(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134105
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】定期乗車券提案システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240926BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240926BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044217
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】畑中 佑斗
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC17
5L049CC43
5L050CC17
5L050CC43
(57)【要約】
【課題】公共交通機関の利用者に対して定期乗車券を提案する定期乗車券提案システムを提供する。
【解決手段】
公共交通機関の利用者に対して定期乗車券を提案する定期乗車券提案システムは、利用者の公共交通機関の利用履歴に基づいて、提案する定期乗車券の乗車区間を特定し(S103)、前記利用履歴及び前記乗車区間の料金に基づいて、前記定期乗車券を利用した場合の交通費の削減に関するメリット情報を生成し(S109)、前記乗車区間を示す乗車区間情報及び前記メリット情報を前記利用者に提供する(S110)。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共交通機関の利用者に対して定期乗車券を提案する定期乗車券提案システムであって、
前記利用者の公共交通機関の利用履歴に基づいて、提案する定期乗車券の乗車区間を特定する乗車区間特定手段と、
前記利用履歴及び前記乗車区間の料金に基づいて、前記定期乗車券を利用した場合の交通費の削減に関するメリット情報を生成する生成手段と、
前記乗車区間を示す乗車区間情報及び前記メリット情報を前記利用者に提供する提供手段と
を備える、定期乗車券提案システム。
【請求項2】
前記利用者が過去に訪問した場所を特定する場所特定手段を
さらに備え、
前記乗車区間特定手段は、前記利用履歴、前記料金及び前記訪問した場所に基づいて、前記乗車区間を特定する、
請求項1に記載の定期乗車券提案システム。
【請求項3】
前記場所特定手段は、前記利用者による店舗での支払実績に基づいて、前記訪問した場所を特定する、
請求項2に記載の定期乗車券提案システム。
【請求項4】
前記訪問した場所の最寄りの乗降場が前記乗車区間の範囲内か否かを判定する判定手段
をさらに備え、
前記提供手段は、前記範囲内か否かを判定した結果を示す情報を前記利用者に提供する、
請求項2又は3に記載の定期乗車券提案システム。
【請求項5】
前記提供手段は、前記最寄りの乗降場が前記乗車区間の範囲内であると判定された場合、提案する定期乗車券が利用可能であることを示す情報を前記利用者に提供する、
請求項4に記載の定期乗車券提案システム。
【請求項6】
前記生成手段は、公共交通機関を利用して前記訪問した場所に移動する場合の環境負荷の削減に関する情報を含む前記メリット情報を生成する、
請求項5に記載の定期乗車券提案システム。
【請求項7】
前記場所特定手段は、最寄り駅が前記乗車区間の範囲内にあり、前記訪問した場所と関連する場所を特定し、
前記提供手段は、提案する定期乗車券を利用して前記関連する場所に移動可能であることを示す情報を前記利用者に提供する、
請求項2に記載の定期乗車券提案システム。
【請求項8】
前記場所特定手段は、最寄り駅が前記乗車区間の範囲内にあり、前記利用者の属性に基づいて前記利用者が訪問することが想定される場所を特定し、
前記提供手段は、提案する定期乗車券を利用して前記想定される場所に移動可能であることを示す情報を前記利用者に提供する、
請求項2に記載の定期乗車券提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共交通機関の定期乗車券を利用者に提案する定期乗車券提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、定期乗車券の利用履歴と、定期乗車券の利用にかかる利用価値を日種別に設定した価値テーブルとに基づいて定期乗車券の総利用価値を算出し、その総利用価値に基づいて、当該定期乗車券が有効であるか否かを判定する定期乗車券管理装置が開示されている。