(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134122
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20240926BHJP
E05B 85/12 20140101ALI20240926BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20240926BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
E05B1/00 311P
E05B85/12 Z
E05B1/00 311S
A61L2/10
B60J5/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044242
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】下池 昌弥
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 健太
【テーマコード(参考)】
2E250
4C058
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL01
2E250PP13
4C058AA30
4C058BB06
4C058DD13
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK28
(57)【要約】
【課題】ドアハンドルを効果的に除菌することができるドアハンドル装置を提供することにある。
【解決手段】ドアハンドル装置10は、ドアインサイドハンドル111と、ドアインサイドハンドル111に対して光線を照射する発光部12と、発光部12から射出された光線をドアインサイドハンドル111に向かって反射する反射部13と、を具備する。ドアハンドル装置10によれば、光線の照射によりドアインサイドハンドル111の表面を除菌でき、ドアインサイドハンドル111の清潔性を保つことができる。更に、反射部13により反射した光をドアインサイドハンドル111に照射することにより、ドアインサイドハンドル111の表面における滅菌の効果を顕著にできる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアハンドルと、
前記ドアハンドルに対して光線を照射する発光部と、
前記発光部から射出された前記光線を前記ドアハンドルに向かって反射する反射部と、を具備することを特徴とするドアハンドル装置。
【請求項2】
前記反射部は、前記ドアハンドルの少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、乗員の前記ドアハンドルの操作を許容する開放状態と、をとることができることを特徴とする請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項3】
前記反射部を車両後方に向かって移動させることにより、前記遮蔽状態から前記開放状態に移行することを特徴とする請求項2に記載のドアハンドル装置。
【請求項4】
前記発光部は、座席に着座した乗員から視認されない箇所に配設されることを特徴とする請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項5】
前記ドアハンドルは、前記光線を透過させる材料から成ることを特徴とする請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項6】
前記反射部の一部を、前記光線を透過させる透明部位とすることを特徴とする請求項1に記載のドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両には、ドアのロックを解除するためのドアハンドルが備えられている。乗員が降車する際に、乗員は、ドアハンドルを所定方向に回転させ、ドアのロック機構を解除する。次に、ドアを回転させることで開け、車両の側方開口から降車する。降車した後に、乗員は、ドアを反対方向に回転させることで閉める。乗員がドアを閉めると、ロック機構が作動し、ドアハンドルを操作しない限りロックは解除されない。
【0003】
このように、乗員は、降車する際に手によりドアハンドルを接触して操作する。このことから、疫病の蔓延を抑制する為には、ドアハンドルの表面を除菌することが有効である。車両において、ハンドル等の表面を除菌する発明が、以下の特許文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献に記載された発明では、ドアハンドルを効果的に除菌する観点から改善の余地があった。
【0006】
具体的には、ドアハンドルおよびその周辺部の形状が複雑な場合、ドアハンドルの全体に対して紫外線を照射することは簡単ではなかった。特に近年においては、機能性や意匠性を高めるために、ドアハンドルの形状が複雑化しているため、係る課題が顕著となることがあった。
【0007】
近年、カーシェアリング等の普及により、車両を複数人で利用する機会が増えている。係る事項を考慮すれば、乗員が必ず触れるドアハンドルの表面を除菌することは、疫病の蔓延を抑制するためにも重要である。
