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特開2024-13413歯科検診AIシステム、歯周病検診AIシステム、および歯科総合検診AIシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013413
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】歯科検診AIシステム、歯周病検診AIシステム、および歯科総合検診AIシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/51 20240101AFI20240125BHJP
【FI】
A61B6/14 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115476
(22)【出願日】2022-07-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月28日、第17回SSユーザー会事例研究会 大阪ガーデンパレスにて公開 令和4年6月3日、ウェブサイトにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】518197616
【氏名又は名称】田島 聖士
(71)【出願人】
【識別番号】500130368
【氏名又は名称】医療法人社団葵会
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 聖士
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA12
4C093AA26
4C093CA18
4C093DA05
4C093FD03
4C093FF16
4C093FF17
4C093FF22
4C093FG16
4C093FH07
(57)【要約】
【課題】歯科パノラマX線画像からそれぞれの歯番に対する病変の有無および病名を特定する、歯科検診AIシステムを提供する。
【解決手段】歯科パノラマX線画像から病変箇所を検出して病名を判定する第1のディープラーニング部340と、歯科パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションを行って、それぞれの歯の歯番と歯の領域とを特定する第2のディープラーニング部350と、歯科診断部358と、を備え、歯科診断部358で、第1のディープラーニング部340で検出された病変箇所と第2のディープラーニング部350で特定されたそれぞれの歯の領域とを対応させることにより、それぞれの歯番に対する病変の有無および病名を特定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科パノラマX線画像から病変箇所を検出して病名を判定する第1のディープラーニング部と、
前記歯科パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションを行って、それぞれの歯の歯番と歯の領域とを特定する第2のディープラーニング部と、
歯科診断部と、を備え、
前記歯科診断部で、前記第1のディープラーニング部で検出された前記病変箇所と前記第2のディープラーニング部で特定されたそれぞれの歯の領域とを対応させることにより、各歯番に対する病変の有無および病名を特定する、歯科検診AIシステム。
【請求項2】
前記歯科パノラマX線画像から歯牙エリアを検出してトリミングする歯牙エリア検出部をさらに備え、
前記第2のディープラーニング部は、
前記歯牙エリアのX線画像を入力してセマンティックセグメンテーションを実行するセマンティックセグメンテーション部と、
前記歯牙エリアのセマンティックセグメンテーションの結果に基づき、各歯番に対応するX線画像を入力し、インプラントと歯とを分類するインプラント検出部と、
欠損歯を認識するための欠損歯認識部と、を備える、請求項1に記載の歯科検診AIシステム。
【請求項3】
さらに、前記歯科パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションの結果、および前記各歯番に対する病変の有無および病名が記載された歯科検診結果一覧表を表示する表示部を備える、請求項1または2に記載の歯科検診AIシステム。
【請求項4】
さらに、歯科検診結果が記録された歯科検診データベースと接続するための通信部を備え、
前記歯科検診データベースに今回の歯科検診結果を登録するとともに、前回の歯科検診結果を前記歯科検診データベースからダウンロードして今回の歯科検診結果と比較する、請求項3に記載の歯科検診AIシステム。
【請求項5】
歯科パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションを行ってそれぞれの歯の歯番および歯の領域と歯槽骨の領域とを特定する、第3のディープラーニング部と、
前記第3のディープラーニング部で特定された歯の領域と歯槽骨の領域との相対関係に基づいて歯周病のステージを診断する歯周病診断部とを備えた、歯周病検診AIシステム。
