(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134080
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240926BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20240926BHJP
【FI】
H01L29/78 616V
H10B12/00 625
H10B12/00 671C
H10B12/00 671A
H10B12/00 671Z
H01L29/78 618B
H01L29/78 613B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044186
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】戸田 将也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雄太
(72)【発明者】
【氏名】上遠野 一広
(72)【発明者】
【氏名】側瀬 聡文
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恒太
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和展
(72)【発明者】
【氏名】中田 壮哉
(72)【発明者】
【氏名】土井 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】虎谷 健一郎
【テーマコード(参考)】
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
5F083AD06
5F083AD26
5F083GA09
5F083HA02
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA12
5F083LA16
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA18
5F083PR03
5F083PR04
5F083PR21
5F110AA04
5F110BB06
5F110BB11
5F110CC09
5F110DD05
5F110EE04
5F110EE05
5F110EE22
5F110EE24
5F110EE44
5F110EE45
5F110FF01
5F110FF02
5F110FF12
5F110FF13
5F110FF28
5F110FF29
5F110GG01
5F110GG22
5F110GG23
5F110GG43
5F110GG44
5F110HK02
5F110HK04
5F110HK07
5F110HK21
5F110HK33
5F110HK34
5F110QQ19
(57)【要約】
【課題】優れたトランジスタ特性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板と、基板に対して基板の表面と交差する第1方向に離間した酸化物半導体層と、酸化物半導体層の一部に対向する第1配線と、酸化物半導体層と第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、酸化物半導体層の第1方向の一端に電気的に接続された第2配線と、第2配線の、第1方向と交差する第2方向の一方側の面、及び、他方側の面に設けられた第1絶縁層とを備える。第2配線は、第1金属元素を含み、第1絶縁層は、第1金属元素及び酸素(O)を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に対して前記基板の表面と交差する第1方向に離間した酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の一部に対向する第1配線と、
前記酸化物半導体層と前記第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端に電気的に接続された第2配線と、
前記第2配線の、前記第1方向と交差する第2方向の一方側の面、及び、他方側の面に設けられた第1絶縁層と
を備え、
前記第2配線は、第1金属元素を含み、
前記第1絶縁層は、前記第1金属元素及び酸素(O)を含む
半導体装置。
【請求項2】
前記酸化物半導体層よりも前記基板から遠い金属酸化物層を更に備え、
前記金属酸化物層は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、及び、タングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属酸化物層は、前記第2配線よりも前記基板から遠い
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記金属酸化物層は、
前記第2配線に対して、前記第2方向の一方側、及び、他方側に設けられる
請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2配線よりも前記基板から遠い第3配線を更に備え、
前記第3配線の、前記第2方向の一方側の面、及び、他方側の面は、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む絶縁層と接する
請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2配線よりも前記基板から遠い第3配線と、
前記第3配線の、前記第2方向の一方側の面、及び、他方側の面に設けられた第2絶縁層と
を備え、
前記第3配線は、第2金属元素を含み、
前記第2絶縁層は、前記第2金属元素及び酸素(O)を含み、
前記第1絶縁層の前記第2方向の膜厚は、前記第2絶縁層の前記第2方向の膜厚よりも大きい
請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端部に接続された第1導電層を備え、
前記第1導電層は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)を含む
請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記基板と前記酸化物半導体層との間に、キャパシタ層を備え、
前記キャパシタ層は、前記酸化物半導体層に電気的に接続されたキャパシタ構造を備える
請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板に対して前記基板の表面と交差する第1方向に離間した酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の一部に対向する第1配線と、
前記酸化物半導体層と前記第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端に電気的に接続された第2配線と、
前記酸化物半導体層よりも前記基板から遠い金属酸化物層と
を備え、
前記金属酸化物層は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、及び、タングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む
半導体装置。
【請求項10】
前記金属酸化物層は、前記第2配線よりも前記基板から遠い
請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属酸化物層は、
前記第2配線に対して、前記第1方向と交差する第2方向の一方側、及び、他方側に設けられる
請求項9記載の半導体装置。
【請求項12】
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端部に接続された第1導電層を備え、
前記第1導電層は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)を含む
請求項9記載の半導体装置。
【請求項13】
前記基板と前記酸化物半導体層との間に、キャパシタ層を備え、
前記キャパシタ層は、前記酸化物半導体層に電気的に接続されたキャパシタ構造を備える
請求項9記載の半導体装置。
【請求項14】
基板と、
前記基板に対して前記基板の表面と交差する第1方向に離間した酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の一部に対向する第1配線と、
前記酸化物半導体層と前記第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端に電気的に接続された第2配線と、
を備える半導体装置の製造方法であって、
前記酸化物半導体層を形成し、
前記酸化物半導体層よりも前記基板から遠い、金属酸化物層を形成し、
前記金属酸化物層が露出した状態において、第1工程を行い、
前記第1工程は、ラジカル酸化、プラズマCVDによる酸素(O)を含む膜の成膜、及び、酸素プラズマアッシング、からなる群から選ばれる少なくとも一つの工程を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記金属酸化物層は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、及び、タングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む
請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2配線の、前記第1方向と交差する第2方向の一方側の面、及び、他方側の面に設けられた第1絶縁層を更に備える半導体装置の製造方法であって、
前記金属酸化物層を形成する前に、前記第2配線を形成し、
前記第1工程により、前記第1絶縁層を形成する
請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記金属酸化物層を形成する前に、前記第2配線を形成し、
前記金属酸化物層上に、導電層または絶縁層を形成する
請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記金属酸化物層を形成する前に、前記第2配線を形成し、
前記金属酸化物層を、
前記第2配線に対して、前記第1方向と交差する第2方向の一方側、及び、他方側に形成し、
前記金属酸化物層上に、絶縁層を形成する
請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端部に接続された第1導電層を更に備える半導体装置の製造方法であって、
前記第1導電層は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)を含む
請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1工程を行った後に、前記金属酸化物層を除去する