【0008】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ドアハンドルを効果的に除菌することができるドアハンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のドアハンドル装置は、ドアハンドルと、前記ドアハンドルに対して光線を照射する発光部と、前記発光部から射出された前記光線を前記ドアハンドルに向かって反射する反射部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドアハンドル装置によれば、光線の照射によりドアハンドルの表面に付着した菌を減少させることができ、ドアハンドルの清潔性を保つことができる。更に、反射部により反射した光をドアハンドルに照射することにより、ドアハンドルの表面における除菌の効果を顕著にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るドアハンドル装置を備えた車両のドアハンドル装置およびその近傍を示す斜視図である。
【
図2A】本発明の実施形態に係るドアハンドル装置を示す模式的な側面図である。
【
図2B】本発明の実施形態に係るドアハンドル装置を示す模式的な断面図である。
【
図3】本発明の他形態に係るドアハンドル装置を示す模式的な側面図である。
【
図4A】本発明の他形態に係るドアハンドル装置を示す模式的な断面図である。
【
図4B】本発明の他形態に係るドアハンドル装置の動作を示す模式的な断面図である。
【
図4C】本発明の他形態に係るドアハンドル装置の動作を示す模式的な断面図である。
【
図5A】本発明の他形態に係るドアハンドル装置を示す模式的な断面図である。
【
図5B】本発明の他形態に係るドアハンドル装置の動作を示す模式的な断面図である。
【
図5C】本発明の他形態に係るドアハンドル装置の動作を示す模式的な断面図である。
【
図6】本発明の他形態に係るドアハンドル装置を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るドアハンドル装置10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明に於いては前後上下左右の各方向を用いるが、左右とは車両20を後方から見た場合である。更に、以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0013】
図1は、ドアハンドル装置10が備えられた車両20を示す斜視図である。ここでは、左側が幅方向外側であり、右側が幅方向内側である。以下では、幅方向外側を単に外側と称し、幅方向内側を単に内側と称することもある。
【0014】
ドアハンドル装置10は、様々なドアに適用することができる。本実施形態では、ドアハンドル装置10を、例えば乗用車である車両20の、左側のドア21に適用した場合を例示する。ドア21は、その前端部がヒンジ機構により車体に取り付けられ、当該ヒンジ機構を支点として回転することで開閉する回転式ドアである。ドア21としては、スライド式ドアを採用することもできる。
【0015】
ドア21は、ここでは図示しないアウタパネルおよびインナパネルを有している。ドアトリム22はインナパネルを覆うように形成される。
【0016】
ドアハンドル装置10は、ドアトリム22に配設される。後述するように、ドアハンドル装置10は、車両20の前方左側座席に着座する乗員の胴体よりも、前方側に配置される。ドアハンドル装置10は、ドアハンドル11としてドアインサイドハンドル111を有する。ドアインサイドハンドル111は、ここでは図示しないワイヤ等を経由して、ここでは図示しないドア21のロック機構に接続される。
【0017】
乗員が車両20から降車する際には、ドアインサイドハンドル111を手前に引くことで回転させ、ここでは図示しないロック機構を解除し、この状態でドア21を外側に押すことにより、ドア21を回転させて開ける。即ち、ドア21を開くためには、乗員の手は必ずドアインサイドハンドル111に触れる。後述するように、本実施形態では、紫外線等の光線を効果的にドアインサイドハンドル111に照射することで、ドアインサイドハンドル111の表面を除菌し、ドアインサイドハンドル111を介して疫病が蔓延することを抑制できる。ここで、除菌は、殺菌、滅菌または減菌等と称されることもある。
【0018】
ドアインサイドハンドル111は、複雑な湾曲形状を呈している。具体的には、ドアインサイドハンドル111は、その先端部が上方に向かって湾曲する形状を呈している。このようにすることで、乗員はその指を、ドアインサイドハンドル111の前端側部分に容易に掛け、ドアインサイドハンドル111を回転させることができる。一般に、複雑な形状のドアインサイドハンドル111の全体に対して、光線を照射することは容易ではない。本実施形態では、後述するように、反射部13等を用いて光線を反射させることで、ドアインサイドハンドル111の全体に対して光線を照射し、効果的に除菌している。
【0019】
図2Aは、ドアハンドル装置10の構成を示す模式図であり、ドアハンドル装置10を車両20の内側から見た図である。
