(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134072
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】非焼成骨材および非焼成骨材の製造方法、フレッシュコンクリート、水硬性硬化体
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20240926BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20240926BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20240926BHJP
C04B 20/00 20060101ALI20240926BHJP
C04B 40/02 20060101ALI20240926BHJP
C04B 14/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B18/14 B
C04B22/14 B
C04B20/00 Z
C04B40/02
C04B14/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044174
(22)【出願日】2023-03-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたコンクリート等製造技術開発/CO2排出削減・固定量最大化コンクリートの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391017159
【氏名又は名称】日本メサライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】依田 和久
(72)【発明者】
【氏名】笠井 浩
(72)【発明者】
【氏名】全 振煥
(72)【発明者】
【氏名】巴 史郎
(72)【発明者】
【氏名】里山 公治
(72)【発明者】
【氏名】成川 史春
(72)【発明者】
【氏名】石川 法隆
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA02
4G112PA29
4G112PB11
4G112RA00
(57)【要約】
【課題】CO2の排出量を抑制し、強度を増進できる非焼成骨材および非焼成骨材の製造方法、ならびに非焼成骨材を含むフレッシュコンクリートおよび水硬性硬化体を提供する。
【解決手段】非焼成骨材は、SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む高炉スラグ微粉末とセメントとを含有し、前記高炉スラグ微粉末に対する前記セメントの含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)は、10以上40以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む高炉スラグ微粉末とセメントとを含有し、前記高炉スラグ微粉末に対する前記セメントの含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)は、10以上40以下である、非焼成骨材。
【請求項2】
前記非焼成骨材の絶乾密度は1.70g/cm3以上である、請求項1に記載の非焼成骨材。
【請求項3】
前記高炉スラグ微粉末の平均粒径は12μm以下である、請求項1に記載の非焼成骨材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の非焼成骨材を含むフレッシュコンクリート。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の非焼成骨材を含む水硬性硬化体。
【請求項6】
SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む高炉スラグ微粉末とセメントと水とを含有する混錬物から焼成せずに非焼成造粒物を造粒する造粒工程と、
前記非焼成造粒物を湿潤養生、保水養生、封緘養生または促進養生して硬化させ、前記高炉スラグ微粉末に対する前記セメントの含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)が10以上40以下である非焼成骨材を得る硬化工程と
を有する非焼成骨材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非焼成骨材および非焼成骨材の製造方法、フレッシュコンクリート、水硬性硬化体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コンクリートやモルタルなどの水硬性硬化体には、水硬性硬化体の所望特性に応じて、様々な骨材が含まれている。例えば、人工骨材は、各種原料を混合して焼成することで製造できる。このように、骨材の製造時には、焼成によって多量の二酸化炭素(CO2、炭酸ガス)が排出されることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、石炭灰およびセメントを主要成分として成形してなり、石炭灰の平均粒径を12μm以下とした非焼成型の人工骨材が記載されている。特許文献1では、大型の焼成設備や繁雑な焼成温度管理が不要で、製造やメンテナンスも容易であることから、骨材の製造時に焼成を行っておらず、結果的に骨材製造時のCO2排出量が抑制されている。
【0004】
