(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134115
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体メモリ及びメモリシステム
(51)【国際特許分類】
G11C 16/24 20060101AFI20240926BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240926BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20240926BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240926BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240926BHJP
H10B 41/40 20230101ALI20240926BHJP
【FI】
G11C16/24 130
H10B43/27
H10B43/40
H01L29/78 371
H10B41/27
H10B41/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044229
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳二
(72)【発明者】
【氏名】奥山 敦司
(72)【発明者】
【氏名】河野 良洋
(72)【発明者】
【氏名】中陦 孝雄
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA19
5B225CA04
5B225EA05
5B225ED07
5B225EE18
5B225EE19
5B225FA01
5B225FA02
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083ER23
5F083GA10
5F083JA02
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA10
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA19
5F083MA20
5F083ZA21
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BF05
(57)【要約】
【課題】ラッチ回路のリーク電流を低減できる半導体メモリ及びメモリシステムを提供する。
【解決手段】実施形態の半導体メモリは、データを記憶可能なメモリセルと、メモリセルに書き込むデータあるいはメモリセルから読み出されたデータを記憶するラッチ回路ADLと、メモリセル及びラッチ回路ADLを制御するシーケンサ15とを備える。シーケンサ15は、リリースコマンドRLに基づいてラッチ回路ADLへの電源としての電圧VSSの供給を制御する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶可能な第1メモリセル、
前記第1メモリセルに書き込むデータ、あるいは前記第1メモリセルから読み出されたデータを記憶する第1ラッチ回路、
前記第1メモリセル及び前記第1ラッチ回路を制御する制御回路、
を備える半導体メモリと、
前記半導体メモリを制御するコントローラと、
を具備し、
前記コントローラは、第1コマンドを前記半導体メモリに送信し、
前記制御回路は、前記第1コマンドに基づいて前記第1ラッチ回路への電源としての第1電圧の供給を制御するメモリシステム。
【請求項2】
前記第1ラッチ回路は、前記第1電圧が供給される第1ノードと、前記第1電圧と異なる電源としての第2電圧が供給される第2ノードとを有する請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1コマンドに基づいて、前記第1ラッチ回路への前記第1電圧の供給を停止する請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項4】
前記第1コマンドに基づいて、前記第1ラッチ回路に供給される前記第1電圧は、接地電圧より高く、前記第2電圧より低い請求項2に記載のメモリシステム。
【請求項5】
前記第1ノードと接地電圧が供給される第3ノードとの間に接続された第1トランジスタをさらに具備する請求項2に記載のメモリシステム。
【請求項6】
前記第1ノードと接地電圧が供給される第3ノードとの間に接続された第1トランジスタと、
前記第1ノードと前記第3ノードとの間に接続された第2トランジスタ及び抵抗素子と、
をさらに具備する請求項2に記載のメモリシステム。
【請求項7】
前記制御回路は、前記第1メモリセルに対して書き込み動作を実行し、前記書き込み動作は、プログラム動作と、前記プログラム動作により前記第1メモリセルに書き込まれたデータを検証するプログラムベリファイ動作とを含み、
前記制御回路は、前記書き込み動作において、前記第1コマンドを受信し、かつ前記プログラムベリファイ動作が終了したときに、前記第1電圧の供給を停止する請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第1メモリセルに対して読み出し動作を実行し、
前記制御回路は、前記読み出し動作において、前記第1コマンドを受信し、かつ前記読み出し動作が終了したときに、前記第1電圧の供給を停止する請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項9】
前記第1メモリセル及び前記第1ラッチ回路を含む第1メモリセルアレイと、
データを記憶可能な第2メモリセル、及び前記第2メモリセルに書き込むデータ、あるいは前記第2メモリセルから読み出されたデータを記憶する第2ラッチ回路を含む第2メモリセルアレイと、
を備え、
前記制御回路は、前記第1コマンドに基づいて、前記第1ラッチ回路に供給される前記第1電圧、及び前記第2ラッチ回路に供給される電源としての第3電圧を制御する請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項10】
データを記憶可能な第1メモリセル、
前記第1メモリセルに書き込むデータ、あるいは前記第1メモリセルから読み出されたデータを記憶する第1ラッチ回路、第2ラッチ回路、及び第3ラッチ回路、
データを記憶可能な第2メモリセル、
前記第2メモリセルに書き込むデータ、あるいは前記第2メモリセルから読み出されたデータを記憶する第4ラッチ回路、第5ラッチ回路、及び第6ラッチ回路、
前記第1メモリセル、前記第2メモリセル、前記第1ラッチ回路、前記第2ラッチ回路、前記第3ラッチ回路、前記第4ラッチ回路、前記第5ラッチ回路、及び前記第6ラッチ回路を制御する制御回路、
を備える半導体メモリと、
前記半導体メモリを制御するコントローラと、
を具備し、
前記コントローラは、第1コマンドを前記半導体メモリに送信し、
前記制御回路は、前記第1コマンドに基づいて前記第1ラッチ回路及び前記第4ラッチ回路に供給される電源としての第1電圧を制御するメモリシステム。
【請求項11】
前記第1メモリセル及び前記第2メモリセルの各々は、下位ビットデータ、中位ビットデータ、及び上位ビットデータを記憶可能であり、
前記第1ラッチ回路及び前記第4ラッチ回路は、前記下位ビットデータを記憶する請求項10に記載のメモリシステム。
【請求項12】
データを記憶可能な第1メモリセルと、
前記第1メモリセルに書き込むデータ、あるいは前記第1メモリセルから読み出されたデータを記憶する第1ラッチ回路と、
前記第1メモリセル及び前記第1ラッチ回路を制御する制御回路と、
を具備し、
前記制御回路は、外部から供給される第1コマンドに基づいて前記第1ラッチ回路への電源としての第1電圧の供給を制御する半導体メモリ。
【請求項13】
前記第1ラッチ回路は、前記第1電圧が供給される第1ノードと、前記第1電圧と異なる電源としての第2電圧が供給される第2ノードとを有する請求項12に記載の半導体メモリ。
【請求項14】
前記制御回路は、前記第1コマンドに基づいて、前記第1ラッチ回路への前記第1電圧の供給を停止する請求項12に記載の半導体メモリ。
【請求項15】
前記第1コマンドに基づいて、前記第1ラッチ回路に供給される前記第1電圧は、接地電圧より高く、前記第2電圧より低い請求項13に記載の半導体メモリ。
【請求項16】
前記第1ノードと接地電圧が供給される第3ノードとの間に接続された第1トランジスタをさらに具備する請求項13に記載の半導体メモリ。
【請求項17】
前記第1ノードと接地電圧が供給される第3ノードとの間に接続された第1トランジスタと、
前記第1ノードと前記第3ノードとの間に接続された第2トランジスタ及び抵抗素子と、
をさらに具備する請求項13に記載の半導体メモリ。
【請求項18】
前記制御回路は、前記第1メモリセルに対して書き込み動作を実行し、前記書き込み動作は、プログラム動作と、前記プログラム動作により前記第1メモリセルに書き込まれたデータを検証するプログラムベリファイ動作とを含み、
前記制御回路は、前記書き込み動作において、前記第1コマンドを受信し、かつ前記プログラムベリファイ動作が終了したときに、前記第1電圧の供給を停止する請求項12に記載の半導体メモリ。
【請求項19】
前記制御回路は、前記第1メモリセルに対して読み出し動作を実行し、
前記制御回路は、前記読み出し動作において、前記第1コマンドを受信し、かつ前記読み出し動作が終了したときに、前記第1電圧の供給を停止する請求項12に記載の半導体メモリ。
【請求項20】
前記第1メモリセル及び前記第1ラッチ回路を含む第1メモリセルアレイと、
データを記憶可能な第2メモリセル、及び前記第2メモリセルに書き込むデータ、あるいは前記第2メモリセルから読み出されたデータを記憶する第2ラッチ回路を含む第2メモリセルアレイと、
を備え、
前記制御回路は、前記第1コマンドに基づいて、前記第1ラッチ回路に供給される前記第1電圧、及び前記第2ラッチ回路に供給される電源としての第3電圧を制御する請求項12に記載の半導体メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体メモリ及びメモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性の半導体メモリとして、例えば、メモリセルが二次元あるいは三次元に配列されたNAND型フラッシュメモリが知られている。NAND型フラッシュメモリと、NAND型フラッシュメモリを制御するメモリコントローラとにより、メモリシステムが構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-116784号公報
【特許文献2】特許第4388274号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラッチ回路のリーク電流を低減できる半導体メモリ及びメモリシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体メモリは、データを記憶可能な第1メモリセルと、前記第1メモリセルに書き込むデータ、あるいは前記第1メモリセルから読み出されたデータを記憶する第1ラッチ回路と、前記第1メモリセル及び前記第1ラッチ回路を制御する制御回路とを備える。前記制御回路は、外部から供給される第1コマンドに基づいて前記第1ラッチ回路への電源としての第1電圧の供給を制御する。
【0006】
実施形態のメモリシステムは、データを記憶可能な第1メモリセル、前記第1メモリセルに書き込むデータ、あるいは前記第1メモリセルから読み出されたデータを記憶する第1ラッチ回路、前記第1メモリセル及び前記第1ラッチ回路を制御する制御回路を備える半導体メモリと、前記半導体メモリを制御するコントローラとを備える。前記コントローラは、第1コマンドを前記半導体メモリに送信し、前記制御回路は、前記第1コマンドに基づいて前記第1ラッチ回路への電源としての第1電圧の供給を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るメモリシステムの回路構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係るメモリセルアレイ内のブロックの回路図である。
【
図3】第1実施形態に係るメモリセルアレイの平面レイアウトの一部を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るメモリセルアレイの一部の断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るメモリピラーの断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るメモリセルトランジスタの取り得る閾値電圧分布とデータの関係を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体メモリ内のセンスアンプの回路構成を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係るセンスアンプ内のセンスユニットの回路図である。
【
図9】第1実施形態に係るセンスユニット内のラッチ回路ADLの回路図である。
【
図10】第1実施形態に係るセンスユニット内のラッチ回路BDLの回路図である。
【
図11】第1実施形態に係るセンスユニット内のラッチ回路CDLの回路図である。
【
図12】第1実施形態に係る電源オンオフモードを示すタイミングチャートである。
【
図13】第1実施形態に係るメモリシステムの動作の概要を示す図である。
【
図14】第1実施形態に係るメモリシステムの書き込み動作及び読み出し動作の第1例を示すフローチャートである。
【
図15】
図14に示す書き込み動作及び読み出し動作の第1例のタイミングチャートである。
【
図16】第1実施形態に係るメモリシステムの書き込み動作及び読み出し動作の第2例を示すフローチャートである。
【
図17】
図16に示す書き込み動作及び読み出し動作の第2例のタイミングチャートである。
【
図18】第2実施形態に係るセンスユニット内のラッチ回路ADLの回路図である。
【
図19】第2実施形態に係るセンスユニット内のラッチ回路BDLの回路図である。
【
図20】第2実施形態に係るセンスユニット内のラッチ回路CDLの回路図である。
【
図21】第2実施形態に係る電源オンオフモード及び低リークモードを示すタイミングチャートである。
【
図22】第2実施形態に係るメモリシステムの動作の概要を示す図である。
【
図23】第2実施形態に係るメモリシステムの書き込み動作及び読み出し動作の第1例を示すフローチャートである。
【
図24】
図23に示す書き込み動作及び読み出し動作の第1例のタイミングチャートである。
【
図25】第2実施形態に係るメモリシステムの書き込み動作及び読み出し動作の第2例を示すフローチャートである。
【
図26】
図25に示す書き込み動作及び読み出し動作の第2例のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、以下に示す実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、及び配置等を下記のものに特定するものではない。
【0009】
機能ブロックは、ハードウェア、コンピュータソフトウェアのいずれかまたは両者を組み合わせたものとして実現することができる。機能ブロックが以下の例のように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。
【0010】
以下に、実施形態の半導体メモリ(あるいは、半導体記憶装置)及びメモリコントローラを備えるメモリシステムについて説明する。半導体メモリとして、メモリセルトランジスタが半導体基板の上方に三次元に積層された三次元積層型NAND型フラッシュメモリを例に挙げて説明する。NAND型フラッシュメモリは、データを不揮発に記憶可能な半導体記憶装置である。
【0011】
1.第1実施形態
第1実施形態のメモリシステムについて説明する。
【0012】
1.1 メモリシステムの構成
先ず、第1実施形態のメモリシステムの構成について説明する。
図1は、第1実施形態のメモリシステムの回路構成を示すブロック図である。メモリシステムは、半導体メモリ1及びメモリコントローラ2を備える。メモリシステムは、外部のホスト装置3に接続され、ホスト装置3からの命令に応じて各種動作を実行し得る。メモリコントローラ2は、半導体メモリ1を制御する。
【0013】
図1に示すように、半導体メモリ1は、メモリセルアレイ10_0、10_1、10_2、10_3、ロウデコーダ11_0、11_1、11_2、11_3、センスアンプ12_0、12_1、12_2、12_3、電圧生成回路13、ドライバ14、シーケンサ(または、制御回路)15、コマンドレジスタ16、及びアドレスレジスタ17を備える。
【0014】
プレーンP0は、メモリセルアレイ10_0、ロウデコーダ11_0、及びセンスアンプ12_0を含む。プレーンP1は、メモリセルアレイ10_1、ロウデコーダ11_1、及びセンスアンプ12_1を含む。プレーンP2は、メモリセルアレイ10_2、ロウデコーダ11_2、及びセンスアンプ12_2を含む。プレーンP3は、メモリセルアレイ10_3、ロウデコーダ11_3、及びセンスアンプ12_3を含む。
【0015】
以降、メモリセルアレイ10と記した場合、メモリセルアレイ10_0、10_1、10_2、10_3の各々を示すものとする。同様に、ロウデコーダ11と記した場合、ロウデコーダ11_0、11_1、11_2、11_3の各々を示すものとする。センスアンプ12と記した場合、センスアンプ12_0、12_1、12_2、12_3の各々を示すものとする。
【0016】
メモリセルアレイ10は、1つまたは複数のブロックBLK0、BLK1、BLK2、…、BLKn(nは0以上の整数)を備える。複数のブロックBLK0~BLKnの各々は、ロウ及びカラムに対応付けられた複数のメモリセルトランジスタ(以下、メモリセルとも記す)を含む。メモリセルトランジスタは、電気的に消去およびプログラム可能な不揮発性メモリセルである。メモリセルアレイ10は、メモリセルトランジスタに電圧を印加するための、複数のワード線、複数のビット線、及びソース線を含む。ブロックBLKnの具体的な構成については後述する。
【0017】
コマンドレジスタ16は、メモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを記憶する。コマンドCMDは、例えば、シーケンサ15に書き込み動作を命ずる書き込みコマンド、読み出し動作を命ずる読み出しコマンド、及び消去動作を命ずる消去コマンド、格納しておく必要性が無いデータを格納したラッチ回路を知らせるリリースコマンド、及び電源(あるいは、リーク電流)がセーブされる状態にするべきラッチ回路を知らせるセーブコマンド等を含む。なお、リリースコマンド及びセーブコマンドについては後で詳述する。
【0018】
アドレスレジスタ17は、メモリコントローラ2から受信したアドレスADDを記憶する。アドレスADDは、ロウアドレス及びカラムアドレスCAを含む。ロウアドレスは、例えば、動作対象のブロックBLKnを指定するブロックアドレスBA、及び指定されたブロック内の動作対象のワード線WLを指定するページアドレスPAを含む。
【0019】
コマンドレジスタ16及びアドレスレジスタ17には、例えばSRAM(static random access memory)を用いる。
【0020】
シーケンサ15は、コマンドレジスタ16からコマンドを受け、このコマンドに基づくシーケンスに従って半導体メモリ1を統括的に制御する。
【0021】
シーケンサ15は、ドライバ14、ロウデコーダ11、及びセンスアンプ12などを制御して、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作を実行する。具体的には、シーケンサ15は、コマンドレジスタ16から受信した書き込みコマンドに基づいて、ドライバ14、ロウデコーダ11、及びセンスアンプ12を制御して、アドレスADDにて指定された複数のメモリセルトランジスタにデータを書き込む。シーケンサ15は、またコマンドレジスタ16から受信した読み出しコマンドに基づいて、ドライバ14、ロウデコーダ11、及びセンスアンプ12を制御して、アドレスADDにて指定された複数のメモリセルトランジスタからデータを読み出す。シーケンサ15は、またコマンドレジスタ16から受信した消去コマンドに基づいて、ドライバ14、ロウデコーダ11、及びセンスアンプ12を制御して、アドレスADDにて指定されたブロックに記憶されたデータを消去する。
【0022】