図2Bは、ドアハンドル装置10の構成を示す断面図であり、
図1のA-A切断面線に於ける断面である。係る事項は、後述する断面に関しても同様である。
図2Aおよび
図2Bでは、発光部12から射出される光線を破線で示し、反射部13により反射した光線を実線で示す。
【0020】
図2Aおよび
図2Bを参照して、ドアハンドル装置10は、ドアハンドル11であるドアインサイドハンドル111と、発光部12と、反射部13と、を主要に具備する。
【0021】
ドアハンドル11は、一体形成された合成樹脂または金属等から成り、乗員の指を掛けることができるのに適した形状を呈する。ドアインサイドハンドル111は、後端に規定された回転軸15を回転中心として回転できるように構成される。また、ドアインサイドハンドル111は、ここでは図示しないバネ等の弾性体により、その前端部が外側に向かって付勢されている。即ち、ドアインサイドハンドル111を上方から見た場合、ドアインサイドハンドル111は、反時計回りに付勢される。よって、ドアインサイドハンドル111は、乗員が操作しない際は、ハンドル収容部14の内部に収納される。
【0022】
ハンドル収容部14は、ドアハンドル11を収容する。ハンドル収容部14は、板状の合成樹脂から成り、外側に向かって窪むような略箱形形状を呈する。ハンドル収容部14は、
図1に示したドアトリム22に組み込まれる。このようにすることで、ドアインサイドハンドル111が、ドアトリム22から内側に向かって突出することが抑制され、乗員がドアインサイドハンドル111を誤操作することを防止できる。ハンドル収容部14の内面は、発光部12から射出される光線を好適に反射できる面、例えば薄膜金属から成るメッキ面等から構成されても良い。
【0023】
発光部12は、ドアインサイドハンドル111に対して光線を照射するように構成される。発光部12は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。光線としては、ドアインサイドハンドル111の表面を除菌することを可能とする周波数帯域の光線、例えば紫外線を採用できる。発光部12は、常時点灯するようにしても良いし、所定時間のみ照射するようにしてもよい。例えば、乗員がドアインサイドハンドル111を操作した後に、所定時間に渡って発光部12からの光線照射を行うようにすることもできる。このようにすることで、ドアインサイドハンドル111の除菌処理を適宜行いつつ、除菌処理に要するエネルギを削減できる。
【0024】
図2Aに示す様に、発光部12は、ハンドル収容部14の内部において、後端側に配置され、且つ、上端側に配置される。このようにすることで、発光部12から光線を、ハンドル収容部14の全域に対して照射でき、ドアインサイドハンドル111の上面等を除菌できる。
【0025】
更に、発光部12は、座席(例えば前方左側の座席)に着座した乗員から直接的に視認されない箇所に配設される。係る領域に発光部12を配置することで、発光部12から射出される光線を、前方に向かって進行させることができ、発光部12が後方に進行することを抑制できる。ここで、乗員の目は、ドアハンドル装置10よりも後方側に存在する。よって、発光部12から射出される光線が、直接的に乗員の目に照射されることが抑制され、安全性を向上できる。また、乗員が目にするのは、発光部12から射出されてハンドル収容部14やドアハンドル11により反射された反射光であり、換言すると間接光である。これにより、ドアハンドル装置10の視覚的な高級感を演出できる。
【0026】
更に、
図2Bに示す様に、発光部12は、ハンドル収容部14の内部において、後端側であり、且つ、外端側に配置される。更に、発光部12は、ドアインサイドハンドル111よりも外側に配置される。係る構成によっても、発光部12から射出される光線が、ドアハンドル装置10よりも後方に位置する乗員の目に直接的に照射されることを抑制できる。更に、発光部12から射出される光線を、ドアインサイドハンドル111の全体に対して照射できる。
【0027】
反射部13は、発光部12から射出された光線を、ドアインサイドハンドル111に向かって反射するように構成される。ここでは、反射部13は、ハンドル収容部14の底面近傍に配置される。反射部13としては、上面に薄膜金属等から成る反射面が形成された板状部材を採用できる。係る構成にすることで、発光部12から照射される光線の一部が、反射部13の上面により、上方に向かって反射される。よって、ドアインサイドハンドル111の下面に対して反射光を照射し、かかる部分を除菌することができる。
【0028】
上記のようにすることで、ドアインサイドハンドル111を全体的に除菌できる。
【0029】
図3に、他の構成に係るドアハンドル装置10Aを示す。ドアハンドル装置10Aでは、発光部12および反射部13の構成が、前述したドアハンドル装置10と異なる。ドアハンドル装置10Aの他の構成は、前述したドアハンドル装置10と同様である。
【0030】
発光部12は、ハンドル収容部14の下端側に配置され、且つ、ハンドル収容部14の後端側に配置される。
【0031】
反射部13は、ハンドル収容部14の上部に取り付けられている。反射部13は、その下面が、反射面を形成している。
