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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134094
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240926BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240926BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G03G21/00 398
B41J29/38 104
H04N1/00 885
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044201
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小川 陽平
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB10
2C061CG02
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061HH11
2C061HJ10
2C061HK02
2C061HK19
2C061HK21
2C061HT03
2H270KA46
2H270KA59
2H270LA29
2H270LA97
2H270LB04
2H270LB10
2H270MD02
2H270MD25
2H270MD26
2H270MD27
2H270ME01
2H270ME02
2H270MF16
2H270MG03
2H270MH18
2H270PA56
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
2H270ZD06
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】動作モードの移行を適切に行い得るようにする。
【解決手段】画像形成装置2は、受信した印刷データ40に含まれる属性データ42により表される属性ごとに、過去の受信日時Tを基に平均受信間隔TAを算出し、これを基に移行待機時間TWを算出し、さらに該移行待機時間TWを用いて算出した移行予定時刻TCになった時点で、動作モードを省電力モードに移行させる。このため画像形成装置2は、印刷データ40の受信後に、標準移行待機時間TWSに関わらず、当該印刷データ40と対応する属性の移行待機時間TWが経過した時点で省電力モードに移行できる。これにより画像形成装置2は、次の印刷データ40を受信する可能性が極めて低くなる前の適切なタイミングで省電力モードに移行できるため、短時間での印刷処理の完了と消費電力の低減とを良好に両立させることができる。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
属性情報を含むデータを受信する受信部と、
時刻を計測する計時部と、
動作モードとして、受信した前記データに基づいた処理を実行可能な処理可能モードと、消費電力を低減させ当該処理の実行までに時間を要する省電力モードとを有し、前記処理可能モードで前記処理を行う処理部と、
前記属性情報と対応付けて、前記データを受信した時刻又は当該時刻と関連する時刻である受信時刻を記憶部に記憶させる受信時刻管理部と、
前記属性情報ごとに、前記記憶部に記憶した前記受信時刻を基に、前記処理部の前記動作モードを前記処理可能モードから前記省電力モードに移行するまでの移行待機時間を算出する移行待機時間算出部と、
前記受信部により前記データを受信した後、他の前記移行待機時間の変更を促す前記データを受信すること無く、当該データの前記属性情報と対応する前記移行待機時間が経過した場合、前記処理部を前記処理可能モードから前記省電力モードに移行させる動作モード制御部と
を具えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記移行待機時間算出部は、前記属性情報ごとに、前記受信時刻の間隔である受信間隔を算出し、当該受信間隔に関する統計を利用した演算処理の結果を基に前記移行待機時間を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移行待機時間算出部は、前記属性情報ごとに、前記受信間隔の統計値に関する確率密度関数を積分した累積分布関数が所定値になる時間を前記移行待機時間とする
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受信部により前記データを最後に受信した時刻である最終受信時刻に対し、当該データの前記属性情報と対応する前記移行待機時間を加算した加算時刻を移行予定時刻として算出する移行予定時刻算出部
をさらに具え、
前記動作モード制御部は、最後の前記最終受信時刻から前記移行予定時刻までの間に他の前記データを受信しなかった場合、前記処理部を前記処理可能モードから前記省電力モードに移行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移行待機時間算出部は、前記属性情報ごとの前記データを受信した回数が所定の算出下限値未満であった場合、前記最終受信時刻に対し、予め設定された標準移行待機時間を加算することにより前記移行予定時刻を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記移行待機時間算出部は、前記移行予定時刻が既に設定されている場合、当該前記移行予定時刻に対し、前記加算時刻が早ければ当該加算時刻を新たな前記移行予定時刻とし、前記加算時刻が遅ければ当該移行予定時刻を維持する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記受信部は、前記属性情報を含む前記データに加えて前記属性情報を含まない前記データを受信し、
前記移行予定時刻算出部は、前記属性情報を含まない前記データを最後に受信した場合、前記最終受信時刻に対し、予め設定された標準移行待機時間を加算することにより前記移行予定時刻を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記移行待機時間算出部は、前記属性情報ごとの前記受信時刻の間隔である受信間隔が所定の上限時間以上であった場合、当該受信間隔を前記移行待機時間の算出から除外する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、媒体に画像を形成する画像形成部であり、
前記データは、前記画像を含む印刷データであり、
前記属性情報は、前記画像に関する、種類及び用途の少なくとも一方を表す情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
属性情報を含むデータを受信する受信ステップと、
前記データを受信した時刻を計時部により計測する計時ステップと、
動作モードとして、受信した前記データに基づいた処理を実行可能な処理可能モードと、消費電力を低減させ当該処理の実行までに時間を要する省電力モードとを有する処理部により、前記処理可能モードで前記処理を行う処理ステップと、
前記属性情報と対応付けて、前記データを受信した時刻又は当該時刻と関連する時刻である受信時刻を記憶部に記憶させる受信時刻記憶ステップと、
前記属性情報ごとに、前記記憶部に記憶した前記受信時刻を基に、前記処理部の前記動作モードを前記処理可能モードから前記省電力モードに移行するまでの移行待機時間を算出する移行待機時間算出ステップと、
前記受信ステップにより前記データを受信した後、他の前記移行待機時間の変更を促す前記データを受信すること無く、当該データの前記属性情報と対応する前記移行待機時間が経過した場合、前記処理部を前記処理可能モードから前記省電力モードに移行させる動作モード制御ステップと
を具えることを特徴とする情報処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及び情報処理方法に関し、例えば電子写真式の画像形成装置(いわゆるプリンタ)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、例えば露光処理等を行う画像形成部によりトナーを用いてトナー画像を生成し、これを用紙に転写した後、定着部によって定着させることにより、画像を印刷するもの、すなわち印刷処理を行うものが広く普及している。
【0003】
このうち画像形成部では、トナー画像の形成や転写等を行う際に、各部に高電圧を印加する必要がある。また定着部では、用紙に熱及び圧力を加えるため、ヒータ等によりローラ等を高温に加熱する必要がある。すなわち画像形成装置では、印刷処理を行う際に比較的大きい電力を消費する。
【0004】
