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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134129
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】果汁含有飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20240926BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240926BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20240926BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20240926BHJP
【ＦＩ】
A23L2/00 B
A23L2/52 101
A23L19/00 A
A23L2/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023044251
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】高岸 知輝
【テーマコード（参考）】
4B016
4B117
【Ｆターム（参考）】
4B016LC02
4B016LE05
4B016LG01
4B016LG02
4B016LK04
4B016LK05
4B117LC02
4B117LE04
4B117LG02
4B117LG05
4B117LK06
4B117LK08
(57)【要約】
【課題】果実由来の不溶性固形分を含む果汁含有飲料において、飲んだときに感じられるすっきり感を改善できる新規な技術を提供する。
【解決手段】果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含み、（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート、（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸、および（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレートから選ばれる１種又は２種以上を含有する、果汁含有飲料。
【選択図】なし
【解決手段】果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含み、（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート、（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸、および（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレートから選ばれる１種又は２種以上を含有する、果汁含有飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含み、
以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有する、果汁含有飲料。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有する、果汁含有飲料。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
【請求項2】
前記果汁が、ぶどう果汁である、請求項１に記載の果汁含有飲料。
【請求項3】
前記不溶性固形分が、その９０重量％以上が目開き４．７５ｍｍのメッシュを通過し、且つ、その５０重量％以上が目開き１．７ｍｍのメッシュを通過しない不溶性固形分である、請求項１または２に記載の果汁含有飲料。
【請求項4】
果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含む果汁含有飲料において、
以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有させることを含む、前記飲料のおいしさ、すっきり感、および飲みごたえの改善方法。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有させることを含む、前記飲料のおいしさ、すっきり感、および飲みごたえの改善方法。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は果汁含有飲料に関し、特に果汁とともに果実由来の不溶性固形分を含有する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
果汁含有飲料は果実に由来する独特の風味を手軽に楽しむことができることなどから、市場において常にシェアを維持し続けている。
また、果実などから得られる不溶性固形分を配合した飲料が知られている（例えば特許文献１）。不溶性固形分は例えば飲料を飲んだときに口中で感じられる食感を付与し、嗜好性を高めるのに寄与する。
また、果実などから得られる不溶性固形分を配合した飲料が知られている（例えば特許文献１）。不溶性固形分は例えば飲料を飲んだときに口中で感じられる食感を付与し、嗜好性を高めるのに寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第７１７９９５０号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、果実由来の不溶性固形分を含む果汁含有飲料において、飲んだときに感じられるすっきり感を改善できる新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は果汁含有飲料に果実由来の不溶性固形分を含有させたところ、乾燥重量で１．２ｇ／Ｌ以上含有させたときに飲んだときに感じられるすっきり感が低下していた。
本発明者は鋭意研究の結果、果実由来の不溶性固形分を含む果汁含有飲料において、所定の化合物を所定の含有量で含有させることで、すっきり感を改善できることを見出した。さらに、当該構成を適用することで、おいしさ、飲みごたえについても改善できることも見出した。
なお、本明細書において、すっきり感とは、飲用後の後味がスッとなくなるような感覚であり、甘味、苦味、酸味、うまみ、塩味等を含む呈味が飲用後に後引きなく消失されていく感覚をいう。すっきり感が改善する（向上する）と、後味がよりはやくなくなり、口中内に違和感がより残らないようになる。
また、飲みごたえとは、ボディ感ともいい、飲んだときにコクや重さのある風味があり、飲み込むときに喉に抵抗を感じられるような感覚をいう。