【0032】
ドアハンドル装置10Aでは、発光部12から発生された光線は、ハンドル収容部14の内部を、前側上方に向かって進行する。これにより、ドアインサイドハンドル111の下面およびその近傍は、光線が照射されて除菌される。また、発光部12から射出された光線の一部は、反射部13により反射され、下方に向かって進行し、ドアインサイドハンドル111の上面等に照射される。これにより、ドアインサイドハンドル111を全体的に除菌できる。
【0033】
図4A、
図4Bおよび
図4Cは、更なる他形態に係るドアハンドル装置10Bを示す模式的な断面図である。
図4A、
図4Bおよび
図4Cは、
図1に示したA-A切断面における断面図である。ドアハンドル装置10Bでは、反射部13の構成が、前述したドアハンドル装置10と異なる。ドアハンドル装置10Bの他の構成は、前述したドアハンドル装置10と同様である。
【0034】
図4Aを参照して、反射部13は、ハンドル収容部14の内側開口を塞ぐように配設されている。反射部13の外側を向く主面が反射面である。また、発光部12は、ハンドル収容部14の内部において、後端側に配置され、且つ、外端側に配設される。反射部13は、ハンドル収容部14に対して、開閉可能、例えばスライド可能に配設される。反射部13がスライドする方向は、上下方向でも良いし、前後方向でも良い。反射部13は、図示しないスライド機構を介してハンドル収容部14を塞ぐように構成される。
【0035】
係る構成において、発光部12から射出された光線は、ドアインサイドハンドル111の外側面等に照射され、この部分が除菌される。また、発光部12から射出された光線の一部は、反射部13の外側主面により反射され、反射された光線がドアインサイドハンドル111の内側部分に照射され、この部分が除菌される。このようにすることで、ドアインサイドハンドル111を全体的に除菌できる。
【0036】
反射部13は、遮蔽状態と開放状態とをとることができる。
【0037】
遮蔽状態は、
図4Aに示す様に、ドアインサイドハンドル111の少なくとも一部を遮蔽する状態である。ここでは、ハンドル収容部14の内面開口が、反射部13により全面的に遮蔽される。
【0038】
開放状態は、
図4Bおよび
図4Cに示すように、反射部13がハンドル収容部14を遮蔽しない状態とすることで、乗員によるドアインサイドハンドル111の操作を許容する状態である。
【0039】
図4Bを参照して、反射部13が後方に向かってスライドすることで、遮蔽状態から開放状態に移行する。乗員は、反射部13を容易にスライドさせて開放状態に移行できる。具体的には、反射部13を含むドアハンドル装置10Bは、ここでは図示しない乗員の胴体よりも前方に配置される。よって、反射部13を後方に移動させる動作は、乗員にとって負担が小さい。また、係る動作は、後述するドアインサイドハンドル111の操作と同方向に対して行うものであるため、誤操作の減少にも繋がる。
【0040】
反射部13を開閉するスライド動作は、手動でも良いし、自動でも良い。反射部13のスライドを手動により反射部13をスライドさせる場合は、乗員が反射部13に接触し、反射部13を後方に向かってスライドさせる。反射部13のスライドを自動で行う場合は、図示しないCPU等の演算制御部の指示に基づき、モータ等のアクチュエータにより、反射部13を後方に向かってスライドさせる。
【0041】
ここで、反射部13が開放状態の場合は、発光部12による光線の照射を続行しても良いし、照射を行わなくても良い。光線の照射を続行することでドアインサイドハンドル111を除菌する効果を顕著にできる。光線の照射を行わないことで、発光部12が消費するエネルギを低減できる。
【0042】
図4Cを参照して、乗員が、その手によりドアインサイドハンドル111を後方に向かって引くことにより、ドアインサイドハンドル111を回転させる。ドアインサイドハンドル111を上方から見た場合、ドアインサイドハンドル111は、回転軸15を回転中心として、時計回りに回転する。このようにすることで、図示しないロック機構が解除され、前述したドア21を開くことができる。降車後、乗員がドアインサイドハンドル111から手を離すと、図示しない付勢手段の作用により、ドアインサイドハンドル111は反時計回りに回転し、
図4Bに示す状態に戻る。
【0043】
その後、反射部13は前方に向かってスライドし、ハンドル収容部14を塞ぐ
図4Aに示す状態になる。反射部13の前方へのスライドは、乗員の操作、付勢手段またはアクチュエータ等の働きによる。
【0044】
図5A、
図5Bおよび
図5Cを参照して、更なる他の形態に係るドアハンドル装置10Cの構成および動作を説明する。
図5A、
図5Bおよび
図5Cは、
図1に示したA-A切断面における断面図である。ドアハンドル装置10Cの基本構成は、前述したドアハンドル装置10Bと同様であり、反射部13に透明部位131が形成される事項が異なる。
【0045】
図5Aを参照して、反射部13の前端部分は、光線を透過させる透明部位131とされる。透明部位131は、反射部13をスライド操作する乗員が接触する部位である。透明部位131の内側面を部分的に凸状または凹状とすることで、把手部が形成されても良い。ここで、透明部位131は、前後方向において、反射部13の中間部分に形成されても良いし、後端部分に形成されても良い。
