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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134076
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ヘルメットホルダ
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/24 20200101AFI20240926BHJP
   B62J 9/26 20200101ALI20240926BHJP
【FI】
B62J11/24
B62J9/26
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044180
(22)【出願日】2023-03-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】523101981
【氏名又は名称】鶴田 帆乃佳
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大西 光雄
(57)【要約】
【課題】汎用性が高く、且つ使い勝手の良好なヘルメットホルダを提供する。
【解決手段】自転車にヘルメットを保持させるヘルメットホルダであって、車体に装着固定されるホルダ基部と、ホルダ基部に上下回動可能に設けられる支持フレームと、を備え、支持フレームは、一部が開放され且つヘルメットの内周面に沿って環装可能なループ状に曲成される受枠部と、受枠部の各開放端部からホルダ基部に亘って延設され、当該ホルダ基部に枢支連結される一対のアーム部と、を有し、受枠部は、支持フレームをサドルの上方へ起立させた第1姿勢のときにサドルの座面中央を囲うように当該サドルの上方に配され、アーム部同士を一定以上の外力で近接させることにより、開放端部の離間方向内側へ弾性変形可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車にヘルメットを保持させるヘルメットホルダであって、
車体に装着固定されるホルダ基部と、前記ホルダ基部に上下回動可能に設けられる支持フレームと、を備え、
前記支持フレームは、一部が開放され且つヘルメットの内周面に沿って環装可能なループ状に曲成される受枠部と、前記受枠部の各開放端部から前記ホルダ基部に亘って延設され、当該ホルダ基部に枢支連結される一対のアーム部と、を有し、
前記受枠部は、前記支持フレームをサドルの上方へ起立させた第1姿勢のときにサドルの座面中央を囲うように当該サドルの上方に配され、前記アーム部同士を一定以上の外力で近接させることにより、前記開放端部の離間方向内側へ弾性変形可能に構成されているヘルメットホルダ。
【請求項2】
サドルの下方に延在するシートポストに装着固定され、前記支持フレームをサドルの下方へ傾倒させた第2姿勢のときに前記受枠部を掛合保持する枠固定部を備えている請求項1に記載のヘルメットホルダ。
【請求項3】
前記枠固定部は、前記受枠部を前記開放端部の離間方向外側へ拡幅させた状態で掛合保持する掛合部を有している請求項2に記載のヘルメットホルダ。
【請求項4】
前記受枠部は、使用者の指や盗難防止ワイヤーを挿通可能なリング部を有し、
前記リング部は、前記第1姿勢のときにサドルの後部近傍に配され、前記第2姿勢のときに前記枠固定部の近傍に配されるように構成されている請求項2または3に記載のヘルメットホルダ。
【請求項5】
前記アーム部は、前記第1姿勢のときのサドルと前記受枠部との離間距離を調整可能な高さ調整部を有している請求項1に記載のヘルメットホルダ。
【請求項6】
前記受枠部に取り外し可能に装着され、且つ当該受枠部の内側空隙部を覆うカバー体を備えている請求項5に記載のヘルメットホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車にヘルメットを保持させるヘルメットホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車に乗る際に着用するヘルメットは、移動先で降車した際に、持ち歩くのに邪魔になる。また、ハンドルやサドル等に引掛けておくだけでは、強風によって落下したり大きく揺れ動いて他物に接触したりする虞もあるし、内部が雨で濡れて着用時に使用者に不快感を与える問題もある。かかる問題を鑑みて、自動二輪車等の車体の後部に支持フレームを起立して設け、当該支持フレームの上端部にヘルメットを被せて支持可能としたヘルメットホルダが提案されている(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
