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特開2024-134061通信制御方法及びコアネットワーク装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134061
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】通信制御方法及びコアネットワーク装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/20 20180101AFI20240926BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20240926BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20240926BHJP
   H04W 76/40 20180101ALI20240926BHJP
   H04W 8/24 20090101ALI20240926BHJP
【FI】
H04W76/20
H04W24/02
H04W84/06
H04W76/40
H04W8/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044155
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】横山 隆
(72)【発明者】
【氏名】小川 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】白岩 延之
(72)【発明者】
【氏名】牧 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】山内 孝則
(72)【発明者】
【氏名】木戸 浩介
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA01
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE07
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】ユーザ装置がRRCコネクティッド状態であっても、NASタイマのタイマ値を更新することが可能な通信制御方法及びコアネットワーク装置を提供する。
【解決手段】一態様に係る通信制御方法は、移動通信システムにおける通信制御方法である。前記通信制御方法は、コアネットワーク装置が、NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、ユーザ装置へ送信するステップを有する。ここで、前記変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値である。また、前記衛星バックホール回線は基地局とコアネットワーク装置との間に存在する。更に、前記所定メッセージは、MBSメッセージ及びPDUセッション変更コマンドメッセージのいずれかである。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムにおける通信制御方法であって、
コアネットワーク装置が、NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、ユーザ装置へ送信するステップ、を有し、
前記変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値であって、
前記衛星バックホール回線は基地局と前記コアネットワーク装置との間に存在し、
前記所定メッセージは、MBSメッセージ及びPDUセッション変更コマンドメッセージのいずれかである
通信制御方法。
【請求項2】
前記送信するステップは、
前記コアネットワーク装置に含まれるAMFが、前記コアネットワーク装置に含まれるAFへ、前記変更後のタイマ値を送信するステップと、
前記AFが、前記コアネットワーク装置に含まれるUPFへ、前記変更後のタイマ値を送信するステップと、
前記UPFが、前記変更後のタイマ値を含む前記MBSメッセージを前記ユーザ装置へ送信するステップと、を含む
請求項1記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記送信するステップは、
前記コアネットワーク装置に含まれるAMFが、前記コアネットワーク装置に含まれるSMFへ、前記変更後のタイマ値を送信するステップと、
前記SMFが、前記AMFへ、前記変更後のタイマ値を含むPDUセッション変更コマンドを送信するステップと、
前記AMFが、前記PDUセッション変更コマンドを含む前記PDUセッション変更コマンドメッセージを前記ユーザ装置へ送信するステップと、を含む
請求項1記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記PDUセッション変更コマンドを送信するステップは、前記SMFが、前記PDUセッション変更コマンドを任意のタイミングで前記AMFへ送信するステップを含む
請求項3記載の通信制御方法。
【請求項5】
前記コアネットワーク装置が、前記衛星バックホール回線の前記遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて、前記NASタイマの前記タイマ値を変更するステップ、を更に有する
請求項1記載の通信制御方法。
【請求項6】
前記変更するステップは、前記コアネットワーク装置に含まれるAMFが、前記基地局から受信した遅延測定メッセージに含まれる送信時刻情報及び衛星情報のいずれかに基づいて前記遅延時間を算出するステップを含み、
前記送信時刻情報は前記遅延測定メッセージの送信時刻を表し、前記衛星情報は前記衛星の種別及び前記衛星の個数の少なくともいずれかを表す
請求項5記載の通信制御方法。
【請求項7】
前記NASタイマは、T3510、T3517、T3580、T3581、及びT3582のいずれかである
請求項1記載の通信制御方法。
【請求項8】
基地局を介してユーザ装置と通信可能なコアネットワーク装置であって、
NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、前記ユーザ装置へ送信する送信部、を有し、
前記変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値であって、
前記衛星バックホール回線は前記基地局と前記コアネットワーク装置との間に存在し、
前記所定メッセージは、MBSメッセージ及びPDUセッション変更コマンドメッセージのいずれかである
コアネットワーク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御方法及びコアネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)(登録商標。以下同じ。)において、衛星を用いた衛星バックホールシナリオについての検討が行われている。衛星バックホールシナリオでは、RAN(Radio Access Network)ノードとCN(Core Network)ノードとの間において、衛星を介した衛星バックホール回線が用いられる。衛星バックホール回線が用いられることで、例えば、災害が発生した場合に、衛星バックホール回線を用いて通信を継続させることが可能となる。なお、衛星バックホール回線では、ユーザ装置(UE: User Equipment)とCNノードとの間の伝送遅延が、2msから140msの範囲になることが想定されている。
【0003】
また、3GPPでは、衛星バックホール回線について、様々なユースケースについての検討も行われている。このようなユースケースとして、例えば、複数台の衛星が用いられるユースケース、複数種類の衛星により複数の経路が形成されるユースケース、又は、衛星バックホール回線と地上バックホール回線とがハイブリッドで用いられるユースケースなどがある。
【0004】
一方、UEからCN(Core Network)ノード(例えばAMF)へ送信されるNAS(Non-Access Stratum)メッセージに対しては、タイマが用いられる。このようなタイマとして、例えば、T3510、T3517、T3580、T3581、及びT3582などがある。例えば、UEでは、NASメッセージを送信するときにタイマのカウントを開始し、当該タイマが満了(又はタイムアウト)するまでに所定メッセージを受信できない場合、NASメッセージを再送したりすることが行われる。なお、3GPPでは、当該タイマに関して、衛星バックホール回線を考慮して、ワーストケースで最大5倍の伝送遅延をサポートすべきことが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TR 23.737 V17.2.0 (2021-03)