請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物半導体層と、酸化物半導体層に対向する第1配線と、酸化物半導体層と第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、を備える半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れたトランジスタ特性を有する半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体装置は、基板と、基板に対して基板の表面と交差する第1方向に離間した酸化物半導体層と、酸化物半導体層の一部に対向する第1配線と、酸化物半導体層と第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、酸化物半導体層の第1方向の一端に電気的に接続された第2配線と、第2配線の、第1方向と交差する第2方向の一方側の面、及び、他方側の面に設けられた第1絶縁層とを備える。第2配線は、第1金属元素を含み、第1絶縁層は、第1金属元素及び酸素(O)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図2】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図3】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図4】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図5】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図6】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図7】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図8】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図9】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図10】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図11】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図12】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図13】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図14】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図15】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図16】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図17】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図18】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図19】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図20】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図21】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図22】比較例に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図23】第1実施形態に係る半導体装置の変形例1の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図24】第1実施形態に係る半導体装置の変形例2の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図25】第2実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図26】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図27】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図28】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図29】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図30】第3実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図31】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図32】第4実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図33】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図34】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図35】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図36】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図37】第4実施形態に係る半導体装置の変形例1の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図38】同半導体装置の変形例1の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図39】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図40】第4実施形態に係る半導体装置の変形例2の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図41】第4実施形態に係る半導体装置の変形例3の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図42】同半導体装置の変形例3の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図43】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図44】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図45】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図46】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図47】第5実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図48】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図49】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図50】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図51】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図52】第5実施形態に係る半導体装置の変形例1の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図53】第5実施形態に係る半導体装置の変形例2の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図54】第6実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図55】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図56】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図57】その他の実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0009】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0010】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0011】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0012】
[第1実施形態]
[回路構成]
第1実施形態に係る半導体装置は、例えば、
図1に示す様なメモリセルアレイMCA及び周辺回路PCを備える。
【0013】
メモリセルアレイMCAは、複数のビット線BLと、複数のワード線WLと、複数のプレート線PLと、これら複数のビット線BL、複数のワード線WL、及び、複数のプレート線PLに接続された複数のメモリセルMCと、を備える。1のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCは、それぞれ、お互いに異なるビット線BLに接続されている。また、1のビット線BLに接続された複数のメモリセルMCは、それぞれ、お互いに異なるワード線WLに接続されている。
【0014】
メモリセルMCは、それぞれ、ビット線BLとプレート線PLとの間に直列に接続された選択トランジスタST及びキャパシタCapを備える。
【0015】
選択トランジスタSTは、チャネル領域として機能する半導体層、ゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタSTのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。
【0016】
キャパシタCapは、一対の電極、及び、絶縁膜を備えるキャパシタである。キャパシタCapは、メモリ部を含む。
【0017】
周辺回路PCは、例えば、動作電圧を生成して電圧供給線に出力する電圧生成回路、所望の電圧供給線をメモリセルアレイMCA内の各配線(ビット線BL、ワード線WL、及び、プレート線PL)と導通させるデコード回路、ビット線BLの電流又は電圧を検知するセンスアンプ回路等を備える。
【0018】
図2は、半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。第1実施形態に係る半導体装置は、
図2に示す様に、基板Subと、基板SubからZ方向に離間したトランジスタ層L
Trと、トランジスタ層L
Trの上方に設けられた配線層L
MLと、配線層L
MLの上方に設けられた配線層L
ULと、トランジスタ層L
Trの下方に設けられたキャパシタ層L
CPと、キャパシタ層L
CPの下方に設けられたプレート線層L
PTと、プレート線層L
PTの下方において基板Sub上に設けられた周辺回路層L
PCと、を備える。基板Subは、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)を含む。
【0019】
また、第1実施形態に係る半導体装置は、
図2に示す様に、基板Sub上に設けられた、メモリ領域R
MCと、周辺領域R
PCと、を備える。
【0020】
[メモリ領域R
MCの構造]
次に、
図2~
図6を参照して、メモリ領域R
MCの構造について説明する。
図3は、メモリ領域R
MCの一部の構成を示す模式的な断面図である。
図4は、
図3に示す構成をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図5は、
図3に示す構成をB-B´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図6は、
図3に示す構成をC-C´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
【0021】
メモリ領域R
MCのトランジスタ層L
Trは、例えば
図3に示す様に、キャパシタ層L
CPの上面に設けられた絶縁層111と、絶縁層111の上方に設けられた絶縁層113と、を備える。また、メモリ領域R
MCのトランジスタ層L
Trは、例えば
図4に示す様に、絶縁層111及び絶縁層113の間に設けられ、X方向に交互に並ぶ複数の絶縁層112及び複数の導電層150を備える。また、メモリ領域R
MCのトランジスタ層L
Trは、例えば
図4に示す様に、複数の導電層150に対応してX方向及びY方向に並ぶ複数の半導体層130と、半導体層130の外周面に設けられた絶縁層140と、を備える。
【0022】
絶縁層111、絶縁層112、及び、絶縁層113は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含む。
【0023】
半導体層130は、例えばZ方向に延伸し、略円柱形状を有する。半導体層130は酸化物半導体であって、例えば、選択トランジスタST(
