子20Aの距離であり、μ(1/2πr)を定数αと仮定すると、B1=αIと表される。
【0052】
同様に、第2バスバ10Bの第2磁界B2を第1磁気検出素子20Aにより検出する場合、第2磁界B2は、B2=μ(1/2πr)Iと表される。μ(1/2πr)を定数βと仮定すると、B2=βIと表される。また、第3バスバ10Cの第3磁界B3を第1磁気検出素子20Aにより検出する場合、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cに対する第1磁気検出素子20Aの距離は略等距離であることから、第2バスバ10Bの場合と同様に、B3=βIと表される。
【0053】
したがって、B=B1+B2+B3は、B=αI+β(I+I)と表される。各バスバを流れる3相交流における各電流値にはI+I+I=0の関係が成立しているため、I+I=-Iと表される。これにより、B=αI+β(-I)と表されるため、B=(α-β)Iの関係が成立する。このように、第1磁気検出素子20Aに印加される磁界Bは、第1バスバ10Aを流れる第1電流の電流値(I)に定数を掛けた値によって表される。この計算式は、各バスバに3相交流の電流が流れる場合に成立するため、測定値の差動をとる必要が無い。
【0054】
上述した第1磁気検出素子20Aに印加される磁界Bを第1バスバ10Aの電流を流れる電流値(I)のみにより表されることと同様に、第2磁気検出素子20Bに印加される磁界を第2バスバ10Bの電流を流れる電流値(I)のみにより表すことができる。また、第3磁気検出素子20Cに印加される磁界を第3バスバ10Cの電流を流れる電流値(I)のみにより表すことができる。これにより、各バスバ間にシールドを設けることなく、かつ測定値の差動をとるための算出部を設けることなく、各磁気検出素子によって、測定対象のバスバのみの電流値を測定することができる。
【0055】
図6は、本発明の実施の形態1および比較例に係るバスバと磁気検出素子との間の隙間に対する、印加電流に対する測定電流の誤差の関係を示すグラフである。図7は、比較例に係る電流センサの3相交流電流の位相に対する、印加電流および測定電流、並びに、印加電流に対する測定電流の誤差の関係を示すグラフである。図8は、本発明の実施の形態1に係る電流センサの3相交流電流の位相に対する、印加電流および測定電流、並びに、印加電流に対する測定電流の誤差の関係を示すグラフである。
【0056】
図6図8においては、本実施の形態および比較例に係る第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cの各々に対して電流を印加したときにおける、印加電流と各磁気検出素子によって測定した測定電流とを比較するシミュレーションを行なった結果を示している。図7および図8においては、第1磁気検出素子20Aにおける電流の測定値を例示し、第3の方向(Z方向)における第1磁気検出素子20Aと各バスバとの間の隙間が1.5mmである場合を例示する。
【0057】
図6においては、本実施の形態および比較例に係る各バスバと磁気検出素子との間の隙間を横軸とし、印加電流に対する測定電流の誤差を縦軸にしたときの当該誤差を示している。電流値は、交流電流であるため正の値または負の値をとり、その電流値が取り得る最大振幅をフルスケール(F.S.)としたときに、印加電流に対する測定電流の差の割合を誤差(%F.S.)として表示している。
【0058】
図6に示すように、比較例においては、各バスバと磁気検出素子との間の隙間が大きくなるにつれて印加電流に対する測定電流の誤差が大きくなる。これは、当該隙間が大きくなるにしたがって、各磁気検出素子によって、測定したいバスバ以外のバスバからの磁界の影響が大きくなってしまうためである。たとえば、比較例の場合、第1磁気検出素子20Aでは、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cにより検出される磁界の影響を受けてしまうため、電流が3相交流の位相のずれを受け、電流値に誤差を生ずる。この誤差は、測定したい第1バスバ10Aと第1磁気検出素子20Aとの隙間が大きくなって、第1バスバ10Aからの磁界強度が小さくなるにしたがって、大きくなる。
【0059】
一方、本実施の形態においては、各バスバと磁気検出素子との間の隙間が0.5mm~4.5mmの範囲で変動しても当該誤差は大きくならない。本実施の形態においては、電流を検出するための磁界を各バスバから受けるが、上述したように測定したいバスバのみの電流によって磁界を表すことができるためである。
【0060】