特許文献1のヘルメットホルダは、自動二輪車の車両本体等に取り付けられる取付固定部(ホルダ基部)と、取付固定部に対して起伏自在に連結支持される保持アーム部(支持フレーム)と、を備え、保持アーム部をシートの後方位置にて起立させ、その上端部にヘルメットを正立姿勢で被せて支持させるように構成されている。
【0004】
特許文献2の自動二輪車等のヘルメットハンガ装置は、車体の後部にネジ留め固定されるキャリア(支持フレーム)を備え、当該キャリアの上端部に設けられた円状部分(受枠部)に、頭頂を上にしてヘルメットを被せて支持させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-157522号
【特許文献2】実公昭63-34786号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のヘルメットホルダは何れも、シートの後方位置にてヘルメットを支持するように構成されているため、車体後部に荷物かご等が装備されている自転車には適用できなかった。
【0007】
しかも、街中で用いられる一般的な自転車用のヘルメットは、所謂ハーフキャップ型であり、頭部全体を覆うフルフェイス型やジェット型のヘルメットに比べて内側の空間が浅い。そのため、上記従来のヘルメットホルダのように、支持フレームの上端部にヘルメットを被せて支持させるだけでは、ヘルメットを安定して支持できず、車体の傾きや強風、他物との接触等によって、ヘルメットが支持フレームから容易に脱落する虞もある。
【0008】
また、特許文献1には、略矩形板状に形成された保持アーム部(支持フレーム)の左右両側縁部外側に、外向きに付勢された押出部が設けられたヘルメットホルダも提案されている。しかしながら、このものでは、矩形状に形成された保持アーム部の先端部をヘルメットの内側へ縦向きに挿通させ、当該保持アーム部の左右の押出部の2点でヘルメットの内周面を押圧支持しているため、ヘルメットの前後方向への揺動までは十分に抑制できなかった。また、ヘルメットを保持アーム部に被せたり保持アーム部から取り外したりする際に、上記押出部がヘルメットの下縁部や内側に引掛かり、円滑に着脱できない虞もある。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、汎用性が高く、且つ使い勝手の良
好なヘルメットホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のヘルメットホルダは、以下の技術的手段を講じている。
【0011】
本発明は、自転車にヘルメットを保持させるヘルメットホルダであって、車体に装着固定されるホルダ基部と、前記ホルダ基部に上下回動可能に設けられる支持フレームと、を備え、前記支持フレームは、一部が開放され且つヘルメットの内周面に沿って環装可能なループ状に曲成される受枠部と、前記受枠部の各開放端部から前記ホルダ基部に亘って延設され、当該ホルダ基部に枢支連結される一対のアーム部と、を有し、前記受枠部は、前記支持フレームをサドルの上方へ起立させた第1姿勢のときにサドルの座面中央を囲うように当該サドルの上方に配され、前記アーム部同士を一定以上の外力で近接させることにより、前記開放端部の離間方向内側へ弾性変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のヘルメットホルダは、サドルの下方に延在するシートポストに装着固定され、前記支持フレームをサドルの下方へ傾倒させた第2姿勢のときに前記受枠部を掛合保持する枠固定部を備えてもよい。
【0013】
前記枠固定部は、前記受枠部を前記開放端部の離間方向外側へ拡幅させた状態で掛合保持する掛合部を有してもよい。
【0014】
前記受枠部は、使用者の指や盗難防止ワイヤーを挿通可能なリング部を有し、前記リング部は、前記第1姿勢のときにサドルの後部近傍に配され、前記第2姿勢のときに前記枠固定部の近傍に配されるように構成されてもよい。
【0015】
前記アーム部は、前記第1姿勢のときのサドルと前記受枠部との離間距離を調整可能な高さ調整部を有してもよい。
【0016】