図1)のチャネル領域として機能する。半導体層130は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、カドミウム(Cd)、及び、錫(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む。半導体層130は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素(O)を含む。
【0024】
絶縁層140は、例えばZ方向に延伸し、略円筒形状を有する。絶縁層140は、例えば、選択トランジスタST(
図1)のゲート絶縁膜として機能する。絶縁層140は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等を含む。絶縁層140は、酸化シリコン(SiO
2)と、窒化シリコン(SiN)又はその他高誘電率の絶縁層と、の積層構造であっても良い。
【0025】
導電層150は、例えば、Y方向に並ぶ複数の選択トランジスタSTのゲート電極、及び、メモリセルアレイMCAのワード線WL(
図1)として機能する。導電層150は、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0026】
メモリ領域R
MCの配線層L
MLは、例えば
図3に示す様に、トランジスタ層L
Trの上面に設けられたプラグ層L
PLと、プラグ層L
PLの上面に設けられたビット線層L
BLと、ビット線層L
BLの上面に設けられた導電層192及び例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層190と、絶縁層190の上面に設けられた金属酸化物層191と、を備える。
【0027】
プラグ層L
PLは、例えば
図3及び
図5に示す様に、半導体層130に対応する位置において、トランジスタ層L
Trの上面に順に設けられた導電層170、導電層171、並びに、導電層172及び絶縁層175を備える。導電層170、導電層171、及び、導電層172は、それぞれ半導体層130に電気的に接続されている。絶縁層175は、例えば
図3に示すYZ断面において、導電層172のY方向正側の面、及び、Y方向負側の面に設けられる。絶縁層175は、例えば
図5に示すXY断面において、導電層172の外周面に設けられる。
【0028】
導電層170、導電層171、導電層172、及び、絶縁層175を含む構造は、例えば
図3及び
図5に示す様に、Z方向に延伸する略円柱形状を有し、X方向及びY方向に複数並んで設けられる。導電層170、導電層171、及び、導電層172は、例えば、選択トランジスタSTのソース電極として機能する。これら導電層170、導電層171、導電層172、及び、絶縁層175を含む複数の構造の間には、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層173が設けられる。
【0029】
導電層170は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、及び、モリブデン(Mo)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素(O)と、を含む。導電層170は、例えば、酸化インジウムスズ(InSnO)等であっても良い。
【0030】
導電層171は、例えば、窒化チタン(TiN)等を含む。
【0031】
導電層172は、例えば、金属元素ME1を含む。金属元素ME1は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属元素である。
【0032】
絶縁層175は、例えば、金属元素ME1と、酸素(O)と、を含む。絶縁層175は、例えば、酸化タングステン(WO)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化モリブデン(MoO)等の金属酸化物であっても良い。
【0033】
ビット線層L
BLは、例えば
図3及び
図6に示す様に、導電層172に対応する位置において、プラグ層L
PLの上面に順に設けられた導電層181、導電層182及び絶縁層185、並びに、導電層184を備える。
【0034】
導電層181、導電層182、及び、導電層184は、それぞれX方向に並ぶ複数の導電層172に電気的に接続されている。絶縁層185は、例えば
図5及び
図6に示す様に、導電層182のY方向正側の面、及び、Y方向負側の面に設けられる。
【0035】
導電層181、導電層182及び絶縁層185、並びに、導電層184を含む構造は、例えば
図3及び
図6に示す様に、X方向に延伸し、Y方向に複数並んで設けられる。導電層181、導電層182、及び、導電層184は、例えば、メモリセルアレイMCAのビット線BL(
図1)として機能する。Y方向に並ぶこれら構造の間には、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層183が設けられる。
【0036】
導電層181及び導電層184は、例えば、窒化チタン(TiN)等を含む。
【0037】
導電層182は、例えば、金属元素ME2を含む。金属元素ME2は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属元素である。
【0038】
絶縁層185は、例えば、金属元素ME2と、酸素(O)と、を含む。絶縁層185は、例えば、酸化タングステン(WO)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化モリブデン(MoO)等の金属酸化物であっても良い。
【0039】
金属酸化物層191は、例えば、後述する第1酸化処理(
図18)において、半導体層130への酸素導入効率を高める層として機能する。また、金属酸化物層191は、後述する配線層L
UL(
図2)を形成する工程において使用する水素(H)等の還元性ガスによって、半導体層130が還元される(脱酸素(O)が起こる)ことを防ぐ層として機能する。
【0040】
金属酸化物層191は、金属元素ME3と、酸素(O)と、を含む。金属元素ME3は、例えば、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、及び、タングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素である。
【0041】
金属酸化物層191は、例えば、金属元素ME3と、酸素(O)と、を主成分とする。金属酸化物層191は、例えば、酸化アルミニウム(AlO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ランタン(LaO)、酸化イットリウム(YO)、酸化チタン(TiO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(InO)、酸化スズ(SnO)、酸化ガリウム(GaO)、又は、酸化タングステン(WO)等の金属酸化物を含んでいても良い。また、金属酸化物層191が酸化アルミニウム(AlO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ランタン(LaO)、酸化イットリウム(YO)を含んでいる場合には、金属酸化物層の絶縁性が向上する。
【0042】
金属酸化物層191は、例えば、絶縁性の膜、又は、半導体特性を有する膜を含んでいても良い。また、金属酸化物層191は、例えば、非晶質性の膜を含んでいても良い。金属酸化物層191は、例えば、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)、フッ素(F)、及び塩素(Cl)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含んでいても良い。
【0043】
金属酸化物層191は、Z方向において幅d1(
図3)を有する。幅d1は、例えば、1nm以上5nm以下である。
【0044】
導電層192は、例えば
図2及び
図3に示す様にZ方向に延伸し、略円柱形状を有する。導電層192の下面は、導電層184に接続されている。導電層192の上面は、例えば金属酸化物層191の上面と同じ位置に設けられる。導電層192は、例えば金属酸化物層191を貫通する様に設けられる。導電層192は、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0045】
配線層L
ULは、例えば
図2に示す様に、金属酸化物層191の上面に設けられた配線301と、配線301の上面に配線301に接続して設けられた配線302と、配線302の上面に配線302に接続して設けられた配線303と、を備える。配線301、配線302、及び、配線303の間には、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層304が設けられる。
【0046】
配線301、配線302、及び、配線303は、例えば、ビット線BLへ電圧及び電流を供給する配線として機能する。配線301、配線302、及び、配線303は、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等を含む。
【0047】
メモリ領域R
MCのキャパシタ層L
CPは、例えば
図2及び
図3に示す様に、複数の半導体層130に対応して設けられ、複数の半導体層130の下端にそれぞれ接続された複数の導電層120と、これら複数の導電層120に対応して設けられ、複数の導電層120の下端にそれぞれ接続された複数の導電層201と、これら複数の導電層120の外周面並びに複数の導電層201の外周面及び下面に設けられた複数の導電層121と、を備える。また、キャパシタ層L
CPは、導電層121の外周面及び下面に設けられた絶縁層202と、絶縁層202の外周面及び下面に設けられた導電層203と、を備える(
図3)。尚、以下の説明では、これらメモリ領域R
MCのキャパシタ層L
CPに設けられたキャパシタCap(
図1)を実現する構成を、「キャパシタ構造CP10」と呼ぶ場合がある。キャパシタ構造CP10は、例えば、導電層120と、導電層121と、導電層201と、絶縁層202と、導電層203と、を含む。複数のキャパシタ構造CP10の間には、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層100が設けられる。
【0048】
導電層120は、例えば、選択トランジスタST(
図1)のドレイン電極及びキャパシタCap(
図1)の一方の電極の一部として機能する。導電層120は、XY断面において略円形であり、プラグ形状を有していても良い。導電層120は、例えば、導電層170と同様の材料を含む。導電層120は、例えば、酸化インジウムスズ(InSnO)等であっても良い。
【0049】
導電層121は、例えば、キャパシタCap(
図1)の一方の電極の一部として機能する。導電層121は、例えば、窒化チタン(TiN)等であっても良い。
【0050】
導電層201は、キャパシタCap(
図1)の一方の電極の一部として機能する。導電層201は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含む。
【0051】
絶縁層202は、キャパシタCap(
図1)の電極間の絶縁層として機能する。絶縁層202は、例えば、酸化アルミニウム(AlO)等を含む。絶縁層202は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)又はその他の絶縁性の金属酸化物であっても良い。
【0052】
導電層203は、例えば、キャパシタCap(
図1)の他方の電極として機能する。導電層203は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含む。
【0053】
メモリ領域R
MCのプレート線層L
PTは、例えば
図2に示す様に、キャパシタ層L
CPの下面に設けられた導電層204を備える。導電層204は、複数の導電層203に電気的に接続されている。導電層204は、例えば、プレート線PL(
図1)として機能する。導電層204は、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0054】
