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特開2024-134060半導体装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134060
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240926BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240926BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 653A
H01L29/78 652P
H01L29/78 652M
H01L29/78 658F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044154
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青山 恵太
(57)【要約】
【課題】半導体装置の耐圧の向上を図ること。
【解決手段】半導体装置10は、ゲートトレンチ14と、ゲートトレンチ14内に形成されたフィールドプレート電極52およびゲート電極50と、フィールドプレート電極52およびゲート電極50を相互に分離する絶縁層16とを備える。半導体層12は、n型のドリフト領域42と、ドリフト領域42上に形成されたp型のボディ領域44と、を含む。絶縁層16は、フィールドプレート電極52を覆う第1絶縁層56と、第1絶縁層56上においてドリフト領域42と隣り合う位置に形成され、第1絶縁層56よりも比誘電率が高い第2絶縁層72とを含む。第2絶縁層72は、Z方向において、フィールドプレート電極52の底面52Bとゲート電極50の底面50Aとの間に設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面を有する半導体層と、
前記半導体層の前記第2面に形成され、側壁および底壁を有するとともに、前記半導体層の厚さ方向から視て第1方向に沿って延びたトレンチと、
前記トレンチ内に形成されたフィールドプレート電極と、
前記トレンチ内において前記フィールドプレート電極と少なくとも一部が対向している底面を含むゲート電極と、
前記フィールドプレート電極および前記ゲート電極を相互に分離するとともに前記トレンチの前記側壁および前記底壁を覆う絶縁層と、
を備え、
前記半導体層は、
第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域上に形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域上に形成され、前記フィールドプレート電極と同電位となる第1導電型のソース領域と、
を含み、
前記絶縁層は、
前記トレンチの前記側壁および前記底壁を覆うとともに前記フィールドプレート電極を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上において前記ドリフト領域と隣り合う位置に形成され、前記第1絶縁層よりも比誘電率が高い第2絶縁層と、
を含み、
前記フィールドプレート電極は、前記トレンチの前記底壁と対向している底面を含み、
前記第2絶縁層は、前記トレンチの深さ方向において、前記フィールドプレート電極の底面と前記ゲート電極の底面との間に設けられている
半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁層は、前記深さ方向における前記ゲート電極と前記フィールドプレート電極との間に設けられた対向部を含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記フィールドプレート電極は、前記深さ方向において前記ゲート電極と対向する対向面を含み、
前記第1絶縁層は、前記対向面を覆う対向絶縁部を含み、
前記第2絶縁層の前記対向部は、前記対向絶縁部上に形成されている
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2絶縁層は、前記フィールドプレート電極の側面に対向配置された側面対向部を含む
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体層の厚さ方向から視て前記第1方向と直交する方向を第2方向として、
前記側面対向部は、
前記対向部から前記トレンチの前記底壁に向けて延びた第1側面対向部と、
前記第1側面対向部から前記トレンチの前記側壁寄りに離隔した状態で前記第2方向において前記第1側面対向部と対向配置された第2側面対向部と、
前記第1側面対向部のうち前記トレンチの前記底壁寄りの端部と前記第2側面対向部とを接続する接続部と、
を含む
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接続部は、前記深さ方向において前記フィールドプレート電極の中央よりも前記ゲート電極寄りに設けられている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2絶縁層は、前記側面対向部から連続して形成されており、前記対向部から前記ゲート電極に向けて突出する突出部を含む
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート電極は、前記深さ方向において前記突出部と対向しており、
前記ゲート電極のうち前記突出部と前記深さ方向に対向する部分は、前記ゲート電極の底面から前記突出部に向けて突出するゲート側突出部を含む
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記深さ方向における前記突出部と前記ゲート側突出部との間には、酸化膜が介在している
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記絶縁層は、前記深さ方向において前記第2絶縁層と前記ゲート電極との間に形成された第3絶縁層を含み、
前記第3絶縁層は、前記第2絶縁層よりも比誘電率が低い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第3絶縁層の比誘電率は、前記第1絶縁層の比誘電率と等しい
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記絶縁層は、前記深さ方向において前記第2絶縁層と前記ゲート電極との間に形成された第3絶縁層を含み、
前記第3絶縁層のうち前記ゲート電極の底面と前記第2絶縁層の前記対向部とに挟み込まれた部分の厚さは、前記対向部の厚さよりも厚い
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記絶縁層は、前記深さ方向において前記第2絶縁層と前記ゲート電極との間に形成された第3絶縁層を含み、
前記第3絶縁層のうち前記ゲート電極の底面と前記第2絶縁層の前記対向部とに挟み込まれた部分の厚さは、前記第1絶縁層の前記対向絶縁部の厚さよりも厚い
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記絶縁層は、前記深さ方向において前記第2絶縁層と前記ゲート電極との間に形成された第3絶縁層を含み、
前記第3絶縁層は、前記第1側面対向部、前記接続部、および前記第2側面対向部によって形成された凹部に入り込んでいる
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1絶縁層は、
前記第2方向における前記フィールドプレート電極と前記第1側面対向部との間に入り込んだ第1介在部と、
前記第2方向における前記第2側面対向部と前記トレンチの前記側壁との間に入り込んだ第2介在部と、
を含む
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記半導体層の厚さ方向から視て前記第1方向と直交する方向を第2方向として、
前記ゲート電極の前記第2方向の最大寸法は、前記第2絶縁層の前記第2方向の最大寸法以上である
請求項1~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1絶縁層は、SiO膜であり、
前記第2絶縁層は、SiN膜、SiON膜、HfO膜のいずれかである
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記絶縁層は、前記深さ方向において前記第2絶縁層と前記ゲート電極との間に形成された第3絶縁層を含み、
前記第3絶縁層は、SiO膜である
請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面を有する半導体層を形成すること、
前記半導体層の前記第2面に、側壁および底壁を有するとともに、前記半導体層の厚さ方向から視て第1方向に沿って延びたトレンチを形成すること、
前記トレンチ内にフィールドプレート電極を形成すること、
前記フィールドプレート電極と少なくとも一部が対向している底面を含むゲート電極を前記トレンチ内に形成すること、
前記フィールドプレート電極および前記ゲート電極を相互に分離するとともに、前記トレンチの前記側壁および前記底壁を覆う絶縁層を形成すること、
を含み、
前記半導体層を形成することは、
第1導電型のドリフト領域を形成すること、
前記ドリフト領域上に第2導電型のボディ領域を形成すること、
前記ボディ領域上に前記フィールドプレート電極と同電位となる第1導電型のソース領域を形成すること、
を含み、
前記絶縁層を形成することは、
前記トレンチの前記側壁および前記底壁を覆うとともに前記フィールドプレート電極を覆う第1絶縁層を形成すること、
前記第1絶縁層よりも比誘電率が高い第2絶縁層を、前記第1絶縁層上において前記ドリフト領域と隣り合う位置に形成すること、
を含み、
前記フィールドプレート電極は、前記トレンチの前記底壁と対向している底面を含み、
前記第2絶縁層を形成することは、前記トレンチの深さ方向において、前記フィールドプレート電極の底面と前記ゲート電極の底面との間に前記第2絶縁層を形成することを含む
半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記絶縁層を形成することは、前記第2絶縁層よりも比誘電率が低い第3絶縁層を前記第1絶縁層と前記ゲート電極の底面との間に形成することを含む
請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スプリットゲート構造を有する金属-絶縁体-半導体電界効果トランジスタ(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MISFET)が開示されている。このスプリットゲート構造は、半導体層に形成されたゲートトレンチと、ゲートトレンチの底部に埋め込まれたフィールドプレート電極としての埋め込み電極と、ゲートトレンチの上部に埋め込まれたゲート電極と、を含む。ゲート電極およびフィールドプレート電極は、ゲートトレンチ内において絶縁層によって互いに離隔されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-129378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体層は、ドリフト領域と、ドリフト領域上に形成されたボディ領域と、ボディ領域上に形成されたソース領域と、を含む。ゲートトレンチは、ドリフト領域に達するようにソース領域およびボディ領域の双方を貫通している。
【0005】
