(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134103
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】リレー光学系、投写光学系、およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G02B 17/08 20060101AFI20240926BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240926BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240926BHJP
【FI】
G02B17/08
G03B21/14 D
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044214
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】守国 栄時
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 和幸
【テーマコード(参考)】
2H087
2K203
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087KA07
2H087LA27
2H087RA41
2H087TA01
2H087TA02
2H087TA03
2H087TA06
2K203FA23
2K203FA34
2K203GC03
2K203GC05
2K203GC06
2K203GC19
2K203GC20
2K203HA04
2K203HA67
2K203HB17
2K203HB28
2K203MA07
2K203MA32
(57)【要約】
【課題】全長を短くした場合でも、諸収差の発生を抑制することができるリレー光学系を提供すること。
【解決手段】リレー光学系は、第1像面から出射された光線を第2像面に結像させる。リレー光学系は、光線が通過する順に、第1レンズ要素と、反射部材と、第2レンズ要素と、を有する。第1レンズ要素は、正のパワーを有する。反射部材は、光線が入射および出射される面が凹面形状である透過面と、透過面からの光線が反射される面が凹面形状である反射面と、を備える。第2レンズ要素は、正のパワーを有する。第1レンズ要素からの出射した光線は、透過面を透過して、反射面で反射される。反射面で反射した光線は、透過面を透過して、第2レンズ要素に到達する。反射部材から出射した光線は、第2レンズ要素を透過して、第2像面に結像される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1像面から出射された光線を第2像面に結像させるリレー光学系において、
前記リレー光学系は、光線が通過する順に、第1レンズ要素と、反射部材と、第2レンズ要素と、を有し、
前記第1レンズ要素は、正のパワーを有し、
前記反射部材は、光線が入射および出射される面が凹面形状である透過面と、前記透過面からの光線が反射される面が凹面形状である反射面と、を備え、
前記第2レンズ要素は、正のパワーを有し、
前記第1レンズ要素からの出射した光線は、前記透過面を透過して、前記反射面で反射され、
前記反射面で反射した光線は、前記透過面を透過して、前記第2レンズ要素に到達し、
前記反射部材から出射した光線は、前記第2レンズ要素を透過して、前記第2像面に結像されることを特徴とするリレー光学系。
【請求項2】
前記第1レンズ要素に入射する光線の主光線と、前記第2レンズ要素から出射する光線の主光線と、が平行であることを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項3】
前記第1レンズ要素を透過した光線を反射して前記反射部材に導くとともに、前記反射部材で反射した光線をさらに反射して前記第2レンズ要素に導く第1反射ミラーを有することを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項4】
前記第2レンズ要素を透過した光線を反射する第2反射ミラーを有することを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項5】
前記第1レンズ要素および前記第2レンズ要素は、互いに同じ形状と同じ屈折率とを有するレンズであることを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項6】
前記透過面および前記反射面は、前記反射部材の光軸を含む対称面に対して面対称な形状であり、
前記第1レンズ要素および前記第2レンズ要素は、前記対称面を挟んで対称に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のリレー光学系。
【請求項7】
前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素とは、正のパワーを有する一体のレンズ部材からなり、
前記レンズ部材は、前記レンズ部材の光軸を中心とした回転対称な形状を有することを特徴とする請求項6に記載のリレー光学系。
【請求項8】
前記透過面および前記反射面は、前記反射部材の光軸を中心とした回転対称な形状であることを特徴とする請求項6に記載のリレー光学系。
【請求項9】
前記第1像面の側がテレセントリックであることを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項10】