電圧生成回路13は、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を生成する。電圧生成回路13は、生成した電圧を、ドライバ14、メモリセルアレイ10、ロウデコーダ11、及びセンスアンプ12などに供給する。
【0023】
ドライバ14は、電圧生成回路13から複数の電圧を受け取る。ドライバ14は、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に応じて、電圧生成回路13から供給された複数の電圧から必要な電圧を選択し、選択した電圧を複数の信号線を介してロウデコーダ11に供給する。ドライバ14は、例えば、アドレスレジスタ17に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に、電圧生成回路13から供給された電圧を印加する。
【0024】
ロウデコーダ11は、アドレスレジスタ17からブロックアドレスBAを受け、このブロックアドレスBAをデコードする。ロウデコーダ11は、ブロックアドレスBAのデコード結果に基づいて、複数ブロックのうちのいずれかを選択する。さらに、ロウデコーダ11は、選択されたブロックBLKnにドライバ14から供給された複数の電圧を転送する。
【0025】
センスアンプ12は、アドレスレジスタ17からカラムアドレスCAを受け、このカラムアドレスをデコードする。センスアンプ12は、カラムアドレスCAのデコード結果に基づいて、センスアンプ12内のラッチ回路を選択する。センスアンプ12内のラッチ回路は、データの書き込み動作時に、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータWDAを一時的に記憶する。さらに、センスアンプ12は、書き込みデータWDAに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。センスアンプ12は、データの読み出し動作時に、メモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータをセンス及び増幅する。さらに、センスアンプ12内のラッチ回路は、メモリセルトランジスタから読み出された読み出しデータRDAを一時的に記憶し、記憶した読み出しデータRDAをメモリコントローラ2に送信する。センスアンプ12の具体的な構成については後述する。
【0026】
1.1.1 メモリセルアレイの構成
次に、第1実施形態の半導体メモリ1におけるメモリセルアレイ10の回路構成及び構造について説明する。
【0027】
前述したように、メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKnを有する。以下に、ブロックBLKnの回路構成について説明する。
図2は、メモリセルアレイ10内のブロックBLKnの回路図である。
【0028】
ブロックBLKnは、例えば、複数のストリングユニットSU0、SU1、SU2、SU3を備える。以降、ストリングユニットSUと記した場合、ストリングユニットSU0~SU3の各々を示すものとする。ストリングユニットSUは、複数のNANDストリング(または、メモリストリング)NSを備える。
【0029】
ここでは、説明を平易にするために、NANDストリングNSが、例えば、8個のメモリセルトランジスタMT0、MT1、MT2、…、MT7、及び2個のセレクトトランジスタST1及びST2を備える例を示す。以降、メモリセルトランジスタMTと記した場合、メモリセルトランジスタMT0~MT7の各々を示すものとする。
【0030】
メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートと電荷蓄積層とを備え、データを不揮発に記憶する。メモリセルトランジスタMT0~MT7は、セレクトトランジスタST1のソースとセレクトトランジスタST2のドレインとの間に直列に接続される。メモリセルトランジスタMTは、1ビットのデータ、または2ビット以上のデータを記憶することが可能である。
【0031】
ストリングユニットSU0に含まれる複数のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD0に接続される。同様に、ストリングユニットSU1~SU3の各々のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD1~SGD3にそれぞれ接続される。セレクトゲート線SGD0~SGD3の各々は、ロウデコーダ11によって独立に制御される。
【0032】
ストリングユニットSU0に含まれる複数のセレクトトランジスタST2のゲートは、セレクトゲート線SGSに接続される。同様に、ストリングユニットSU1~SU3の各々のセレクトトランジスタST2のゲートは、セレクトゲート線SGSに接続される。なお、ストリングユニットSU0~SU3のセレクトトランジスタST2のゲートには、個別のセレクトゲート線SGSがそれぞれ接続される場合もある。セレクトトランジスタST1及びST2は、各種動作におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0033】
ブロックBLKnに含まれるメモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、ワード線WL0~WL7にそれぞれ接続される。ワード線WL0~WL7の各々は、ロウデコーダ11によって独立に制御される。
【0034】
ビット線BL0、BL1、BL2、…、BLm(mは0以上の整数)の各々は、複数のブロックBLK0~BLKnに接続され、ブロックBLKnに含まれるストリングユニットSU内にある1つのNANDストリングNSに接続される。すなわち、ビット線BL0~BLmの各々は、ブロックBLKn内でマトリクス状に配置されたNANDストリングNSのうち、同一列にある複数のNANDストリングNSのセレクトトランジスタST1のドレインに接続される。また、ソース線SLは、複数のブロックBLK0~BLKnに接続される。すなわち、ソース線SLは、ブロックBLKnに含まれる複数のセレクトトランジスタST2のソースに接続される。
【0035】
要するに、ストリングユニットSUは、異なるビット線BLに接続され、かつ同一のセレクトゲート線SGDに接続されたNANDストリングNSを複数含む。また、ブロックBLKnは、ワード線WLを共通にする複数のストリングユニットSUを含む。さらに、メモリセルアレイ10は、ビット線BLを共通にする複数のブロックBLK0~BLKnを含む。
【0036】
ブロックBLKnは、例えば、データの消去単位である。すなわち、ブロックBLKn内に含まれるメモリセルトランジスタMTに記憶されたデータは、一括して消去される。複数ブロック内のデータは、1つのブロック毎に順次消去される。また、消去動作は、プレーンP0~P3の各々のブロックBLKnに対して、プレーン毎に独立して実行可能である。なお、データは、ストリングユニットSU単位で消去されてもよいし、また、ストリングユニットSU未満の単位で消去されてもよい。
【0037】
1つのストリングユニットSU内でワード線WLを共有する複数のメモリセルトランジスタMTを、セルユニットCUと呼ぶ。セルユニットCUに含まれる複数のメモリセルトランジスタMTがそれぞれ記憶する1ビットのデータの集まりをページと呼ぶ。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて記憶容量が変化する。例えば、セルユニットCUは、各メモリセルトランジスタMTが1ビットデータを記憶する場合に1ページデータを記憶し、2ビットデータを記憶する場合に2ページデータを、3ビットデータを記憶する場合に3ページデータをそれぞれ記憶する。
【0038】
セルユニットCUに対する書き込み動作及び読み出し動作は、ページを単位として行われる。言い換えると、読み出し動作及び書き込み動作は、1つのストリングユニットSUに配設された1本のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTに対して、一括して行われる。また、書き込み動作及び読み出し動作は、プレーンP0~P3の各々のブロックBLKn内のセルユニットCUに対して、プレーン毎に独立して実行可能である。すなわち、プレーンP0~P3の各々のブロックBLKn内のセルユニットCUに対して、書き込み動作及び読み出し動作を並行して実行できる。
【0039】
なお、ブロックBLKnが備えるストリングユニットの数は、SU0~SU3に限るわけではなく、任意に設定可能である。また、ストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSの数、及びNANDストリングNSが備えるメモリセルトランジスタ、及びセレクトトランジスタの数も、任意に設定可能である。さらに、メモリセルトランジスタMTは、電荷蓄積層として絶縁膜を用いたMONOS(metal-oxide-nitride-oxide-silicon)型であってもよいし、電荷蓄積層として導電層を用いたFG(floating gate)型であってもよい。
【0040】
次に、実施形態の半導体メモリ1内のメモリセルアレイ10の構造の一例について説明する。以下では、半導体メモリ1のメモリセルアレイ10として、メモリセルトランジスタが半導体基板の上方に三次元に積層された三次元積層型NAND型フラッシュメモリを例に挙げる。
【0041】
以下で参照される図面において、X方向はワード線WLの延伸方向に対応し、Y方向はビット線BLの延伸方向に対応し、Z方向は半導体メモリ1が形成される半導体基板の表面に対する鉛直方向に対応する。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。本明細書では、図を見易くするために配線やコンタクト、絶縁層等の構成要素が適宜省略されている。
【0042】
先ず、メモリセルアレイ10の平面レイアウトの一例について説明する。
図3は、第1実施形態におけるメモリセルアレイ10の平面レイアウトの一部を示す図である。
【0043】
メモリセルアレイ10は、例えば、複数のスリットSLT、複数のメモリピラーMP、複数のコンタクトCV、及び複数のビット線BLを含む。
【0044】
複数のスリットSLTは、Y方向に配列されている。各スリットSLTの少なくとも一部は、X方向に沿って延伸している。また、スリットSLTは、同じ配線層に設けられ、且つ当該スリットSLTを介して隣り合う導電層の間を分断している。具体的には、スリットSLTは、例えば、ワード線WL0~WL7、並びにセレクトゲート線SGD及びSGSにそれぞれ対応する複数の配線層を分断している。
【0045】
また、各スリットSLTは、例えばスペーサSP及びコンタクトLIを含んでいる。各スリットSLTにおいて、コンタクトLIの少なくとも一部は、X方向に延伸している。スペーサSPは、コンタクトLIの側面に設けられる。コンタクトLIと、スリットSLTに隣接した複数の配線層との間は、スペーサSPによって離隔及び絶縁される。コンタクトLIは、ソース線SLとして使用される。コンタクトLIは、半導体であっても良いし、金属であっても良い。スペーサSPは、例えば、酸化シリコン(SiO2)を含む。
【0046】
メモリピラーMPの各々は、例えば、1つのNANDストリングNSとして機能する。複数のメモリピラーMPは、例えば、隣り合う2つのスリットSLT間の領域において、4列の千鳥状に配置される。これに限定されず、隣り合う2つのスリットSLT間におけるメモリピラーMPの個数及び配置は、適宜変更され得る。
【0047】
各メモリピラーMPには、少なくとも1本のビット線BLが重なって配置される。複数のビット線BLは、X方向に配列されている。各ビット線BLの少なくとも一部は、Y方向に沿って延伸している。メモリピラーMPに重なっている複数のビット線BLのうち1本のビット線BLと、当該メモリピラーMPとの間は、コンタクトCVを介して電気的に接続される。
【0048】
上述したメモリセルアレイ10の平面レイアウトは、Y方向に繰り返し配置される。そして、スリットSLTによって区切られた領域のそれぞれが、1つのストリングユニットSUに対応している。つまり、各々がX方向に延伸したストリングユニットSU0~SU3の組が、Y方向に配列されている。1本のビット線BLには、例えば、スリットSLTによって区切られた空間のそれぞれにおいて1つのコンタクトCVが接続される。
【0049】
次に、メモリセルアレイ10の断面構造の一例について説明する。
図4は、
図3におけるIV-IV線に沿った断面を示し、メモリピラーMPとスリットSLTを含み、Y方向に沿った断面を表す。
【0050】
メモリセルアレイ10は、半導体基板20、絶縁層22~25、導電層30~34、メモリピラーMP、コンタクトCV、及びスリットSLTを含む。
【0051】
半導体基板20上には、導電層30が設けられる。導電層30は、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成され、ソース線SLとして使用される。導電層30は、例えば、リンがドープされたポリシリコンを含む。
【0052】
導電層30上には、絶縁層21が設けられる。絶縁層21上には、導電層31が設けられる。導電層31は、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成され、セレクトゲート線SGSとして使用される。導電層31は、例えば、リンがドープされたポリシリコンを含む。セレクトゲート線SGSは、複数の導電層31によって構成されてもよい。セレクトゲート線SGSが複数の導電層31によって構成される場合には、複数の導電層31は、互いに異なる導電体によって構成されてもよい。
【0053】
導電層31上には、絶縁層22が設けられる。絶縁層22上には、導電層32と絶縁層23とが交互に積層される。複数の導電層32のそれぞれは、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成される。複数の導電層32は、導電層30側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。導電層32は、例えば、タングステンを含む。
【0054】
最上層の導電層32上には、絶縁層24が設けられる。絶縁層24上には、導電層33が設けられる。導電層33は、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成され、セレクトゲート線SGDとして使用される。セレクトゲート線SGDは、複数の導電層33によって構成されてもよい。導電層33は、例えば、タングステンを含む。
【0055】
導電層33上には、絶縁層25が設けられる。絶縁層25上には、導電層34が設けられる。導電層34は、例えば、Y方向に延伸したライン状に形成され、ビット線BLとして使用される。図示せぬ領域において、複数の導電層34が、X方向に配列される。導電層34は、例えば銅を含む。
【0056】
各メモリピラーMPは、Z方向に沿って延伸している。各メモリピラーMPは、絶縁層21~24、及び導電層31~33を貫通している。メモリピラーMPの下部は、導電層30に接している。メモリピラーMPの上部は、絶縁層25に達している。
【0057】
各メモリピラーMPは、例えば、半導体層40、トンネル絶縁層(トンネル絶縁膜とも称する)41、絶縁層42、及びブロック絶縁層43を含んでいる。
【0058】
半導体層40は、Z方向に沿って延伸している。例えば、半導体層40の下端は、導電層30に接触している。半導体層40の上端は、絶縁層25を含む層に含まれる。トンネル絶縁層41は、半導体層40の側面に配置されている。絶縁層42は、トンネル絶縁層41の側面に配置されている。ブロック絶縁層43は、絶縁層42の側面に配置されている。
【0059】
メモリピラーMPと導電層31(即ち、セレクトゲート線SGS)とが交差した部分は、セレクトトランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと導電層32(即ち、ワード線WL)とが交差した部分は、メモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリピラーMPと導電層33(即ち、セレクトゲート線SGD)とが交差した部分は、セレクトトランジスタST1として機能する。すなわち、半導体層40は、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びにセレクトトランジスタST1及びST2のそれぞれのチャネル層として機能する。絶縁層42は、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として機能する。
【0060】
各メモリピラーMPの半導体層40上には、柱状のコンタクトCVが設けられる。図示された領域には、2つのメモリピラーMPのうち、1つのメモリピラーMPに対応するコンタクトCVが示されている。当該領域においてコンタクトCVが接続されていないメモリピラーMPには、図示されない領域においてコンタクトCVが接続される。コンタクトCV上には、1つの導電層34(即ち、ビット線BL)が接触している。
【0061】
スリットSLTは、例えばスペーサSP及びコンタクトLIを含んでいる。スリットSLTは、少なくとも一部がXZ平面に沿って広がった板状に形成され、絶縁層21~24及び導電層31~33を分断している。スリットSLTの下端は、例えば、導電層30に接触している。スリットSLTの上端は、絶縁層25を含む層に含まれる。スリットSLTにおいて、コンタクトLIの少なくとも一部は、X方向に延伸している。スペーサSPは、コンタクトLIの側面に設けられる。コンタクトLIと、スリットSLTに隣接した複数の配線層との間は、スペーサSPによって離隔及び絶縁される。
【0062】
次に、メモリセルアレイ10内のメモリピラーMPの断面構造について説明する。
図5は、
図4におけるV-V線に沿った断面を示し、半導体基板20の表面に平行かつ導電層32を含む層におけるメモリピラーMPの断面を表す。
【0063】
メモリピラーMPは、上述したように、例えば半導体層40、トンネル絶縁層41、絶縁層42、及びブロック絶縁層43を有する。具体的には、半導体層40は、例えばメモリピラーMPの中央部に設けられる。トンネル絶縁層41は、半導体層40の側面を囲っている。絶縁層42は、トンネル絶縁層41の側面を囲っている。ブロック絶縁層43は、絶縁層42の側面を囲っている。導電層32は、ブロック絶縁層43の側面を囲っている。なお、メモリピラーMPは、半導体層40の内部にコア絶縁層を設けた構造としてもよい。
【0064】
上述したメモリピラーMPの構造において、メモリピラーMPと導電層31とが交差する部分が、セレクトトランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと導電層32とが交差する部分が、それぞれメモリセルトランジスタMT0~MT7として機能する。さらに、メモリピラーMPと導電層33とが交差する部分が、セレクトトランジスタST1として機能する。
【0065】
半導体層40は、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びにセレクトトランジスタST1及びST2のチャネル層として機能する。半導体層40の内部には、NANDストリングNSの電流経路が形成される。
【0066】
トンネル絶縁層41は、半導体層40から絶縁層42に電荷が注入される際、または絶縁層42に蓄積された電荷が半導体層40へ拡散する際に電位障壁として機能する。トンネル絶縁層41は、例えば、酸化シリコン(SiO2)を含む。
【0067】
絶縁層42(即ち、電荷蓄積層)は、メモリセルトランジスタMT0~MT7において半導体層40から注入される電荷を蓄積する機能を有する。絶縁層42は、例えば、窒化シリコン(SiN)を含む。
【0068】
ブロック絶縁層43は、絶縁層42に蓄積された電荷が導電層32(ワード線WL)へ拡散するのを防止する。ブロック絶縁層43は、例えば、アルミニウム酸化層、シリコン酸化層及びシリコン窒化層を含む。
【0069】
1.1.2 メモリセルトランジスタの閾値電圧分布
次に、メモリセルトランジスタMTの取り得る閾値電圧分布とデータの関係について説明する。
図6は、メモリセルトランジスタMTの取り得る閾値電圧分布とデータの関係を示す図である。
【0070】
ここでは、メモリセルトランジスタMTの記憶方式として、1つのメモリセルトランジスタMTに3ビットのデータを記憶可能なTLC(Triple-Level Cell)方式を適用した例を示す。なお、本実施形態は、1つのメモリセルトランジスタMTに1ビットのデータを記憶可能なSLC(Single-Level Cell)方式、1つのメモリセルトランジスタMTに2ビットのデータを記憶可能なMLC(Multi-Level Cell)方式、1つのメモリセルトランジスタMTに4ビットのデータを記憶可能なQLC(Quad-Level Cell)方式等、その他の記憶方式を用いた場合にも適用できる。