ところで、ドレイン・ソース間に電圧が印加されると、ボディ領域直下のドリフト領域に電界集中が発生するため、半導体装置の耐圧の向上が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する半導体装置は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面を有する半導体層と、前記半導体層の前記第2面に形成され、側壁および底壁を有するとともに、前記半導体層の厚さ方向から視て第1方向に沿って延びたトレンチと、前記トレンチ内に形成されたフィールドプレート電極と、前記トレンチ内において前記フィールドプレート電極と少なくとも一部が対向している底面を含むゲート電極と、前記フィールドプレート電極および前記ゲート電極を相互に分離するとともに前記トレンチの前記側壁および前記底壁を覆う絶縁層と、を備え、前記半導体層は、第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域上に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域上に形成され、前記フィールドプレート電極と同電位となる第1導電型のソース領域と、を含み、前記絶縁層は、前記トレンチの前記側壁および前記底壁を覆うとともに前記フィールドプレート電極を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上において前記ドリフト領域と隣り合う位置に形成され、前記第1絶縁層よりも比誘電率が高い第2絶縁層と、を含み、前記フィールドプレート電極は、前記トレンチの前記底壁と対向している底面を含み、前記第2絶縁層は、前記トレンチの深さ方向において、前記フィールドプレート電極の底面と前記ゲート電極の底面との間に設けられている。
【0007】
上記課題を解決する半導体装置の製造方法は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面を有する半導体層を形成すること、前記半導体層の前記第2面に、側壁および底壁を有するとともに、前記半導体層の厚さ方向から視て第1方向に沿って延びたトレンチを形成すること、前記トレンチ内にフィールドプレート電極を形成すること、前記フィールドプレート電極と少なくとも一部が対向している底面を含むゲート電極を前記トレンチ内に形成すること、前記フィールドプレート電極および前記ゲート電極を相互に分離するとともに、前記トレンチの前記側壁および前記底壁を覆う絶縁層を形成すること、を含み、前記半導体層を形成することは、第1導電型のドリフト領域を形成すること、前記ドリフト領域上に第2導電型のボディ領域を形成すること、前記ボディ領域上に前記フィールドプレート電極と同電位となる第1導電型のソース領域を形成すること、を含み、前記絶縁層を形成することは、前記トレンチの前記側壁および前記底壁を覆うとともに前記フィールドプレート電極を覆う第1絶縁層を形成すること、前記第1絶縁層よりも比誘電率が高い第2絶縁層を、前記第1絶縁層上において前記ドリフト領域と隣り合う位置に形成すること、を含み、前記フィールドプレート電極は、前記トレンチの前記底壁と対向している底面を含み、前記第2絶縁層を形成することは、前記トレンチの深さ方向において、前記フィールドプレート電極の底面と前記ゲート電極の底面との間に前記第2絶縁層を形成することを含む。
【発明の効果】
【0008】
上記半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の耐圧の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態の半導体装置の平面図である。
図2図2は、図1のF2-F2線で半導体装置を切断した概略断面図である。
図3図3は、図2の半導体装置のうち1つのゲートトレンチおよびその周辺を拡大した概略断面図である。
図4図4は、図3の半導体装置のうち第2絶縁層およびその周辺を拡大した概略断面図である。
図5図5は、図1のF5-F5線で半導体装置を切断した概略断面図である。
図6図6は、一実施形態の半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
図7図7は、図6に続く製造工程を示す概略断面図である。
図8図8は、図7に続く製造工程を示す概略断面図である。
図9図9は、図8に続く製造工程を示す概略断面図である。
図10図10は、図9に続く製造工程を示す概略断面図である。
図11図11は、図10に続く製造工程を示す概略断面図である。
図12図12は、図11に続く製造工程を示す概略断面図である。
図13図13は、図12に続く製造工程を示す概略断面図である。
図14図14は、図13に続く製造工程を示す概略断面図である。
図15図15は、図14に続く製造工程を示す概略断面図である。
図16図16は、図15に続く製造工程を示す概略断面図である。
図17図17は、図16に続く製造工程を示す概略断面図である。
図18図18は、図17に続く製造工程を示す概略断面図である。
図19図19は、図18に続く製造工程を示す概略断面図である。
図20図20は、図19に続く製造工程を示す概略断面図である。
図21図21は、比較例の半導体装置における1つのゲートトレンチおよびその周辺を拡大した概略断面図である。
図22図22は、一実施形態の半導体装置における1つのゲートトレンチおよびその周辺を拡大した概略断面図である。
図23図23は、変更例の半導体装置における1つのゲートトレンチおよびその周辺を拡大した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の半導体装置のいくつかの実施形態を説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0011】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0012】
[半導体装置の平面構造]
図1を参照して、一実施形態の半導体装置の平面構造について説明する。
図1は、一実施形態に係る例示的な半導体装置10の概略平面構造を示している。なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、図1に示される互いに直交するXYZ軸のZ方向に半導体装置10を視ることをいう。明示的に別段の記載がない限り、「平面視」とは、半導体装置10をZ軸に沿って上方から視ることを指す。
【0013】
半導体装置10は、例えばスプリットゲート構造を有するMISFETである。半導体装置10は、半導体層12と、半導体層12に形成されたゲートトレンチ14と、半導体層12上に形成された絶縁層16と、を含む。ここで、本明細書においては、ゲートトレンチ14は「トレンチ」の一例である。
【0014】
半導体層12は、例えばシリコン(Si)によって形成することができる。半導体層12は、第1面12A、および第1面12Aとは反対側の第2面12B(ともに図2参照)を含み、第1面12Aに垂直な方向(Z方向)の厚さを有する。つまり、Z方向は「半導体層12の厚さ方向」であるといえる。
【0015】
ゲートトレンチ14は、半導体層12の第2面12Bに開口を有しており、Z方向に深さを有している。このため、ゲートトレンチ14は、第2面12Bに形成されているといえる。また、ゲートトレンチ14は、平面視でY方向に延びており、X方向に幅を有している。本明細書においては、Z方向を「ゲートトレンチ14の深さ方向」、Y方向を「第1方向」、X方向を「第2方向」ともいう。したがって、ゲートトレンチ14の深さ方向は、第1方向および第2方向の双方と直交しており、第2方向は、平面視で第1方向と直交している。
【0016】
半導体装置10は、複数(図1の例では4つ)のゲートトレンチ14を含む。複数のゲートトレンチ14は、ストライプ状に整列することができる。一例では、複数のゲートトレンチ14は、平面視でX方向に等間隔で配列されていてよい。ゲートトレンチ14内には、図2を参照して後述するゲート電極50およびフィールドプレート電極52を配置することができる。各ゲートトレンチ14は、Y方向における両端部として第1端部14Pおよび第2端部14Qを有する。
【0017】
半導体装置10は、半導体層12に形成された周縁トレンチ18をさらに含んでいてもよい。周縁トレンチ18は、ゲートトレンチ14から離隔されつつ、平面視で複数のゲートトレンチ14を取り囲むように形成することができる。一例では、周縁トレンチ18は、X方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる矩形枠状に形成されている。周縁トレンチ18内には、周縁トレンチ18の形状に沿って形成された周縁電極(図示略)を配置することができる。
【0018】
図1に示すように、半導体層12の第2面12Bは、n型不純物を含むn型領域20と、p型不純物を含むp型領域22と、n型不純物を含むn型領域24と、を含むことができる。n型領域20は、周縁トレンチ18を囲んでいてよい。また、p型領域22およびn型領域24は、周縁トレンチ18によって囲まれていてよい。つまり、n型領域20とp型領域22およびn型領域24とは、周縁トレンチ18によって区画されている。
【0019】
型領域22およびn型領域24は、Y方向に並んで配置されている。また、p型領域22は複数(図1の例では2つ)設けられていてよい。2つのp型領域22は、例えばn型領域24のY方向の両側に分散して設けられている。換言すると、n型領域24は、Y方向において2つのp型領域22の間に位置することができる。また、周縁トレンチ18の存在によってp型領域22とn型領域24との間のpn接合界面が露出しないため、半導体装置10の耐圧を向上させることができる。
【0020】
各ゲートトレンチ14は、p型領域22およびn型領域24の両方と隣接するように配置することができる。ゲートトレンチ14の第1端部14Pは、2つのp型領域22のうち1つに隣接することができ、ゲートトレンチ14の第2端部14Qは、2つのp型領域22のうち残りの1つに隣接することができる。一方、ゲートトレンチ14の中間部分は、n型領域24に隣接することができる。
【0021】
絶縁層16は、半導体層12の第2面12Bを覆うとともに、ゲートトレンチ14および周縁トレンチ18内に埋め込まれている。絶縁層16は、ゲート電極50およびフィールドプレート電極52と半導体層12とを絶縁する層である。
【0022】
半導体装置10は、絶縁層16上に形成されたゲート配線26およびソース配線28をさらに含むことができる。ゲート配線26およびソース配線28の各々は、ゲートトレンチ14の一部と、周縁トレンチ18の一部とを覆うように配置することができる。ゲート配線26は、2つのp型領域22のうち一方と少なくとも部分的に重なるように配置することができる。ソース配線28は、2つのp型領域22のうち他方と少なくとも部分的に重なるように配置することができる。ソース配線28は、ゲート配線26から離隔されつつ、少なくともn型領域24の全体を覆っていてよい。
【0023】
ゲート配線26およびソース配線28は、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、Cu合金、およびAl合金のうち少なくとも1つを含む材料によって形成することができる。
【0024】
半導体装置10は、複数のゲートコンタクト部30をさらに含むことができる。各ゲートコンタクト部30は、各ゲートトレンチ14内に配置されたゲート電極50(図2参照)をゲート配線26に接続することができる。ゲートコンタクト部30は、ゲート電極50とゲート配線26との間に位置する絶縁層16を貫通するようにZ方向に延びることができる。ゲートコンタクト部30は、平面視でゲートトレンチ14とゲート配線26とが重なる領域に配置することができる。より詳細には、ゲートコンタクト部30は、平面視でゲートトレンチ14の第1端部14Pとゲート配線26とが重なる領域に配置することができる。
【0025】
半導体装置10は、複数のソースコンタクト部32をさらに含むことができる。各ソースコンタクト部32は、各ゲートトレンチ14内に配置されたフィールドプレート電極52をソース配線28に接続することができる。ソースコンタクト部32は、フィールドプレート電極52とソース配線28との間に位置する絶縁層16を貫通するようにZ方向に延びることができる。ソースコンタクト部32は、平面視でゲートトレンチ14とソース配線28とが重なる領域に配置することができる。より詳細には、ソースコンタクト部32は、平面視でゲートトレンチ14の第2端部14Qとソース配線28とが重なる領域に配置することができる。