前記第2像面の側がテレセントリックであることを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項11】
前記第1レンズ要素と前記反射部材の間の光路上に配置され、前記反射部材に入射する光量を制限する調光部材を有することを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項12】
前記第1像面から出射された光線を前記第2像面に等倍に結像させることを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項13】
前記第1像面と前記第1レンズ要素との間に配置され、前記第1像面から出射した光線が透過する第1光学部材と、
前記第2レンズ要素と前記第2像面との間に配置され、前記第2レンズ要素から出射した光線が透過する第2光学部材と、を有し、
前記第2光学部材は、前記第2レンズ要素の出射面および前記第2像面の光学的距離を、前記第1像面および前記第1レンズ要素の入射面の光学的距離と等しくすることを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項14】
前記第1光学部材の屈折率は、前記第2光学部材の屈折率とは異なることを特徴とする請求項13に記載のリレー光学系。
【請求項15】
前記第2光学部材は、前記第2レンズ要素を透過した光を反射する反射膜を備えることを特徴とする請求項13に記載のリレー光学系。
【請求項16】
前記第1像面および前記第2像面は、それぞれ、第1方向で対向する第1辺と、前記第1方向と直交する第2方向で対向する第2辺とを備える長方形の像面であり、
前記第1像面の前記第1辺に平行な中心線は、前記第2像面の前記第1辺に平行な中心線と重ならず、
前記第1像面の前記第2辺に平行な中心線は、前記第2像面の前記第2辺に平行な中心線と重ならないことを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項17】
請求項1から16の何れか一項に記載のリレー光学系と、
前記リレー光学系が前記第2像面に結像した光線を第3像面に拡大投写する拡大光学系と、を有する投写光学系。
【請求項18】
前記拡大光学系は、前記リレー光学系に対して、取り換え可能であることを特徴とする請求項17に記載の投写光学系。
【請求項19】
請求項17に記載の投写光学系と、
前記第1像面に投写画像を形成する光変調素子と、
を有することを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレー光学系、投写光学系、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
第1像面から出射された光を第2像面に結像させる等倍のリレー光学系は、特許文献1に記載されている。同文献のリレー光学系は、第1像面から射出された光が入射する正の屈折力を有する第1レンズ要素と、第1レンズ要素を透過した光を反射する正の屈折力を有する反射部材と、反射部材で反射した光が入射し第2像面に結像させる正の屈折力を有する第2レンズ要素と、を備える。第1レンズ要素と第2レンズ要素とは、正の屈折力を有する一体のレンズ部材からなる。反射部材は、凹面ミラーからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のリレー光学系の全長を短くすることが望まれている。リレー光学系の全長を短くする場合には、レンズ部材の正のパワーを大きくすれば、リレー光学系の全長を短くすることができる。しかしながら、レンズ部材の正のパワーを大きくした場合、諸収差が発生しやすくなり、リレー光学系の光学性能が劣化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のリレー光学系は、第1像面から出射された光線を第2像面に結像させるリレー光学系において、前記リレー光学系は、光線が通過する順に、第1レンズ要素と、反射部材と、第2レンズ要素と、を有し、前記第1レンズ要素は、正のパワーを有し、前記反射部材は、光線が入射および出射される面が凹面形状である透過面と、前記透過面からの光線が反射される面が凹面形状である反射面と、を備え、前記第2レンズ要素は、正のパワーを有し、前記第1レンズ要素からの出射した光線は、前記透過面を透過して、前記反射面で反射され、前記反射面で反射した光線は、前記透過面を透過して、前記第2レンズ要素に到達し、前記反射部材から出射した光線は、前記第2レンズ要素を透過して、前記第2像面に結像されることを特徴とする。
【0006】
本発明の投写光学系は、上記のリレー光学系と、前記リレー光学系が結像した前記第2像面を第3像面に拡大投写する拡大光学系と、を有し、前記拡大光学系は、前記リレー光学系に対して、取り換え可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明のプロジェクターは、上記の投写光学系と、前記第1像面に投写画像を形成する光変調素子と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態1のリレー光学系の概略構成を示す図である。
【
図3】リレー光学系における第1像面および第2像面の位置関係を説明する図である。
【
図5】リレー光学系のタンジェンシャルの非点収差を示す図である。
【
図6】リレー光学系のサジタルの非点収差を示す図である。
【
図8】実施形態2のリレー光学系の概略構成を示す図である。
【
図9】実施形態3のリレー光学系の概略構成を示す図である。
【
図10】実施形態4のリレー光学系の概略構成を示す図である。
