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特開2024-134087搬送方向切替装置および搬送方向切替装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134087
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】搬送方向切替装置および搬送方向切替装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/20 20060101AFI20240926BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20240926BHJP
   B65H 5/04 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B65H29/20
B65G47/68 Z
B65H5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044193
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 景
【テーマコード(参考)】
3F049
3F070
3F101
【Fターム(参考)】
3F049AA08
3F049CA32
3F049DA03
3F049DA11
3F049DB04
3F049EA17
3F049EA22
3F049LA13
3F049LB01
3F049LB05
3F070BA07
3F070BE01
3F070EA21
3F070EA24
3F070EA36
3F101BA02
3F101BB07
3F101LA16
3F101LB01
3F101LB05
(57)【要約】
【課題】搬送方向切替装置から搬出される用紙の搬出方向に交差する方向の位置を操作者が所望の位置に適切に調整する。
【解決手段】第1方向DR1、第2方向DR2、第3方向DR3、または第4方向DR4のいずれかの方向に用紙束Bを搬送する搬送機構10と、進入方向から搬送機構10へ搬送される用紙束Bを搬出方向へ搬出するよう搬送機構10を制御する制御部と、進入方向と交差する搬出方向に搬出される用紙束Bの進入方向の位置を調整するための操作者からの調整指示を入力する第1操作部20および第2操作部30と、を備え、制御部は、進入方向と交差する搬出方向に用紙束Bを搬出する場合、第1操作部20および第2操作部30に入力された調整指示に応じた進入方向の位置に用紙束Bが到達したことに応じて用紙束Bの搬送方向を搬出方向へ切り替えるよう搬送機構10を制御する搬送方向切替装置100を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸線に沿う第1方向、前記第1軸線に沿うとともに前記第1方向と反対の第2方向、前記第1軸線と交差する第2軸線に沿う第3方向、または前記第2軸線に沿うとともに前記第3方向と反対の第4方向のいずれかの方向に用紙を搬送する搬送機構と、
前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向、または前記第4方向のいずれか1つの進入方向から前記搬送機構へ搬送される前記用紙を、前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向、または前記第4方向のいずれか1つの搬出方向へ搬出するよう前記搬送機構を制御する制御部と、
前記進入方向と交差する前記搬出方向に搬出される前記用紙の前記進入方向の位置を調整するための操作者からの調整指示を入力する位置入力部と、を備え、
前記制御部は、前記進入方向と交差する前記搬出方向に前記用紙を搬出する場合、前記位置入力部に入力された前記調整指示に応じた前記進入方向の位置に前記用紙が到達したことに応じて前記用紙の搬送方向を前記搬出方向へ切り替えるよう前記搬送機構を制御する搬送方向切替装置。
【請求項2】
前記進入方向に沿って前記搬送機構へ進入する前記用紙の前記進入方向の長さを検出する用紙長検出部と、
前記進入方向に沿って前記搬送機構が前記用紙を搬送する搬送速度を設定する搬送速度設定部と、を備え、
前記制御部は、前記位置入力部に入力された前記調整指示に応じた前記進入方向の位置で前記用紙の搬送方向が前記進入方向から前記搬出方向へ切り替わるように、前記用紙長検出部が検出した前記用紙の前記進入方向の長さおよび前記搬送速度設定部が設定する前記搬送速度に応じて、前記搬送機構が前記用紙の搬送方向を前記進入方向から前記搬出方向へ切り替えるタイミングを決定する請求項1に記載の搬送方向切替装置。
【請求項3】
前記位置入力部は、
前記第1方向または前記第2方向に沿って前記搬送機構に進入する前記用紙が前記第3方向または前記第4方向に搬出される位置を調整するための第1の前記調整指示を入力する第1位置入力部と、
前記第3方向または前記第4方向に沿って前記搬送機構に進入する前記用紙が前記第1方向または前記第2方向に搬出される位置を調整するための第2の前記調整指示を入力する第2位置入力部と、を有する請求項2に記載の搬送方向切替装置。
【請求項4】
前記搬送機構は、
前記第1方向または前記第2方向に沿って前記用紙を搬送する複数の第1搬送部材を有する第1搬送部と、
前記第3方向または前記第4方向に沿って前記用紙を搬送する複数の第2搬送部材を有する第2搬送部と、を有し、
前記搬送速度設定部は、
前記第1方向または前記第2方向に沿って前記第1搬送部が前記用紙を搬送する第1の前記搬送速度を設定する第1速度設定部と、
前記第3方向または前記第4方向に沿って前記第2搬送部が前記用紙を搬送する第2の前記搬送速度を設定する第2速度設定部と、を有する請求項3に記載の搬送方向切替装置。
【請求項5】
前記進入方向に対する前記搬出方向を決定するための前記操作者からの方向指示を入力する方向入力部を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の搬送方向切替装置。
【請求項6】
前記方向入力部は、
前記第3方向または前記第4方向に沿って前記搬送機構に進入する前記用紙の前記搬出方向を決定するための第1の前記方向指示を入力する第1方向入力部と、
前記第1方向または前記第2方向に沿って前記搬送機構に進入する前記用紙の前記搬出方向を決定するための第2の前記方向指示を入力する第2方向入力部と、を有する請求項5に記載の搬送方向切替装置。
【請求項7】
前記第1方向入力部は、直線状に延びる第1つまみ部を前記第1方向側へ回転させることにより前記搬出方向を前記第1方向に決定するための第1の前記方向指示を入力し、前記第1つまみ部を前記第2方向側へ回転させることにより前記搬出方向を前記第2方向に決定するための第1の前記方向指示を入力し、