【0071】
メモリセルトランジスタMTが記憶可能な3ビットのデータは、下位(lower)ビット、中位(middle)ビット、及び上位(upper)ビットにより規定される。メモリセルトランジスタMTが3ビットを記憶する場合、メモリセルトランジスタMTは、複数の閾値電圧に応じた8つの状態(ステート)のうちのいずれかのステートを取り得る。8つのステートを、低い方から順に、ステート“Er”、“A”、“B”、“C”、“D”、“E”、“F”、“G”と呼ぶ。ステート“Er”、“A”、“B”、“C”、“D”、“E”、“F”、“G”の各々に属する複数のメモリセルトランジスタMTは、
図6に示すような閾値電圧の分布を形成する。
【0072】
ステート“Er”、“A”、“B”、“C”、“D”、“E”、“F”、“G”には、例えば、それぞれデータ“111”、“110”、“100”、“000”、“010”、“011”、“001”、“101”が割り当てられる。ビットの並びは、下位ビット“X”、中位ビット“Y”、上位ビット“Z”とすると、“Z、Y、X”である。なお、閾値電圧分布とデータとの割り当ては、任意に設定可能である。
【0073】
読み出し対象のメモリセルトランジスタMTに記憶されたデータを読み出すために、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が属するステートが判定される。ステートの判定のために、読み出し電圧AR、BR、CR、DR、ER、FR、GRが用いられる。以下、読み出し電圧AR、BR、CR、DR、ER、FR、およびGRを含め、レベルの判断ために読み出し対象のメモリセルトランジスタMTに印加される電圧は、読み出し電圧VCGRVと称される場合がある。
【0074】
ステート“Er”は、例えば、データが消去された状態(消去状態)に相当する。ステート“Er”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電圧ARより低く、例えば負の値を有する。
【0075】
ステート“A”~“G”は、電荷蓄積層に電荷が注入されてメモリセルトランジスタMTにデータが書き込まれた状態に相当し、ステート“A”~“G”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、例えば正の値を有する。ステート“A”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、読み出し電圧ARより高く、かつ読み出し電圧BR以下である。ステート“B”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、読み出し電圧BRより高く、かつ読み出し電圧CR以下である。ステート“C”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、読み出し電圧CRより高く、かつ読み出し電圧DR以下である。ステート“D”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、読み出し電圧DRより高く、かつ読み出し電圧ER以下である。ステート“E”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、読み出し電圧ERより高く、かつ読み出し電圧FR以下である。ステート“F”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、読み出し電圧FRより高く、かつ読み出し電圧GR以下である。ステート“G”に属するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、読み出し電圧GRより高く、電圧VREADより低い。
【0076】
電圧VREADは、読み出し非対象のセルユニットCUのメモリセルトランジスタMTに接続されたワード線WLに印加される電圧であり、いずれのステートにあるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧よりも高い。このため、制御ゲートに電圧VREADが印加されたメモリセルトランジスタMTは、保持するデータに関わらずオン状態になる。
【0077】
また、隣り合う閾値分布の間には、それぞれ書き込み動作で使用されるベリファイ電圧が設定される。具体的には、ステート“A”、“B”、“C”、“D”、“E”、“F”、“G”に対応して、それぞれベリファイ電圧AV、BV、CV、DV、EV、FV、GVが設定される。例えば、ベリファイ電圧AV、BV、CV、DV、EV、FV、GVはそれぞれ、読み出し電圧AR、BR、CR、DR、ER、FR、GRより若干高く設定される。
【0078】
以上のように、各メモリセルトランジスタMTは、8個のステートのいずれかに設定され、3ビットデータを記憶することが可能である。また、書き込み及び読み出しは、1つのセルユニットCU内のページ単位で行われる。メモリセルトランジスタMTが3ビットデータを記憶している場合、1つのセルユニットCU内の3個のページにそれぞれ、下位ビット、中位ビット、及び上位ビットが割当てられる。下位ビット、中位ビット、及び上位ビットについて一回の書き込み動作にて書き込まれるページ、又は一回の読み出し動作にて読み出されるページ、すなわちセルユニットCUの保持する下位ビットの集合、中位ビットの集合、及び上位ビットの集合は、それぞれ下位(lower)ページ、中位(middle)ページ、及び上位(upper)ページと呼ばれる。
【0079】
上記データの割り付けが適用された場合、下位ページは、読み出し電圧AR、ERを用いた読み出し動作によって確定する。中位ページは、読み出し電圧BR、DR、FRを用いた読み出し動作によって確定する。上位ページは、読み出し電圧CR、GRを用いた読み出し動作によって確定する。
【0080】
1.1.3 センスアンプの構成
次に、第1実施形態の半導体メモリ1内のセンスアンプ12の回路構成について説明する。
図7は、半導体メモリ1内のセンスアンプ12の回路構成を示す図である。
【0081】
センスアンプ12は、複数のセンスユニットSAU0、SAU1、…、SAUm(mは0以上の整数)を含む。
【0082】
センスユニットSAU0~SAUmは、それぞれビット線BL0~BLmに関連付けられている。センスユニットSAUmは、例えば、センス回路SAm、ラッチ回路ADL、BDL及びCDL、並びにバスLBUSを含む。
【0083】
センス回路SAmは、例えば、読み出し動作において、ビット線BLmの電圧に基づいて、読み出しデータが“0”であるか“1”であるかを判定する。言い換えると、センス回路SAmは、ビット線BLmに読み出された電圧をセンス及び増幅して、選択されたメモリセルが記憶するデータを判定する。ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれは、読み出しデータや書き込みデータ等を一時的に記憶する。
【0084】
センス回路SAm、並びにラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれは、バスLBUSに接続され、バスLBUSを介して互いにデータを送受信可能である。さらに、センス回路SAmは、バスDBUSを介してラッチ回路XDLに接続される。
【0085】
ラッチ回路XDLは、半導体メモリ1の入出力回路(図示しない)に接続され、センスユニットSAUmと入出力回路との間のデータの入出力に使用される。入出力回路は、メモリコントローラ2から書き込みデータを受信する、あるいは、読み出しデータをメモリコントローラ2に送信する。また、ラッチ回路XDLは、例えば、半導体メモリ1のキャッシュメモリCMとしても使用される。例えば、半導体メモリ1は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLが使用中の場合でも、ラッチ回路XDLが空いていればレディ状態に設定され得る。
【0086】
以下に、センスアンプ12内のセンスユニットSAUmの構成について説明する。
図8は、センスアンプ12内のセンスユニットSAUmの回路図である。なお、本実施形態では、ビット線BLに流れる電流をセンスする電流センス方式のセンスユニットを例に挙げて説明するが、電圧センス方式のセンスユニットを用いてもよい。
【0087】
前述したように、センスユニットSAUmは、センス回路SAm、ラッチ回路ADL、BDL及びCDL、並びにバスLBUSを含む。
【0088】
センス回路SAmは、データの読み出し時には、ビット線BLに読み出されたデータをセンスし、読み出されたデータが“0”であるか“1”であるかを判定する。センス回路SAmは、データの書き込み時には、書き込みデータに基づいてビット線BLに電圧を印加する。また、センス回路SAmは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに記憶されたデータを用いてAND演算またはOR演算を行う。
【0089】
以下に、センス回路SAmの詳細について説明する。以下の説明において、トランジスタのソースまたはドレインの一方を「電流経路の一端」と呼び、ソースまたはドレインの他方を「電流経路の他端」と呼ぶ。
【0090】
センス回路SAmは、nチャネルMOS電界効果トランジスタ(以下、トランジスタと記す)T10~T22、pチャネルMOS電界効果トランジスタ(以下、トランジスタと記す)T23、並びに容量素子C24及びC25を含む。
【0091】
トランジスタT10は、ゲートに信号BLCが入力され、電流経路の一端が対応するビット線BLmに接続され、電流経路の他端がノードSCOMに接続される。トランジスタT10は、対応するビット線BLmを信号BLCに応じた電圧にクランプするためのものである。
【0092】
トランジスタT11は、ゲートに信号BLXが入力され、電流経路の一端がノードSCOMに接続され、電流経路の他端がノードSSRCに接続される。トランジスタT12は、ゲートに信号NLOが入力され、電流経路の一端がノードSCOMに接続され、電流経路の他端がノードSRCGNDに接続される。ノードSRCGNDには、例えば、接地電圧VSSが印加される。トランジスタT12は、対応するビット線BLmを充電または放電するためのものである。トランジスタT13は、ゲートがノードINV_Sに接続され、電流経路の一端がノードSSRCに接続され、電流経路の他端がノードSRCGNDに接続される。
【0093】
トランジスタT14は、ゲートに信号XXLが入力され、電流経路の一端がノードSCOMに接続され、電流経路の他端がノードSENに接続される。トランジスタT14は、メモリセルトランジスタMCのデータをセンスする期間を制御するためのものである。ノードSENは、データの読み出し時に、対象となるメモリセルトランジスタMTのデータをセンスするためのセンスノードとして機能する。より具体的には、読み出し時に、対象となるメモリセルトランジスタMTのオン状態またはオフ状態に応じて、ノードSEN(及び、容量素子C24)にプリチャージされた電荷が、ビット線BLmに転送される。このときのノードSENの電圧をセンスすることによりデータの読み出しが行われる。
【0094】
トランジスタT15は、ゲートがノードSENに接続され、電流経路の一端がトランジスタT16の電流経路の一端に接続され、電流経路の他端に電圧VLOPが印加される。電圧VLOPは、例えば、接地電圧VSSである。トランジスタT16は、ゲートに信号STBが入力され、電流経路の他端がバスLBUSに接続される。トランジスタT17は、ゲートに信号BLQが入力され、電流経路の一端がノードSENに接続され、電流経路の他端がバスLBUSに接続される。トランジスタT18は、ゲートがノードTDCに接続され、電流経路の一端がトランジスタT19の電流経路の一端に接続され、電流経路の他端に電圧VLOPが印加される。トランジスタT19は、ゲートに信号LSLが入力され、電流経路の他端がノードSENに接続される。
【0095】
トランジスタT20は、ゲートに信号LPCが入力され、電流経路の一端がバスLBUSに接続され、電流経路の他端に電圧VHLBが印加される。電圧VHLBは、例えば、電源電圧VDDである。トランジスタT20をオン状態にしてバスLBUSに電圧VHLBを転送することで、バスLBUSがプリチャージされる。
【0096】
トランジスタT21は、ゲートに信号L2Tが入力され、電流経路の一端がノードTDCに接続され、電流経路の他端がバスLBUSに接続される。
【0097】
トランジスタT22は、ゲートに信号DSWが入力され、電流経路の一端がバスLBUSに接続され、電流経路の他端がバスDBUSに接続される。トランジスタT22は、バスLBUSとバスDBUSとを接続するためのバススイッチである。このバススイッチにより、センス回路SAmとラッチ回路XDLとが接続される。
【0098】
トランジスタT23は、ゲートがノードINV_Sに接続され、電流経路の一端に電圧VHSAが印加され、電流経路の他端がノードSSRCに接続される。電圧VHSAは、例えば、電源電圧VDDである。
【0099】
容量素子C24は、一方の電極がノードSENに接続され、他方の電極がノードCLKSAに接続される。ノードCLKSAにはクロックが入力される。
【0100】
容量素子C25は、一方の電極がノードTDCに接続され、他方の電極がノードCLKTDに接続される。ノードCLKTDにはクロックが入力される。
【0101】
ラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、データを一時的に記憶する。データの書き込み動作において、センス回路SAmは、ラッチ回路ADLに記憶されるデータに応じて、ビット線BLmを制御する。その他のラッチ回路BDL及びCDLは、例えば、個々のメモリセルトランジスタMTが2ビット以上のデータを記憶する際に、各ビットのデータを一時的に記憶するために使用される。なお、ラッチ回路の個数は、任意に設定可能であり、例えば、メモリセルトランジスタMTが記憶可能なデータ量(ビット数)に応じて設定される。
【0102】
ラッチ回路ADLは、nチャネルMOS電界効果トランジスタT30~T33、及びpチャネルMOS電界効果トランジスタT34~T37を含む。
【0103】
トランジスタT30は、ゲートに信号ATIが入力され、電流経路の一端がバスLBUSに接続され、電流経路の他端がノードINV_Aに接続される。トランジスタT31は、ゲートに信号ATLが入力され、電流経路の一端がバスLBUSに接続され、電流経路の他端がノードLAT_Aに接続される。
【0104】
トランジスタT32は、ゲートがノードLAT_Aに接続され、電流経路の一端が電源ノードNLAに接続され、電流経路の他端がノードINV_Aに接続される。トランジスタT33は、ゲートがノードINV_Aに接続され、電流経路の一端が電源ノードNLAに接続され、電流経路の他端がノードLAT_Aに接続される。電源ノードNLAは電圧VSSAに設定される。電圧VSSAを設定するための電源ノードNLAに接続される回路構成については、後で詳述する。
【0105】
トランジスタT34は、ゲートがノードLAT_Aに接続され、電流経路の一端がノードINV_Aに接続される。トランジスタT35は、ゲートがノードINV_Aに接続され、電流経路の一端がノードLAT_Aに接続される。トランジスタT36は、ゲートに信号ALIが入力され、電流経路の一端がトランジスタT34の電流経路の他端に接続され、電流経路の他端に電源電圧VDDが印加される。トランジスタT37は、ゲートに信号ALLが入力され、電流経路の一端がトランジスタT35の電流経路の他端に接続され、電流経路の他端に電源電圧VDDが印加される。
【0106】
ラッチ回路ADLでは、トランジスタT33及びT35で第1インバータが構成され、トランジスタT32及びT34で第2インバータが構成される。第1及び第2インバータの低電源側の電源ノードNLAには、上述したように、電圧VSSAが供給される。第1及び第2インバータの、低電源側の電源ノードNLAより高い電圧が供給される高電源側の電源ノード(即ち、トランジスタT36及びT37の他端)には、上述したように、電源電圧VDDが供給される。
【0107】
第1インバータの出力及び第2インバータの入力(ノードLAT_A)が、データ転送用のトランジスタT31を介してバスLBUSに接続される。第1インバータの入力及び第2インバータの出力(ノードINV_A)が、データ転送用のトランジスタT30を介してバスLBUSに接続される。ラッチ回路ADLは、データをノードLAT_Aで記憶し、その反転データをノードINV_Aで記憶する。
【0108】
ラッチ回路BDL及びCDLは、ラッチ回路ADLと同様の構成を有しているため、説明は省略するが、各トランジスタの参照符号及び信号名は、
図8に示す通りラッチ回路ADLのものとは区別して以下に説明する。
【0109】
ラッチ回路BDLにおけるトランジスタT40~T47、及びラッチ回路CDLにおけるトランジスタT50~T57は、ラッチ回路ADLにおけるトランジスタT30~T37にそれぞれ対応する。また、信号BTI及びCTI、並びに信号BTL及びCTLは、信号ATI及びATLにそれぞれ対応する。信号BLI及びCLI、並びに信号BLL及びCLLは、信号ALI及びALLにそれぞれ対応する。
【0110】
電源ノードNLB及びNLC、並びに電圧VSSB及びVSSCは、電源ノードNLA及び電圧VSSAにそれぞれ対応する。ラッチ回路BDLにおける第1及び第2インバータの低電源側の電源ノードNLBには、電圧VSSBが供給される。ラッチ回路BDLにおける第1及び第2インバータの高電源側の電源ノード(即ち、トランジスタT46及びT47の他端)には、電源電圧VDDが供給される。ラッチ回路CDLにおける第1及び第2インバータの低電源側の電源ノードNLCには、電圧VSSCが供給される。ラッチ回路BDLにおける第1及び第2インバータの高電源側の電源ノード(即ち、トランジスタT56及びT57の他端)には、電源電圧VDDが供給される。電圧VSSB及びVSSCを設定するための電源ノードNLB及びNLCにそれぞれ接続される回路構成については、後で詳述する。
【0111】
なお、上記構成のセンスユニットSAUmにおける各種信号は、例えば、シーケンサ15に制御される。
【0112】
以下に、センスアンプ12のセンスユニットSAUm内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLの詳細な回路構成について説明する。
【0113】
前述したように、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLにおいて低電源側の電圧が供給されるノードをそれぞれ電源ノードNLA、NLB及びNLCと称し、電源ノードNLA、NLB及びNLCの電圧をそれぞれ電圧VSSA、VSSB及びVSSCと称する。
【0114】
図9、
図10及び
図11は、センスユニットSAUm内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの詳細な回路図である。
【0115】
図9に示すように、ラッチ回路ADLの電源ノードNLAと電圧VSSノードとの間にトランジスタT38oが接続される。電圧VSSノードは、例えば、接地電圧VSSが供給されるノードである。トランジスタT38oは、例えば、nチャネルMOS電界効果トランジスタを含む。トランジスタT38oのゲートには、信号PONAが入力される。信号PONAはシーケンサ15により制御される。
【0116】
図10に示すように、ラッチ回路BDLの電源ノードNLBと電圧VSSノードとの間にトランジスタT48oが接続される。トランジスタT48oは、例えば、nチャネルMOS電界効果トランジスタを含む。トランジスタT48oのゲートには、信号PONBが入力される。信号PONBはシーケンサ15により制御される。
【0117】
さらに、
図11に示すように、ラッチ回路CDLの電源ノードNLCと電圧VSSノードとの間にトランジスタT58oが接続される。トランジスタT58oは、例えば、nチャネルMOS電界効果トランジスタを含む。トランジスタT58oのゲートには、信号PONCが入力される。信号PONCはシーケンサ15により制御される。その他の回路構成は、
図8にて説明した通りである。
【0118】
