IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エナジーウィズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-直流電源装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134068
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】直流電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240926BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240926BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/34 A
H02H7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044166
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】322013937
【氏名又は名称】エナジーウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 憲樹
(72)【発明者】
【氏名】村松 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】金田 晴利
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053AA09
5G053AA14
5G053AA16
5G053BA01
5G053BA04
5G053BA06
5G053CA01
5G053DA01
5G053EC01
5G053EC05
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503EA08
5G503FA14
5G503FA16
5G503FA17
5G503FA18
5G503FA19
(57)【要約】
【課題】監視結果に応じて遮断動作を行う回路が故障した場合であっても、負荷への給電を継続する。
【解決手段】直流電源装置は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータからの直流電力により充電されると共に、直流電力を放電することができる蓄電池と、前記コンバータからの直流電力を負荷へ出力する出力端子と、前記蓄電池へ充電される直流電力、及び前記蓄電池から放電される直流電力を監視した結果に応じて遮断動作を行うように制御する第1監視回路であって、更に、前記第1監視回路の故障を検出する第1監視回路と、前記蓄電池へ充電される直流電力、及び前記蓄電池から放電される直流電力を監視した結果に応じて遮断動作を行うように制御する第2監視回路と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータからの直流電力により充電されると共に、直流電力を放電することができる蓄電池と、
前記コンバータからの直流電力を負荷へ出力する出力端子と、
前記蓄電池の状態を監視した結果に応じて遮断動作を行うように制御する第1監視回路であって、更に、前記第1監視回路の故障を検出する第1監視回路と、
前記蓄電池へ充電される直流電力、及び前記蓄電池から放電される直流電力を監視した結果に応じて遮断動作を行うように制御する第2監視回路と、
を含む直流電源装置。
【請求項2】
前記第1監視回路は、前記第1監視回路の故障を検出すると、前記蓄電池の充電を停止するように前記コンバータを制御する請求項1記載の直流電源装置。
【請求項3】
前記蓄電池を内蔵する電池ユニット内に設けられ、かつ、前記蓄電池の状態を検出し、前記第1監視回路に検出結果を送信する検出部を更に含み、
前記第1監視回路は、更に前記蓄電池の状態を検出した結果に応じて、前記遮断動作を行うように制御する請求項1記載の直流電源装置。
【請求項4】
複数の負荷毎に設けられた複数のヒューズを更に含む請求項1記載の直流電源装置。
【請求項5】
前記蓄電池は、リチウムイオン蓄電池である請求項1~請求項4の何れか1項記載の直流電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、直流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整流器から電池ユニットへの充電経路に電磁開閉器を配置するとともに、電池ユニットからインバータユニットへの放電経路には回路遮断器を配置し、電池状態検出回路により単電池のセル電圧が充電終了閾値を上回ったときには電磁開閉器を開き、単電池の異常を検出したときには回路遮断器にトリップ信号を出力して回路遮断器に遮断動作を行わせる無停電電源装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5990878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、故障が発生した場合における負荷への給電の継続性に関する記載がなく、故障した場合における、負荷への給電の継続性に改善の余地がある。
【0005】
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、監視結果に応じて遮断動作を行う回路が故障した場合であっても、負荷への給電を継続することができる直流電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様は、直流電源装置であって、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータからの直流電力により充電されると共に、直流電力を放電することができる蓄電池と、前記コンバータからの直流電力を負荷へ出力する出力端子と、前記蓄電池の状態を監視した結果に応じて遮断動作を行うように制御する第1監視回路であって、更に、前記第1監視回路の故障を検出する第1監視回路と、前記蓄電池へ充電される直流電力、及び前記蓄電池から放電される直流電力の状態を監視した結果に応じて遮断動作を行うように制御する第2監視回路と、を含む。