【0026】
半導体装置10は、平面視でY方向に延びる1つまたは複数のラインコンタクト部34をさらに含むことができる。ラインコンタクト部34は、平面視で少なくともn型領域24の端から端までY方向に延びていてよい。ラインコンタクト部34は、2つの隣り合うゲートトレンチ14の間に配置することができる。ラインコンタクト部34は、半導体層12内に形成されたコンタクト領域48(図2参照)をソース配線28に接続することができる。ラインコンタクト部34は、コンタクト領域48とソース配線28との間に位置する半導体層12および絶縁層16を貫通するようにZ方向に延びることができる。
【0027】
半導体装置10は、周縁トレンチ18内に配置された周縁電極(図示略)をソース配線28に接続する1つまたは複数のコンタクト部36をさらに含んでいてもよい。コンタクト部36の数および配置位置は、図1に示す例に限られず、任意に変更可能である。
【0028】
ゲートコンタクト部30、ソースコンタクト部32、ラインコンタクト部34、およびコンタクト部36は、任意の金属材料によって形成することができる。一例では、各コンタクト部30,32,34,36は、タングステン(W)、Ti、および窒化チタン(TiN)のうち少なくとも1つを含む材料によって形成することができる。
【0029】
[半導体装置の断面構造]
図2図5を参照して、半導体装置10の断面構造について説明する。
図2は、図1の半導体装置10をF2-F2線で切断した概略断面構造を示している。図3は、図2の1つのゲートトレンチ14およびその周辺を拡大した概略断面構造を示している。図4は、図3の後述する第2絶縁層72およびその周辺を拡大した概略断面構造を示している。図5は、図1の半導体装置10をF5-F5線で切断した概略断面構造を示している。
【0030】
半導体層12は、半導体層12の第1面12Aを含む半導体基板38と、半導体基板38上に形成され、半導体層12の第2面12Bを含むエピタキシャル層40と、を含むことができる。半導体基板38は、Siを含む材料によって形成されていてよい。一例では、半導体基板38は、Si基板であってよい。半導体基板38は、MISFETのドレイン領域に対応することができる。このため、半導体基板38は、「ドレイン領域38」と称する場合がある。エピタキシャル層40は、Si基板上にエピタキシャル成長されたSi層であってよい。エピタキシャル層40は、ドリフト領域42と、ドリフト領域42上に形成されたボディ領域44と、ボディ領域44上に形成されたソース領域46と、を含むことができる。ソース領域46は、半導体層12の第2面12Bを含むことができる。ソース領域46の上面(第2面12B)は、図1に示すn型領域24に対応している。エピタキシャル層40は、ラインコンタクト部34の下に位置するコンタクト領域48をさらに含むことができる。
【0031】
ドレイン領域38(半導体基板38)は、n型不純物を含むn型の領域であってよい。ドレイン領域38のn型不純物濃度は、例えば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下とすることができる。ドレイン領域38は、例えば50μm以上450μm以下の厚さを有してよい。
【0032】
ドリフト領域42は、ドレイン領域38よりも低い濃度のn型不純物を含むn型の領域であってよい。ドリフト領域42のn型不純物濃度は、例えば1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下とすることができる。ドリフト領域42は、例えば1μm以上25μm以下の厚さを有してよい。
【0033】
ボディ領域44は、p型不純物を含むp型の領域であってよい。ボディ領域44のp型不純物濃度は、例えば1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下とすることができる。ボディ領域44は、例えば0.5μm以上1.5μm以下の厚さを有してよい。
【0034】
ソース領域46は、ドリフト領域42よりも高い濃度のn型不純物を含むn型の領域であってよい。ソース領域46のn型不純物濃度は、例えば1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下とすることができる。ソース領域46は、例えば0.1μm以上1μm以下の厚さを有してよい。
【0035】
コンタクト領域48は、p型不純物を含むp型領域であってよい。コンタクト領域48は、ボディ領域44に形成されている。より詳細には、コンタクト領域48は、ボディ領域44のうちX方向において隣り合う2つのゲートトレンチ14の間に形成されている。コンタクト領域48のp型不純物濃度は、ボディ領域44よりも高く、例えば1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下とすることができる。
【0036】
なお、本開示において、n型を第1導電型、およびp型を第2導電型ともいう。n型不純物は、例えば、リン(P)、ヒ素(As)などであってよい。また、p型不純物は、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)などであってよい。
【0037】
ゲートトレンチ14は、側壁14Aおよび底壁14Bを有し、底壁14Bは、ドリフト領域42に隣接している。すなわち、ゲートトレンチ14は、半導体層12のソース領域46およびボディ領域44を貫通してドリフト領域42に達している。ゲートトレンチ14の深さは、例えば1μm以上10μm以下であってよい。ゲートトレンチ14の深さは、半導体層12の第2面12Bからゲートトレンチ14の底壁14B(底壁14Bが湾曲している場合にはゲートトレンチ14の最深部)までのZ方向の距離と定義することができる。ここで、Z方向は「ゲートトレンチ14(トレンチ)の深さ方向」に対応している。
【0038】
ゲートトレンチ14の側壁14Aは、半導体層12の第2面12Bに対して垂直な方向(Z方向)に延びていてよい。また、側壁14Aは、例えばゲートトレンチ14の幅が底壁14Bに向かって小さくなるようにZ方向に対して傾斜していてもよい。また、ゲートトレンチ14の底壁14Bは、必ずしも平坦でなくてもよく、例えばその一部または全部が湾曲していてもよい。
【0039】
半導体装置10は、ゲートトレンチ14内に配置されたゲート電極50と、ゲートトレンチ14内に配置され、Z方向においてゲート電極50から下方に離隔されたフィールドプレート電極52と、をさらに含むことができる。フィールドプレート電極52は、絶縁層16を介してゲート電極50と対向する対向面52Aと、絶縁層16を介してゲートトレンチ14の底壁14Bと対向する底面52Bと、対向面52Aと底面52Bとを接続する側面52Cと、を含む。フィールドプレート電極52の対向面52Aは、Z方向においてゲート電極50よりもゲートトレンチ14の底壁14B寄りに位置している。
【0040】
ゲート電極50は、フィールドプレート電極52の対向面52Aと少なくとも一部が対向している底面50Aと、底面50Aとは反対側の上面50Bとを含むことができる。ゲート電極50の底面50Aの少なくとも一部は、フィールドプレート電極52の対向面52AとZ方向に対向していてよい。ゲート電極50の上面50Bは、例えばZ方向において半導体層12の第2面12Bと同じ位置としてもよい。別の例では、ゲート電極50の上面50Bは、例えば半導体層12の第2面12Bよりもゲートトレンチ14の底壁14B寄りに位置していてもよい。ゲート電極50の底面50Aおよび上面50Bの双方は、平坦であってよいし、湾曲していてもよい。ゲート電極50は、図2に示すように略一様な幅(X方向の寸法)を有してよい。別の例では、ゲート電極50は、上面50Bから底面50Aに向かうにつれて減少する幅を有してもよい。
【0041】
絶縁層16は、ゲート電極50と半導体層12との間に介在してゲートトレンチ14の側壁14Aを覆うことができる。ゲート電極50は、絶縁層16を介して半導体層12とX方向に対向している。ゲート電極50に所定の電圧が印加されると、絶縁層16と隣接するp型のボディ領域44内にチャネルが形成される。半導体装置10は、このチャネルを介したn型のソース領域46とn型のドリフト領域42との間のZ方向の電子の流れを制御することができる。
【0042】
ゲート電極50は、その底面50Aがドリフト領域42とボディ領域44との界面よりもZ方向においてゲートトレンチ14の底壁14B寄りとならないような位置にあってよい。一例では、ゲート電極50は、その底面50Aがドリフト領域42とボディ領域44との界面とZ方向において同じ位置となるように配置されていてよい。別の例では、ゲート電極50は、その底面50Aがドリフト領域42とボディ領域44との界面よりも半導体層12の第2面12B寄りに位置するように配置されていてもよい。
【0043】
フィールドプレート電極52は、ゲートトレンチ14内において、ゲート電極50の底面50Aと、ゲートトレンチ14の底壁14Bとの間に配置されている。フィールドプレート電極52は、ソース領域46と同電位とすることができる。フィールドプレート電極52にソース電圧を印加することによって、ゲートトレンチ14内の電界集中が緩和されるので半導体装置10の耐圧の向上を図ることができる。フィールドプレート電極52は、図2の断面視において、Z方向が長さ方向(長手方向)となり、X方向が幅方向(短手方向)となる矩形状に形成されている。ゲート電極50およびフィールドプレート電極52は、例えば導電性のポリシリコンによって形成することができる。
【0044】
半導体装置10は、半導体層12の第1面12Aに形成されたドレイン電極54をさらに含むことができる。ドレイン電極54は、ドレイン領域38と電気的に接続されている。ドレイン電極54は、Ti、Ni、Au、Ag、Cu、Al、Cu合金、およびAl合金のうち少なくとも1つを含む材料によって形成されてよい。
【0045】
図2に示す断面において、絶縁層16上にはソース配線28が形成されている。ソース配線28は、絶縁層16を覆うとともに、ラインコンタクト部34を介してコンタクト領域48と電気的に接続されている。
【0046】
[絶縁層の断面構造]
以下、図3および図4を参照して、フィールドプレート電極52およびゲート電極50を覆う絶縁層16についてさらに詳しく説明する。各構成要素の寸法関係は、主に図4を参照されたい。
【0047】
図3に示すように、絶縁層16は、ゲートトレンチ14の側壁14Aおよび底壁14Bを覆うとともにフィールドプレート電極52を覆う第1絶縁層56を含むことができる。第1絶縁層56は、例えばSiOを含む材料によって形成することができる。一例では、第1絶縁層56は、SiO膜によって形成されてよい。
【0048】
第1絶縁層56は、底部絶縁部58および側面絶縁部60を含むことができる。底部絶縁部58は、フィールドプレート電極52の底面52Bと半導体層12とのZ方向の間に介在し、ゲートトレンチ14の底壁14Bを覆っている。側面絶縁部60は、フィールドプレート電極52の側面52Cと半導体層12とのX方向の間に介在し、フィールドプレート電極52の側面52Cを覆っている。一例では、底部絶縁部58および側面絶縁部60は一体に形成されていてよい。
【0049】
側面絶縁部60は、第1側面絶縁部62、第1介在部64、第2介在部66、および第2側面絶縁部68を含むことができる。一例では、第1側面絶縁部62、第1介在部64、第2介在部66、および第2側面絶縁部68は一体に形成されていてよい。
【0050】
第1側面絶縁部62は、側面絶縁部60のうち底部絶縁部58寄りに形成された絶縁部である。第1側面絶縁部62は、フィールドプレート電極52の側面52Cと半導体層12とのX方向の間に介在し、ゲートトレンチ14の側壁14Aを覆っている。