セメントは、製造時に原料の脱炭酸および焼成時の燃焼により多量のCO2を排出し、特許文献1の骨材には最大で50%含まれている。特に近年では、気候変動抑制に対する関心の高まりを受けて、従来よりもCO2排出量を抑制することが求められている。しかしながら、特許文献1では、CO2排出量の抑制について何ら言及されておらず、さらには検討もされていない。また、骨材には、CO2排出量の抑制と共に、水硬性硬化体用として使用するために強度を増進することも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、CO2の排出量を抑制し、強度を増進できる非焼成骨材および非焼成骨材の製造方法、ならびに非焼成骨材を含むフレッシュコンクリートおよび水硬性硬化体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む高炉スラグ微粉末とセメントとを含有し、前記高炉スラグ微粉末に対する前記セメントの含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)は、10以上40以下である、非焼成骨材。
[2] 前記非焼成骨材の絶乾密度は1.70g/cm3以上である、上記[1]に記載の非焼成骨材。
[3] 前記高炉スラグ微粉末の平均粒径は12μm以下である、上記[1]または[2]に記載の非焼成骨材。
[4] 上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の非焼成骨材を含むフレッシュコンクリート。
[5] 上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の非焼成骨材を含む水硬性硬化体。
[6] SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む高炉スラグ微粉末とセメントと水とを含有する混錬物から焼成せずに非焼成造粒物を造粒する造粒工程と、前記非焼成造粒物を湿潤養生、保水養生、封緘養生または促進養生して硬化させ、前記高炉スラグ微粉末に対する前記セメントの含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)が10以上40以下である非焼成骨材を得る硬化工程とを有する非焼成骨材の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、CO2の排出量を抑制し、強度を増進できる非焼成骨材および非焼成骨材の製造方法、ならびに非焼成骨材を含むフレッシュコンクリートおよび水硬性硬化体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に基づき詳細に説明する。
【0010】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、SO3を所定量含む高炉スラグ微粉末を用い、高炉スラグ微粉末とセメントの含有比を所定範囲に設定することで、非焼成骨材の製造時のCO2排出量を抑制できると共に、非焼成骨材の強度を増進できることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の非焼成骨材は、SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む高炉スラグ微粉末とセメントとを含有し、高炉スラグ微粉末に対するセメントの含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)は、10以上40以下である。
【0012】
本発明の非焼成骨材の製造方法は、SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む高炉スラグ微粉末とセメントと水とを含有する混錬物から焼成せずに非焼成造粒物を造粒する造粒工程と、非焼成造粒物を湿潤養生、保水養生、封緘養生または促進養生して硬化させ、高炉スラグ微粉末に対するセメントの含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)が10以上40以下である非焼成骨材を得る硬化工程とを有する。
【0013】
まず、非焼成骨材について説明する。
【0014】
実施形態の非焼成骨材は、高炉スラグ微粉末とセメントとを含有する。
【0015】
非焼成骨材を構成する高炉スラグ微粉末は、JIS A 6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に規定される微粉末である。高炉で、せん鉄と同時に生成する溶融状態の高炉スラグを水や空気によって急冷したものが高炉水砕スラグであり、その塩基度は1.60以上である。この高炉水砕スラグを乾燥・粉砕したもの、又はこれに、石膏を添加したものが、高炉スラグ微粉末である。ポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末で代替することにより、セメント製造段階での炭酸ガス排出量を低減させることができる。
【0016】
また、高炉スラグ微粉末は、SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む。高炉スラグ微粉末に含まれるSO3の量が上記範囲内であると、非焼成骨材を製造する際に、針状結晶のエトリンガイトがフレッシュコンクリート中に生成され、エトリンガイトが水和物の骨格を形成し、非焼成骨材の若材齢での強度増進に寄与することで、非焼成骨材の高い強度を発現できる。
【0017】
また、高炉スラグ微粉末に石膏を添加することで、高炉スラグ微粉末に含まれるSO3の量を容易に制御できる。
【0018】
非焼成骨材を構成するセメントは、ポルトランドセメントであることが好ましい。ポルトランドセメントには、普通ポルトランドセメント(OPC)の他、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩等の種類があり、これらはJIS R 5210:2019に規定されている。非焼成骨材においては、これら種々のポルトランドセメントの1種又は2種以上を配合するものを用いることができる。
【0019】