この定期乗車券管理装置によれば、利用中の定期乗車券のメリットを利用者に知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の定期乗車券管理装置の場合、利用者は、利用中の定期乗車券に関する情報を得ることができるものの、その時点において利用していない定期乗車券に関する情報を得ることはできない。そのため、この定期乗車券管理装置では、例えば新規に定期乗車券を購入すべきか否か等の判断に資するような情報を利用者に提供することができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、利用者に対して新たな定期乗車券を提案することができる定期乗車券提案システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様の定期乗車券提案システムは、公共交通機関の利用者に対して定期乗車券を提案する定期乗車券提案システムであって、前記利用者の公共交通機関の利用履歴に基づいて、提案する定期乗車券の乗車区間を特定する乗車区間特定手段と、前記利用履歴及び前記乗車区間の料金に基づいて、前記定期乗車券を利用した場合の交通費の削減に関するメリット情報を生成する生成手段と、前記乗車区間を示す乗車区間情報及び前記メリット情報を前記利用者に提供する提供手段とを備える。
【0007】
前記態様において、前記利用者が過去に訪問した場所を特定する場所特定手段をさらに備え、前記乗車区間特定手段は、前記利用履歴、前記料金及び前記訪問した場所に基づいて、前記乗車区間を特定してもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記場所特定手段は、前記利用者による店舗での支払実績に基づいて、前記訪問した場所を特定してもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記訪問した場所の最寄りの乗降場が前記乗車区間の範囲内か否かを判定する判定手段をさらに備え、前記提供手段は、前記範囲内か否かを判定した結果を示す情報を前記利用者に提供してもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記提供手段は、前記最寄りの乗降場が前記乗車区間の範囲内であると判定された場合、提案する定期乗車券が利用可能であることを示す情報を前記利用者に提供してもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記生成手段は、公共交通機関を利用して前記訪問した場所に移動する場合の環境負荷の削減に関する情報を含む前記メリット情報を生成してもよい。
【0012】
また、前記態様において、前記場所特定手段は、最寄り駅が前記乗車区間の範囲内にあり、前記訪問した場所と関連する場所を特定し、前記提供手段は、提案する定期乗車券を利用して前記関連する場所に移動可能であることを示す情報を前記利用者に提供してもよい。
【0013】
また、前記態様において、前記場所特定手段は、最寄り駅が前記乗車区間の範囲内にあり、前記利用者の属性に基づいて前記利用者が訪問することが想定される場所を特定し、前記提供手段は、提案する定期乗車券を利用して前記想定される場所に移動可能であることを示す情報を前記利用者に提供してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、利用者が定期乗車券を購入するにあたって有益な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】定期乗車券提案システム及びその接続先の構成を示すブロック図。
【
図2】利用履歴データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図3】支払実績データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図4】店舗データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図5】定期乗車券提案処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
(システムの構成)
図1は、本実施の形態の定期乗車券提案システム及びその接続先の構成を示すブロック図である。定期乗車券提案システム(以下「提案システム」という)1は、電車及びバス等の公共交通機関の定期乗車券を提案するコンピュータシステムである。また、クレジットカードシステム(以下「カードシステム」という)2は、クレジットカード会社によって運営されるコンピュータシステムである。提案システム1及びカードシステム2は、専用線を介して相互に通信する。
【0018】