本発明者は鋭意研究の結果、果実由来の不溶性固形分を含む果汁含有飲料において、所定の化合物を所定の含有量で含有させることで、すっきり感を改善できることを見出した。さらに、当該構成を適用することで、おいしさ、飲みごたえについても改善できることも見出した。
なお、本明細書において、すっきり感とは、飲用後の後味がスッとなくなるような感覚であり、甘味、苦味、酸味、うまみ、塩味等を含む呈味が飲用後に後引きなく消失されていく感覚をいう。すっきり感が改善する（向上する）と、後味がよりはやくなくなり、口中内に違和感がより残らないようになる。
また、飲みごたえとは、ボディ感ともいい、飲んだときにコクや重さのある風味があり、飲み込むときに喉に抵抗を感じられるような感覚をいう。
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
［１］
果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含み、
以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有する、果汁含有飲料。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
［２］
前記果汁が、ぶどう果汁である、［１］に記載の果汁含有飲料。
［３］
前記不溶性固形分が、その９０重量％以上が目開き４．７５ｍｍのメッシュを通過し、且つ、その５０重量％以上が目開き１．７ｍｍのメッシュを通過しない不溶性固形分である、［１］または［２］に記載の果汁含有飲料。
［４］
果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含む果汁含有飲料において、
以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有させることを含む、前記飲料のおいしさ、すっきり感、および飲みごたえの改善方法。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
［１］
果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含み、
以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有する、果汁含有飲料。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
［２］
前記果汁が、ぶどう果汁である、［１］に記載の果汁含有飲料。
［３］
前記不溶性固形分が、その９０重量％以上が目開き４．７５ｍｍのメッシュを通過し、且つ、その５０重量％以上が目開き１．７ｍｍのメッシュを通過しない不溶性固形分である、［１］または［２］に記載の果汁含有飲料。
［４］
果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含む果汁含有飲料において、
以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有させることを含む、前記飲料のおいしさ、すっきり感、および飲みごたえの改善方法。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、果実由来の不溶性固形分を含む果汁含有飲料において、飲んだときに感じられるすっきり感を改善できる新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の１つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は果汁含有飲料に関する。本実施形態の飲料は果汁とともに果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含み、以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有する。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
本実施形態は果汁含有飲料に関する。本実施形態の飲料は果汁とともに果実由来の不溶性固形分を乾燥重量で１．２～６．０ｇ／Ｌ含み、以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）から選ばれる１種又は２種以上を含有する。
（Ａ）その含有量が３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂであるエチルイソブチレート
（Ｂ）その含有量が３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂであるｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート
（Ｃ）その含有量が１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂであるイソ酪酸
（Ｄ）その含有量が１５～３０ｐｐｂであるフェネチルブチレート
【0009】
本明細書において、果汁とは、果実を破砕して搾汁又は裏ごし等をし、必要に応じて皮、種子等を除去した液体成分をいう。また、果汁には、当該液体成分を濃縮したものや、これらの希釈還元物も含まれる概念である。また、果汁は、精密濾過法、酵素処理法、限外濾過法等の手法により清澄処理した透明汁であっても、不溶性固形分を含む混濁汁であってもよい。
【0010】
果汁が由来する果物については、例えば、柑橘類、バラ科植物の果物、ぶどう、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、ライチ、パパイヤ、パッションフルーツ、ブルーベリー、キウイフルーツ、メロン、キウイフルーツ、カラント、グーズベリーなどのスグリ類、クランベリー等のツツジ科植物の果物などが挙げられる。柑橘類はミカン科ミカン亜科に属する植物の果実を意味し、オレンジ、うんしゅうみかん、グレープフルーツ、レモン、ライム、柚子、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シークワーサー、かぼす等が例示できる。また、バラ科植物の果物としてはアンズ、イチゴ、ウメ、サクランボ、スモモ、西洋ナシ、日本梨（和梨）、ビワ、モモ、リンゴ、プルーン、ラズベリー、ブラックベリーなどが挙げられる。例えばこれらのうち１種または２種以上の果物の果汁が選択されて本実施形態の飲料に含有されるようにしてもよい。
このうち、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感、飲みごたえをより改善することができるため、本実施形態の飲料は果汁としてぶどうの果実由来の果汁を含有することが好ましい。