本発明のヘルメットホルダは、前記受枠部に取り外し可能に装着され、且つ当該受枠部の内側空隙部を覆うカバー体を備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヘルメットをサドルの上方位置にて保持できるから、汎用性の高いヘルメットホルダを実現できる。しかも、本発明によれば、支持フレームにてヘルメットを安定して保持でき、且つ円滑に着脱させることもできるから、使い勝手も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態のヘルメットホルダの取付状態を示す斜視図である。
図2】実施形態のヘルメットホルダの取付状態を示す側方視図である。
図3】ホルダ基部周辺の上方視断面図である。
図4】支持ブラケットの前方視断面図である。
図5】高さ調整部周辺の側方視図である。
図6】枠固定部周辺の上方視断面図である。
図7】枠固定部周辺の側方視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るヘルメットホルダを図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0020】
図1図2に示すように、本実施形態のヘルメットホルダ1は、自転車MにヘルメットHを保持させるためのヘルメット保持装置であり、ホルダ基部2と、支持フレーム3と、枠固定部4と、を備えている。
【0021】
なお、本実施形態のヘルメットホルダ1は、自転車Mに対して適正な姿勢および向きで取り付けられているものとする。また、本実施形態では、後述するように支持フレーム3をサドルM1の上方へ起立させた姿勢(起立姿勢)をヘルメットホルダ1の基本姿勢として、この基本姿勢における自転車Mの前後方向(図1図2の矢視X1,X2方向)をヘルメットホルダ1の前後方向、自転車Mの左右方向(図1の矢視Y1,Y2方向)をヘルメットホルダ1の左右方向、自転車Mの上下方向(図1図2の矢視Z1,Z2方向)をヘルメットホルダ1の上下方向とする。
【0022】
また、本実施形態では、自転車MのサドルM1は、座面中央(上面部)P1を略水平且つ上向きとした姿勢でシートポスト(車体)M2の上端部に連結支持されているものとする。また、ヘルメットHは、一般的なハーフキャップ型の自転車用ヘルメットであり、帽体H1が略半球状に形成され、帽体H1の内周面H2が使用者の頭部にフィットするよう下方視略楕円形状に形成され、上記内周面H2にはあご紐H3が連設されているものとする。
【0023】
ホルダ基部2は、クランプ装置5と、支持ブラケット6と、有しており、クランプ装置5によってシートポストM2の外周面を挟み付けて装着固定される。ホルダ基部2は、構成部品の全部がステンレスやアルミニウム系合金等の金属材料により形成されている。なお、ホルダ基部2は、外部から加わる負荷によって容易に変形や破損を生じない強度を有していれば、構成部品の一部が塩化ビニル系樹脂やポリカーボネイト系樹脂など、金属以外の材料により形成されてもよい。
【0024】
図3に示すように、クランプ装置5は、ベース枠部7と、一対の挟持片8と、締付ネジ9と、を有している。ベース枠部7は、左右に長い中空の略矩形棒状に形成されており、後面部7AをシートポストM2の外周面に前方から対向させた状態で、サドルM1の下方位置に配される。
【0025】
ベース枠部7の後面部7Aには、一対の連結孔11が開設されている。連結孔11は、挟持片8の基端部12を挿通可能なスリット状に形成されており、ベース枠部7の後面部7Aの左右間中央を挟んで左右位置に、所定の間隔を存して並設されている。
【0026】
挟持片8は、基端部12が鉤状に折曲形成された略半円弧状の部材であり、基端部12を連結孔11に挿入掛合させた状態でベース枠部7の後面部7Aに支持されている。挟持片8の先端部13には、ネジ挿通孔14が貫設されている。挟持片8の内側面部15は、シートポストM2の外周面よりも大径の円弧曲面状に形成されている。挟持片8はそれぞれ、内側面部15を対面させた状態でベース枠部7の後部に配されており、それら内側面部15をシートポストM2の外周面に押接させることによって、シートポストM2を左右方向から挟持する。
【0027】
本実施形態では、クランプ装置5は、ベース枠部7の後面部7Aに上下一対設けられており、これらクランプ装置5によってシートポストM2の上下2箇所を挟持する。なお、シートポストM2に対してホルダ基部2を強固に取り付け可能であれば、クランプ装置5は、ベース枠部7の後面部7Aに1つのみ設けられてもよい。
【0028】
締付ネジ9は、ボルト9Aおよびナット9Bにより構成されており、ボルト9Aのネジ