【
図11】実施形態5のリレー光学系の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るリレー光学系、投写光学系、およびプロジェクターを説明する。
【0010】
(プロジェクター)
図1は、プロジェクター1の要部の概略図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、照明光学系2と、照明光学系2からの出射光を各色光に分離する分離光学系3と、分離光学系3で分離された各色光に対して変調して投写画像を形成する複数の光変調素子4と、光変調素子4で形成された投写画像をスクリーンSに投写する投写光学系5と、光変調素子4を制御する制御部10とを有する。投写光学系5は、リレー光学系7と、拡大光学系8とを備える。リレー光学系7は、ダイクロイックプリズム6を備える。
【0011】
照明光学系2は、光源21、第1インテグレーターレンズ22、第2インテグレーターレンズ23、偏光変換素子24、重畳レンズ25を備える。光源21は、例えば、超高圧水銀ランプ、固体光源等で構成される。第1インテグレーターレンズ22は、光源21からの光束を複数に分割するとともに光束を第2インテグレーターレンズ23の近傍に集光させる。偏光変換素子24は、第2インテグレーターレンズ23からの光を所定の直線偏光に変換させる。重畳レンズ25は、偏光変換素子24から出射した光線を分離光学系3に向けて出射する。
【0012】
分離光学系3は、第1ダイクロイックミラー31、反射ミラー32、およびフィールドレンズ33Rを備える。第1ダイクロイックミラー31は、重畳レンズ25から入射した光線の一部であるR光を反射させ、重畳レンズ25から入射した光線の一部であるG光およびB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー31で反射されたR光は、反射ミラー32およびフィールドレンズ33Rを経て、光変調素子4Rへ入射する。
【0013】
分離光学系3は、第2ダイクロイックミラー34、およびフィールドレンズ33Gを備える。第2ダイクロイックミラー34は、第1ダイクロイックミラー31からの光線の一部であるG光を反射させ、第1ダイクロイックミラー31からの光線の一部であるB光を透過させる。第2ダイクロイックミラー34で反射されたG光は、フィールドレンズ33Gを経て、光変調素子4Gへ入射する。
【0014】
分離光学系3は、リレーレンズ35、反射ミラー36、リレーレンズ37、反射ミラー38、およびフィールドレンズ33Bを備える。第2ダイクロイックミラー34を透過したB光は、リレーレンズ35、反射ミラー36、リレーレンズ37、反射ミラー38、およびフィールドレンズ33Bを経て、光変調素子4Bへ入射する。
【0015】
光変調素子4は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて、制御部10により動作する。光変調素子4は、3つ設けられている。本形態では、光変調素子4は、液晶パネルである。光変調素子4RはR光を画像信号に応じて変調することにより、赤色の投写画像を形成する。光変調素子4GはG光を画像信号に応じて変調することにより、緑色の投写画像を形成する。光変調素子4BはB光を画像信号に応じて変調することにより、青色の投写画像を形成する。
【0016】
ダイクロイックプリズム6は、各光変調素子4R、4G、4Bで変調された光を合成した投写画像を生成する。リレー光学系7は、第1像面S1から出射された光線を第2像面S2に等倍に結像させる。拡大光学系8は、リレー光学系7が第2像面S2に結像した光線をスクリーンS(第3像面)に拡大投写する。本形態では、各光変調素子4は、第1像面S1に配置されている。したがって、リレー光学系7は、第1像面に形成された投写画像と等倍の中間像70を、第2像面S2に形成する。拡大光学系8は、中間像70を拡大した拡大像をスクリーンSに投写する。
【0017】
拡大光学系8は、複数のレンズが鏡筒に保持された投写レンズ80である。ここで、プロジェクター1は、投写レンズ80を着脱可能に保持する保持機構9を備える。保持機構9としては、スクリュー方式、スピゴット方式、バヨネット方式などの投写レンズ80を着脱可能に保持できる種々の機構を採用することができる。これにより、プロジェクター1は、投写仕様に応じて、投写レンズ80を取り換え可能である。すなわち、拡大光学系8は、リレー光学系7に対して、取り換え可能である。
【0018】
[実施形態1]
(リレー光学系の詳細)
図2は、実施形態1のリレー光学系の概略構成を示す図である。
図3は、リレー光学系における第1像面および第2像面の位置関係を説明する図である。
【0019】
図2に示すように、リレー光学系7は、第1像面S1から第2像面S2に向かって光線が通過する順に、第1レンズ要素71aと、反射部材72と、第2レンズ要素71bと、を有する。第1レンズ要素71aと第2レンズ要素71bとは、正のパワーを有する一体のレンズ部材71からなる。ここで、以下の説明では、便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、およびZ軸とする。また、レンズ部材71および反射部材72が配列された方向をX軸方向とする。X軸方向において、レンズ部材71が位置する側をX1とし、反射部材72が位置する側をX2とする。上下方向をZ軸方向とする。Z軸方向において、下方をZ1とし、上方をZ2とする。
【0020】