このうち、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感、飲みごたえをより改善することができるため、本実施形態の飲料は果汁としてぶどうの果実由来の果汁を含有することが好ましい。
【0011】
ぶどう（Ｖｉｔｉｓ ｓｐｐ．）は、ぶどう科ぶどう属に分類される蔓性植物である。ぶどうについて果皮の色味で黄緑系の白ぶどうと、赤系・黒系の赤ぶどうとに分類した場合も、白ぶどうと赤ぶどうのいずれに由来する果汁が本実施形態の飲料に含まれてもよく、また、両方の果汁が本実施形態の飲料に含まれているようにしてもよい。
黄緑系の白ぶどうとしては、たとえば、ナイアガラ、ロザリオビアンコ、マスカット、シャルドネ等の品種が挙げられる。赤系・黒系の赤ぶどうとしては、たとえば、コンコード、巨峰、甲州、赤嶺、藤稔、キャンベル・アーリー、デラウェア、ピオーネ、スチューベン、ゴルビー、ルビーレッド、カルベネソーヴィニヨン等の品種が挙げられる。これらは１種または２種以上を混合して用いてもよい。
ぶどう果汁の調製に用いることのできるぶどうについては、その産地、熟度、大きさなどは特に限定されず、適宜設定することができる。
黄緑系の白ぶどうとしては、たとえば、ナイアガラ、ロザリオビアンコ、マスカット、シャルドネ等の品種が挙げられる。赤系・黒系の赤ぶどうとしては、たとえば、コンコード、巨峰、甲州、赤嶺、藤稔、キャンベル・アーリー、デラウェア、ピオーネ、スチューベン、ゴルビー、ルビーレッド、カルベネソーヴィニヨン等の品種が挙げられる。これらは１種または２種以上を混合して用いてもよい。
ぶどう果汁の調製に用いることのできるぶどうについては、その産地、熟度、大きさなどは特に限定されず、適宜設定することができる。
【0012】
また、ぶどうの果汁とは、ぶどうの果実を破砕して搾汁したり、あるいは裏ごししたりするなどして得られる液体成分をいう。本明細書のぶどうの果汁には、当該液体成分を濃縮したものや、これらの希釈還元物も含まれる概念である。さらに、本実施形態に係るぶどうの果汁は、パルプ分を含むもの、または、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分を除去したもののいずれであってもよい。
また、ぶどう果汁として市販のジュースや濃縮ジュース、ペーストなどを用い、本実施形態のぶどう果汁含有飲料を調製するようにしてもよい。具体的には、ＪＡＳ規格（果実飲料の日本農林規格）で指定されたジュースや濃縮ジュースを挙げることができ、例えばこれらのうち１種または２種以上を本実施形態のぶどう果汁含有飲料調製のために用いることができる。
また、ぶどう果汁として市販のジュースや濃縮ジュース、ペーストなどを用い、本実施形態のぶどう果汁含有飲料を調製するようにしてもよい。具体的には、ＪＡＳ規格（果実飲料の日本農林規格）で指定されたジュースや濃縮ジュースを挙げることができ、例えばこれらのうち１種または２種以上を本実施形態のぶどう果汁含有飲料調製のために用いることができる。
【0013】
本実施形態の飲料においては、果汁の含有率は特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
ここで、果汁率とは、果実を搾汁して得られ、濃縮等の処理を行っていない搾汁（ストレート果汁）のＢｒｉｘ値（Ｂｘ）または酸度を１００％としたときの、相対濃度である。また、本明細書においてＢｒｉｘ値は、ＪＡＳ規格に基づき、試料の温度（液温度）２０℃における糖用屈折計の示度をいう。Ｂｒｉｘ値の測定は、公知の方法、装置を用いて行うことができる。また、酸度は、１００ｇ中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数（無水クエン酸ｇ／１００ｇ）で表すことができる。酸度もまた、ＪＡＳ規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には０．１ｍｏｌ／Ｌ水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法（定量式）により測定できる。
果汁率をＢｒｉｘ値または酸度のいずれに基づいて算出するかはＪＡＳ規格に基づき果汁の種類ごとに定められている。ぶどうについてはＢｒｉｘ値に基づいて算出する。果汁の果汁率をＪＡＳ規格のＢｒｉｘ値に基づいて換算する場合、果汁に加えられた糖類、はちみつ等のＢｒｉｘ値は除いて算出される。
例えば、ぶどうについてはＪＡＳ規格のＢｒｉｘ値が１１であるため、Ｂｒｉｘ値が３３のぶどうジュースを飲料中１０質量％配合した場合、３０質量％の果汁率の飲料となる。
ここで、果汁率とは、果実を搾汁して得られ、濃縮等の処理を行っていない搾汁（ストレート果汁）のＢｒｉｘ値（Ｂｘ）または酸度を１００％としたときの、相対濃度である。また、本明細書においてＢｒｉｘ値は、ＪＡＳ規格に基づき、試料の温度（液温度）２０℃における糖用屈折計の示度をいう。Ｂｒｉｘ値の測定は、公知の方法、装置を用いて行うことができる。また、酸度は、１００ｇ中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数（無水クエン酸ｇ／１００ｇ）で表すことができる。酸度もまた、ＪＡＳ規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には０．１ｍｏｌ／Ｌ水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法（定量式）により測定できる。
果汁率をＢｒｉｘ値または酸度のいずれに基づいて算出するかはＪＡＳ規格に基づき果汁の種類ごとに定められている。ぶどうについてはＢｒｉｘ値に基づいて算出する。果汁の果汁率をＪＡＳ規格のＢｒｉｘ値に基づいて換算する場合、果汁に加えられた糖類、はちみつ等のＢｒｉｘ値は除いて算出される。
例えば、ぶどうについてはＪＡＳ規格のＢｒｉｘ値が１１であるため、Ｂｒｉｘ値が３３のぶどうジュースを飲料中１０質量％配合した場合、３０質量％の果汁率の飲料となる。
【0014】
本実施形態に係る果実由来の不溶性固形分とは、果物の果肉や果皮などに由来する水に不溶である成分をいい、特にその形状等は限定されない。果実由来の不溶性固形分は、例えば、果皮（柑橘類果実の場合、アルベドやフラベドなど）や果肉（柑橘類果実の場合、さのう、じょうのう、じょうのう膜など）等に由来する。
好ましい果実由来の不溶性固形分としては、パルプを挙げることができる。パルプとは果実から破砕処理を経て得られる固形分をいう。パルプとして、例えば、果実を破砕し、果汁等の液状成分を篩別及び／又は遠心分離により分離して得られる果汁中に含まれる水に不溶の固形分や、果実から果汁を搾汁した後に得られる果汁残渣を細砕して得られる水に不溶の固形分等を挙げることができる。具体的なパルプの例としては、果実が柑橘類果実の場合には、上述のアルベド、フラベド、さのう、じょうのう、じょうのう膜等を破砕したものなどが挙げられる。