【0051】
第1介在部64は、側面絶縁部60のうち第1側面絶縁部62よりもゲート電極50寄りに形成された絶縁部である。第1介在部64は、フィールドプレート電極52の側面52Cと半導体層12とのX方向の間に介在し、ゲートトレンチ14の側壁14AからX方向に離隔した位置に形成されている。第1介在部64は、フィールドプレート電極52の側面52Cと接している。このため、第1介在部64の幅W2(X方向の寸法)は、第1側面絶縁部62の幅W1(X方向の寸法)よりも狭い。
【0052】
第2介在部66は、側面絶縁部60のうち第1側面絶縁部62よりもゲート電極50寄りに形成された絶縁部である。第2介在部66は、Z方向において第1介在部64と同じ位置となる部分を含む。一方、第2介在部66は、Z方向において第1介在部64よりも第2面12Bに向けて延びている。第2介在部66は、フィールドプレート電極52からX方向に離隔して形成されている。このため、第2介在部66の幅W3(X方向の寸法)は、第1側面絶縁部62の幅W1よりも狭い。一例では、第2介在部66の幅W3は、第1介在部64の幅W2と等しい。ここで、第2介在部66の幅W3と第1介在部64の幅W2との差が例えば第2介在部66の幅W3の10%以内であれば、第2介在部66の幅W3が第1介在部64の幅W2と等しいといえる。
【0053】
第2側面絶縁部68は、半導体層12の第2面12Bを覆う絶縁層16に接続されている。第2側面絶縁部68は、ゲートトレンチ14の側壁14Aを覆っている。一例では、第2側面絶縁部68は、ゲート電極50の側面50Cと、ゲートトレンチ14の側壁14Aを構成する半導体層12との双方に接している。第2側面絶縁部68は、第2介在部66と連続している。第2側面絶縁部68の幅W4(X方向の寸法)は、例えば第2介在部66の幅W3(X方向の寸法)と等しくてよい。
【0054】
第1絶縁層56は、フィールドプレート電極52の対向面52Aを覆う対向絶縁部70をさらに含むことができる。対向絶縁部70は、対向面52Aの全面にわたり接していてよい。対向絶縁部70は、第1介在部64からZ方向と直交する方向に延びている。つまり、対向絶縁部70は、図3の断面視においてX方向に延びている。対向絶縁部70は、図5の断面視においてY方向に延びている。図3に示すように、一例では、対向絶縁部70の厚さT1は、例えば第1介在部64の幅W2と等しくてよい。ここで、対向絶縁部70の厚さT1と第1介在部64の幅W2との差が例えば第1介在部64の幅W2の10%以内であれば、対向絶縁部70の厚さT1が第1介在部64の幅W2と等しいといえる。
【0055】
絶縁層16は、第1絶縁層56上においてドリフト領域42と隣り合う位置に形成された第2絶縁層72をさらに含むことができる。第2絶縁層72は、Z方向において、フィールドプレート電極52の底面52Bとゲート電極50の底面50Aとの間に設けられている。このため、第2絶縁層72は、ゲート電極50の底面50Aよりも半導体層12の第2面12B寄りの部分には設けられていない。つまり、第2絶縁層72は、ゲート電極50とゲートトレンチ14の側壁14AとのX方向の間には介在していない。一例では、ゲート電極50とゲートトレンチ14の側壁14AとのX方向の間には、第1絶縁層56のみが介在している。
【0056】
第2絶縁層72は、第1絶縁層56よりも比誘電率が高い。第2絶縁層72は、例えば窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、および二酸化ハフニウム(HfO)のうち少なくとも1つを含む材料によって形成することができる。一例では、第2絶縁層72は、SiN膜によって形成されてよい。第2絶縁層72の比誘電率は、例えばSiおよびNの組成比に基づいて、第1絶縁層56の比誘電率よりも高くなるように調整されている。なお、第2絶縁層72は、SiON膜によって形成されてもよいし、HfO膜によって形成されてもよい。
【0057】
第2絶縁層72は、対向部74および側面対向部76を含むことができる。この実施形態では、対向部74および側面対向部76は一体に形成されていてよい。
対向部74は、ゲートトレンチ14の深さ方向(Z方向)におけるゲート電極50とフィールドプレート電極52との間に設けられている。対向部74は、第1絶縁層56の対向絶縁部70上に形成されている。対向絶縁部70は、Z方向において対向部74とフィールドプレート電極52の対向面52Aとに挟み込まれた部分を含むといえる。
【0058】
図3の断面視において、対向部74は、X方向に沿って延びていてよい。つまり、図3の断面視において、対向部74は、ゲートトレンチ14の幅方向に延びているといえる。図5の断面視において、対向部74は、Y方向に沿って延びていてよい。一例では、対向部74は、ゲート電極50よりもゲートトレンチ14の第2端部14Q寄りに位置するように延びている。
【0059】
側面対向部76は、フィールドプレート電極52の側面52Cに対向配置された部分を含む。側面対向部76は、第1側面対向部78、第2側面対向部80、および接続部82を含む。一例では、第1側面対向部78、第2側面対向部80、および接続部82は一体に形成されていてよい。
【0060】
第1側面対向部78は、対向部74からゲートトレンチ14の底壁14Bに向けて延びている。第1側面対向部78は、例えばゲートトレンチ14の側壁14Aに沿って延びていてよい。このため、第1側面対向部78は、側壁14Aと平行に延びているといえる。第1側面対向部78は、X方向においてフィールドプレート電極52の側面52Cとゲートトレンチ14の側壁14Aとの間に配置されている。第1側面対向部78は、フィールドプレート電極52の側面52Cおよびゲートトレンチ14の側壁14Aの双方とX方向に離隔して配置されている。第1側面対向部78は、第1絶縁層56と接している。より詳細には、第1側面対向部78は、第1介在部64に対してゲートトレンチ14の側壁14A寄りに配置された状態で第1介在部64と接している。このように、第1介在部64は、X方向において第1側面対向部78とフィールドプレート電極52の側面52Cとに挟み込まれているともいえる。
【0061】
第2側面対向部80は、第1側面対向部78からゲートトレンチ14の側壁14A寄りに離隔した状態で第1側面対向部78と対向配置されている。第2側面対向部80は、例えばゲートトレンチ14の側壁14Aに沿って延びていてよい。このため、第2側面対向部80は、側壁14Aと平行に延びているといえる。また、第2側面対向部80は、第1側面対向部78と平行に延びているともいえる。第2側面対向部80は、X方向においてゲートトレンチ14の側壁14AからX方向に離隔して配置されている。第2側面対向部80は、第1絶縁層56と接している。より詳細には、第2側面対向部80は、第2介在部66に対してフィールドプレート電極52寄りに配置された状態で第2介在部66と接している。第2側面対向部80は、第1側面対向部78と第2介在部66とのX方向の間に配置されているともいえる。
【0062】
接続部82は、第1側面対向部78のうちゲートトレンチ14の底壁14B寄りの端部と第2側面対向部80とを接続していてよい。図3に示す例では、接続部82は、第2側面対向部80のうちゲートトレンチ14の底壁14B寄りの端部に接続されている。接続部82は、Z方向においてフィールドプレート電極52の中央よりもゲート電極50寄りに設けられていてよい。つまり、第1側面対向部78および第2側面対向部80の双方は、Z方向においてフィールドプレート電極52の側面52Cのうち中央よりもゲート電極50寄りの部分を覆っているといえる。一例では、接続部82は、フィールドプレート電極52の対向面52AからZ方向においてフィールドプレート電極52の長さ寸法LF(Z方向の寸法)の1/3程度の位置に設けられていてよい。このように、側面対向部76は、第1側面対向部78、第2側面対向部80、および接続部82によってゲート電極50に向けて開口する凹部84を形成している。
【0063】
第2絶縁層72は、突出部86をさらに含むことができる。突出部86は、第2側面対向部80から連続して形成されており、対向部74からゲート電極50に向けて突出している。突出部86は、第2側面対向部80と一体に形成されていてよい。突出部86は、ゲートトレンチ14の側壁14Aに沿って延びていてよい。このため、突出部86は、側壁14Aと平行に延びているといえる。突出部86は、Z方向においてゲート電極50と対向配置されている。
【0064】
ゲート電極50のうち突出部86とZ方向に対向する部分は、ゲート電極50の底面50Aから突出部86に向けて突出するゲート側突出部88を含むことができる。ゲート側突出部88は、ゲート電極50と一体に形成されていてよい。ゲート側突出部88は、X方向におけるゲート電極50の両端部に設けられている。ゲート側突出部88は、Z方向においてボディ領域44とドリフト領域42との境界よりもドリフト領域42寄りに突出している。
【0065】
図4に示すように、Z方向における突出部86とゲート側突出部88との間には酸化膜90が介在している。酸化膜90は、例えば酸化シリコン(SiO)を含む材料によって形成されていてよい。一例では、酸化膜90は、SiO膜である。酸化膜90の厚さT3は、例えば第2絶縁層72の厚さT2よりも薄くてよい。
【0066】
第2絶縁層72のX方向の最大寸法WDは、ゲート電極50のX方向の最大寸法WG以下であってよい。一例では、第2絶縁層72のX方向の最大寸法WDは、ゲート電極50のX方向の最大寸法WGと等しくてよい。
【0067】
図3に示すように、絶縁層16は、Z方向において第2絶縁層72とゲート電極50との間に形成された第3絶縁層92を含むことができる。第3絶縁層92は、第2絶縁層72よりも比誘電率が低くてよい。一例では、第3絶縁層92は、第1絶縁層56と比誘電率が等しくてよい。第3絶縁層92は、SiOを含む材料によって形成されていてよい。一例では、第3絶縁層92は、SiO膜である。
【0068】
第3絶縁層92は、第2絶縁層72、ゲート電極50、および酸化膜90(図4参照)によって囲まれた部分に設けられている。第3絶縁層92は、第2絶縁層72の対向部74上に設けられた誘電部94と、第2絶縁層72の凹部84に入り込んだ埋込部96と、を含むことができる。誘電部94および埋込部96は一体に形成されていてよい。
【0069】
誘電部94は、第3絶縁層92のうちゲート電極50の底面50Aと第2絶縁層72の対向部74とに挟み込まれた部分である。誘電部94の厚さT4は、第1絶縁層56の対向絶縁部70の厚さT1よりも厚くてよい。一例では、誘電部94の厚さT4は、対向絶縁部70の厚さT1の2倍以上である。一例では、誘電部94の厚さT4は、対向絶縁部70の厚さT1の5倍以下である。
【0070】
埋込部96は、図3の断面視においてゲートトレンチ14の側壁14Aに沿って延びていてよい。埋込部96は、第2絶縁層72の第1側面対向部78と第2側面対向部80とのX方向の間に配置されているといえる。このように、フィールドプレート電極52のうちZ方向の中央よりも対向面52A寄りの部分の側面52Cとゲートトレンチ14の側壁14AとのX方向の間には、側面52Cから側壁14Aに向かうにつれて第1絶縁層56の第1介在部64、第2絶縁層72の第1側面対向部78、第3絶縁層92の埋込部96、第2絶縁層72の第2側面対向部80、および第1絶縁層56の第2介在部66の順に設けられている。
【0071】
[半導体装置の製造方法]
図6図20を参照して、半導体装置10の製造方法の一例について説明する。
図6図20は、半導体装置10の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、理解を容易にするために、図6図20では、図2図4の構成要素と同様な構成要素には同一の符号を付している。
【0072】
図6に示すように、半導体装置10の製造方法は、半導体基板38上にエピタキシャル層40を形成することを含む。これにより、半導体基板38およびエピタキシャル層40を含む半導体層12が形成される。半導体基板38は、n型不純物を含むSi基板であってよい。エピタキシャル層40は、n型不純物をドーピングしながら半導体基板38上にエピタキシャル成長させたn型のSi層であってよい。