軸9Cを挟持片8の先端部13に開設されたネジ挿通孔14に挿通させ、且つネジ軸9Cにナット9Bを挟持片8の外側から締結させることによって、左右の挟持片8同士を近接させる。これにより、左右の挟持片8は、シートポストM2の外周面に対して強固に固定される。
【0029】
支持ブラケット6は、一対の側枠部16と、軸受部17と、を有している。側枠部16は、ベース枠部7の前方に向かって延長する矩形板状に形成されており、ベース枠部7の前面部7Bの左右間中央を挟んで左右位置に、所定の間隔を存して並設されている。軸受部17は、左右に長い略円筒状に形成されており、左右の側枠部16の内側面(対向面)相互間に横設されている。
【0030】
側枠部16は、フレーム枢支孔18と、フレーム掛合溝19と、を有している。フレーム枢支孔18は、貫通孔であり、軸受部17の内空部に連通している。図4に示すように、フレーム掛合溝19は、側枠部16の外側面に沿って凹没形成された断面略半円形状の溝体であり、フレーム枢支孔18から側枠部16の前端部に亘って延長形成されている。
【0031】
支持フレーム3は、ステンレス等の金属線材より形成された枠体であり、ホルダ基部2に対して上下回動可能に連設されている。詳しくは、図1図2に示すように、支持フレーム3は、受枠部21と、一対のアーム部22と、支軸部23と、を有しており、受枠部21をサドルM1の上方に配した起立姿勢(第1姿勢)と、受枠部21をサドルM1の下方に配した傾倒姿勢(第2姿勢)との間を、サドルM1の前側にて上下方向へ回動可能に構成されている。なお、支持フレーム3は、ステンレス等の金属線材の表面にポリエチレン系樹脂やナイロン系樹脂等によるコーティングを施した線材により形成されてもよい。
【0032】
図1に示すように、受枠部21は、前方に開放され且つヘルメットHの内周面H2に沿って周方向に環装可能な大きさのループ状に曲成されており、支持フレーム3が起立姿勢のときに、サドルM1の座面中央P1を囲うようにサドルM1の上方位置に配される。一方、支持フレーム3が傾倒姿勢のとき、受枠部21は、シートポストM2の外周に環設された状態でサドルM1の下方位置に配される。
【0033】
本実施形態では、受枠部21は、左右の開放端部24から側縁部25、および後縁部26に亘る略全体が略同一の曲率半径で連続的に湾曲する略C字状に形成されている。従って、受枠部21は、ヘルメットHが被せられたとき、その略全体がヘルメットHの内周面H2に沿って当接される。なお、受枠部21は、ヘルメットHを安定して保持可能であれば、例えば、左右の側縁部25のみが外向きに湾曲する円弧状に形成され、それら側縁部25がヘルメットHの内周面H2に沿って当接されるように構成されてもよい。
【0034】
受枠部21は、開放端部24の離間方向(左右方向)へ弾性変形可能に構成されており、ヘルメットHが被せられたとき、上記離間方向内側への縮幅変形に抗する弾性力によってヘルメットHを内側から押圧保持する。
【0035】
受枠部21は、複数のリング部27A,27Bを有している。リング部27A,27Bは、受枠部21と同一の線材によって形成されている。本実施形態では、リング部27A,27Bは、受枠部21の左右の側縁部25と、後縁部26とに設けられている。
【0036】
リング部27A,27Bのうち、左右の側縁部25に設けられた第1リング部27Aはそれぞれ、側縁部25から下方に向かって、ヘルメットHのあご紐H3を挿通可能な大きさの略U字状に曲成されている。第1リング部27Aは、側縁部25の前後間略中央部に設けられており、支持フレーム3が起立姿勢のとき、サドルM1の左右の側部上方位置にそれぞれ配される。これにより、ヘルメットHは、あご紐H3を左右の第1リング部27
Aに挿通させた状態でロックし、受枠部21に保持させることができる。
【0037】
一方、リング部27A,27Bのうち、受枠部21の後縁部26に設けられた第2リング部27Bは、後縁部26から下方に向かって、使用者の指や盗難防止ワイヤーを挿通可能な大きさの略円環状に曲成されている。第2リング部27Bは、後縁部26の左右間中央部に設けられており、支持フレーム3が起立姿勢のとき、サドルM1の後部上方位置に配される。一方、支持フレーム3が傾倒姿勢のとき、第2リング部27Bは、枠固定部4の上部近傍位置に配される。
【0038】
なお、図1に示すように、受枠部21には、カバー体28が取り外し可能に装着されてもよい。詳しくは、カバー体28は、ポリエチレン系の布地やナイロン系の布地など、可撓性および撥水性(或いは防水性)の高いシート材によって偏平な袋状に形成されている。カバー体28の外周縁部28Aは、内部に伸縮性を有する紐体が環装されており、内外に伸縮可能に構成されている。