好ましい果実由来の不溶性固形分としては、パルプを挙げることができる。パルプとは果実から破砕処理を経て得られる固形分をいう。パルプとして、例えば、果実を破砕し、果汁等の液状成分を篩別及び／又は遠心分離により分離して得られる果汁中に含まれる水に不溶の固形分や、果実から果汁を搾汁した後に得られる果汁残渣を細砕して得られる水に不溶の固形分等を挙げることができる。具体的なパルプの例としては、果実が柑橘類果実の場合には、上述のアルベド、フラベド、さのう、じょうのう、じょうのう膜等を破砕したものなどが挙げられる。
【0015】
本実施形態に係る果実由来の不溶性固形分としては、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感、飲みごたえをより改善できるため、その９０重量％以上が目開き４．７５ｍｍのメッシュを通過し、且つその５０重量％以上が目開き１．７ｍｍのメッシュを通過しない果実由来の不溶性固形分が好ましい。
【0016】
本明細書において、目開きとは、メッシュ（金属製網ふるい）に係るＪＩＳ Ｚ８８０１－１：２０１９に基づく公称目開きを意味する。
【0017】
本明細書において、９０重量％以上が目開き４．７５ｍｍのメッシュを通過する、とは、飲料に含まれる果実由来の不溶性固形分を目開き４．７５ｍｍ、Φ１５０ｍｍのメッシュに均等に広げ、シャワー状の流水をパルプに均等に当たるよう７０ｍｌ／秒の流量で６０秒間流した際に、乾燥重量換算で９０重量％以上の不溶性固形分が通過することをいう。
また、本明細書において、５０重量％以上が目開き１．７ｍｍのメッシュを通過しない、とは、同様に、飲料に含まれる果実由来の不溶性固形分を目開き１．７ｍｍ、Φ１５０ｍｍのメッシュに均等に広げ、シャワー状の流水をパルプに均等に当たるよう７０ｍｌ／秒の流量で６０秒間流した際に、乾燥重量換算で５０重量％以上（好ましくは７０重量％以上）の不溶性固形分が通過せずメッシュ上に残っていることをいう。
なお、上記測定に行うにあたっては、まず、十分に網目の細かいメッシュ（例えば、目開き４２５μｍ、Φ１５０ｍｍのメッシュ）を用いて果実由来の不溶性固形分を飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこんで、残付着している糖分などを完全に洗い流してから測定に供する。
また、本明細書において、５０重量％以上が目開き１．７ｍｍのメッシュを通過しない、とは、同様に、飲料に含まれる果実由来の不溶性固形分を目開き１．７ｍｍ、Φ１５０ｍｍのメッシュに均等に広げ、シャワー状の流水をパルプに均等に当たるよう７０ｍｌ／秒の流量で６０秒間流した際に、乾燥重量換算で５０重量％以上（好ましくは７０重量％以上）の不溶性固形分が通過せずメッシュ上に残っていることをいう。
なお、上記測定に行うにあたっては、まず、十分に網目の細かいメッシュ（例えば、目開き４２５μｍ、Φ１５０ｍｍのメッシュ）を用いて果実由来の不溶性固形分を飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこんで、残付着している糖分などを完全に洗い流してから測定に供する。
【0018】
その９０重量％以上が目開き４．７５ｍｍのメッシュを通過し、且つその５０重量％以上が目開き１．７ｍｍのメッシュを通過しない果実由来の不溶性固形分は公知の方法により調製することができる。
【0019】
本実施形態の飲料に含まれる果実由来の不溶性固形分の含有量は、乾燥重量で１．２ｇ／Ｌ以上６．０ｇ／Ｌ以下であることが好ましく、ざらつきを抑えることができるため、より好ましくは１．２ｇ／Ｌ以上３．６ｇ／Ｌ以下である。
なお、飲料に含まれる果実由来の不溶性固形分の含有量は、上述の方法で得ることができる。すなわち、果実由来の不溶性固形分を十分に網目の細かいメッシュ（例えば、目開き４２５μｍ、Φ１５０ｍｍのメッシュ）を用いて飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこみ、次いで乾燥させ、この重量を測定して得ることができる。
また、本明細書において、不溶性固形分の乾燥とは、不溶性固形分から水分を１００％除去した状態にすることをいい、例えば、不溶性固形分を６０℃４日間静置する方法が挙げられる。
なお、飲料に含まれる果実由来の不溶性固形分の含有量は、上述の方法で得ることができる。すなわち、果実由来の不溶性固形分を十分に網目の細かいメッシュ（例えば、目開き４２５μｍ、Φ１５０ｍｍのメッシュ）を用いて飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこみ、次いで乾燥させ、この重量を測定して得ることができる。
また、本明細書において、不溶性固形分の乾燥とは、不溶性固形分から水分を１００％除去した状態にすることをいい、例えば、不溶性固形分を６０℃４日間静置する方法が挙げられる。
【0020】
本実施形態のぶどう果汁含有飲料に含まれる果実由来の不溶性固形分はいずれの果物に由来するものであってよく、該果物として、例えば柑橘類のほか、リンゴ、日本梨などのバラ科植物の果物、などを挙げることができる。
【0021】
本実施形態の飲料は、エチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸、およびフェネチルブチレートからなる群から選択される１種または２種以上を含有する。
【0022】
エチルイソブチレート（２－メチルプロパン酸エチル）が含有される場合、その含有量は３０ｐｐｂ以上２０００ｐｐｂ以下である。
【0023】
ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート（酢酸 ｃｉｓ－３－ヘキセニル）が含有される場合、その含有量は３０ｐｐｂ以上１０００ｐｐｂ以下である。
【0024】
イソ酪酸（ジメチル酪酸）が含有される場合、その含有量は１００ｐｐｂ以上１００１０ｐｐｂ以下である。
【0025】
フェネチルブチレート（イソ酪酸２－フェニルエチル、イソ酪酸フェネチル）が含有される場合、その含有量は１５ｐｐｂ以上３０ｐｐｂ以下である。
【0026】
飲料中のエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸、フェネチルブチレートの含有量（ｐｐｂ）については例えば飲料の成分から算出することができる。
また、エチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、フェネチルブチレートの含有量については、ＳＰＭＥ―ＧＣ／ＭＳ測定により得ることもできる。ＳＰＭＥ―ＧＣ／ＭＳ測定の条件の一例を以下に示す。