前記第2方向入力部は、直線状に延びる第2つまみ部を前記第3方向側へ回転させることにより前記搬出方向を前記第3方向に決定するための第2の前記方向指示を入力し、前記第2つまみ部を前記第4方向側へ回転させることにより前記搬出方向を前記第4方向に決定するための第2の前記方向指示を入力する請求項6に記載の搬送方向切替装置。
【請求項8】
搬送方向切替装置の制御方法であって、
前記搬送方向切替装置は、
第1軸線に沿う第1方向、前記第1軸線に沿うとともに前記第1方向と反対の第2方向、前記第1軸線と交差する第2軸線に沿う第3方向、または前記第2軸線に沿うとともに前記第3方向と反対の第4方向のいずれかの方向に用紙を搬送する搬送機構を備え、
前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向、または前記第4方向のいずれか1つの進入方向から前記搬送機構へ搬送される前記用紙を、前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向、または前記第4方向のいずれか1つの搬出方向へ搬出するよう前記搬送機構を制御する制御工程と、
前記進入方向と交差する前記搬出方向に搬出される前記用紙の前記進入方向の位置を調整するための操作者からの調整指示を入力する位置入力工程と、を備え、
前記制御工程は、前記進入方向と交差する前記搬出方向に前記用紙を搬出する場合、前記位置入力工程で入力された前記調整指示に応じた前記進入方向の位置に前記用紙が到達したことに応じて前記用紙の搬送方向を前記搬出方向へ切り替えるよう前記搬送機構を制御する搬送方向切替装置の制御方法。
【請求項9】
前記進入方向に沿って前記搬送機構へ進入する前記用紙の前記進入方向の長さを検出する用紙長検出工程と、
前記進入方向に沿って前記搬送機構が前記用紙を搬送する搬送速度を設定する搬送速度設定工程と、を備え、
前記制御工程は、前記位置入力工程で入力された前記調整指示に応じた前記進入方向の位置で前記用紙の搬送方向が前記進入方向から前記搬出方向へ切り替わるように、前記用紙長検出工程が検出した前記用紙の前記進入方向の長さおよび前記搬送速度設定工程が設定する前記搬送速度に応じて、前記搬送機構が前記用紙の搬送方向を前記進入方向から前記搬出方向へ切り替えるタイミングを決定する請求項8に記載の搬送方向切替装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送方向切替装置および搬送方向切替装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに交差する四方向の搬送路に隣接して配置され、所定の搬送路から搬送される用紙の搬送方向を切り替えて他の搬送路へ搬送する搬送方向切替装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される搬送方向切替装置は、製本機で製本された製本物を搬送路D1から所定の搬送方向で受け取り、搬送路D2,D3,D4のいずれかへ搬送する。製本物には、搬送路D2,D3,D4の搬送先に応じた所定の処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-95337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送方向切替装置が、搬送元から進入する用紙の進入方向に対して、搬送先へ搬出する用紙の搬出方向を異なる方向に切り替える場合、搬送先では搬出方向に直交する方向の用紙の位置に合わせて用紙の処理を行う必要がある。例えば、搬送先では、搬送方向切替装置から搬送される用紙の搬出方向に交差する方向の位置が適した位置でない場合には、用紙の位置を適切な位置に調整するなどの前処理が必要となり、生産性が低下する可能性がある。
【0005】
また、搬送先で行われる処理が変更される場合には、搬送方向切替装置から搬出される用紙の搬出方向に交差する方向の位置が、事後的に適さない位置となってしまう可能性がある。この場合も、用紙の位置を適切な位置に調整するなどの前処理が必要となり、生産性が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬送方向切替装置から搬出される用紙の搬出方向に交差する方向の位置を操作者が所望の位置に適切に調整することが可能な搬送方向切替装置および搬送方向切替装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る搬送方向切替装置は、第1軸線に沿う第1方向、前記第1軸線に沿うとともに前記第1方向と反対の第2方向、前記第1軸線と交差する第2軸線に沿う第3方向、または前記第2軸線に沿うとともに前記第3方向と反対の第4方向のいずれかの方向に用紙を搬送する搬送機構と、前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向、または前記第4方向のいずれか1つの進入方向から前記搬送機構へ搬送される前記用紙を、前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向、または前記第4方向のいずれか1つの搬出方向へ搬出するよう前記搬送機構を制御する制御部と、前記進入方向と交差する前記搬出方向に搬出される前記用紙の前記進入方向の位置を調整するための操作者からの調整指示を入力する位置入力部と、を備え、前記制御部は、前記進入方向と交差する前記搬出方向に前記用紙を搬出する場合、前記位置入力部に入力された前記調整指示に応じた前記進入方向の位置に前記用紙が到達したことに応じて前記用紙の搬送方向を前記搬出方向へ切り替えるよう前記搬送機構を制御する。
【0008】
本発明の第1態様に係る搬送方向切替装置によれば、制御部は、第1軸線に沿う第1方向、第1方向と反対の第2方向、第1軸線と交差する第2軸線に沿う第3方向、または第3方向と反対の第4方向のいずれか1つの進入方向から搬送機構へ搬送される用紙を、第1方向、第2方向、第3方向、または第4方向のいずれか1つの搬出方向へ搬出するよう搬送機構を制御する。
【0009】
また、本発明の第1態様に係る搬送方向切替装置によれば、制御部は、搬出方向に用紙を搬出する場合、位置入力部に入力された調整指示に応じた進入方向の位置に用紙が到達したことに応じて用紙の搬送方向を搬出方向へ切り替える。そのため、搬送方向切替装置から搬出される用紙の搬出方向に交差する方向の位置を、操作者が所望の位置に適切に調整することができる。
【0010】
本発明の第2態様に係る搬送方向切替装置は、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記進入方向に沿って前記搬送機構へ進入する前記用紙の前記進入方向の長さを検出する用紙長検出部と、前記進入方向に沿って前記搬送機構が前記用紙を搬送する搬送速度を設定する搬送速度設定部と、を備え、前記制御部は、前記位置入力部に入力された前記調整指示に応じた前記進入方向の位置で前記用紙の搬送方向が前記進入方向から前記搬出方向へ切り替わるように、前記用紙長検出部が検出した前記用紙の前記進入方向の長さおよび前記搬送速度設定部が設定する前記搬送速度に応じて、前記搬送機構が前記用紙の搬送方向を前記進入方向から前記搬出方向へ切り替えるタイミングを決定する。