レンズ部材71は、両面が凸面形状である。レンズ部材71は、両面に非球面形状を備える。レンズ部材71の光軸Nは、X軸方向に延びる。レンズ部材71は、光軸Nを中心とした回転対称な形状を有する。第1レンズ要素71aは、レンズ部材71の光軸Nに対してY1側に位置し、第2レンズ要素71bは、Y2側に位置する。よって、第1レンズ要素71aおよび第2レンズ要素71bは、それぞれ、正のパワーを有し、互いに同じ両凸面形状と同じ屈折率とを有するレンズである。すなわち、第1レンズ要素71aと第2レンズ要素71bとは、光軸Nを含む対称面を挟んで対称に設けられている。
【0021】
反射部材72は、透過面72aと、反射面72bとを備える。透過面72aは、X1側に位置し、反射面72bは、X2側に位置する。透過面72aは、X2側に凹む凹面形状を備える。透過面72aは、非球面形状を備える。
【0022】
反射面72bは、X2側に凹む凹面形状を備える。反射面72bは、非球面形状を備える。反射面72bは、反射部材72のX2側の外側面に反射コーティング層を設けることにより形成される。反射部材72の光軸Mは、X軸方向に延びる。透過面72aおよび反射面72bは、光軸Mを中心とした回転対称な形状である。すなわち、透過面72aおよび反射面72bは、光軸Nを含む対称面に対して面対称な形状である。反射部材72の光軸Mは、レンズ部材71の光軸Nと一致する。
【0023】
リレー光学系7は、第1レンズ要素71aと反射部材72の間の光路上に配置され、反射部材72に入射する光量を制限する調光部材74を有する。調光部材74は、遮光板の
ような機械的に光量制御を行う絞りや、液晶装置のような電気的に光量制御を行う絞りを採用することができる。
【0024】
リレー光学系7は、第1像面S1と第1レンズ要素71aとの間に配置され第1像面S1から出射した光線が透過するダイクロイックプリズム6(第1光学部材)と、第2レンズ要素71bと第2像面S2との間に配置され第2レンズ要素71bから出射した光線が透過するダミープリズム61(第2光学部材)と、を有する。ダミープリズム61は、第2レンズ要素71bの出射面および第2像面S2の光学的距離を、第1像面S1および第1レンズ要素71aの入射面の光学的距離と等しくする。本形態では、ダイクロイックプリズム6の屈折率は、ダミープリズム61の屈折率とは異なる。
【0025】
図3に示すように、第1像面S1および第2像面S2は、それぞれ、Y軸方向(第1方向)で対向する第1辺76と、Z軸方向(第2方向)で対向する第2辺77とを備える長方形の像面である。なお、ここでの第1像面S1には、光変調素子4Gが配置されている。第1像面S1の第1辺76に平行な中心線76aは、第2像面S2の第1辺76に平行な中心線76bと重ならない。第1像面S1の第2辺77に平行な中心線77aは、第2像面S2の第2辺77に平行な中心線77bと重ならない。すなわち、第1像面S1および第2像面S2は、Y軸方向およびZ軸方向において、互いにズレた位置に配置されている。これにより、各像面とレンズ部材71との間に配置される、ダイクロイックプリズム6およびダミープリズム61は、Y軸方向およびZ軸方向において、互いにズレた位置に配置されている。
【0026】
図2に示すように、第1像面S1から出射した光線は、ダイクロイックプリズム6および第1レンズ要素71aを透過して、反射部材72に到達する。第1レンズ要素71aからの出射した光線は、透過面72aを透過して、反射面72bで反射される。反射面72bで反射した光線は、透過面72aを透過して、第2レンズ要素71bに到達する。反射部材72から出射した光線は、第2レンズ要素71bおよびダミープリズム61を透過して、第2像面S2に結像される。また、第1レンズ要素71aに入射する光線の主光線と、第2レンズ要素71bから出射する光線の主光線と、が平行である。なお、「主光線が平行である」には、製造誤差等により若干平行となっていない状態を含む。
【0027】
図2に示すように、リレー光学系7は、第1像面S1の側がテレセントリックである。テレセントリックとは、第1レンズ要素71aと第1像面S1に配置された光変調素子4との間を通過する各光束の主光線が、光軸と平行または光軸と略平行となっていることをいう。本明細書において、テレセントリックとは、各光束の主光線と光変調素子4の光軸とが成す角度が±5°以内であることをいう。
【0028】
図2に示すように、リレー光学系7は、第2像面S2の側がテレセントリックである。テレセントリックとは、第2レンズ要素71bと第2像面S2との間を通過する各光束の主光線が、光軸と平行または光軸と略平行となっていることをいう。本明細書において、テレセントリックとは、各光束の主光線と第2像面S2の光軸とが成す角度が±5°以内であることをいう。
【0029】
リレー光学系7のレンズデータは以下のとおりである。面番号は、第1像面S1から第2像面S2に順番に付してある。符号は、第1像面、ダイクロイックプリズム、第1レンズ要素、透過面、反射面、第2レンズ要素、ダミープリズム、および第2像面の符号である。面番号に*を付した面は非球面である。Rは曲率半径である。Dは軸上面間隔である。Ndはd線の屈折率である。νdはd線のアッベ数である。Yは有効半径である。R、D、Yの単位はmmである。
【0030】
符号 面番号 R D Nd vd モード Y
0 0.00000 0.000000 屈折
S1 1 0.00000 3.000000 屈折 12.748
6 2 0.00000 25.000000 1.5168 64.17 屈折 12.748
3 0.00000 8.820000 屈折 12.489
71a *4 75.20938 25.000000 1.5094 56.47 屈折 40.156
*5 -86.40080 62.953784 屈折 40.033