【請求項6】
前記第3のディープラーニング部は、
前記歯科パノラマX線画像から歯牙エリアを検出してトリミングする歯牙エリア検出部と、
前記歯牙エリアのX線画像を入力して各歯と歯槽骨とのセマンティックセグメンテーションを実行するセマンティックセグメンテーション部とを備え、
前記歯周病のステージは、各歯の歯根長のうちどれだけの割合が歯槽骨の外側に露出しているかによって診断される、請求項5に記載の歯周病検診AIシステム。
【請求項7】
さらに、前記歯科パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションの結果、および歯周病の状態が記載された歯周病検診結果を表示する表示部を備える、請求項5または6に記載の歯周病検診AIシステム。
【請求項8】
さらに、歯周病検診結果を記録する歯周病検診データベースと接続するための通信部を備え、
前記歯周病検診データベースに今回の歯周病検診結果を登録するとともに、前回の歯周病検診結果を前記歯周病検診データベースからダウンロードして今回の歯周病検診結果と比較する、請求項7に記載の歯周病検診AIシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の歯科検診AIシステムと請求項5に記載の歯周病検診AIシステムとを備える、歯科総合検診AIシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科検診AIシステム、歯周病検診AIシステム、および歯科総合検診AIシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科パノラマX線画像を入力して歯牙の有無、病変箇所の検出等をAIを利用して行う技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2022-029574号公報)には、歯列を撮影したパノラマ画像から歯牙の有無を精度良く解析できる解析装置が開示されている。
特許文献1に記載の解析装置は、歯列を撮影したパノラマ画像を入力する入力部と、歯牙に関する物体検出の人工知能による学習を行って得られる学習モデルを用いて、パノラマ画像から歯牙の種類毎に歯牙候補を検出する検出部と、各歯牙に対して喪失及び各歯牙に対応する歯牙候補を各歯牙の選択肢として設定し、異なる歯牙それぞれに対応する歯牙候補間の相対位置に基づく目的関数を設定し、目的関数の最適化により各歯牙において選択肢から1つを決定する決定部と、を備える。
【0004】
また、特許文献2(特開2018-063707号公報)には、歯科情報を活用した身元確認作業の一助として、歯科パノラマX線画像と身元確定対象者の生前の歯科に関する情報とを照合することにより容易に身元確認情報を得ることを可能とする画像分析システムが開示されている。
特許文献2に記載の画像分析システムは、歯科パノラマX線画像を深層学習により歯番情報を取得し、身元確定対象者の身元確認情報を容易に得ることを可能とし、さらに、深層学習によって歯科パノラマX線画像から歯単体の画像を切り出し、深層学習により歯番情報を取得した上で、人手によって歯番情報の誤りを修正する。
【0005】
また、特許文献3(特開2019-208831号公報)には、歯科医師の判断の補助となる歯科分析システムおよび歯科分析X線システムが開示されている。
特許文献3に記載の歯科分析システムは、歯科パノラマX線画像から病変箇所を検出して病名を判定するディープラーニング部と、ディープラーニング部により特定された病変箇所および病名を歯科パノラマX線画像上に表示する表示部と、を含む。
【0006】
また特許文献4(特開2021-058594号公報)には、(顎顔面構成領域の)セグメンテーション精度を向上させることを可能にするセグメンテーション装置が開示されている。
特許文献4に記載のセグメンテーション装置は、顎顔面領域の少なくとも一部である顎顔面構成領域のデータが入力される入力部と、入力部に入力された顎顔面構成領域のデータと、予め生成された学習モデルと、を用いて、顎顔面構成領域に含まれる生体的特徴領域および人工的特徴領域の少なくとも一方である特徴領域のセグメンテーションを行う実行部と、実行部の実行結果を出力する出力部と、を備え、学習モデルは、X線CT撮影またはMRI撮影によって取得されるプロジェクションデータおよび再構成データの少なくとも一方のデータ、または当該データに由来するデータが入力されると、特徴領域のセグメンテーションデータを出力するように、教師データを用いて生成されたモデルである。
特許文献4のセグメンテーション装置は、歯槽骨の吸収度の測定に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-029574号公報
【特許文献2】特開2018-063707号公報
【特許文献3】特開2019-208831号公報