【0011】
本発明の第2態様に係る搬送方向切替装置によれば、進入方向の用紙の長さおよび搬送速度設定部が設定する進入方向に沿った用紙の搬送速度に応じて、搬送機構が用紙の搬送方向を進入方向から搬出方向へ切り替えるタイミングが決定される。進入方向に搬送される用紙の長さの変更や、搬送速度設定部が設定する搬送速度の変更があっても、用紙の長さや搬送速度に応じたタイミングで用紙の搬送方向が進入方向から搬出方向へ切り替わり、操作者が位置入力部に入力した調整指示に応じた進入方向の位置で用紙の搬送方向を進入方向から搬出方向へ切り替えることができる。
【0012】
本発明の第3態様に係る搬送方向切替装置は、第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記位置入力部は、前記第1方向または前記第2方向に沿って前記搬送機構に進入する前記用紙が前記第3方向または前記第4方向に搬出される位置を調整するための第1の前記調整指示を入力する第1位置入力部と、前記第3方向または前記第4方向に沿って前記搬送機構に進入する前記用紙が前記第1方向または前記第2方向に搬出される位置を調整するための第2の前記調整指示を入力する第2位置入力部と、を有する。
【0013】
本発明の第3態様に係る搬送方向切替装置によれば、操作者から第1位置入力部に入力される第1の調整指示により、第1方向または第2方向に沿って搬送機構に進入する用紙が第3方向または第4方向に搬出される位置を調整し、操作者から第2位置入力部に入力される第2の調整指示により、第3方向または第4方向に沿って搬送機構に進入する用紙が第1方向または第2方向に搬出される位置を調整することができる。
【0014】
本発明の第4態様に係る搬送方向切替装置は、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記搬送機構は、前記第1方向または前記第2方向に沿って前記用紙を搬送する複数の第1搬送部材を有する第1搬送部と、前記第3方向または前記第4方向に沿って前記用紙を搬送する複数の第2搬送部材を有する第2搬送部と、を有し、前記搬送速度設定部は、前記第1方向または前記第2方向に沿って前記第1搬送部が前記用紙を搬送する第1の前記搬送速度を設定する第1設定部と、前記第3方向または前記第4方向に沿って前記第2搬送部が前記用紙を搬送する第2の前記搬送速度を設定する第2設定部と、を有する。
【0015】
本発明の第4態様に係る搬送方向切替装置によれば、第1速度設定部が第1方向または第2方向に沿って第1搬送部が用紙を搬送する第1の搬送速度を設定し、第2設定部が第3方向または第4方向に沿って第2搬送部が用紙を搬送する第2の搬送速度を設定することができる。
【0016】
本発明の第5態様に係る搬送方向切替装置は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、更に以下の構成を備える。すなわち、前記進入方向に対する前記搬出方向を決定するための前記操作者からの方向指示を入力する方向入力部を備える。
本発明の第5態様に係る搬送方向切替装置によれば、操作者は、進入方向に対する搬出方向を決定するための方向指示を方向入力部を介して入力することができる。
【0017】
本発明の第6態様に係る搬送方向切替装置は、第5態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記方向入力部は、前記第3方向または前記第4方向に沿って前記搬送機構に進入する前記用紙の前記搬出方向を決定するための第1の前記方向指示を入力する第1方向入力部と、前記第1方向または前記第2方向に沿って前記搬送機構に進入する前記用紙の前記搬出方向を決定するための第2の前記方向指示を入力する第2方向入力部と、を有する。
【0018】
本発明の第6態様に係る搬送方向切替装置によれば、操作者は、第3方向または第4方向に沿って搬送機構に進入する用紙の搬出方向を決定するための第1の方向指示を第1方向入力部を介して入力し、第1方向または第2方向に沿って搬送機構に進入する用紙の搬出方向を決定するための第2の方向指示を第2方向入力部を介して入力することができる。
【0019】
本発明の第7態様に係る搬送方向切替装置は、第6態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1方向入力部は、直線状に延びる第1つまみ部を前記第1方向側へ回転させることにより前記搬出方向を前記第1方向に決定するための第1の前記方向指示を入力し、前記第1つまみ部を前記第2方向側へ回転させることにより前記搬出方向を前記第2方向に決定するための第1の前記方向指示を入力し、前記第2方向入力部は、直線状に延びる第2つまみ部を前記第3方向側へ回転させることにより前記搬出方向を前記第3方向に決定するための第2の前記方向指示を入力し、前記第2つまみ部を前記第4方向側へ回転させることにより前記搬出方向を前記第4方向に決定するための第2の前記方向指示を入力する。
【0020】
本発明の第7態様に係る搬送方向切替装置によれば、第1つまみ部を第1方向側へ回転させることにより第1の方向指示を入力し、第1つまみ部を第2方向側へ回転させることにより第1の方向指示を入力し、第2つまみ部を第3方向側へ回転させることにより第2の方向指示を入力し、第2つまみ部を第4方向側へ回転させることにより第2の方向指示を入力することができる。第1つまみ部と第2つまみ部を回転させる方向と用紙が搬出される方向とが一致するため、操作者は、用紙が搬出される方向を第1つまみ部および第2つまみ部を介して直観的に入力することができる。
【0021】
本発明の第8態様に係る搬送方向切替装置の制御方法において、前記搬送方向切替装置は、第1軸線に沿う第1方向、前記第1軸線に沿うとともに前記第1方向と反対の第2方向、前記第1軸線と交差する第2軸線に沿う第3方向、または前記第2軸線に沿うとともに前記第3方向と反対の第4方向のいずれかの方向に用紙を搬送する搬送機構を備え、前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向、または前記第4方向のいずれか1つの進入方向から前記搬送機構へ搬送される前記用紙を、前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向、または前記第4方向のいずれか1つの搬出方向へ搬出するよう前記搬送機構を制御する制御工程と、前記進入方向と交差する前記搬出方向に搬出される前記用紙の前記進入方向の位置を調整するための操作者からの調整指示を入力する位置入力工程と、を備え、前記制御工程は、前記進入方向と交差する前記搬出方向に前記用紙を搬出する場合、前記位置入力部に入力された前記調整指示に応じた前記進入方向の位置に前記用紙が到達したことに応じて前記用紙の搬送方向を前記搬出方向へ切り替えるよう前記搬送機構を制御する。