[周辺領域R
PCの構造]
周辺領域R
PCのトランジスタ層L
Trは、例えば
図4に示す様に、ワード線WLとして機能する導電層150の一部と、導電層150の下端に接続された電極151とを備える。電極151は、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0055】
周辺領域R
PCのキャパシタ層L
CPは、例えば
図2に示す様に、Z方向に延伸する複数の電極CCを備える。電極CCは、例えば、上端において電極151に、下端において、プレート線層L
PT中の、後述する複数の導電層205の一部に電気的に接続されている。電極CCは、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0056】
周辺領域R
PCのプレート線層L
PTは、例えば
図2に示す様に、複数の導電層205を備える。導電層205は、例えば、導電層204と同様の材料を含んでいても良い。
【0057】
周辺領域R
PCの周辺回路層L
PCは、例えば
図2に示す様に、基板Sub上に設けられた複数のトランジスタTrP1と、複数のトランジスタTrP1に接続された複数の電極210とを備える。複数の電極210は、上端において導電層205に接続されている。複数の電極210は、それぞれ、複数のトランジスタTrP1のソース領域、ドレイン領域、ゲート電極等に接続されている。複数のトランジスタTrP1は、例えば、周辺回路PC(
図1)を構成する。
【0058】
[第1実施形態の製造方法]
次に、
図7~
図21を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図7~
図21は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。尚、以下、製造方法に係る図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。
【0059】
同製造方法においては、図示しない基板Subの上方に、周辺回路層L
PC(
図2)と、プレート線層L
PT(
図2)と、キャパシタ層L
CP(
図2)と、を形成する。また、例えば
図7に示す様に、導電層120を含むキャパシタ層L
CPの上面に、絶縁層111と、絶縁層112(
図4)及び導電層150と、絶縁層113と、を順に形成する。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)及びRIE(Reactive Ion Etching)等によって行う。
【0060】
次に、例えば
図8に示す様に、開口TH10を形成する。開口TH10は、Z方向に延伸し、絶縁層113、導電層150、及び絶縁層111を貫通して、導電層120を露出させる。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0061】
次に、例えば
図9に示す様に、絶縁層113の上面、並びに、開口TH10の内側面及び底面に、絶縁層140´を形成する。絶縁層140´は、例えば絶縁層140と同様の材料を含む。この工程は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)又はCVD等によって行う。
【0062】
次に、例えば
図10に示す様に、絶縁層140´のうち、絶縁層113の上面及び開口TH10の底面に形成された部分を除去し、開口TH10の内側面に絶縁層140を形成する。この工程により、開口TH10の底面に、導電層120が露出する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0063】
次に、例えば
図11に示す様に、開口TH10の内部及び絶縁層113の上面に、半導体層130´を形成する。半導体層130´は、例えば半導体層130と同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0064】
次に、例えば
図12に示す様に、開口TH10があった部分の外に形成された半導体層130´の部分を除去平坦化し、半導体層130を形成する。この工程は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Planarization)又はRIE等によって行う。
【0065】
次に、例えば
図13に示す様に、
図12に示す構造の上面に、導電層170´、導電層171´、及び、導電層172´を順に形成する。導電層170´、導電層171´、及び、導電層172´は、例えば導電層170、導電層171、及び、導電層172とそれぞれ同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0066】
次に、例えば
図14に示す様に、導電層170、導電層171、及び、導電層172に対応する位置にフォトリソグラフィ等によりマスク材を形成し、マスク材に被覆されていない部分を除去することによって、導電層170、導電層171、及び、導電層172を形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0067】
次に、例えば
図15に示す様に、絶縁層113の上面、及び導電層172の上面に、絶縁層173と同様の材料を成膜し、上面を除去平坦化して、絶縁層173を形成する。この工程は、CVD及びCMP等によって行う。
【0068】
尚、
図13~
図15において、導電層170、導電層171、導電層172、及び、絶縁層173を形成する工程は、ダマシン法によって行っても良い。本工程のダマシン法においては、先に絶縁層173を形成し、絶縁層173のうち、導電層170、導電層171、及び、導電層172を形成する部分に開口を形成し、その開口の内部に導電層170、導電層171、及び、導電層172を形成する。この工程は、例えば、CVD、RIE、及び、CMP等によって行う。
【0069】
次に、例えば
図16に示す様に、
図15に示す構造の上面に、導電層181´、導電層182´、及び、導電層184´を順に形成する。導電層181´、導電層182´、及び、導電層184´は、例えば導電層181、導電層182、及び、導電層184とそれぞれ同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0070】
次に、例えば
図17に示す様に、導電層172に対応する位置に、
図14に示す工程と同様に導電層181、導電層182、及び、導電層184を形成する。また、
図15に示す工程と同様に、絶縁層173の上面に絶縁層183を形成する。この工程は、例えば、RIE、CVD、及び、CMP等によって行う。
【0071】
尚、
図16及び
図17において、導電層181、導電層182、導電層184、及び、絶縁層183を形成する工程は、ダマシン法によって行っても良い。本工程のダマシン法においては、先に絶縁層183を形成し、絶縁層183のうち、導電層181、導電層182、及び、導電層184を形成する部分に開口を形成し、その開口の内部に導電層181、導電層182、及び、導電層184を形成する。この工程は、例えば、CVD、RIE、及び、CMP等によって行う。
【0072】
次に、例えば
図18に示す様に、絶縁層183及び導電層184の上面に、絶縁層190及び金属酸化物層191を順に形成する。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0073】
また、例えば
図18に示す様に、金属酸化物層191を露出させた状態で、後述する第1酸化処理を行い、例えば酸素導入経路PA10,PA11により、半導体層130への酸素導入を行う。
【0074】
酸素導入経路PA10は、金属酸化物層191を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO2)等の、絶縁層190、絶縁層183、及び、絶縁層173を介し、また、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170を介して、半導体層130の上面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0075】
酸素導入経路PA11は、金属酸化物層191を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO2)等の、絶縁層190、絶縁層183、絶縁層173、絶縁層113、及び、絶縁層140を介して、半導体層130の側面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0076】
次に、例えば
図19に示す様に、第1酸化処理によって、導電層172の外周面及び導電層182の両側面が酸化され、絶縁層175及び絶縁層185が形成される。
【0077】
次に、例えば
図20に示す様に、開口TH11を形成する。開口TH11は、Z方向に延伸し、金属酸化物層191及び絶縁層190を貫通して、導電層184を露出させる。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0078】
次に、例えば
図21示す様に、開口TH11の内部及び金属酸化物層191の上面に、導電層192と同様の材料を成膜し、上面を除去平坦化して、導電層192を形成する。この工程は、例えば、CVD及びCMP等によって行う。
【0079】
次に、
図21に示す構造の上面に、配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第1実施形態に係る半導体装置が製造される。尚、配線層L
UL(
図2)を形成する工程においては、水素(H)等の還元性ガスを使用する場合がある。
【0080】
尚、配線層L
UL(
図2)を形成する前に、金属酸化物層191(
図21)を除去しても良い。金属酸化物層191の除去は、例えば、RIE、ウェットエッチング、又は、ドライエッチング等によって行う。金属酸化物層191を除去することで、配線間の誘電率を低減させることができる。
【0081】
[第1酸化処理]
第1酸化処理(
図18)は、例えばラジカル酸化である。
【0082】
ラジカル酸化は、酸素ラジカル(Oxygen radical)又はヒドロキシルラジカル(Hydoroxyl radical)を含む雰囲気中で行われる。ラジカル酸化は、例えば、酸素ガス(O2)、水素ガス(H2)、及び、アルゴンガス(Ar)をプラズマ化した雰囲気中で行われる。ラジカル酸化は、例えば、水蒸気をプラズマ化した雰囲気中で行われる。
【0083】
ラジカル酸化に用いられる酸素ラジカルやヒドロキシルラジカルを生成する方法は特に限定されるものではない。酸素ラジカルやヒドロキシルラジカルは、例えば、誘導結合プラズマ方式、マイクロ波プラズマ方式、電子サイクロトロン共鳴方式、ヘリコン波方式、又は、熱フィラメント方式を用いて生成される。
【0084】
ラジカル酸化の雰囲気中には、例えば、水素(H)と酸素(O)が含まれる。ラジカル酸化の雰囲気中に含まれる水素(H)の、水素(H)と酸素(O)の和に対する原子比率(H/(H+O))は、例えば、40%以下である。ラジカル酸化の雰囲気中に含まれる水素(H)の、水素(H)と酸素(O)の和に対する原子比率(H/(H+O))は、例えば、2%以上5%以下である。
【0085】
ラジカル酸化の雰囲気中に含まれる水素(H)の、水素(H)と酸素(O)の和に対する原子比率(H/(H+O))は、例えば、ラジカル酸化の雰囲気中に導入される水素ガス(H2)と酸素ガス(O2)の流量で調整される。ラジカル酸化の雰囲気中に導入される水素ガス(H2)の、水素ガス(H2)と酸素ガス(O2)の和に対するモル比率(H2/(H2+O2))は、例えば、40%以下である。ラジカル酸化の雰囲気中に導入される水素ガス(H2)の、水素ガス(H2)と酸素ガス(O2)の和に対するモル比率(H2/(H2+O2))は、例えば、2%以上5%以下である。
【0086】
ラジカル酸化の温度は、例えば、300℃以上900℃以下である。ラジカル酸化の圧力は、例えば、50Pa以上3000Pa以下である。
【0087】
第1酸化処理(