【0039】
従って、カバー体28は、支持フレーム3を起立させた状態で、外周縁部28Aを受枠部21に外周側から引掛けることによって、受枠部21の内側空隙部21Pを覆うようにして支持フレーム3に装着される。その結果、サドルM1の少なくとも座面中央P1が上方からカバー体28によって覆われる。なお、受枠部21は、上記のようにカバー体28が装着された状態であっても、ヘルメットHの内周面H2に沿って環装することができる。
【0040】
アーム部22は、受枠部21の左右の開放端部24から下方へ略平行に、ホルダ基部2に亘って延設され、ホルダ基部2に枢支連結されている。従って、使用者がアーム部22同士を手で握って、一定以上の外力で近接させることで、受枠部21は、開放端部24の離間方向内側へ弾性変形して縮幅される。
【0041】
図1図5に示すように、本実施形態では、アーム部22は、円柱状の中軸部22Aと円筒状の外筒部22Bとからなる二重構造の線材であり、上下方向へスライド伸縮可能に構成されている。また、外筒部22Bと中軸部22Aとの継目部には、高さ調整部29が設けられている。
【0042】
高さ調整部29は、外筒部22Bの周方向一方へ回動させて緩めることによって、外筒部22Bに対する中軸部22Aの摺動を許容する一方、外筒部22Bの周方向他方へ回動させて締め付けることによって、外筒部22Bに対する中軸部22Aの摺動を阻止するように構成されている。
【0043】
このように、アーム部22は、高さ調整部29を手動操作することによって長さを任意に調整できる。また、上記のように両アーム部22の長さを変更することにより、支持フレーム3が起立姿勢のときにサドルM1と受枠部21との間に画成される隙間Sの高さ(図2参照)、即ち、サドルM1と受枠部21との上下方向の離間距離S1を任意に調整できる。
【0044】
図1に示すように、中軸部22Aは、受枠部21の開放端部24から下方へ延長され、その下端部が外筒部22Bに摺動可能に挿通保持されている。外筒部22Bは、中軸部22Aの下端部から同方向(下方)に延設され、さらに中間部で後方へ折曲する略?字状に形成されている。即ち、アーム部22を構成する外筒部22Bの下端部(以下、「アーム下端部」という)22Eは、後方に向かって延長形成されている。
【0045】
左右のアーム下端部22Eはそれぞれ、受枠部21の離間方向内側への弾性力によって
、対向する側枠部16の外側面に押圧付勢されている。また、支持フレーム3が起立姿勢のとき、左右のアーム下端部22Eはそれぞれ、対向する側枠部16に設けられたフレーム掛合溝19に沿って配される。即ち、支持フレーム3を起立させたとき、アーム下端部22Eは、フレーム掛合溝19に嵌入される(図4参照)。これにより、支持フレーム3は、ホルダ基部2にて起立姿勢で保持される。
【0046】
図3に示すように、支軸部23は、アーム下端部22Eの後端部からアーム部22の離間方向中央側に向かって略L字状に折曲形成されており、側枠部16のフレーム枢支孔18を通じて軸受部17の内空部に上下回動可能に挿通保持されている。
【0047】
図6に示すように、枠固定部4は、クランプ装置31と、固定ブラケット32と、有しており、クランプ装置31によってシートポストM2の外周面を挟み付けて装着固定される。枠固定部4は、構成部品の全部がステンレスやアルミニウム系合金等の金属材料により形成されている。なお、枠固定部4は、外部から加わる負荷によって容易に変形や破損を生じなければ、構成部品の一部が塩化ビニル系樹脂やポリカーボネイト系樹脂など、金属以外の材料により形成されてもよい。
【0048】
クランプ装置31は、ホルダ基部2のクランプ装置5と同様、一対の挟持片33と、締付ネジ34と、を有しており、且つ固定ブラケット32に上下一対設けられている。なお、挟持片33は、固定ブラケット32に連結支持されていること以外、上記ホルダ基部2の挟持片8と同様に構成されているため説明を省略する。また、締付ネジ34は、上記ホルダ基部2に用いられる締付ネジ9と同一のものであるため説明を省略する。また、シートポストM2に対して枠固定部4を強固に取り付け可能であれば、クランプ装置31は、固定ブラケット32に1つのみ設けられてもよい。
【0049】