72a *6 -107.98920 9.557316 1.5094 56.47 屈折 26.500
72b *7 -135.20655 -9.557316 1.5094 56.47 反射 26.000
72a *8 -107.98920 -62.953784 屈折 26.500
71b *9 -86.40080 -25.000000 1.5094 56.47 屈折 41.729
*10 75.20938 -2.441341 屈折 42.200
61 11 0.00000 -30.000000 1.7174 29.50 屈折 21.260
12 0.00000 -8.305100 屈折 21.260
S2 13 0.00000 0.000000 屈折 7.547
【0031】
各非球面係数は以下のとおりである。
【0032】
面番号 4 5 6 7
コーニック定数 0 0 1.59961E+00 0
4次の係数 -1.019789E-06 4.015744E-07 0 -8.511161E-09
6次の係数 1.443295E-10 -2.351044E-11 0 -3.574313E-12
8次の係数 -7.137023E-15 3.063089E-14 0 7.006635E-15
10次の係数 -3.472316E-18 -4.551714E-18 0 -3.002244E-18
【0033】
面番号 8 9 10
コーニック定数 1.59961E+00 0 0
4次の係数 0 4.015744E-07 -1.019789E-06
6次の係数 0 -2.351044E-11 1.443295E-10
8次の係数 0 3.063089E-14 -7.137023E-15
10次の係数 0 -4.551714E-18 -3.472316E-18
【0034】
(作用効果)
本形態のリレー光学系7は、第1像面S1から出射された光線を第2像面S2に等倍に結像させる。リレー光学系7は、光線が通過する順に、第1レンズ要素71aと、反射部材72と、第2レンズ要素71bと、を有する。第1レンズ要素71aは、正のパワーを有する。反射部材72は、光線が入射および出射される面が凹面形状である透過面72aと、透過面72aからの光線が反射される面が凹面形状である反射面72bと、を備える。第2レンズ要素71bは、正のパワーを有する。第1像面S1から出射した光線は、第1レンズ要素71aを透過して、反射部材72に到達する。第1レンズ要素71aからの出射した光線は、透過面72aを透過して、反射面72bで反射される。反射面72bで反射した光線は、透過面72aを透過して、第2レンズ要素71bに到達する。反射部材72から出射した光線は、第2レンズ要素71bを透過して、第2像面S2に結像される。
【0035】
本形態によれば、リレー光学系7の全長を短くするために、第1レンズ要素71aおよび第2レンズ要素71bのレンズパワーを大きくした場合であっても、透過面72aの凹面形状のパワーにより、第1レンズ要素71aおよび第2レンズ要素71bで発生する諸収差を抑制することができる。
【0036】
本形態において、第1レンズ要素71aに入射する光線の主光線と、第2レンズ要素71bから出射する光線の主光線と、が平行である。したがって、リレー光学系7の前後に他の光学系を配置する場合、光線の主光線方向が揃っているため組み合わせや調整が容易となる。
【0037】
本形態において、第1レンズ要素71aおよび第2レンズ要素71bは、互いに同じ形状と同じ屈折率とを有するレンズである。したがって、第1レンズ要素71aおよび第2レンズ要素71bを共通するレンズ要素とすることができるので、第1レンズ要素71aおよび第2レンズ要素71bを異なるレンズ要素とする場合と比較して、部品コストを抑制することができる。
【0038】
本形態において、透過面72aおよび反射面72bは、反射部材72の光軸Mを含む対称面に対して面対称な形状である。第1レンズ要素71aおよび第2レンズ要素71bは、対称面を挟んで対称に設けられている。したがって、対称面を挟んで各レンズ要素が対称に配置されているので、第1レンズ要素71aで発生した諸収差を、第2レンズ要素71bで発生する諸収差によりキャンセルすることができる。よって、リレー光学系7の光学性能を向上させることができる。
【0039】
本形態において、第1レンズ要素71aと第2レンズ要素71bとは、正のパワーを有する一体のレンズ部材71からなる。レンズ部材71は、レンズ部材71の光軸Nを中心とした回転対称な形状を有する。したがって、部品点数を低減することができる。また、レンズ部材71を製造することが容易となる。
【0040】
本形態において、透過面72aおよび反射面72bは、反射部材72の光軸Mを中心とした回転対称な形状である。したがって、反射部材72を製造することが容易となる。
【0041】
本形態において、レンズ部材71の光軸Nと反射部材72の光軸Mとは一致する。これにより、リレー光学系7を製造する際に、レンズ部材71と反射部材72との組立が容易となる。
【0042】
本形態において、リレー光学系7は、第1像面S1の側がテレセントリックである。したがって、リレー光学系7の第1像面S1の側がテレセントリックでないものと比較して、第1像面S1が第1レンズ要素71aの光軸方向に対してわずかにデフォーカスしたとしても、第2像面S2における像の形状が変化せず、良好なリレー光学系7とすることができる。
【0043】
本形態において、リレー光学系7は、第2像面S2の側がテレセントリックである。したがって、リレー光学系7の第2像面S2の側がテレセントリックでないものと比較して、第2像面S2が第2レンズ要素71bの光軸方向に対してわずかにデフォーカスしたとしても、第2像面S2における像の形状が変化せず、良好なリレー光学系7とすることができる。