次に、第1実施形態で用いる、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLにおける電源オンオフモードについて説明する。電源オンオフモードは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLを電源オン状態、あるいは電源オフ状態に設定する動作である。電源オン状態は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLの各々の電源ノードに、低電源側の電圧、例えば接地電圧VSSと、低電源側の電圧より高い高電源側の電圧、例えば電源電圧VDDが供給された状態である。電源オン状態では、ラッチ回路はデータを記憶可能であり、言い換えると、ラッチ回路はデータを入出力可能であり、かつデータを保持可能である。電源オフ状態では、ラッチ回路はデータを記憶できず、かつデータを保持できない、言い換えると、ラッチ回路が記憶しているデータは破壊される。
【0119】
図12は、電源オンオフモードにおける信号PONA、PONB及びPONC、並びに電圧VSSA、VSSB及びVSSCのタイミングチャートである。電源オンオフモードは、電源オフ状態と電源オン状態を含む。シーケンサ15は、信号PONA、PONB及びPONCにより、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLにおける電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCを制御する。
【0120】
図12に示すように、信号PONA、PONB及びPONCの各々が“L”レベルのとき、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給が停止され、電圧VSSA、VSSB及びVSSCの各々は電圧VDD(例えば、1.0V)になる。これにより、各ラッチ回路ADL、BDL及びCDLが電源オフ状態に設定される。この場合、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLの各々に記憶されていたデータは破壊される。電源オフ状態では、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLの各々に生じるリーク電流が低減される。
【0121】
一方、信号PONA、PONB及びPONCの各々が“H”レベルのとき、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSが供給され、電圧VSSA、VSSB及びVSSCの各々は電圧VSS(例えば、0V)になる。これにより、各ラッチ回路ADL、BDL及びCDLが電源オン状態に設定される。この場合、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLの各々に対するデータの入力及び出力が可能であり、記憶しているデータはそのまま保持される。しかし、電源オン状態では、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLの各々に生じるリーク電流は大きい。
【0122】
1.2 メモリシステムの動作
第1実施形態のメモリシステムの動作について説明する。第1実施形態では、メモリコントローラ2から送信される情報に基づいて、半導体メモリ1のシーケンサ15が、プレーン毎に、あるいは所定のラッチ回路を含むグループ毎に、センスアンプ12内のラッチ回路への電圧VSSの供給、あるいは電圧VSSの供給の停止を制御する。ここでは、メモリコントローラ2から半導体メモリ1に送信され、ラッチ回路にデータを記憶しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2が半導体メモリ1に知らせる情報を、リリースコマンドRLと称する。
【0123】
次に、第1実施形態のメモリシステムの動作の概要について説明する。
図13は、第1実施形態のメモリシステムの動作の概要を示す図である。
【0124】
メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づいて、シーケンサ15は、プレーン毎に、すなわちプレーンP0~P3の各々毎に電源オンオフモードを制御する。または、リリースコマンドRLに基づいて、シーケンサ15は所定のラッチ回路を含むグループ毎に、例えば、複数のラッチ回路ADLを含むグループ、複数のラッチ回路BDLを含むグループ、及び複数のラッチ回路CDLを含むグループの各々のグループ毎に、電源オンオフモードを制御する。ここでは、プレーン毎に、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLにおける電源オンオフモードを制御する例を述べる。
【0125】
前述したように、半導体メモリ1は複数のプレーンP0~P3を備える。プレーンP0~P3の各々はブロックBLK0~BLKnを備える。複数のブロックBLK0~BLKnが共通のビット線を介してセンスアンプ12に接続される。センスアンプ12の各々は、ラッチ回路ADL、BDL、及びCDLを含む。
【0126】
プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL、及びCDLは、それらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSSの供給を遮断するためのトランジスタT0oをそれぞれ有する。トランジスタT0oの各々は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に接続される。各トランジスタT0oは、
図9~
図11に示したトランジスタT38o、T48o及びT58oにそれぞれ相当する。
【0127】
トランジスタT0oは、メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づく制御信号PON0によって、接続状態と遮断状態(または、非接続状態)との間を遷移する。トランジスタT0oが接続状態に設定されると、トランジスタT0oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT0oは、プレーンP0内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態に設定される。
【0128】
一方、トランジスタT0oが遮断状態に設定されると、トランジスタT0oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT0oは、プレーンP0内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0129】
プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、それらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSSの供給を遮断するためのトランジスタT1oをそれぞれ有する。トランジスタT1oは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に接続される。ここではトランジスタT1oは、
図9~
図11に示したトランジスタT38o、T48o及びT58oにそれぞれ相当する。
【0130】
トランジスタT1oは、メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づく制御信号PON1によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT1oが接続状態に設定されると、トランジスタT1oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT1oは、プレーンP1内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する。これにより、プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態に設定される。
【0131】
一方、トランジスタT1oが遮断状態に設定されると、トランジスタT1oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT1oは、プレーンP1内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0132】
プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、それらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSSの供給を遮断するためのトランジスタT2oをそれぞれ有する。トランジスタT2oは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に接続される。ここではトランジスタT2oは、
図9~
図11に示したトランジスタT38o、T48o及びT58oにそれぞれ相当する。
【0133】
トランジスタT2oは、メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づく制御信号PON2によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT2oが接続状態に設定されると、トランジスタT2oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT2oは、プレーンP2内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する。これにより、プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態に設定される。
【0134】
一方、トランジスタT2oが遮断状態に設定されると、トランジスタT2oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT2oは、プレーンP2内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0135】
プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、それらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSSの供給を遮断するためのトランジスタT3oをそれぞれ有する。トランジスタT3oは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に接続される。ここではトランジスタT3oは、
図9~
図11に示したトランジスタT38o、T48o及びT58oにそれぞれ相当する。
【0136】
トランジスタT3oは、メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づく制御信号PON3によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT3oが接続状態に設定されると、トランジスタT3oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT3oは、プレーンP3内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する。これにより、プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態に設定される。
【0137】
一方、トランジスタT3oが遮断状態に設定されると、トランジスタT3oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT3oは、プレーンP3内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0138】
図13に示す構成において、例えば、メモリコントローラ2は、リリースコマンドRLを半導体メモリ1に送信する。リリースコマンドRLは、プレーンP0~P3の中から、電圧VSSの供給を停止する対象であるプレーン及びラッチ回路を指定する情報を含む。
【0139】
リリースコマンドRLを受信すると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、リリースコマンドRLによって指定されたプレーンのセンスアンプ12が含むラッチ回路に対して電圧VSSの供給を停止する。
【0140】
具体的には、リリースコマンドRLによってプレーンP0が指定された場合、シーケンサ15は、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに接続されたトランジスタT0oのゲートに制御信号PON0として“H”レベルを供給し、トランジスタT0oをオフ状態に設定する。ここでは制御信号PON0は、
図9~
図11に示した信号PONA、PONB及びPONCに相当する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対する電圧VSSの供給が遮断される。これにより、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLはデータの保持動作を停止する。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0141】
同様に、リリースコマンドRLによってプレーンP1が指定された場合、シーケンサ15は、プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに接続されたトランジスタT1oのゲートに制御信号PON1として“H”レベルを供給し、トランジスタT1oをオフ状態に設定する。ここでは制御信号PON1は、信号PONA、PONB及びPONCに相当する。これにより、プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対する電圧VSSの供給が遮断される。これにより、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLはデータの保持動作を停止する。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0142】
同様に、リリースコマンドRLによってプレーンP2あるいはP3が指定された場合、シーケンサ15は、トランジスタT2o及びT3oのゲートに制御信号PON2及びPON3として“H”レベルをそれぞれ供給し、トランジスタT2o及びT3oをそれぞれオフ状態に設定する。ここでは制御信号PON2及びPON3の各々は、信号PONA、PONB及びPONCに相当する。これにより、プレーンP2及びP3の各々内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対する電圧VSSの供給が遮断される。これにより、プレーンP2及びP3の各々内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLはデータの保持動作を停止する。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0143】
1.2.1 第1例
次に、書き込み動作及び読み出し動作において、上述した電源オンオフモードを適用した第1例について説明する。第1例では、プレーン毎に、プレーン内のラッチ回路に対する電圧VSSの供給、あるいは電圧VSSの供給停止が制御される。
【0144】
図14は、第1実施形態のメモリシステムにおける書き込み動作及び読み出し動作の第1例を示すフローチャートである。
図14は、書き込み動作及び読み出し動作の第1例におけるコマンドの送信及び動作を示す。
図15は、
図14に示す書き込み動作及び読み出し動作の第1例のタイミングチャートである。
【0145】
第1例では、先に書き込み動作が実行され、続いて読み出し動作が実行される。ここでは、書き込み動作により書き込みデータWDAがプレーンP0のブロックBLKn内のページに書き込まれ、その後、読み出し動作によりプレーンP1のブロックBLKn内のページから読み出しデータRDAが読み出される場合を示す。書き込みデータWDAは、例えば、下位ページデータ、中位ページデータ、及び上位ページデータの3ページデータを含む。ここでは、1つのセンスユニットSAUmに着目し、書き込みデータWDAが下位ビットデータ、中位ビットデータ、及び上位ビットデータを含み、これら下位ビットデータ、中位ビットデータ、及び上位ビットデータがメモリセルトランジスタMTに書き込まれるものとする。書き込み動作時に、ラッチ回路ADLは下位ビットデータを格納し、ラッチ回路BDLは中位ビットデータを格納し、ラッチ回路CDLは上位ビットデータを格納する。書き込み動作及び読み出し動作は、半導体メモリ1のシーケンサ15により制御される。
【0146】
書き込み動作は、プログラム動作PGとプログラムベリファイ動作PVとを含む。プログラム動作PGは、メモリセルトランジスタのゲート電極に書き込み電圧を印加することにより、例えば、メモリセルトランジスタの絶縁層(即ち、電荷蓄積層)42に電荷を注入し、メモリセルトランジスタの閾値電圧を上昇させる動作である。プログラムベリファイ動作PVは、書き込み電圧の印加によって生じたメモリセルトランジスタの閾値電圧が目標電圧に達したか否かを検証する読み出し動作である。
【0147】
図14及び
図15に示すように、先ず、メモリコントローラ2は、書き込み動作を命ずるコマンドセット(アドレス及びデータを含む)PCとして、例えば、データ入力コマンド“80h”、書き込み対象のアドレスAD1、書き込みデータWDA、及び書き込み開始コマンド“10h”を順に半導体メモリ1に送信する(S1及びS3)。データ入力コマンド“80h”は、メモリコントローラ2が送信する書き込みデータWDAを、ラッチ回路XDLを介してラッチ回路ADL、BDL及びCDLに格納することを命ずる。書き込み開始コマンド“10h”は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに格納された書き込みデータ(3ビットデータ)WDAを用いて、アドレスにて指定されたプレーンP0のブロックBLKn内のページに対して書き込みを開始することを命ずる。
【0148】
データ入力コマンド“80h”に続いてアドレスAD1を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t1において、アドレスAD1に基づいて選択されたプレーンP0のトランジスタT0oをターンオンさせて、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに、低電源側の電圧、例えば電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S2)。そして、書き込みデータWDAをプレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに一時的に格納する。
【0149】
続いて、書き込み開始コマンド“10h”を受け取ると、シーケンサ15は、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに格納された書き込みデータWDAを用いてプログラム動作PGを実行する(S4)。すなわち、シーケンサ15は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに格納された書き込みデータWDAをプレーンP0のブロックBLKn内のページに書き込む。
【0150】
次に、シーケンサ15は、ブロックBLKn内のページに書き込まれた書き込みデータWDAに対して、プログラムベリファイ動作PVを実行する(S5)。すなわち、シーケンサ15は、書き込みデータWDAがブロックBLKn内のページに正しく書き込まれたか否かを検証する。
【0151】
メモリコントローラ2は、リリースコマンドRL1を半導体メモリ1に送信する(S6)。リリースコマンドRL1は、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに書き込みデータWDAを格納しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。言い換えると、メモリコントローラ2にとってプレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに書き込みデータWDAを保持しておく必要性が無くなったときに、リリースコマンドRL1が送信される。なお、メモリコントローラ2から半導体メモリ1へのリリースコマンドRL1の送信は、プログラム動作PGの実行中であっても良いし、プログラム動作PGの終了後でプログラムベリファイ動作PVの開始前、あるいはプログラムベリファイ動作PVの実行中、あるいはプログラムベリファイ動作PVの終了後であっても良い。
【0152】
