(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134078
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】防音壁ユニット及び防音壁ユニットの組立て方法
(51)【国際特許分類】
E01F 8/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
E01F8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044184
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】森本 裕介
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA02
2D001BB01
2D001CA01
(57)【要約】
【課題】吸音板を容易に着脱するとともに、支柱と吸音板との固定が解除された場合でも、支柱から吸音板が外れるのを抑制した防音壁ユニットを提供する。
【解決手段】防音壁ユニット10は、吸音材を有する吸音板11と、上下方向Zに沿って延び、吸音板を、上下方向に交差する第1交差方向Xに挟む支柱22A,22Bと、支柱の下端部に接続されたベース部材41と、を備え、上下方向及び第1交差方向にそれぞれ交差する方向を、第2交差方向Yと規定したときに、それぞれの支柱は、吸音板における第2交差方向の第1側を向く第1面を支持する第1片23A,23Bと、吸音板における第2交差方向の第2側を向く第2面を支持する第2片24A,24Bと、吸音板における第1交差方向を向く第3面を支持する第3片25A,25Bと、を有し、一対の支柱の一方である第1支柱22Aでは、第2片及び第3片は、第1片よりも上方にそれぞれ延びている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音材を有する吸音板と、
上下方向に沿って延び、前記吸音板を、前記上下方向に交差する第1交差方向に挟む一対の支柱と、
前記一対の支柱の下端部にそれぞれ接続されたベース部材と、
を備え、
前記上下方向及び前記第1交差方向にそれぞれ交差する方向を、第2交差方向と規定したときに、
それぞれの前記支柱は、
前記吸音板における前記第2交差方向の第1側を向く第1面を支持する第1片と、
前記吸音板における前記第2交差方向の第2側を向く第2面を支持する第2片と、
前記吸音板における前記第1交差方向を向く第3面を支持する第3片と、
を有し、
前記一対の支柱の一方である第1支柱では、前記第2片及び前記第3片は、前記第1片よりも上方にそれぞれ延びている、防音壁ユニット。
【請求項2】
前記一対の支柱の他方である第2支柱では、前記第2片及び前記第3片は、前記第1片よりも上方にそれぞれ延びている、請求項1に記載の防音壁ユニット。
【請求項3】
前記吸音板と前記一対の支柱とを固定する締結部材を備える、請求項1又は2に記載の防音壁ユニット。
【請求項4】
前記一対の支柱の少なくとも一方に設けられ、前記吸音板を、前記吸音板の下方から支持する規制部材を備える、請求項1又は2に記載の防音壁ユニット。
【請求項5】
前記吸音板は、前記吸音材が収容された収容部を有し、
前記収容部における前記第2交差方向の前記第2側の側壁には、開口が形成されている、請求項1又は2に記載の防音壁ユニット。
【請求項6】
前記第1支柱は、第1嵌合部を有し、
前記一対の支柱の他方である第2支柱は、前記第1嵌合部と嵌め合う第2嵌合部を有する、請求項1又は2に記載の防音壁ユニット。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の防音壁ユニットを組立てる防音壁ユニットの組立て方法であって、
前記ベース部材を設置場所上に配置する配置ステップと、
前記第1支柱における、前記第1片よりも上方、かつ、前記第2片及び前記第3片の上端の高さよりもそれぞれ下方の部分を通して、一対の支柱の間に前記吸音板を挿入する挿入ステップと、
前記設置場所に前記ベース部材を、締結具で固定する固定ステップと、
を行う、防音壁ユニットの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音壁ユニット及び防音壁ユニットの組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軌道等に設置される防音壁ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の防音壁ユニットは、防音パネル(吸音板)と、一対の縦材(支柱)と、ベース部材と、を備える。