また、非焼成骨材を構成する高炉スラグ微粉末とセメントについて、高炉スラグ微粉末に対するセメントの含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)は、10以上であり、好ましくは20以上である。上記含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)が10以上であると、高炉スラグ微粉末に起因するエトリンガイトによる非焼成骨材の強度増進を達成できる。
【0020】
また、上記含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)は、40以下である。上記含有比が40以下であると、非焼成骨材に含まれるセメントの含有量を低下できるので、非焼成骨材の製造時のCO2排出量を抑制できる。
【0021】
このように、非焼成骨材の主要成分である高炉スラグ微粉末とセメントの含有量について、セメントに比べて高炉スラグ微粉末の方が多く含まれるため、非焼成骨材の製造時のCO2排出量を抑制できる。また、高炉スラグ微粉末よりもセメントの含有量が少ないものの、SO3を所定量含む高炉スラグ微粉末が非焼成骨材に含まれることで、非焼成骨材の強度を増進できる。
【0022】
さらに、非焼成骨材は、後述のように、焼成をせずに製造する。そのため、非焼成骨材の製造時のCO2排出量を削減できる。
【0023】
また、非焼成骨材の絶乾密度は1.70g/cm3以上であることが好ましい。非焼成骨材の絶乾密度が1.70g/cm3以上であると、非焼成骨材の強度をさらに増進できる。
【0024】
また、高炉スラグ微粉末の平均粒径は、好ましくは12μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。高炉スラグ微粉末の平均粒径が12μm以下であると、高炉スラグ微粉末の比表面積が増えて化学反応が促進しやすくなるため、非焼成骨材の強度をさらに増進できる。
【0025】
また、高炉スラグ微粉末の比表面積が5000cm2/g以上7000cm2/g以下であると、非焼成骨材の強度をさらに増進できる。
【0026】
また、非焼成骨材は、本発明の効果を奏する範囲内で、その他の添加物をさらに含有してもよい。その他の添加物としては、例えば、シリカフューム、フライアッシュ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0027】
また、上記の非焼成骨材を含むフレッシュコンクリートおよび上記の非焼成骨材を含む水硬性硬化体については、非焼成骨材の製造時のCO2排出量を抑制できることから、非焼成骨材を含み、フレッシュコンクリートを硬化して得られる水硬性硬化体の構築時のCO2排出量を抑制できる。また、非焼成骨材の強度が増進していることから、これに伴い非焼成骨材を含有する水硬性硬化体の強度についても増進できる。
【0028】
次に、非焼成骨材の製造方法について説明する。
【0029】
実施形態の非焼成骨材の製造方法は、造粒工程と、硬化工程とを有し、上記した非焼成骨材を製造できる。
【0030】
非焼成骨材の製造方法を構成する造粒工程では、SO3を3.00重量%以上4.00重量%以下含む高炉スラグ微粉末とセメントと水とを含有する混錬物から、焼成せずに、非焼成造粒物を造粒する。このように、造粒工程では、焼成せずに、混錬物から非焼成造粒物を製造する。例えば、常温(温度制御しない環境下)で、混錬物から非焼成造粒物を製造する。
【0031】
また、非焼成骨材が上記その他の添加物を含有する場合、その他の添加物を混錬物に添加するなどにより、混錬物はその他の添加物も含有し、その他の添加物も含まれている非焼成造粒物を製造する。
【0032】
造粒方法にもよるが、例えば、造粒工程における混錬物は、高炉スラグ微粉末およびセメントの合計100重量部に対して、水を10.0重量部以上20.0重量部以下含有する。
【0033】
造粒工程の後に行われる硬化工程では、造粒工程で得られた非焼成造粒物を湿潤養生、保水養生、封緘養生または促進養生して硬化させ、上記含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)が10以上40以下である非焼成骨材を得る。硬化工程では、上記の養生のように、水分を高めた状態で非焼成造粒物を養生して、水和反応を進行させて非焼成骨材を製造することで、非焼成骨材の強度を増進できる。また、硬化工程では、上記養生のうち、1つの養生のみを行ってもよいし、2つ以上の養生を行ってもよい。
【0034】
上記含有比が10以上であると、非焼成骨材の強度を増進できる。そのため、上記含有比は20以上であることが好ましい。また、上記含有比が40以下であると、非焼成骨材に含まれるセメントの含有量を低下できるので、非焼成骨材の製造時のCO2排出量を削除できる。
【0035】
このように、非焼成骨材を構成する高炉スラグ微粉末とセメントの含有量について、セメントに比べて高炉スラグ微粉末の方が多いため、非焼成骨材の製造時のCO2排出量を抑制できる。また、高炉スラグ微粉末よりもセメントの含有量が少ないものの、SO3を所定量含む高炉スラグ微粉末が非焼成骨材に含まれることで、非焼成骨材の強度を増進できる。
【0036】
さらに、非焼成骨材の製造方法では、造粒工程を含めた製造全体の工程において、焼成を実施しない。そのため、非焼成骨材の製造方法におけるCO2排出量を削減できる。
【0037】
また、非焼成造粒物の強度を高めて、上記養生中の非焼成造粒物の構造を維持するため、硬化工程における上記養生の前や、上記養生を複数回行う場合には上記養生の間に、気中養生を行ってもよい。
【0038】
また、非焼成骨材の強度をさらに増進する観点から、非焼成骨材における高炉スラグ微粉末の平均粒径は、12μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