そこで多くの画像形成装置では、印刷処理を行わない場合に動作モードを省電力モード(スリープモードや節電モード等とも呼ばれる)に移行し、画像形成部や定着部等の一部分における動作を停止させることにより、省電力化を図っている。しかし画像形成装置では、省電力モードから印刷処理を行う通常動作モードに移行する(復帰する)際に、各部の温度の上昇や初期化処理等に時間を要するため、印刷データを受信してから印刷処理を完了するまでに多くの時間がかかり、ユーザを待たせることになる。
【0005】
このため画像形成装置では、最後に印刷データを受信した時点や最後に印刷処理を行った時点から、省電力モードに移行するまでの時間(以下これを移行待機時間と呼ぶ)を適切に設定することが望ましい。しかし、適切な移行待機時間は、画像形成装置が使用される環境により異なると予想される。そこで画像形成装置として、1日を複数の時間帯に分割し、設置後の所定期間(例えば3日間)における時間帯ごとの印刷回数を基に、移行待機時間を設定するものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-30325号公報(図6等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし画像形成装置では、使用される環境によっては、時間帯ごとにおける印刷処理の回数等が毎日同様ではないことがあり、このような手法により設定された移行待機時間が必ずしも適切では無い場合がある、という問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、動作モードの移行を適切に行い得る情報処理装置及び情報処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の情報処理装置においては、属性情報を含むデータを受信する受信部と、時刻を計測する計時部と、動作モードとして、受信したデータに基づいた処理を実行可能な処理可能モードと、消費電力を低減させ当該処理の実行までに時間を要する省電力モードとを有し、処理可能モードで処理を行う処理部と、属性情報と対応付けて、データを受信した時刻又は当該時刻と関連する時刻である受信時刻を記憶部に記憶させる受信時刻管理部と、属性情報ごとに、記憶部に記憶した受信時刻を基に、処理部の動作モードを処理可能モードから省電力モードに移行するまでの移行待機時間を算出する移行待機時間算出部と、受信部によりデータを受信した後、他の移行待機時間の変更を促すデータを受信すること無く、当該データの属性情報と対応する移行待機時間が経過した場合、処理部を処理可能モードから省電力モードに移行させる動作モード制御部とを設けるようにした。
【0010】
また本発明の情報処理方法においては、属性情報を含むデータを受信する受信ステップと、データを受信した時刻を計時部により計測する計時ステップと、動作モードとして、受信したデータに基づいた処理を実行可能な処理可能モードと、消費電力を低減させ当該処理の実行までに時間を要する省電力モードとを有する処理部により、処理可能モードで処理を行う処理ステップと、属性情報と対応付けて、データを受信した時刻又は当該時刻と関連する時刻である受信時刻を記憶部に記憶させる受信時刻記憶ステップと、属性情報ごとに、記憶部に記憶した受信時刻を基に、処理部の動作モードを処理可能モードから省電力モードに移行するまでの移行待機時間を算出する移行待機時間算出ステップと、受信ステップによりデータを受信した後、他の移行待機時間の変更を促すデータを受信すること無く、当該データの属性情報と対応する移行待機時間が経過した場合、処理部を処理可能モードから省電力モードに移行させる動作モード制御ステップとを有するようにした。
【0011】
本発明は、データに含まれる属性情報が表す属性ごとに、受信時刻に基づいた移行待機時間を算出しておき、最後に該データを受信してから該データの属性情報と対応する移行待機時間の経過後に、処理部の動作モードを省電力モードに移行させることができる。このため本発明は、属性ごとにデータを受信する間隔が異なる傾向がある場合に、その属性の移行待機時間が経過した適切なタイミングで動作モードを省電力モードに切り替えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、動作モードの移行を適切に行い得る情報処理装置及び情報処理方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態による画像形成システムの構成を示す略線的ブロック図である。
図2】画像形成装置の機能構成を示す略線的ブロック図である。
図3】印刷データの構成を示す略線図である。
図4】属性テーブルの構成を示す略線図である。
図5】確率密度関数及び累積分布関数を示す略線図である。
図6】動作モード管理処理手順を示すフローチャートである。
図7】受信日時記録処理手順を示すフローチャートである。
図8】移行予定時刻更新処理手順を示すフローチャートである。
図9】平均受信間隔算出処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、本実施の形態による画像形成システム1は、画像形成装置2及び端末装置3がネットワーク4を介して接続された構成となっている。なお、画像形成システム1では、複数の端末装置3がネットワーク4に接続されているものの、作図の都合上、図1には該端末装置3を1台のみ表示している。
【0016】
この画像形成システム1は、例えば学校の教室に設置されている。各端末装置3は、例えば学校の教師や生徒等によりそれぞれ使用される。また画像形成装置2は、この教師や生徒により共有されている。
【0017】
情報処理装置としての画像形成装置2は、電子写真方式のカラープリンタであり、用紙に対してモノクロ又はカラーの画像を形成すること、すなわち印刷することができる。因みに画像形成装置2は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、印刷機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0018】
この画像形成装置2は、全体を統括する制御部11を中心に構成されており、記憶部12、通信部13、計時部14、表示操作部15、印刷部16及び電源制御部17等が接続されている。また制御部11は、その内部に各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)21、各種情報が予め記憶されたROM(Read Only Memory)22、及び各種情報を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)23等を有している。この制御部11は、RAM23をワークエリアとして使用しながら、ROM22や記憶部12等から読み出した各種プログラムをCPU21によって実行することにより、様々な処理を行う。
【0019】
記憶部12は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。通信部13は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3(IEEE802.3u/ab/an/ae)等の規格に準拠した有線LANのインタフェース等を有している。この通信部13は、ネットワーク4と接続されており、該ネットワーク4を介して、端末装置3との間で種々の情報を送受信する。
【0020】
計時部14は、図示しない時計回路を有しており、現在の日時を保持及び随時更新している。また計時部14は、制御部11からの要求に応じて、現在の日時を表す日時情報を供給する。表示操作部15は、例えば液晶パネルとタッチセンサとが組み合わされたタッチパネルとして構成されている。この表示操作部15は、制御部11の制御に基づいて種々の情報を表示し、またユーザからの操作入力を受け付けて該制御部11に通知する。
【0021】
印刷部16は、例えば用紙を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構、LED(Light Emitting Diode)等の光を利用した露光処理を行い各色のトナーを使用してトナー画像を形成する画像形成部、該トナー画像を用紙に定着させる定着部等(何れも図示せず)を有している。この印刷部16は、制御部11の制御に基づき、画像データに基づいた画像を用紙に形成する(すなわち印刷する)印刷処理を行う。
【0022】
電源制御部17は、制御部11において管理される動作モード(詳しくは後述する)に応じて、印刷部16の各部に供給する電源に関する制御を行う。具体的に電源制御部17は、例えば画像形成部に設けられた複数のローラ等にそれぞれ印加する高電圧の供給に関する制御や、定着部に設けられた加熱ローラのヒータに供給する電力に関する制御等を行う。
【0023】
また制御部11は、記憶部12から所定のプログラムを読み出して実行することにより、図2に示すように、受信日時管理部31、平均受信間隔算出部32、移行待機時間算出部33、移行予定時刻算出部34、移行予定時刻保持部35及び動作モード制御部36といった複数の機能ブロックを形成する。各機能ブロックの機能については後述する。
