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  • 特開-研磨工程用接着シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134096
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】研磨工程用接着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/30 20180101AFI20240926BHJP
   C09J 125/12 20060101ALI20240926BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240926BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C09J7/30
C09J125/12
C09J11/06
C09J11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044206
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松永 佑規
(72)【発明者】
【氏名】近藤 恭史
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA05
4J004FA08
4J040CA071
4J040EB022
4J040GA12
4J040HC21
(57)【要約】
【課題】研磨工程に好適に用いることが可能な研磨工程用接着シートを提供する。
【解決手段】研磨工程用接着シート10は、マレイミド基を2個以上含有する化合物と、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体と、フェノール樹脂とを含有する接着層11を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マレイミド基を2個以上含有する化合物と、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体と、フェノール樹脂とを含有する接着層を有することを特徴とする研磨工程用接着シート。
【請求項2】
前記接着層の25℃から昇温3℃/分加熱により100℃到達時における溶融粘度が1.0×10~1.0×10Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の研磨工程用接着シート。
【請求項3】
前記接着層の厚みが5~80μmであることを特徴とする請求項1に記載の研磨工程用接着シート。
【請求項4】
前記接着層が、前記マレイミド基を2個以上含有する化合物として、下記化合物(1)又は下記化合物(2)の少なくとも1種類を含有することを特徴とする請求項1に記載の研磨工程用接着シート。
【化1】
【化2】
【請求項5】
前記接着層における前記アクリロニトリル-ブタジエン共重合体の含有割合が、20~70質量%であることを特徴とする請求項1に記載の研磨工程用接着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨工程用接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
研磨工程において、接着シートの使用が検討されている。
特許文献1には、ステンレス鋼板に対して30N/20mm以上の180度剥離強度を示す粘着シートを用いて研磨パッドを固定することが記載されている。
特許文献2には、スチレンイソプレンブロック共重合体を含む合成ゴムと、テルペンフェノール樹脂を含む粘着付与樹脂とを含有する研磨部材固定用粘着剤が記載されている。
特許文献3には、アクリル系粘着剤のゲル分率が70~90%である両面粘着テープを用いて研磨材をポリッシングマシーンの定盤に固定することが記載されている。
特許文献4には、樹脂に吸音及び衝撃緩衝材が含浸された接着シートを用いて切削ソーマシンなどの構成要素を接着することが記載されている。
特許文献5には、エチレン-酢酸ビニル共重合体を主成分とする光硬化性接着剤組成物を硬化させた接着層を介して基材上に研磨層が積層された研磨材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-78348号公報
【特許文献2】特開2018-65982号公報
【特許文献3】特開2000-309760号公報
【特許文献4】特開2001-106997号公報
【特許文献5】特開平9-235384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、研磨工程に好適に用いることが可能な研磨工程用接着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、マレイミド基を2個以上含有する化合物と、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体と、フェノール樹脂とを含有する接着層を有することを特徴とする研磨工程用接着シートである。
【0006】
第2の態様は、第1の態様において、前記接着層の25℃から昇温3℃/分加熱により100℃到達時における溶融粘度が1.0×10~1.0×10Pa・sであることを特徴とする。
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記接着層の厚みが5~80μmであることを特徴とする。