利用者端末3は、公共交通機関の利用者によって用いられる情報端末であり、その例として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチ及びタブレット端末等を挙げることができる。なお、本実施の形態の場合、利用者はクレジットカードの会員である。
【0019】
提案システム1及び利用者端末3は、インターネット101を介して相互に通信する。後述するように、提案システム1は、会員に適した定期乗車券の乗車区間を特定し、その定期乗車券に関する情報を利用者端末3に提供する。利用者端末3は、インターネットブラウザ又は専用のアプリケーションなどを用いて、提案システム1から提供された情報を取得し、表示部に表示する。
【0020】
(提案システムの構成)
提案システム1は、CPU、RAM、及びROMを含む制御部を備えるコンピュータで構成されており、この制御部によって後述する各処理が実行される。また、提案システム1は、会員データベース(DB)11、利用履歴データベース(DB)12、支払実績データベース(DB)13、乗車料金データベース(DB)、及び店舗データベース(DB)15の各データベースを有している。以下、これらのデータベースの詳細について説明する。
【0021】
(A)会員DB11
会員DB11は、クレジットカードの会員に関する各種情報を格納するデータベースである。会員DB11に格納される情報には、会員の氏名及び連絡先(住所、電話番号及び電子メールアドレスなど)の他、会員の年齢、性別、家族構成、趣味、職業、勤務先、年収、居住形態及び居住年数等の会員の属性に関する情報が含まれる。
【0022】
提案システム1は、会員に関する各種情報をカードシステム2から取得し、会員DB11に格納する。会員DB11に格納される情報は、適宜のタイミングで最新の内容に更新される。
【0023】
(B)利用履歴DB12
利用履歴DB12は、各利用者の公共交通機関の利用履歴を格納するデータベースである。
図2は、その利用履歴DB12のレイアウトの一例を示す図である。
図2に示すとおり、利用履歴DB12には、公共交通機関を利用した日時、利用した交通機関、乗車駅、及び降車駅(乗降場)等の情報が格納されている。
【0024】
提案システム1は、公共交通機関の利用履歴を管理している各種のシステムからその利用履歴を取得することができる。例えば、会員がクレジットカードによって公共交通機関の乗車料金を支払っている場合、カードシステム2がその支払いに基づいて公共交通機関の利用履歴を管理している。この場合、提案システム1は、カードシステム2からその利用履歴を取得し、利用履歴DB12に格納する。
【0025】
また、提案システム1は、各公共交通機関が運用しているシステムから、その公共交通機関の利用履歴を取得するようにしてもよい。例えば、公共交通機関のシステムが提案システム1へ利用履歴を提供することについて利用者が同意している場合、提案システム1は、その公共交通機関のシステムから利用履歴を取得して利用履歴DB12に格納することができる。
【0026】
(C)支払実績DB13
支払実績DB13は、各利用者のクレジットカードによる支払実績を格納するデータベースである。
図3は、その支払実績DB13のレイアウトの一例を示す図である。
図3に示すとおり、支払実績DB13には、クレジットカードによる支払いを行った日時、支払い先の店舗、及び支払った金額等の情報が格納されている。
【0027】
提案システム1は、支払実績DB13に格納される情報を、適宜のタイミングで繰り返しカードシステム2から取得する。これにより、支払実績DB13が適宜更新され、その内容が最新のものに保たれる。
【0028】
なお、本実施の形態の場合、支払実績DB13にはクレジットカードによる支払実績のみが格納されているが、これに限定されるわけではない。例えば、電子マネー及びQRコード(登録商標)決済等の他のキャッシュレス決済による支払実績が支払実績DB13に格納されていてもよい。また、キャッシュレス決済のみではなく、現金による支払実績が格納されていてもよい。
【0029】
(D)乗車料金DB14
乗車料金DB14は、公共交通機関の乗車区間毎の乗車料金を格納するデータベースである。この乗車料金には、定期乗車券用の乗車料金(以下「定期券料金」という)及び通常の乗車料金(以下「通常料金」という)が含まれる。提案システム1は、後述するように、乗車料金DB14に格納されている情報を用いて、交通費の削減に関するメリット情報を生成する。
【0030】
(E)店舗DB15
店舗DB15は、クレジットカードの加盟店(店舗)に関する情報を格納するデータベースである。
図4は、その店舗DB15のレイアウトの一例を示す図である。
図4に示すとおり、店舗DB15には、各店舗の名称、業種、住所及び最寄り駅(最寄りの乗降場の一例)等の情報が格納されている。提案システム1は、後述するように、店舗DB15に格納されている情報を用いて、会員が過去に訪問したことがある場所などを特定する。