図18)をラジカル酸化によって行う場合、金属酸化物層191は、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)、及び塩素(Cl)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。金属酸化物層191が上記元素を含むことにより、金属酸化物層191の結晶化が抑制され、酸素導入の速度の程度が大きくなる。
【0088】
第1酸化処理(
図18)をラジカル酸化によって行う場合、ラジカル酸化の雰囲気中には、水素(H)と酸素(O)が含まれ、含まれる水素(H)の、水素(H)と酸素(O)の和に対する原子比率(H/(H+O))は、40%以下であることが好ましく、2%以上5%以下であることがより好ましい。原子比率(H/(H+O))が上記範囲を充足することで、酸素導入の速度の程度が大きくなる。
【0089】
尚、以上の説明では、第1酸化処理として、例えばラジカル酸化を行う場合を説明したが、第1酸化処理の方法は、適宜調整可能である。
【0090】
例えば、第1酸化処理(
図18)として、プラズマCVD等により、金属酸化物層191の上面に、酸素(O)を含む膜を成膜しても良い。プラズマCVDは、例えば、酸素ガス、水素ガス、及び、アルゴンガス等をプラズマ化した雰囲気中で行う成膜方法である。酸素(O)を含む膜は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等である。
【0091】
また、例えば、第1酸化処理(
図18)として、酸素プラズマアッシングを行っても良い。酸素プラズマアッシングは、例えば、高エネルギー状態の酸素プラズマを、金属酸化物層191に照射する処理である。
【0092】
尚、第1酸化処理(
図18)における酸素導入経路PA10,PA11等は、例えば、第1酸化処理において同位体酸素を用い、その分布をSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)等で分析することで、その酸素導入経路を測定することができる。
【0093】
[比較例]
次に、
図22を参照して、比較例に係る半導体装置について説明する。
図22は、比較例に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0094】
比較例に係る半導体装置の製造方法では、
図18に示す工程に対応する工程(
図22)において、金属酸化物層191を形成せず、また、前述した第1酸化処理を行わない。
【0095】
比較例に係る半導体装置の製造に際しては、半導体層130xの形成後、半導体層130x中の酸素原子がO
2ガスとなり、製造中の構造の外部に排出されてしまう場合がある。これにより、半導体層130xに酸素欠陥が形成されてしまい、選択トランジスタST(
図1)の良好なスイッチング特性が得られない場合がある。
【0096】
また、比較例においては、金属酸化物層191(
図2)を形成しないため、より上層の配線層L
UL(
図2)を形成する工程において使用する水素(H)等の還元性ガスが、半導体層130に到達する場合がある。これにより、半導体層130から酸素(O)が脱離し、選択トランジスタST(
図1)のスイッチング特性が劣化してしまう場合がある。
【0097】
[効果]
本実施形態に係る半導体装置においては、
図18に示す工程において、酸化処理を行う。これにより、半導体層130へ酸化を導入している。
【0098】
ここで、
図18を参照して説明した工程では、上述した第1酸化処理ではなく、酸素(O)雰囲気中のアニールによる酸化処理を行うことも考えられる。
【0099】
しかしながら、この様な酸化処理は、本実施形態に係る第1酸化処理と比較して酸素導入効率が低い。よって、半導体層130xには十分な量の酸素(O)が導入されず、選択トランジスタST(
図1)の良好なスイッチング特性が得られない場合がある。
【0100】
また、十分な量の酸素(O)を半導体層130xへ導入するために、比較的長時間、及び、高温のアニールを行った場合、導電層172の外周面及び導電層182の側面の酸化が大幅に進行し、導電層172及び導電層182のY方向の幅が大きく減少し、配線抵抗値が大幅に増加してしまう場合がある。
【0101】
そこで、本実施形態に係る半導体装置においては、
図18に示す工程において、酸素導入効率の高い第1酸化処理を行う。この様な方法によれば、半導体層130へ十分な量の酸素が導入されるとともに、導電層172の外周面及び導電層182の側面の酸化の進行が抑制され、
図19に示す様な、Y方向の幅が比較的小さい絶縁層175及び絶縁層185が形成される。この様な場合、導電層172及び導電層182のY方向の幅は大幅に減少せず、配線抵抗値を比較的低くすることができる。
【0102】
また、本実施形態に係る半導体装置においては、配線層L
UL(
図2)を形成する工程よりも前に、金属酸化物層191(
図2)を形成する。ここで、金属酸化物層191(
図2)は、水素(H)等の還元性ガスを比較的通しにくい。よって、配線層L
UL(
図2)を形成する工程において使用する水素(H)等の還元性ガスは、半導体層130へは到達せず、半導体層130から酸素(O)が脱離することを防ぐことができる。よって、配線層L
ULの形成時に選択トランジスタST(
図1)のスイッチング特性が劣化することを、防ぐことができる。
【0103】
よって、この様な構成では、優れたトランジスタ特性を有する半導体装置を提供することができる。
【0104】
[第1実施形態の変形例1]
次に、
図23を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の変形例1について説明する。
図23は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0105】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本変形例に係る半導体装置(
図23)には、導電層170、導電層171、導電層172、及び、絶縁層175は設けられず、かわりに導電層172aが設けられる。
【0106】
導電層172aは、例えば、Z方向に延伸する略円柱形状を有し、下面において半導体層130、上面において導電層181に接続されている。導電層172aは、例えば、窒化チタン(TiN)、又は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)等の、比較的酸化されにくい貴金属元素を含む。
【0107】
本変形例に係る半導体装置は、
図18に示す工程に対応する工程において第1酸化処理を行った場合でも、導電層172aが酸化されにくい材料を含むため、導電層172aの外周面に、金属酸化物等を含む絶縁層は形成されない。
【0108】
[第1実施形態の変形例2]
次に、
図24を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の変形例2について説明する。
図24は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0109】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本変形例に係る半導体装置(
図24)には、導電層181、導電層182、導電層184、及び、絶縁層185は設けられず、かわりに導電層182aが設けられる。
【0110】
導電層182aは、例えば、X方向に延伸し、Y方向に複数並んで設けられる。導電層182aは、例えば、導電層172aと同様の材料を含む。
【0111】
本変形例に係る半導体装置は、
図18に示す工程に対応する工程において第1酸化処理を行った場合でも、導電層182aが酸化されにくい材料を含むため、導電層182aの両側面に、金属酸化物等を含む絶縁層は形成されない。
【0112】
[第2実施形態]
次に、
図25及び
図26を用いて、第2実施形態に係る半導体装置について説明する。
図25は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
図26は、
図25に示す構成をD-D´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な平面図である。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0113】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置(
図25)には、配線層L
ML(
図3)のかわりに配線層L
ML2が設けられる。配線層L
ML2は、基本的には、配線層L
MLと同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML2には、プラグ層L
PL(
図3)は設けられない。また、配線層L
ML2は、ビット線層L
BL(
図3)のかわりにビット線層L
BL2(
図25)を備える。また、配線層L
ML2は、導電層192のかわりに導電層192bを備える。
【0114】
ビット線層L
BL2は、例えば
図25及び
図26に示す様に、半導体層130に対応する位置において、トランジスタ層L
Trの上面に順に設けられた導電層170b、導電層171b、並びに、導電層172b及び絶縁層175bを備える。導電層170b、導電層171b、及び、導電層172bは、それぞれX方向に並ぶ複数の半導体層130に電気的に接続されている。絶縁層175bは、例えば
図25及び
図26に示す様に、導電層172bのY方向正側の面、Y方向負側の面、及び、Z方向正側の面の一部に設けられる。
【0115】
導電層170b、導電層171b、導電層172b、及び、絶縁層175bを含む構造は、例えば
図25及び
図26に示す様にX方向に延伸し、Y方向に複数並んで設けられる。導電層170b、導電層171b、及び、導電層172bは、例えば、X方向に並ぶ複数の選択トランジスタSTのソース電極、及び、メモリセルアレイMCAのビット線BL(
図1)として機能する。Y方向に並ぶこれら構造の間には、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層173bが設けられる。
【0116】
導電層170b、導電層171b、導電層172b、及び、絶縁層175bは、それぞれ、例えば、導電層170、導電層171、導電層172、及び、絶縁層175(
図3)と同様の材料を含む。
【0117】
導電層192bは、例えば、(
図3)と同様の材料を含む。導電層192bは、例えば金属酸化物層191、絶縁層190、及び、絶縁層175bを貫通し、導電層192bの下面は、導電層172bに接続されている。
【0118】
[第2実施形態の製造方法]
次に、
図27~
図29を参照して、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図27~
図29は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0119】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本変形例に係る半導体装置の製造方法では、
図7~
図12を参照して説明した工程の次に、
図27~
図29に示す工程を行う。
【0120】
例えば
図27に示す工程では、
図12に示す構造の上面に、導電層170b、導電層171b、及び、導電層172bと同様の材料を含む導電層を順に形成した後、導電層170b、導電層171b、及び、導電層172bに対応する部分以外を除去して、導電層170b、導電層171b、及び、導電層172bを形成する。また、絶縁層113の上面、及び導電層172bの上面に、絶縁層173bと同様の材料を成膜した後、上面を除去平坦化して、絶縁層173bを形成する。この工程は、例えば、CVD又はALD、RIE、CMP等によって行う。
【0121】
次に、例えば
図28に示す様に、絶縁層173b及び導電層172bの上面に、絶縁層190及び金属酸化物層191を順に形成する。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0122】
また、例えば
図28に示す様に、金属酸化物層191を露出させた状態で、前述した第1酸化処理を行い、例えば酸素導入経路PA20,PA21により、半導体層130への酸素導入を行う。
【0123】