装置：ＧＣ：Ａｇｉｌｅｎｔ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ社製 ７８９０Ａ
ＭＳ：Ａｇｉｌｅｎｔ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ社製 ５９７５Ｃ
ＳＰＭＥファイバー：ＤＶＢ／ＣＡＲ／ＰＤＭＳ
カラム：ＨＰ－ＩＮＮＮＯＷＡＸ ０．２５ｍｍ×６０ｍ×０．２５μｍ
手法：ＳＰＭＥ法
定量イオン：エチルイソブチレート ｍ／ｚ＝７１、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート ｍ／ｚ＝６７、フェネチルブチレート ｍ／ｚ＝１０４
内標：シクロヘキサノール ｍ／ｚ＝８２
温度条件：４０℃（５分）→５℃／分→２４０℃（１０ｍｉｎ）
キャリアガス流量：Ｈｅ １．６ｍｌ／分
注入法：スプリットレス
イオン源温度：２３０℃
また、エチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、フェネチルブチレートの含有量については、ＳＰＭＥ―ＧＣ／ＭＳ測定により得ることもできる。ＳＰＭＥ―ＧＣ／ＭＳ測定の条件の一例を以下に示す。
装置：ＧＣ：Ａｇｉｌｅｎｔ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ社製 ７８９０Ａ
ＭＳ：Ａｇｉｌｅｎｔ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ社製 ５９７５Ｃ
ＳＰＭＥファイバー：ＤＶＢ／ＣＡＲ／ＰＤＭＳ
カラム：ＨＰ－ＩＮＮＮＯＷＡＸ ０．２５ｍｍ×６０ｍ×０．２５μｍ
手法：ＳＰＭＥ法
定量イオン：エチルイソブチレート ｍ／ｚ＝７１、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート ｍ／ｚ＝６７、フェネチルブチレート ｍ／ｚ＝１０４
内標：シクロヘキサノール ｍ／ｚ＝８２
温度条件：４０℃（５分）→５℃／分→２４０℃（１０ｍｉｎ）
キャリアガス流量：Ｈｅ １．６ｍｌ／分
注入法：スプリットレス
イオン源温度：２３０℃
【0027】
また、イソ酪酸の含有量については、以下の方法で得ることもできる。
＜前処理方法＞
1)分液漏斗にサンプル１０ｇを採取し、水２００ｍＬを添加
2)９ｍｏｌ／Ｌの硫酸を１ｍＬ添加
3)ジエチルエーテル １００ｍＬ添加
4)塩化ナトリウム８０ｇを添加
5)１５分間振盪後、ジエチルエーテル層を回収し、脱水ろ過
6)濃縮後、ジエチルエーテルを用いて２ｍＬに定容
7)ガスクロマトグラフィー質量分析法にて測定
＜ガスクロマトグラフィー質量分析法＞
機種：７８９０Ｂ／５９７７Ｂ［Ａｇｉｌｅｎｔ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ，Ｉｎｃ．］
カラム：ＤＢ―ＷＡＸ ＵＩ［Ａｇｉｌｅｎｔ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ，Ｉｎｃ．］φ０．２５ｍｍ×３０ｍ、膜厚０．２５μｍ
手法：液打ち法
注入方法：パルスドスプリット ５：１
パルス圧：２００ｋＰａ
パルス時間：２ｍｉｎ
温度：試料注入口 ２２０℃
カラム６０℃（１ｍｉｎ保持）→１０℃／ｍｉｎ 昇温→２００℃
ガス流量：ヘリウム（キャリヤーガス）１ｍＬ／ｍｉｎ
イオン源温度：２３０℃
イオン化法：ＥＩ
設定質量数：ｍ／ｚ ７３
＜前処理方法＞
1)分液漏斗にサンプル１０ｇを採取し、水２００ｍＬを添加
2)９ｍｏｌ／Ｌの硫酸を１ｍＬ添加
3)ジエチルエーテル １００ｍＬ添加
4)塩化ナトリウム８０ｇを添加
5)１５分間振盪後、ジエチルエーテル層を回収し、脱水ろ過
6)濃縮後、ジエチルエーテルを用いて２ｍＬに定容
7)ガスクロマトグラフィー質量分析法にて測定
＜ガスクロマトグラフィー質量分析法＞
機種：７８９０Ｂ／５９７７Ｂ［Ａｇｉｌｅｎｔ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ，Ｉｎｃ．］
カラム：ＤＢ―ＷＡＸ ＵＩ［Ａｇｉｌｅｎｔ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ，Ｉｎｃ．］φ０．２５ｍｍ×３０ｍ、膜厚０．２５μｍ
手法：液打ち法
注入方法：パルスドスプリット ５：１
パルス圧：２００ｋＰａ
パルス時間：２ｍｉｎ
温度：試料注入口 ２２０℃
カラム６０℃（１ｍｉｎ保持）→１０℃／ｍｉｎ 昇温→２００℃
ガス流量：ヘリウム（キャリヤーガス）１ｍＬ／ｍｉｎ
イオン源温度：２３０℃
イオン化法：ＥＩ
設定質量数：ｍ／ｚ ７３
【0028】
なお、上述のとおり、本実施形態の飲料においては、果汁の含有率は特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
一方で、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感をより改善することができるため、エチルイソブチレート（含有量：３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂ）またはｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート（含有量：３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂ）が含有される場合には果汁率は１％以上１００％以下が好ましい。
また、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感をより改善することができるため、イソ酪酸（含有量：１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂ）が含有される場合には果汁率は１％以上３０％以下が好ましい。
また、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感をより改善することができるため、フェネチルブチレート（含有量：１５～３０ｐｐｂ）が含有される場合には果汁率は１％以上５０％以下が好ましい
一方で、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感をより改善することができるため、エチルイソブチレート（含有量：３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂ）またはｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート（含有量：３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂ）が含有される場合には果汁率は１％以上１００％以下が好ましい。