【0031】
この店舗DB15には、実店舗のみならず、インターネット上のオンライン店舗に関する情報も格納される。後述するように、提案システム1は、実店舗に関する情報のみではなく、オンライン店舗に関する情報も用いて、会員が関心を持つことが予想される場所を特定する。
【0032】
本実施の形態では、店舗DB15にクレジットカードの加盟店に関する情報のみが格納されているが、支払実績DB13について説明した場合と同様、電子マネー及びQRコード(登録商標)決済等の他のキャッシュレス決済で利用される店舗、さらに現金決済で利用される店舗に関する情報が格納されていてもよい。
【0033】
(システムの動作)
提案システム1は、下記の定期乗車券提案処理を実行し、各利用者に対してその利用者に適した定期乗車券の提案を行う。定期乗車券提案処理を実行するタイミングは種々想定される。例えば、6か月毎及び1年毎などのように、所定期間毎に定期乗車券提案処理が繰り返し実行されてもよく、また、利用者から要求を受けたタイミングで実行されてもよい。
【0034】
図5は、提案システム1によって実行される定期乗車券提案処理の手順の一例を示すフローチャートである。提案システム1は、定期乗車券の提案先となる利用者を特定した後、その利用者の公共交通機関の利用履歴を利用履歴DB12から抽出する(S101)。ここで、提案システム1は、特定の期間内(例えば直近3カ月間など)の利用履歴のみを抽出してもよく、利用履歴DB12に格納されているすべての期間の利用履歴を抽出してもよい。
【0035】
次に、提案システム1は、支払実績DB13を参照して、利用者が過去に訪問した場所(以下「訪問場所」という)を特定する(S102)。より具体的に説明すると、提案システム1は、支払実績DB13を参照して利用者が過去に利用した店舗を特定し、これを訪問場所とする。
【0036】
なお、提案システム1は、支払実績DB13に基づいて当該店舗を利用した回数をカウントし、その回数が所定値以上の店舗のみを訪問場所として特定するようにしてもよい。また、直近の所定期間内に利用者が利用した店舗、又は利用頻度が高くなる傾向にある店舗などが特定されてもよい。
【0037】
次に、提案システム1は、上記の利用履歴及び/又は訪問場所に基づいて、提案する定期乗車券の乗車区間を特定する(S103)。例えば、利用履歴によって特定の2つの駅間を高い頻度で移動していることが確認できる場合、提案システム1はその2つの駅を乗車区間として特定する。また、その2つの駅間ではないものの、当該2つの駅の近隣の駅を最寄り駅とする店舗が訪問場所として特定されている場合、提案システム1はその訪問場所の最寄り駅を含む区間を乗車区間として特定する。訪問場所の最寄り駅は店舗DB15を用いることにより特定することができる。
【0038】
なお、ステップS103においては、1つの乗車区間のみが特定されてもよく、複数の乗車区間が特定されても構わない。複数の乗車区間が特定される場合、これ以降の処理は各乗車区間について実行される。以下では、1つの乗車区間のみが特定される場合を例示する。
【0039】
次に、提案システム1は、上記の乗車区間の範囲内に最寄り駅があって、しかも訪問場所と関連する場所(以下「関連場所」という)を特定する(S104)。例えば、提案システム1は、店舗DB15を参照して訪問場所と同じ系列の店舗を特定し、その店舗の中で乗車区間の範囲内に最寄り駅があるものを、関連場所として特定する(訪問場所がXショップ○○店であった場合に、同じXショップの系列店であって、乗車区間の範囲内に最寄り駅があるXショップ□□店を関連場所とする等)。その他にも、訪問場所と同一の業種の店舗を特定し、その店舗の中で乗車区間の範囲内に最寄り駅があるものを、関連場所としてもよい(訪問場所がフィットネスジムのYジムであった場合に、同じくフィットネスジムであって、乗車区間の範囲内に最寄り駅があるSジムを関連場所とする等)。
【0040】
なお、利用者がオンラインショップで支払いを行っている場合は、そのオンラインショップが利用者の訪問場所となる。この場合において、そのオンラインショップの運営会社が実店舗を有しており、しかもその最寄り駅が乗車区間の範囲内にあるとき、その実店舗が関連場所として特定されてもよい。
【0041】
次に、提案システム1は、上記の乗車区間の範囲内に最寄り駅があって、しかも利用者の属性に基づいてその利用者が訪問することが想定される場所(以下「想定場所」という)を特定する(S105)。例えば、会員DB11に格納されている家族構成によって利用者の家族に未就学児がいることが確認できる場合、提案システム1は、乗車区間の範囲内に最寄り駅がある保育園を特定し、これを想定場所とする。その他にも、提案システム1は、利用者の年齢及び/又は性別などによってその利用者が関心を持つことが予想される商品・サービスを特定し、その商品・サービスを提供している店舗であって、乗車区間の範囲内に最寄り駅があるものを、想定場所として特定してもよい。