酸素導入経路PA20は、金属酸化物層191を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO2)等の、絶縁層190及び絶縁層173bを介し、また、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170bを介して、半導体層130の上面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0124】
酸素導入経路PA21は、金属酸化物層191を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO2)等の、絶縁層190、絶縁層173b、絶縁層113、及び、絶縁層140を介して、半導体層130の側面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0125】
次に、例えば
図29に示す様に、第1酸化処理によって、導電層172bの両側面及び上面が酸化され、絶縁層175bが形成される。
【0126】
次に、例えば
図20に示す工程と同様に、Z方向に延伸し、金属酸化物層191、絶縁層190、及び、絶縁層175bを貫通して、導電層172bを露出させる開口を形成し、開口の内部に導電層192を形成する。この工程は、例えば、RIE、CVD、及び、CMP等によって行う。
【0127】
次に、金属酸化物層191の上方に、第1実施形態と同様に配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第2実施形態に係る半導体装置が製造される。
【0128】
尚、配線層L
UL(
図2)を形成する前に、金属酸化物層191(
図29)を除去しても良い。金属酸化物層191の除去は、例えば、RIE、ウェットエッチング、又は、ドライエッチング等によって行う。
【0129】
[効果]
本実施形態に係る半導体装置においては、金属酸化物層191から半導体層130へ至る酸素導入経路PA20,PA21(
図28)が比較的短いため、第1酸化処理における酸素導入効率を高めることができる。
【0130】
[第3実施形態]
次に、
図30を用いて、第3実施形態に係る半導体装置について説明する。
図30は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0131】
本実施形態に係る半導体装置(
図30)は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置には、配線層L
ML(
図3)のかわりに配線層L
ML3(
図30)が設けられる。配線層L
ML3は、基本的には、配線層L
MLと同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML3は、プラグ層L
PL(
図3)のかわりにプラグ層L
PL3(
図30)を備える。
【0132】
プラグ層L
PL3は、基本的には、プラグ層L
PLと同様に構成されている。しかしながら、プラグ層L
PL3は、導電層170、導電層171、導電層172、及び、絶縁層175(
図3)のかわりに、導電層170c(
図30)を備える。
【0133】
導電層170cは、Z方向に延伸する略円柱形状を有し、X方向及びY方向に複数並んで設けられる。導電層170cは、例えば、選択トランジスタSTのソース電極として機能する。
【0134】
導電層170cは、例えば、導電層170と同様の材料を含む。
【0135】
[第3実施形態の製造方法]
次に、
図31を参照して、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図31は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0136】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、
図13を参照して説明した工程に対応する工程において、導電層170´、導電層171´、及び、導電層172´ではなく、導電層170cと同様の材料を含む導電層を形成する。また、
図14及び
図15を参照して説明した工程と同様の工程において、導電層170c及び絶縁層173を形成する。
【0137】
また、例えば
図31に示す様に、金属酸化物層191を露出させた状態で、前述した第1酸化処理を行い、例えば酸素導入経路PA30,PA11により、半導体層130への酸素導入を行う。
【0138】
酸素導入経路PA30は、金属酸化物層191を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO2)等の、絶縁層190、絶縁層183、及び、絶縁層173を介し、また、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170cを介して、半導体層130の上面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0139】
[効果]
本実施形態に係る半導体装置においては、半導体層130の上面部分に、比較的体積が大きく酸素を含む導電層170cを形成することで、第1酸化処理における酸素導入効率を高めることができる。
【0140】
[第4実施形態]
次に、
図32を用いて、第4実施形態に係る半導体装置について説明する。
図32は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0141】
本実施形態に係る半導体装置(
図32)は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置には、配線層L
ML(
図3)のかわりに配線層L
ML4(
図32)が設けられる。配線層L
ML4は、基本的には、配線層L
MLと同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML4は、プラグ層L
PL及びビット線層L
BL(
図3)のかわりにプラグ層L
PL4及びビット線層L
BL4(
図32)を備える。また、配線層L
ML4は、絶縁層190の上面に金属酸化物層191を備えていない。
【0142】
プラグ層L
PL4(
図32)は、基本的には、プラグ層L
PL(
図3)と同様に構成されている。しかしながら、プラグ層L
PL4は、絶縁層113の上面、並びに、導電層170、導電層171、及び、絶縁層175の外周面に、金属酸化物層191d(
図30)を備える。
【0143】
金属酸化物層191dは、例えば、第1酸化処理(
図34)において、半導体層130への酸素導入効率を高める層として機能する。また、金属酸化物層191dは、配線層L
UL(
図2)を形成する工程において使用する水素(H)等の還元性ガスによって、半導体層130が還元される(脱酸素(O)が起こる)ことを防ぐ層として機能する。
【0144】
金属酸化物層191dは、例えば金属酸化物層191と同様の元素、及び、同様の特性の膜を含む。
【0145】
金属酸化物層191dは、厚さ方向において幅d2(
図32)を有する。幅d2は、例えば、1nm以上5nm以下である。
【0146】
ビット線層L
BL4(
図32)は、基本的には、ビット線層L
BL(
図3)と同様に構成されている。しかしながら、ビット線層L
BL4は、導電層182の両側面に絶縁層185(
図3)を備えていない。
【0147】
[第4実施形態の製造方法]
次に、
図33~
図36を参照して、第4実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図33~
図36は、第4実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0148】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、
図14を参照して説明した工程に対応する工程の次に、
図33~
図36に示す工程を行う。
【0149】
例えば
図33に示す工程では、絶縁層113の上面、導電層170及び導電層171の外周面、並びに、導電層172の外周面及び上面に、金属酸化物層191d´を形成する。金属酸化物層191d´は、金属酸化物層191dと同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0150】
次に、例えば
図34に示す様に、金属酸化物層191d´を露出させた状態で、前述した第1酸化処理を行い、例えば酸素導入経路PA40,PA41により、半導体層130への酸素導入を行う。
【0151】
酸素導入経路PA40は、金属酸化物層191d´を介し、また、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170を介して、半導体層130の上面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0152】
酸素導入経路PA41は、金属酸化物層191d´を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層113及び絶縁層140を介して、半導体層130の側面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0153】
また、例えば
図34に示す様に、第1酸化処理により、導電層172の外周面及び上面が酸化され、絶縁層175´が形成される。絶縁層175´は、例えば絶縁層175と同様の材料を含む。
【0154】
次に、例えば
図35に示す様に、金属酸化物層191d´の上面に、絶縁層173と同様の材料を成膜し、導電層172が露出するまで上面を除去平坦化して、絶縁層173、絶縁層175、及び、金属酸化物層191dを形成する。この工程は、CVD及びCMP等によって行う。
【0155】
次に、例えば
図36に示す様に、導電層172に対応する位置に、
図17に示す工程と同様に導電層181、導電層182、導電層184、及び、絶縁層183を形成する。
【0156】
次に、絶縁層183及び導電層184の上面に絶縁層190を形成し、また、Z方向に延伸し、絶縁層190を貫通して導電層184を露出させる開口を形成し、開口の内部に導電層192を形成する。この工程は、例えば、RIE,CVD、及び、CMP等によって行う。
【0157】
次に、絶縁層190の上方に、配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第4実施形態に係る半導体装置が製造される。
【0158】
[効果]
本実施形態に係る半導体装置においては、金属酸化物層191dから半導体層130へ至る酸素導入経路PA20,PA21(
図34)が比較的短いため、第1酸化処理における酸素導入効率を高めることができる。
【0159】
また、第1酸化処理の後に、導電層182を形成するため、導電層182の側面は酸化されず、導電層182の配線抵抗値を比較的低くすることができる。
【0160】
また、金属酸化物層191d(
図32)は、トランジスタ層L
Trの上方を広範囲に覆うため、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、配線層L
ULの形成時に水素(H)等の還元性ガスが半導体層130へ到達することを防ぎ、選択トランジスタST(
図1)のスイッチング特性が劣化することを防ぐことができる。
【0161】
[第4実施形態の変形例1]
次に、
図37を参照して、第4実施形態に係る半導体装置の変形例1について説明する。
図37は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0162】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には、第4実施形態に係る半導体装置(
図32)と同様に構成されている。しかしながら、本変形例に係る半導体装置(
図37)には、金属酸化物層191dは設けられず、金属酸化物層191eが設けられる。金属酸化物層191eは、導電層170、導電層171、及び、絶縁層175の外周面に設けられる。
【0163】
金属酸化物層191eは、例えば、第1酸化処理(
図33)において、半導体層130への酸素供給効率を向上させる層として機能する。
【0164】
金属酸化物層191eは、例えば金属酸化物層191と同様の及び、同様の特性の膜を含む。
【0165】
金属酸化物層191eは、厚さ方向において幅d3(