【0024】
端末装置3は、例えばデスクトップ型やノートブック型、或いはタブレット型等のコンピュータ装置である。この端末装置3は、所定のオペレーティングシステムの他、例えば文書作成や表計算等のような各種アプリケーションや、画像形成装置2による印刷処理を実行するためのプリンタドライバ等が用意されており、ユーザの操作指示を基に、これらを適宜実行することができる。
【0025】
この端末装置3は、例えばユーザの操作に基づき、文書作成等のアプリケーションにおいて文書を印刷する操作指示を受け付けた場合、プリンタドライバを実行することにより、当該文書を印刷するための印刷データを作成し、これを画像形成装置2へ送信する。
【0026】
ネットワーク4は、例えば図示しないルータやハブ、或いは基地局やLAN(Local Area Network)ケーブル等の各種ネットワーク機器により、有線LANや無線LAN等を適宜組み合わせた構成となっており、接続された各機器の間で種々の情報を伝達する。
【0027】
このような構成により、画像形成システム1では、ユーザの操作に基づき、端末装置3において印刷データを生成し、この印刷データをネットワーク4によって画像形成装置2へ送信すると、該画像形成装置2において当該印刷データに基づいた画像を印刷することができる。
【0028】
また画像形成装置2は、動作モードとして、印刷可能モードと省電力モードとを切り替え得るようになっている。このうち印刷可能モードは、印刷部16の各部に電力を供給しており、消費電力が比較的大きいものの直ちに印刷処理を開始可能な動作モードである。以下では、この印刷可能モードを処理可能モードとも呼ぶ。
【0029】
一方、省電力モードは、スリープモードとも呼ばれており、印刷部16における一部分の動作を停止させて消費電力を低減させた動作モードである。画像形成装置2は、この省電力モードにおいて新たな印刷データを受信した場合、動作モードを印刷可能モードに切り替え、印刷部16の各部に電力を供給して印刷可能な状態としてから印刷処理を実行する。このため画像形成装置2は、動作モードが省電力モードであった場合、印刷データを受信してから印刷処理を完了するまでの所要時間が、印刷可能モードであった場合よりも長くなる。
【0030】
[2.印刷データの属性情報及び各種情報の管理]
次に、端末装置3から画像形成装置2へ送信される印刷データについて説明する。図3に模式図を示すように、印刷データ40には、画像データ41及び属性データ42が含まれている。このうち画像データ41は、例えば文書における文字列、或いは装飾に用いられる図形や埋め込まれた写真等、用紙に画像として印刷すべき内容を表す部分であり、所定の印刷言語を用いた記述等により構成される。
【0031】
属性情報としての属性データ42は、印刷データ40の属性を表す情報である。この属性は、例えば印刷すべき画像を作成したアプリケーションの種類(文書作成、表計算、画像描画等)、或いは授業の教科や回数、或いは提出用の課題やレポートである旨など、当該印刷データ40の種類や用途を表す種々の情報により構成される。
【0032】
この属性データ42は、端末装置3において実行されるプリンタドライバにより、印刷データ40に埋め込まれる。プリンタドライバは、例えば端末装置3において授業の内容に応じた説明や画像等を表示する所定のアプリケーションが実行されている場合に、当該アプリケーションから授業の科目や回数等の情報を取得し、属性データ42に組み込むことができる。またプリンタドライバは、例えば端末装置3を使用するユーザが生徒であり、印刷しようとしている文書等について、提出用のレポートや課題である旨が当該ユーザにより設定された場合に、提出用のレポートや課題であることを表す情報を属性データ42に組み込むことができる。さらに端末装置3は、各アプリケーションが実行されている状況やユーザの操作内容等によっては、属性データ42を含まない印刷データ40を生成する場合がある。
【0033】
一方、画像形成装置2の制御部11は、この印刷データ40を受信した場合、該印刷データ40に含まれる画像データ41に基づいた印刷処理を行うと共に、属性データ42に含まれている属性に関する情報を管理するようになっている。
【0034】
具体的に制御部11は、機能ブロックとして形成した受信日時管理部31(図2)により、図4に示す属性テーブルTBL1を用いて、属性に関する情報を管理している。この属性テーブルTBL1は、1個の行が1個の属性と対応しており、また属性を表す属性欄の他に、平均受信間隔欄、移行待機時間欄及び受信日時欄がそれぞれ設けられている。
【0035】
受信時刻管理部としての受信日時管理部31は、属性データ42に含まれている属性に関する情報に対し、当該属性を表す属性ラベルを対応付けており、当該属性ラベルを属性テーブルTBL1の属性欄に格納している。この属性ラベルは、図4に示したように、例えば英文字2桁及び数字4桁の結合等、所定の表記方法に従った一意の文字列として表されている。
【0036】
受信日時欄は、通信部13(図1)により受信した印刷データ40に属性データ42が含まれていた場合に、その属性を表す属性ラベルと対応付けて当該印刷データ40の受信日時を記録する欄である。この受信日時欄には、各属性について、50個分の配列として構成された受信日時配列RDT[0]~RDT[49]が設けられている。この受信日時配列RDTは、FIFO(First In First Out)方式で日時(すなわち日付及び時刻)を表す情報を、受信した日時の順序を保ったまま格納するようになっている。
【0037】
例えば受信日時管理部31は、ある属性において、1番目の印刷データ40を受信した場合、この受信した日時(以下これを第1受信日時と呼ぶ)を受信日時配列RDT[0]に格納する。その後、受信日時管理部31は、当該属性において、2番目の印刷データ40を受信した場合、第1受信日時を受信日時配列RDT[0]から隣の受信日時配列RDT[1]に移動させると共に、2番目の印刷データを受信した日時(以下これを第2受信日時と呼ぶ)を受信日時配列RDT[0]に格納する。
【0038】
すなわち受信日時管理部31は、新たな印刷データ40を受信する度に、属性データ42が含まれていれば、当該印刷データ40と対応する属性に関し、受信日時配列RDTの配列において既存の受信日時を1箇所ずつ繰り下げるように移動させ、最新且つ最後の受信日時を受信日時配列RDT[0]に格納する。因みに受信日時管理部31は、受信日時配列RDT[49]にまで受信日時が格納されていた状態で新たな印刷データを受信した場合、当該受信日時配列RDT[49]に格納されていた日時、すなわち最も古い日時を削除する。
【0039】
このようにして、属性テーブルTBL1の受信日時欄には、属性ごとに、印刷データ40の受信日時(以下これを受信時刻とも呼ぶ)が最大50個まで格納され、且つ受信日時配列RDT[0]に最新の受信日時(以下これを最終受信時刻とも呼ぶ)が格納されることになる。
【0040】
また属性テーブルTBL1の平均受信間隔欄には、各属性における平均受信間隔TA[分]が格納される。この平均受信間隔TAは、各属性において、受信日時欄に2個以上の受信日時が格納されている場合に、最も古い受信日時を除いた各受信日時について、直前の受信日時との間隔である受信間隔TIをそれぞれ算出し、当該受信間隔TIの平均値を算出したものである。
【0041】
平均受信間隔算出部32は、属性データ42を含む印刷データ40を受信し、当該属性データ42と対応する属性について受信日時欄の内容がそれぞれ更新されると、新たな平均受信間隔TAを算出するようになっている。
【0042】
具体的に平均受信間隔算出部32は、受信日時欄の各受信日時と、その直前の受信日時との差分である受信間隔TIをそれぞれ算出する。次に平均受信間隔算出部32は、算出した各受信間隔TIの平均値を算出し、これを新たな平均受信間隔TAとして、属性テーブルTBL1の平均受信間隔欄に格納する。
【0043】
ただし平均受信間隔算出部32は、平均受信間隔TAを算出する際、算出した受信間隔TIのうち所定の閾値(例えば30分間、以下これを上限受信間隔とも呼ぶ)以下のものを用いて平均値を算出するようになっている。これにより平均受信間隔算出部32は、後述する移行待機時間が過剰に長くなることを回避している。
【0044】
さらに属性テーブルTBL1の移行待機時間欄には、各属性の移行待機時間TW[分]が格納される。この移行待機時間TWは、当該属性の印刷データを最後に受信した後、印刷可能モードからスリープモードに移行するまで待機すべき時間を表しており、属性ごとの平均受信間隔TAを基に、確率や分布等の統計的な演算処理を利用して算出される。
【0045】
以下では、この移行待機時間TW[分]の算出方法について説明する。上述した平均受信間隔TAは、画像形成装置2が印刷データを受信する平均的な時間間隔を表している。このため、画像形成装置2が1分間に受信する印刷データの平均的な数を平均受信回数λとすると、この平均受信回数λと平均受信間隔TAとの間には、次の(1)式の関係が成り立つ。