第4の態様は、第1~3のいずれか1の態様において、前記接着層が、前記マレイミド基を2個以上含有する化合物として、下記化合物(1)又は下記化合物(2)の少なくとも1種類を含有することを特徴とする。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
第5の態様は、第1~4のいずれか1の態様において、前記接着層における前記アクリロニトリル-ブタジエン共重合体の含有割合が、20~70質量%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、研磨工程に好適に用いることが可能な研磨工程用接着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】研磨工程用接着シートの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0013】
図1に、研磨工程用接着シートの一例を示す。この研磨工程用接着シート10は、接着層11の両面に、それぞれセパレーター12,13が積層されている。セパレーター12,13は、接着層11に対する剥離力が同等でも、互いに異なってもよい。セパレーター12,13を剥離すると、接着層11の両面が接着面として露出され、研磨工程に用いることができる。
【0014】
接着層11は、マレイミド基を2個以上含有する化合物と、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体と、フェノール樹脂とを含有する。
【0015】
接着層11には、マレイミド基を2個以上含有する化合物(以下「マレイミド化合物」という場合がある。)が用いられる。マレイミド化合物は、分子内に2個以上のマレイミド基を有することにより、熱硬化性を示す。
【0016】
マレイミド基は、マレイミドの窒素原子の位置で、他の原子と結合する一価基である。例えば上述の化合物(1)及び化学式(2)の左右両端において、1つの窒素原子と2つのカルボニル基と1つのC=C二重結合を含む環式基がマレイミド基である。2個以上のマレイミド基の間を連結する連結基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル結合、シロキサン結合などから選択される1種以上を含むことができる。
【0017】
マレイミド化合物に含まれてもよい脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、ジアルキル置換メチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
マレイミド化合物に含まれてもよい芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ジアルキル置換フェニレン基などが挙げられる。
【0018】
マレイミド化合物に含まれてもよいエーテル結合は、脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基の間を連結するエーテル結合が好ましく、芳香族炭化水素基の間を連結するエーテル結合がより好ましい。
マレイミド化合物に含まれてもよいシロキサン結合としては、ジメチル置換シロキサン基などが挙げられる。
【0019】
接着層11が、マレイミド化合物として、上述の式(1)に示す化合物(1)、又は、上述の式(2)に示す化合物(2)の少なくとも1種類を含有することが好ましい。化合物(1)は、ビスフェノールAのビス(4-マレイミドフェニル)エーテルである。化合物(2)は、ビス(3-エチル-4-マレイミド-5-メチルフェニル)メタンである。
【0020】
接着層11に含まれるマレイミド化合物の割合(以下「MI割合」という場合がある。)は特に限定されないが、10~50質量%であることが好ましく、15~45質量%であることがより好ましい。前記MI割合が上記範囲内であると、剥離強度とせん断強度の両立がされ、研磨工程で好適に利用することができる。
【0021】
接着層11には、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体が用いられる。アクリロニトリル-ブタジエン共重合体としては、特に限定されないが、カルボキシル基を有するアクリロニトリル-ブタジエン共重合体でもよく、カルボキシル基を有しないアクリロニトリル-ブタジエン共重合体でもよい。
【0022】
カルボキシル基を有するアクリロニトリル-ブタジエン共重合体のカルボキシル基当量は、1000~20000であることが好ましい。前記カルボキシル基当量が上記範囲内であると、剥離強度とせん断強度が向上し、研磨工程で好適に利用することができる。ここで、カルボキシル基当量は、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体の数平均分子量より計算される。
【0023】
アクリロニトリル-ブタジエン共重合体は、例えばJIS K6300-1(未加硫ゴム-物理特性-第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方)に規定されるムーニー粘度が50~110M1+4(100℃)の範囲内であることが好ましい。前記ムーニー粘度が上記範囲内であると、剥離強度とせん断強度の両立がされ、研磨工程で好適に利用することができる。
【0024】
ムーニー粘度の測定には、通常はL形ロータが用いられるが、高粘度の場合はS形ロータが用いられてもよい。加熱は、例えば予備加熱1分、回転開始後4分の値を採ってもよい。
【0025】
アクリロニトリル-ブタジエン共重合体におけるアクリロニトリル含有率(以下「AN含有率」という場合がある。)は、例えば5~50質量%が好ましく、10~40質量%のものがより好ましい。前記AN含有率が上記範囲であると、剥離強度とせん断強度の両立がされ、研磨工程で好適に利用することができる。