【0022】
本発明の第8態様に係る搬送方向切替装置の制御方法によれば、制御工程は、第1軸線に沿う第1方向、第1方向と反対の第2方向、第1軸線と交差する第2軸線に沿う第3方向、または第3方向と反対の第4方向のいずれか1つの進入方向から搬送機構へ搬送される用紙を、第1方向、第2方向、第3方向、または第4方向のいずれか1つの搬出方向へ搬出するよう搬送機構を制御する。
【0023】
また、本発明の第8態様に係る搬送方向切替装置の制御方法によれば、制御工程は、搬出方向に用紙を搬出する場合、位置入力部に入力された調整指示に応じた進入方向の位置に用紙が到達したことに応じて用紙の搬送方向を搬出方向へ切り替える。そのため、搬送方向切替装置から搬出される用紙の搬出方向に交差する方向の位置を、操作者が所望の位置に適切に調整することができる。
【0024】
本発明の第9態様に係る搬送方向切替装置の制御方法は、第8態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記進入方向に沿って前記搬送機構へ進入する前記用紙の前記進入方向の長さを検出する用紙長検出工程と、前記進入方向に沿って前記搬送機構が前記用紙を搬送する搬送速度を設定する搬送速度設定工程と、を備え、前記制御工程は、前記位置入力工程で入力された前記調整指示に応じた前記進入方向の位置で前記用紙の搬送方向が前記進入方向から前記搬出方向へ切り替わるように、前記用紙長検出工程が検出した前記用紙の前記進入方向の長さおよび前記搬送速度設定工程が設定する前記搬送速度に応じて、前記搬送機構が前記用紙の搬送方向を前記進入方向から前記搬出方向へ切り替えるタイミングを決定する。
【0025】
本発明の第9態様に係る搬送方向切替装置の制御方法によれば、進入方向の用紙の長さおよび搬送速度設定工程が設定する進入方向に沿った用紙の搬送速度に応じて、搬送機構が用紙の搬送方向を進入方向から搬出方向へ切り替えるタイミングが決定される。進入方向に搬送される用紙の長さの変更や、搬送速度設定工程が設定する搬送速度の変更があっても、用紙の長さや搬送速度に応じたタイミングで用紙の搬送方向が進入方向から搬出方向へ切り替わり、操作者が位置入力部に入力した調整指示に応じた進入方向の位置で用紙の搬送方向を進入方向から搬出方向へ切り替えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、搬送方向切替装置から搬出される用紙の搬出方向に交差する方向の位置を操作者が所望の位置に適切に調整することが可能な搬送方向切替装置および搬送方向切替装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る製本システムを示す平面図である。
図2図1に示す搬送方向切替装置の部分拡大図である。
図3図1に示す搬送方向切替装置の斜視図である。
図4図2に示す搬送方向切替装置のA-A矢視断面図である。
図5図2に示す搬送方向切替装置のC-C矢視断面図である。
図6図2に示す第1操作部の平面図である。
図7図2に示す第2操作部の平面図である。
図8】用紙束の進入方向および搬出方向と、第1つまみ部および第2つまみ部の配置との関係を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る搬送方向切替装置の制御構成を示すブロック図である。
図10】本発明の一実施形態に係る搬送方向切替装置の制御方法を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係る搬送方向切替装置の制御方法を示すフローチャートである。
図12】搬送機構と搬送機構に搬送される用紙束を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態に係る製本システム1について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る製本システム1を示す平面図である。本実施形態の製本システム1は、丁合機200で丁合された複数の用紙Pからなる用紙束Bの搬送方向を切り替えて製本機300に向けて搬出する装置である。図1に示すように、製本システム1は、搬送方向切替装置100と、丁合機200と、製本機300と、搬送装置400と、搬送装置500と、搬送装置600と、を備える。
【0029】
搬送方向切替装置100は、軸線(第1軸線)X0に沿う第1方向DR1、軸線X0に沿うとともに第1方向DR1と反対の第2方向DR2、軸線X0と直交(交差)する軸線(第2軸線)Y0に沿う第3方向DR3、または軸線Y0に沿うとともに第3方向DR3と反対の第4方向DR4のいずれかの方向に用紙束Bを搬送する装置である。
【0030】
搬送方向切替装置100は、第1方向DR1、第2方向DR2、第3方向DR3、または第4方向DR4のいずれか1つの進入方向から搬送される用紙束Bを、第1方向DR1、第2方向DR2、第3方向DR3、または第4方向DR4のいずれか1つの搬出方向へ搬出する装置である。搬送方向切替装置100の詳細については後述する。
【0031】
丁合機200は、複数の用紙トレイに積載される用紙Pを重ね合わせて用紙束Bとし、用紙束Bを搬送先へ搬送する装置である。図1に示す丁合機200は、第1方向DR1に沿って用紙束Bを搬送方向切替装置100へ搬送する。
製本機300は、搬送方向切替装置100から搬送装置400を介して第3方向DR3に沿って搬送される用紙束Bを受け入れ、用紙束Bに表紙を貼り合わせて製本する装置である。
【0032】
搬送装置400は、搬送方向切替装置100から第3方向DR3に沿って供給される用紙束Bを、第3方向DR3に沿って搬送し、製本機300へ供給する装置である。
搬送装置500は、外部装置(図示略)から第3方向DR3に沿って供給される用紙束Bを、第3方向DR3に沿って搬送し、搬送方向切替装置100へ供給する装置である。
搬送装置600は、外部装置(図示略)から第2方向DR2に沿って供給される用紙束Bを、第2方向DR2に沿って搬送し、搬送方向切替装置100へ供給する装置である。
【0033】
図1に示す製本システム1において、搬送方向切替装置100は、丁合機200から第1方向DR1に沿って供給される用紙束Bの搬送方向を第3方向DR3へ切り替えて搬送装置400へ搬送するものであったが、他の態様であってもよい。例えば、搬送方向切替装置100は、搬送装置600から第2方向DR2に沿って供給される用紙束Bの搬送方向を第3方向DR3に切り替えて搬送装置400へ搬送するものであってもよい。また、例えば、搬送方向切替装置100は、搬送装置500から第3方向DR3に沿って供給される用紙束Bを第3方向DR3に沿って搬送装置400へ搬送するものであってもよい。
【0034】