また、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感をより改善することができるため、イソ酪酸（含有量：１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂ）が含有される場合には果汁率は１％以上３０％以下が好ましい。
また、本発明の構成を適用することでおいしさ、すっきり感をより改善することができるため、フェネチルブチレート（含有量：１５～３０ｐｐｂ）が含有される場合には果汁率は１％以上５０％以下が好ましい
【0029】
本実施形態に係る飲料は、本発明の目的を達成できる範囲で他の成分を含有してもよく、特に限定されない。他の成分としては、野菜汁、糖類および高甘味度甘味料といった甘味料、食塩、抗酸化剤、酸味料、ｐＨ調整剤、香料、色素、エキス、ビタミン類、アミノ酸、食物繊維、消泡剤などが挙げられる。
また、本実施形態の飲料はエタノールなどのアルコールを含有する飲料であってもよく、また、アルコールを実質的に含有しない飲料（具体的には、アルコールの含有量が１．０体積／体積％未満の飲料）であってもよい。
また、本実施形態の飲料は炭酸ガスを含有する炭酸飲料であってもよい。炭酸ガスのガスボリュームは特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
また、本実施形態に係る飲料においてｐＨは特に限定されず、例えばｐＨ３．０以上４．０以下、好ましくは３．０以上３．４以下とすることができる。
また、本実施形態の飲料はエタノールなどのアルコールを含有する飲料であってもよく、また、アルコールを実質的に含有しない飲料（具体的には、アルコールの含有量が１．０体積／体積％未満の飲料）であってもよい。
また、本実施形態の飲料は炭酸ガスを含有する炭酸飲料であってもよい。炭酸ガスのガスボリュームは特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
また、本実施形態に係る飲料においてｐＨは特に限定されず、例えばｐＨ３．０以上４．０以下、好ましくは３．０以上３．４以下とすることができる。
【0030】
本実施形態の飲料は、例えば、原料水に、果汁と、果実由来の不溶性固形分（含有量：乾燥重量で０．６～２．４ｇ／Ｌ）と、エチルイソブチレート（含有量：３０ｐｐｂ～２０００ｐｐｂ）、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート（含有量：３０ｐｐｂ～１０００ｐｐｂ）、イソ酪酸（含有量：１００ｐｐｂ～１００１０ｐｐｂ）、およびフェネチルブチレート（含有量：１５～３０ｐｐｂ）から選ばれる１種または２種以上と、必要に応じて加えられるその他の成分とを添加することで製造することができる。成分を添加する方法や順序などは特に限定されず、当行者が適宜設定できる。上記の原料水は、水自体のほか、含有されるその他の成分の溶液等であってもよい。
また、添加される成分は、それぞれが単独で配合されても、また、他の含有成分と共に配合されるようにしてもよく、特に限定されない。
また、添加される成分は、それぞれが単独で配合されても、また、他の含有成分と共に配合されるようにしてもよく、特に限定されない。
【0031】
本実施形態に係る飲料は、容器に封入された容器詰飲料とすることができる。
容器への封入方法などは特に限定されず、例えば常法に従って行うことができる。
容器も炭酸飲料に用いられる公知のものを適宜選択して用いることができ、素材や形状など特に限定されない。容器の具体例としては、例えば、ビン、ペットボトル等のプラスチック容器、スチール缶やアルミニウム缶等の金属缶などが挙げられる。
容器への封入方法などは特に限定されず、例えば常法に従って行うことができる。
容器も炭酸飲料に用いられる公知のものを適宜選択して用いることができ、素材や形状など特に限定されない。容器の具体例としては、例えば、ビン、ペットボトル等のプラスチック容器、スチール缶やアルミニウム缶等の金属缶などが挙げられる。
【0032】
以上、本実施形態によれば、果実由来の不溶性固形分を含む果汁含有飲料において、飲んだときに感じられるすっきり感を改善（向上）できる。さらに本実施形態によれば、おいしさ、飲みごたえについても改善（向上）できる。そのため、飲料の商品価値の向上に寄与することが可能である。
【実施例0033】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0034】
［試験１（参考）］
ベース：３０％果汁率ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水にブドウ透明濃縮果汁５１ｇ／Ｌ（ストレート換算：３１５．２ｇ／Ｌ）を添加し、さらに表１記載のように、オレンジパルプ、果糖ぶどう糖液糖、無水クエン酸、クエン酸三Ｎａ、を添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、ペットボトルに入れ、容器詰飲料を得た。
ベース：３０％果汁率ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水にブドウ透明濃縮果汁５１ｇ／Ｌ（ストレート換算：３１５．２ｇ／Ｌ）を添加し、さらに表１記載のように、オレンジパルプ、果糖ぶどう糖液糖、無水クエン酸、クエン酸三Ｎａ、を添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、ペットボトルに入れ、容器詰飲料を得た。
【0035】
なお、各飲料に含まれるパルプについては、その９０重量％以上が目開き４．７５ｍｍのメッシュを通過し、その５０重量％以上が目開き１．７ｍｍのメッシュを通過しないパルプであることを確認した（同様の確認を試験２以降の試験でも行った）。
具体的には、まず、目開き４２５μｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径０．２８ｍｍ）を用いてパルプを飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこみ、残付着している糖分などを洗い流した。次いで該パルプを乾燥させ、各飲料に含まれるパルプの乾燥重量を得た。
同じ飲料を用意し、目開き４２５μｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径０．２８ｍｍ）を用いてパルプを飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこみ、残付着している糖分などを洗い流した。分離されたパルプを目開き４．７５ｍｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径１．６ｍｍ）に均等に広げ、シャワー状（３３９穴のシャワーヘッドを使用）の流水をパルプに均等に当たるよう７０ｍｌ／秒の流量で６０秒間流した後、乾燥させた。乾燥重量換算で各飲料に含まれるパルプの乾燥重量に対して、９０重量％以上のパルプが通過したことを確認した。