【0042】
次に、提案システム1は、乗車料金DB14を参照して、上記の乗車区間の定期券料金及び通常料金を特定する(S106)。なお、定期券料金は、有効期間毎に異なるのが一般的であるところ、ステップS106においては、所定の有効期間(例えば、6カ月間など)に係る定期券料金のみが特定されてもよく、すべての有効期間に係る定期料金が特定されてもよい。
【0043】
次に、提案システム1は、上記のようにして特定した訪問場所、関連場所及び想定場所に自家用自動車で移動する場合に発生する二酸化炭素排出量を特定する(S107)。この場合、提案システム1は、会員DB11から利用者の住所を抽出し、その住所と各場所との間の距離を特定し、その距離を自家用自動車で移動する場合に想定される二酸化炭素排出量を算出する。
【0044】
なお、二酸化炭素排出量とともに、またはそれに代えて、環境負荷に関する他の指標が用いられてもよい。その例として、自家用車で当該距離を移動する場合に生じる大気汚染及び騒音などを挙げることができる。
【0045】
次に、提案システム1は、利用者が公共交通機関を用いて外出した場合に削減される電気代を特定する(S108)。例えば、提案システム1は、利用者が休日の午後に外出せずに自宅にいた場合に発生することが想定される電気代を算出し、これを外出した場合に削減される電気代として特定する。
【0046】
次に、提案システム1は、上記のようにして特定された乗車区間、訪問場所、関連場所、想定場所、定期券料金、通常料金、二酸化炭素排出量、及び電気代、並びに会員DB11及び支払実績DB13を用いて、定期乗車券を利用した場合に利用者が享受できるメリットに関するメリット情報を生成する(S109)。メリット情報の詳細については、その表示例と合わせて後述する。
【0047】
次に、提案システム1は、提案する定期乗車券の乗車区間を示す乗車区間情報及び生成したメリット情報を、利用者端末3に対して送信する(S110)。この送信の態様は種々想定できるが、例えば、定期乗車券の提案がある旨を示す電子メールが利用者の電子メールアドレス宛に送信され、その電子メールを確認した利用者が利用者端末3を用いて提案システム1にアクセスしたときに、提案システム1が利用者端末3に対して乗車区間情報及びメリット情報を送信する。ここで、利用者端末3は、インターネットブラウザ又は専用のアプリケーションなどを用いて、提案システム1から乗車区間情報・メリット情報を取得し、これらを表示部に表示する。
【0048】
利用者端末3は、提案システム1から取得した乗車区間情報及びメリット情報を含む定期乗車券提案画面を表示部に表示する。
図6は、その定期乗車券提案画面の一例を示す図である。
図6に示すとおり、定期乗車券提案画面には、提案する定期乗車券の乗車区間(
図6の例では「A駅~B駅」)が表示されるとともに、「交通費」、「クレジットカード利用」、「電気代」及び「子育て」に関する情報が表示されている。
【0049】
図6に示すとおり、「交通費」に関する情報には、過去6カ月間の乗車料金(通常料金)の実績、定期乗車券を利用した場合の6か月の乗車料金(定期券料金)、及び交通費の削減メリットが含まれている。
図6に示す例の場合、6か月の実績が60,000円で、定期乗車券を利用すると6か月で55,000円になるため、5,000円の削減が図られることが示されている。
【0050】
「クレジットカード利用」に関する情報には、過去6カ月間のクレジットカードによる支払額の実績、利用した店舗(訪問場所)、その店舗に自家用自動車で移動した場合の二酸化炭素(Co
2)排出量、その店舗と関連する店舗(関連場所)、関連場所を利用する場合に想定される支払額、及び環境負荷の削減メリットが含まれている。
図6に示す例の場合、訪問場所としてXショップ○○店及びZスーパー○○店が、それらの関連場所として同一系列のXショップ□□店及びZスーパー□□店がそれぞれ示されている。なお、訪問場所と同様の支払いを関連場所で行う場合、支払額は訪問場所の場合と同様となることが想定される。そのため、この例では、訪問場所及び関連場所で同一の支払額が示されている。
【0051】
訪問場所が郊外店であるため自家用自動車の利用が想定される場合、提案システム1によって二酸化炭素排出量が算出される。その算出された二酸化炭素排出量は、過去6か月の実績として定期乗車券提案画面に示される。また、その訪問場所に係る関連場所に定期乗車券を利用して移動する場合は、二酸化炭素排出量が増加するわけではないため、排出量がゼロであることが示されている。さらに、定期乗車券を利用することによって二酸化炭素排出量の削減に貢献できるというメリットが示されている。