図37)を有する。幅d3は、例えば、1nm以上5nm以下である。
【0166】
[第4実施形態の変形例1の製造方法]
次に、
図38及び
図39を参照して、第4実施形態の変形例1に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図38及び
図39は、本変形例に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0167】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には第4実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本変形例に係る半導体装置の製造方法では、
図35を参照して説明した工程のかわりに、
図38及び
図39に示す工程を行う。
【0168】
例えば
図38に示す工程では、
図34に示す構造から、絶縁層113及び絶縁層175´の上面に設けられた金属酸化物層191d´の一部と、導電層172の上面に設けられた絶縁層175´の一部を除去し、絶縁層175及び金属酸化物層191eを形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0169】
次に、例えば
図39に示す様に、
図38に示す構造の上面に、絶縁層173と同様の材料を成膜し、導電層172が露出するまで上面を除去平坦化して、絶縁層173を形成する。この工程は、CVD及びCMP等によって行う。
【0170】
[第4実施形態の変形例2]
次に、
図40を参照して、第4実施形態に係る半導体装置の変形例2について説明する。
図40は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0171】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には、第4実施形態の変形例1に係る半導体装置(
図37)と同様に構成されている。しかしながら、本変形例に係る半導体装置において、配線層L
ML4には、プラグ層L
PL4(
図37)は設けられない。また、配線層L
ML4は、ビット線層L
BL4(
図37)のかわりにビット線層L
BL4b(
図40)を備える。
【0172】
ビット線層L
BL4bは、例えば
図40に示す様に、半導体層130に対応する位置において、トランジスタ層L
Trの上面に順に設けられた導電層170f、導電層171f、並びに、導電層172f及び絶縁層175fを備える。また、ビット線層L
BL4bは、例えば
図40に示す様に、導電層170f、導電層171f、及び、絶縁層175fの両側面に形成された金属酸化物層191fを備える。
【0173】
導電層170f、導電層171f、及び、導電層172fは、それぞれX方向に並ぶ複数の半導体層130に電気的に接続されている。絶縁層175fは、導電層172fのY方向正側の面、及び、Y方向負側の面に設けられる。
【0174】
導電層170f、導電層171f、導電層172f、絶縁層175f、及び、金属酸化物層191fを含む構造は、例えば
図40に示す様に、X方向に延伸し、また、Y方向に複数並んで設けられる。導電層170f、導電層171f、及び、導電層172fは、例えば、X方向に並ぶ複数の選択トランジスタSTのソース電極、及び、メモリセルアレイMCAのビット線BL(
図1)として機能する。Y方向に並ぶこれら構造の間には、絶縁層173が設けられる。
【0175】
導電層170f、導電層171f、導電層172f、及び、絶縁層175fは、それぞれ、例えば、導電層170、導電層171、導電層172、及び、絶縁層175(
図3)と同様の材料を含む。
【0176】
金属酸化物層191fは、例えば、第1酸化処理(
図33)において、半導体層130への酸素導入効率を高める層として機能する。
【0177】
金属酸化物層191fは、例えば金属酸化物層191と同様の元素、及び、同様の特性の膜を含む。
【0178】
金属酸化物層191fは、厚さ方向において幅d4(
図40)を有する。幅d4は、例えば、1nm以上5nm以下である。
【0179】
[第4実施形態の変形例3]
次に、
図41を参照して、第4実施形態に係る半導体装置の変形例3について説明する。
図41は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0180】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には、第4実施形態の変形例2に係る半導体装置(
図40)と同様に構成されている。しかしながら、本変形例に係る半導体装置においては、導電層170f及び金属酸化物層191fのかわりに、導電層170g及び金属酸化物層191gが設けられる。
【0181】
導電層170gは、基本的には導電層170fと同様に設けられる。しかしながら、導電層170gのY方向の両側面には、金属酸化物層191gは設けられていない。
【0182】
金属酸化物層191gは、例えば、導電層171fのY方向の両側面、及び、絶縁層175fの導電層172fから遠い側の両側面に設けられる。
【0183】
金属酸化物層191gは、例えば、第1酸化処理(
図34)において、半導体層130への酸素導入効率を高める層として機能する。
【0184】
金属酸化物層191gは、例えば金属酸化物層191と同様の元素、及び、同様の特性の膜を含む。
【0185】
金属酸化物層191gは、厚さ方向において幅d5(
図41)を有する。幅d5は、例えば、1nm以上5nm以下である。
【0186】
[第4実施形態の変形例3の製造方法]
次に、
図42~
図46を参照して、第4実施形態の変形例3に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図42~
図46は、第4実施形態の変形例3に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0187】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本変形例に係る半導体装置の製造方法では、
図13を参照して説明した工程の次に、
図42~
図46に示す工程を行う。
【0188】
例えば
図42に示す工程では、導電層171f及び導電層172fに対応する位置にフォトリソグラフィ等によりマスク材を形成し、マスク材に被覆されていない部分を除去することによって、導電層171f及び導電層172fを形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。尚、この工程においては、
図14に示す工程の様に、導電層170´の加工は行わない。
【0189】
次に、例えば
図43に示す様に、導電層170´の上面、導電層171fの側面、並びに、導電層172fの外周面及び上面に、金属酸化物層191g´を形成する。金属酸化物層191g´は、金属酸化物層191gと同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0190】
次に、例えば
図44に示す様に、金属酸化物層191g´を露出させた状態で、前述した第1酸化処理を行い、例えば酸素導入経路PA50,PA51により、半導体層130への酸素導入を行う。
【0191】
酸素導入経路PA50は、金属酸化物層191g´を介し、また、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170´を介して、半導体層130の上面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0192】
酸素導入経路PA51は、金属酸化物層191g´を介し、また、導電層170´、並びに、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層113及び絶縁層140を介して、半導体層130の側面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0193】
また、例えば
図44に示す様に、第1酸化処理により、導電層172fの外周面及び上面が酸化され、絶縁層175f´が形成される。絶縁層175f´は、例えば絶縁層175fと同様の材料を含む。
【0194】
次に、例えば
図45に示す様に、
図44に示す構造の上面を除去して、絶縁層175f及び金属酸化物層191gを形成する。この工程は、例えばRIE等によって行う。
【0195】
次に、例えば
図46に示す様に、
図45に示す構造の上面に、絶縁層173と同様の材料を成膜し、導電層172fが露出するまで上面を除去平坦化して、絶縁層173を形成する。この工程は、CVD及びCMP等によって行う。
【0196】
次に、
図46に示す構造の上面に、絶縁層190及び導電層192を形成し、絶縁層190の上方に配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第4実施形態の変形例3に係る半導体装置が製造される。
【0197】
[第5実施形態]
次に、
図47を用いて、第5実施形態に係る半導体装置について説明する。
図47は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。以下の説明では、第4実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0198】
本実施形態に係る半導体装置(
図47)は、基本的には、第4実施形態に係る半導体装置(
図32)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置には、配線層L
ML4(
図32)のかわりに配線層L
ML5(
図47)が設けられる。配線層L
ML5は、基本的には、配線層L
ML4と同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML5は、プラグ層L
PL4のかわりにプラグ層L
PL5を備える。
【0199】
プラグ層L
PL5(
図47)は、基本的には、プラグ層L
PL4(
図32)と同様に構成されている。しかしながら、プラグ層L
PL5は、絶縁層113と金属酸化物層191dとの間、並びに、導電層170、導電層171、及び、絶縁層175と、金属酸化物層191dとの間に、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層193を備える。
【0200】
[第5実施形態の製造方法]
次に、
図48~
図51を参照して、第5実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図48~
図51は、第5実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0201】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、
図14を参照して説明した工程に対応する工程の次に、
図48~
図51に示す工程を行う。
【0202】
例えば
図48に示す工程では、絶縁層113の上面、導電層170及び導電層171の外周面、並びに、導電層172の外周面及び上面に、順に、絶縁層193´及び金属酸化物層191d´を形成する。絶縁層193´は、例えば絶縁層193と同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0203】
次に、例えば
図49に示す様に、金属酸化物層191d´を露出させた状態で、前述した第1酸化処理を行い、例えば酸素導入経路PA60,PA61により、半導体層130への酸素導入を行う。
【0204】
酸素導入経路PA60は、金属酸化物層191d´を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層193´、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170を介して、半導体層130の上面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0205】