【特許文献4】特開2021-058594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、全ての歯を一度に撮影することができる歯科パノラマX線画像の撮影をすることができるようになったため、目視では気がつかない隠れた病変箇所または特徴も含めて一度に発見することもできるようになった。
しかし、歯科のX線画像から病変箇所を特定し病名の判定をすることは相当の訓練が必要であるうえ、歯科パノラマX線画像から得られる画像は広範囲であるため、歯科医師の負担が大きく、見落としが生じる危険性があった。
また、X線画像から病変箇所を特定できた場合でも、パノラマX線画像を見てその病変箇所がどの歯であるかを特定することも、歯科医師にとって時間を要し、かつ病変箇所のある歯の歯番を間違える危険性のある作業であった。
【0009】
また、歯周病に関して、従来の歯周病検診では歯周ポケットの深さ(歯周病の進行の目安として使われる歯のみ)、出血や歯石の有無、歯垢の残りぐあいを目視でチェックするのが一般的である。
しかし、日本歯周病学会の以前のガイドライン「歯周病治療の指針2015」では、歯槽骨吸収度が歯根長の1/3未満であれば軽度、歯根長の1/3~1/2以下であれば中等度、歯根長の1/2以上は重度歯周炎と分類されていた。また、最新の「歯周治療のガイドライン2022」では、アメリカ歯周病学会による新分類を参考にして、歯槽骨吸収度が15%未満であれば軽度、15%以上33%未満であれば中等度、33%以上は重度と規定されている。
いずれにせよ、歯周病の診断においては、骨吸収の度合いの診断が重要であるが、骨吸収度を外から目視で確認することはできず、また、パノラマX線画像から歯根長と歯槽骨の境界とを求め、骨吸収の度合いにより重症度を診断することは歯科医師にとっても容易ではない。
【0010】
また、近年は各自治体等において、う蝕、歯周病などの歯科定期検診が推奨されているが、多くの場合、検診は歯科医師の主観的判断に基づいており、また、検診時点のみの情報に基づいて判断されているのが実情であり、治療または検診の判断においてこれまでの検診結果も十分活用されていない。
したがって、検診方法の客観性の向上とデータベース化などによる検診結果の有効活用が望まれる。
【0011】
特許文献1に記載の解析装置は、X線パノラマ画像からそれぞれの歯番とその位置を特定するものである。しかし、特許文献1ではFasterR-CNNを使用してそれぞれの歯番に対して図7に記載のようなある矩形の枠を当てはめる。一方、実際の歯は矩形ではない場合、あるいは傾斜した矩形に近い場合も多いため、それぞれの歯に対して矩形の枠を当てはめた場合、隣接する歯の枠が重なる。
このため、X線画像から病変箇所を特定できた場合でも、病変箇所が2つの歯の枠の重なった部分に存在する場合、どの歯が病変しているかが分からない場合がある。
【0012】
特許文献2に記載の画像分析システムも歯科パノラマX線画像を用いて歯番情報に関し高い信頼性を有する画像分析を行うものであるが、この画像分析システムでは情報の誤りがある否かを観察する操作者からの選択に応じて表示手段における表示の切り替え処理を行うことを特徴としており、正確な歯番情報を得るためには歯科医師などの補助が必要である。
【0013】
特許文献3に記載の歯科分析システムは歯科パノラマX線画像から病変箇所および病名の判定をすることを目的とするものであり、歯番と病変箇所とを対応させて各歯番に対する病変の有無および病名が記載された歯科検診結果一覧表を作成するためには、歯科医師がX線パノラマ写真をもとに病変箇所と歯番との対応を調べる必要がある。
【0014】
特許文献4のセグメンテーション装置は、エナメル質、セメント質、象牙質および歯槽骨のセグメンテーションデータを取得し、歯槽骨の吸収度を算出することができる。しかし、特許文献4のセグメンテーション装置では、X線CT撮影またはMRI撮影によって取得されるプロジェクションデータが必要であり、パノラマX線画像から歯槽骨の吸収度を求めることはできない。
【0015】
本発明の主な目的は、歯科パノラマX線画像からそれぞれの歯番に対する病変の有無および病名を特定する、歯科検診AIシステムを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、歯科パノラマX線画像から歯周病のステージを診断する、歯周病検診AIシステムを提供することである。
【0017】
本発明の第3の目的は、歯科検診結果および/または歯周病検診結果が記録されたデータベースと連携することによって、歯科検診および/または歯周病検診の有効活用を図る歯科検診および/または歯周病検診AIシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)
一局面に従う歯科検診AIシステムは、歯科パノラマX線画像から病変箇所を検出して病名を判定する第1のディープラーニング部と、歯科パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションを行って、それぞれの歯の歯番と歯の領域とを特定する第2のディープラーニング部と、歯科診断部と、を備え、歯科診断部で、第1のディープラーニング部で検出された病変箇所と第2のディープラーニング部で特定されたそれぞれの歯の領域とを対応させることにより、各歯番に対する病変の有無および病名を特定する。