【0044】
本形態において、リレー光学系7は、第1レンズ要素71aと反射部材72の間の光路上に配置され、反射部材72に入射する光量を制限する調光部材74を有する。したがって、第1像面S1から出射した光線を均等に制限することができる。これにより、第2像面S2に結像される像のコントラストを向上させることができる。
【0045】
本形態において、第1像面S1と第1レンズ要素71aとの間に配置され、第1像面S1から出射した光線が透過するダイクロイックプリズム6と、第2レンズ要素71bと第2像面S2との間に配置され、第2レンズ要素71bから出射した光線が透過するダミー
プリズム61と、を有する。ダミープリズム61は、第2レンズ要素71bの出射面および第2像面S2の光学的距離を、第1像面S1および第1レンズ要素71aの入射面の光学的距離と等しくする。したがって、リレー光学系7の光学要素の配置が対称となるので、ダイクロイックプリズム6で発生した諸収差を、ダミープリズム61で発生する諸収差によりキャンセルすることができる。よって、リレー光学系7の光学性能を向上させることができる。
【0046】
本形態において、ダイクロイックプリズム6の屈折率は、ダミープリズム61の屈折率とは異なる。したがって、互いの屈折率が同一の場合と比較して、リレー光学系7で発生する軸上色収差を良好に補正することができる。
【0047】
本形態において、第1像面S1および第2像面S2は、それぞれ、Y軸方向(第1方向)で対向する第1辺76と、Z軸方向(第2方向)で対向する第2辺77とを備える長方形の像面である。第1像面S1の第1辺76に平行な中心線76aは、第2像面S2の第1辺76に平行な中心線76bと重ならない。第1像面S1の第2辺77に平行な中心線77aは、第2像面S2の第2辺77に平行な中心線77bと重ならない。したがって、各像面とレンズ部材71との間に配置される、ダイクロイックプリズム6およびダミープリズム61の位置を、Y軸方向およびZ軸方向において、互いにズレた位置に配置することができるので、ダイクロイックプリズム6およびダミープリズム61のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0048】
投写光学系5は、リレー光学系7と、リレー光学系7が第2像面S2に結像した光線をスクリーンSに拡大投写する拡大光学系8と、を有する。拡大光学系8は、リレー光学系7に対して、取り換え可能である。したがって、様々なバックフォーカスの拡大光学系8を用いることが可能となるので、使用する拡大光学系8の自由度が向上する。この場合、取り換えられた拡大光学系8のFナンバーに応じて、調光部材74によって光線を調整すれば、スクリーンSに投写される投写像のコントラストを向上させることができる。
【0049】
プロジェクター1は、投写光学系5と、第1像面S1に投写画像を形成する光変調素子4と、を有する。したがって、バックフォーカスが短い拡大光学系8を用いることができるので、高品質の画像表示が可能なプロジェクターとすることができる。
【0050】
図4は、リレー光学系7の球面収差を示す図である。
図5は、リレー光学系7のタンジェンシャルの非点収差を示す図である。
図6は、リレー光学系7のサジタルの非点収差を示す図である。
図7は、軸上色収差を示す図である。なお、収差図において、縦軸は、収差量を示し、横軸は、レンズデータにおける面番号を示している。
【0051】
図4に示すように、第1レンズ要素71aの入射面および第2レンズ要素71bの出射面で発生する諸収差は、透過面72aによってキャンセルされる。また、第1レンズ要素71aの入射面および第2レンズ要素71bの出射面で発生する諸収差は、ダミープリズム61によってもキャンセルされる。この結果、球面収差の総量は、0.0408となる。したがって、本形態のリレー光学系7では、球面収差は良好に抑制されている。
【0052】
図5に示すように、第1レンズ要素71aの出射面および第2レンズ要素71bの入射面で発生する諸収差は、透過面72aによってキャンセルされる。
図6に示すように、第1レンズ要素71aの入射面および第2レンズ要素71bの出射面で発生する諸収差は、透過面72aによってキャンセルされる。この結果、タンジェンシャルの非点収差の総量は、-0.1721となり、サジタルの非点収差の総量は、-0.1244となる。したがって、本形態のリレー光学系7では、非点収差は良好に抑制されている。
【0053】
図7に示すように、第1レンズ要素71aの入射面および第2レンズ要素71bの出射面で発生する諸収差は、透過面72aによってキャンセルされる。また、第1レンズ要素71aの入射面および第2レンズ要素71bの出射面で発生する諸収差は、ダミープリズム61によってもキャンセルされる。この結果、軸上色収差の総量は、0.0169となる。したがって、本形態のリレー光学系7では、軸上色収差は良好に抑制されている。
【0054】
[他の実施形態]
図8は、実施形態2のリレー光学系7Aの概略構成を示す図である。
図8に示すように、リレー光学系7Aは、ダミープリズム61を備えなくてもよい。
【0055】
図9は、実施形態3のリレー光学系7Bの概略構成を示す図である。
図9に示すように、リレー光学系7Bは、第1レンズ要素71aを透過した光線を反射して反射部材72に導くとともに、反射部材72で反射した光線をさらに反射して第2レンズ要素71bに導く第1反射ミラー78を有する。これにより、リレー光学系7Bで光路を折りたたむことができるので、リレー光学系7Bをコンパクトにすることができる。よって、リレー光学系7Bを含めた投写光学系5をコンパクトに構成することができるので、プロジェクター1全体をコンパクトにすることができる。