【0073】
図7に示すように、半導体装置10の製造方法は、半導体層12に側壁14Aおよび底壁14Bを有するゲートトレンチ14を形成することを含む。この工程では、半導体層12の第2面12Bに形成された所定パターンのマスク(図示略)を用いたエッチングによってエピタキシャル層40の一部が選択的に除去される。これにより、半導体層12の第2面12Bに開口を有するゲートトレンチ14を形成することができる。ゲートトレンチ14は、平面視においてY方向に沿って延びている。ここで、Y方向は「第1方向」に対応している。またZ方向は「ゲートトレンチ14(トレンチ)の深さ方向」に対応している。
【0074】
図8に示すように、半導体装置10の製造方法は、半導体層12上に第1SiO系絶縁層100を形成することを含む。第1SiO系絶縁層100は、半導体層12の第2面12Bと、ゲートトレンチ14の側壁14Aおよび底壁14Bとに沿って形成することができる。一例では、第1SiO系絶縁層100は、熱酸化法で形成されたSiOであってよい。別の例では、第1SiO系絶縁層100は、化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法で形成されたSiOであってよい。このように、第1SiO系絶縁層100は、SiO膜であってよい。
【0075】
この工程において形成される第1SiO系絶縁層100の厚さを調整することによって、最終的に形成されるフィールドプレート電極52の底面52B(図3参照)の寸法(例えばX方向の寸法)を調整することができる。第1SiO系絶縁層100は、ゲートトレンチ14を完全に埋め込むほど厚くは形成されない。第1SiO系絶縁層100によって埋め込まれていないゲートトレンチ14内に形成されたリセス空間は、後の工程において、フィールドプレート電極52を形成するために用いることができる。
【0076】
図9および図10に示すように、半導体装置10の製造方法は、ゲートトレンチ14内にフィールドプレート電極52(図10参照)を形成することを含む。
図9に示すように、ゲートトレンチ14内にフィールドプレート電極52を形成することは、第1SiO系絶縁層100上に第1導電体層102を形成することを含む。第1導電体層102の一部は、ゲートトレンチ14内に形成されたリセス空間に埋め込まれる。これにより、ゲートトレンチ14を、第1SiO系絶縁層100および第1導電体層102によって埋め込むことができる。第1導電体層102は、例えば導電性のポリシリコンであってよい。第1導電体層102は、例えばスパッタリングによって形成することができる。
【0077】
図10に示すように、ゲートトレンチ14内にフィールドプレート電極52を形成することは、第1導電体層102の一部をエッチングによって除去することを含む。この工程では、第1導電体層102がエッチングされることによって半導体層12の第2面12Bを覆う第1SiO系絶縁層100を露出させる一方、ゲートトレンチ14内の第1導電体層102の上面をゲートトレンチ14の深さ方向(Z方向)の途中に位置させることができる。以上の工程を経て、フィールドプレート電極52が形成される。
【0078】
図11に示すように、半導体装置10の製造方法は、第1SiO系絶縁層100の一部をエッチングによって除去することを含む。この工程では、第1SiO系絶縁層100のうちゲートトレンチ14内におけるフィールドプレート電極52のZ方向の中央よりも対向面52A寄りの部分に対して半導体層12の第2面12B寄りに形成された部分と、半導体層12の第2面12B上に形成された部分とをエッチングすることができる。その結果、フィールドプレート電極52のZ方向の中央よりも対向面52A寄りの部分の側面52Cおよび対向面52Aを露出させることができる。また、ゲートトレンチ14の側壁14Aの一部および半導体層12の第2面12Bを露出させることができる。また、第1SiO系絶縁層100から第1絶縁層56の底部絶縁部58および第1側面絶縁部62を形成することができる。
【0079】
図12に示すように、半導体装置10の製造方法は、半導体層12上に第2SiO系絶縁層104を形成することを含む。第2SiO系絶縁層104は、フィールドプレート電極52のうち露出した部分と、ゲートトレンチ14の側壁14Aのうち露出した部分と、半導体層12の第2面12Bとに沿って形成することができる。一例では、第2SiO系絶縁層104は、熱酸化法で形成されたSiOであってよい。別の例では、第2SiO系絶縁層104は、CVD法で形成されたSiOであってよい。このように、第2SiO系絶縁層104は、SiO膜であってよい。第2SiO系絶縁層104は、比較的薄い厚さで形成することができる。一例では、第2SiO系絶縁層104は、第1SiO系絶縁層100よりも薄い厚さで形成してよい。
【0080】
この工程において、第2SiO系絶縁層104によって第1絶縁層56の第1介在部64、第2介在部66、第2側面絶縁部68、および対向絶縁部70が形成される。つまり、図8図9、および図12に示すSiO系絶縁層を形成する工程によって第1絶縁層56が形成される。このため、半導体装置10の製造方法は、ゲートトレンチ14の側壁14Aおよび底壁14Bを覆うとともにフィールドプレート電極52を覆う第1絶縁層56を形成することを含む。
【0081】
図13に示すように、半導体装置10の製造方法は、第2SiO系絶縁層104上にSiN系絶縁層106を形成することを含む。SiN系絶縁層106は、半導体層12の第2面12B上に形成された第2SiO系絶縁層104上と、第1介在部64および対向絶縁部70を構成する第2SiO系絶縁層104上と、第2介在部66および第2側面絶縁部68を構成する第2SiO系絶縁層104上とに形成することができる。一例では、SiN系絶縁層106は、LP(low pressure)-CVD法で形成されたSiNであってよい。つまり、SiN系絶縁層106はSiN膜であってよい。SiN系絶縁層106は、SiおよびNの組成比を調整することによって第1絶縁層56よりも比誘電率を高くすることができる。また、SiN系絶縁層106は、比較的薄い厚さで形成することができる。一例では、SiN系絶縁層106は、第1SiO系絶縁層100(図10参照)よりも薄い厚さで形成してよい。また一例では、SiN系絶縁層106は、第2SiO系絶縁層104と同じ厚さで形成してよい。また一例では、SiN系絶縁層106は、第2SiO系絶縁層104よりも厚い厚さで形成してよい。また一例では、SiN系絶縁層106は、第2SiO系絶縁層104よりも薄い厚さで形成してよい。このように、SiN系絶縁層106の厚さは任意に変更可能である。
【0082】
図14に示すように、半導体装置10の製造方法は、SiN系絶縁層106上に第3SiO系絶縁層108を形成することを含む。第3SiO系絶縁層108は、ゲートトレンチ14内のリセス空間を埋めることができる。第3SiO系絶縁層108は、半導体層12の第2面12B上に形成されたSiN系絶縁層106上に形成することができる。一例では、第3SiO系絶縁層108は、CVD法によって形成されたSiOであってよい。より詳細には、第3SiO系絶縁層108は、CVD法の一種であるHDP(high density plasma)とLP-CVD法との併用によって形成されたSiOであってよい。つまり、第3SiO系絶縁層108は、SiO膜であってよい。このため、第3SiO系絶縁層108は、SiN系絶縁層106よりも比誘電率が低い。
【0083】
図15に示すように、半導体装置10の製造方法は、第3SiO系絶縁層108の一部をエッチングによって除去することを含む。この工程では、第3SiO系絶縁層108の一部をエッチングすることによってゲートトレンチ14の側壁14Aに形成されたSiN系絶縁層106および半導体層12の第2面12B上に形成されたSiN系絶縁層106が露出させる一方、ゲートトレンチ14内の第3SiO系絶縁層108の上面をゲートトレンチ14の深さ方向(Z方向)の途中に位置させることができる。第3SiO系絶縁層108の上面は、例えば化学的機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)法によって研磨することができる。その結果、第3SiO系絶縁層108の上面は、Z方向と直交する平坦面に形成することができる。以上の工程を経て、SiN系絶縁層106上の一部に第3絶縁層92が形成される。ここで、第3SiO系絶縁層108の上面は、第3SiO系絶縁層108のうち半導体層12の第2面12Bと同じ側を向く面である。
【0084】
図16に示すように、半導体装置10の製造方法は、SiN系絶縁層106の一部をエッチングによって除去することを含む。エッチングとしては例えばウェットエッチングが用いられてよい。この工程では、SiN系絶縁層106の一部をエッチングすることによってゲートトレンチ14の側壁14Aに形成された第2SiO系絶縁層104と、半導体層12の第2面12B上に形成された第2SiO系絶縁層104とを露出させることができる。
【0085】
図13および図16に示す工程を経て、SiN系絶縁層106から第2絶縁層72が形成される。図16に示すように、第2絶縁層72の突出部86の先端面は、第3絶縁層92の上面(第3SiO系絶縁層108の上面)よりもフィールドプレート電極52寄りに位置している。つまり、第3絶縁層92、第2絶縁層72の突出部86、および第1絶縁層56の第2側面絶縁部68によって凹部110が形成されている。
【0086】
図示していないが、半導体装置10の製造方法は、酸化膜を形成する工程を含む。この工程では、熱酸化法によってゲートトレンチ14の側壁14Aおよび半導体層12の第2面12Bを覆う第2SiO系絶縁層104上、第3絶縁層92上、および第2絶縁層72のうち露出した突出部86の端面上にそれぞれ酸化膜が形成される。酸化膜は、例えばSiO膜である。続いて、例えばエッチングによって第2SiO系絶縁層104上および第3絶縁層92上の酸化膜を除去する。これにより、突出部86の端面上に形成された酸化膜90(図4参照)が形成される。なお、図17以降においても、便宜上、酸化膜90を図示していない。
【0087】
図17および図18に示すように、半導体装置10の製造方法は、ゲート電極50をゲートトレンチ14内に形成することを含む。
図17に示すように、ゲート電極50をゲートトレンチ14内に形成することは、第3絶縁層92上および第2SiO系絶縁層104上に第2導電体層112を形成することを含む。第2導電体層112の一部は、ゲートトレンチ14内に形成されたリセス空間に埋め込まれる。第2導電体層112の一部は、半導体層12の第2面12Bを覆う第2SiO系絶縁層104上に形成することができる。第2導電体層112の一部は、凹部110に埋め込むことができる。第2導電体層112は、例えば導電性のポリシリコンであってよい。第2導電体層112は、例えばスパッタリングによって形成することができる。
【0088】
図18に示すように、ゲート電極50をゲートトレンチ14内に形成することは、第2導電体層112の一部をエッチングによって除去することを含む。この工程では、第2導電体層112がエッチングされることによって、半導体層12の第2面12Bを覆う第2SiO系絶縁層104を露出させる。以上の工程を経て、ゲート電極50が形成される。第2導電体層112のうち凹部110に埋め込まれた部分は、ゲート側突出部88を形成することができる。
【0089】
このように、ゲート電極50は、第2絶縁層72よりも半導体層12の第2面12B寄りに形成することができる。これにより、第2絶縁層72は、Z方向においてフィールドプレート電極52の底面52Bとゲート電極50の底面50Aとの間に形成することができる。つまり、第2絶縁層72を形成することは、Z方向においてフィールドプレート電極52の底面52Bとゲート電極50の底面50Aとの間に形成することを含む。
【0090】