次に、本実施形態の搬送方向切替装置100について説明する。図2は、図1に示す搬送方向切替装置100の部分拡大図である。図3は、図1に示す搬送方向切替装置100の斜視図である。図2および図3に示すように、搬送方向切替装置100は、搬送機構10と、第1操作部(第1位置入力部;第1設定部)20と、第2操作部(第2位置入力部;第2設定部)30と、第1通過センサ(用紙長検出部)41と、第2通過センサ(用紙長検出部)42と、第3通過センサ(用紙長検出部)43と、第4通過センサ(用紙長検出部)44と、昇降機構50(図5参照)と、制御部60(図9参照)と、を備える。
【0035】
搬送機構10は、軸線X0に沿う第1方向DR1、軸線X0に沿うとともに第1方向DR1と反対の第2方向DR2、軸線X0と直交(交差)する軸線Y0に沿う第3方向DR3、または軸線Y0に沿うとともに第3方向DRと反対の第4方向DR4のいずれかの方向に用紙束Bを搬送する機構である。
【0036】
搬送機構10は、第1方向DR1または第2方向DR2に沿って用紙束Bを搬送する複数の搬送ローラ(第1搬送部材)11aを有する第1搬送部11と、第3方向DR3または第4方向DR4に沿って用紙束Bを搬送する複数の搬送ベルト(第2搬送部材)12aを有する第2搬送部12と、を有する。
【0037】
図4は、図2に示す搬送方向切替装置100のA-A矢視断面図である。図5は、図2に示す搬送方向切替装置100のC-C矢視断面図である。図4に示すように、第1搬送部11は、軸線Y0と平行に配置される回転軸11b回りに正方向または逆方向に回転する複数の搬送ローラ11aを有する。搬送ローラ11aは、ローラ駆動モータ11c(図9参照)により駆動される。
【0038】
図5に示すように、第2搬送部12は、軸線X0と平行に配置される駆動ローラ12bおよび従動ローラ12cに掛け回されるとともに駆動ローラ12bの駆動力によって正方向または逆方向に回転する複数の搬送ベルト12aを有する。駆動ローラ12bは、ベルト駆動モータ12d(図9参照)により駆動される。図4に示すように、搬送ローラ11aと搬送ベルト12aは、軸線X0に沿って交互に配置されている。
【0039】
図6は、図2に示す第1操作部20の平面図である。第1操作部20は、搬送方向切替装置100に対する操作者からの調整指示を入力するための装置である。図6に示すように、第1操作部20は、第1位置入力部21と、第1速度設定部22と、第1方向入力部23と、を有する。
【0040】
第1位置入力部21は、第1方向DR1または第2方向DR2に沿って搬送機構10に進入する用紙束Bが第3方向DR3または第4方向DR4に搬出される軸線X0上の位置を調整するための第1の調整指示を操作者が入力する装置である。第1の調整指示は、用紙束Bの搬送機構10への第1方向DR1または第2方向DR2のいずれかの進入方向と直交する第3方向DR3または第4方向DR4のいずれかの搬出方向に搬出される用紙束Bの進入方向の位置を調整するための操作者からの指示である。操作者は、第1位置入力部21をプラス(+)方向またはマイナス(-)方向に回転させることにより、搬出方向に搬出される用紙束Bの進入方向の位置を調整する。
【0041】
第1速度設定部22は、第1方向DR1または第2方向DR2に沿って第1搬送部11が用紙束Bを搬送する第1の搬送速度を設定する装置である。操作者は、第1速度設定部22をプラス(+)方向またはマイナス(-)方向に回転させることにより、第1の搬送速度を設定する。
【0042】
第1方向入力部23は、第3方向DR3または第4方向DR4に沿って搬送機構10に進入する用紙束Bの搬出方向を決定するための第1の方向指示を入力する装置である。操作者は、直線状に延びる第1つまみ部23aを第1方向DR1側へ回転させることにより搬出方向を第1方向DR1に決定するための第1の方向指示を入力し、第1つまみ部23aを第2方向DR2側へ回転させることにより搬出方向を第2方向DR2に決定するための第1の方向指示を入力する。また、操作者は、第1つまみ部23aを中央(図6に示す例)に配置することにより、進入方向と同じ方向を用紙束Bの搬出方向として決定するための第1の方向指示を入力する。
【0043】
図7は、図2に示す第2操作部30の平面図である。第2操作部30は、搬送方向切替装置100に対する操作者からの調整指示を入力するための装置である。図7に示すように、第2操作部30は、第2位置入力部31と、第2速度設定部32と、第2方向入力部33と、を有する。
【0044】
第2位置入力部31は、第3方向DR3または第4方向DR4に沿って搬送機構10に進入する用紙束Bが第1方向DR1または第2方向DR2に搬出される軸線Y0上の位置を調整するための第2の調整指示を操作者が入力する装置である。第2の調整指示は、用紙束Bの搬送機構10への第3方向DR3または第4方向DR4のいずれかの進入方向と直交する第1方向DR1または第2方向DR2のいずれかの搬出方向に搬出される用紙束Bの進入方向の位置を調整するための操作者からの指示である。操作者は、第2位置入力部31をプラス(+)方向またはマイナス(-)方向に回転させることにより、搬出方向に搬出される用紙束Bの進入方向の位置を調整する。
【0045】
第2速度設定部32は、第3方向DR3または第4方向DR4に沿って第2搬送部12が用紙束Bを搬送する第2の搬送速度を設定する装置である。操作者は、第2速度設定部32をプラス(+)方向またはマイナス(-)方向に回転させることにより、第2の搬送速度を設定する。
【0046】
第2方向入力部33は、第1方向DR1または第2方向DR2に沿って搬送機構10に進入する用紙束Bの搬出方向を決定するための第2の方向指示を入力する装置である。操作者は、直線状に延びる第2つまみ部33aを第3方向DR3側(図7に示す例)へ回転させることにより搬出方向を第3方向DR3に決定するための第2の方向指示を入力し、第2つまみ部33aを第4方向DR4側へ回転させることにより搬出方向を第4方向DR4に決定するための第2の方向指示を入力する。また、操作者は、第2つまみ部33aを中央に配置することにより、進入方向と同じ方向を用紙束Bの搬出方向として決定するための第2の方向指示を入力する。
【0047】
ここで、図8を参照して、用紙束Bの進入方向および搬出方向と、第1つまみ部23aおよび第2つまみ部33aの配置との関係を説明する。図8は、用紙束Bの進入方向および搬出方向と、第1つまみ部23aおよび第2つまみ部33aの配置との関係を示す図である。
【0048】
図8に示すように、用紙束Bの進入方向が第1方向DR1または第2方向DR2である場合、第1つまみ部23aの配置は搬出方向に関係がなく、第2つまみ部33aの配置で搬出方向が決定する。また、用紙束Bの進入方向が第3方向DR3または第4方向DR4である場合、第2つまみ部33aの配置は搬出方向に関係がなく、第1つまみ部23aの配置で搬出方向が決定する。
【0049】
図8に示すように、用紙束Bの進入方向が第1方向DR1であるとき、第2つまみ部33aが右に配置される場合は搬出方向が第4方向DR4となり、第2つまみ部33aが中央に配置される場合は搬出方向が第2方向DR2となり、第2つまみ部33aが左に配置される場合(図7に示す状態の場合)は搬出方向が第3方向DR3となる。