各縦材には、水平断面がコの字型の溝形鋼が用いられている。一対の縦材は、開口同士が対向するように配置されている。一対の縦材における前壁と後壁との間には、防音パネルの左右の縁部が嵌め入れられている。
ベース部材は、一対の縦材の端部にそれぞれ接続されている。ベース部材は、アンカーボルトにより構造物に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、防音パネルは一対の縦材にそれぞれ嵌め入れられている。このため、例えば、一対の縦材間に防音パネルを挿入するには、吸音板を一対の縦材の上端よりも上方に持ち上げる必要がある。従って、設置された状態において一対の縦材に防音パネルを着脱するのは、困難である。
また、一対の縦材から防音パネルを離脱させやすくすると、一対の縦材から防音パネルが外れる虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、一対の支柱が軌道に設置された状態であっても吸音板を容易に着脱するとともに、一対の支柱と吸音板との固定が解除された場合でも、一対の支柱から吸音板が外れるのを抑制した防音壁ユニット、及びこの防音壁ユニットの組立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、吸音材を有する吸音板と、上下方向に沿って延び、前記吸音板を、前記上下方向に交差する第1交差方向に挟む一対の支柱と、前記一対の支柱の下端部にそれぞれ接続されたベース部材と、を備え、前記上下方向及び前記第1交差方向にそれぞれ交差する方向を、第2交差方向と規定したときに、それぞれの前記支柱は、前記吸音板における前記第2交差方向の第1側を向く第1面を支持する第1片と、前記吸音板における前記第2交差方向の第2側を向く第2面を支持する第2片と、前記吸音板における前記第1交差方向を向く第3面を支持する第3片と、を有し、前記一対の支柱の一方である第1支柱では、前記第2片及び前記第3片は、前記第1片よりも上方にそれぞれ延びている、防音壁ユニットである。
【0007】
この発明では、例えば、一対の支柱と吸音板との固定が解除された場合でも、一対の支柱における、それぞれの第1片により吸音板は第2交差方向の第1側に移動するのが規制され、それぞれの第2片により吸音板は第2交差方向の第2側に移動するのが規制される。さらに、それぞれの第3片により吸音板は第1交差方向に移動するのが規制される。
以上のように、吸音板は、上下方向に交差する第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ移動するのが規制されるため、一対の支柱から吸音板が外れるのを抑制することができる。
また、一対の支柱に吸音板を装着する場合には、第1支柱における、第1片よりも上方、かつ、第2片及び第3片の上端の高さよりもそれぞれ下方に位置する第1切欠き部分を通して、一対の支柱の間に吸音板を挿入する。一方で、一対の支柱から吸音板を離脱する場合には、前記第1切欠き部分を通して、一対の支柱の間から吸音板を取外す。このため、着脱時に吸音板を持ち上げる高さが抑えられ、一対の支柱に吸音板を容易に着脱することができる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、前記一対の支柱の他方である第2支柱では、前記第2片及び前記第3片は、前記第1片よりも上方にそれぞれ延びている、(1)に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、第2支柱にも、第1支柱における第1切欠き部分と同様の、第1片よりも上方、かつ、第2片及び第3片の上端の高さよりもそれぞれ下方に位置する第2切欠き部分が形成される。このため、吸音板の着脱時に、第1切欠き部分だけでなく第2切欠き部分を吸音板が通ることで、着脱時に吸音板を持ち上げる高さがより確実に抑えられ、一対の支柱に吸音板をより容易に着脱することができる。
【0009】
(3)本発明の態様3は、前記吸音板と前記一対の支柱とを固定する締結部材を備える、(1)又は(2)に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、締結部材により、吸音板と一対の支柱とを固定することができる。
【0010】