【0007】
本開示の第2態様は、第1態様の直流電源装置において、前記第1監視回路は、前記第1監視回路の故障を検出すると、前記蓄電池の充電を停止するように前記コンバータを制御する。
【0008】
本開示の第3態様は、第1態様の直流電源装置において、前記蓄電池を内蔵する電池ユニット内に設けられ、かつ、前記蓄電池の状態を検出し、前記第1監視回路に検出結果を送信する検出部を更に含み、前記第1監視回路は、更に前記蓄電池の状態を検出した結果に応じて、前記遮断動作を行うように制御する。
【0009】
本開示の第4態様は、第1態様の直流電源装置において、複数の負荷毎に設けられた複数のヒューズを更に含む。
【0010】
本開示の第5態様は、第1態様~第4態様の何れか1つの直流電源装置において、前記蓄電池は、リチウムイオン蓄電池である。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、監視結果に応じて遮断動作を行う回路が故障した場合であっても、負荷への給電を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の直流電源装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
<本実施形態の概要>
従来の鉛蓄電池を搭載した直流電源装置は、設置面積が大きく、重量もあり、健全性を維持するために定期的なメンテナンスが必要で、その際にすべての電池電圧を測定する等、時間を要することが課題となっている。これにより、都市部のオフィスビルの高層階、山間部や離島への設置を困難としている。そのため近年では、小型、軽量、長寿命の特長を持つLiB(リチウムイオンバッテリー)を搭載した直流電源装置への要求が高まっている。
【0015】
前記LiBは、例えば、正極にリチウム遷移金属複合酸化物、負極に炭素材料又はチタン酸リチウムが用いられると共に、電解液が、リチウム塩(電解質)と、これを溶解する非水系溶媒と、から構成され、正極と負極との間における電解質を介したリチウムイオンの移動により、充電及び放電を行う二次電池である。このように、リチウムイオンが電解質を介して正極と負極との間を移動することで充放電が行われれば、正極、負極及び電解液(非水系溶媒)の材料は、上記したものに限定されない。正極材料としては、コバルト、ニッケル、マンガンの単一または複合の金属酸化物やリン酸鉄系の材料を用いることが可能である、負極材料としては、炭素系材料や合金系の材料を用いることが可能である。非水系溶媒としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等を用いることが可能である。
【0016】
一方、既存のLiBシステムでは過充電・過電流などによる熱暴走が発生すると、発煙・発火などの可能性があるため、LiBを含む電池ユニット内にヒューズを設置し、かつバッテリ監視回路による安全の確保が必須となる。これは安全のための給電停止で、いかなる場合でも給電を継続する直流電源装置としては相反する事象である。本実施形態では、これらを解決すべく、バッテリ監視回路のデメリットを改善し、メリットを活用する。
【0017】
具体的には、部品単体で動作する自己遮断器としてのヒューズ、ブレーカの保護協調設計を行うことで、異常負荷の切り離しができ、安全に給電を継続する。また、バッテリ監視回路の異常時でも安全に給電を継続できるように、冗長化する。また、LiBの常時監視機能によりメンテナンス時間を短縮する。
【0018】
<本実施形態に係る直流電源装置の構成>
図1は、本実施形態における直流電源装置10の構成を示す図である。直流電源装置10は、商用電源に接続される入力端子12と、外部装置に接続される出力端子22を備えており、通常時は商用電源から供給される電力の一部を電池ユニット28に蓄えつつ外部装置である負荷に直流電力を供給し、商用電源の停電時には電池ユニット28に蓄えた電力によって外部装置に直流電力を供給する。
【0019】
直流電源装置10では、入力端子12と出力端子22との間において配線16を介して整流器14とブレーカ18とヒューズ20とが直列に接続されている。整流器14は、ブレーカ18よりも入力端子12側に配置されており、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する。なお、整流器14は、コンバータの一例である。
【0020】
ブレーカ18は、負過電流時の熱暴走を防ぐために、部品単体で電流を遮断する。ヒューズ20は、短絡事故などによる過電流時の熱暴走を防ぐために、部品単体で電流を遮断する。ブレーカ18及びヒューズ20は、負荷毎に設けられている。
【0021】
整流器14とブレーカ18の間の配線16には、配線26を介して電池ユニット28が接続されている。
【0022】
配線26には、ブレーカ24と電池ユニット28が直列に接続されている。ブレーカ24は、電池ユニット28よりも配線16側に配置されており、電池ユニット28の放電時には、配線26において電池ユニット28から配線16に向かう電流を流し、電池ユニット28の充電時には、配線16から電池ユニット28に向かう電流を流す。
【0023】
ブレーカ24は、OR回路46を介して、第1監視回路36及び第2監視回路44に接続されている。
【0024】
電池ユニット28には、ヒューズ30、蓄電池32、及び検出部34が内蔵されている。
【0025】