本実施の形態における各バスバと磁気検出素子との間の隙間は、一部に変曲点を有して最小になっている。本実施の形態においては、その変曲点は、各バスバと磁気検出素子との間の隙間が約1.5mmの位置にある。感度軸方向において、バスバと磁気検出素子とが一直線に並ぶように各バスバと磁気検出素子との間の隙間を近づけた場合、磁気検出素子において磁界の検出ができなくなる。一方、当該隙間を離すと、測定したいバスバの磁界が小さくなるので他のセンサの誤差の影響を受けやすい。本実施の形態においては、これらの関係が相互作用していることによって、各バスバと磁気検出素子との間の隙間に対し、印加電流に対する測定電流の誤差が最小となる変曲点を有すると考えられる。
【0061】
図7に示すように、比較例に係る印加電流に対する測定電流の誤差は、他のバスバにおける電流値を測定するため、位相がずれて測定される。当該誤差は、3相交流電流であるため、約±1%の範囲において変動する。
【0062】
図8に示すように、本実施の形態に係る印加電流に対する測定電流の誤差は、他のバスバにおける磁界の影響が抑制されているため、測定する電流の位相のずれが抑制されている。当該誤差は、比較例に比べて小さく、約±0.3%の範囲において変動する。
【0063】
本発明の実施の形態1に係る電流センサ1においては、3相交流のバスバ構成を測定する電流センサにおいて、電流を測定したいバスバ以外の残りの2つのバスバに対して、磁気検出素子の距離を略等距離に配置することによって、測定したいバスバ以外のバスバからの磁界影響を同じにすることができるため、上述の磁界と電流値との関係式により、各バスバから磁気検出素子が受ける磁界を測定したいバスバからの電流値に比例する値のみによって表すことができる。これにより、各バスバ間にシールドを設けることなく、かつ測定したバスバ以外のバスバからの磁界の影響を抑制することができる。その結果、電流センサ1の全体のサイズを小型化しつつ、簡易な構成で測定精度を向上させることができる。
【0064】
本発明の実施の形態1に係る電流センサ1においては、少なくとも1つの磁気検出素子として、第1磁気検出素子20A、第2磁気検出素子20Bおよび第3磁気検出素子20Cの3つによって各バスバの電流値を各バスバ間にシールドを設けることなく、かつ測定したバスバ以外のバスバからの磁界影響を受けることを抑制することができるため、電流センサ1の全体のサイズを小型化しつつ、簡易な構成で測定精度を向上させることができる。
【0065】
本発明の実施の形態1に係る電流センサ1においては、TMR素子、GMR素子またはAMR素子により、電流センサ1の全体のサイズを小型化しつつ、簡易な構成で測定精度を向上させることができる。
【0066】
本発明の実施の形態1に係る電流センサ1においては、第1バスバ10A、第2バスバ10Bおよび第3バスバ10Cの各々を第1仮想平面F1上に並べることによって、各バスバを並べやすい構成にすることができる。
【0067】
本発明の実施の形態1に係る電流センサ1においては、第1磁気検出素子20A、第2磁気検出素子20Bおよび第3磁気検出素子20Cの各々を第2仮想平面F2上に配置することによって、各磁気検出素子を基板21上に配置しやすい構成にすることができる。
【0068】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る電流センサについて図を参照して説明する。本発明の実施の形態2に係る電流センサは、各バスバおよび各磁気検出素子の位置関係が本発明の実施の形態1に係る電流センサ1と異なるため、本発明の実施の形態1に係る電流センサ1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0069】
図9は、本発明の実施の形態2に係る電流センサの構成を示す斜視図である。図10は、本発明の実施の形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。なお、図9および図10においては、発明の理解を容易にするため、基板を省略している。
【0070】
図9および図10に示すように、本発明の実施の形態2に係る電流センサ1Aは、第1バスバ50Aと、第2バスバ50Bと、第3バスバ50Cと、第1磁気検出素子60Aと、第2磁気検出素子60Bと、第3磁気検出素子60Cとを備える。
【0071】
第1バスバ50A、第2バスバ50Bおよび第3バスバ50Cは、第1の方向(Y方向)に延在する仮想中心軸C1の軸周りにおいて略等間隔に配置されている。すなわち、第1バスバ50A、第2バスバ50Bおよび第3バスバ50Cは、Y方向から見て、仮想中心軸C1を中心として周方向に120°間隔で配置されている。なお、本実施の形態の間隔に関する「略等間隔」とは、電流センサの各構成要素を組み付ける際の製造工程における組み付け位置のばらつきを含む意味である。
【0072】
本実施の形態においては、第1磁気検出素子60A、第2磁気検出素子60Bおよび第3磁気検出素子60Cの各々は、仮想中心軸C1を中心として、径方向において対応するバスバから離れる方向に位置している。
【0073】