【非特許文献2】S2-2103832、3GPP TSG SA2 Meeting #145-e、May 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、ユーザ装置がRRCコネクティッド状態であっても、NASタイマのタイマ値を更新することが可能な通信制御方法及びコアネットワーク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る通信制御方法は、移動通信システムにおける通信制御方法である。前記通信制御方法は、コアネットワーク装置が、NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、ユーザ装置へ送信するステップを有する。ここで、前記変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値である。また、前記衛星バックホール回線は基地局とコアネットワーク装置との間に存在する。更に、前記所定メッセージは、MBSメッセージ及びPDUセッション変更コマンドメッセージのいずれかである。
【0008】
また、一態様に係るコアネットワーク装置は、基地局を介してユーザ装置と通信可能なコアネットワーク装置である。前記コアネットワーク装置は、NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、ユーザ装置へ送信する送信部を有する。ここで、前記変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値である。また、前記衛星バックホール回線は基地局とコアネットワーク装置との間に存在する。更に、前記所定メッセージは、MBSメッセージ及びPDUセッション変更コマンドメッセージのいずれかである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザ装置がRRCコネクティッド状態であっても、NASタイマのタイマ値を更新することが可能な通信制御方法及びコアネットワーク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る移動通信システムの構成例を表す図である。
図2図2は、第1実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成例を表す図である。
図3図3は、第1実施形態に係るgNB(基地局)の構成例を表す図である。
図4図4は、第1実施形態に係るAMFの構成例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係るUPFの構成例を表す図である。
図6図6は、第1実施形態に係るSMFの構成例を表す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るAFの構成例を表す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る衛星の構成例を表す図である。
図9図9は、第1実施形態に係るユーザプレーンのプロトコルスタックの構成例を表す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る制御プレーンのプロトコルスタックの構成例を表す図である。
図11図11は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図12図12は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図13図13は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。
図14図14は、第1実施形態に係るNASタイマの変更処理の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
上述したように、3PPでは、衛星バックホール回線が用いられる場合のUEとCNノードとの間の伝送遅延として、2msから140msの範囲を想定している。しかし、当該伝送遅延は、1台の衛星から構成される衛星バックホール回線であることが前提となっている。
【0012】
また、上述したように、衛星バックホール回線においては、様々なユースケースが想定されており、複数台の衛星を介したり、複数の経路を介したりするケースが存在する。このようなケースでは、伝送遅延が、想定される範囲(2msから140ms)よりも長くなったり、衛星の移動などに応じて動的に変化したりする場合がある。
【0013】
NASメッセージで用いられるタイマ(例えば、T3510、T3517、T3580、T3581、T3582)は、衛星バックホール回線を考慮したとしても、基本的には固定値である。そのため、当該タイマは、伝送遅延が所定値以上大きくなったり、動的に変化したりする場合に、適切に対応することができない場合がある。T3510を例にして以下説明する。
【0014】
T3510は、初期登録(Initial registration)用の登録(registration)プロシージャで用いられるタイマである。UEは、NASメッセージである登録要求(RegistrationRequest)メッセージをAMFへ送信して登録プロシージャを開始すると、T3510のカウントを開始する。UEは、登録要求メッセージに対する登録許可(RegistrationAccept)メッセージを受信するか、又は登録拒否(RegistrationReject)メッセージを受信すると、T3510の当該カウントを停止する。UEは、登録許可メッセージまたは登録拒否メッセージを受信することなく、カウント値がタイマ値に達すると(すなわち、T3510が満了(又はタイムアウト)すると)、登録要求メッセージを再送する。T3510は、例えば、「15s」となっている。
【0015】
例えば、衛星バックホール回線における伝送遅延により、UEが、登録要求メッセージを送信後、登録許可メッセージを受信するまで「16s」かかる場合を仮定する。この場合、UEは、登録要求メッセージ送信後、T3510のタイマ値(例えば「15s」)が満了した後に、登録許可メッセージを受信することになる。UE100は、T3510が満了したことで、登録要求メッセージを再送する。以降、UEは、登録要求メッセージを再送する毎にT3510のカウントを開始するものの、T3510の満了前に、登録許可メッセージを受信することがなく、再度、登録要求メッセージを再送することを繰り返す。そのため、登録プロシージャが永遠に終了しないことになる。
【0016】
そこで、第1実施形態では、CNノードにおいて、NASタイマのタイマ値の変更処理が行われる。図14は、第1実施形態に係るNASタイマの変更処理の例を表す図である。
【0017】
図14に示すように、CNノードのAMFは、RANとの間の衛星バックホール回線に対して遅延時間を測定する測定処理を行う(ステップS101)。AMFは、遅延時間に基づいて、NASタイマのタイマ値を変更する(ステップS102)。そして、AMFは、変更後のタイマ値を含むN2メッセージをRANへ送信する。RANは、変更後のタイマ値を含むシステム情報(SIB)を報知する。
【0018】
しかし、UE100は、RANに対してRRC(Radio Resource Control)コネクティッド状態であり、UPFに対してPDU(Protocol Data Unit)セッションを確立し、通信が行われている最中である(ステップS100)。
【0019】
一般的に、UE100は、RRCインアクティブ状態又はRRCアイドル状態の場合において、システム情報(MIB又はSIB)を受信し、システム情報に基づいて、ネットワークに対する接続処理などを行い、RRCコネクティッド状態へ移行する。図14に示すように、RRCコネクティッド状態にあるUE10は、システム情報を受信することはできない(或いは受信してもシステム情報に含まれる情報を取得することができない)。従って、UEは、NASタイマのタイマ値を更新することはできない。
【0020】
その後、UEは、新たにPDUセッションを確立して、他のサービスの提供を受けるため、サービス要求(ServiceRequest)メッセージをAMFへ向けて送信する(ステップS106及びステップS107)。UEは、NASタイマのタイマ値を更新することなく、サービス要求メッセージを送信することになる。この場合、UEは、衛星バックホール回線における伝送遅延により、ネットワークからは当該メッセージに対する応答メッセージを、サービス要求メッセージを送信後、例えば、「16s」後に受信する。従って、UE100は、応答メッセージを、T3510の満了(例えば「15s」)前に受信することはできない。UEは、サービス要求メッセージを再送することになる(ステップS108)。
【0021】
このように、UEは、RRCコネクティッド状態の場合、RANからNASタイマの変更後のタイマ値をシステム情報により報知されても、変更後のタイマ値を更新(又は反映)させることができない場合がある。そのため、UE100は、例えば、登録プロシージを終了させることができない場合がある。
【0022】
そこで、第1実施形態では、UEがRRCコネクティッド状態であっても、NASタイマのタイマ値を更新できることを目的としている。
【0023】