【0056】
図10は、実施形態4のリレー光学系7Cの概略構成を示す図である。
図10に示すように、リレー光学系7Cは、第2レンズ要素71bを透過した光線を反射する第2反射ミラー79を有する。これにより、第2像面S2の位置の自由度が高まるので、他の部材との干渉を避けつつ後段の拡大光学系8と接続させることが容易となる。
【0057】
図11は、実施形態5のリレー光学系7Dの概略構成を示す図である。
図11に示すように、リレー光学系7Dでは、ダミープリズム61は、第2レンズ要素71bを透過した光線を反射する反射膜61aを備える。これにより、実施形態1と同様に、リレー光学系7Dは、リレー光学系7Dで発生する軸上色収差を良好に補正することができる。また、第2像面S2の位置の自由度が高まるので、他の部材との干渉を避けつつ後段の拡大光学系8と接続させることが容易となる。
【0058】
なお、上記形態では、リレー光学系7は、調光部材74を備えていたが、調光部材74を備えていなくてもよい。また、第1レンズ要素71aと第2レンズ要素71bとは、両凸面形状であるとしたが、これに限らず、例えば、平凸面レンズなど凸レンズとしての機能を有していればよい。すなわち、第1レンズ要素71aおよび第2レンズ要素71bをそれぞれ単体のレンズとしてみたとき、正のパワーを有していればよい。
【0059】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0060】
(付記1)
第1像面から出射された光線を第2像面に結像させるリレー光学系において、
前記リレー光学系は、光線が通過する順に、第1レンズ要素と、反射部材と、第2レンズ要素と、を有し、
前記第1レンズ要素は、正のパワーを有し、
前記反射部材は、光線が入射および出射される面が凹面形状である透過面と、前記透過面からの光線が反射される面が凹面形状である反射面と、を備え、
前記第2レンズ要素は、正のパワーを有し、
前記第1レンズ要素からの出射した光線は、前記透過面を透過して、前記反射面で反射され、
前記反射面で反射した光線は、前記透過面を透過して、前記第2レンズ要素に到達し、
前記反射部材から出射した光線は、前記第2レンズ要素を透過して、前記第2像面に結像されることを特徴とするリレー光学系。
【0061】
これにより、リレー光学系の全長を短くするために、第1レンズ要素および第2レンズ要素のレンズパワーを大きくした場合であっても、透過面の凹面形状のパワーにより、第1レンズ要素および第2レンズ要素で発生する諸収差を抑制することができる。
【0062】
(付記2)
前記第1レンズ要素に入射する光線の主光線と、前記第2レンズ要素から出射する光線の主光線と、が平行であることを特徴とする付記1に記載のリレー光学系。
【0063】
これにより、リレー光学系の前後に他の光学系を配置する場合、光線の主光線方向が揃っているため組み合わせや調整が容易となる。
【0064】
(付記3)
前記第1レンズ要素を透過した光線を反射して前記反射部材に導くとともに、前記反射部材で反射した光線をさらに反射して前記第2レンズ要素に導く第1反射ミラーを有することを特徴とする付記1または2に記載のリレー光学系。
【0065】
これにより、リレー光学系で光路を折りたたむことができるので、リレー光学系をコンパクトにすることができる。
【0066】
(付記4)
前記第2レンズ要素を透過した光線を反射する第2反射ミラーを有することを特徴とする付記1から3の何れか一項に記載のリレー光学系。
【0067】
これにより、第2像面の位置の自由度が高まるので、他の部材との干渉を避けつつ後段の光学系と接続させることが容易となる。
【0068】
(付記5)
前記第1レンズ要素および前記第2レンズ要素は、互いに同じ形状と同じ屈折率とを有するレンズであることを特徴とする付記1から4の何れか一項に記載のリレー光学系。
【0069】
これにより、第1レンズ要素および第2レンズ要素を共通するレンズ要素とすることができるので、第1レンズ要素および第2レンズ要素を異なるレンズ要素とする場合と比較して、部品コストを抑制することができる。
【0070】
(付記6)
前記透過面および前記反射面は、前記反射部材の光軸を含む対称面に対して面対称な形状であり、
前記第1レンズ要素および前記第2レンズ要素は、前記対称面を挟んで対称に設けられていることを特徴とする付記5に記載のリレー光学系。
【0071】
これにより、対称面を挟んで各レンズ要素が対称に配置されているので、第1レンズ要素で発生した諸収差を、第2レンズ要素で発生する諸収差によりキャンセルすることができる。よって、リレー光学系の光学性能を向上させることができる。
【0072】
(付記7)
前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素とは、正のパワーを有する一体のレンズ部材からなり、
前記レンズ部材は、前記レンズ部材の光軸を中心とした回転対称な形状を有することを特徴とする付記6に記載のリレー光学系。
【0073】
これにより、部品点数を低減することができる。また、レンズ部材を製造することが容易となる。
【0074】
(付記8)
前記透過面および前記反射面は、前記反射部材の光軸を中心とした回転対称な形状であることを特徴とする付記6に記載のリレー光学系。
【0075】
これにより、反射部材を製造することが容易となる。
【0076】
(付記9)