プログラムベリファイ動作PVによるベリファイにパスした場合、シーケンサ15はプログラムベリファイ動作PVを終了する、すなわち書き込み動作を終了する。
【0153】
シーケンサ15は、時刻t3において、リリースコマンドRL1を受信し、かつプログラムベリファイ動作PVを終了したことに応じて、トランジスタT0oをターンオフさせて、プレーンP0のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VSSから電圧VDDに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態から電源オフ状態に遷移する(S7)。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0154】
また、メモリコントローラ2は、読み出し動作を命ずるコマンドセット(アドレスを含む)RCとして、例えば、読み出しセットアップコマンド“00h”、読み出し対象のアドレスAD2、及び読み出し開始コマンド“30h”を順に半導体メモリ1に送信する(S8及びS10)。読み出しセットアップコマンド“00h”は、読み出し動作を指示し、アドレスの入力を通知するコマンドである。読み出し開始コマンド“30h”は、アドレスAD2にて指定されたプレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出しを開始することを命ずる。
【0155】
読み出しセットアップコマンド“00h”に続いてアドレスAD2を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t2において、アドレスAD2に基づいて選択されたプレーンP1のトランジスタT1oをターンオンさせて、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S9)。
【0156】
次に、読み出し開始コマンド“30h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出し動作を実行する(S11)。すなわち、シーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページからデータ(以下、読み出しデータRDAと記す)を読み出し、読み出しデータRDAをラッチ回路ADL、BDL及びCDLに一時的に格納する。さらに、シーケンサ15は、ラッチ回路に格納されている読み出しデータRDAを、ラッチ回路XDLを介してメモリコントローラ2に送信する(S11a)。以上により、読み出し動作を終了する。
【0157】
半導体メモリ1から読み出しデータRDAを受け取ると、メモリコントローラ2は、リリースコマンドRL2を半導体メモリ1に送信する(S12)。リリースコマンドRL2は、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに読み出しデータRDAを格納しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。言い換えると、メモリコントローラ2にとってプレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに読み出しデータRDAを保持しておく必要性が無くなったときに、リリースコマンドRL2が送信される。
【0158】
シーケンサ15は、時刻t4において、リリースコマンドRL2を受信し、かつ読み出し動作を終了したことに応じて、トランジスタT1oをターンオフさせて、プレーンP1のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VSSから電圧VDDに遷移する。これにより、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態から電源オフ状態に遷移する(S13)。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0159】
1.2.2 第2例
次に、書き込み動作及び読み出し動作において、電源オンオフモードを適用した第2例について説明する。第2例では、ラッチ回路ADLあるいはCDLを含むグループ毎に、ラッチ回路ADLあるいはCDLのグループに対する電圧VSSの供給、あるいは電圧VSSの供給の停止が制御される。
【0160】
図16は、第1実施形態のメモリシステムにおける書き込み動作及び読み出し動作の第2例を示すフローチャートである。
図16は、書き込み動作及び読み出し動作の第2例におけるコマンドの送信及び動作を示す。
図17は、
図16に示す書き込み動作及び読み出し動作の第2例のタイミングチャートである。
【0161】
第2例では、先に書き込み動作が実行され、続いて2つの読み出し動作が実行される。ここでは、ラッチ回路ADLに格納された下位ページデータLDAを用いて、プレーンP0のブロックBLKn内のページに対して書き込み動作が実行され、その後、第1及び第2の読み出し動作が実行される。第1の読み出し動作では、プレーンP1のブロックBLKn内のページから上位ページデータUDAがラッチ回路CDL及びXDLを介して読み出され、第2の読み出し動作では、プレーンP0のブロックBLKn内のページから下位ページデータLDAがラッチ回路ADL及びXDLを介して読み出される。書き込み動作及び読み出し動作は、半導体メモリ1のシーケンサ15により制御される。
【0162】
図16及び
図17に示すように、先ず、メモリコントローラ2は、書き込み動作を命ずるコマンドセット(アドレス及びデータを含む)PCとして、例えば、データ入力コマンド“80h”、書き込み対象のアドレスAD1、下位ページデータLDA、及び書き込み開始コマンド“10h”を順に半導体メモリ1に送信する(S11及びS13)。データ入力コマンド“80h”は、メモリコントローラ2が送信する下位ページデータLDAを、ラッチ回路XDLを介してラッチ回路ADLに格納することを命ずる。書き込み開始コマンド“10h”は、ラッチ回路ADLに格納された下位ページデータLDAを用いて、アドレスAD1にて指定されたプレーンP0のブロックBLKn内のページに対して書き込みを実行することを命ずる。
【0163】
データ入力コマンド“80h”に続いてアドレスAD1を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t11において、アドレスAD1に基づいて選択されたプレーンP0のトランジスタT38oをターンオンさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAに、低電源側の電圧、例えば電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S12)。そして、下位ページデータLDAをプレーンP0のラッチ回路ADLに一時的に格納する。
【0164】
続いて、書き込み開始コマンド“10h”を受け取ると、シーケンサ15は、ラッチ回路ADLに格納された下位ページデータLDAを用いてプログラム動作PGを実行する(S14)。すなわち、シーケンサ15は、ラッチ回路ADLに格納された下位ページデータLDAをプレーンP0のブロックBLKn内のページに書き込む。
【0165】
次に、シーケンサ15は、ブロックBLKn内のページに書き込まれた下位ページデータLDAに対して、プログラムベリファイ動作PVを実行する(S15)。すなわち、シーケンサ15は、下位ページデータLDAがブロックBLKn内のページに正しく書き込まれたか否かを検証する。
【0166】
メモリコントローラ2は、リリースコマンドRL1を半導体メモリ1に送信する(S16)。リリースコマンドRL1は、プレーンP0のラッチ回路ADLに下位ページデータLDAを格納しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。言い換えると、メモリコントローラ2にとってプレーンP0のラッチ回路ADLに下位ページデータLDAを保持しておく必要性が無くなったときに、リリースコマンドRL1が送信される。なお、メモリコントローラ2から半導体メモリ1へのリリースコマンドRL1の送信は、プログラム動作PGの実行中であっても良いし、プログラム動作PGの終了後でプログラムベリファイ動作PVの開始前、あるいはプログラムベリファイ動作PVの実行中、あるいはプログラムベリファイ動作PVの終了後であっても良い。
【0167】
プログラムベリファイ動作PVによるベリファイにパスした場合、シーケンサ15はプログラムベリファイ動作PVを終了する、すなわち書き込み動作を終了する。
【0168】
シーケンサ15は、時刻t13において、リリースコマンドRL1を受信し、かつプログラムベリファイ動作PVを終了したことに応じて、トランジスタT38oをターンオフさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAへの電圧VSS供給を停止する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VSSから電圧VDDに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源オン状態から電源オフ状態に遷移する(S17)。この結果、ラッチ回路ADLに生じるリーク電流が低減される。
【0169】
また、メモリコントローラ2は、読み出し動作を命ずるコマンドセット(アドレスを含む)RC1として、例えば、読み出しセットアップコマンド“00h”、読み出し対象のアドレスAD2、及び読み出し開始コマンド“30h”を順に半導体メモリ1に送信する(S18及びS20)。読み出し開始コマンド“30h”は、アドレスAD2にて指定されたプレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出しを開始することを命ずる。
【0170】
読み出しセットアップコマンド“00h”に続いてアドレスAD2を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t12において、アドレスAD2に基づいて選択されたプレーンP1のトランジスタT58oをターンオンさせて、プレーンP1のラッチ回路CDLの電源ノードNLCに電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLCの電圧VSSCは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP1のラッチ回路CDLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S19)。
【0171】
次に、読み出し開始コマンド“30h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出し動作を実行する(S21)。すなわち、シーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページから上位ページデータUDAを読み出し、読み出した上位ページデータUDAをラッチ回路CDL及びXDLに一時的に格納する。
【0172】
次に、メモリコントローラ2は、読み出し動作を命ずるコマンドセット(アドレスを含む)RC2として、例えば、読み出しセットアップコマンド“00h”、読み出し対象のアドレスAD3、及び読み出し開始コマンド“30h”を順に半導体メモリ1に送信する(S22及びS24)。読み出し開始コマンド“30h”は、アドレスAD3にて指定されたプレーンP0のブロックBLKn内のページに対して読み出しを開始することを命ずる。
【0173】
読み出しセットアップコマンド“00h”に続いてアドレスAD3を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t14において、アドレスAD3に基づいて選択されたプレーンP0のトランジスタT38oをターンオンさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAに電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S23)。
【0174】
次に、読み出し開始コマンド“30h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP0のブロックBLKn内のページに対して読み出し動作を実行する(S25)。すなわち、、シーケンサ15は、プレーンP0のブロックBLKn内のページから下位ページデータLDAを読み出し、読み出した下位ページデータLDAをラッチ回路ADL及びXDLに一時的に格納する。
【0175】
続いて、メモリコントローラ2は、キャッシュリードを命ずるコマンドRRC1として、例えば、キャッシュリードコマンド“31h”を半導体メモリ1に送信する(S26)。キャッシュリードコマンド“31h”は、シーケンサ15に、プレーンP0のラッチ回路XDLに格納されている下位ページデータLDAを送信することを命ずる。
【0176】
キャッシュリードコマンド“31h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP0のラッチ回路XDLに格納されている下位ページデータLDAをメモリコントローラ2に送信する(S25a)。なお、半導体メモリ1からメモリコントローラ2に送信される下位ページデータLDAの図示は省略する。以上により、読み出し動作を命ずるコマンドセットRC2による読み出し動作を終了する。
【0177】
半導体メモリ1から下位ページデータLDAを受け取ると、メモリコントローラ2は、リリースコマンドRL2を半導体メモリ1に送信する(S27)。リリースコマンドRL2は、プレーンP0のラッチ回路ADLに下位ページデータLDAを格納しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。言い換えると、メモリコントローラ2にとってプレーンP0のラッチ回路ADLに下位ページデータLDAを保持しておく必要性が無くなったときに、リリースコマンドRL2が送信される。
【0178】
シーケンサ15は、時刻t15において、リリースコマンドRL2を受信し、かつコマンドセットRC2による読み出し動作を終了したことに応じて、トランジスタT38oをターンオフさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAへの電圧VSS供給を停止する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VSSから電圧VDDに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源オン状態から電源オフ状態に遷移する(S28)。この結果、ラッチ回路ADLに生じるリーク電流が低減される。
【0179】
また、メモリコントローラ2は、キャッシュリードを命ずるコマンドRRC2として、例えば、キャッシュリードコマンド“31h”を半導体メモリ1に送信する(S29)。このキャッシュリードコマンド“31h”は、シーケンサ15に、プレーンP1のラッチ回路XDLに格納されている上位ページデータUDAを送信することを命ずる。
【0180】
半導体メモリ1からコマンドRRC2としてキャッシュリードコマンド“31h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP1のラッチ回路XDLに格納されている上位ページデータUDAをメモリコントローラ2に送信する(S21a)。なお、半導体メモリ1からメモリコントローラ2に送信される上位ページデータUDAの図示は省略する。以上により、読み出し動作を命ずるコマンドセットRC1による読み出し動作を終了する。
【0181】
半導体メモリ1から上位ページデータUDAを受け取ると、メモリコントローラ2は、リリースコマンドRL3を半導体メモリ1に送信する(S30)。リリースコマンドRL3は、プレーンP1のラッチ回路CDLに上位ページデータUDAを格納しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。言い換えると、メモリコントローラ2にとってプレーンP1のラッチ回路CDLに上位ページデータUDAを保持しておく必要性が無くなったときに、リリースコマンドRL3が送信される。
【0182】
シーケンサ15は、時刻t16において、リリースコマンドRL3を受信し、かつコマンドセットRC1による読み出し動作を終了したことに応じて、トランジスタT58oをターンオフさせて、プレーンP1のラッチ回路CDLの電源ノードNLCへの電圧VSS供給を停止する。これにより、電源ノードNLCの電圧VSSCは、電圧VSSから電圧VDDに遷移する。これにより、プレーンP1のラッチ回路CDLは、電源オン状態から電源オフ状態に遷移する(S31)。この結果、ラッチ回路CDLに生じるリーク電流が低減される。
【0183】
なお、上述した第1実施形態では、書き込み動作においてリリースコマンドを受信し、かつプログラムベリファイ動作PVが終了した場合に、ラッチ回路を電源オフ状態に設定した。しかし、リリースコマンドを受信し、かつプログラムベリファイ動作PVが終了しても、ラッチ回路にデータを格納しておく必要性がある場合には、ラッチ回路は電源オン状態のまま維持される。この場合、その後にラッチ回路にデータを格納しておく必要性が無くなったときに、ラッチ回路が電源オフ状態に設定される。
【0184】
読み出し動作においても同様である。第1実施形態では、読み出し動作においてリリースコマンドを受信し、かつ読み出し動作RDが終了した場合に、ラッチ回路を電源オフ状態に設定した。しかし、リリースコマンドを受信し、かつ読み出し動作RDが終了しても、ラッチ回路にデータを格納しておく必要性がある場合には、ラッチ回路は電源オン状態のまま維持される。この場合、その後にラッチ回路にデータを格納しておく必要性が無くなったときに、ラッチ回路が電源オフ状態に設定される。
【0185】
1.3 第1実施形態の効果
第1実施形態によれば、半導体メモリにおけるラッチ回路のリーク電流を低減できるメモリシステムを提供することができる。
【0186】
本願に関する半導体メモリにおける課題には以下のようなものがある。
【0187】
半導体メモリに対する低電圧化、動作の高速化、及び記憶容量の大容量化などの要求により、ラッチ回路のトランジスタに生じるリーク電流が増加している。また、車載などの使用範囲の拡大により、半導体メモリにはリーク電流の発生が多くなる高温動作が求められている。さらに、プレーン数の増加やメモリセルトランジスタの多値化によりラッチ回路数が増大し、データを記憶しておく必要性が無いにも関わらず、データ保持状態(即ち、電源オン状態)に設定されたままとなるラッチ回路が増加している。このため、ラッチ回路によって生じるリーク電流は、ますます増加する傾向にある。
【0188】
第1実施形態では、メモリコントローラ2から半導体メモリ1にリリースコマンドを送信する。リリースコマンドは、データを格納しておく必要性が無いラッチ回路を、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。半導体メモリ1のシーケンサ15は、メモリコントローラ2からリリースコマンドを受信することにより、データを格納しておく必要性が無いラッチ回路を知ることができる。
【0189】
シーケンサ15は、プレーン毎にあるいは複数のラッチ回路を含むグループ毎に、リリースコマンドに基づいて、データを格納しておく必要性が無いラッチ回路への電源電圧の供給を停止することにより、ラッチ回路に生じるリーク電流を低減することができる。
【0190】
また、第1実施形態では、メモリセルトランジスタが3ビットデータを記憶可能なTLCに対応する場合を説明したが、さらにメモリセルトランジスタが多値化され、それらに伴ってラッチ回路が増加した場合でも、増加したラッチ回路に対応するリリースコマンドを用意すれば、本実施形態を適用することができる。すなわち、QLC等のさらなる多値化に対応するメモリセルトランジスタが用いられた場合でも、メモリコントローラ2から送信されるリリースコマンドに基づいてラッチ回路への電圧供給を制御することにより、ラッチ回路に生じるリーク電流を低減することが可能である。
【0191】
なお、半導体メモリ1は、リリースコマンドによりデータを格納しておく必要性が無いラッチ回路を知ることができるが、リリースコマンドを受信した場合でも、上述したプログラムベリファイ動作時以外で、半導体メモリ1がラッチ回路にデータを格納しておく必要性がある場合には、ラッチ回路への電圧供給を停止させず、その後にラッチ回路にデータを格納しておく必要性がなくなった後に、ラッチ回路への電圧供給を停止させるように制御すれば良い。
【0192】