酸素導入経路PA61は、金属酸化物層191d´を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層193´、絶縁層113、及び、絶縁層140を介して、半導体層130の側面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0206】
また、例えば
図49に示す様に、第1酸化処理により、導電層172の外周面及び上面が酸化され、絶縁層175´が形成される。絶縁層175´は、例えば絶縁層175と同様の材料を含む。
【0207】
次に、例えば
図50に示す様に、金属酸化物層191d´の上面に、絶縁層173と同様の材料を成膜し、導電層172が露出するまで上面を除去平坦化して、絶縁層173、絶縁層175、金属酸化物層191d、及び、絶縁層193を形成する。この工程は、CVD及びCMP等によって行う。
【0208】
次に、例えば
図51に示す様に、導電層172に対応する位置に、
図17に示す工程と同様に導電層181、導電層182、導電層184、及び、絶縁層183を形成する。
【0209】
次に、絶縁層183及び導電層184の上面に絶縁層190を形成し、また、Z方向に延伸し、絶縁層190を貫通して、導電層184を露出させる開口を形成し、開口の内部に導電層192を形成する。この工程は、例えば、RIE,CVD、及び、CMP等によって行う。
【0210】
次に、絶縁層190の上方に、配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第5実施形態に係る半導体装置が製造される。
【0211】
[効果]
本実施形態に係る半導体装置においては、金属酸化物層191dに接する酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層193´により、特に酸素導入経路PA60(
図49)の様な経路で半導体層130へ酸素を導入できるため、第1酸化処理における酸素導入効率を高めることができる。
【0212】
また、第1酸化処理の後に、導電層182を形成するため、導電層182の側面は酸化されず、導電層182の配線抵抗値を比較的低くすることができる。
【0213】
また、金属酸化物層191d(
図47)は、トランジスタ層L
Trの上方を広範囲に覆うため、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、配線層L
ULの形成時に水素(H)等の還元性ガスが半導体層130へ到達することを防ぎ、選択トランジスタST(
図1)のスイッチング特性が劣化することを防ぐことができる。
【0214】
[第5実施形態の変形例1]
次に、
図52を参照して、第5実施形態に係る半導体装置の変形例1について説明する。
図52は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0215】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には、第5実施形態に係る半導体装置(
図47)と同様に構成されている。しかしながら、本変形例に係る半導体装置において、配線層L
ML5には、プラグ層L
PL5(
図47)は設けられない。また、配線層L
ML5は、ビット線層L
BL4(
図47)のかわりにビット線層L
BL5(
図52)を備える。
【0216】
ビット線層L
BL5(
図52)は、基本的には、ビット線層L
BL4b(
図40)と同様に構成されている。しかしながら、ビット線層L
BL5は、金属酸化物層191fのかわりに、金属酸化物層191hを備える。また、ビット線層L
BL5は、絶縁層113と金属酸化物層191hとの間、並びに、導電層170f、導電層171f、及び、絶縁層175fと、金属酸化物層191hとの間に、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層193hを備える。
【0217】
金属酸化物層191hは、例えば金属酸化物層191と同様の元素、及び、同様の特性の膜を含む。
【0218】
金属酸化物層191hは、厚さ方向において、金属酸化物層191d(
図47)と同様の、幅d2(
図32)を有する。
【0219】
[第5実施形態の変形例2]
次に、
図53を参照して、第5実施形態に係る半導体装置の変形例2について説明する。
図53は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0220】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には、第5実施形態の変形例1に係る半導体装置(
図52)と同様に構成されている。しかしながら、本変形例に係る半導体装置は、ビット線層L
BL5(
図52)のかわりにビット線層L
BL5b(
図53)を備える。
【0221】
ビット線層L
BL5b(
図53)は、基本的には、ビット線層L
BL5(
図52)と同様に構成されている。しかしながら、ビット線層L
BL5bは、金属酸化物層191hのかわりに、金属酸化物層191iを備える。金属酸化物層191iは、絶縁層193hの一部を介して、導電層170f、導電層171f、導電層172f、及び、絶縁層175fを含む構造の、Y方向正側及びY方向負側に、設けられる。
【0222】
金属酸化物層191iは、例えば金属酸化物層191と同様の元素、及び、同様の特性の膜を含む。
【0223】
金属酸化物層191iは、厚さ方向において、金属酸化物層191d(
図47)と同様の、幅d2を有する。
【0224】
[第6実施形態]
次に、
図54を用いて、第6実施形態に係る半導体装置について説明する。
図54は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。以下の説明では、第5施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0225】
本実施形態に係る半導体装置(
図54)は、基本的には、第5実施形態に係る半導体装置(
図47)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置は、配線層L
ML5(
図47)のかわりに配線層L
ML6(
図54)を備える。配線層L
ML6は、基本的には、配線層L
ML5と同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML6は、ビット線層L
BL4及びプラグ層L
PL5(
図47)のかわりに、ビット線層L
BL6及びプラグ層L
PL6(
図54)を備える。
【0226】
ビット線層L
BL6(
図54)は、基本的には、ビット線層L
BL4(
図47)と同様に構成されている。しかしながら、ビット線層L
BL6においては、隣接する2つの導電層181、導電層182、及び、導電層184の間には、空洞AG1が設けられている。
【0227】
プラグ層L
PL6(
図54)は、基本的には、プラグ層L
PL5(
図47)と同様に構成されている。しかしながら、プラグ層L
PL6においては、金属酸化物層191dのかわりに金属酸化物層191jが設けられている。また、金属酸化物層191jの上方には、空洞AG1の一部が設けられている。
【0228】
空洞AG1は空洞AG1の在る部分の周囲に配置された固体材料に囲まれた、いわゆる空間を指し、空洞AG1の在る部分はいずれの固体材料も含まない。空洞AG1は、例えば、窒素、酸素、及び希ガス等の複数の気体の混合物からなる空気等を含む空間である。尚、空洞AG1はいずれの気体も含まない様に脱気されていても良い。
【0229】
金属酸化物層191jは、例えば金属酸化物層191と同様の元素、及び、同様の特性の膜を含む。
【0230】
金属酸化物層191jは、厚さ方向において、金属酸化物層191d(
図47)と同様の、幅d2を有する。
【0231】
[第6実施形態の製造方法]
次に、
図55及び
図56を参照して、第6実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図55及び
図56は、第6実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0232】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には第5実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、
図50を参照して説明した工程に対応する工程の次に、
図55及び
図56に示す工程を行う。
【0233】
例えば
図55に示す工程では、導電層181´、導電層182´、導電層184´、及び、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層190´を順に形成する。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0234】
次に、例えば
図56に示す様に、金属酸化物層191d、絶縁層173、導電層181´、導電層182´、導電層184´、及び、絶縁層190´の一部を除去して、空洞AG1、金属酸化物層191j、導電層181、導電層182、導電層184、及び、絶縁層190を形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0235】
次に、導電層192、及び、配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第6実施形態に係る半導体装置が製造される。
【0236】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第6実施形態に係る半導体装置について説明した。しかしながら、これらの実施形態に係る半導体装置はあくまでも例示であり、具体的な構成、動作等は適宜調整可能である。
【0237】
例えば、以上の説明では、選択トランジスタST(
図1)に、キャパシタCap(
図1)が接続される例について説明した。この様な例において、キャパシタCapの形状、構造等は、適宜調整可能である。
【0238】
また、以上の説明では、選択トランジスタST(
図1)に接続されるメモリ部として、キャパシタCap(
図1)が採用される例について説明した。しかしながら、メモリ部は、キャパシタCapでなくても良い。例えば、メモリ部は、強誘電体、強磁性体、GeSbTe等のカルコゲン材料、又は、その他の材料を含み、これら材料の特性を利用してデータを記録するものであっても良い。例えば、以上において説明したいずれかの構造において、キャパシタCapを形成する電極間の絶縁層に、これら材料のいずれかを含ませても良い。
【0239】
また、以上の説明では、選択トランジスタST(
図1)のチャネル領域として機能する半導体層130について、例えばZ方向に延伸し、略円柱形状を有する例を示した。しかしながら、半導体層130は、例えば
図57に示す様に、Z方向に延伸する略円筒形状であっても良い。また、半導体層130の内部には、Z方向に延伸する略円柱形状の絶縁層131が設けられていても良い。絶縁層131は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等を含む。
【0240】
尚、
図57に示す例においては、第1酸化処理において、酸素導入経路PA70により、半導体層130の酸化を行っても良い。酸素導入経路PA70は、金属酸化物層191を介し、また、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の、絶縁層190、絶縁層183、及び、絶縁層173を介し、また、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170を介し、更に絶縁層131を介して、半導体層130の内側面から酸素(O)を導入可能な経路である。この様な酸素導入経路PA70を有することにより、
図57に示す構造では、半導体層130の内部からも酸素(O)供給が可能であるため、半導体層130への酸素供給効率をより向上させることができる。
【0241】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0242】
Sub…基板、130…半導体層、140…絶縁層、150…導電層、172…導電層、175…絶縁層、182…導電層、185…絶縁層、191…金属酸化物層。