【0039】
また、造粒工程の方法は、非焼成骨材の所望特性や非焼成骨材の製造状況などに応じて、適宜選択できる。例えば、ボールミルからボールを除外した容器内に混錬物を入れて容器を回転させる転動造粒やパンペレタイザーのような転動造粒機を用いて、転動造粒によって混錬物から非焼成造粒物を造粒する場合、造粒後の容器や転動造粒機の後処理など、使用機器のメンテナンスが容易である。また、パンペレタイザーのようなパン型造粒機を用いて、転動造粒によって混錬物から非焼成造粒物を造粒する場合、非焼成造粒物をより高精度で造粒することができる。
【0040】
また、硬化工程で促進養生を行う場合、非焼成骨材の若材齢での強度増進の観点から、促進養生は水蒸気を供給する蒸気養生であることが好ましい。この場合、蒸気養生は、温度が40℃以上100℃、時間が13時間以上であることが好ましい。
【0041】
以上説明した実施形態によれば、SO3を所定量含む高炉スラグ微粉末を用い、高炉スラグ微粉末とセメントの含有比を所定範囲に設定することで、非焼成骨材の製造時のCO2排出量を抑制することができると共に、非焼成骨材の強度を増進することができる。
【0042】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本開示の範囲内で種々に改変することができる。
【実施例0043】
次に、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0044】
(実施例1-1~1-5)
高炉スラグ微粉末としてファインセラメント6000A(密度2.91g/cm3)を用い、セメントとしてポルトランドセメント(密度3.16g/cm3)を用い、転動造粒機によって表1に示す組成の混錬物から焼成せずに常温で非焼成造粒物を造粒した。次に、2日間の気中養生を行い、続いて5日間の水中養生を行うことで、非焼成造粒物を硬化させて表1に示す組成を有する非焼成骨材を得た。
【0045】
(比較例1-1)
セメントを用いないこと以外は、上記実施例1-1と同様にして、非焼成骨材を得た。
【0046】
(比較例1-2)
含有比(セメント重量/高炉スラグ微粉末重量)を10未満にしたこと以外は、上記実施例1-1と同様にして、非焼成骨材を得た。
【0047】
(実施例2-1~2-4)
高炉スラグ微粉末としてファインセラメント6000A(密度2.91g/cm3)を用い、セメントとしてポルトランドセメント(密度3.16g/cm3)を用い、転動造粒機によって表2に示す組成の混錬物から焼成せずに常温で非焼成造粒物を造粒した。次に、2日間の気中養生を行い、続いて5日間の水中養生を行い、続いて2日間の封緘養生を行い、続いて5日間の水中養生を行うことで、非焼成造粒物を硬化させて表2に示す組成を有する非焼成骨材を得た。
【0048】
(比較例2-1)
セメントを用いないこと以外は、上記実施例2-1と同様にして、非焼成骨材を得た。
【0049】
(実施例3-1~3-3)
高炉スラグ微粉末としてファインセラメント6000A(密度2.91g/cm3)を用い、セメントとしてポルトランドセメント(密度3.16g/cm3)を用い、転動造粒機によって表3に示す組成の混錬物から焼成せずに常温で非焼成造粒物を造粒した。次に、2日間の封緘養生を行い、続いて5日間の水中養生を行うことで、非焼成造粒物を硬化させて表3に示す組成を有する非焼成骨材を得た。
【0050】
(比較例3-1)
セメントを用いないこと以外は、上記実施例3-1と同様にして、非焼成骨材を得た。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
上記実施例および比較例で得られた非焼成骨材について、下記の測定を行った。その結果を表4~6に示す。
【0055】
[1] 圧壊強度
JIS Z 8841 造粒物-強度試験方法に従い、非焼成骨材の圧壊強度を測定した。
【0056】
[2] 絶乾密度
非焼成骨材の絶乾密度dd(g/cm3)は、以下の式(1)により算出した。まず、非焼成骨材の体積測定方法として、試料(非焼成骨材)を10分間水中浸漬させた後、ウエスで水膜を拭い去った試料の質量を測定し、表乾質量m2(g)とした。次に、試料をピクノメーターに入れて水を満たしてから気泡を抜出し、蓋をして、ピクノメーターの質量m3(g)を測定した。次に、体積測定後の試料を105℃で恒量となるまで乾燥して質量を測定し、絶乾質量m4(g)とした。また、水をピクノメーターに入れてから気泡を抜出し、蓋をして、ピクノメーターの質量m1(g)を測定した。なお、以下式(1)はJIS A 1135を準用している。
【0057】
dd=m4×ρw/(m1+m2-m3) 式(1)
【0058】
m1:水で満たしたピクノメーターの全質量(g)
m2:吸水させた非焼成骨材の表面乾燥状態の質量(表乾質量)(g)
m3:表乾状態の試料と水とで満たしたピクノメーターの質量(g)
m4:105℃乾燥後の非焼成骨材の質量(絶乾質量)(g)
ρw:試験温度における水の密度(g/cm3)
【0059】
[3] 吸水率
非焼成骨材の吸水率Q(%)は、以下の式(2)により算出した。
【0060】
Q=(m2-m4)/m4×100 式(2)
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
上記のように、上記実施例では、SO3を所定量含む高炉スラグ微粉末を用い、高炉スラグ微粉末とセメントの含有比を所定範囲に設定したことで、非焼成骨材の強度を増進することができ、さらには非焼成骨材の製造時のCO2排出量を抑制することができた。一方、上記比較例では、高炉スラグ微粉末とセメントの含有比が所定範囲外であったため、非焼成骨材の強度を増進することができず、さらには非焼成骨材の製造時のCO2排出量を抑制することができなかった。特に、比較例1-1では、非焼成造粒物の強度が非常に小さかったため、水中養生中に非焼成造粒物が破損した。