また、第1実施形態では、メモリコントローラ2がリリースコマンドを送信する動作を説明したが、メモリコントローラ2がリリースコマンドを送信する動作と、リリースコマンドを送信しない動作と、リリースコマンドの送信を一定時間遅らせる動作とを有し、メモリコントローラ2がこれらの動作から1つの動作を選択するようにしても良い。
【0193】
2.第2実施形態
第1実施形態では、ラッチ回路に電圧VSSを供給するか、あるいはラッチ回路への電電圧VSSの供給を停止するかのいずれかの状態(即ち、電源オンオフモード)に制御したが、第2実施形態では、電源オンオフモードに加えてラッチ回路を低リークモードに制御する。低リークモードは、ラッチ回路に生じるリーク電流を抑制するモードである。以下に、第2実施形態のメモリシステムについて説明する。第2実施形態では主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0194】
2.1 第2実施形態の構成
第2実施形態の構成は、
図1乃至
図8に示したブロック図、回路図、断面図、及び閾値電圧分布とデータの関係を示す図については、第1実施形態と同様である。
【0195】
以下に、第2実施形態におけるセンスアンプ12のセンスユニットSAUm内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLの詳細な回路構成について説明する。
図18、
図19及び
図20は、第2実施形態におけるラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの回路図である。
【0196】
図18に示すように、ラッチ回路ADLの電源ノードNLAと電圧VSSノードとの間にトランジスタT38oが接続される。トランジスタT38oのゲートには、信号PONAが入力される。信号PONAはシーケンサ15により制御される。
【0197】
ラッチ回路ADLの電源ノードNLAと電圧VSSノードとの間に、抵抗素子RaとトランジスタT38sが直列に接続される。トランジスタT38sは、例えば、nチャネルMOS電界効果トランジスタを含む。トランジスタT38sのゲートには、信号POSAが入力される。信号POSAはシーケンサ15により制御される。
【0198】
図19に示すように、ラッチ回路BDLの電源ノードNLBと電圧VSSノードとの間にトランジスタT48oが接続される。トランジスタT48oのゲートには、信号PONBが入力される。信号PONBはシーケンサ15により制御される。
【0199】
ラッチ回路BDLの電源ノードNLBと電圧VSSノードとの間に、抵抗素子RbとトランジスタT48sが直列に接続される。トランジスタT48sは、例えば、nチャネルMOS電界効果トランジスタを含む。トランジスタT48sのゲートには、信号POSBが入力される。信号POSBはシーケンサ15により制御される。
【0200】
さらに、
図20に示すように、ラッチ回路CDLの電源ノードNLCと電圧VSSノードとの間にトランジスタT58oが接続される。トランジスタT58oのゲートには、信号PONCが入力される。信号PONCはシーケンサ15により制御される。
【0201】
ラッチ回路CDLの電源ノードNLCと電圧VSSノードとの間に、抵抗素子RcとトランジスタT58sが直列に接続される。トランジスタT58sは、例えば、nチャネルMOS電界効果トランジスタを含む。トランジスタT58sのゲートには、信号POSCが入力される。信号POSCはシーケンサ15により制御される。
【0202】
【0203】
次に、第2実施形態で用いる、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLにおける電源オンオフモード及び低リークモードについて説明する。
図21は、電源オンオフモード及び低リークモードにおける信号PONA、PONB、PONC、POSA、POSB及びPOSC、並びに電圧VSSA、VSSB及びVSSCのタイミングチャートである。電源オンオフモードは、電源オフ状態と電源オン状態を含む。低リークモードは電源セーブ状態を含む。シーケンサ15は、信号PONA、PONB、PONC、POSA、POSB及びPOSCにより、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLにおける電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCを制御する。
【0204】
図21に示すように、信号PONA及びPOSAが共に“L”レベルのとき、ラッチ回路ADLの電源ノードNLAへの電圧VSSの供給が停止され、電圧VSSAは電圧VDDになる。これにより、ラッチ回路ADLが電源オフ状態に設定される。この場合、ラッチ回路ADLに記憶されていたデータは破壊される。電源オフ状態では、ラッチ回路ADLに生じるリーク電流が低減される。
【0205】
信号PONB及びPOSBが共に“L”レベルのとき、ラッチ回路ADLと同様に、ラッチ回路BDLが電源オフ状態に設定される。この場合、ラッチ回路BDLに記憶されていたデータは破壊されるが、ラッチ回路BDLに生じるリーク電流が低減される。
【0206】
信号PONC及びPOSCが共に“L”レベルのとき、ラッチ回路ADLと同様に、ラッチ回路CDLが電源オフ状態に設定される。この場合、ラッチ回路CDLに記憶されていたデータは破壊されるが、ラッチ回路CDLに生じるリーク電流が低減される。
【0207】
また、信号PONAが“H”レベルで信号POSAが“L”レベルのとき、ラッチ回路ADLの電源ノードNLAに電圧VSSが供給され、電源ノードNLAの電圧VSSAは電圧VSSになる。これにより、ラッチ回路ADLが電源オン状態に設定される。この場合、ラッチ回路ADLに対するデータの入力及び出力が可能であり、ラッチ回路に記憶されているデータはそのまま保持される。しかし、電源オン状態では、ラッチ回路ADLに生じるリーク電流は大きい。
【0208】
信号PONBが“H”レベルで信号POSBが“L”レベルのとき、ラッチ回路ADL同様に、ラッチ回路BDLが電源オン状態に設定される。この場合、ラッチ回路BDLに対するデータの入力及び出力が可能であり、ラッチ回路に記憶されているデータはそのまま保持されるが、ラッチ回路BDLに生じるリーク電流は大きい。
【0209】
信号PONCが“H”レベルで信号POSCが“L”レベルのとき、ラッチ回路ADL同様に、ラッチ回路CDLが電源オン状態に設定される。この場合、ラッチ回路CDLに対するデータの入力及び出力が可能であり、ラッチ回路に記憶されているデータはそのまま保持されるが、ラッチ回路CDLに生じるリーク電流は大きい。
【0210】
また、信号PONAが“L”レベルで信号POSAが“H”レベルのとき、ラッチ回路ADLの電源ノードNLAに電圧VSA(例えば、0.2V)が供給され、電源ノードNLAの電圧VSSAは電圧VSAになる。電圧VSAは、電圧VDDより低く、電圧VSSより高い電圧である。特許文献2に開示されているように、この電圧VSAは、リーク電流と抵抗素子で決定され、リーク電流の多いトランジスタまたは動作条件では、より高い電圧となる。より高い電圧となれば、基板バイアス効果により、リーク電流がより削減される。したがって、電圧VSAは、リーク電流が十分削減される程度の電圧に自動的に調整されることとなる。
これにより、ラッチ回路ADLが電源セーブ状態に設定される。この場合、ラッチ回路ADLに記憶されているデータはそのまま保持される。しかし、ラッチ回路ADLに対するデータの入力及び出力が不可である。電源セーブ状態では、ラッチ回路ADLに生じるリーク電流は低減される。電源セーブ状態におけるリーク電流を電源オン状態及び電源オフ状態と比較すると、リーク電流は電源オン状態より小さく、電源オフ状態より大きい。
【0211】
信号PONBが“L”レベルで信号POSBが“H”レベルのとき、ラッチ回路ADLと同様に、ラッチ回路BDLが電源セーブ状態に設定される。この場合、ラッチ回路BDLに記憶されているデータはそのまま保持されるが、ラッチ回路BDLに対するデータの入力及び出力が不可である。ラッチ回路BDLに生じるリーク電流は低減される。
【0212】
信号PONCが“L”レベルで信号POSCが“H”レベルのとき、ラッチ回路ADLと同様に、ラッチ回路CDLが電源セーブ状態に設定される。この場合、ラッチ回路CDLに記憶されているデータはそのまま保持されるが、ラッチ回路CDLに対するデータの入力及び出力が不可である。ラッチ回路CDLに生じるリーク電流は低減される。
【0213】
2.2 第2実施形態の動作
第2実施形態のメモリシステムの動作について説明する。第2実施形態では、メモリコントローラ2から送信される情報に基づいて、半導体メモリ1のシーケンサ15が、プレーン毎に、あるいは所定のラッチ回路を含むグループ毎に、センスアンプ12内のラッチ回路への電圧VSSの供給、あるいは電圧VSSの供給の停止、及び電圧VSAの供給を制御する。ここでは、第1実施形態と同様に、メモリコントローラ2から半導体メモリ1に送信され、ラッチ回路にデータを記憶しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2が半導体メモリ1に知らせる情報を、リリースコマンドRLと称する。また、メモリコントローラ2から半導体メモリ1に送信され、ラッチ回路に記憶されたデータをある期間使用しないことを、メモリコントローラ2が半導体メモリ1に知らせる情報を、セーブコマンドSVと称する。
【0214】
先ず、第2実施形態のメモリシステムの動作の概要について説明する。
図22は、第2実施形態のメモリシステムの動作の概要を示す図である。
【0215】
メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRL及びセーブコマンドSVに基づいて、シーケンサ15は、プレーン毎に、すなわちプレーンP0~P3の各々毎に電源オンオフモード及び低リークモードを制御する。または、シーケンサ15は、所定のラッチ回路を含むグループ毎に、例えば、複数のラッチ回路ADLを含むグループ、複数のラッチ回路BDLを含むグループ、及び複数のラッチ回路CDLを含むグループの各々のグループ毎に、電源オンオフモード及び低リークモードを制御する。ここでは、プレーン毎に、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLにおける電源オンオフモード及び低リークモードを制御する例を述べる。
【0216】
プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL、及びCDLは、それらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSSの供給を遮断するためのトランジスタT0oをそれぞれ有する。トランジスタT0oは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に接続される。トランジスタT0oは、
図18~
図20に示したトランジスタT38o、T48o及びT58oにそれぞれ相当する。
【0217】
プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、さらにそれらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSAを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSAの供給を遮断するためのトランジスタT0s及び抵抗素子R0をそれぞれ有する。トランジスタT0s及び抵抗素子R0は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に直列に接続される。トランジスタT0sは、
図18~
図20に示したトランジスタT38s、T48s及びT58sにそれぞれ相当する。抵抗素子R0は、
図18~
図20に示した抵抗素子Ra、Rb及びRcにそれぞれ相当する。
【0218】
トランジスタT0oは、メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づく制御信号PON0によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT0oが接続状態に設定されると、トランジスタT0oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT0oは、プレーンP0内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態に設定される。
【0219】
一方、トランジスタT0oが遮断状態に設定されると、トランジスタT0oはラッチ回路ADL、BDL、及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT0oは、プレーンP0内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0220】
トランジスタT0sは、メモリコントローラ2から送信されたセーブコマンドSVに基づく制御信号POS0によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT0sが接続状態に設定されると、トランジスタT0sはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT0sは、プレーンP0内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSAを供給する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源セーブ状態に設定される。
【0221】
一方、トランジスタT0sが遮断状態に設定されると、トランジスタT0sはラッチ回路ADL、BDL、及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT0sは、プレーンP0内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSAの供給を停止する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0222】
プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL、及びCDLは、それらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSSの供給を遮断するためのトランジスタT1oをそれぞれ有する。トランジスタT1oは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に接続される。トランジスタT1oは、
図18~
図20に示したトランジスタT38o、T48o及びT58oにそれぞれ相当する。
【0223】
プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、さらにそれらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSAを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSAの供給を遮断するためのトランジスタT1s及び抵抗素子R1をそれぞれ有する。トランジスタT1s及び抵抗素子R1は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に直列に接続される。トランジスタT1sは、
図18~
図20に示したトランジスタT38s、T48s及びT58sにそれぞれ相当する。抵抗素子R1は、
図18~
図20に示した抵抗素子Ra、Rb及びRcにそれぞれ相当する。
【0224】
トランジスタT1oは、メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づく制御信号PON1によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT1oが接続状態に設定されると、トランジスタT1oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT1oは、プレーンP1内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する。これにより、プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態に設定される。
【0225】
一方、トランジスタT1oが遮断状態に設定されると、トランジスタT1oはラッチ回路ADL、BDL、及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT1oは、プレーンP1内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0226】
トランジスタT1sは、メモリコントローラ2から送信されたセーブコマンドSVに基づく制御信号POS1によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT1sが接続状態に設定されると、トランジスタT1sはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT1sは、プレーンP1内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSAを供給する。これにより、プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源セーブ状態に設定される。
【0227】
一方、トランジスタT1sが遮断状態に設定されると、トランジスタT1sはラッチ回路ADL、BDL、及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT1sは、プレーンP1内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSAの供給を停止する。これにより、プレーンP1内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0228】
プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL、及びCDLは、それらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSSの供給を遮断するためのトランジスタT2oをそれぞれ有する。トランジスタT2oは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に接続される。トランジスタT2oは、
図18~
図20に示したトランジスタT38o、T48o及びT58oにそれぞれ相当する。
【0229】
プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、さらにそれらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSAを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSAの供給を遮断するためのトランジスタT2s及び抵抗素子R2をそれぞれ有する。トランジスタT2s及び抵抗素子R2は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に直列に接続される。トランジスタT2sは、
図18~
図20に示したトランジスタT38s、T48s及びT58sにそれぞれ相当する。抵抗素子R2は、
図18~
図20に示した抵抗素子Ra、Rb及びRcにそれぞれ相当する。
【0230】
トランジスタT2oは、メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づく制御信号PON2によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT2oが接続状態に設定されると、トランジスタT2oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT2oは、プレーンP2内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する。これにより、プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態に設定される。
【0231】
一方、トランジスタT2oが遮断状態に設定されると、トランジスタT2oはラッチ回路ADL、BDL、及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT2oは、プレーンP2内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0232】