(4)本発明の態様4は、前記一対の支柱の少なくとも一方に設けられ、前記吸音板を、前記吸音板の下方から支持する規制部材を備える、(1)から(3)のいずれか一に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、規制部材により、吸音板を、吸音板の下方から支持することができる。
【0011】
(5)本発明の態様5は、前記吸音板は、前記吸音材が収容された収容部を有し、前記収容部における前記第2交差方向の前記第2側の側壁には、開口が形成されている、(1)から(4)のいずれか一に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、収容部に開口が形成されていない場合に比べて、収容部を軽量化することができる。
【0012】
(6)本発明の態様6は、前記第1支柱は、第1嵌合部を有し、前記一対の支柱の他方である第2支柱は、前記第1嵌合部と嵌め合う第2嵌合部を有する、(1)から(5)のいずれか一に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、一対の防音壁ユニットを第1交差方向に並べたときに、一対の防音壁ユニットの一方の第1嵌合部と、一対の防音壁ユニットの他方の第2嵌合部とを嵌め合わせることができる。
【0013】
(7)本発明の態様7は、(1)から(6)のいずれか一に記載の防音壁ユニットを組立てる防音壁ユニットの組立て方法であって、前記ベース部材を設置場所上に配置する配置ステップと、前記第1支柱における、前記第1片よりも上方、かつ、前記第2片及び前記第3片の上端の高さよりもそれぞれ下方の部分を通して、一対の支柱の間に前記吸音板を挿入する挿入ステップと、前記設置場所に前記ベース部材を、締結具で固定する固定ステップと、を行う、防音壁ユニットである。
この発明では、例えば、配置ステップにおいて、ベース部材を設置場所上に配置し、挿入ステップにおいて、第1切欠き部分を通して、一対の支柱の間に吸音板を挿入する。そして、固定ステップにおいて、設置場所にベース部材を締結具で固定することにより、設置場所上に防音壁ユニットを組立てることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の防音壁ユニットでは、吸音板を容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の防音壁ユニットを備える防音壁の斜視図である。
【
図4】同防音壁ユニットの下部における平面視した断面図である。
【
図6】同防音壁ユニットの上部における平面視した断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の防音壁ユニットの組立て方法を示すフローチャートである。
【
図8】同防音壁が施工されるスラブ軌道の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る防音壁ユニット及び防音壁ユニットの組立て方法の一実施形態を、
図1から
図8を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の防音壁ユニット10は、防音壁1に用いられる。
防音壁1は、複数の防音壁ユニット10と、連結部材45と、を備える。なお、防音壁1が備える防音壁ユニット10の数は、限定されない。
防音壁ユニット10は、吸音板11と、壁本体21と、締結部材(不図示)と、ベース部材41と、を備える。
図2及び
図3に示すように、吸音板11は、吸音材12と、収容部13と、を有する。
【0017】
吸音材12は、グラスウール、発泡スチロール等で平板状に形成されている。
収容部13は、外形が直方体の箱状に形成されている。収容部13には、吸音材12が収容されている。例えば、収容部13は、枠体15と、第1側壁16と、第2側壁(側壁)17と、を有する。
【0018】
枠体15は、吸音材12の外周縁を保持している。
図2に示すように、例えば、第1側壁16は、パンチングメタルで形成されている。第1側壁16には、複数の貫通孔16aが形成されている。
図3に示すように、第2側壁17は、第1側壁16に対向するように配置されている(
図4も参照)。例えば、第2側壁17は、複数の連結片18を有している。複数の連結片18は、枠体15に架け渡され、互いに間隔を空けて配置されている。枠体15及び複数の連結片18により、開口18aが形成されている。すなわち、第2側壁17には、開口18aが形成されている。
なお、収容部13が有する連結片18の数は、限定されない。
【0019】
図1、
図4、及び