【0046】
【数1】
【0047】
ここで、画像形成装置2の平均受信間隔TAが指数分布に従うものと仮定する。この場合、時間tを変数とした確率密度関数p(t)は、次の(2)式のように表すことができる。また、例えば平均受信間隔TAを3[分]と仮定し、この確率密度関数p(t)をグラフとして表した場合、図5(A)に示すような曲線となる。
【0048】
【数2】
【0049】
今度は、(3)式に示すように、この確率密度関数p(t)を、時間0の時点から任意の時間Teまでの範囲において時間tについて積分すると、累積分布関数P(t)を得ることができる。また、確率密度関数p(t)の場合と同様に平均受信間隔TAを3[分]と仮定して、この累積分布関数P(t)をグラフとして表した場合、図5(B)に示すような曲線となる。
【0050】
【数3】
【0051】
この累積分布関数P(t)は、画像形成装置2がある印刷データを受信してから次の印刷データを受信するまでの受信間隔が時間tとなる期待値を表している。すなわち、この累積分布関数P(t)を用い、さらに任意の所定値を期待値として設定した場合、当該期待値が得られるような時間tを特定することができる。例えば、図5(B)において、期待値が0.8となるような時間である受信間隔TIは、5[分]となる。期待値における0.8という値は、比較的高い値であり、十分に高い確率と見なし得るような値である。
【0052】
そこで画像形成装置2は、属性ごとに、平均受信間隔TAを基に累積分布関数P(t)を求め、この累積分布関数P(t)が値0.8になるような時間tを特定して移行待機時間TWとするようになっている。また画像形成装置2は、印刷データを最後に受信した時刻にこの移行待機時間TWを加算することにより、動作モードを印刷可能モードからスリープモードに移行する予定の時刻である移行予定時刻TCを算出し、これを保持する。そのうえで画像形成装置2は、この移行予定時刻TCまでの間に新たな印刷データを受信しなければ、動作モードをスリープモードに移行させるようになっている。
【0053】
[3.動作モード管理処理手順]
次に、画像形成装置2において、印刷データを基に印刷処理を行うと共に、移行待機時間TWを算出し移行予定時刻TCを更新して動作モードを移行する動作モード管理処理について、図6図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0054】
画像形成装置2の制御部11は、電源が投入されると、所定の初期化処理等を行うことにより、動作モードを印刷可能モードとし、新たな印刷データ40を受信し得る状態となる(以下、これらの処理を起動処理とも呼ぶ)。また制御部11は、動作モードを印刷可能モードから省電力モードに移行させるまでの標準的な移行待機時間TWである標準移行待機時間TWS(例えば10分間)を予め記憶部12に記憶させている。これに加えて制御部11は、起動処理を完了した時刻から標準移行待機時間TWSだけ後の時刻を最初の移行予定時刻TCとして設定し、これを移行予定時刻保持部35(図2)に保持させている。
【0055】
因みに制御部11は、仮に印刷データ40を受信することなく移行予定時刻TCになった場合、動作モード制御部36(図2)によって電源制御部17を制御し、動作モードを印刷可能モードから省電力モードに切り替えさせるようになっている。
【0056】
その後、制御部11は、通信部13(図1)及びネットワーク4を介して端末装置3から印刷データ40(図3)を受信すると、記憶部12から動作モード管理処理プログラムを読み出して実行することにより、図2に示した各機能ブロックを内部に形成する。また制御部11は、図6に示す動作モード管理処理手順RT1を開始し、最初のステップSP1に移る。
【0057】
ステップSP1において制御部11は、受信した印刷データ40を記憶部12(図1)に記憶させると共に、該印刷データ40を受信した日時を表す日時情報を計時部14から取得して該記憶部12に記憶させ、次のステップSP2に移る。
【0058】
ステップSP2において制御部11は、移行予定時刻算出部34(図2)により、印刷データ40を受信した日時から標準移行待機時間TWSだけ後の時刻を新たな移行予定時刻TCとして更新し、これを移行予定時刻保持部35(図2)に保持させてから、次のステップSP3に移る。
【0059】
ステップSP3において制御部11は、受信した印刷データ40に属性データ42が含まれているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは当該属性データ42に基づいた種々の処理を行い得ることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP4に移る。
【0060】
ステップSP4において制御部11は、印刷データ40を受信した日時である受信日時を、その属性に応じて属性テーブルTBL1(図4)に記録するための受信日時記録処理を行う。具体的に制御部11は、図7に示す受信日時記録処理手順RT2をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP21に移る。
【0061】
ステップSP21において制御部11は、受信日時管理部31(図2)により、記憶部12に記憶されている印刷データ40から属性データ42を読み出し、次のステップSP22に移る。以下では、該属性データ42に含まれる属性を着目属性と呼ぶ。
【0062】
ステップSP22において制御部11は、受信日時管理部31により、属性テーブルTBL1(図4)の属性欄に、に、着目属性と対応する属性ラベルが格納されているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは着目属性の属性データ42が付与された印刷データ40を過去に1回以上受信しており、そのときの受信日時が属性テーブルTBL1に格納されていることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP23に移る。
【0063】
ステップSP23において制御部11は、受信日時管理部31により、属性テーブルTBL1(図4)における着目属性の受信日時欄において、既存の受信日時を1箇所ずつ繰り下げ(すなわち図4における右隣の欄へ順次移動させ)、次のステップSP25に移る。因みに受信日時管理部31は、このとき受信日時配列RDT[49]に最も古い受信日時が格納されていた場合、これを削除する。これにより、属性テーブルTBL1における着目属性の受信日時欄は、最も新しい受信日時を格納すべき欄である受信日時配列RDT[0]の欄が空欄となる。
【0064】
一方、ステップSP22において否定結果が得られると、このことは着目属性の属性データ42が付与された印刷データ40を過去に受信しておらず、当該着目属性に関する受信日時が属性テーブルTBL1に格納されていないことを表している。このとき制御部11は、次のステップSP24に移る。
【0065】
ステップSP24において制御部11は、受信日時管理部31により、属性テーブルTBL1における属性欄に、着目属性を表す属性ラベルを追加し、次のステップSP25に移る。因みに属性テーブルTBL1では、着目属性に対応する属性欄以外の各欄が、何れも空欄となっている。
【0066】
ステップSP25において制御部11は、受信日時管理部31により、属性テーブルTBL1における着目属性の受信日時配列RDT[0]に、印刷データ40の受信日時を格納し、次のステップSP26に移る。ステップSP26において制御部11は、受信日時記録処理手順RT2を終了し、元の動作モード管理処理手順RT1(図6)のステップSP4に戻り、その次のステップSP5に移る。
【0067】
ステップSP5において制御部11は、着目属性の移行待機時間TWを算出すると共に新たな移行予定時刻TCに更新する移行予定時刻更新処理を行う。具体的に制御部11は、図8に示す移行予定時刻更新処理手順RT3をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP31に移る。
【0068】
ステップSP31において制御部11は、属性テーブルTBL1に格納されている着目属性の受信日時の数が所定の算出下限値(例えば5個)以上であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは後に着目属性の各受信日時を基に平均受信間隔TAを算出した場合に、その値が極端に大きい値や極端に小さい値となる可能性が低く、信頼性の高い平均受信間隔TAが得られることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP32に移る。
【0069】