【0046】
透明部位131の外側面には反射面は形成されていない。よって、発光部12から射出された光の一部は、透明部位131の外側面から内部に進入し、透明部位131の内部を通過した後に、透明部位131の前側面、内側面、上側面および下側面から、外部に透過する。その際、透明部位131の前側面、内側面、上側面および下側面が除菌される。これにより、乗員が触れる透明部位131の清潔性を保つことが出来る。
【0047】
図5Bおよび
図5Cを参照して、乗員が、その指により透明部位131を接触することで、反射部13を後方に向かってスライドさせる。次に、乗員が、その指によりドアインサイドハンドル111を回転させ、前述したドア21のロックを解除する。係る事項は、
図4Bおよび
図4Cを参照して説明したドアハンドル装置10Bの場合と同様である。
【0048】
図6を参照して、更なる他の形態に係るドアハンドル装置10Dを説明する。ドアハンドル装置10Dの基本構成は前述したドアハンドル装置10Aと同様であり、ドアインサイドハンドル111が、光線を透過させる材料から成る事項が異なる。
【0049】
ここでは、ドアインサイドハンドル111の内部および表面が、発光部12から発せられる光線を透過させる材料から成る。よって、発光部12から射出された光線は、ドアインサイドハンドル111の内部を通過し、ドアインサイドハンドル111の表面を透過して外部に射出される。よって、ドアインサイドハンドル111の表面を除菌できる。
【0050】
発光部12は、ここでは、ドアインサイドハンドル111の内部に配設される。このようにすることで、ドアインサイドハンドル111の内部に対して光線を効果的に照射できる。ここで、発光部12は、ハンドル収容部14の内部において、ドアインサイドハンドル111の外側に配設されても良い。
【0051】
また、ドアハンドル装置10Dには、
図2A等に示した反射部13が配設されても良い。
【0052】
以下に、前述した本実施形態から把握できる技術的思想を、その効果と共に記載する。
【0053】
本発明のドアハンドル装置は、ドアハンドルと、前記ドアハンドルに対して光線を照射する発光部と、前記発光部から射出された前記光線を前記ドアハンドルに向かって反射する反射部と、を具備することを特徴とする。本発明のドアハンドル装置によれば、光線の照射によりドアハンドルの表面に付着した菌を減少させることができ、ドアハンドルの清潔性を保つことができる。更に、反射部により反射した光をドアハンドルに照射することにより、ドアハンドルの表面における滅菌の効果を顕著にできる。
【0054】
また、本発明のドアハンドル装置では、前記反射部は、前記ドアハンドルの少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、乗員の前記ドアハンドルの操作を許容する開放状態と、をとることができることを特徴とする。本発明のドアハンドル装置によれば、遮蔽状態において反射部により反射した光をドアハンドルに照射できる。また、開放状態において乗員によるドアハンドルの操作を反射部が阻害することがない。
【0055】
また、本発明のドアハンドル装置では、前記反射部を車両後方に向かって移動させることにより、前記遮蔽状態から前記開放状態に移行することを特徴とする。本発明のドアハンドル装置によれば、簡易に開放状態に移行できる。即ち、反射部は乗員の胴体よりも前方に配置されることから、反射部を後方に移動させる動作は、乗員にとって負担が小さい。また、係る動作はドアハンドル操作と同方向に対して行うものであるため、誤操作の減少にも繋がる。
【0056】
また、本発明のドアハンドル装置では、前記発光部は、座席に着座した乗員から視認されない箇所に配設されることを特徴とする。本発明のドアハンドル装置によれば、光源が乗員に視認されることがなく、乗員の視覚的な快適性を向上できる。
【0057】
また、本発明のドアハンドル装置では、前記ドアハンドルは、前記光線を透過させる材料から成ることを特徴とする。本発明のドアハンドル装置によれば、ドアハンドルを透過する光線により、ドアハンドルの表面の滅菌を行うことができる。
【0058】
また、本発明のドアハンドル装置では、前記反射部の一部を、前記光線を透過させる透明部位とすることを特徴とする。本発明のドアハンドル装置によれば、反射部を透過する光線により、透過部の表面を除菌することができる。よって、ドアハンドルと共に、反射部の清潔性を保つことができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0060】
本実施形態では、ドアハンドル11としてドアインサイドハンドル111を採用したが、本実施形態を他種類のドアハンドル11に適用できる。例えば、ドアハンドル11としてドアアウトサイドハンドルを採用できる。
【符号の説明】
【0061】
10,10A,10B,10C,10D ドアハンドル装置
11 ドアハンドル
111 ドアインサイドハンドル
12 発光部
13 反射部
131 透明部位
14 ハンドル収容部
15 回転軸
20 車両
21 ドア
22 ドアトリム