図5に示すように、壁本体21内に吸音板11が配置される。壁本体21は、第1支柱(支柱)22Aと、第2支柱(支柱)22Bと、連結板35と、規制板(規制部材)37と、を有する。壁本体21は一枚の板から形成されていてもよい。なお、
図5では、吸音板11を示していない。
支柱22A,22Bは、上下方向Zに沿って延びている。ここで、甲が乙に沿って延びるとは、甲と乙とのなす角度が、30度以下であることを意味する。このなす角度が、15度以下であることが、より好ましい。例えば、甲が第1支柱22Aに該当し、乙が上下方向Zに該当する。
支柱22A,22Bは、吸音板11を、上下方向Zに交差する第1交差方向Xに挟んでいる。なお、第1交差方向Xは、上下方向Zに直交する方向としてもよい。
ここで、上下方向Z及び第1交差方向Xにそれぞれ交差する方向を、第2交差方向Yと規定する。なお、第2交差方向Yは、上下方向Z及び第1交差方向Xにそれぞれ直交する方向としてもよい。
【0020】
図4に示すように、吸音板11における第2交差方向Yの第1側Y1(以下では、単に第1側Y1とも言う)を向く第1面16bは、収容部13の第1側壁16の外側の外面である。吸音板11において、第2交差方向Yにおける第1側Y1とは反対側の第2側Y2(以下では、単に第2側Y2とも言う)を向く第2面18bは、連結片18の外側の外面である。吸音板11における第1交差方向Xを向く第3面15aは、枠体15の外側の外面である。
第2側壁17は、収容部13の第2側Y2に位置する。開口18aは、第2側壁17を第2交差方向Yに貫通している。
【0021】
第1支柱22Aは、第2支柱22Bよりも第1交差方向Xの第1側X1(以下では、単に第1側X1とも言う)に配置されている。第1支柱22Aは、第1片23Aと、第2片24Aと、第3片25Aと、第1嵌合部26Aと、を有する。第1片23A、第2片24A、及び第3片25Aは、それぞれ上下方向Zに延びる平板状(帯状)に形成されている。
第1片23Aは、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。第1片23Aの、第1交差方向Xにおける第1側X1とは反対側の第2側X2(以下では、単に第2側X2とも言う)の端部は、ヘミング曲げされていることが好ましい。第1片23Aは、吸音板11の第1面16bを支持する。
第2片24Aは、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。第2片24Aは、第1片23Aよりも第2側Y2に配置され、第1片23Aと第2交差方向Yに対向している。第2片24Aは、吸音板11の第2面18bを支持する。
第3片25Aは、第1片23Aの第1側X1の端部から第2側Y2に向かって延びている。第3片25Aは、吸音板11の第3面15aを支持する。
【0022】
第1嵌合部26Aは、第2片24Aと第3片25Aとの接続部分から、壁本体21の内側に向かって凹んでいる。第1嵌合部26Aは、第1嵌合片29Aと、第2嵌合片30Aと、を有する。第1嵌合片29A及び第2嵌合片30Aは、それぞれ上下方向Zに延びる平板状に形成されている。
第1嵌合片29Aは、第3片25Aの第2側Y2の端部から第2側X2に向かって突出している。
第2嵌合片30Aは、第1嵌合片29Aにおける第2側X2の端部から第2側Y2に向かって突出している。第2嵌合片30Aの第2側Y2の端部は、第2片24Aの第1側X1の端部に接続されている。
【0023】
図1に示すように、第1支柱22Aでは、第2片24A及び第3片25Aは、第1片23Aよりも上方にそれぞれ延びている。第2片24Aの上端、及び第3片25Aの上端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。
第1片23Aの下端、第2片24Aの下端、及び第3片25Aの下端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。
すなわち、支柱22A,22Bの下部(以下では、下部支柱構造31Lと言う)における上下方向Zに直交する断面形状は、
図4に示すようになる。下部支柱構造31Lは、第1片23Aを有する。
一方で、支柱22A,22Bの上部(以下では、上部支柱構造31Uと言う)における上下方向Zに直交する断面形状は、
図6に示すようになる。上部支柱構造31Uは、第1片23Aを有さない。
以下では、
図1に示すように、下部支柱構造31Lと上部支柱構造31Uとの上下方向Zにおける境界を、境界位置P1と言う。
【0024】