そのため、第1実施形態では、コアネットワーク装置(例えばUPF)が、NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、ユーザ装置へ送信する。ここで、変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値である。また、衛星バックホール回線は基地局とコアネットワーク装置との間に存在する。更に、所定メッセージは、MBSメッセーである。
【0024】
このように、第1実施形態では、コアネットワーク装置が、MBSメッセージを利用して、NASタイマの変更後のタイマ値をUEへ送信している。RRCコネクティッド状態にあるUEは、MBSメッセージを受信することができる。そのため、UEは、当該メッセージに含まれる変更後のタイマ値を、NASタイマに反映させることができる。よって、UEは、RRCコネクティッド状態であっても、NASタイマのタイマ値を更新することが可能となる。
【0025】
なお、以下では、CNノードとコアネットワーク装置とを区別しないで用いる場合がある。コアネットワーク装置は、コアネットワーク(CN)と呼ばれるネットワークに接続された装置(又は機能ブロック)のことである。コアネットワーク装置は、5GC(5G Core Network)に接続された装置(又は機能ブロック)であってもよい。具体的には、コアネットワーク装置は、AMF、UPF、SMF(Session Management Function)、又はAF(Application Function)などであってもよい。
【0026】
以下、第1実施形態について具体的に説明する。最初に、第1実施形態に係る移動通信システムの構成例について説明する。
【0027】
(移動通信システムの構成)
図1は、第1実施形態に係る移動通信システムの構成を表す図である。移動通信システム1は、3GPP規格の第5世代システム(5GS:5th Generation System)に準拠する。以下において、5GSを例に挙げて説明するが、移動通信システムにはLTE(Long Term Evolution)システムが少なくとも部分的に適用されてもよいし、第6世代(6G)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。図1に示す移動通信システム1は、5Gシステムであってもよい。
【0028】
移動通信システム1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、(R)AN(以下では、「RAN」と表記する場合がある。)200と、アクセスモビリティ装置(AMF:Access and Mobility Management Function)300とを有する。また、移動通信システム1は、ユーザプレーン装置(UPF:User Plane Function)400と、データネットワーク(DN:Data Network)500と、セッション管理装置(SMF:Session Management Function)600と、アプリケーション装置(AF:Application Function)700とを有する。
【0029】
AMF300と、UPF400と、SMF600と、AF700とは、コアネットワーク(CN)と呼ばれるネットワークに接続されたコアネットワーク装置の一例である。一方、RAN200は、コアネットワークと接続された無線アクセスネットワーク装置であり、UE100に対して無線通信を提供する。以下では、RAN200として、gNB(基地局)を例にして説明する。なお、RAN200は、LTEの基地局であるeNBであってもよいし、6G以降の基地局であってもよい。
【0030】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わないが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE、又はUAV(Unmanned Aerial Vehicle))である。
【0031】
gNB200は、基地局間インタフェースであるXnインタフェースを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数(以下、単に「周波数」と呼ぶ)に属する。
【0032】
なお、gNB200がLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続することもできる。LTEの基地局(eNB:evolved Node B)が5Gのネットワークに接続することもできる。LTEの基地局とgNB200とが基地局間インタフェースを介して接続することもできる。
【0033】
AMF300は、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMF300は、N1インタフェース上のNASメッセージを用いてUE100と通信することが可能である。また、AMF300は、N2インタフェース上のN2メッセージを用いてgNB200と通信することが可能である。AMF300は、このような通信を行うことで、UE100に対するモビリティ管理、及びUE100に対する位置管理などを行う。なお、AMF300は、ネットワークを介して、SMF600及びAF700と接続される。AMF300は、Namfインタフェースを介して、当該ネットワークと接続される。
【0034】
UPF400は、N3インタフェースを介してgNB200と接続し、N6インタフェースを介してDN500と接続する。UPF400は、gNB200又はDN500から受信したパケットデータをバッファリングしたり、パケットデータをルーティングし転送したりするなど、ユーザデータに対する処理を行う。また、UPF400は、トラフィック利用の報告を行うこともできる。更に、UPF400は、UE100との間で設定されたPDUセッションのアンカーポイント(終点)として機能する。具体的には、UPF400は、ユーザプレーンのQoSハンドリングを行うことができる。UPF400は、SMF600の制御により処理を行う。
【0035】
DN500は、移動通信システム1外部のネットワークである。DN500は、インターネットサービスなど、各種サービスをUE100へ提供できる。
【0036】
SMF600は、セッションの確立、セッションの修正、及びセッションの解放など、セッションに関する管理を行う機能ブロックである。SMF600は、N4インタフェースを介してUPF400と接続する。SMF600は、UPF400を制御して、ユーザプレーン機能の選択と制御とを行う。また、SMF600は、UPF400に対してトラフィック制御を設定し、UPF400におけるトラフィックを適切な送信先へルーティングする。なお、SMF600は、ネットワークを介して、AMF300及びAF700と接続される。SMF600は、Nsmfインタフェースを介して当該ネットワークと接続される。
【0037】
AF700は、アプリケーションサービスを提供するコアネットワーク装置である。具体的には、AF700は、ネットワークサービスコンシューマに対して、サービス関連情報又はアプリケーション関連情報を提供する機能ブロック(又はコアネットワーク装置)である。例えば、AF700は、UE100に対するアプリケーションデータを収集し、イベント通知を、ネットワークデータ分析装置(NWDAF:)、ネットワーク公開装置(NEF:)、及びイベントコンシューマアプリケーション装置(Event Consumer AF)などのネットワークサービスコンシューマへ送信する。これにより、ネットワークデータの分析が行われたり、イベントの公開が行われたりするができ、AF700は、アプリケーションサービスを提供できる。なお、AF700は、ネットワークを介して、AMF300及びSMF600と接続される。AF700は、Nafインタフェースを介して当該ネットワークと接続される。
【0038】
第1実施形態では、図1に示すように、gNB200とコアネットワーク装置との間において、複数の衛星800を含む衛星バックホール回線が存在する。具体的には、N1インタフェース、N2インタフェース、及びN3インタフェースは、衛星バックホール回線上に存在する。第1実施形態に係る移動通信システム1では、複数の衛星800を介して、gNB200とコアネットワーク装置とが接続される構成となっている。
【0039】
次に、移動通信システム1に含まれる各装置の構成例について説明する。
【0040】
(UEの構成例)
最初に、UE100の構成例について説明する。
【0041】
図2は、第1実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成例を表す図である。UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。受信部110及び送信部120は、gNB200との無線通信を行う無線通信部を構成する。
【0042】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号。例えば、RRCメッセージ又はNASメッセージなどのメッセージ。)に変換して制御部130に出力する。