【0019】
病変箇所の検出と病名の判定については、例えばYOLOなどの深層学習アルゴリズムを第1のディープラーニング部に用いて、病変箇所のクラスとバウンダリーボックスを教師データとして学習させることで、歯科パノラマX線画像から病変箇所を検出して同時に病名を判定することができるようになる。しかし、病変箇所がどの歯番の歯の病変であるかを特定するためには、それぞれの歯番の歯の領域を特定し、病変箇所とそれぞれの歯の領域とを対応させることが必要である。
例えばYOLO、FasterR-CNNなどの深層学習アルゴリズムで各歯番の歯の位置を特定する場合、位置の特定にはバウンダリーボックスを用いる。バウンダリーボックスでは病変を有した歯を含む矩形の領域を特定する。しかし、実際の歯は矩形ではなく、また傾斜していることも多いため、それぞれの歯に対して矩形の枠を当てはめた場合、隣接する歯の枠が重なる。このため、X線画像から病変箇所を特定できた場合でも、病変箇所が2つの歯の枠の重なった部分に存在する場合、どの歯が病変しているかが分からなくなる。
一局面に従う歯科検診AIシステムではこの問題を回避するために、バウンダリーボックスではなく画素ごとに独立してクラス識別を行う、U-Netなどのセマンティックセグメンテーションを、それぞれの歯の歯番と歯の領域とを特定する第2のディープラーニング部に用いる。
そして、歯科診断部で、第1のディープラーニング部で特定した病変箇所が、第2のディープラーニング部で特定したどの歯番の歯の領域に位置するかを調べることにより、それぞれの歯番に対する病変の有無および病名を特定することができる。
【0020】
(2)
第2の発明に係る歯科検診AIシステムは、一局面に従う歯科検診AIシステムにおいて、歯科パノラマX線画像から歯牙エリアを検出してトリミングする歯牙エリア検出部をさらに備え、
第2のディープラーニング部は、歯牙エリアのX線画像を入力してセマンティックセグメンテーションを実行するセマンティックセグメンテーション部と、歯牙エリアのセマンティックセグメンテーションの結果に基づき、各歯番に対応するX線画像を入力し、インプラントと歯とを分類するインプラント検出部と、欠損歯を認識するための欠損歯認識部と、を備えてもよい。
【0021】
歯牙エリア検出部は歯科パノラマX線画像から歯牙エリアを検出してトリミングする。これは、歯牙エリアをトリミングして、トリミングした画像を第1および第2のディープラーニング部に入力することで、病変箇所の検出およびセマンティックセグメンテーションの精度を向上させることができる。歯牙エリアの検出には例えばYOLOv3を用いることができる。
セマンティックセグメンテーション部は歯牙エリアがトリミングされたX線画像を入力して、画素ごとに独立してどの歯番の歯に相当するかを判定し、画素ごとの判定結果を総合してそれぞれの歯番の歯の領域を決定する。
セマンティックセグメンテーション部では例えばU-Netを用いることができる。U-Net は,医用画像のセマンティックセグメンテーション向けに提案された、CNN構造であるFCN(Fully Convolutional Network)のネットワーク構造をもとに転置畳み込み, スキップ接続を用いて,画像ピラミッドを形成する砂時計型のEncoder-Decoderネットワークを提案したものである(https://cvml-expertguide.net/terms/dl/semantic-segmentation/u-net/)。
インプラント検出部では、セマンティックセグメンテーション部の出力に基づいて、それぞれの歯番の歯の領域を切り出し、入力することにより、各歯が本物の歯かインプラントかを検出する。この分類には例えばResNet(Residual Network)を用いることができる。
欠損歯認識部は、欠損歯がある場合に欠損歯に隣接する歯の位置がずれ、セマンティックセグメンテーションによる各歯の歯番の判定に誤りが発生する可能性があるため、歯の位置認識を修正することにより、欠損歯の予測精度を向上させている。
【0022】
(3)
第3の発明に係る歯科検診AIシステムは、一局面または第2の発明に係る歯科検診AIシステムにおいて、さらに、パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションの結果、および各歯番に対する病変の有無および病名が記載された歯科検診結果一覧表を表示する表示部を備えてもよい。
【0023】
この場合、歯科検診の受診者、および検診を担当する歯医者などが受診者の歯の状態を具体的に理解することができる。また、このとき、第1のディープラーニング部の出力である病変箇所の位置を、第2のディープラーニング部の出力であるパノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションの結果に重ねて表示してもよい。あるいは、第1のディープラーニング部の出力と第2のディープラーニング部の出力とを横または縦に並べて表示するようにしてもよい。