図19に示すように、半導体装置10の製造方法は、エピタキシャル層40内にドリフト領域42、ボディ領域44、およびソース領域46を形成することを含む。この工程では、マスク(図示略)を用いたイオン注入によってn型のSi層であるエピタキシャル層40の表面(半導体層12の第2面12B)からp型不純物が注入され、次いでn型不純物が注入される。これにより、ドリフト領域42上にボディ領域44を形成することができる。ボディ領域44上にソース領域46を形成することができる。以上の工程を経て、半導体層12が形成される。つまり、半導体層12を形成することは、n型のドリフト領域42を形成すること、ドリフト領域42上にp型のボディ領域44を形成すること、およびボディ領域44上にn型のソース領域46を形成することを含む。
【0091】
この場合、第2絶縁層72は、ボディ領域44よりも半導体層12の第1面12A寄りに位置してよい。つまり、第2絶縁層72は、第1絶縁層56上においてドリフト領域42と隣り合う位置に形成することができる。より詳細には、第2絶縁層72は、X方向において第1絶縁層56(第2側面絶縁部78)を介してドリフト領域42と隣り合う位置に形成することができる。
【0092】
図20に示すように、半導体装置10の製造方法は、第2SiO系絶縁層104およびゲート電極50を覆う第4SiO系絶縁層114を形成することと、コンタクトトレンチ116およびコンタクト領域48を形成することと、を含む。
【0093】
第4SiO系絶縁層114を形成することは、ゲートトレンチ14の第2SiO系絶縁層104およびゲート電極50によって形成されたリセス空間と、半導体層12の第2面12Bを覆う第2SiO系絶縁層104上とに第4SiO系絶縁層114を形成することができる。第4SiO系絶縁層114は、リセス空間を埋めることができる。一例では、第4SiO系絶縁層114は、CVD法で形成されたSiOであってよい。このように、第4SiO系絶縁層114は、SiO膜であってよい。第4SiO系絶縁層114は、比較的厚い厚さで形成することができる。一例では、第4SiO系絶縁層114は、第2絶縁層72よりも厚い厚さで形成することができる。以上の工程を経て、絶縁層16が形成される。
【0094】
コンタクトトレンチ116は、半導体層12の第2面12B上の第4SiO系絶縁層114および第2SiO系絶縁層104の一部と、半導体層12の一部とをエッチングすることによって形成することができる。これにより、コンタクトトレンチ116は、半導体層12の第2面12Bを開口している。その後、コンタクトトレンチ116の底壁116Aにp型不純物を注入することによって、コンタクトトレンチ116の底壁116Aにコンタクト領域48を形成することができる。
【0095】
図20に示す工程の後、コンタクトトレンチ116内の金属層(例えばW、Ti、TiN、またはこれらの任意の組み合わせ)が埋め込まれることによって、図3に示すラインコンタクト部34を形成することができる。これと同時に、図1に示すコンタクト部30,32,36も形成することができる。続いて、絶縁層16上にゲート配線26(図1参照)およびソース配線28を形成し、半導体層12の第1面12Aにドレイン電極54(図2参照)を形成することによって、半導体装置10を得ることができる。また、この工程によって、ソース領域46は、フィールドプレート電極52と同電位とすることができる。
【0096】
半導体装置10の製造方法は、順次実行される複数の製造工程を含むものとして上記に説明されているが、いくつかの製造工程は並列に実行されてもよく、異なる順序で実行されてもよいことを理解されたい。また、いくつかの製造工程は省略されてもよく、いずれかの製造工程において上記の例とは異なる処理が実行されてもよい。
【0097】
[作用]
この実施形態の半導体装置10の作用について説明する。
図21は、比較例の半導体装置10Xの1つのゲートトレンチ14およびその周辺の断面構造を示している。図22は、この実施形態の半導体装置10の1つのゲートトレンチ14およびその周辺の断面構造を示している。図21および図22において、「+」印は、ドナーを示している。
【0098】
図21に示すように、比較例の半導体装置10Xは、半導体装置10から第2絶縁層72(図22参照)が省略された構成である。つまり、ゲートトレンチ14内は、第1絶縁層56、フィールドプレート電極52、およびゲート電極50によって埋められている。
【0099】
比較例の半導体装置10Xでは、ドレイン電極54に電圧が印加されると、ボディ領域44直下のドリフト領域42においてドナーが十分にイオン化しない。その結果、ボディ領域44直下のドリフト領域42において電界集中が発生するので、比較例の半導体装置10Xの耐圧の向上を図ることが難しい。
【0100】
図22に示すように、この実施形態の半導体装置10では、第1絶縁層56よりも比誘電率が高い第2絶縁層72がゲートトレンチ14内のドリフト領域42に隣り合う位置に設けられている。これにより、ボディ領域44直下のドリフト領域42からZ方向に空乏層を延ばすことができるため、ボディ領域44直下のドリフト領域42における電界集中を緩和することができる。したがって、半導体装置10の耐圧の向上を図ることができる。
【0101】
[効果]
この実施形態の半導体装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1)半導体装置10は、第1面12Aと、第1面12Aとは反対側の第2面12Bを有する半導体層12と、半導体層12の第2面12Bに形成され、側壁14Aおよび底壁14Bを有するとともに、平面視においてY方向に沿って延びたゲートトレンチ14と、ゲートトレンチ14内に形成されたフィールドプレート電極52と、ゲートトレンチ14内においてフィールドプレート電極52と少なくとも一部が対向している底面50Aを含むゲート電極50と、フィールドプレート電極52およびゲート電極50を相互に分離するとともにゲートトレンチ14の側壁14Aおよび底壁14Bを覆う絶縁層16と、を備える。半導体層12は、n型のドリフト領域42と、ドリフト領域42上に形成されたp型のボディ領域44と、ボディ領域44上に形成され、フィールドプレート電極52と同電位となるn型のソース領域46と、を含む。絶縁層16は、側壁14Aおよび底壁14Bを覆うとともにフィールドプレート電極52を覆う第1絶縁層56と、第1絶縁層56上においてドリフト領域42と隣り合う位置に形成され、第1絶縁層56よりも比誘電率が高い第2絶縁層72と、を含む。フィールドプレート電極52は、ゲートトレンチ14の底壁14Bと対向している底面52Bを含む。第2絶縁層72は、Z方向において、フィールドプレート電極52の底面52Bとゲート電極50の底面50Aとの間に設けられている。
【0102】
この構成によれば、第1絶縁層56よりも比誘電率が高い第2絶縁層72がドリフト領域42と隣り合う位置に形成されているため、ドリフト領域42のうちボディ領域44直下の領域における電界集中を緩和することができる。したがって、半導体装置10の耐圧の向上を図ることができる。
【0103】
加えて、第2絶縁層72は、ゲート電極50とソース領域46との間に形成されていないため、ゲート電極50とソース領域46との間の容量(ゲート・ソース間容量)の増加を抑制することができる。したがって、半導体装置10のスイッチング特性への影響を抑制することができる。
【0104】
(2)第2絶縁層72は、Z方向におけるゲート電極50とフィールドプレート電極52との間に設けられた対向部74を含む。
この構成によれば、第2絶縁層72の対向部74は、ゲート電極50とフィールドプレート電極52とによって構成されたキャパシタの誘電膜の一部を構成する。このため、対向部74によって当該キャパシタの誘電率を調整することによって、半導体装置10のセルフターンオンのマージンを確保することができる。
【0105】
(3)第2絶縁層72は、フィールドプレート電極52の側面52Cに対向配置された側面対向部76を含む。
この構成によれば、側面対向部76によって側面対向部76と隣り合うドリフト領域42に空乏層が形成されやすくなる。したがって、ドリフト領域42のうちボディ領域44直下の領域における電界集中を緩和することができる。
【0106】
(4)第2絶縁層72は、側面対向部76から連続して形成されており、対向部74からゲート電極50に向けて突出する突出部86を含む。
この構成によれば、突出部86によって突出部86と隣り合うドリフト領域42に空乏層が形成されやすくなる。したがって、ドリフト領域42のうちボディ領域44直下の領域における電界集中を緩和することができる。
【0107】
(5)ゲート電極50のうち第2絶縁層72の突出部86とZ方向に対向する部分は、ゲート電極50の底面50Aから突出部86に向けて突出するゲート側突出部88を含む。Z方向における突出部86とゲート側突出部88との間には、酸化膜90が介在している。
【0108】
この構成によれば、酸化膜90によって比誘電率の高い第2絶縁層72とゲート電極50との接触を抑制することができる。したがって、ゲート電極50とフィールドプレート電極52との間の耐圧への影響を抑制することができる。
【0109】
(6)絶縁層16は、Z方向において第2絶縁層72とゲート電極50との間に形成された第3絶縁層92を含む。第3絶縁層92は、第2絶縁層72よりも比誘電率が低い。
この構成によれば、第3絶縁層92によって比誘電率の高い第2絶縁層72とゲート電極50との接触を抑制することができる。したがって、ゲート電極50とフィールドプレート電極52との間の耐圧への影響を抑制することができる。
【0110】
(7)ゲート電極50のX方向の最大寸法WGは、第2絶縁層72のX方向の最大寸法WD以上である。
この構成によれば、ゲート電極50のX方向の寸法である幅を大きくとることができるため、ゲート電極50の電気抵抗の低減を図ることができる。
【0111】
(8)半導体装置10の製造方法は、第1面12Aと、第1面12Aとは反対側の第2面12Bを有する半導体層12を形成すること、半導体層12の第2面12Bに、側壁14Aおよび底壁14Bを有するとともに、平面視においてY方向に沿って延びたゲートトレンチ14を形成すること、ゲートトレンチ14内にフィールドプレート電極52を形成すること、フィールドプレート電極52と少なくとも一部が対向している底面50Aを含むゲート電極50をゲートトレンチ14内に形成すること、フィールドプレート電極52およびゲート電極50を相互に分離するとともに、ゲートトレンチ14の側壁14Aおよび底壁14Bを覆う絶縁層16を形成すること、を含む。半導体層12を形成することは、n型のドリフト領域42を形成すること、ドリフト領域42上にp型のボディ領域44を形成すること、ボディ領域44上にフィールドプレート電極52と同電位となるn型のソース領域46を形成すること、を含む。絶縁層16を形成することは、ゲートトレンチ14の側壁14Aおよび底壁14Bを覆うとともにフィールドプレート電極52を覆う第1絶縁層56を形成すること、第1絶縁層56よりも比誘電率が高い第2絶縁層72を、第1絶縁層56上においてドリフト領域42と隣り合う位置に形成すること、を含む。フィールドプレート電極52は、ゲートトレンチ14の底壁14Bと対向している底面52Bを含む。第2絶縁層72を形成することは、Z方向において、フィールドプレート電極52の底面52Bとゲート電極50の底面50Aとの間に第2絶縁層72を形成することを含む。
【0112】
この構成によれば、第1絶縁層56よりも比誘電率が高い第2絶縁層72がドリフト領域42と隣り合う位置に形成されているため、ドリフト領域42のうちボディ領域44直下の領域における電界集中を緩和することができる。したがって、半導体装置10の耐圧の向上を図ることができる。
【0113】
加えて、第2絶縁層72は、ゲート電極50とソース領域46との間に形成されていないため、ゲート電極50とソース領域46との間の容量(ゲート・ソース間容量)の増加を抑制することができる。したがって、半導体装置10のスイッチング特性への影響を抑制することができる。