【0043】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号。例えば、RRCメッセージ又はNASメッセージなどのメッセージ。)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0044】
制御部130は、UE100における各種の制御及び処理を行う。このような処理は、後述の各レイヤの処理を含む。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。なお、後述するUE100における処理又は動作は、制御部130により行われてもよい。
【0045】
(gNBの構成例)
次に、gNB200の構成例について説明する。
【0046】
図3は、第1実施形態に係るgNB200(基地局)の構成を表す図である。gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びネットワーク通信部250を備える。送信部210及び受信部220は、UE100との無線通信を行う無線通信部を構成する。ネットワーク通信部250は、AMF300との通信を行うネットワーク通信部を構成する。
【0047】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0048】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0049】
制御部230は、gNB200における各種の制御及び処理を行う。このような処理は、後述の各レイヤの処理を含む。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。なお、後述するgNB200における処理又は動作は、制御部230により行われてもよい。
【0050】
ネットワーク通信部250は、基地局-コアネットワーク間インタフェースであるNGインタフェースを介して、UPF400及びAMF300と接続される。具体的には、ネットワーク通信部250は、衛星バックホール回線を介して、N2インタフェースによりAMF300と接続される。また、ネットワーク通信部250は、衛星バックホール回線を介して、N3インタフェースによりUPF400と接続される。ネットワーク通信部250では、衛星との通信を行うため、アンテナ、送信機、及び受信機を有してもよい。この場合、ネットワーク通信部250では、送信機及びアンテナを利用して、メッセージを無線信号に変換して衛星へ送信する。また、ネットワーク通信部250では、受信機及びアンテナを利用して、衛星から送信された無線信号をベースバンド帯域の受信信号(又は各種メッセージ)を受信する。ネットワーク通信部250も制御部230の制御下で、各種処理が行われてもよい。
【0051】
なお、gNB200は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がフロントホールインターフェイスであるF1インタフェースで接続されてもよい。
【0052】
(AMFの構成例)
次に、AMF300の構成例について説明する。
【0053】
図4は、第1実施形態に係るAMF300の構成例を表す図である。図4に示すように、AMF300は、受信部310と、送信部320と、制御部330とを有する。
【0054】
受信部310は、制御部330の制御の下で各種の受信を行う。受信部310は、衛星バックホール回線を介して、gNB200から送信されたメッセージ(例えばN2メッセージ)を受信する。受信部310は、アンテナ及び受信機を含んでもよい。受信機は、アンテナで受信した、衛星からの無線信号をベースバンド信号へ変換することで、gNB200から送信されたメッセージを受信する。受信部310は、受信した当該メッセージを制御部330へ出力する。また、受信部310は、他のコアネットワーク装置(例えばSMF600)から送信されたメッセージ(例えばNsmfメッセージ)を受信する。受信部310は、受信した当該メッセージを制御部330へ出力する。なお、受信部310は、衛星バックホール回線向けの受信部と、コアネットワーク装置向けの受信部との2つの受信部に(機能的に)分かれてもよい。
【0055】
送信部320は、制御部330の制御の下で各種の送信を行う。送信部320は、制御部330から受け取ったメッセージ(例えばN2メッセージ)を、衛星バックホール回線を介してgNB200へ送信する。送信部320は、アンテナ及び送信機を含んでもよい。送信機は、制御部330から受けとったメッセージを無線信号へ変換し、アンテナから当該無線信号を送信することで、衛星バックホール回線を介して、当該メッセージをgNB200へ送信する。また、送信部320は、制御部330から受け取ったメッセージ(例えばNsmfメッセージ)を、他のコアネットワーク装置(例えばSMF600)へ送信する。送信部320は、衛星バックホール回線向けの送信部と、コアネットワーク装置向けの送信部との2つの送信部に(機能的に)分かれてもよい。
【0056】
制御部330は、AMF300における各種の制御及び処理を行う。例えば、制御部330は、衛星バックホール回線の遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて、NASタイマのタイマ値を変更する。そして、制御部330は、変更後のタイマ値を含むNafメッセージを生成し、当該Nafメッセージを送信部320へ出力する。当該Nafメッセージは、送信部320からAF700へ送信される。また、制御部330は、変更後のタイマ値を含むNsmfメッセージを生成し、当該Nsmfメッセージを送信部320へ出力してもよい。当該Nsmfメッセージは、送信部320からSMF600へ送信される。なお、制御部330は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、CPUを含んでもよい。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。なお、後述するAMF300における処理又は動作は、制御部330により行われてもよい。
【0057】
(UPFの構成例)
次に、UPF400の構成例について説明する。
【0058】
図5は、UPF400の構成例を表す図である。図5に示すように、UPF400は、受信部410と、送信部420と、制御部430とを有する。
【0059】
受信部410は、制御部430の制御の下で各種の受信を行う。受信部310は、衛星バックホール回線を介して、gNB200から送信されたメッセージ(例えばN3メッセージ)を受信する。受信部410は、アンテナ及び受信機を含んでもよい。受信機は、アンテナで受信した、衛星からの無線信号をベースバンド信号へ変換することで、gNB200から送信されたメッセージ(例えばN3メッセージ)を受信する。受信部310は、受信したメッセージを制御部330へ出力する。また、受信部410は、他のコアネットワーク装置(例えばSMF600)又はDN500から送信されたメッセージ(例えばN4メッセージ又はN6メッセージ)を受信する。受信部310は、受信した当該メッセージを制御部330へ出力する。なお、受信部310は、衛星バックホール回線向けの受信部と、コアネットワーク装置向けの受信部との2つの受信部に(機能的に)分かれてもよい。
【0060】
送信部420は、制御部430の制御の下で各種の送信を行う。送信部420は、制御部430から受け取ったメッセージ(例えばN3メッセージ)を、衛星バックホール回線を介してgNB200へ送信する。送信部420は、アンテナ及び送信機を含んでもよい。送信機は、制御部430から受けとったメッセージを無線信号へ変換し、アンテナから当該無線信号を送信することで、衛星バックホール回線を介して、当該メッセージをgNB200へ送信する。また、送信部420は、制御部430から受け取ったメッセージ(例えばN4メッセージ)を、他のコアネットワーク装置(例えばSMF600)へ送信したり、制御部430から受け取ったメッセージ(例えばN6メッセージ)をDN500へ送信したりする。送信部420は、衛星バックホール回線向けの送信部と、コアネットワーク装置向けの送信部との2つの送信部に(機能的に)分かれてもよい。
【0061】
制御部430は、UPF400における各種の制御及び処理を行う。例えば、制御部330は、UE100との間でPDUセッションを確立し、PDUセッションを介して、UE100との間でユーザデータの送受信を行う。第1実施形態では、制御部330は、UE100との間で、MBS(Multicast and Broadcast Services)セッションを確立する。制御部330は、NASタイマの変更後のタイマ値を含むMBSデータを生成する。送信部420は、当該MBSデータをUE100へ送信する。制御部430は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、CPUを含んでもよい。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。なお、後述するUPF400における処理又は動作は、制御部430により行われてもよい。
【0062】
(SMFの構成例)
次に、SMF600の構成例について説明する。
【0063】