また、同様に、同じ飲料を用意し、目開き４２５μｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径０．２８ｍｍ）を用いてパルプを飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこみ、残付着している糖分などを洗い流した。分離されたパルプを目開き１．７ｍｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径０．８ｍｍ）に均等に広げ、シャワー状（３３９穴のシャワーヘッドを使用）の流水をパルプに均等に当たるよう７０ｍｌ／秒の流量で６０秒間流した後、乾燥させた。乾燥重量換算で各飲料に含まれるパルプの乾燥重量に対して、８０重量％以上のパルプが通過せずメッシュ上に残っていたことを確認した。
なお、上記確認においては３回測定した平均値に基づき確認を行った。また、乾燥は６０℃、４日間の条件下に得られたパルプを置くことによって行った。
表中における乾燥重量（ｇ／Ｌ）とは、飲料から上述の目開き４２５μｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュを用いた分離処理、洗いこみ処理および乾燥処理を経て得られた、乾燥している状態にある不溶性固形分の重量を意味する。この値を上記確認において乾燥重量換算での１００重量％とした。
具体的には、まず、目開き４２５μｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径０．２８ｍｍ）を用いてパルプを飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこみ、残付着している糖分などを洗い流した。次いで該パルプを乾燥させ、各飲料に含まれるパルプの乾燥重量を得た。
同じ飲料を用意し、目開き４２５μｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径０．２８ｍｍ）を用いてパルプを飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこみ、残付着している糖分などを洗い流した。分離されたパルプを目開き４．７５ｍｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径１．６ｍｍ）に均等に広げ、シャワー状（３３９穴のシャワーヘッドを使用）の流水をパルプに均等に当たるよう７０ｍｌ／秒の流量で６０秒間流した後、乾燥させた。乾燥重量換算で各飲料に含まれるパルプの乾燥重量に対して、９０重量％以上のパルプが通過したことを確認した。
また、同様に、同じ飲料を用意し、目開き４２５μｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径０．２８ｍｍ）を用いてパルプを飲料の液体分と分離した後に流水で洗いこみ、残付着している糖分などを洗い流した。分離されたパルプを目開き１．７ｍｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュ（東京スクリーン株式会社製 線径０．８ｍｍ）に均等に広げ、シャワー状（３３９穴のシャワーヘッドを使用）の流水をパルプに均等に当たるよう７０ｍｌ／秒の流量で６０秒間流した後、乾燥させた。乾燥重量換算で各飲料に含まれるパルプの乾燥重量に対して、８０重量％以上のパルプが通過せずメッシュ上に残っていたことを確認した。
なお、上記確認においては３回測定した平均値に基づき確認を行った。また、乾燥は６０℃、４日間の条件下に得られたパルプを置くことによって行った。
表中における乾燥重量（ｇ／Ｌ）とは、飲料から上述の目開き４２５μｍ、Φ（内径）１５０ｍｍのメッシュを用いた分離処理、洗いこみ処理および乾燥処理を経て得られた、乾燥している状態にある不溶性固形分の重量を意味する。この値を上記確認において乾燥重量換算での１００重量％とした。
【0036】
パネリスト６名に対照例１を４点とした分量評定法を用いてすっきり感と飲みごたえを評価させた。
その評点の平均値を表１に示す。なお、各パネリストは、各評価項目の良さまたは強さを７段階で評価した。数字が大きいほど評価が良い、または強いことを表す。
評価基準：
７点・・・基準と比較して、非常に良く（強く）感じる。
６点・・・基準と比較して、良く（強く）感じる
５点・・・基準と比較して、やや良く（強く）感じる。
４点・・・基準
３点・・・基準と比較して、やや悪く（弱く）感じる。
２点・・・基準と比較して、悪く（弱く）感じる。
１点・・・基準と比較して、非常に悪く（弱く）感じる。
その評点の平均値を表１に示す。なお、各パネリストは、各評価項目の良さまたは強さを７段階で評価した。数字が大きいほど評価が良い、または強いことを表す。
評価基準：
７点・・・基準と比較して、非常に良く（強く）感じる。
６点・・・基準と比較して、良く（強く）感じる
５点・・・基準と比較して、やや良く（強く）感じる。
４点・・・基準
３点・・・基準と比較して、やや悪く（弱く）感じる。
２点・・・基準と比較して、悪く（弱く）感じる。
１点・・・基準と比較して、非常に悪く（弱く）感じる。
【0037】
【表1】
【0038】
表１から理解できるとおり、不溶性固形分を乾燥重量で１．２ｇ／Ｌ以上含有する飲料において、すっきり感の低下が確認された。試験２以降では、不溶性固形分を乾燥重量で１．２ｇ／Ｌ含有する比較例２の飲料を対照例２として評価を行った。
【0039】
［試験２］
ベース：果汁率３０％ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水に、ブドウ透明濃縮果汁５１ｇ／Ｌ（ストレート換算：３１５．２ｇ／Ｌ）、オレンジパルプ（乾燥重量）１．２ｇ／Ｌ、果糖ぶどう糖液糖１１６ｇ／Ｌ、無水クエン酸１．３ｇ／Ｌ、クエン酸三Ｎａ ０．８７ｇ／Ｌを添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰飲料を得た。得られた飲料に、表２～５記載の濃度になるようにエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸、フェネチルブチレートをそれぞれ添加した。