固定ブラケット32は、ベース枠部35と、一対の側枠部36と、掛合部37と、を有している。ベース枠部35は、略矩形板状に形成されており、シートポストM2の外周面に前方から対向させた状態で、ホルダ基部2よりも下方位置に配される。なお、本実施形態では、枠固定部4は、ホルダ基部2と別体で構成されているが、枠固定部4のベース枠部35とホルダ基部2のベース枠部7とが一部材で構成されている、枠固定部4のベース枠部35とホルダ基部2のベース枠部7とが共通の部材で連結されているなど、ホルダ基部2と一体的に構成されてもよい。
【0050】
ベース枠部35には、一対の連結孔38が開設されている。連結孔38はそれぞれ、上下に長いスリット状に形成されており、ベース枠部35の左右間中央を挟んで左右位置に、所定の間隔を存して並設されている。挟持片33は、基端部41を連結孔38に挿入掛合させ、且つ先端部42に締付ネジ34を締結させることによって、シートポストM2の外周面に挟持固定される。
【0051】
図7に示すように、側枠部36は、ベース枠部35の前方に向かって延長する矩形板状に形成されており、ベース枠部35の左右間中央を挟んで左右位置に、所定の間隔を存して配されている。側枠部36の上縁部(以下、「側枠上縁部」という)43は、ベース枠部35から前下方に向かって傾斜している。換言すると、側枠上縁部43は、前方から後上方に向かって傾斜している。なお、枠固定部4は、支持フレーム3を起立姿勢から前下方へ傾倒させたときに、受枠部21の後縁部26が側枠上縁部43に当接可能な位置に配されている。
【0052】
掛合部37は、上方へ開放する略U字状の切欠であり、側枠上縁部43における前後間の略中央部、即ち、後上がりに傾斜する側枠上縁部43の中腹に設けられている。従って、上記のように支持フレーム3を前下方へ傾倒させることで、受枠部21は、側枠上縁部
43に沿って掛合部37に導かれ、掛合部37に嵌入される。これにより、支持フレーム3は、受枠部21をサドルM1の下方に配した傾倒姿勢にて固定される。
【0053】
このとき、掛合部37は、受枠部21を開放端部24の離間方向外側へ拡幅させるようにして掛合保持する。詳しくは、図6に示すように、左右の側枠部36に設けられた一対の掛合部37は、受枠部21の曲率半径が通常状態(拡幅方向、縮幅方向の何れにも外力が加わっていない自然状態)よりも大きくなるように、後縁部26を後方へ押圧付勢した状態で保持する。これにより、受枠部21は、経年的に縮幅方向へ変形するのを抑制でき、拡幅方向への弾性力を長期に亘って維持できる。
【0054】
以上のように、本実施形態のヘルメットホルダ1は、自転車MにヘルメットHを保持させるヘルメットホルダであって、車体(シートポスト)M2に装着固定されるホルダ基部2と、ホルダ基部2に上下回動可能に設けられる支持フレーム3と、を備え、支持フレーム3は、一部が開放され且つヘルメットHの内周面H2に沿って環装可能なループ状に曲成される受枠部21と、受枠部21の各開放端部24からホルダ基部2に亘って延設され、当該ホルダ基部2に枢支連結される一対のアーム部22と、を有し、受枠部21は、支持フレーム3をサドルM1の上方へ起立させた第1姿勢のときにサドルM1の座面中央P1を囲うように当該サドルM1の上方に配され、アーム部22同士を一定以上の外力で近接させることにより、開放端部24の離間方向内側へ弾性変形可能に構成されている。
【0055】
このものでは、支持フレーム3を起立させることで、ヘルメットHをサドルM1の座面中央P1の上方位置にて保持できるから、サドルM1の後方位置に荷物かご等が装備された自転車Mなど、様々な形態の自転車Mに取付可能であり、汎用性が高い。
【0056】
しかも、このものでは、受枠部21を開放端部24の離間方向内側へ弾性変形させたときの復元力、即ち、受枠部21の縮幅変形に抗する弾性力によって、ヘルメットHをその内周面H2に沿って押圧保持できるから、たとえ自転車Mが前後左右に大きく傾いていたり強風が吹いたり、或いは自転車Mの横を通る人や荷物がヘルメットHに接触したりしても、ヘルメットHは、支持フレーム3から容易に脱落しない。即ち、ヘルメットHを常に安定した姿勢で保持できる。よって、使い勝手も良好である。
【0057】
また、このものでは、左右のアーム部22同士を一定以上の力で近接させることで、受枠部21が開放端部24の離間方向内側へ縮幅変形されるから、支持フレーム3に対してヘルメットHを容易且つ円滑に着脱することもできる。よって、使い勝手が一層良好である。
【0058】
上記ヘルメットホルダ1は、さらに、サドルM1の下方に延在するシートポストM2に装着固定され、支持フレーム3をサドルM1の下方へ傾倒させた第2姿勢のときに受枠部21を掛合保持する枠固定部4を備えている。