【0052】
なお、訪問場所への移動が自家用自動車であるか否かは、提案システム1が支払実績DB13を参照することによって判断してもよい。具体的には、支払実績DB13に、訪問場所の駐車場の支払いが含まれているかどうか、日常的なガソリン等の燃料代の支払い又は定期的な車検代金の支払いが含まれているかどうかなどで判断してもよい。また、自家用自動車ではなくタクシーを利用して郊外店への移動があったか否かを、提案システム1が支払実績DB13を参照することによって判断してもよい。その他、訪問場所への移動が自家用自動車であるか否かは、ETCカードを利用しているかどうかで判断してもよい。
【0053】
「電気代」に関する情報には、過去6カ月間に利用者が支払った電気代の実績、休日午後に外出した場合に想定される電気代、及び電気代の削減メリットが含まれている。ここで、利用者がクレジットカードを用いて電気代を支払っている場合、提案システム1は、支払実績DB13を参照することによってその電気代を確認することができる。利用者が別の手段で電気代を支払っている場合、提案システム1は、会員DB11に格納されている利用者の属性などから想定される電気代を算出し、それを電気代の実績とする。
図6に示す例の場合、6か月の電気代の実績が60,000円、休日午後に外出した場合に想定される電気代が55,000円であるため、5,000円の削減が図られることが示されている。
【0054】
会員DB11に格納されている家族構成によって利用者の家族に未就学児がいることが確認できる場合、定期乗車券提案画面に「子育て」に関する情報が盛り込まれる。この情報には、提案する定期乗車券の乗車区間の範囲内に保育園(想定場所)が存在すること、及びその保育園を利用することによって子育て支援を享受できるというメリットが示されている。
【0055】
上述したとおり、保育園は想定場所の一例であって、その他の場所が想定場所として特定される場合がある。例えば、利用者の属性に基づいてレストランが想定場所として特定されている場合、定期乗車券を利用してそのレストランに行くことが可能であること、及びそのレストランにて提供されているサービスの内容(享受可能なメリットに相当)等が定期乗車券提案画面に示される。このように、想定場所に応じて表示される情報は異なるが、定期乗車券を利用してその想定場所に行くことができること、及びその提供場所を利用することにより得られるメリットが表示されることになる。
【0056】
このように、本実施の形態では、利用者の公共交通機関の利用履歴に基づいて、その利用者に適した定期乗車券の乗車区間を特定し、それを当該利用者に提供することができる。また、交通費の削減を含む各種メリットが併せて利用者に提供される。そのため、利用者は、自身にとってのメリットを確認した上で、定期乗車券の購入を検討することができる。
【0057】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態において、提案システム1は、利用者による支払実績に基づいて利用者が訪問した場所を特定しているが、これに限定されるわけではない。例えば、GPS等を用いて取得された利用者の行動履歴に基づいて訪問した場所を特定したり、利用者の自己申告にしたがって当該場所を特定したりしてもよい。
【0058】
なお、提案システム1は、会員DB11を参照することによって利用者の勤務先を確認することができるため、その勤務先の場所を考慮して乗車区間を特定したり、その勤務先を訪問場所として特定した上で関連場所・想定場所を特定したりしてもよい。例えば、その勤務先の本社、支社、及びサテライトオフィスなどを特定し、それらを含む乗車区間を提案したり、それらの近隣にある店舗を関連場所・想定場所として特定した上でメリット情報を生成したりすることが可能である。
【0059】
また、上記の実施の形態では、利用者の属性に基づいて想定場所が特定されるが、一般的に多くの人が利用することが想定される場所の場合、利用者の属性に基づかずに特定されてもよい。例えば、市役所の出張所、図書館、フィットネスジム、音楽・英会話等の各種教室、及び歯科医院等については、これらの最寄り駅が乗車区間の範囲内にある場合、利用者の属性とは関係なく想定場所として特定してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 定期乗車券提案システム
2 クレジットカードシステム
3 利用者端末
11 会員データベース
12 利用履歴データベース
13 支払実績データベース
14 乗車料金データベース
15 店舗データベース
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