ステップSP32において制御部11は、着目属性について格納された各受信日時を基に平均受信間隔TAを算出する平均受信間隔算出処理を行う。具体的に制御部11は、図9に示す平均受信間隔算出処理手順RT4をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP41に移る。
【0070】
ステップSP41において制御部11は、平均受信間隔算出部32(図2)により、受信間隔数NT及び配列変数jをそれぞれ値「0」に初期化し、次のステップSP42に移る。このうち受信間隔数NTは、後述する処理において算出した受信間隔TIの数を計数するための変数である。また配列変数jは、属性テーブルTBL1の受信日時欄において着目すべき受信日時配列RDTの番号を表す変数である。
【0071】
ステップSP42において制御部11は、平均受信間隔算出部32により、属性テーブルTBL1における着目属性の受信日時欄において、受信日時配列RDT[j]及びRDT[j+1]から受信日時T(j)及びT(j+1)を読み出し、次のステップSP43に移る。例えば平均受信間隔算出部32は、配列変数jが値「0」であれば、受信日時配列RDT[0]及びRDT[1]から受信日時T(0)及びT(1)をそれぞれ読み出す。ステップSP43において制御部11は、平均受信間隔算出部32により、受信日時T(j)及び受信日時T(j+1)の差分を算出し、その値を経過時間TPとして、次のステップSP44に移る。
【0072】
ステップSP44において制御部11は、平均受信間隔算出部32により、経過時間TPが所定の上限時間TDmax以下であるか否かを判定する。ここで上限時間TDmaxは、平均受信間隔TAの算出に利用すべき経過時間TPの上限値を表す値であり、例えば30分間等に予め設定されている。このステップSP44において肯定結果が得られると、このことは経過時間TPが上限時間TDmax以下であり、平均受信間隔TAの算出に利用すべきであることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP45に移る。
【0073】
ステップSP45において制御部11は、平均受信間隔算出部32により、経過時間TPを1個の受信間隔TIとして採用し、記憶部12(図2)に記憶させ、次のステップSP46に移る。ステップSP46において制御部11は、平均受信間隔算出部32により、受信間隔数NTに値「1」を加算することにより該受信間隔数NTを更新し、次のステップSP47に移る。
【0074】
一方、ステップSP44において否定結果が得られると、このことは経過時間TPが上限時間TDmaxよりも大きく、平均受信間隔TAの算出に利用すべきで無いことを表している。このとき制御部11は、この経過時間TPを記憶させること無く、次のステップSP47に移る。
【0075】
ステップSP47において制御部11は、平均受信間隔算出部32により、受信日時配列RDT[j]の次の日時(すなわち受信日時配列RDT[j+1])が格納されている最後の受信日時であるか否か、すなわち受信日時配列RDT[j+2]に受信日時が格納されていないか否かを判定する。
【0076】
ここで否定結果が得られると、このことは次の受信日時配列RDT[j+1]に格納されている受信日時T(j+1)についても経過時間TPを算出し得ることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP48に移る。ステップSP48において制御部11は、平均受信間隔算出部32により、配列変数jに値「1」を加算することにより該配列変数jを更新した後、再度ステップSP42に戻り、更新後の新たな配列変数jに基づいて一連の処理を実行する。
【0077】
一方、ステップSP47において肯定結果が得られると、このことは属性テーブルTBL1の受信日時欄に格納されている受信日時Tを基に算出可能な経過時間TPを全て算出し、また平均受信間隔TAの算出に利用可能な受信間隔TIを全て記憶部12に記憶させたことを表している。このとき制御部11は、次のステップSP49に移る。
【0078】
ステップSP49において制御部11は、平均受信間隔算出部32により平均受信間隔TAを算出し、次のステップSP50に移る。具体的に平均受信間隔算出部32は、まず記憶部12に記憶している全ての受信間隔TIを加算し、得られた加算値を受信間隔数NTによって除算することにより平均受信間隔TAを算出する。続いて平均受信間隔算出部32は、属性テーブルTBL1における着目属性の平均受信間隔欄に、当該平均受信間隔TAを格納する(又は更新する)。
【0079】
ステップSP50において制御部11は、平均受信間隔算出処理手順RT4を終了して元の移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP32に戻り、その次のステップSP33に移る。
【0080】
ステップSP33において制御部11は、移行待機時間算出部33(図2)により、着目属性の移行待機時間を算出し、次のステップSP34に移る。具体的に移行待機時間算出部33は、まず上述した(1)式により、ステップSP32において新たに算出された平均受信間隔TAを用いて平均受信回数λを算出する。次に移行待機時間算出部33は、上述した(2)式により、この平均受信回数λを用いて確率密度関数p(t)を算出する。
【0081】
さらに次に移行待機時間算出部33は、上述した(3)式により、この確率密度関数p(t)を積分して累積分布関数P(t)を算出する。続いて移行待機時間算出部33は、期待値に相当する累積分布関数P(t)において値「0.8」となるような時間tを移行待機時間TWとして算出し、該移行待機時間TWの値を属性テーブルTBL1(図4)における着目属性の移行待機時間欄に格納する。
【0082】
ステップSP34において制御部11は、移行予定時刻算出部34(図2)により加算時刻TDを算出し、次のステップSP35に移る。具体的に移行予定時刻算出部34は、属性テーブルTBL1における着目属性について、受信日時欄の受信日時配列RDT[0]に格納されている最新の受信日時Tに、移行待機時間欄に格納されている移行待機時間TWの値を加算することにより、加算時刻TDを算出する。この加算時刻TDは、仮想的に着目属性の移行待機時間TWを用いた場合に算出される、移行予定時刻TCに相当する時刻である。
【0083】
ステップSP35において制御部11は、移行予定時刻算出部34により、移行予定時刻保持部35(図2)に保持されている現在の移行予定時刻TCと比較して、加算時刻TDの方が早いか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは最後に受信した印刷データ40を基に算出された加算時刻TDの方が、既存の移行予定時刻TCよりも早い時刻を表しており、当該加算時刻TDまでに当該印刷データ40と同じ属性を有する新たな印刷データ40を受信する期待値が0.8であることを意味している。このとき制御部11は、次のステップSP36に移る。
【0084】
ステップSP36において制御部11は、移行予定時刻算出部34により、加算時刻TDを新たな移行予定時刻TCに設定し、次のステップSP37に移る。ステップSP37において制御部11は、移行予定時刻算出部34により、新たに設定された移行予定時刻TCを移行予定時刻保持部35(図2)に記憶させ(すなわち更新し)、次のステップSP38に移る。
【0085】
一方、ステップSP35において否定結果が得られると、このことは加算時刻TDよりも既存の移行予定時刻TCの方が早い時刻を表しており、当該移行予定時刻TCを更新する必要がないことを表している。このとき制御部11は、次のステップSP38に移る。
【0086】
また、ステップSP31において否定結果が得られると、このことは着目属性において受信日時欄に格納された受信日時Tの数が比較的少ないため、平均受信間隔TAを算出した場合に、その値が極端に大きい値や極端に小さい値となる可能性が高く、当該平均受信間隔TAの信頼性が低いことを表している。このとき制御部11は、平均受信間隔TAや移行待機時間TW、或いは加算時刻TD等を算出すること無く、ステップSP38に移る。
【0087】
ステップSP38において制御部11は、移行予定時刻更新処理手順RT3を終了して元の動作モード管理処理手順RT1(図6)のステップSP5に戻り、その次のステップSP6に移る。
【0088】
一方、ステップSP3において否定結果が得られると、このことは印刷データ40に属性データ42が含まれていないため、属性に関する処理を行い得ないこと、すなわち移行待機時間TWの算出や移行予定時刻TCの更新が不要であることを表している。このとき制御部11は、ステップSP2において更新された移行予定時刻TCを維持したまま、次のステップSP6に移る。
【0089】
ステップSP6において制御部11は、印刷部16(図1)を制御して印刷処理を行わせることにより、印刷データ40に含まれていた画像データ41(図3)に基づいた画像を用紙に印刷させて、次のステップSP7に移る。ステップSP7において制御部11は、現在の動作モードである印刷可能モードを維持したまま、次のステップSP8に移る。すなわち制御部11は、印刷可能モードを継続することにより、印刷部16における画像形成部や定着部等をそれぞれ動作させたまま、新たな印刷データ40の受信を待ち受ける状態となる。