第1磁気検出素子60A、第2磁気検出素子60Bおよび第3磁気検出素子60Cの各々は、第1の方向(Y方向)に直交する方向に向いた感度軸を有する。
【0074】
第1磁気検出素子60Aは、第1バスバ50Aを流れる電流の電流値を計測するため、第2バスバ50Bおよび第3バスバ50Cが、第1感度軸A1と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている。
【0075】
第2磁気検出素子60Bは、第2バスバ50Bを流れる電流の電流値を計測するため、第1バスバ50Aおよび第3バスバ50Cは、第2感度軸A2と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている。
【0076】
第3磁気検出素子60Cは、第3バスバ50Cを流れる電流の電流値を計測するため、第1バスバ50Aおよび第2バスバ50Bは、第3感度軸A3と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている。
【0077】
第1の方向(Y方向)から見て、第1磁気検出素子60Aは、第1感度軸A1と同一の方向において、第2バスバ50Bおよび第3バスバ50Cから略等距離L1の位置に配置されている。
【0078】
第1の方向(Y方向)から見て、第2磁気検出素子60Bは、第2感度軸A2と同一の方向において、第1バスバ50Aおよび第3バスバ50Cから略等距離L2の位置に配置されている。
【0079】
第1の方向(Y方向)から見て、第3磁気検出素子60Cは、第3感度軸A3と同一の方向において、第1バスバ50Aおよび第2バスバ50Bから略等距離L3の位置に配置されている。
【0080】
第1磁気検出素子60A、第2磁気検出素子60Bおよび第3磁気検出素子60Cの各々は、第1バスバ50A、第2バスバ50Bおよび第3バスバ50Cを流れる電流により発生する磁界を検出して対応するバスバを流れる電流値を測定可能である。
【0081】
第1磁気検出素子60Aは、第2の方向(X方向)に沿う第1感度軸A1を有している。第1磁気検出素子60Aは、第1バスバ50Aを流れる電流値(I)を測定可能である。
【0082】
第2磁気検出素子60Bは、XZ平面上において第2バスバ50Bの長手方向と並行に並ぶ第2感度軸A2を有している。第2磁気検出素子60Bは、第2バスバ50Bを流れる電流値(I)を測定可能である。
【0083】
第3磁気検出素子60Cは、XZ平面上において第3バスバ50Cの長手方向と並行に並ぶ第3感度軸A3を有している。第3磁気検出素子60Cは、第3バスバ50Cを流れる電流値(I)を測定可能である。
【0084】
第1磁気検出素子60A、第2磁気検出素子60Bおよび第3磁気検出素子60Cの各々は、電流を測定したいバスバ以外の残りの2つのバスバに対して、磁気検出素子の距離を等距離に配置することによって、測定したいバスバ以外のバスバからの磁界の影響を同じにすることができる。これにより、実施の形態1において述べた磁界と電流値との関係式により、各バスバから磁気検出素子が受ける磁界を測定したいバスバからの電流値に比例する値のみによって表すことができる。
【0085】
第1磁気検出素子60Aに対し、第1バスバ50Aは、第2バスバ50Bおよび第3バスバ50Cより近い位置に配置されている。第2磁気検出素子60Bに対し、第2バスバ50Bは、第1バスバ50Aおよび第3バスバ50Cより近い位置に配置されている。第3磁気検出素子60Cに対し、第3バスバ50Cは、第1バスバ50Aおよび第2バスバ50Bより近い位置に配置されている。本実施の形態においては、各磁気検出素子に対して測定したいバスバを測定したいバスバ以外のバスバより近づけることができる。
【0086】
本発明の実施の形態2に係る電流センサ1Aにおいては、電流を測定したいバスバを磁気検出素子に近づけて測定精度を向上させつつ、他のバスバから磁気検出素子を略等距離に配置させることによって、測定したいバスバ以外のバスバからの磁界の影響を同じにすることができる。これにより、各バスバ間にシールドを設けることなく、かつ測定したバスバ以外のバスバからの磁界影響を受けることを抑制することができる。その結果、電流センサ1の全体のサイズを小型化しつつ、簡易な構成で測定精度を向上させることができる。
【0087】
本発明の実施の形態2に係る電流センサ1Aにおいては、第1の方向(Y方向)から見て、狭い円形領域内に各バスバと各磁気検出素子を配置できるため、適用するバスバの設計に合わせて電流センサ1Aを小型化することができる。
【0088】
なお、第1バスバ、第2バスバおよび第3バスバの各々は、流れる電流の量を均一にしやすくするため、これらの断面積が略同じであることが望ましい。
【0089】
[付記]
<1>
互いに間隔をあけつつ第1の方向に各々延在し、3相交流の電流が流れる、第1バスバ、第2バスバおよび第3バスバと、