前記第1像面の側がテレセントリックであることを特徴とする付記1から8の何れか一項に記載のリレー光学系。
【0077】
これにより、リレー光学系の第1像面の側がテレセントリックでないものと比較して、第1像面が第1レンズ要素の光軸方向に対してわずかにデフォーカスしたとしても、第2像面における像の形状が変化せず、良好なリレー光学系とすることができる。
【0078】
(付記10)
前記第2像面の側がテレセントリックであることを特徴とする付記1から9の何れか一項に記載のリレー光学系。
【0079】
これにより、リレー光学系の第2像面の側がテレセントリックでないものと比較して、第2像面が第2レンズ要素の光軸方向に対してわずかにデフォーカスしたとしても、第2像面における像の形状が変化せず、良好なリレー光学系とすることができる。
【0080】
(付記11)
前記第1レンズ要素と前記反射部材の間の光路上に配置され、前記反射部材に入射する光量を制限する調光部材を有することを特徴とする付記1から10の何れか一項に記載のリレー光学系。
【0081】
これにより、第1像面から出射した光線を均等に制限することができるので、第2像面に結像される像のコントラストを向上させることができる。
【0082】
(付記12)
前記第1像面から出射された光線を前記第2像面に等倍に結像させることを特徴とする付記1から11の何れか一項に記載のリレー光学系。
【0083】
(付記13)
前記第1像面と前記第1レンズ要素との間に配置され、前記第1像面から出射した光線が透過する第1光学部材と、
前記第2レンズ要素と前記第2像面との間に配置され、前記第2レンズ要素から出射した光線が透過する第2光学部材と、を有し、
前記第2光学部材は、前記第2レンズ要素の出射面および前記第2像面の光学的距離を、前記第1像面および前記第1レンズ要素の入射面の光学的距離と等しくすることを特徴とする付記1から12の何れか一項に記載のリレー光学系。
【0084】
これにより、リレー光学系の光学要素の配置が対称となるので、第1光学部材で発生し
た諸収差を、第2光学部材で発生する諸収差によりキャンセルすることができる。よって、リレー光学系の光学性能を向上させることができる。
【0085】
(付記14)
前記第1光学部材の屈折率は、前記第2光学部材の屈折率とは異なることを特徴とする付記13に記載のリレー光学系。
【0086】
これにより、互いの屈折率が同一の場合と比較して、リレー光学系で発生する軸上色収差を良好に補正することができる。
【0087】
(付記15)
前記第2光学部材は、前記第2レンズ要素を透過した光を反射する反射膜を備えることを特徴とする付記13または14に記載のリレー光学系。
【0088】
これにより、第2像面の位置の自由度が高まるので、他の部材との干渉を避けつつ後段の光学系と接続させることが容易となる。
【0089】
(付記16)
前記第1像面および前記第2像面は、それぞれ、第1方向で対向する第1辺と、前記第1方向と直交する第2方向で対向する第2辺とを備える長方形の像面であり、
前記第1像面の前記第1辺に平行な中心線は、前記第2像面の前記第1辺に平行な中心線と重ならず、
前記第1像面の前記第2辺に平行な中心線は、前記第2像面の前記第2辺に平行な中心線と重ならないことを特徴とする付記1から15の何れか一項に記載のリレー光学系。
【0090】
これにより、各像面とレンズ部材の間に配置される、第1光学部材および第2光学部材の位置を、第1方向および第2方向において、互いにズレた位置に配置することができるので、第1光学部材および第2光学部材のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0091】
(付記17)
付記1から16の何れか一項に記載のリレー光学系と、
前記リレー光学系が前記第2像面に結像した光線を第3像面に拡大投写する拡大光学系と、を有することを特徴とする投写光学系。
【0092】
これにより、第2像面を拡大した拡大像を投写することができる。
【0093】
(付記18)
前記拡大光学系は、前記リレー光学系に対して、取り換え可能であることを特徴とする付記17に記載の投写光学系。
【0094】
これにより、様々なバックフォーカスの拡大光学系を用いることが可能となるので、使用する拡大光学系の自由度が向上する。
【0095】
(付記19)
付記17または付記18に記載の投写光学系と、
前記第1像面に投写画像を形成する光変調素子と、
を有することを特徴とするプロジェクター。
【0096】
これにより、バックフォーカスが短い拡大光学系を用いることができるので、高品質の画像表示が可能なプロジェクターとすることができる。
【符号の説明】
【0097】
1…プロジェクター、2…照明光学系、3…分離光学系、4・4R・4G・4B…光変調素子、5…投写光学系、6…ダイクロイックプリズム、7・7A・7B・7C・7D…リレー光学系、7…反射部材、8…拡大光学系、9…保持機構、10…制御部、21…光源、22…インテグレーターレンズ、23…インテグレーターレンズ、24…偏光変換素子、25…重畳レンズ、31…ダイクロイックミラー、32…反射ミラー、33R・33G・33B…フィールドレンズ、34…ダイクロイックミラー、35…リレーレンズ、36…反射ミラー、37…リレーレンズ、38…反射ミラー、61…ダミープリズム、61a…反射膜、70…中間像、71…レンズ部材、71a…第1レンズ要素、71b…第2レンズ要素、72…反射部材、72a…透過面、72b…反射面、74…調光部材、76…第1辺、77…第2辺、78…第1反射ミラー、79…第2反射ミラー、80…投写レンズ、S…スクリーン(第3像面)、S1…第1像面、S2…第2像面。