ベース：果汁率３０％ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水に、ブドウ透明濃縮果汁５１ｇ／Ｌ（ストレート換算：３１５．２ｇ／Ｌ）、オレンジパルプ（乾燥重量）１．２ｇ／Ｌ、果糖ぶどう糖液糖１１６ｇ／Ｌ、無水クエン酸１．３ｇ／Ｌ、クエン酸三Ｎａ ０．８７ｇ／Ｌを添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰飲料を得た。得られた飲料に、表２～５記載の濃度になるようにエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸、フェネチルブチレートをそれぞれ添加した。
【0040】
パネリスト６名に対照例２を４点として、官能評価させた。試験２では試験１と同様の評価基準・評価方法ですっきり感、飲みごたえ、について評価を行い、さらにおいしさについても同様の７段階の評価基準・評価方法で評価を行った。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
表２～５から理解できるように、実施例の飲料は、対照の飲料と比較して、おいしさ、すっきり感、飲みごたえが改善された。
【0046】
［試験３］
ベース：果汁率３０％ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水にブドウ透明濃縮果汁５１ｇ／Ｌ（ストレート換算：３１５．２ｇ／Ｌ）を添加するとともに、表６～８記載のようにオレンジパルプ（乾燥重量）、果糖ぶどう糖液糖、無水クエン酸、クエン酸三Ｎａを添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰飲料を得た。得られた飲料に、表６～８に記載した濃度になるようにエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸をそれぞれ添加した。
ベース：果汁率３０％ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水にブドウ透明濃縮果汁５１ｇ／Ｌ（ストレート換算：３１５．２ｇ／Ｌ）を添加するとともに、表６～８記載のようにオレンジパルプ（乾燥重量）、果糖ぶどう糖液糖、無水クエン酸、クエン酸三Ｎａを添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰飲料を得た。得られた飲料に、表６～８に記載した濃度になるようにエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸をそれぞれ添加した。
【0047】
パネリスト５名に対照例２を４点として、官能評価させた。試験３では試験２と同様の評価基準・評価方法でおいしさ、すっきり感、飲みごたえについて評価を行い、さらにざらつきの強さについても同様の７段階の評価基準・評価方法で評価を行った。
ざらつきとは、飲料を飲んだときに舌で感じる滑らかさの程度に関する。
ざらつきとは、飲料を飲んだときに舌で感じる滑らかさの程度に関する。
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
表６～８から理解できるように、実施例の飲料は、対照の飲料と比較して、おいしさ、すっきり感、飲みごたえが改善された。
【0052】
［試験４］
ベース：果汁率３０％ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水に、ブドウ透明濃縮果汁５１ｇ／Ｌ（ストレート換算：３１５．２ｇ／Ｌ）、果糖ぶどう糖液糖 １１６ｇ／Ｌ、無水クエン酸 １．３ｇ／Ｌ、クエン酸三Ｎａ ０．８７ｇ／Ｌを添加した。次に、グレープフルーツパルプ（ＧＦパルプ）または和梨パルプを乾燥重量で１．２ｇ／Ｌ添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰飲料を得た。
得られた飲料に、表９～１１記載の濃度になるようにエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸をそれぞれ添加した。
ベース：果汁率３０％ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水に、ブドウ透明濃縮果汁５１ｇ／Ｌ（ストレート換算：３１５．２ｇ／Ｌ）、果糖ぶどう糖液糖 １１６ｇ／Ｌ、無水クエン酸 １．３ｇ／Ｌ、クエン酸三Ｎａ ０．８７ｇ／Ｌを添加した。次に、グレープフルーツパルプ（ＧＦパルプ）または和梨パルプを乾燥重量で１．２ｇ／Ｌ添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰飲料を得た。
得られた飲料に、表９～１１記載の濃度になるようにエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸をそれぞれ添加した。
【0053】
パネリスト５名に対照例３または４を４点として、官能評価させた。評価基準・評価方法については試験２と同様である。
【0054】
【表9】
【0055】
【表10】
【0056】
【表11】
【0057】
表９～１１から理解できるように、実施例の飲料は、対照の飲料と比較して、おいしさ、すっきり感、飲みごたえが改善された。
【0058】
［試験５］
ベース：ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水に、ブドウ透明濃縮果汁、オレンジパルプ、果糖ぶどう糖液糖、無水クエン酸、クエン酸三Ｎａをそれぞれ表３～６に記載のあるように添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰飲料を得た。得られた飲料に、表１２～１５記載の濃度になるようにエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸、フェネチルブチレートをそれぞれ添加した。
ベース：ブドウ果汁飲料、特性値： Ｂｘ：１２、酸度：０．２５、ｐＨ：３．６になるように調製した。
具体的には、水に、ブドウ透明濃縮果汁、オレンジパルプ、果糖ぶどう糖液糖、無水クエン酸、クエン酸三Ｎａをそれぞれ表３～６に記載のあるように添加し、調合した。得られた調合液を９５℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰飲料を得た。得られた飲料に、表１２～１５記載の濃度になるようにエチルイソブチレート、ｃｉｓ－３－ヘキセニルアセテート、イソ酪酸、フェネチルブチレートをそれぞれ添加した。
【0059】
パネリスト５名に対照例５、６、７または８を４点として、官能評価させた。
評価基準・評価方法については試験１と同様である。
評価基準・評価方法については試験１と同様である。
【0060】
【表12】
【0061】
【表13】
【0062】
【表14】
【0063】
【表15】
【0064】
表１２～１５から理解できるように、実施例の飲料は、対照の飲料と比較して、おいしさ、すっきり感、飲みごたえが改善された。