図6は、SMF600の構成例を表す図である。図6に示すように、SMF600は、受信部610、送信部620、及び制御部630を有する。
【0064】
受信部610は、制御部630の制御の下で各種の受信を行う。受信部610は、UPF400から送信されたメッセージ(例えばN4メッセージ)又は他のコアネットワーク装置(例えばAMF300)から送信されたメッセージ(例えばNsmfメッセージ)を受信する。受信部610は、受信したメッセージを制御部630へ出力する。
【0065】
送信部620は、制御部630の制御の下で各種の送信を行う。送信部620は、制御部630から受け取ったメッセージ(例えばN4メッセージ)をUPF400へ送信したり、制御部630から受け取ったメッセージ(例えばNsmfメッセージ)をAMF300へ送信したりする。
【0066】
制御部630は、SMF600における各種の制御及び処理を行う。例えば、制御部630は、NASタイマについての変更後のタイマ値を含むPDUセッション変更コマンド(PDU Session Modification Command)(Nsmfメッセージ)を生成する。送信部620は、当該PDUセッション変更コマンドを、AMF300へ送信する。詳細は第2実施形態で説明する。制御部630は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、CPUを含んでもよい。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。なお、後述するSMF600における処理又は動作は、制御部630により行われてもよい。
【0067】
(AFの構成例)
次に、AF700の構成例について説明する。
【0068】
図7は、AF700の構成例を表す図である。図7に示すように、AF700は、受信部710、送信部720、及び制御部730を有する。
【0069】
受信部710は、制御部730の制御の下で各種の受信を行う。受信部710は、他のコアネットワーク装置(例えばAMF300)から送信されたメッセージ(例えばNafメッセージ)を受信する。受信部710は、受信したメッセージを制御部730へ出力する。
【0070】
送信部720は、制御部730の制御の下で各種の送信を行う。送信部720は、制御部730から受け取ったメッセージを他のコアネットワーク装置へ送信する。UE100とUPF400との間でMBSセッションが確立された場合、N6mbインタフェースを介してAF700とUPF400との間が接続される。そのため、送信部720は、当該インタフェースを介して、N6mbメッセージをUPF400へ送信することも可能である。
【0071】
制御部730は、AF700における各種の制御及び処理を行う。例えば、制御部730は、NASタイマについての変更後のタイマ値を含むN6mbメッセージを生成する。送信部720は、当該N6mbメッセージをUPF400へ送信する。詳細は動作例で説明する。制御部730は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、CPUを含んでもよい。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。なお、後述するAF700における処理又は動作は、制御部730により行われてもよい。
【0072】
(衛星の構成例)
図8は、衛星800の構成例を表す図である。図5に示すように、衛星800は、受信部810と、送信部820と、制御部830とを有する。
【0073】
受信部810は、制御部830の制御の下で各種の受信を行う。受信部810は、衛星バックホール回線を介して、gNB200、AMF300、UPF400、又は他の衛星から送信されたメッセージを受信する。受信部810は、アンテナ及び受信機を含んでもよい。受信機は、アンテナで受信した無線信号をベースバンド信号へ変換することで、メッセージを受信してもよい。受信部810は、受信したメッセージを制御部330へ出力する。
【0074】
送信部820は、制御部830の制御の下で各種の送信を行う。送信部820は、制御部830から受け取ったメッセージ(例えばN2メッセージ)を、衛星バックホール回線を介して、AMF300、UPF400、又は他の衛星へ送信する。送信部820は、アンテナ及び送信機を含んでもよい。送信機は、制御部330から受け取ったメッセージを無線信号へ変換し、アンテナから当該無線信号を、gNB200、AMF300、UPF400、又は他の衛星へ送信してもよい。
【0075】
制御部830は、衛星800における各種の制御及び処理を行う。制御部830は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、CPUを含んでもよい。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。なお、後述する衛星800における処理又は動作は、制御部830により行われてもよい。
【0076】
(ユーザプレーンのプロトコルスタック)
図9は、データを取り扱うユーザプレーンのプロトコルスタックの構成を表す図である。ユーザプレーンのプロトコルは、UE100とgNB200との間の無線インタフェースプロトコルと、gNB200とUPF400との間の有線インタフェースプロトコルとを含む。
【0077】
ユーザプレーンの無線インタフェースプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0078】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。なお、UE100のPHYレイヤは、gNB200から物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信される下りリンク制御情報(DCI)を受信する。具体的には、UE100は、無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いてPDCCHのブラインド復号を行い、復号に成功したDCIを自UE宛てのDCIとして取得する。gNB200から送信されるDCIには、RNTIによってスクランブルされたCRCパリティビットが付加されている。
【0079】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0080】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0081】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化等を行う。
【0082】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0083】
ユーザプレーンの有線インタフェースプロトコルは、L1(Layer 1)と、L2(Layer 2)と、IP(Internet Protocol)レイヤと、UDP(User Datagram Protocol)レイヤと、GTP-U(GPRS Tunneling Protocol for User Plane)とを有する。
【0084】
L1レイヤは、ユーザプレーンの無線インタフェースプロトコルにおけるPHYレイヤに対応する。また、L2レイヤは、ユーザプレーンの無線インタフェースプロトコルにおけるMACレイヤを含む。L2レイヤはデータリンクレイヤとも呼ばれる。
【0085】
IPレイヤは、インターネットレイヤに相当する。gNB200のIPレイヤとUPF400のIPレイヤとの間では、IPアドレスを用いてIPパケットが送受信される。
【0086】
UDPレイヤは、トランスポートレイヤに相当する。gNB200のUDPレイヤと、UPF400のUDPとの間では、通信相手の応答を待つことなくUDPパケットの送信が可能である。
【0087】
GTP-Uレイヤは、GPRS(General Packet Radio Service)トンネリングプロトコルを用いて、ユーザプレーンPDU(Protocol Data Unit)を送受信するレイヤである。gNB200のGTP-Uレイヤと、UPF400のGTP-Uレイヤとの間では、GTP-Uパケットが送受信される。GPRSトンネルは、トンネルエンドポイント識別子(TEID:Tunnel Endpoint Identifier)により識別される。
【0088】
(制御プレーンのプロトコルスタック)
図10は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インタフェースのプロトコルスタックの構成を表す図である。
【0089】
制御プレーンの無線インタフェースのプロトコルスタックは、図7に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)を有する。
【0090】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間にコネクション(RRCコネクション)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間にコネクション(RRCコネクション)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間のコネクションがサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0091】