【0059】
このものでは、支持フレーム3を傾倒させることで、受枠部21をサドルM1の下方位置にて掛合保持できるから、走行時に受枠部21が使用者の邪魔にならない。よって、使い勝手が一層良好である。
【0060】
また、枠固定部4は、受枠部21を開放端部24の離間方向外側へ拡幅させた状態で掛合保持する掛合部37を有している。
【0061】
上記のように受枠部21がヘルメットHの内周面H2に沿って押圧保持され、受枠部21に対して継続的に離間方向内側へ外力(弾性力の反力)が加わっていると、受枠部21は、経年的に縮幅方向へ変形し、拡幅方向への弾性力が次第に減衰される虞がある。しか
しながら、このものでは、支持フレーム3を下方へ傾倒させている間、受枠部21は、枠固定部4にて離間方向外側へ拡幅させた状態で保持されるから、経年的な縮幅方向への変形を抑制できる。これにより、受枠部21によるヘルメットHの保持力を長期に亘って維持することが可能となる。
【0062】
また、受枠部21は、使用者の指や盗難防止ワイヤーを挿通可能なリング部(第2リング部)27Bを有し、リング部27Bは、第1姿勢のときにサドルM1の後部近傍に配され、第2姿勢のときに枠固定部4の近傍に配されるように構成されている。
【0063】
このものでは、支持フレーム3を起立させたとき、リング部27Bは、自転車Mの後輪との間に盗難防止ワイヤーを挿通巻回させて上記後輪の回転を阻止するためのロック用リングとして用いることができる。一方、支持フレーム3を傾倒させたとき、リング部27Bは、受枠部21を枠固定部4に掛合させる際や、受枠部21と枠固定部4との掛合状態を解除させる際に、使用者が指を引掛けてる受枠部21を押し引きするための指掛け用リングとして用いることができる。よって、使い勝手が一層良好である。
【0064】
また、アーム部22は、第1姿勢(起立姿勢)のときのサドルM1と受枠部21との離間距離S1を調整可能な高さ調整部29を有している。
【0065】
このものでは、受枠部21に装着されるヘルメットHがサドルM1に干渉しないよう、ヘルメットHの大きさや形状に合わせてサドルM1と受枠部21との上下方向の離間距離S1を任意に調整できるから、使い勝手が一層良好である。また、上記離間距離S1をヘルメットHの帽体H1の高さ寸法に合わせて調整すれば、サドルM1と受枠部21との間に画成される隙間Sに、ヘルメットHや他の荷物類を挟んで保持させることも可能となるから、汎用性も一層向上する。
【0066】
上記ヘルメットホルダ1は、さらに、受枠部21に取り外し可能に装着され、且つ当該受枠部21の内側空隙部21Pを覆うカバー体28を備えてもよい。
【0067】
このものでは、サドルM1がカバー体28によって上方から覆われるから、サドルM1が雨で濡れたり鳥の糞や埃等で汚れたりするのを防止できる。また、上記のようにサドルM1と受枠部21との隙間SにヘルメットHや他の荷物類を挟んで保持させたときにも、それらヘルメットHや他の荷物類が濡れたり汚れたりするのも防止できる。また、カバー体28が汚れた場合は、カバー体28のみサドルM1から取り外して清掃することもできる。これにより、使い勝手がより一層向上する。
【0068】
なお、本実施形態では、支持フレーム3は、アーム部22が二重構造の線材であり、高さ調整部29により上下方向へスライド伸縮可能に構成されているが、支持フレーム3は、受枠部21からアーム部22、および支軸部23に至る全体が1本の金属線材により形成されたものとしてもよい。この場合、サドルM1と受枠部21との上下方向の離間距離S1は、シートポストM2に対するホルダ基部2の取付位置を変更することによって調整してもよいし、ホルダ基部2に、ベース枠部7に対する支持ブラケット6の連結位置を調整可能な連結位置調整機構を設け、支持ブラケット6の連結位置を変更することによって調整する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 ヘルメットホルダ
2 ホルダ基部
3 支持フレーム
4 枠固定部
21 受枠部
21P 内側空隙部
22 アーム部
24 開放端部
27B 第2リング部(リング部)
28 カバー体
29 高さ調整部
37 掛合部
H ヘルメット
H2 内周面
M 自転車
M1 サドル
M2 シートポスト
P1 座面中央
S1 離間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7