【0090】
ステップSP8において制御部11は、通信部13及びネットワーク4を介して端末装置3から印刷データ40(図3)を受信したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは新たに受信した印刷データ40に基づいた印刷処理を行うと共に、含まれる属性データ42に応じて受信日時Tの記録や移行予定時刻TCを更新する必要があることを表している。このとき制御部11は、ステップSP1に戻って一連の処理を繰り返す。
【0091】
一方、ステップSP8において否定結果が得られると、制御部11は次のステップSP9に移る。ステップSP9において制御部11は、移行予定時刻保持部35に保持している移行予定時刻TCを参照すると共に、計時部14(図1)から現在の時刻を取得し、現在の時刻が当該移行予定時刻TCであるか否かを判定する。
【0092】
ここで否定結果が得られると、このことは、新たな印刷データ40を受信するか、或いは移行予定時刻TCになるまで、現在の動作モードである印刷可能モードのまま待機する必要があることを表している。このとき制御部11は、ステップSP8に戻り、このステップSP8及びSP9を繰り返す。
【0093】
一方、ステップSP9において肯定結果が得られると、このことは移行予定時刻TCになったため、動作モードを印刷可能モードから省電力モードに切り替える必要があることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP10に移る。
【0094】
ステップSP10において制御部11は、動作モード制御部36(図2)により、動作モードを印刷可能モードから省電力モードに切り替えさせる。これにより電源制御部17(図1)は、印刷部16の各部に対する電源の供給を停止させ、若しくは供給する電力を各段に減少させた状態とする。その後、制御部11は、次のステップSP11に移り、動作モード管理処理手順RT1を終了する。
【0095】
因みに制御部11は、省電力モードにおいても新たな印刷データ40の受信を待ち受けており、当該新たな印刷データ40を受信した場合、動作モードを印刷可能モードに切り替えた上で、再び動作モード管理処理手順RT1を実行するようになっている。
【0096】
[4.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による画像形成装置2は、印刷データ40を受信すると、該印刷データ40に含まれる属性データ42に含まれる属性ごとに、属性テーブルTBL1(図4)を利用しながら、複数の印刷データ40に関する過去の受信日時Tを基に平均受信間隔TAを算出する。続いて画像形成装置2は、属性ごとの平均受信間隔TAを基に移行待機時間TWを算出し、該移行待機時間TWを用いて算出した移行予定時刻TCになった時点で、動作モードを省電力モードに移行させる。
【0097】
このため画像形成装置2は、属性データ42を含む印刷データ40を受信した場合、該属性データ42と対応する属性の移行待機時間TWが経過した時点で次の印刷データ40を受信していなければ、省電力モードに移行することができる。すなわち画像形成装置2は、例えば属性データ42を含む印刷データ40を受信した後に次の印刷データ40を受信していない場合、標準移行待機時間TWSが経過する前であっても、移行待機時間TWが経過し移行予定時刻TCになった時点で省電力モードに移行できる。
【0098】
また画像形成装置2は、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP33において、上述した(3)式により算出される累積分布関数P(t)が値「0.8」となる時間tを移行待機時間TWとして算出するようにした。このため画像形成装置2は、必要十分な割合の印刷データ40を受信し得るような適切な時間を、移行待機時間TWとして設定することができる。
【0099】
ところで本実施の形態による画像形成システム1は、上述したように学校の教室に設置されている。学校では、例えば特定の科目における特定の回数の授業において、各生徒に課題を紙に印刷させてそれぞれ提出させる、といった場合がある。このような授業において、画像形成装置2では、教師の指示があった直後に、複数の生徒から多くの印刷データ40を集中的に受信する一方、その後しばらくは印刷データ40を受信しない、といった状況が発生し得る。
【0100】
そこで本実施の形態では、端末装置3から送信する印刷データ40の属性データ42に授業の科目や回数等を表す情報を含めておくため、画像形成装置2において授業の科目や回数等に応じて属性をそれぞれ区別することができる。このため画像形成装置2は、授業の科目や回数等を属性として、該属性それぞれについて受信日時Tの管理や平均受信間隔TAの算出ができ、該属性に適した移行待機時間TWをそれぞれ算出できる。
【0101】
これにより画像形成装置2は、授業の科目や回数ごとに適したタイミングで、動作モードを省電力モードに移行させることができる。すなわち画像形成装置2では、例えば動作モードを省電力モードに移行させる移行タイミングが遅すぎた場合に電力を無駄に消費してしまう、といった事態の発生を良好に回避できる。
【0102】
また画像形成システム1では、端末装置3において生成及び送信する印刷データ40に、画像データ41に加えて属性データ42を設けるようにした(図3)。このため画像形成装置2は、受信した印刷データ40から属性データ42を読み出すだけで、属性の有無を判定でき、またその内容を容易に取得することができる。
【0103】
さらに画像形成装置2は、属性テーブルTBL1(図4)において、属性ごとに分けて受信日時Tを格納するようにした。このため画像形成装置2は、各属性の平均受信間隔TAを容易に算出でき、また受信日時欄における受信日時配列RDT[0]を参照するだけで当該属性の印刷データ40を最後に受信した日時を容易に取得することができる。
【0104】
また画像形成装置2は、受信日時記録処理手順RT2(図7)のステップSP23において、属性テーブルTBL1に着目属性の行が設けられていない場合、当該着目属性の行を新たに設けるようにした。このため画像形成装置2は、全ての属性を予め属性テーブルTBL1に格納しておく必要が無く、新たな属性の属性データ42を含む印刷データ40に対し、随時対応することができる。
【0105】
さらに画像形成装置2は、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP31において、着目属性について格納された受信日時Tの数が算出下限値未満であった場合、平均受信間隔TAの算出や移行待機時間TWの算出、及び移行予定時刻の更新を行わないようにした。このため画像形成装置2は、着目属性の受信間隔TIが大きくばらつく場合に生じ得る、移行待機時間TWが大きく変動してしまうこと、すなわち適切な移行予定時刻を設定できなくなることを、未然に阻止できる。
【0106】
これに加えて画像形成装置2は、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP35において、加算時刻TDが既存の移行予定時刻TCよりも遅い時刻を表していた場合、該移行予定時刻TCを更新しないようにした。これにより画像形成装置2は、移行待機時間TWが不必要に延長されてしまうこと、すなわち動作可能モードが過剰に継続されることにより電力を無駄に消費することを回避できる。
【0107】
また画像形成装置2は、平均受信間隔算出処理手順RT4(図9)において、上限時間TDmax以下の経過時間TPのみを対象として、平均受信間隔TAを算出するようにした。このため画像形成装置2は、同一の属性である印刷データ40の受信間隔TIが極めて長い時間(例えば数時間や数日等)であった場合、当該経過時間TPを平均受信間隔TAの算出から除外できる。これにより画像形成装置2は、平均受信間隔TAや移行待機時間TWが過剰に長くなってしまうことを回避でき、属性に応じた移行予定時刻を精度良く算出することができる。これを換言すれば、画像形成装置2では、比較的短い期間内に集中的に特定の属性データが付与された印刷データを受信する場合に特化して、移行待機時間TWを適切に設定することができる。
【0108】
以上の構成によれば、画像形成装置2は、受信した印刷データ40に含まれる属性データ42により表される属性ごとに、過去の受信日時Tを基に平均受信間隔TAを算出し、これを基に移行待機時間TWを算出し、さらに該移行待機時間TWを用いて算出した移行予定時刻TCになった時点で、動作モードを省電力モードに移行させる。このため画像形成装置2は、印刷データ40の受信後に、標準移行待機時間TWSに関わらず、当該印刷データ40と対応する属性の移行待機時間TWが経過した時点で省電力モードに移行できる。これにより画像形成装置2は、次の印刷データ40を受信する可能性が極めて低くなる前の適切なタイミングで省電力モードに移行できるため、短時間での印刷処理の完了と消費電力の低減とを良好に両立させることができる。