配線26に、ヒューズ30及び蓄電池32が直列に接続されている。ヒューズ30は、蓄電池32よりも配線16側に配置されている。蓄電池32は、整流器14からの直流電力により充電されると共に、停電時に直流電力を放電する。蓄電池32は、リチウムイオン蓄電池である。蓄電池32は、温度異常時に電流を遮断する機能を有する。検出部34は、蓄電池32の状態を検出し、検出した結果を第1監視回路36に送信する。
【0026】
第1監視回路36は、制御部34が検出した蓄電池32の状態結果に応じて、遮断動作を行うようにブレーカ24を制御する。第1監視回路36は、更に、第1監視回路36自身の故障を検出し、第1監視回路36の故障を検出すると、蓄電池32の充電を停止するように整流器14を制御する。
【0027】
第2監視回路44は、蓄電池32へ充電される直流電力、及び蓄電池32から放電される直流電力を監視した結果に応じて遮断動作を行うようにブレーカ24を制御する。
【0028】
配線26には、配線48を介して第1監視回路36が接続されている。配線48には、コンバータ38、40が並列に接続されている。整流器14からの直流電力が、コンバータ38、40を介して第1監視回路36に供給される。コンバータ38、40は、DCDCコンバータである。
【0029】
電圧検出回路42は、第1監視回路36に供給される直流電力を監視した結果に応じて遮断動作を行うようにブレーカ24を制御する。
【0030】
<直流電源装置の制御>
次に、直流電源装置10の各処理について説明する。
【0031】
<充電制御>
直流電源装置10が起動されると、配線16を介して各負荷に直流電力が供給される一方、電池ユニット28には配線26を介して直流電力が供給され、蓄電池32が充電される。
【0032】
<放電制御>
商用電源からの電力供給が停止(停電)すると、蓄電池32に蓄えられた直流電力によって各負荷に電力が供給され、停電にも関わらず各負荷の運転を継続することができる。停電から復帰して商用電源からの電力供給が再開されると、整流器14からの直流電力によって各負荷の運転が継続されると共に、蓄電池32の充電が再開される。
【0033】
停電が長時間に及び、蓄電池32の電圧が低下して過放電状態に至るおそれがあるが、第1監視回路36は、監視した、蓄電池32から放電される直流電力の電圧が放電終了閾値を下回ったときに、遮断動作を行うようにブレーカ24を制御する。このため、蓄電池32からの放電を停止することができ、蓄電池32を保護することができる。
【0034】
<異常時制御>
例えば、停電時に、第1監視回路36の故障によってブレーカ24による遮断動作を行えずに蓄電池32からの放電が継続すると、蓄電池32の電圧が更に低下することも懸念される。また、充電時に、第1監視回路36の故障によってブレーカ24による遮断動作を行えずに蓄電池32の充電が継続すると、蓄電池32が過充電状態になることも懸念される。
【0035】
そこで、第1監視回路36に対して冗長に設けられた第2監視回路44が、蓄電池32へ充電される直流電力、及び蓄電池32から放電される直流電力を監視した結果に応じて遮断動作を行うようにブレーカ24を制御する。
【0036】
また、第1監視回路36の故障に応じてブレーカ24による遮断動作を行ってしまうと、蓄電池32から放電された直流電力を各負荷に供給することができない。そこで、第1監視回路36は、第1監視回路36自身の故障を検知すると、蓄電池32の充電を停止するように整流器14を制御するものの、遮断動作を行うようにブレーカ24を制御しない。
【0037】
また、負荷が過電流となった場合、異常負荷のみを遮断できるように、ブレーカ18及びヒューズ20が遮断動作を行い、正常負荷のみに給電する。
【0038】
また、災害などで一部の負荷に不慮の事故(例えば負荷短絡)が発生し過電流が発生した場合であっても、継続して正常負荷に給電するために、ブレーカ18、ヒューズ20、及びヒューズ30が、協調して動作する。これにより、負荷の一部で異常が発生した場合にも残された正常負荷への安全な給電継続を行う。
【0039】
また、重度の故障(過充電・過放電・温度異常)が生じた場合、蓄電池32の発火や破裂の危険があるため、第1監視回路36及び第2監視回路44が、遮断動作を行うように、ブレーカ24を制御し、蓄電池32を守る。また、電圧検出回路42が、第1監視回路36に供給される直流電力を監視した結果に応じて遮断動作を行うようにブレーカ24を制御する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る直流電源装置は、蓄電池へ充電される直流電力、及び蓄電池から放電される直流電力を監視した結果に応じて遮断動作を行うように制御する監視回路として、第1監視回路及び第2監視回路を設けることにより、冗長構成とし、第1監視回路は、第1監視回路の故障を検出すると、蓄電池の充電を停止するものの、遮断動作は行わないようにする。これによって、監視結果に応じて遮断動作を行う第1監視回路が故障した場合であっても、負荷への給電を継続することができる。また、負荷毎にヒューズやブレーカを設けることにより、異常負荷時に、異常負荷のみを遮断できる。このように、監視回路の異常や一部の負荷異常時にも負荷に対する安定的な電力供給を継続可能とする。
【0041】
<変形例>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0042】
例えば、蓄電池が、リチウムイオン蓄電池である場合を説明したが、これに限定されるものではない。リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池を用いてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 直流電源装置
12 入力端子
14 整流器
16、26、48 配線
18、24 ブレーカ
20、30 ヒューズ
22 出力端子
28 電池ユニット
32 蓄電池
34 検出部
36 第1監視回路
38、40 コンバータ
42 電圧検出回路
44 第2監視回路
46 OR回路
図1