【0026】
接着層11に含まれるアクリロニトリル-ブタジエン共重合体の割合(以下「NB割合」という場合がある。)は特に限定されないが、前記NB割合は、5~80質量%であることが好ましく、20~70質量%であることがより好ましく、30~45質量%がさらにより好ましい。前記NB割合が上記範囲内であると、剥離強度とせん断強度の両立がされ、研磨工程で好適に利用することができる。
【0027】
フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を有する化合物(以下「フェノール化合物」という場合がある。)とホルムアルデヒドとを縮合させた化合物が挙げられる。フェノール樹脂は、ノボラック型のフェノール樹脂でも、レゾール型のフェノール樹脂でもよく、これらを併用してもよい。
【0028】
フェノール樹脂に用いられるフェノール化合物としては、特に限定されないが、無置換のフェノール(別名ヒドロキシベンゼン)、クレゾール、p-tert-ブチルフェノール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0029】
接着層11に含まれるフェノール樹脂の割合(以下「PF割合」という場合がある。)は特に限定されないが、10~45質量%であることが好ましく、15~40質量%であることがより好ましい。前記PF割合が上記範囲内であると、剥離強度とせん断強度の両立がされ、研磨工程で好適に利用することができる。フェノール樹脂におけるノボラック型のフェノール樹脂とレゾール型のフェノール樹脂との割合も特に限定されず、適宜に設定することができる。
【0030】
接着層11は、上述のマレイミド化合物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、フェノール樹脂のみから構成されてもよく、他の任意成分が添加されてもよい。例えば、接着層11にジアミン化合物が添加されてもよい。
【0031】
接着層11の25℃から昇温3℃/分加熱により100℃に到達した時点における溶融粘度が、1.0×10~1.0×10Pa・sであることが好ましく、1.0×10~1.0×10Pa・sであることがより好ましい。前記溶融粘度が上記範囲であると、剥離強度とせん断強度の両立がされ、研磨工程で好適に利用することができる。
【0032】
前記溶融粘度の測定は、DMA(動的粘弾性装置)を使用し、JIS K 7244-10(プラスチック-動的機械特性の試験方法-第10部:平行平板振動レオメータによる複素せん断粘度)に従ってもよい。
【0033】
接着層11の厚みは、特に限定されないが、例えば、5~80μmであることが好ましい。接着層11が薄すぎると、剥離強度及びせん断強度が低下するおそれがある。接着層11が厚すぎると、接着時に接着層11が外にはみだし、被研磨物および研磨装置を汚染するおそれがある。
【0034】
セパレーター12,13としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン等のオレフィン樹脂を基材とする離形シートが好ましい。
【0035】
研磨工程用接着シート10を研磨工程に用いるには、セパレーター12,13を剥離して接着層11を第1の被着体と第2の被着体との間に適用すればよい。例えば、セパレーター12,13のうち片方を剥がして、接着層11を第1の被着体に貼り合わせ、次に残りのセパレーター12,13を剥がして、接着層11を第2の被着体に貼り合わせてもよい。
【0036】
第1の被着体及び第2の被着体は特に限定されないが、一方の被着体が砥石であり、他方の被着体が砥石を支持する固定台であってもよい。一方の被着体が、砥石で研磨されるワークであり、他方の被着体がワークを支持する固定台であってもよい。
【0037】
砥石の材質は特に限定されないが、セラミックス等の砥粒に樹脂などの結合剤を混合した複合材料が挙げられる。固定台の材質は特に限定されないが、例えばステンレス(SUS)等の金属が挙げられる。
【0038】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【0039】
また、上述の実施形態で好ましいとされた構成を適宜選択し、任意の2つ以上の構成を組み合わせることも可能である。ただし、本明細書における「好ましい」の語は、好ましいとされた構成に限定する意図ではない。
【実施例0040】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
(実施例1~14)
表1の「接着層の組成」に示す材料を用いて、マレイミド基を2個以上含有する化合物と、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体と、フェノール樹脂とを含有し、表1に示す厚みを有する接着層を作製した。接着層に用いた材料は、次のとおりである。
【0042】
「NB1」は、ムーニー粘度70M1+4(100℃)、AN含有率27%、カルボキシル基当量1400のカルボキシル基を有するアクリロニトリル-ブタジエン共重合体である。
「NB2」は、ムーニー粘度100M1+4(100℃)、AN含有率27%、カルボキシル基当量1400のカルボキシル基を有するアクリロニトリル-ブタジエン共重合体である。
【0043】
「PF1」は、レゾール型のフェノール樹脂(商品名CKM-1282、アイカ工業社製)である。
「PF2」は、ノボラック型のフェノール樹脂(商品名CKM-2400、アイカ工業社製)である。
【0044】
「MI1」は、上述の化合物(1)、すなわち、ビスフェノールAのビス(4-マレイミドフェニル)エーテルである。