図4に示すように、第2支柱22Bは、第1片23Bと、第2片24Bと、第3片25Bと、第2嵌合部26Bと、を有する。第1片23B、第2片24B、及び第3片25Bは、それぞれ上下方向Zに延びる平板状に形成されている。
第1片23Bは、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。第1片23Bは、吸音板11の第1面16bを支持する。第1片23Bは、第1片23Aよりも第2側X2に、第1片23Aとの間で間隔を空けて配置されている。
第2片24Bは、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。第2片24Bは、第1片23Bよりも第2側Y2に配置され、第1片23Bと第2交差方向Yに対向している。第2片24Bは、吸音板11の第2面18bを支持する。第2片24Bは、第2片24Aよりも第2側X2に、第2片24Aとの間で間隔を空けて配置されている。
【0025】
第3片25Bは、第1片23Bの第2側X2の端部から第2側Y2に向かって延びている。第3片25Bは、吸音板11の第3面15aを支持する。第3片25Bは、第3片25Aよりも第2側X2に、第3片25Aとの間で間隔を空けて配置されている。
【0026】
第2嵌合部26Bは、第2片24Bと第3片25Bとの接続部分から、壁本体21の外側に向かって突出している。第2嵌合部26Bは、第1嵌合片29Bと、第2嵌合片30Bと、を有する。第1嵌合片29B及び第2嵌合片30Bは、それぞれ上下方向Zに延びる平板状に形成されている。
第1嵌合片29Bは、第3片25Bの第2側Y2の端部から第2側X2に向かって突出している。
第2嵌合片30Bは、第1嵌合片29Bにおける第2側X2の端部から第2側Y2に向かって突出している。第2嵌合片30Bの第2側Y2の端部は、第2片24Bの第2側X2の端部に接続されている。
この例では、第1嵌合部26A、第2嵌合部26Bは、第1支柱22A、第2支柱22Bにおける第2側Y2の部分に配置されている。なお、支柱22A,22Bに対する嵌合部の第2交差方向Yの配置位置は、限定されない。
ある防音壁ユニット10の第2嵌合部26Bは、他の防音壁ユニット10の第1嵌合部26Aと嵌め合う。
【0027】
図1に示すように、第2支柱22Bでは、第2片24B及び第3片25Bは、第1片23Bよりも上方にそれぞれ延びている。第2片24Bの上端、及び第3片25Bの上端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。
第1片23Bの下端、第2片24Bの下端、及び第3片25Bの下端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。
【0028】
図4に示すように、下部支柱構造31Lは第1片23Bを有する。一方で、
図6に示すように、上部支柱構造31Uは第1片23Bを有さない。
図1に示すように、第1支柱22Aの第1片23Aの上端、及び第2支柱22Bの第1片23Bの上端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。上下方向Zに直交する断面形状は、
図4に示す下部支柱構造31Lの支柱22A,22Bでは、それぞれコ字状(C字状)であり、
図6に示す上部支柱構造31Uの支柱22A,22Bでは、それぞれL字状である。
図4に示す下部支柱構造31Lにおいて、第1支柱22Aの開口、及び第2支柱22Bの開口は、第1交差方向Xに対向している。
図1に示すように、第1支柱22Aの上端、及び第2支柱22Bの上端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。
【0029】
なお、
図4に示すように、吸音板11の第1側X1の端部が、第1嵌合部26Aに対応した凸形状でもよい。このように構成することで、防音壁ユニット10の耐風圧に対する強度を向上させるとともに、吸音板11の吸音面積が増大し、吸音性能が向上する。
【0030】
連結板35は、上下方向Z及び第1交差方向Xにそれぞれ延びる平板状に形成され、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。連結板35は、第1支柱22Aの第2片24A、及び第2支柱22Bの第2片24Bにそれぞれ接続されている。
図5に示すように、規制板37は、平板状に形成され、連結板35における下方の部分に設けられている。規制板37は、自身の厚さ方向が、上下方向Zに沿うように配置されている。この例では、規制板37は、連結板35の一部を切り欠いて折り曲げることにより形成されている。