【0109】
[5.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、画像形成システム1が学校の教室に設置され他状況において、属性データ42に授業の科目及び回数に関する情報を格納する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば画像形成システム1が企業内の事務室等に設置された状況において、当該企業における部署や役職等、種々の情報を属性データ42に格納しても良い。或いは、例えばファイルのパス(フォルダ名)や名称に含まれる文字、作成日やサイズ、或いは拡張子等に基づいた情報を属性データ42に格納しても良い。さらには、例えば文書ファイルにおいてタイトル、ヘッダやフッタとして設定された文字列等、或いは表計算アプリケーションのファイルにおいて特定のセルに格納された文字列等に基づいた情報を属性データ42に格納しても良い。すなわち本願発明では、印刷すべき文書等に関する種類や用途のうち少なくとも一方を表す情報を、属性データ42に含むようにすれば良い。
【0110】
また上述した実施の形態においては、端末装置3において生成及び送信する印刷データ40に、画像データ41に加えて属性データ42を設け(図3)、画像形成装置2において該属性データ42の内容を基に属性を判定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷データ40から属性データ42を省略し、画像データ41に含まれる文字列や画像に関する種々の情報、或いは該印刷データ40を生成する際に端末装置3において実行されていたアプリケーションにより開かれていたファイル名等、該印刷データ40に含まれる種々の情報を基に属性を判定しても良い。或いは、例えば印刷データ40が生成又は送信された日時や、端末装置3に予め割り当てられた装置名等の情報が当該印刷データ40に埋め込まれている場合に、これらを利用して属性を判定しても良い。
【0111】
さらに上述した実施の形態においては、属性テーブルTBL1(図4)に受信日時欄を設け、属性ごとに過去の受信日時Tを格納する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば属性テーブルTBL1から受信日時欄を省略すると共に受信間隔欄を設け、過去の複数の受信間隔TIを格納しても良い。この場合、属性ごとに最後の受信日時Tのみ格納しておき、新たに印刷データ40を受信する度に新たな受信間隔TIを算出して格納し、最後の受信日時Tを更新すれば良い。またこの場合、平均受信間隔算出処理手順RT4(図9)のステップSP44と同様の判定処理を行い、上限時間TDmax以下の経過時間TPのみを受信間隔欄に格納するようにしても良い。
【0112】
さらに上述した実施の形態においては、属性テーブルTBL1(図4)に属性ごとの行を設け、受信日時Tを属性ごとに分けて格納する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば属性テーブルTBL1に代わる所定の受信日時リスト(図示せず)に、各受信日時Tと属性ラベルとを対応付け、属性に関わらず受信した順序に従って順次格納しても良い。この場合、例えば当該受信日時リストから着目属性の属性ラベルと対応付けられた受信日時Tのみを抽出すると共に並べ替え(ソート)を行い、平均受信間隔TA等の算出処理を行うことができる。
【0113】
さらに上述した実施の形態においては、動作モード管理処理手順RT1(図6)のステップSP3等において、印刷データ40に属性データ42が含まれていなかった場合、受信日時Tの記録や移行予定時刻TCの更新を行わない形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷データ40に属性データ42が含まれていないことを一つの属性と見なし、当該属性を着目属性として受信日時Tの記録や移行予定時刻TCの更新等を行うようにしても良い。
【0114】
さらに上述した実施の形態においては、属性テーブルTBL1(図4)における着目属性の受信日時欄に設ける受信日時配列RDTの数を50個とする場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、該受信日時配列RDTの数を49個以下又は51個以上としても良い。
【0115】
さらに上述した実施の形態においては、受信日時記録処理手順RT2(図7)において、属性テーブルTBL1(図4)における着目属性の受信日時欄に受信日時Tを格納し、また属性テーブルTBL1に着目属性の行が設けられていない場合に当該着目属性の行を新たに設ける形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば受信日時記録処理手順RT2や別途実行される各種プログラムにより、属性テーブルTBL1において各属性において最後の受信日時Tから一定の期間(例えば1週間や1ヶ月等)が経過していた場合に、当該受信日時Tや当該属性の行を削除しても良い。これにより属性テーブルTBL1の肥大化や、過去の不要な受信日時Tによる算出精度の低下のような悪影響等を排除できる。
【0116】
さらに上述した実施の形態においては、属性テーブルTBL1(図4)の受信日時欄に、印刷データ40を受信した日付及び時刻を組み合わせた受信日時Tを格納する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば属性テーブルTBL1(図4)に受信日時欄に代わる受信時刻欄を設け、該受信時刻欄を毎日所定時刻に初期化するような運用形態として、印刷データ40を受信した時刻のみからなる受信時刻を受信時刻欄に格納しても良い。
【0117】
さらに上述した実施の形態においては、属性テーブルTBL1(図4)の受信日時欄に、画像形成装置2が印刷データ40を受信した日時を受信日時Tとして格納する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば端末装置3が印刷データ40を生成した日時や該端末装置3が該印刷データ40を送信した日時、或いは当該印刷データ40がネットワーク4内に設けられた所定の中継装置(図示せず)により中継された日時等、当該印刷データ40の送受信に関する日時を受信日時Tとして格納しても良い。これらの場合、例えば端末装置3において印刷データ40の生成時に付与された日時の情報や、中継時に使用されたパケットに付与された日時の情報等、当該印刷データ40に種々の形式で付与された種々の日時に関する情報を使用することができる。
【0118】
さらに上述した実施の形態においては、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP33において、属性ごとの平均受信間隔TAを基に移行待機時間TWを算出する際に、該平均受信間隔TAが指数分布に従うものと仮定し、指数関数形式の確率密度関数p(t)を積分した累積分布関数P(t)を用いる形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば属性ごとの平均受信間隔TAが他の種々の分布に従うものと仮定し、他の種々の関数により表される確率密度関数p(t)を積分した累積分布関数P(t)を用いて移行待機時間TWを算出しても良い。また、例えば確率密度関数p(t)に代えて、該確率密度関数p(t)を近似した他の関数を用いても良い。例えば、所定の2次関数や、複数の1次関数を任意の時間毎に複数に区切って組み合わせ、折れ線状に表した関数等、種々の関数又はその組み合わせを用いることができる。さらには、例えば平均受信間隔TAに所定の係数を乗じた値を移行待機時間TWとする等、平均受信間隔TAを基に様々な演算処理を行うことにより移行待機時間TWを算出しても良い。
【0119】
さらに上述した実施の形態においては、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP33において、属性ごとの平均受信間隔TAを基に、(1)~(3)式のような関数を用いた演算処理を行うことにより移行待機時間TWを算出する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば平均受信回数λと移行待機時間TWとの関係を表す関係テーブル(図示せず)を予め用意しておき、この関係テーブルを用いて移行待機時間TWを算出しても良い。
【0120】
さらに上述した実施の形態においては、属性ごとの各受信日時Tを基に各受信間隔TIの平均値である平均受信間隔TAを算出し、これを用いて移行待機時間TWを算出する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば各受信間隔TIから最大値及び最小値を除いた上で平均値を算出する等、統計的な演算処理において使用される種々の計算手法や値(すなわち統計値)を利用して移行待機時間TWを算出しても良い。