RRCレイヤよりも上位に位置するNASは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASとAMF300のNASとの間では、NASシグナリングが伝送される。なお、UE100は、無線インタフェースのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。また、NASよりも下位のレイヤをAS(Access Stratum)と呼ぶ。
【0092】
(第1実施形態に係る動作例)
次に、第1実施形態に係る動作例について説明する。第1実施形態は、UPF400がMBSデータを利用して、NASタイマの変更後のタイマ値をUE100へ送信する例である。第1実施形態に係る動作例では、NASタイマとして、T3517を例にして説明する。
【0093】
図11及び図12は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
【0094】
図11に示すように、ステップS10において、UE100は、UPF400との間でPDUセッションを確立し、当該PDUセッションを利用して通信を行う。UE100は、gNB200に対してRRCコネクティッド状態となっている。
【0095】
ステップS11において、gNB200とUPF400との間でMBSセッションが確立される。例えば、UE100は、MBSセッションIDを含むPDUセッション変更(PDU Session Modification)メッセージをAMF300へ送信することで、マルチキャスト用のMBSセッションが確立されてもよい。或いは、AF700がブロードキャスト用のMBSサービスで用いられる周波数のID(MBS FSA(Frequency Selection Area) ID)を決定し、ブロードキャスト用のMBSセッションの生成を行うことで、ブロードキャスト用のMBSセッションが確立されてもよい。
【0096】
ステップS12において、AMF300は、遅延測定要求メッセージ(N2メッセージ)を、gNB200へ送信してもよい。遅延測定要求メッセージは、例えば、遅延測定メッセージ(N2メッセージ)の送信を要求するためのメッセージである。
【0097】
ステップS13において、gNB200は、遅延測定メッセージ(N2メッセージ)をAMF300へ送信する。gNB200は、遅延測定要求メッセージを受信したことに応じて、遅延測定メッセージをAMF300へ送信してもよい。遅延測定メッセージには、送信時刻情報及び衛星情報の少なくともいずれかが含まれる。送信時刻情報は、例えば、gNB200が遅延測定メッセージを送信した送信時刻を表す。また、衛星情報は、例えば、衛星800の種別及び衛星800の個数の少なくともいずれかを表す。遅延測定メッセージに衛星情報が含まれる場合、各衛星800は、例えば、以下のような処理を行う。
【0098】
第1に、各衛星800は、当該遅延測定メッセージを受信する毎に、自身の衛星の種別を衛星情報として当該遅延測定メッセージに書き込む。衛星の種別は、衛星の高度の応じた種別(低軌道(LEO:Low Earth Orbit)、中軌道(MEO:Middle Earth Orbit)、又は静止軌道(GEO:Geostationary Earth Orbit))でもよい。衛星の種別は、メーカー毎の種別でもよいし、製造年月日に基づく種別でもよい。
【0099】
第2に、各衛星800は、当該遅延測定メッセージを受信する毎に、衛星の個数を「1つ」インクリメントする。各衛星800は、衛星の種別毎に衛星の個数をインクリメントしてもよい(例えば、「LEO:3」など)。
【0100】
図11の例では、中軌道上の衛星が「6つ」存在するため、衛星情報は、例えば、「LEO:6つ」となる。
【0101】
ステップS14において、AMF300は、遅延測定メッセージを利用して、衛星バックホール回線の遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて、NASタイマのタイマ値を変更する。
【0102】
第1に、遅延測定メッセージに送信時刻情報が含まれる場合、AMF300は、例えば、以下の処理を行う。すなわち、AMF300は、送信時刻情報により表された送信時刻と、当該遅延測定メッセージを受信した受信時刻とに基づいて、その時間差を計算することで、衛星バックホール回線の遅延時間を算出する。そして、AMF300は、当該遅延時間を2倍(すなわち、衛星バックホール回線の往復分)した時間を、T3510のデフォルト値(又は満了値)に加算した値を、変更後のタイマ値とする。例えば、T3510のデフォルト値が「15s」で、当該遅延時間が「2.5s」の場合、往復分の「5s」を加算した値「20s」が変更後のT3510のタイマ値となる。なお、AMF300は、当該遅延時間が閾値以上のときに、NASタイマのタイマ値を変更するようにしてもよい。或いは、AMF300は、当該遅延時間と前回測定した遅延時間とを比較して、一定以上の差分が存在する場合に、NASタイマにタイマ値を変更してもよい。また、AMF300は、遅延時間の往復分(例えば「5s」)をNASタイマのデフォルト値に加算するのではなく、遅延時間(例えば「2.5s」)そのものをNASタイマのデフォルト値に加算してもよい。
【0103】
第2に、遅延測定メッセージに衛星情報が含まれる場合、AMF300は、例えば、以下の処理を行う。すなわち、AMF300では、衛星800の種類毎に衛星800の1台分の遅延時間をメモリに保持している。例えば、衛星800の種別が「LEO」の場合、衛星800の1台あたりの遅延時間が「1s」、衛星800の種別が「MEO」の場合、衛星800の1台あたりの遅延時間が「2s」、衛星800の種別が「GEO」の場合、衛星800の1台あたりの遅延時間が「3s」などの情報をAMF300では保持している。例えば、衛星情報として、衛星の種別が「LEO」、衛星の台数が「6つ」の場合、AMF300は、衛星の種別及び衛星の個数に基づいて、「1s」×「6」=「6s」などと、遅延時間を算出する。AMF300は、当該遅延時間をT3510のデフォルト値に加算することで、T3510のタイマ値を変更してもよいし、当該遅延時間の往復分をNASタイマのデフォルト値に加算することで、T3510のタイマ値を変更してもよい。なお、AMF300は、当該遅延時間が閾値以上のときに、NASタイマのタイマ値を変更するようにしてもよい。或いは、AMF300は、当該遅延時間と前回測定した遅延時間とを比較して、一定以上の差分が存在する場合に、NASタイマにタイマ値を変更してもよい。
【0104】
このように、AMF300は、遅延測定メッセージに含まれる送信時刻情報及び衛星情報のいずれかに基づいて遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいてNASタイマのタイマ値を変更している。
【0105】
ステップS15において、AMF300は、変更後のタイマ値をAF700へ送信する。具体的には、AMF300は、変更後のタイマ値を含む第1遅延通知メッセージをAF700へ送信する。第1遅延通知メッセージは、新規Nafメッセージであってもよいし、既存のNafメッセージであってもよい。なお、AMF300がAF700へ、変更後のタイマ値を送信しているのは、AF700において、MBSセッション(又はMBSデータ)の制御が行われているからである。AF700では、MBSデータのイベントを管理したり、上述したように、MBS FSA IDを決定したりするなど、MBSに関する種々の制御を行っている。AMF300は、変更後のタイマ値をAF700へ送信することで、AF700がMBSに関する制御の一つとして、変更後のタイマ値を処理することが可能となる。
【0106】
ステップS16において、AF400は、変更後のタイマ値をAMF300から受信したことに応じて、当該変更後のタイマ値をUPF400へ送信する。AMF300は、変更後のタイマ値を含む第1遅延通知メッセージを受信したことに応じて、当該変更後のタイマ値を含む第2遅延通知メッセージをUPF400へ送信してもよい。第2遅延通知メッセージは、新規N6mbメッセージであってもよいし、既存のN6mbメッセージであってもよい。上述したように、AF700とUPF400は、MBSセッション確立により、N6mbインタフェースが確立されるため、AF700は、当該N6mbインタフェースを介して、第2遅延通知メッセージを送信してもよい。
【0107】
ステップS17において、UPF400は、変更後のタイマ値をAF700から受信したことに応じて、当該変更後のタイマ値を含むMBSデータをUE100へ送信する。UPF400は、MBSセッションを利用して、当該MBSデータをUE100へ送信する。UE100は、当該MBSデータを受信する。
【0108】
ステップS18において、UE100は、NASタイマのタイマ値を、MBSデータに含まれる変更後のタイマ値へ更新する。例えば、UE100は、T3510のタイマ値「15s」を、変更後のタイマ値「20s」へ更新する。