このように、規制板37は、連結板35を介して支柱22A,22Bに設けられている。規制板37は、吸音板11を、吸音板11の下方から支持する。
なお、規制板37は、支柱22A,22Bの一方に設けられてもよい。規制部材の形状は、平板状に限定されない。
【0031】
以上のように構成された壁本体21の第1支柱22A、第2支柱22B、連結板35、及び規制板37は、例えば、鋼板を折り曲げ加工することにより一体に形成されている。
図1に示す、規制板37の上面と境界位置P1との上下方向Zの距離L1は、吸音板11の上下方向Zの長さの0.4倍以上0.6倍以下であることが好ましい。
【0032】
例えば、締結部材には、ボルト及びナットが用いられる。ナットは、施工性の観点よりブラインドナットであることが好ましい。また、長期間使用の際の堅牢性の点から、ゆるみ止め機能を有するナットであることが望ましい。締結部材は、吸音板11と一対の支柱22A,22Bとを固定する。
なお、締結部材は、ボルト及びナットに限定されない。
ベース部材41の構成は、限定されない。ベース部材41は、支柱22A,22Bの下端部にそれぞれ接続されている。ベース部材41には、後述するアンカーボルト105を通すための貫通孔42が形成されている(
図5参照)。
【0033】
図1及び
図4に示すように、複数の防音壁ユニット10は、第1交差方向Xに並べて配置されている。このとき、
図4に示すように、第1交差方向Xに隣り合う一対の防音壁ユニット10のうち、第1側X1に配置された防音壁ユニット10の第2嵌合部26Bと、第2側X2に配置された防音壁ユニット10の第1嵌合部26Aとが嵌め合う。
図1に示すように、例えば、連結部材45には、リップ溝形鋼等が用いられる。連結部材45は、複数の防音壁ユニット10を連結する。
ここで、第1支柱22Aにおける、第1片23Aよりも上方、かつ、第2片24A及び第3片25Aの上端の高さよりもそれぞれ下方の部分を、第1切欠き部分P6と言う。第2支柱22Bにおける、第1片23Bよりも上方、かつ、第2片24B及び第3片25Bの上端の高さよりもそれぞれ下方の部分を、第2切欠き部分P7と言う。
【0034】
次に、以上のように構成された防音壁ユニット10を組立てる防音壁ユニットの組立て方法(以下では、単に組立て方法とも言う)について説明する。
図7は、組立て方法S1を示すフローチャートである。
防音壁ユニット10は、
図8に示すように、例えばスラブ軌道(設置場所)100に施工される。
スラブ軌道100は、路盤鉄筋コンクリート101と、軌道スラブ102と、一対のレール(軌道)103と、を有する。
路盤鉄筋コンクリート101には、後述するアンカーボルト105用の穴101aが形成されている。
軌道スラブ102は、路盤鉄筋コンクリート101上に配置されている。一対のレール103は、軌道スラブ102上に、軌道スラブ102の幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。一対のレール103上を、電車110が走行する。
【0035】
まず、配置ステップ(
図7に示すステップS6)において、
図8に示すように、防音壁ユニット10のベース部材41を、スラブ軌道100の路盤鉄筋コンクリート101上に配置する。この防音壁ユニット10には、吸音板11は取付けられていない。
このとき、第1側Y1がレール103側を向くように、防音壁ユニット10を配置する。
配置ステップS6が終了すると、ステップS7に移行する。
次に、挿入ステップS7において、第1切欠き部分P6及び第2切欠き部分P7を通して、支柱22A,22Bの間に吸音板11を挿入する。
【0036】
吸音板11の挿入は、防音壁ユニット10に対する、第1側Y1と上方との間の向きから行う。
挿入ステップS7が終了すると、ステップS8に移行する。
次に、固定ステップS8において、路盤鉄筋コンクリート101にベース部材41を、アンカーボルト(締結具)105で固定する。
固定ステップS8が終了すると、組立て方法S1の全ステップが終了し、防音壁ユニット10が組立てられる。
【0037】
防音壁ユニット10の組立てを必要な数繰り返し、複数の防音壁ユニット10を、第1交差方向Xに並べる。複数の防音壁ユニット10を連結部材45で接続し、防音壁1を組立てる。
連結部材45により、複数の防音壁ユニット10の施工時の水平出しと位置決め作業が簡便になり、作業性が向上する。