【0050】
用紙束Bの進入方向が第2方向DR2であるとき、第2つまみ部33aが右に配置される場合は搬出方向が第4方向DR4となり、第2つまみ部33aが中央に配置される場合は搬出方向が第1方向DR1となり、第2つまみ部33aが左に配置される場合(図7に示す状態の場合)は搬出方向が第3方向DR3となる。
【0051】
用紙束Bの進入方向が第3方向DR3であるとき、第1つまみ部23aが右に配置される場合は搬出方向が第2方向DR2となり、第1つまみ部23aが中央に配置される場合(図6に示す状態の場合)は搬出方向が第4方向DR4となり、第1つまみ部23aが左に配置される場合は搬出方向が第1方向DR1となる。
【0052】
用紙束Bの進入方向が第4方向DR4であるとき、第1つまみ部23aが右に配置される場合は搬出方向が第2方向DR2となり、第1つまみ部23aが中央に配置される場合(図6に示す状態の場合)は搬出方向が第3方向DR3となり、第1つまみ部23aが左に配置される場合は搬出方向が第1方向DR1となる。
【0053】
第1通過センサ(用紙長検出部)41は、第1方向DR1または第2方向DR2に沿って搬送方向切替装置100と丁合機200との間を搬送される用紙束Bの進入方向の先端および後端の通過を検出するセンサである。第1通過センサ41は、第1速度設定部22が設定する第1の搬送速度と、用紙束Bの先端を検出してから用紙束Bの後端を検出するまでの時間から、用紙束Bの進入方向の長さを検出することができる。
【0054】
第2通過センサ(用紙長検出部)42は、第1方向DR1または第2方向DR2に沿って搬送方向切替装置100と搬送装置600との間を搬送される用紙束Bの進入方向の先端および後端の通過を検出するセンサである。第2通過センサ42は、第1速度設定部22が設定する第1の搬送速度と、用紙束Bの先端を検出してから用紙束Bの後端を検出するまでの時間から、用紙束Bの進入方向の長さを検出することができる。
【0055】
第3通過センサ(用紙長検出部)43は、第3方向DR3または第4方向DR4に沿って搬送方向切替装置100と搬送装置400との間を搬送される用紙束Bの進入方向の先端および後端の通過を検出するセンサである。第3通過センサ43は、第2速度設定部32が設定する第2の搬送速度と、用紙束Bの先端を検出してから用紙束Bの後端を検出するまでの時間から、用紙束Bの進入方向の長さを検出することができる。
【0056】
第4通過センサ(用紙長検出部)44は、第3方向DR3または第4方向DR4に沿って搬送方向切替装置100と搬送装置500との間を搬送される用紙束Bの進入方向の先端および後端の通過を検出するセンサである。第4通過センサ44は、第2速度設定部32が設定する第2の搬送速度と、用紙束Bの先端を検出してから用紙束Bの後端を検出するまでの時間から、用紙束Bの進入方向の長さを検出することができる。
【0057】
昇降機構50は、第1搬送部11に対して、第2搬送部12の高さ方向HDに沿って昇降させる機構である。図5に示すように、昇降機構50は、駆動ローラ12bを高さ方向HDに昇降させる第1昇降部51と、従動ローラ12cを高さ方向HDに昇降させる第2昇降部52と、を備える。
【0058】
図4および図5に示すように、昇降機構50が第2搬送部12を上昇させた状態(実線で示す状態)で、第2搬送部12の上端が第1搬送部11の上端よりも高さ方向HDの上方に配置される。この場合、用紙束Bの下面が第2搬送部12の搬送ベルト12aと接触し、用紙束Bが搬送ベルト12aによって第3方向DR3または第4方向DR4に沿って搬送される。
【0059】
また、図4および図5に示すように、昇降機構50が第2搬送部12を下降させた状態(点線で示す状態)で、第1搬送部11の上端が第2搬送部12の上端よりも高さ方向HDの上方に配置される。この場合、用紙束Bの下面が第1搬送部11の搬送ローラ11aと接触し、用紙束Bが搬送ローラ11aによって第1方向DR1または第2方向DR2に沿って搬送される。
【0060】
図9は、本発明の一実施形態に係る搬送方向切替装置100の制御構成を示すブロック図である。図9に示す制御部60は、第1方向DR1、第2方向DR2、第3方向DR3、または第4方向DR4のいずれか1つの進入方向から搬送機構10へ搬送される用紙束Bを、第1方向DR1、第2方向DR2、前記第3方向DR3、または第4方向DR4のいずれか1つの搬出方向へ搬出するよう搬送機構10を制御する装置である。
【0061】
制御部60は、コンピュータを有しており、例えば、CPUが実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための記憶装置(図示略)を備える。後述する各種機能を実現するための一連の処理は、プログラムの形式で記憶装置に記憶されている。制御部60は、プログラムをCPUが読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、記憶装置予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0062】
図9に示すように、制御部60は、ベルト制御部61と、ローラ制御部62と、昇降制御部63と、を有する。ベルト制御部61は、搬送ベルト12aを回転させる駆動ローラ12bを駆動するベルト駆動モータ12dを制御する。ローラ制御部62は、搬送ローラ11aを回転させるローラ駆動モータ11cを制御する。
【0063】
次に、本実施形態の搬送方向切替装置100の制御方法について図10から図12を参照して説明する。図10図11は、本実施形態に係る搬送方向切替装置100の制御方法を示すフローチャートである。図10図11に示す各処理は、搬送方向切替装置100の制御部60が制御プログラムを実行することにより実現される。図12は、搬送機構10と搬送機構10に搬送される用紙束Bを示す平面図である。
【0064】
ステップS101で、制御部60は、第1搬送部11の上端が第2搬送部12の上端よりも高さ方向HDの上方に配置されるよう、昇降機構50により搬送ベルト12aを下降させる。制御部60は、昇降制御部63を介して昇降モータ63aを制御し、搬送ベルト12aを下降させる。
【0065】
ステップS102で、制御部60は、用紙束Bの先端が第1通過センサ41,第2通過センサ42,第3通過センサ43,第4通過センサ44のいずれかを通過したかどうかを判断し、YESであればステップS103に処理を進め、NOであればステップS102の処理を繰り返す。制御部60は、用紙束Bの先端が第1通過センサ41,第2通過センサ42,第3通過センサ43,第4通過センサ44のいずれかを通過したタイミングT1を、用紙束Bを検出したセンサを特定する情報とともに記憶部(図示略)に記憶させる。
【0066】