「MI2」は、上述の化合物(2)、すなわち、ビス(3-エチル-4-マレイミド-5-メチルフェニル)メタンである。
【0045】
表1に示す「NB割合」、「PF割合」、「MI割合」は、それぞれ、接着層に含まれるアクリロニトリル-ブタジエン共重合体、フェノール樹脂、マレイミド化合物の割合である。
【0046】
比較例1に用いたアクリル粘着剤は、アルキルアクリレートを主成分とするモノマー組成で構成されたポリマー100質量部と、イソシアネート硬化剤0.1質量部を用いた粘着剤である。
(比較例1)
「ポリマー」は、アクリル系ポリマー(商品名ファインタック(登録商標)CT-6030、DIC社製)である。
「硬化剤」は、イソシアネート硬化剤(商品名バーノック(登録商標)DN、DIC社製)である。
【0047】
(接着シートの作製)
表1の「接着層の組成」に従って、各材料をテトラヒドロフランに溶解し、接着剤溶液を作製した。得られた接着剤溶液を、乾燥後の接着層が表1に記載された厚みになるようにセパレーター(PET基材)に塗布し、熱風循環型乾燥機中にて、160℃で5分間乾燥後、セパレーターを接着層に貼合し、実施例1~14及び比較例1の接着シートを得た。
【0048】
(溶融粘度の測定方法)
上記(接着シートの作製)で得られた、実施例1~7、12~14及び比較例1の接着シートを用いて、接着層の厚みが500μmになるように積層し、試験片を得た。
前記試験片を用いて、25℃から昇温3℃/分加熱により100℃に到達した時点の粘度を「溶融粘度」とした。
・測定装置:HAAKE MARS I型レオメータ
Thermo Fischer Scientific社製
・周波数:1Hz
【0049】
実施例8~11の接着シートは、接着層の組成が実施例1と同一である(厚みのみが異なる)ため、実施例1の接着シートの結果を用いた。表1では、「p×10」(pは1以上10未満の数、qは指数)を「pEq」のように表した。
【0050】
(剥離強度の測定方法)
上記(接着シートの作製)で得られた接着シートの片方のセパレーターを剥離し、プラズマ表面処理されたポリイミドフィルム(75μm厚み)に100℃、0.2MPa、10秒加熱圧着させた後、10mm幅に裁断し接着テープを得た。得られた接着テープのセパレーターを剥離し、被着体に100℃、0.2MPa、10秒の条件で加熱圧着させた後、熱風循環型乾燥機中にて、175℃で60分間加熱し、接着層を熱硬化させた。その後、23℃条件下での剥離速度50mm/minにおける90°テープ剥離強度を測定し、得られた値を「剥離強度」とした。
【0051】
(せん断強度の測定方法)
上記(接着シートの作製)で得られた接着シートを5mm×5mmに裁断後、両面のセパレーターを剥離し、2枚の同一種類の被着体で接着層を挟んで、100℃、0.2MPa、10秒の条件で加熱圧着させた後、熱風循環型乾燥機中にて、175℃で60分間加熱し、接着層を熱硬化させた。その後、23℃条件下、せん断速度50mm/minにて得られた値を「せん断強度」とした。
【0052】
(はみだし量の測定方法)
上記(接着シートの作製)で得られた接着シートの片方のセパレーターを剥離し、プラズマ表面処理されたポリイミドフィルム(75μm厚み)に100℃、0.2MPa、10秒の条件で加熱圧着させた後、10mm幅に裁断し接着テープを得た。得られた接着テープのセパレーターを剥離し、被着体に100℃、0.2MPa、10秒の条件で加熱圧着させた後、熱風循環型乾燥機中にて、175℃で60分間加熱し、接着層を熱硬化させた。幅方向にはみ出した接着層の最大はみだし幅を測定し、「はみだし量」とした。
【0053】
(被着体)
被着体としては、3種類の砥石を用いた。#を付した数値は粗さ(砥粒の粒度)を表す。
砥石Aは、緑色炭化ケイ素砥粒およびビトリファイド結合剤からなる、粗さ#2400の砥石である。
砥石Bは、緑色炭化ケイ素研砥粒およびビトリファイド結合剤からなる、粗さ#1200の砥石である。
砥石Cは、緑色炭化ケイ素研砥粒およびビトリファイド結合剤からなる、粗さ#120の砥石である。
【0054】
(剥離強度の評価基準)
剥離強度は、砥石A、砥石B、砥石Cに対して測定し、次の基準で評価した。
優(3):剥離強度が10N/10mm以上である。
良(2):剥離強度が6N/10mm以上9N/10mm以下である。
可(-1):剥離強度が3N/10mm以上6N/10mm未満である。
不可(-2):剥離強度が3N/10mm未満である。
【0055】
(せん断強度の評価基準)
せん断強度は、砥石B、砥石Cに対して測定し、次の基準で評価した。
優(3):せん断強度が12N/mm以上である。
良(2):せん断強度が6N/mm以上12N/mm未満である。
可(-1):せん断強度が3N/mm以上6N/mm未満である。
不可(-2):せん断強度が3N/mm未満である。
【0056】
(はみだし量の評価基準)
はみ出し量は、砥石Aに対して測定し、次の基準で評価した。
良(2):はみ出し量が50μm以下である。
可(-1):はみ出し量が50μm超150μm以下である。
不可(-2):はみ出し量が150μm超である。
【0057】
(総合評価の評価基準)
総合評価は、以上6種類の個別評価の結果の合算値に基づいて、次の基準で評価した。
優:合算値が15以上である。
良:合算値が10以上、15未満である。
可:合算値が5以上、10未満である。
不可:合算値が5未満である。
【0058】
以上の結果を表1にまとめて示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示すように、実施例1~14は、総合評価が優、良、可となった。
比較例1は、総合評価が不可となった。
【符号の説明】
【0061】
10…研磨工程用接着シート、11…接着層、12,13…セパレーター。
図1