トランジスタT2sは、メモリコントローラ2から送信されたセーブコマンドSVに基づく制御信号POS2によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT2sが接続状態に設定されると、トランジスタT2sはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT2sは、プレーンP2内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSAを供給する。これにより、プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源セーブ状態に設定される。
【0233】
一方、トランジスタT2sが遮断状態に設定されると、トランジスタT2sはラッチ回路ADL、BDL、及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT2sは、プレーンP2内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSAの供給を停止する。これにより、プレーンP2内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0234】
プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL、及びCDLは、それらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSSの供給を遮断するためのトランジスタT3oをそれぞれ有する。トランジスタT3oは、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に接続される。トランジスタT3oは、
図18~
図20に示したトランジスタT38o、T48o及びT58oにそれぞれ相当する。
【0235】
プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、さらにそれらラッチ回路の電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSAを供給する、あるいは電源ノードへの電圧VSAの供給を遮断するためのトランジスタT3s及び抵抗素子R3をそれぞれ有する。トランジスタT3s及び抵抗素子R3は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間に直列に接続される。トランジスタT3sは、
図18~
図20に示したトランジスタT38s、T48s及びT58sにそれぞれ相当する。抵抗素子R3は、
図18~
図20に示した抵抗素子Ra、Rb及びRcにそれぞれ相当する。
【0236】
トランジスタT3oは、メモリコントローラ2から送信されたリリースコマンドRLに基づく制御信号PON3によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT3oが接続状態に設定されると、トランジスタT3oはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT3oは、プレーンP3内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSSを供給する。これにより、プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態に設定される。
【0237】
一方、トランジスタT3oが遮断状態に設定されると、トランジスタT3oはラッチ回路ADL、BDL、及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT3oは、プレーンP3内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。これにより、プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0238】
トランジスタT3sは、メモリコントローラ2から送信されたセーブコマンドSVに基づく制御信号POS3によって、接続状態と遮断状態との間を遷移する。トランジスタT3sが接続状態に設定されると、トランジスタT3sはラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を接続する。そして、トランジスタT3sは、プレーンP3内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに電圧VSAを供給する。これにより、プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源セーブ状態に設定される。
【0239】
一方、トランジスタT3sが遮断状態に設定されると、トランジスタT3sはラッチ回路ADL、BDL、及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCと、電圧VSSノードとの間を遮断する。そして、トランジスタT3sは、プレーンP3内のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSAの供給を停止する。これにより、プレーンP3内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態に設定される。
【0240】
図22に示す構成において、例えば、メモリコントローラ2は、リリースコマンドRLを半導体メモリ1に送信する。リリースコマンドRLは、メモリコントローラ2が半導体メモリ1のラッチ回路にデータを記憶しておく必要性が無いと知ったときに送信される。リリースコマンドRLは、プレーンP0~P3の中から、電圧VSSの供給を停止する対象であるプレーン及びラッチ回路を指定する情報を含む。
【0241】
リリースコマンドRLを受信すると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、リリースコマンドRLによって指定されたプレーンのセンスアンプ12が含むラッチ回路に対して電圧VSSの供給を停止する。
【0242】
具体的には、リリースコマンドRLによってプレーンP0が指定された場合、シーケンサ15は、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに接続されたトランジスタT0oのゲートに送信する制御信号PON0をネゲートし、トランジスタT0oをオフ状態に設定する。また、トランジスタT0sのゲートに送信する制御信号POS0をネゲートし、トランジスタT0sをオフ状態に設定する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対する電圧VSSの供給が遮断され、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLはデータの保持動作を停止する。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0243】
同様に、リリースコマンドRLによってプレーンP1、P2及びP3がそれぞれ指定された場合、シーケンサ15は、トランジスタT1o、T2o及びT3oの各々のゲートに送信する制御信号PON1、PON2及びPON3をそれぞれネゲートし、トランジスタT1o、T2o及びT3oをそれぞれオフ状態に設定する。また、トランジスタT1s、T2s及びT3sの各々のゲートに送信する制御信号POS1、POS2及びPOS3をそれぞれネゲートし、トランジスタT1s、T2s及びT3sをそれぞれオフ状態に設定する。これにより、プレーンP1、P2及びP3のそれぞれのラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対する電圧VSSの供給が遮断され、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLはデータの保持動作を停止する。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0244】
また、例えば、メモリコントローラ2は、セーブコマンドSVを半導体メモリ1に送信する。セーブコマンドSVは、メモリコントローラ2が半導体メモリ1のラッチ回路に記憶されたデータをある期間使用することは無いと知ったときに送信される。セーブコマンドSVは、プレーンP0~P3の中から、電圧VSSの供給を遮断して電圧VSAを供給する対象であるプレーン及びラッチ回路を指定する情報を含む。
【0245】
セーブコマンドSVを受信すると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、セーブコマンドSVによって指定されたプレーンのセンスアンプ12が含むラッチ回路に対して、電圧VSSの供給を遮断して電圧VSAを供給する。
【0246】
具体的には、セーブコマンドSVによってプレーンP0が指定された場合、シーケンサ15は、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに接続されたトランジスタT0sのゲートに送信する制御信号POS0をアサートし、トランジスタT0sをオン状態に設定する。一方、トランジスタT0oのゲートに送信する制御信号PON0をネゲートし、トランジスタT0oをオフ状態に設定する。これにより、プレーンP0内のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対して電圧VSSの供給が遮断され、代わりに電圧VSAが供給される。これにより、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対するデータの入出力、言い換えると、書き込み及び読み出しが不可な状態となるが、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLが記憶しているデータは保持される。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0247】
同様に、セーブコマンドSVによってプレーンP1、P2及びP3がそれぞれ指定された場合、シーケンサ15は、トランジスタT1s、T2s及びT3sの各々のゲートに送信する制御信号POS1、POS2及びPOS3をそれぞれアサートし、トランジスタT1s、T2s及びT3sをそれぞれオン状態に設定する。一方、トランジスタT1o、T2o及びT3oの各々のゲートに送信する制御信号PON1、PON2及びPON3をそれぞれネゲートし、トランジスタT1o、T2o及びT3oをそれぞれオフ状態に設定する。これにより、プレーンP1、P2及びP3のそれぞれのラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対する電圧VSSの供給が遮断され、代わりに電圧VSAが供給される。ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに対するデータの入出力が不可な状態となるが、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLが記憶しているデータは保持される。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0248】
2.2.1 第1例
次に、書き込み動作及び読み出し動作において、上述した電源オンオフモード及び低リークモードを適用した第1例について説明する。第1例では、プレーン毎に、プレーン内のラッチ回路に対する電圧VSSの供給、電圧VSSの供給の停止、及び電圧VSAの供給が制御される。
【0249】
図23は、第2実施形態のメモリシステムにおける書き込み動作及び読み出し動作の第1例を示すフローチャートである。
図23は、書き込み動作及び読み出し動作の第1例におけるコマンドの送信及び動作を示す。
図24は、
図23に示す書き込み動作及び読み出し動作の第1例のタイミングチャートである。
【0250】
第1例では、先に書き込み動作が実行され、続いて2つ読み出し動作が実行される。ここでは、書き込み動作により書き込みデータWDAがプレーンP0のブロックBLKn内のページに書き込まれ、その後、第1読み出し動作によりプレーンP1のブロックBLKn内のページから読み出しデータRDA1が読み出され、続いて第2読み出し動作によりプレーンP1のブロックBLKn内のページから読み出しデータRDA2が読み出される場合を示す。半導体メモリ1における書き込み動作及び読み出し動作は、半導体メモリ1のシーケンサ15により制御される。
【0251】
図23及び
図24に示すように、先ず、メモリコントローラ2は、書き込み動作を命ずるコマンドセット(アドレス及びデータを含む)PCとして、例えば、データ入力コマンド“80h”、書き込み対象のアドレスAD1、書き込みデータWDA、及び書き込み開始コマンド“10h”を順に半導体メモリ1に送信する(S31及びS33)。データ入力コマンド“80h”は、メモリコントローラ2が送信する書き込みデータWDAを、ラッチ回路XDLを介してラッチ回路ADL、BDL及びCDLに格納することを命ずる。書き込み開始コマンド“10h”は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに格納された書き込みデータWDAを用いて、アドレスにて指定されたプレーンP0のブロックBLKn内のページに対して書き込みを開始することを命ずる。
【0252】
データ入力コマンド“80h”に続いてアドレスAD1を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t21において、アドレスAD1に基づいて選択されたプレーンP0のトランジスタT0oをターンオンさせて、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCに、低電源側の電圧、例えば電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態(即ち、データ非保持状態)から電源オン状態(即ち、データ保持状態)に遷移する(S32)。そして、書き込みデータWDAをプレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに一時的に格納する。
【0253】
続いて、書き込み開始コマンド“10h”を受け取ると、シーケンサ15は、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに格納された書き込みデータWDAを用いてプログラム動作PGを実行する(S34)。すなわち、シーケンサ15は、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに格納された書き込みデータWDAをプレーンP0のブロックBLKn内のページに書き込む。
【0254】
次に、シーケンサ15は、ブロックBLKn内のページに書き込まれた書き込みデータWDAに対して、プログラムベリファイ動作PVを実行する(S35)。すなわち、シーケンサ15は、書き込みデータWDAがブロックBLKn内のページに正しく書き込まれたか否かを検証する。
【0255】
メモリコントローラ2は、リリースコマンドRL1を半導体メモリ1に送信する(S36)。リリースコマンドRL1は、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに書き込みデータWDAを格納しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。なお、メモリコントローラ2から半導体メモリ1へのリリースコマンドRL1の送信は、プログラム動作PGの実行中であっても良いし、プログラム動作PGの終了後でプログラムベリファイ動作PVの開始前、あるいはプログラムベリファイ動作PVの実行中、あるいはプログラムベリファイ動作PVの終了後であっても良い。
【0256】
プログラムベリファイ動作PVによるベリファイにパスした場合、シーケンサ15はプログラムベリファイ動作PVを終了する、すなわち書き込み動作を終了する。
【0257】
シーケンサ15は、時刻t23において、リリースコマンドRL1を受信し、かつプログラムベリファイ動作PVを終了したことに応じて、トランジスタT0oをターンオフさせて、プレーンP0のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSS供給を停止する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VSSから電圧VDDに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態から電源オフ状態に遷移する(S37)。この結果、ラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0258】
また、メモリコントローラ2は、読み出し動作を命ずるコマンドセット(アドレスを含む)RC1として、例えば、読み出しセットアップコマンド“00h”、読み出し対象のアドレスAD2、及び読み出し開始コマンド“30h”を順に半導体メモリ1に送信する(S38及びS40)。読み出しセットアップコマンド“00h”は、読み出し動作を指示し、アドレスの入力を通知するコマンドである。読み出し開始コマンド“30h”は、アドレスAD2にて指定されたプレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出しを開始することを命ずる。
【0259】
読み出しセットアップコマンド“00h”に続いてアドレスAD2を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t22において、アドレスAD2に基づいて選択されたプレーンP1のトランジスタT1oをターンオンさせて、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S39)。
【0260】
次に、読み出し開始コマンド“30h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出し動作を実行する(S41)。すなわち、シーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページからデータ(以下、読み出しデータRDA1と記す)を読み出し、読み出しデータRDA1をラッチ回路ADL、BDL及びCDL、並びにXDLに一時的に格納する。
【0261】
続いて、メモリコントローラ2は、キャッシュリードを命ずるコマンドRRCとして、例えば、キャッシュリードコマンド“31h”を半導体メモリ1に送信する(S42)。キャッシュリードコマンド“31h”は、シーケンサ15に、プレーンP1のラッチ回路XDLに格納されている読み出しデータRDA1をメモリコントローラ2に送信することを命ずる。
【0262】
キャッシュリードコマンド“31h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP1のラッチ回路XDLに格納されている読み出しデータRDA1をメモリコントローラ2に送信する(S41a)。以上により、読み出しコマンドRC1による読み出し動作を終了する。
【0263】
半導体メモリ1から読み出しデータRDA1を受け取ると、メモリコントローラ2は、セーブコマンドSVを半導体メモリ1に送信する(S43)。セーブコマンドSVは、プレーンP1のラッチ回路に記憶された読み出しデータRDA1をある期間使用しないことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。
【0264】
セーブコマンドSVを受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t24において、プレーンP1のラッチ回路への電圧VSSの供給を停止し、代わりに電圧VSAを供給する。すなわち、シーケンサ15は、トランジスタT1oをターンオフさせて、プレーンP1のラッチ回路のそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を停止する。シーケンサ15は、さらにトランジスタT1sをターンオンさせて、プレーンP1の電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSAの供給を開始する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VSSから電圧VSAに遷移する。これにより、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源オン状態から電源セーブ状態に遷移する(S44)。この結果、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLに生じるリーク電流が低減される。