【0114】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない範囲において互いに組み合わせることができる。
【0115】
・第2絶縁層72の側面対向部76の構成は任意に変更可能である。一例では、図23に示すように、第2絶縁層72が比較的厚く形成されることによって、第2絶縁層72から凹部84(図3参照)が省略される。つまり、図23の断面視において、側面対向部76は、第1側面対向部78、第2側面対向部80、および接続部82(ともに図3参照)によって構成された凹形状に代えて、ゲートトレンチ14の側壁14Aに沿うように延びる直線状に形成されている。この場合、第3絶縁層92から埋込部96(図3参照)が省略されている。また、第2絶縁層72の厚さに応じて、突出部86の幅(X方向の寸法)が大きくなるので、ゲート電極50のゲート側突出部88の幅(X方向の寸法)も大きくなる。
【0116】
また、図23に示す例では、第2絶縁層72の厚さT2は、対向絶縁部70の厚さT1よりも厚い。第2絶縁層72の厚さT2は、第3絶縁層92の厚さT4と等しい。ここで、第2絶縁層72の厚さT2と第3絶縁層92の厚さT4との差が例えば第2絶縁層72の厚さT2の10%以内であれば、第2絶縁層72の厚さT2が第3絶縁層92の厚さT4と等しいといえる。
【0117】
なお、第2絶縁層72の厚さT2は任意に変更可能である。一例では、第2絶縁層72の厚さT2は、第3絶縁層92の厚さT4よりも薄くてもよい。また一例では、第2絶縁層72の厚さT2は、第3絶縁層92の厚さT4よりも厚くてもよい。
【0118】
・第2絶縁層72の突出部86は、ゲート電極50のゲート側突出部88と接していてもよい。つまり、突出部86とゲート側突出部88とのZ方向の間の酸化膜90が省略されていてもよい。
【0119】
・第2絶縁層72のX方向の最大寸法WDとゲート電極50のX方向の最大寸法WGとの関係は任意に変更可能である。一例では、第2絶縁層72のX方向の最大寸法WDは、ゲート電極50のX方向の最大寸法WGよりも小さくてもよい。また一例では、第2絶縁層72のX方向の最大寸法WDは、ゲート電極50のX方向の最大寸法WGよりも大きくてもよい。
【0120】
・第2絶縁層72の接続部82のZ方向の位置は任意に変更可能である。一例では、接続部82は、フィールドプレート電極52のZ方向の中央と底面52BとのZ方向の間に位置していてもよい。
【0121】
・第2絶縁層72において突出部86を省略してもよい。
・第2絶縁層72において側面対向部76を省略してもよい。この場合、第2絶縁層72は、Z方向においてフィールドプレート電極52の対向面52Aとゲート電極50の底面50Aとの間に配置されている。
【0122】
・第2絶縁層72の比誘電率は任意に変更可能である。一例では、第2絶縁層72の比誘電率は、第1絶縁層56と異なっていればよい。つまり、第2絶縁層72の比誘電率は、第1絶縁層56よりも低くてもよい。また一例では、第2絶縁層72の比誘電率は、第3絶縁層92と異なっていてもよい。つまり、第2絶縁層72の比誘電率は、第3絶縁層92よりも低くてもよい。
【0123】
・第1絶縁層56から対向絶縁部70を省略してもよい。この場合、第2絶縁層72の対向部74は、フィールドプレート電極52の対向面52Aと接するように形成されてよい。
【0124】
・第1絶縁層56から第1介在部64および第2介在部66の少なくとも一方を省略してもよい。第1介在部64が省略された場合、第2絶縁層72の側面対向部76は、フィールドプレート電極52の側面52Cに接するように形成されてよい。第2介在部66が省略された場合、第2絶縁層72の側面対向部76は、ゲートトレンチ14の側壁14Aと接するように形成されてよい。
【0125】
・第3絶縁層92の比誘電率は、任意に変更可能である。一例では、第3絶縁層92の比誘電率は、第1絶縁層56と異なっていてよい。つまり、第3絶縁層92の比誘電率は、第1絶縁層56よりも低くてよい。また第3絶縁層92の比誘電率は、第1絶縁層56よりも高くてよい。
【0126】
・ゲート電極50のゲート側突出部88と第2絶縁層72の突出部86との間の酸化膜90を省略してもよい。この場合、ゲート側突出部88と突出部86とが互いに接触している。
【0127】
・ゲート電極50の構成は任意に変更可能である。一例では、ゲート電極50からゲート側突出部88を省略してもよい。
・周縁トレンチ18は、矩形枠状のトレンチではなく、複数のゲートトレンチ14の両側に配置された2つの直線状のトレンチであってもよい。
【0128】
・半導体層12内の各領域の導電型が反転された構造が採用されてもよい。すなわち、p型の領域がn型の領域とされ、n型の領域がp型の領域とされてもよい。
・半導体装置10の製造方法において、第2SiO系絶縁層104上およびゲート電極50上に形成される絶縁層は、第4SiO系絶縁層114に限られない。一例では、絶縁層は、SiN、SiO、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0129】
本明細書に記載の様々な例のうち1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本明細書において、「AおよびBのうち少なくとも1つ」とは、「Aのみ、または、Bのみ、またはAおよびBの両方」を意味するものとして理解されるべきである。
【0130】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、例えば「第1要素が第2要素上に配置される」という表現は、或る実施形態では第1要素が第2要素に接触して第2要素上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1要素が第2要素に接触することなく第2要素の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1要素と第2要素との間に他の要素が形成される構造を排除しない。
【0131】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えばX方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0132】
<付記>
上記実施形態および各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、各付記に記載された構成要素に対応する実施形態の構成要素の符号を括弧書きで示す。符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0133】
[付記A1]
第1面(12A)と、前記第1面(12A)とは反対側の第2面(12B)を有する半導体層(12)と、
前記半導体層(12)の前記第2面(12B)に形成され、側壁(14A)および底壁(14B)を有するとともに、前記半導体層(12)の厚さ方向(Z方向)から視て第1方向(Y方向)に沿って延びたトレンチ(14)と、
前記トレンチ(14)内に形成されたフィールドプレート電極(52)と、
前記トレンチ(14)内において前記フィールドプレート電極(52)と少なくとも一部が対向している底面(50B)を含むゲート電極(50)と、
前記フィールドプレート電極(52)および前記ゲート電極(50)を相互に分離するとともに前記トレンチ(14)の前記側壁(14A)および前記底壁(14B)を覆う絶縁層(16)と、
を備え、
前記半導体層(12)は、
第1導電型(n型)のドリフト領域(42)と、
前記ドリフト領域(42)上に形成された第2導電型(p型)のボディ領域(44)と、
前記ボディ領域(44)上に形成され、前記フィールドプレート電極(52)と同電位となる第1導電型(n型)のソース領域(46)と、
を含み、
前記絶縁層(16)は、
前記トレンチ(14)の前記側壁(14A)および前記底壁(14B)を覆うとともに前記フィールドプレート電極(52)を覆う第1絶縁層(56)と、
前記第1絶縁層(56)上において前記ドリフト領域(42)と隣り合う位置に形成され、前記第1絶縁層(56)よりも比誘電率が高い第2絶縁層(72)と、
を含み、
前記フィールドプレート電極(52)は、前記トレンチ(14)の前記底壁(14B)と対向している底面(52B)を含み、
前記第2絶縁層(72)は、前記トレンチ(14)の深さ方向(Z方向)において、前記フィールドプレート電極(52)の底面(52B)と前記ゲート電極(50)の底面(50B)との間に設けられている
半導体装置(10)。
【0134】
[付記A2]
前記第2絶縁層(72)は、前記深さ方向(Z方向)における前記ゲート電極(50)と前記フィールドプレート電極(52)との間に設けられた対向部(74)を含む
付記A1に記載の半導体装置。
【0135】
[付記A3]
前記フィールドプレート電極(52)は、前記深さ方向(Z方向)において前記ゲート電極(50)と対向する対向面(52A)を含み、
前記第1絶縁層(56)は、前記対向面(52A)を覆う対向絶縁部(70)を含み、
前記第2絶縁層(72)の前記対向部(74)は、前記対向絶縁部(70)上に形成されている
付記A2に記載の半導体装置。
【0136】
[付記A4]
前記第2絶縁層(72)は、前記フィールドプレート電極(52)の側面(52C)に対向配置された側面対向部(76)を含む
付記A2またはA3に記載の半導体装置。
【0137】
[付記A5]
前記半導体層(12)の厚さ方向(Z方向)から視て前記第1方向(Y方向)と直交する方向を第2方向(X方向)として、
前記側面対向部(76)は、
前記対向部(74)から前記トレンチ(14)の前記底壁(14B)に向けて延びた第1側面対向部(78)と、
前記第1側面対向部(78)から前記トレンチ(14)の前記側壁(14A)寄りに離隔した状態で前記第2方向(X方向)において前記第1側面対向部(78)と対向配置された第2側面対向部(80)と、
前記第1側面対向部(78)のうち前記トレンチ(14)の前記底壁(14B)寄りの端部と前記第2側面対向部(80)とを接続する接続部(82)と、
を含む
付記A4に記載の半導体装置。
【0138】
[付記A6]
前記接続部(82)は、前記深さ方向(Z方向)において前記フィールドプレート電極(52)の中央よりも前記ゲート電極(50)寄りに設けられている
付記A5に記載の半導体装置。
【0139】
[付記A7]
前記第2絶縁層(72)は、前記側面対向部(76)から連続して形成されており、前記対向部(74)から前記ゲート電極(50)に向けて突出する突出部(86)を含む
付記A4~A6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0140】
[付記A8]
前記ゲート電極(50)は、前記深さ方向(Z方向)において前記突出部(86)と対向しており、
前記ゲート電極(50)のうち前記突出部(86)と前記深さ方向(Z方向)に対向する部分は、前記ゲート電極(50)の底面(50B)から前記突出部(86)に向けて突出するゲート側突出部(88)を含む
付記A7に記載の半導体装置。
【0141】
[付記A9]
前記深さ方向(Z方向)における前記突出部(86)と前記ゲート側突出部(88)との間には、酸化膜(90)が介在している
付記A8に記載の半導体装置。
【0142】
[付記A10]
前記絶縁層(16)は、前記深さ方向(Z方向)において前記第2絶縁層(72)と前記ゲート電極(50)との間に形成された第3絶縁層(92)を含み、
前記第3絶縁層(92)は、前記第2絶縁層(72)よりも比誘電率が低い
付記A1~A9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0143】
[付記A11]
前記第3絶縁層(92)の比誘電率は、前記第1絶縁層(56)の比誘電率と等しい
付記A10に記載の半導体装置。
【0144】
[付記A12]
前記絶縁層(16)は、前記深さ方向(Z方向)において前記第2絶縁層(72)と前記ゲート電極(50)との間に形成された第3絶縁層(92)を含み、