ステップS103で、制御部60は、用紙束Bが第1方向DR1または第2方向DR2から搬送機構10に進入したかどうかを判断し、YESであればステップS104に処理を進め、NOであればステップS105に処理を進める。
ステップS104で、制御部60のローラ制御部62は、第1搬送部11の搬送ローラ11aの駆動を開始するようローラ駆動モータ11cを制御する。
【0067】
ステップS105で、制御部60は、制御部60のベルト制御部61は、第2搬送部12の搬送ベルト12aの駆動を開始するようベルト駆動モータ12dを制御する。
ステップS106で、制御部60は、第2搬送部12の上端が第1搬送部11の上端よりも高さ方向HDの上方に配置されるよう、昇降機構50により搬送ベルト12aを上昇させる。制御部60は、昇降制御部63を介して昇降モータ63aを制御し、搬送ベルト12aを上昇させる。搬送ベルト12aが上昇すると、用紙束Bが搬送ベルト12aにより搬送される状態となる。
【0068】
ステップS107で、制御部60は、用紙束Bの後端が第1通過センサ41,第2通過センサ42,第3通過センサ43,第4通過センサ44のいずれかを通過したかどうかを判断し、YESであればステップS108に処理を進め、NOであればステップS107の処理を繰り返す。制御部60は、用紙束Bの後端が第1通過センサ41,第2通過センサ42,第3通過センサ43,第4通過センサ44のいずれかを通過したタイミングT2を、用紙束Bを検出したセンサを特定する情報とともに記憶部(図示略)に記憶させる。
【0069】
ステップS108で、制御部60は、用紙束Bの進入方向(図12では第1方向DR1)の長さLbを式(1)により算出する。
Lb=Vb・(T2-T1) (1)
【0070】
ここで、Vbは、第1速度設定部22により設定される用紙束Bの第1方向DR1,第2方向DR2の搬送速度、または第2速度設定部32により設定される用紙束Bの第3方向DR3,第4方向DR4の搬送速度である。用紙束Bの進入方向が第1方向DR1,第2方向DR2のいずれかであれば、第1速度設定部22により搬送速度Vbが設定され、用紙束Bの進入方向が第3方向DR3,第4方向DR4のいずれかであれば、第2速度設定部32により搬送速度Vbが設定される。
【0071】
ステップS109で、制御部60は、搬送機構10が用紙束Bの搬送方向を進入方向(例えば、第1方向DR1)から搬出方向(例えば、第3方向DR3)へ切り替えるタイミングであるタイミングT2からの経過時間である切替時間Tcを式(2)により決定する。
Tc=(Lm-Lb)/Vb・Ra (2)
【0072】
図12に示すように、第1方向DR1を進入方向とし、第3方向DR3を搬出方向とした場合、Lmは第1通過センサ41から第2通過センサ42までの軸線X0に沿った機械長である。Raは、第1位置入力部21により設定される搬出方向に搬出される用紙束Bの進行方向の位置である。Raは、操作者により0%から100%の間の任意の値が入力される。図12は、操作者が第1位置入力部21に50%を入力した例である。この場合、用紙束Bの中心位置Pcが第1通過センサ41からLm/2の位置に配置されるタイミングが切替時間Tcとして決定される。
【0073】
図12に示すように、操作者が第1位置入力部21に0%を入力した場合は、用紙束Bの後端が第1通過センサ41からLb/2の距離を移動したタイミングが切替時間Tcとして決定される。また、操作者が第1位置入力部21に100%を入力した場合は、用紙束Bの先端が第1通過センサ41から(Lm-Lb/2)の距離を移動したタイミングが切替時間Tcとして決定される。これは、用紙束Bの進入方向の先端および後端が、機械長Lmの範囲に収まるようにするためである。
【0074】
ステップS110で、制御部60は、用紙束Bの後端が第1通過センサ41,第2通過センサ42,第3通過センサ43,第4通過センサ44のいずれかを通過してから切替時間Tcが経過して切替タイミングに到達したかどうかを判断し、YESであればステップS111に処理を進め、NOであればステップS110の処理を繰り返す。なお、進入方向と搬出方向とが同一方向である場合、制御部60は、ステップS110の処理を行わずにステップS111に処理を進める。
【0075】
ステップS111で、制御部60は、用紙束Bの搬出方向が第1方向DR1または第2方向DR2であるかどうかを判断し、YESであればステップS112に処理を進め、NOであればステップS114に処理を進める。制御部60は、第1方向入力部23により入力される第1の方向指示と第2方向入力部33により入力される第2の方向指示から、搬出方向が第1方向DR1または第2方向DR2であるかどうかを判断する。
【0076】
ステップS112で、制御部60は、制御部60のローラ制御部62は、第1搬送部11の搬送ローラ11aの駆動を開始するようローラ駆動モータ11cを制御する。制御部60は、進入方向が第1方向DR1または第2方向DR2であり、すでに搬送ローラ11aの駆動を開始している場合は搬送ローラ11aの駆動を継続する。
【0077】
ステップS113で、制御部60は、進入方向が第3方向DR3または第4方向DR4であり、ステップS106で昇降機構50により搬送ベルト12aを上昇させている場合、第2搬送部12の上端が第1搬送部11の上端よりも高さ方向HDの下方に配置されるよう、昇降機構50により搬送ベルト12aを下降させる。
【0078】
ステップS114で、制御部60は、制御部60のベルト制御部61は、第2搬送部12の搬送ベルト12aの駆動を開始するようベルト駆動モータ12dを制御する。制御部60は、進入方向が第3方向DR3または第4方向DR4であり、すでに搬送ベルト12aの駆動を開始している場合は搬送ベルト12aの駆動を継続する。
【0079】
ステップS115で、制御部60は、第2搬送部12の上端が第1搬送部11の上端よりも高さ方向HDの上方に配置されるよう、昇降機構50により搬送ベルト12aを上昇させる。制御部60は、昇降制御部63を介して昇降モータ63aを制御し、搬送ベルト12aを上昇させる。搬送ベルト12aが上昇すると、用紙束Bが搬送ベルト12aにより搬送される状態となる。
【0080】
進入方向が第1方向DR1であり搬出方向が第3方向DR3である場合、搬送ベルト12aが上昇すると、用紙束Bが搬送ローラ11aにより搬送される状態から、用紙束Bが搬送ベルト12aにより搬送される状態に切り替わる。このように、制御部60は、ステップS109で決定した切替タイミングで、用紙束Bの搬送方向を進入方向である第1方向DR1から搬出方向である第3方向DR3へ切り替えるよう搬送機構10を制御する。
【0081】
ステップS116で、制御部60は、用紙束Bの後端が第1通過センサ41,第2通過センサ42,第3通過センサ43,第4通過センサ44のいずれかを通過したかどうかを判断し、YESであればステップS117に処理を進め、NOであればステップS116の処理を繰り返す。
【0082】