【0265】
その後、メモリコントローラ2は、読み出し動作を命ずるコマンドセット(アドレスを含む)RC2として、例えば、読み出しセットアップコマンド“00h”、読み出し対象のアドレスAD3、及び読み出し開始コマンド“30h”を順に半導体メモリ1に送信する(S45及びS47)。読み出し開始コマンド“30h”は、アドレスAD3にて指定されたプレーンP0のブロックBLKn内のページに対して読み出しを開始することを命ずる。
【0266】
読み出しセットアップコマンド“00h”に続いてアドレスAD3を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t25において、アドレスAD3に基づいて選択されたプレーンP1のトランジスタT1oをターンオンさせ、トランジスタT1sをターンオフさせて、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLのそれぞれの電源ノードNLA、NLB及びNLCへの電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLA、NLB及びNLCのそれぞれの電圧VSSA、VSSB及びVSSCは、電圧VSAから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP1のラッチ回路ADL、BDL及びCDLは、電源セーブ状態から電源オン状態に遷移する(S46)。
【0267】
次に、読み出し開始コマンド“30h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出し動作を実行する(S48)。すなわち、シーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページからデータ(以下、読み出しデータRDA2と記す)を読み出し、読み出しデータRDA2をラッチ回路ADL、BDL及びCDL、並びにXDLに一時的に格納する。
【0268】
その後、シーケンサ15は、ラッチ回路XDLに格納されている読み出しデータRDA2をメモリコントローラ2に送信する(S48a)。以上により、読み出しコマンドRC2による読み出し動作を終了する。
【0269】
上述した第1例では、プレーンP1のラッチ回路から読み出しデータを受け取ると、メモリコントローラ2がセーブコマンドSVを半導体メモリ1に送信する。シーケンサ15はセーブコマンドSVに基づいて、プレーンP1のラッチ回路を電源セーブ状態に設定する。このように、データを格納しておく必要性が無いプレーンP1のラッチ回路を電源オフ状態に設定せずに、電源セーブ状態に設定することにより、その後の読み出し動作においてラッチ回路を電源オン状態に速く遷移させることができる。この結果、プレーンP1のラッチ回路を用いた読み出し動作に要する時間を短縮できると共に、ラッチ回路に生じるリーク電流を低減できる。
【0270】
2.2.2 第2例
次に、書き込み動作及び読み出し動作において、電源オンオフモード及び低リークモードを適用した第2例について説明する。第2例では、ラッチ回路ADLあるいはCDLを含むグループ毎に、ラッチ回路ADLあるいはCDLのグループに対する電圧VSSの供給、電圧VSSの供給の停止、及び電圧VSAの供給が制御される。
【0271】
図25は、第2実施形態のメモリシステムにおける書き込み動作及び読み出し動作の第2例を示すフローチャートである。
図25は、書き込み動作及び読み出し動作の第2例におけるコマンドの送信及び動作を示す。
図26は、
図25に示す書き込み動作及び読み出し動作の第2例のタイミングチャートである。
【0272】
第2例では、先に書き込み動作が実行され、続いて3つの読み出し動作が実行される。ここでは、ラッチ回路ADLに格納された下位ページデータLDAを用いて、プレーンP0のブロックBLKn内のページに対して書き込み動作が実行され、その後、第1、第2及び第3の読み出し動作が実行される。第1の読み出し動作では、プレーンP1のブロックBLKn内のページから上位ページデータUDAがラッチ回路CDL及びXDLを介して読み出される。第2の読み出し動作では、プレーンP0のブロックBLKn内のページから下位ページデータLDAがラッチ回路ADL及びXDLを介して読み出される。第3の読み出し動作では、プレーンP0のブロックBLKn内のページから下位ページデータLDAがラッチ回路ADL及びXDLを介して読み出される。半導体メモリ1における書き込み動作及び読み出し動作は、半導体メモリ1のシーケンサ15により制御される。
【0273】
図25及び
図26に示すように、先ず、メモリコントローラ2は、書き込み動作を命ずるコマンドセット(アドレス及びデータを含む)PCとして、例えば、データ入力コマンド“80h”、書き込み対象のアドレスAD1、下位ページデータLDA、及び書き込み開始コマンド“10h”を順に半導体メモリ1に送信する(S51及びS53)。データ入力コマンド“80h”は、メモリコントローラ2が送信する下位ページデータLDAを、ラッチ回路XDLを介してラッチ回路ADLに格納することを命ずる。書き込み開始コマンド“10h”は、ラッチ回路ADLに格納された下位ページデータLDAを用いて、アドレスAD1にて指定されたプレーンP0のブロックBLKn内のページに対して書き込みを実行することを命ずる。
【0274】
データ入力コマンド“80h”に続いてアドレスAD1を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t31において、アドレスAD1に基づいて選択されたプレーンP0のトランジスタT38oをターンオンさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAに、低電源側の電圧、例えば電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S52)。そして、下位ページデータLDAをプレーンP0のラッチ回路ADLに一時的に格納する。
【0275】
続いて、書き込み開始コマンド“10h”を受け取ると、シーケンサ15は、ラッチ回路ADLに格納された下位ページデータLDAを用いてプログラム動作PGを実行する(S54)。すなわち、シーケンサ15は、ラッチ回路ADLに格納された下位ページデータLDAをプレーンP0のブロックBLKn内のページに書き込む。
【0276】
次に、シーケンサ15は、ブロックBLKn内のページに書き込まれた下位ページデータLDAに対して、プログラムベリファイ動作PVを実行する(S55)。すなわち、シーケンサ15は、下位ページデータLDAがブロックBLKn内のページに正しく書き込まれたか否かを検証する。
【0277】
メモリコントローラ2は、リリースコマンドRLを半導体メモリ1に送信する(S56)。リリースコマンドRLは、プレーンP0のラッチ回路ADLに下位ページデータLDAを格納しておく必要性が無いことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。言い換えると、メモリコントローラ2にとってプレーンP0のラッチ回路ADLに下位ページデータLDAを保持しておく必要性が無くなったときに、リリースコマンドRLが送信される。なお、メモリコントローラ2から半導体メモリ1へのリリースコマンドRLの送信は、プログラム動作PGの実行中であっても良いし、プログラム動作PGの終了後でプログラムベリファイ動作PVの開始前、あるいはプログラムベリファイ動作PVの実行中、あるいはプログラムベリファイ動作PVの終了後であっても良い。
【0278】
プログラムベリファイ動作PVによるベリファイにパスした場合、シーケンサ15はプログラムベリファイ動作PVを終了する、すなわち書き込み動作を終了する。
【0279】
シーケンサ15は、時刻t33において、リリースコマンドRLを受信し、かつプログラムベリファイ動作PVを終了したことに応じて、トランジスタT38oをターンオフさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAへの電圧VSS供給を停止する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VSSから電圧VDDに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源オン状態から電源オフ状態に遷移する(S57)。この結果、ラッチ回路ADLに生じるリーク電流が低減される。
【0280】
また、メモリコントローラ2は、読み出し動作を命ずるコマンドセット(アドレスを含む)RC1として、例えば、読み出しセットアップコマンド“00h”、読み出し対象のアドレスAD2、及び読み出し開始コマンド“30h”を順に半導体メモリ1に送信する(S58及びS60)。読み出し開始コマンド“30h”は、アドレスAD2にて指定されたプレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出しを開始することを命ずる。
【0281】
読み出しセットアップコマンド“00h”に続いてアドレスAD2を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t32において、アドレスAD2に基づいて選択されたプレーンP1のトランジスタT58oをターンオンさせて、プレーンP1のラッチ回路CDLの電源ノードNLCに電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLCの電圧VSSCは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP1のラッチ回路CDLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S59)。
【0282】
次に、読み出し開始コマンド“30h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページに対して読み出し動作を実行する(S61)。すなわち、シーケンサ15は、プレーンP1のブロックBLKn内のページから上位ページデータUDAを読み出し、読み出した上位ページデータUDAをラッチ回路CDL及びXDLに一時的に格納する。
【0283】
次に、メモリコントローラ2は、読み出し動作を命ずるコマンドセット(アドレスを含む)RC2として、例えば、読み出しセットアップコマンド“00h”、読み出し対象のアドレスAD3、及び読み出し開始コマンド“30h”を順に半導体メモリ1に送信する(S62及びS64)。読み出し開始コマンド“30h”は、アドレスAD3にて指定されたプレーンP0のブロックBLKn内のページに対して読み出しを開始することを命ずる。
【0284】
読み出しセットアップコマンド“00h”に続いてアドレスAD3を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t34において、アドレスAD3に基づいて選択されたプレーンP0のトランジスタT38oをターンオンさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAに電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VDDから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する(S63)。
【0285】
次に、読み出し開始コマンド“30h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP0のブロックBLKn内のページに対して読み出し動作を実行する(S65)。すなわち、シーケンサ15は、プレーンP0のブロックBLKn内のページから下位ページデータLDA1を読み出し、読み出した下位ページデータLDA1をラッチ回路ADL及びXDLに一時的に格納する。
【0286】
続いて、メモリコントローラ2は、キャッシュリードを命ずるコマンドRRCとして、例えば、キャッシュリードコマンド“31h”を半導体メモリ1に送信する(S66)。キャッシュリードコマンド“31h”は、シーケンサ15に、プレーンP0のラッチ回路XDLに格納されている下位ページデータLDA1を送信することを命ずる。
【0287】
キャッシュリードコマンド“31h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP0のラッチ回路XDLに格納されている下位ページデータLDAをメモリコントローラ2に送信する(S65a)。以上により、読み出しコマンドRC2による読み出し動作を終了する。
【0288】
半導体メモリ1から下位ページデータLDA1を受け取ると、メモリコントローラ2は、セーブコマンドSVを半導体メモリ1に送信する(S67)。セーブコマンドSVは、プレーンP0のラッチ回路ADLに記憶された読み出しデータRDA1をある期間使用しないことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。
【0289】
シーケンサ15は、時刻t35において、セーブコマンドSVを受信し、かつコマンドセットRC2による読み出し動作を終了したことに応じて、プレーンP0のラッチ回路ADLへの電圧VSSの供給を停止し、代わりに電圧VSAを供給する。すなわち、シーケンサ15は、トランジスタT38oをターンオフさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAへの電圧VSSの供給を停止する。シーケンサ15は、さらにトランジスタT38sをターンオンさせて、プレーンP0の電源ノードNLAへの電圧VSAの供給を開始する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VSSから電圧VSAに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源オン状態から電源セーブ状態に遷移する(S68)。この結果、プレーンP0のラッチ回路ADLに生じるリーク電流が低減される。
【0290】
次に、メモリコントローラ2は、読み出し動作を命ずるコマンドセット(アドレスを含む)RC3として、例えば、読み出しセットアップコマンド“00h”、読み出し対象のアドレスAD4、及び読み出し開始コマンド“30h”を順に半導体メモリ1に送信する(S69及びS71)。読み出し開始コマンド“30h”は、アドレスAD4にて指定されたプレーンP0のブロックBLKn内のページに対して読み出しを開始することを命ずる。
【0291】
読み出しセットアップコマンド“00h”に続いてアドレスAD4を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、時刻t36において、アドレスAD4に基づいて選択されたプレーンP0のトランジスタT38oをターンオンさせ、トランジスタT38sをターンオフさせて、プレーンP0のラッチ回路ADLの電源ノードNLAへの電圧VSSの供給を開始する。これにより、電源ノードNLAの電圧VSSAは、電圧VSAから電圧VSSに遷移する。これにより、プレーンP0のラッチ回路ADLは、電源セーブ状態から電源オン状態に遷移する(S70)。
【0292】
次に、読み出し開始コマンド“30h”を受け取ると、半導体メモリ1のシーケンサ15は、プレーンP0のブロックBLKn内のページに対して読み出し動作を実行する(S72)。すなわち、シーケンサ15は、プレーンP0のブロックBLKn内のページから下位ページデータLDA2を読み出し、下位ページデータLDA2をラッチ回路ADL及びXDLに一時的に格納する。
【0293】
その後、シーケンサ15は、ラッチ回路XDLに格納されている下位ページデータLDA2をメモリコントローラ2に送信する(S72a)。以上により、読み出しコマンドRC3による読み出し動作を終了する。
【0294】
上述した第2例では、プレーンP0のラッチ回路ADLから読み出しデータを受け取ると、メモリコントローラ2がセーブコマンドSVを半導体メモリ1に送信する。シーケンサ15はセーブコマンドSVに基づいて、プレーンP0のラッチ回路ADLを電源セーブ状態に設定する。このように、データを格納しておく必要性が無いプレーンP0のラッチ回路ADLを電源オフ状態に設定せずに、電源セーブ状態に設定することにより、その後の読み出し動作においてラッチ回路ADLを電源オン状態に速く遷移させることができる。この結果、プレーンP0のラッチ回路ADLを用いた読み出し動作に要する時間を短縮できると共に、ラッチ回路ADLに生じるリーク電流を低減できる。
【0295】
2.3 第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、半導体メモリにおけるラッチ回路のリーク電流を低減できる半導体メモリを提供することができる。
【0296】
第2実施形態では、メモリコントローラ2から半導体メモリ1にリリースコマンド及びセーブコマンドを送信する。リリースコマンドは、データを格納しておく必要性が無いラッチ回路を、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。半導体メモリ1のシーケンサ15は、メモリコントローラ2からリリースコマンドを受信することにより、リリースコマンドに基づいてデータを格納しておく必要性が無いラッチ回路を知ることができる。
【0297】
セーブコマンドは、読み出し動作(あるいは、書き込み動作)を高速化するため、かつリーク電流を低減するために、電源オン状態及び電源オフ状態ではなく、電源セーブ状態に設定するべきラッチ回路を、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。半導体メモリ1のシーケンサ15は、メモリコントローラ2からセーブコマンドを受信することにより、セーブコマンドに基づいて電源セーブ状態に設定しておくべきラッチ回路を知ることができる。
【0298】
また、セーブコマンドは、ラッチ回路に記憶しているデータをある期間使用しないことを、メモリコントローラ2がシーケンサ15に知らせるコマンドである。半導体メモリ1のシーケンサ15は、メモリコントローラ2からセーブコマンドを受信することにより、セーブコマンドに基づいて、ラッチ回路に記憶されているデータがある期間使用されないことを知ることができる。半導体メモリ1のシーケンサ15は、セーブコマンドに基づいてラッチ回路を電源セーブ状態に設定することにより、ラッチ回路にデータを保持したままで、リーク電流を低減することが可能である。
【0299】
シーケンサ15は、プレーン毎にあるいは複数のラッチ回路を含むグループ毎に、リリースコマンドに基づいて、データを格納しておく必要性が無いラッチ回路への電源電圧の供給を停止することにより、ラッチ回路に生じるリーク電流を低減することができる。
【0300】
さらに、シーケンサ15は、プレーン毎にあるいは複数のラッチ回路を含むグループ毎に、セーブコマンドに基づいて、ラッチ回路を電源セーブ状態に設定することにより、その後に実行される読み出し動作(あるいは、書き込み動作)を高速化できると共に、ラッチ回路に生じるリーク電流を低減することができる。第2実施形態のその他の効果は第1実施形態と同様である。
【0301】
3.その他
上記実施形態では半導体メモリとしてNAND型フラッシュメモリを例に説明したが、NAND型フラッシュメモリに限らず、その他の半導体メモリ全般に適用でき、さらには半導体メモリ以外の種々の記憶装置に適用できる。また、上記実施形態で説明したフローチャートは、その処理の順番を可能な限り入れ替えることができる。
【0302】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0303】
1…半導体メモリ、2…メモリコントローラ、10…メモリセルアレイ、11…ロウデコーダ、12…センスアンプ、13…電圧生成回路、14…ドライバ、15…シーケンサ、16…コマンドレジスタ、17…アドレスレジスタ、20…半導体基板、21~25…絶縁層、30~34…導電層、40…半導体層、41…トンネル絶縁層、42…絶縁層、43…ブロック絶縁層、MT0~MT7…メモリセルトランジスタ、P0~P3…プレーン、T0o,T1o,T2o,T3o…nチャネルMOS電界効果トランジスタ、T0s,T1s,T2s,T3s…nチャネルMOS電界効果トランジスタ、T38o,T38s…nチャネルMOS電界効果トランジスタ、T48o,T48s…nチャネルMOS電界効果トランジスタ、T58o,T58s…nチャネルMOS電界効果トランジスタ。