前記第3絶縁層(92)のうち前記ゲート電極(50)の底面(50B)と前記第2絶縁層(72)の前記対向部(74)とに挟み込まれた部分の厚さ(T4)は、前記対向部(74)の厚さ(T2)よりも厚い
付記A2~A9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0145】
[付記A13]
前記絶縁層(16)は、前記深さ方向(Z方向)において前記第2絶縁層(72)と前記ゲート電極(50)との間に形成された第3絶縁層(92)を含み、
前記第3絶縁層(92)のうち前記ゲート電極(50)の底面(50B)と前記第2絶縁層(72)の前記対向部(74)とに挟み込まれた部分の厚さ(T4)は、前記第1絶縁層(56)の前記対向絶縁部(70)の厚さ(T1)よりも厚い
付記A3に記載の半導体装置。
【0146】
[付記A14]
前記絶縁層(16)は、前記深さ方向(Z方向)において前記第2絶縁層(72)と前記ゲート電極(50)との間に形成された第3絶縁層(92)を含み、
前記第3絶縁層(92)は、前記第1側面対向部(78)、前記接続部(82)、および前記第2側面対向部(80)によって形成された凹部(84)に入り込んでいる
付記A5またはA6に記載の半導体装置。
【0147】
[付記A15]
前記第1絶縁層(56)は、
前記第2方向(X方向)における前記フィールドプレート電極(52)と前記第1側面対向部(78)との間に入り込んだ第1介在部(64)と、
前記第2方向(X方向)における前記第2側面対向部(80)と前記トレンチ(14)の前記側壁(14A)との間に入り込んだ第2介在部(66)と、
を含む
付記A5またはA6に記載の半導体装置。
【0148】
[付記A16]
前記半導体層(12)の厚さ方向(Z方向)から視て前記第1方向(Y方向)と直交する方向を第2方向(X方向)として、
前記ゲート電極(50)の前記第2方向(X方向)の最大寸法(WG)は、前記第2絶縁層(72)の前記第2方向(X方向)の最大寸法(WD)以上である
付記A1~A15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0149】
[付記A17]
前記第1絶縁層(56)は、SiO膜であり、
前記第2絶縁層(72)は、SiN膜、SiON膜、HfO膜のいずれかである
付記A1~A16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0150】
[付記A18]
前記絶縁層(16)は、前記深さ方向(Z方向)において前記第2絶縁層(72)と前記ゲート電極(50)との間に形成された第3絶縁層(92)を含み、
前記第3絶縁層(92)は、SiO膜である
付記A17に記載の半導体装置。
【0151】
[付記A19]
第1面(12A)と、前記第1面(12A)とは反対側の第2面(12B)を有する半導体層(12)を形成すること、
前記半導体層(12)の前記第2面(12B)に、側壁(14A)および底壁(14B)を有するとともに、前記半導体層(12)の厚さ方向(Z方向)から視て第1方向(Y方向)に沿って延びたトレンチ(14)を形成すること、
前記トレンチ(14)内にフィールドプレート電極(52)を形成すること、
前記フィールドプレート電極(52)と少なくとも一部が対向している底面(50B)を含むゲート電極(50)を前記トレンチ(14)内に形成すること、
前記フィールドプレート電極(52)および前記ゲート電極(50)を相互に分離するとともに、前記トレンチ(14)の前記側壁(14A)および前記底壁(14B)を覆う絶縁層(16)を形成すること、
を含み、
前記半導体層(12)を形成することは、
第1導電型(n型)のドリフト領域(42)を形成すること、
前記ドリフト領域(42)上に第2導電型(p型)のボディ領域(46)を形成すること、
前記ボディ領域(46)上に前記フィールドプレート電極(52)と同電位となる第1導電型(n型)のソース領域(44)を形成すること、
を含み、
前記絶縁層(16)を形成することは、
前記トレンチ(14)の前記側壁(14A)および前記底壁(14B)を覆うとともに前記フィールドプレート電極(52)を覆う第1絶縁層(56)を形成すること、
前記第1絶縁層(56)よりも比誘電率が高い第2絶縁層(72)を、前記第1絶縁層(56)上において前記ドリフト領域(42)と隣り合う位置に形成すること、
を含み、
前記フィールドプレート電極(52)は、前記トレンチ(14)の前記底壁(14A)と対向している底面(50B)を含み、
前記第2絶縁層(72)を形成することは、前記トレンチ(14)の深さ方向(Z方向)において、前記フィールドプレート電極(52)の底面(52B)と前記ゲート電極(50)の底面(50B)との間に前記第2絶縁層(72)を形成することを含む
半導体装置(10)の製造方法。
【0152】
[付記A20]
前記絶縁層(16)を形成することは、前記第2絶縁層(72)よりも比誘電率が低い第3絶縁層(92)を前記第1絶縁層(56)と前記ゲート電極(50)の底面(50B)との間に形成することを含む
付記A19に記載の半導体装置の製造方法。
【0153】
[付記B1]
第1面(12A)と、前記第1面(12A)とは反対側の第2面(12B)を有する半導体層(12)と、
前記半導体層(12)の前記第2面(12B)に形成され、側壁(14A)および底壁(14B)を有するとともに、前記半導体層(12)の厚さ方向(Z方向)から視て第1方向(Y方向)に沿って延びたトレンチ(14)と、
前記トレンチ(14)内に形成されたフィールドプレート電極(52)と、
前記トレンチ(14)内において前記フィールドプレート電極(52)と少なくとも一部が対向している底面(50B)を含むゲート電極(50)と、
前記フィールドプレート電極(52)および前記ゲート電極(50)を相互に分離するとともに前記トレンチ(14)の前記側壁(14A)および前記底壁(14B)を覆う絶縁層(16)と、
を備え、
前記半導体層(12)は、
第1導電型(n型)のドリフト領域(42)と、
前記ドリフト領域(42)上に形成された第2導電型(p型)のボディ領域(44)と、
前記ボディ領域(44)上に形成され、前記フィールドプレート電極(52)と同電位となる第1導電型(n型)のソース領域(46)と、
を含み、
前記絶縁層(16)は、
前記トレンチ(14)の前記側壁(14A)および前記底壁(14B)を覆うとともに前記フィールドプレート電極(52)を覆う第1絶縁層(56)と、
前記第1絶縁層(56)上に形成され、前記第1絶縁層(56)とは比誘電率が異なる第2絶縁層(72)と、
を含み、
前記トレンチ(14)の深さ方向(Z方向)における前記フィールドプレート電極(52)と前記ゲート電極(50)との間には、前記第1絶縁層(56)および前記第2絶縁層(72)が設けられている
半導体装置(10)。
【0154】
[付記B1が解決する課題]
半導体装置がスイッチング動作している場合、オフ状態において半導体装置にドレイン・ソース間に急峻に立ち上がる電圧に起因して、半導体装置のゲート・ドレイン間容量とゲート・ソース間容量との比に基づいてゲート電極に電圧が発生するおそれがある。この電圧がゲート閾値電圧を超えると半導体装置が誤ってオンしてしまう、所謂セルフターンオンが生じる。
【0155】
[効果]
この構成によれば、フィールドプレート電極およびゲート電極とこれら電極の間に第1絶縁層および第2絶縁層によって構成されたキャパシタの容量を、第1絶縁層および第2絶縁層の互いに異なる比誘電率を変更することによって調整することができる。これにより、例えばゲート・ソース間電圧を大きくすることによってセルフターンオンのマージンを確保することができる。したがって、セルフターンオンの発生を抑制できる。
【0156】
[付記B2]
前記フィールドプレート電極(52)は、前記深さ方向(Z方向)において前記ゲート電極(50)と対向する対向面(52A)を含み、
前記第1絶縁層(56)は、前記対向面(52A)を覆う対向絶縁部(70)を含み、
前記第2絶縁層(72)は、前記対向絶縁部(70)上に形成されている
付記B1に記載の半導体装置。
【0157】
[付記B3]
前記絶縁層(16)は、前記深さ方向(Z方向)において前記第2絶縁層(72)と前記ゲート電極(50)との間に形成された第3絶縁層(92)を含み、
前記第3絶縁層(92)は、前記第2絶縁層(72)とは比誘電率が異なる
付記B2に記載の半導体装置。
【0158】
[付記B4]
前記第2絶縁層(72)は、前記深さ方向(Z方向)における前記ゲート電極(50)と前記フィールドプレート電極(52)との間に設けられた対向部(74)を含み、
前記第3絶縁層(92)のうち前記ゲート電極(50)の底面(50B)と前記第2絶縁層(72)の前記対向部(74)とに挟み込まれた部分の厚さ(T4)は、前記対向部(74)の厚さ(T2)よりも厚い
付記B3に記載の半導体装置。
【0159】
[付記B5]
前記第3絶縁層(92)のうち前記ゲート電極(50)の前記底面(50B)と前記第2絶縁層(72)の前記対向部(74)とに挟み込まれた部分の厚さ(T4)は、前記第1絶縁層(56)の前記対向絶縁部(70)の厚さ(T1)よりも厚い
付記B4に記載の半導体装置。
【0160】
[付記B6]
前記第2絶縁層(72)は、前記第1絶縁層(56)よりも低い比誘電率を有する
付記B1~B5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0161】
[付記B7]
前記第2絶縁層(72)は、前記第3絶縁層(92)よりも低い比誘電率を有する
付記B3~B5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0162】
[付記B8]
前記第3絶縁層(92)は、前記第1絶縁層(56)と等しい比誘電率を有する
付記B3~B5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0163】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0164】
10…半導体装置
10X…比較例の半導体装置
12…半導体層
12A…第1面
12B…第2面
14…ゲートトレンチ(トレンチ)
14A…側壁
14B…底壁
14P…第1端部
14Q…第2端部
16…絶縁層
18…周縁トレンチ
20…n型領域
22…p型領域
24…n型領域
26…ゲート配線
28…ソース配線
30…ゲートコンタクト部
32…ソースコンタクト部
34…ラインコンタクト部
36…コンタクト部
38…半導体基板
40…エピタキシャル層
42…ドリフト領域
44…ボディ領域
46…ソース領域
48…コンタクト領域
50…ゲート電極
50A…底面
50B…上面
50C…側面
52…フィールドプレート電極
52A…対向面
52B…底面
52C…側面
54…ドレイン電極
56…第1絶縁層
58…底部絶縁部
60…側面絶縁部
62…第1側面絶縁部
64…第1介在部
66…第2介在部
68…第2側面絶縁部
70…対向絶縁部
72…第2絶縁層
74…対向部
76…側面対向部
78…第1側面対向部
80…第2側面対向部
82…接続部
84…凹部
86…突出部
88…ゲート側突出部
90…酸化膜
92…第3絶縁層
94…誘電部
96…埋込部
100…第1SiO系絶縁層
102…第1導電体層
104…第2SiO系絶縁層
106…SiN系絶縁層
108…第3SiO系絶縁層
110…凹部
112…第2導電体層
114…第4SiO系絶縁層
116…コンタクトトレンチ
116A…底壁
LF…フィールドプレート電極の長さ寸法
W1…第1側面絶縁部の幅
W2…第1介在部の幅
W3…第2介在部の幅
W4…第2側面絶縁部の幅
WD…第2絶縁層のX方向の最大寸法
WG…ゲート電極のX方向の最大寸法
T1…対向絶縁部の厚さ
T2…第2絶縁層の厚さ
T3…酸化膜の厚さ
T4…第3絶縁層の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23