ステップS117で、制御部60は、用紙束Bの後端が第1通過センサ41,第2通過センサ42,第3通過センサ43,第4通過センサ44のいずれかを通過したことに応じて、第1搬送部11の上端が第2搬送部12の上端よりも高さ方向HDの上方に配置されるよう、昇降機構50により搬送ベルト12aを下降させる。制御部60は、昇降制御部63を介して昇降モータ63aを制御し、搬送ベルト12aを下降させる。制御部60は、ステップS113で既に搬送ベルト12aが下降している場合には、搬送ベルト12aが下降した状態を維持するよう昇降機構50を制御する。
【0083】
ステップS118で、制御部60のローラ制御部62は、第1搬送部11の搬送ローラ11aの駆動を停止するようローラ駆動モータ11cを制御する。
ステップS119で、制御部60のベルト制御部61は、第2搬送部12の搬送ベルト12aの駆動を停止するようベルト駆動モータ12dを制御する。
【0084】
ステップS120で、制御部60は、用紙束Bの搬送動作を終了させる指示が入力されたかどうかを判断し、YESであれば本フローチャートの処理を終了させ、NOであればステップS102以降の処理を再び実行する。
【0085】
以上のように、本実施形態の制御部60は、用紙束Bの搬送方向切替装置100への進入方向と直交する搬出方向に用紙束Bを搬出する場合、第1操作部20および第2操作部40に入力された操作者からの調整指示に応じた進入方向の位置に用紙束Bが到達したことに応じて用紙束Bの搬送方向を搬出方向へ切り替えるよう搬送機構10を制御する。制御部60は、第1通過センサ41、第2通過センサ42、第3通過センサ43、または第4通過センサ44が検出した用紙束Bの進入方向の長さ、および第1速度設定部22、第2速度設定部32が設定する搬送速度に応じて、搬送機構10が用紙束Bの搬送方向を進入方向から搬出方向へ切り替えるタイミングを決定する。
【0086】
以上で説明した本実施形態の搬送方向切替装置100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の搬送方向切替装置100によれば、制御部60は、軸線X0に沿う第1方向DR1、第1方向DR1と反対の第2方向DR2、軸線X0と交差する軸線Y0に沿う第3方向DR3、または第3方向DR3と反対の第4方向DR4のいずれか1つの進入方向から搬送機構10へ搬送される用紙束Bを、第1方向DR1、第2方向DR2、第3方向DR3、または第4方向DR4のいずれか1つの搬出方向へ搬出するよう搬送機構10を制御する。
【0087】
また、本実施形態の搬送方向切替装置100によれば、制御部60は、搬出方向に用紙束Bを搬出する場合、第1位置入力部21および第2位置入力部31に入力された調整指示に応じた進入方向の位置に用紙束Bが到達したことに応じて用紙束Bの搬送方向を搬出方向へ切り替える。そのため、搬送方向切替装置100から搬出される用紙束Bの搬出方向に交差する方向の位置を、操作者が所望の位置に適切に調整することができる。
【0088】
また、本実施形態の搬送方向切替装置100によれば、進入方向の用紙束Bの長さおよび第1速度設定部22および第2速度設定部32が設定する進入方向に沿った用紙束Bの搬送速度に応じて、搬送機構10が用紙束Bの搬送方向を進入方向から搬出方向へ切り替えるタイミングが決定される。進入方向に搬送される用紙束Bの長さの変更や、第1速度設定部22および第2速度設定部32が設定する搬送速度の変更があっても、用紙束Bの長さや搬送速度に応じたタイミングで用紙束Bの搬送方向が進入方向から搬出方向へ切り替わり、操作者が第1位置入力部21および第2位置入力部31に入力した調整指示に応じた進入方向の位置で用紙束Bの搬送方向を進入方向から搬出方向へ切り替えることができる。
【0089】
また、本実施形態の搬送方向切替装置100によれば、操作者から第1位置入力部21に入力される第1の調整指示により、第1方向DR1または第2方向DR2に沿って搬送機構10に進入する用紙束Bが第3方向DR3または第4方向DR4に搬出される位置を調整し、操作者から第2位置入力部31に入力される第2の調整指示により、第3方向DR3または第4方向DR4に沿って搬送機構10に進入する用紙束Bが第1方向DR1または第2方向DR2に搬出される位置を調整することができる。
【0090】
また、本実施形態の搬送方向切替装置100によれば、第1速度設定部が第1方向DR1または第2方向DR2に沿って第1搬送部11が用紙束Bを搬送する第1の搬送速度を設定し、第2速度設定部32が第3方向DR3または第4方向DR4に沿って第2搬送部12が用紙束Bを搬送する第2の搬送速度を設定することができる。
【0091】
また、本実施形態の搬送方向切替装置100によれば、操作者は、第3方向DR3または第4方向DR4に沿って搬送機構10に進入する用紙束Bの搬出方向を決定するための第1の方向指示を第1方向入力部23を介して入力し、第1方向DR1または第2方向DR2に沿って搬送機構10に進入する用紙の搬出方向を決定するための第2の方向指示を第2方向入力部33を介して入力することができる。
【0092】
また、本実施形態の搬送方向切替装置100によれば、第1つまみ部23aを第1方向DR1側へ回転させることにより第1の方向指示を入力し、第1つまみ部23aを第2方向DR2側へ回転させることにより第1の方向指示を入力し、第2つまみ部33aを第3方向DR3側へ回転させることにより第2の方向指示を入力し、第2つまみ部33aを第4方向DR4側へ回転させることにより第2の方向指示を入力することができる。第1つまみ部23aと第2つまみ部33aを回転させる方向と用紙束Bが搬出される方向とが一致するため、操作者は、用紙束Bが搬出される方向を第1つまみ部23aおよび第2つまみ部33aを介して直観的に入力することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 製本システム
10 搬送機構
11 第1搬送部
11a 搬送ローラ(第1搬送部材)
12 第2搬送部
12a 搬送ベルト(第2搬送部材)
20 第1操作部
21 第1位置入力部
22 第1速度設定部
23 第1方向入力部
23a 第1つまみ部
30 第2操作部
31 第2位置入力部
32 第2速度設定部
33 第2方向入力部
33a 第2つまみ部
40 第2操作部
41 第1通過センサ
42 第2通過センサ
43 第3通過センサ
44 第4通過センサ
50 昇降機構
51 第1昇降部
52 第2昇降部
60 制御部
61 ベルト制御部
62 ローラ制御部
63 昇降制御部
63a 昇降モータ
100 搬送方向切替装置
200 丁合機
300 製本機
400,500,600 搬送装置
DR1 第1方向
DR2 第2方向
DR3 第3方向
DR4 第4方向
HD 高さ方向
Lm 機械長
Pc 中心位置
X0 軸線(第1軸線)
Y0 軸線(第2軸線)
図1
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図12