前記第1の方向に直交する方向に向いた感度軸を有し、かつ、前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバを流れる電流により発生する磁界を検出して、前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバのうちのいずれか1つのそれぞれ対応するバスバを流れる電流値を測定可能な少なくとも1つの磁気検出素子とを備え、
前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバのうち、前記少なくとも1つの磁気検出素子のうちの任意の一の磁気検出素子に対応するバスバ以外の2つのバスバは、前記一の磁気検出素子の感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されており、
前記第1の方向から見て、前記一の磁気検出素子は、前記対応するバスバ以外の前記2つのバスバから略等距離の位置に配置されている、電流センサ。
<2>
前記少なくとも1つの磁気検出素子として、第1磁気検出素子、第2磁気検出素子および第3磁気検出素子を備え、
前記第1磁気検出素子は、前記第1の方向に直交する方向に向いた第1感度軸を有し、かつ、前記第1バスバを流れる電流値を測定可能であり、
前記第2磁気検出素子は、前記第1の方向に直交する方向に向いた第2感度軸を有し、かつ、前記第2バスバを流れる電流値を測定可能であり、
前記第3磁気検出素子は、前記第1の方向に直交する方向に向いた第3感度軸を有し、かつ、前記第3バスバを流れる電流値を測定可能であり、
前記第2バスバおよび前記第3バスバは、前記第1感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されており、
前記第1バスバおよび前記第3バスバは、前記第2感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されており、
前記第1バスバおよび前記第2バスバは、前記第3感度軸と平行な方向に互いに間隔をあけて並行に配置されており、
前記第1の方向から見て、前記第1磁気検出素子は、前記第2バスバおよび前記第3バスバから略等距離の位置に配置されており、
前記第1の方向から見て、前記第2磁気検出素子は、前記第2感度軸と同一の方向において、前記第1バスバおよび前記第3バスバから略等距離の位置に配置されており、
前記第1の方向から見て、前記第3磁気検出素子は、前記第3感度軸と同一の方向において、前記第1バスバおよび前記第2バスバから略等距離の位置に配置されている、<1>に記載の電流センサ。
<3>
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、トンネル型磁気抵抗素子を含む回路を有する、<1>または<2>に記載の電流センサ。
<4>
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、巨大磁気抵抗素子を含む回路を有する、<1>または<2>に記載の電流センサ。
<5>
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、異方性磁気抵抗素子を含む回路を有する、<1>または<2>に記載の電流センサ。
<6>
前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバの各々は、前記第1の方向に沿う第1仮想平面上に配置されている、<1>から<5>のいずれか1つに記載の電流センサ。
<7>
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、前記第1の方向に沿う第2仮想平面上に配置されている、<1>から<6>のいずれか1つに記載の電流センサ。
<8>
前記第1バスバ、前記第2バスバおよび前記第3バスバは、前記第1の方向に延在する仮想中心軸の軸周りにおいて略等間隔に配置されている、<1>から<5>のいずれか1つに記載の電流センサ。
【0090】
上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1,9 電流センサ、10A,50A 第1バスバ、10B,50B 第2バスバ、10C,50C 第3バスバ、20A,60A 第1磁気検出素子、20B,60B 第2磁気検出素子、20C,60C 第3磁気検出素子、21 基板、22 感磁面、A1 第1感度軸、A2 第2感度軸、A3 第3感度軸、B 磁界、B1 第1磁界、B2 第2磁界、B3 第3磁界、C1 仮想中心軸、F1 第1仮想平面、F2 第2仮想平面、G 隙間、L1,L2,L3 距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10