なお、設置場所は、スラブ軌道100に限定されない。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の防音壁ユニット10では、例えば、支柱22A,22Bと吸音板11との固定が解除された場合でも、支柱22A,22Bにおける、それぞれの第1片23A,23Bにより吸音板11は第1側Y1に移動するのが規制され、それぞれの第2片24A,24Bにより吸音板11は第2側Y2に移動するのが規制される。さらに、それぞれの第3片25A,25Bにより吸音板11は第1交差方向Xに移動するのが規制される。
以上のように、吸音板11は、上下方向Zに交差する第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ移動するのが規制されるため、支柱22A,22Bから吸音板11が外れるのを抑制することができる。
また、支柱22A,22Bに吸音板11を装着する場合には、第1切欠き部分P6を通して、支柱22A,22Bの間に吸音板11を挿入する。一方で、支柱22A,22Bから吸音板11を離脱する場合には、前記第1切欠き部分P6を通して、支柱22A,22Bの間から吸音板11を取外す。このため、着脱時に吸音板11を持ち上げる高さが抑えられ、支柱22A,22Bに吸音板11を容易に着脱することができる。
【0039】
下部支柱構造31Lの支柱22A,22Bでは、断面形状がそれぞれコ字状である。このため、支柱22A,22Bの剛性が高く、耐風圧性が高い。
【0040】
第2支柱22Bでは、第2片24B及び第3片25Bは、第1片23Bよりも上方にそれぞれ延びている。このため、第2支柱22Bにも、第1支柱22Aにおける第1切欠き部分P6と同様の第2切欠き部分P7が形成される。従って、吸音板11の着脱時に、第1切欠き部分P6だけでなく第2切欠き部分P7を吸音板11が通ることで、着脱時に吸音板11を持ち上げる高さがより確実に抑えられ、支柱22A,22Bに吸音板11をより容易に着脱することができる。
防音壁ユニット10は、締結部材を備える。このため、締結部材により、吸音板11と支柱22A,22Bとを固定することができる。
【0041】
防音壁ユニット10は、規制板37を備える。従って、規制板37により、吸音板11を、吸音板11の下方から支持することができる。
収容部13には、開口18aが形成されている。これにより、収容部13に開口18aが形成されていない場合に比べて、収容部13を軽量化することができる。
【0042】
第1支柱22Aは第1嵌合部26Aを有し、第2支柱22Bは第2嵌合部26Bを有する。従って、一対の防音壁ユニット10を第1交差方向Xに並べたときに、一対の防音壁ユニット10の一方の第1嵌合部26Aと、一対の防音壁ユニット10の他方の第2嵌合部26Bとを嵌め合わせることができる。さらに、支柱22A,22Bの強度を向上させることができる。
また、本実施形態の組立て方法S1では、配置ステップS6において、ベース部材41をスラブ軌道100上に配置し、挿入ステップS7において、第1切欠き部分P6を通して、支柱22A,22Bの間に吸音板11を挿入する。そして、固定ステップS8において、スラブ軌道100にベース部材41をアンカーボルト105で固定することにより、スラブ軌道100上に防音壁ユニット10を組立てることができる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、第2支柱22Bでは、第2片24Bの上端及び第3片25Bの上端は、第1片23Bの上端と上下方向Zにおいて同等の位置に配置されていてもよい。
収容部13に、開口18aが形成されていなくてもよい。
防音壁ユニット10は、嵌合部26A,26B、連結板35、規制板37、及び締結部材を備えなくてもよい。
支柱22A,22B及びベース部材41は、一体に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 防音壁ユニット
11 吸音板
12 吸音材
13 収容部
15a 第3面
16b 第1面
17 第2側壁(側壁)
18a 開口
18b 第2面
22A 第1支柱(支柱)
22B 第2支柱(支柱)
23A,23B 第1片
24A,24B 第2片
25A,25B 第3片
26A 第1嵌合部
26B 第2嵌合部
37 規制板(規制部材)
41 ベース部材
100 スラブ軌道(設置場所)
105 アンカーボルト(締結具)
S1 組立て方法(防音壁ユニットの組立て方法)
S6 配置ステップ
S7 挿入ステップ
S8 固定ステップ
X 第1交差方向
Y 第2交差方向
Y1 第1側
Y2 第2側
Z 上下方向