【0121】
さらに上述した実施の形態においては、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP33において、上述した(3)式により算出される累積分布関数P(t)が値「0.8」となる時間tを移行待機時間TWとして算出する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば累積分布関数P(t)が値「0.75」や値「0.9」等、他の種々の値となる時間tを移行待機時間TWとして算出しても良い。
【0122】
さらに上述した実施の形態においては、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP31において、算出下限値を5個とし、着目属性について格納された受信日時Tの数が当該算出下限値未満であった場合、平均受信間隔TAの算出や移行待機時間TWの算出、及び移行予定時刻の更新を行わない形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、算出下限値を他の種々の値としても良く、或いは例えば受信日時Tが2個以上格納されている場合に、算出下限値に関わらず、平均受信間隔TAの算出や移行待機時間TWの算出、及び移行予定時刻の更新を行うようにしても良い。
【0123】
さらに上述した実施の形態においては、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP35において、加算時刻TDが既存の移行予定時刻TCよりも遅い時刻を表していた場合、該移行予定時刻TCを更新しない形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば加算時刻TDが既存の移行予定時刻TCよりも遅い時刻を表していた場合にも、該移行予定時刻TCを更新するようにしても良い。
【0124】
さらに上述した実施の形態においては、移行予定時刻更新処理手順RT3(図8)のステップSP35において、加算時刻TDが現在の移行予定時刻TCよりも早い場合に、当該加算時刻TDを新たな移行予定時刻TCに設定する(変更する)形態について述べた。すなわち上述した実施の形態は、できるだけ早い時刻に省電力モードへ移行させるような、いわば省電力優先の形態と見なすことができる。しかし本発明はこれに限らず、例えば加算時刻TDが現在の移行予定時刻TCよりも遅い場合に、当該加算時刻TDを新たな移行予定時刻TCに設定する(変更する)形態としても良い。すなわちこの形態は、できるだけ遅い時刻に省電力モードへ移行させるような、いわば印刷動作優先の形態と見なすことができる。またこの印刷動作優先の形態では、ステップSP35の処理に代えて、各属性において、最後の受信日時T(すなわち受信日時配列RDT[0])にそれぞれ移行待機時間TWを加算した加算時刻TDをそれぞれ算出し、続くステップSP36において、各加算時刻TDのうち最も遅い時刻を新たな以降予定時刻TCとして設定しても良い。さらに本発明は、例えばユーザの操作に応じて省電力優先の形態と印刷動作優先の形態とを切り替え得るようにしても良い。
【0125】
さらに上述した実施の形態においては、最後に印刷データ40を受信した時刻を基準とし、この時刻に移行待機時間TW又は標準移行待機時間TWSを加算した時刻を移行予定時刻TCとして算出する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば最後に受信した印刷データ40に基づいた印刷処理を完了した時刻等、最後に受信した印刷データ40に関する処理の実行に伴う種々の時刻を基準として、移行予定時刻TCを算出しても良い。
【0126】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置2が印刷データ40を受信すると動作モード管理処理手順RT1(図6)を開始し、その属性に応じて移行予定時刻TCの変更を促す形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷処理を完了すべき時刻が指定された印刷データ40を受信した場合には動作モード管理処理手順RT1を実行しないようにする等、受信した印刷データ40の内容によっては移行予定時刻TCの変更を促さないようにしても良い。
【0127】
さらに上述した実施の形態においては、動作モード管理処理手順RT1(図6)において、印刷データを受信する度に、移行待機時間TWの算出や移行予定時刻TCの更新等の処理を行う形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷データを受信した時点では属性テーブルTBL1に受信日時Tを格納しておき、所定の更新期間(例えば1日や1週間等)ごとに、移行待機時間TWの算出や移行予定時刻TCの更新等の処理を行うようにしても良い。これにより、画像形成装置2における処理負荷を軽減させることができる。
【0128】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置2を単機能のSFPとして構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば当該画像形成装置2を、複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置としても良い。
【0129】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置2の制御部11において各種プログラムを実行することにより、図2に示した各機能ブロックをソフトウェアにより構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば各機能ブロックの少なくとも一部をハードウェアにより構成しても良い。
【0130】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置2において各種プログラムを記憶部12に予め記憶しておく形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば所定のサーバ装置(図示せず)に各プログラムを保存しておき、通信部13によりネットワーク4を介して当該サーバ装置から当該プログラムをダウンロードして実行するようにしても良い。
【0131】
さらに上述した実施の形態においては、印刷部16により用紙に画像を形成する印刷処理を行う画像形成装置2に本発明を適用する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばファイルサーバ装置やウェブサーバ装置等、ネットワークを介して接続された複数の装置からの受信する種々のデータに応じて種々の処理を行う種々の情報処理装置に本発明を適用しても良い。
【0132】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0133】
さらに上述した実施の形態においては、受信部としての通信部13と、計時部としての計時部14と、処理部としての印刷部16と、受信時刻管理部としての受信日時管理部31と、移行待機時間算出部としての移行待機時間算出部33と、動作モード制御部としての動作モード制御部36とによって情報処理装置としての画像形成装置2を構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる受信部と、計時部と、処理部と、受信時刻管理部と、移行待機時間算出部と、動作モード制御部とによって情報処理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、例えば動作モードを動作可能モード及び省電力モードに切替可能な画像形成装置で利用できる。
【符号の説明】
【0135】
1……画像形成システム、2……画像形成装置、11……制御部、12……記憶部、13……通信部、14……計時部、16……印刷部、17……電源制御部、31……受信日時管理部、32……平均受信間隔算出部、33……移行待機時間算出部、34……移行予定時刻算出部、35……移行予定時刻保持部、36……動作モード制御部、40……印刷データ、41……画像データ、42……属性データ、RDT……受信日時配列、TBL1……属性テーブル、NT……受信間隔数、j……配列変数、T……受信日時、TI……受信間隔、TA……平均受信間隔、TD……加算時刻、TW……移行待機時間、TWS……標準移行待機時間、TC……移行予定時刻、TDmax……上限時間、TP……経過時間、P(t)……累積分布関数、p(t)……確率密度関数、λ……平均受信回数。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9