【0109】
ステップS19(図12)において、UE100は、通信中のサービス(ステップS10)とは異なるサービスの提供を受けるため、サービス要求(ServiceRequest)メッセージを含むRRCメッセージをgNB200へ送信する。
【0110】
ステップS20において、gNB200は、当該RRCメッセージを受信したことに応じて、当該サービス要求メッセージを含むN2メッセージをAMF300へ送信する。当該サービス要求メッセージにより、AMF300では、サービス要求プロシージャを開始して、UE100とAMF300との間で、NASメッセージの交換が可能な状態にすることができる。その後、UE100は、NASメッセージを利用して、PDUセッションを確立し、通信中のサービスとは異なるサービスの提供を受けることが可能となる。
【0111】
なお、UE100では、サービス要求メッセージの送信を行うタイミング(ステップS19)で、T3517のタイマのカウントを開始する。T3517は、UE100において、サービス要求メッセージを送信するときにカウントを開始し、サービス許可メッセージを受信するか又はサービス拒否メッセージを受信するとカウントを停止するタイマである。ただし、UE100において、サービス許可メッセージまたはサービス拒否メッセージを受信する前に、T3517のカウント値がタイマ値(又は満了値)に達する(すなわち、T3517が満了すると)、UE100は、サービス要求プロシージャを取りやめる(abort)。
【0112】
ステップS21において、AMF300は、UE100からのサービス要求を受け入れることを決定し、サービス許可(ServiceAccept)メッセージ(NASメッセージ)を含むN2メッセージをgNB200へ送信する。
【0113】
ステップS22において、gNB200は、当該N2メッセージを受信したことに応じて、当該サービス許可メッセージを含むRRCメッセージをUE100へ送信する。
【0114】
UE100では、衛星バックホール回線における伝送遅延により、サービス要求メッセージ送信後、サービス許可メッセージを受信するまで、例えば、「16s」かかったとしても、T3517のタイマ値を「20s」に変更しているため、サービス要求メッセージの再送を行わないですむことになる。
【0115】
(第1実施形態に係る他の動作例1)
第1実施形態では、NASタイマとして、T3517を例にして説明したが、NASタイマの例はこれに限定されない。例えば、NASタイマは、T3510であってもよい。
【0116】
UE100は、MBSデータ(ステップS17)に含まれる変更後のタイマ値(具体的には、T3510の変更後のタイマ値)を利用することで、T3510のタイマ値を更新させることが可能となる。
【0117】
(第1実施形態に係る他の動作例2)
NASタイマは、T3510及びT3517以外にも、例えば、T3580、T3581、又はT3582であってもよい。
【0118】
例えば、T3580は、PDUセッション確立要求(PDUSessionEstablishmentRequest)メッセージの送信に用いられるNASタイマである。PDUセッション確立要求メッセージにより、PDUセッション確立プロシージャが開始され、当該プロシージャにより、UE100がUPF400との間でPDUセッションが確立される。UE100は、PDUセッション確立要求メッセージを送信するときに、T3580のカウントを開始する。そして、UE100は、T3580のタイマ値が満了するまでに、PDUセッション確立許可(PDUSessionEstablishmentAccept)メッセージを受信できなかった場合、又は、PDUセッション確立拒否(PDUSessionEstablishmentReject)メッセージを受信できなかった場合、PDUセッション確立要求メッセージを再送する。UE100は、MBSデータ(ステップS17)に含まれる変更後のタイマ値(具体的には、T3580の変更後のタイマ値)を利用することで、T3580のタイマ値を更新させることができる。
【0119】
また、例えば、T3581は、PDUセッション変更要求(PDUSessionModificationRequest)メッセージにおいて用いられるNASタイマである。PDUセッション変更要求メッセージにより、PDUセッション変更プロシージャが開始され、当該プロシージャにより、例えば、PDUセッションにおけるQoS(Quality of Service)パラメータを変更させることが可能となる。UE100は、PDUセッション変更要求メッセージを送信するときに、T3581のカウントを開始する。そして、UE100は、T3581のタイマ値が満了するまでに、PDUセッション変更コマンド(PDUSessionModificationCommand)メッセージを受信できなかった場合、又は、PDUセッション変更拒否(PDUSessionModificationReject)メッセージを受信できなかった場合、PDUセッション変更要求メッセージを再送する。UE100は、MBSデータ(ステップS17)に含まれる変更後のタイマ値(具体的には、T3581の変更後のタイマ値)を利用することで、T3581のタイマ値を更新させることができる。
【0120】
更に、例えば、T3582は、PDUセッション開放要求(PDUSessionReleaseRequest)メッセージにおいて用いられるNASタイマである。PDUセッション開放要求メッセージは、PDUセッションを開放させる場合に用いられるNASメッセージである。UE100は、PDUセッション開放要求メッセージを送信するときに、T3582のカウントを開始する。そして、UE100は、T3582のタイマ値が満了するまでに、PDUセッション開放コマンド(PDUSessionReleaseCommand)メッセージを受信できなかった場合、又は、PDUセッション開放拒否(PDUSessionReleaseReject)メッセージを受信できなかった場合、PDUセッション開放要求メッセージを再送する。この場合、UE100は、MBSデータ(ステップS17)に含まれる変更後のタイマ値(具体的には、T3582の変更後のタイマ値)を利用することで、T3582のタイマ値を更新させることができる。
【0121】
(第1実施形態に係る他の動作例3)
NASタイマとして、T3510、T3517、T3580、T3581、又はT3582を例にして説明したが、これらに限定されない。NASタイマは、例えば、3GPP TS 24.501の「10.2 Timers of 5GS mobility management」及び「10.3 Timers of 5GS session management」に記載されているNASタイマであればどのようなものでもよい。これらのNASタイマは、NASメッセージの送信の際に用いられるタイマとなっている。いずれの場合も、MBSデータ(ステップS17)に、変更後のタイマ値が含まれる。UE100は、変更後のタイマ値を利用して、NASタイマのタイマ値を更新させることができる。
【0122】
(第1実施形態に係る他の動作例4)
第1実施形態では、NASタイマのタイマ値を変更する処理(ステップS14)が行われるのはAMF300を例にして説明したが、これに限定されない。例えば、gNB200が、NASタイマのタイマ値を変更する処理を行ってもよい。この場合、AMF300が、遅延測定メッセージをgNB200へ送信してもよい。gNB200は、遅延測定メッセージに含まれる送信時刻情報及び衛星情報のいずれかを利用して、第1実施形態に係るAMF300と同様に、衛星バックホール回線の伝送遅延を測定してもよい。この場合、gNB200は、遅延測定要求メッセージをAMF300へ送信してもよく、AMF300は当該遅延測定要求メッセージを受信したことに応じて、遅延測定メッセージをgNB200へ送信してもよい。なお、gNB200は、変更後のタイマ値を含むN2メッセージをAMF300へ送信し、AMF300は、ステップS15以降の処理を行う。
【0123】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態との相違点を中心にして説明する。
【0124】
第1実施形態では、MBSデータに変更後のタイマ値が含まれる例を説明したが、第2実施形態では、PDUセッション変更コマンド(PDUSessionModificationCommand)(又はPDUセッション変更コマンドメッセージ)に変更後のタイマ値が含まれる例について説明する。
【0125】
具体的には、コアネットワーク装置(例えばAMF300)が、NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、ユーザ装置(例えばUE100)へ送信する。ここで、変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値である。また、衛星バックホール回線は基地局とコアネットワーク装置との間に存在する。更に、所定メッセージはPDUセッション変更コマンドメッセージである。
【0126】
このように、第2実施形態では、コアネットワーク装置が、PDUセッション変更コマンドメッセージを利用して、NASタイマの変更後のタイマ値をUE100へ送信している。RRCコネクティッド状態にあるUE100は、PDUセッション変更コマンドメッセージを受信することができる。そのため、UE100は、当該メッセージに含まれる変更後のタイマ値を、NASタイマに反映させることができる。よって、UEは、RRCコネクティッド状態であっても、NASタイマのタイマ値を更新することが可能となる。
【0127】
なお、PDUセッション変更コマンドは、任意のタイミングで送信することが可能なメッセージである。例えば、SMF600は、任意のタイミングで、変更後のタイマ値を含むPDUセッション変更コマンド(Nsmfメッセージ)をAMF300へ送信できる。AMF300では、当該PDUセッション変更コマンドを受信したことに応じて、当該PDUセッション変更コマンドを含むPDUセッション変更コマンドメッセージ(NASメッセージ)をUE100へ送信する。
【0128】
(第2実施形態に係る動作例)
次に、第2実施形態に係る動作例について説明する。
【0129】
図13は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。図13も、NASタイマとして、T3517を例にして説明する。
【0130】
図13に示すように、ステップS30において、UE100は、UPF400との間でPDUセッションを確立し、当該PDUセッションを利用して通信を行う。UE100は、gNB200に対してRRCコネクティッド状態となっている。
【0131】
ステップS31からステップS33は、第1実施形態のステップS12からステップS14と夫々同一である。
【0132】
ステップS34において、AMF300は、変更後のタイマ値をSMF600へ、送信する。例えば、AMF300は、変更後のタイマ値を含むNsmfメッセージをSMF600へ送信する。当該Nsmfメッセージは、変更後のタイマ値を含む新規メッセージであってもよいし、既存のNsmfメッセージであってもよい。AMF300がSMF600へ、変更後のタイマ値を送信しているのは、SMF600において、PDUセッション変更コマンドが生成されるからである。
【0133】
ステップS35において、SMF600は、当該変更後のタイマ値を含むPDUセッション変更コマンド(Nsmfメッセージ)を生成し、当該コマンドをAMF300へ送信する。
【0134】
ステップS36において、AMF300は、当該コマンドを受信したことに応じて、PDUセッション変更コマンドを含むPDUセッション変更コマンドメッセージ(NASメッセージ)をUE100へ向けて送信する。具体的には、AMF300は、PDUセッション変更コマンドメッセージを含むN2メッセージをgNB200へ送信する。そして、gNB200は、PDUセッション変更コマンドメッセージを含むRRCメッセージをUE100へ送信する(ステップS37)。UE100は、当該RRCメッセージを受信する。
【0135】
ステップS38において、UE100は、T3517のタイマ値を、PDUセッション変更コマンドメッセージに含まれる変更後のタイマ値(ここでは、T3517の変更後のタイマ値)に更新する。
【0136】
以降は、第1実施形態と同様に、サービス要求メッセージを送信する場合に、T3517の更新後のタイマ値を利用して、カウントを開始すればよい(図12のステップS19からステップS22)。
【0137】
(第2実施形態に係る他の動作例1)
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、NASタイマのタイマ値は、T3517に限定されず、T3510、T3580、T3581、又はT3582であってもよい。これのタイマ値についても、UE100は、PDUセッション変更コマンドメッセージから変更後のタイマ値を取得することで、更新することが可能となる。第1実施形態と同様に、PDUセッション変更コマンドメッセージには、各NASタイマの変更後のタイマ値が含まれる。
【0138】
また、第2実施形態においても、NASタイマは、例えば、3GPP TS 24.501の「10.2 Timers of 5GS mobility management」及び「10.3 Timers of 5GS session management」に記載されているNASタイマであればどのようなものでもよい。これらのNASタイマの変更後のタイマ値も、PDUセッション変更コマンドメッセージに含まれることになる。
【0139】
(第2実施形態に係る他の動作例2)
第2実施形態も、第1実施形態と同様に、NASタイマの変更処理(ステップS33)がgNB200で行われてもよい。遅延測定メッセージが用いられてたり、遅延測定メッセージが用いられたりするのは第1実施形態と同様である。gNB200は、NASタイマの変更処理を行った後、変更後のタイマ値を含むN2メッセージをAMF300へ送信する。AMF300では、ステップS34以降の処理を行うことになる。
【0140】
(付記)
(付記1)
移動通信システムにおける通信制御方法であって、
コアネットワーク装置が、NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、ユーザ装置へ送信するステップ、を有し、
前記変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値であって、
前記衛星バックホール回線は基地局と前記コアネットワーク装置との間に存在し、
前記所定メッセージは、MBSメッセージ及びPDUセッション変更コマンドメッセージのいずれかである
通信制御方法。
【0141】
(付記2)
前記送信するステップは、
前記コアネットワーク装置に含まれるAMFが、前記コアネットワーク装置に含まれるAFへ、前記変更後のタイマ値を送信するステップと、
前記AFが、前記コアネットワーク装置に含まれるUPFへ、前記変更後のタイマ値を送信するステップと、
前記UPFが、前記変更後のタイマ値を含む前記MBSメッセージを前記ユーザ装置へ送信するステップと、を含む
付記1記載の通信制御方法。
【0142】
(付記3)
前記送信するステップは、
前記コアネットワーク装置に含まれるAMFが、前記コアネットワーク装置に含まれるSMFへ、前記変更後のタイマ値を送信するステップと、
前記SMFが、前記AMFへ、前記変更後のタイマ値を含むPDUセッション変更コマンドを送信するステップと、
前記AMFが、前記PDUセッション変更コマンドを含む前記PDUセッション変更コマンドメッセージを前記ユーザ装置へ送信するステップと、を含む
付記1又は付記2記載の通信制御方法。
【0143】
(付記4)
前記PDUセッション変更コマンドを送信するステップは、前記SMFが、前記PDUセッション変更コマンドを任意のタイミングで前記AMFへ送信するステップを含む
付記1乃至付記3のいずれかに記載の通信制御方法。
【0144】
(付記5)
前記コアネットワーク装置が、前記衛星バックホール回線の前記遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて、前記NASタイマの前記タイマ値を変更するステップ、を更に有する
付記1乃至付記4のいずれかに記載の通信制御方法。
【0145】
(付記6)
前記変更するステップは、前記コアネットワーク装置に含まれるAMFが、前記基地局から受信した遅延測定メッセージに含まれる送信時刻情報及び衛星情報のいずれかに基づいて前記遅延時間を算出するステップを含み、
前記送信時刻情報は前記遅延測定メッセージの送信時刻を表し、前記衛星情報は前記衛星の種別及び前記衛星の個数の少なくともいずれかを表す
付記1乃至付記5のいずれかに記載の通信制御方法。
【0146】
(付記7)
前記NASタイマは、T3510、T3517、T3580、T3581、及びT3582のいずれかである
付記1乃至付記6のいずれかに記載の通信制御方法。
【0147】
(付記8)
基地局を介してユーザ装置と通信可能なコアネットワーク装置であって、
NASタイマの変更後のタイマ値を含む所定メッセージを、前記ユーザ装置へ送信する送信部、を有し、
前記変更後のタイマ値は、複数の衛星を含む衛星バックホール回線の遅延時間に基づいて変更されたタイマ値であって、
前記衛星バックホール回線は前記基地局と前記コアネットワーク装置との間に存在し、
前記所定メッセージは、MBSメッセージ及びPDUセッション変更コマンドメッセージのいずれかである
コアネットワーク装置。
【符号の説明】
【0148】
1 :移動通信システム 100 :UE
110 :受信部 120 :送信部
130 :制御部 200 :gNB(RAN)
210 :送信部 220 :受信部
230 :制御部 250 :ネットワーク通信部
300 :AMF 310 :受信部
320 :送信部 330 :制御部
400 :UPF 410 :受信部
420 :送信部 430 :制御部
600 :SMF 610 :受信部
620 :送信部 630 :制御部
700 :AF 710 :受信部
720 :送信部 730 :制御部
800 :衛星
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14