【0024】
(4)
第4の発明に係る歯科検診AIシステムは、第3の発明に係る歯科検診AIシステムにおいて、さらに、歯科検診結果が記録された歯科検診データベースと接続するための通信部を備え、歯科検診データベースに今回の歯科検診結果を登録するとともに、前回の歯科検診結果を歯科検診データベースからダウンロードして今回の歯科検診結果と比較してもよい。
【0025】
この場合、例えば今回の検診で根尖病巣が発見された場合、前回の検診で同じ歯番にう蝕が存在していたのであれば、う蝕の治療が不十分であったためう蝕が悪化したなど原因を推定することができる。さらに、今回の検診で当該歯が欠損したことが分かった場合には、病変の拡大を防止するための治療法または手入れの方法を検討することができる。
このように、前回からの歯の状態の変化が明確になり、歯磨きその他の歯の手入れ方法の改善が必要かどうかを具体的に理解することができる。
歯科検診データベースは、例えば歯科医院の内部のサーバーに設置してもよいが、地方自治体のう蝕、歯周病などの歯科定期検診結果を有効活用するためには、地方自治体などの公共のネットワークサーバー上に配置されることが望ましい。
【0026】
(5)
他の局面に従う歯周病検診AIシステムは、歯科パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションを行ってそれぞれの歯の歯番および歯の領域と歯槽骨の領域とを特定する、第3のディープラーニング部と、第3のディープラーニング部で特定された歯の領域と歯槽骨の領域との相対関係に基づいて歯周病のステージを診断する歯周病診断部とを備える。
【0027】
一般の歯周病検診では、歯周ポケットの深さ(歯周病の進行の目安として使われる歯のみ)、出血や歯石の有無、歯垢の残りぐあいをチェックしている。しかし、歯周病の重症度、進行状態などをチェックするためには、骨吸収の度合いの診断が重要である。歯科パノラマX線画像には、この診断のための情報が含まれているが、パノラマX線画像から歯根長と歯槽骨の境界とを求め、骨吸収の度合いにより重症度を診断することは歯科医師にとっても容易ではない。
他の局面に従う歯周病検診AIシステムでは、歯科パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションを行って、それぞれの歯の歯番および歯の領域と歯槽骨の領域とを特定することによって、骨吸収の度合いを計算し、重症度を診断することができる。
【0028】
(6)
第6の発明に係る歯周病検診AIシステムは、他の局面に従う歯周病検診AIシステムにおいて、第3のディープラーニング部は、歯科パノラマX線画像から歯牙エリアを検出してトリミングする歯牙エリア検出部と、歯牙エリアのX線画像を入力して各歯と歯槽骨とのセマンティックセグメンテーションを実行するセマンティックセグメンテーション部とを備え、歯周病のステージは、各歯の歯根長のうちどれだけの割合が歯槽骨の外側に露出しているかによって診断されてもよい。
【0029】
歯周病の診断では、各歯の歯根長のうちどれだけの割合が歯槽骨の外側に露出しているかによって、重症度が決定される。歯根長のうちの歯槽骨の外側に露出している部分の割合を骨吸収というが、日本歯周病学会の以前のガイドライン「歯周病治療の指針2015」では、歯槽骨吸収度が歯根長の1/3未満であれば軽度、歯根長の1/3~1/2以下であれば中等度、歯根長の1/2以上は重度歯周炎と分類されていた。また、最新の「歯周治療のガイドライン2022」では、アメリカ歯周病学会による新分類を参考にして、歯槽骨吸収度が15%未満であれば軽度、15%以上33%未満であれば中等度、33%以上は重度と規定されている。
本発明の歯周病検診AIシステムでは、まず第3のディープラーニング部で各歯の領域と歯槽骨の領域とを特定し、診断部で歯根長の歯槽骨の領域から露出している部分の長さと歯根長全体の長さとの比を計算して、歯周病の重症度の診断とする。
なお、骨吸収は歯番ごとに計算することはできるが、歯周病の場合はう蝕などと違って全体の傾向が重要であり、全体の傾向に基づいて重症度を診断することが望ましい。
【0030】
(7)
第7の発明に係る歯周病検診AIシステムは、他の局面または第6の発明に係る歯周病検診AIシステムにおいて、さらに、パノラマX線画像のセマンティックセグメンテーションの結果、および歯周病の状態が記載された歯周病検診結果を表示する表示部を備えてもよい。
【0031】
この場合、歯周病検診の受診者、および検診を担当する歯医者などが受診者の歯周病の状態を具体的に理解することができる。
【0032】
(8)
第8の発明に係る歯周病検診AIシステムは、第7の発明に係る歯周病検診AIシステムにおいて、さらに、歯周病検診結果を記録する歯周病検診データベースと接続するための通信部を備え、歯周病検診データベースに今回の歯周病検診結果を登録するとともに、前回の歯周病検診結果を歯周病検診データベースからダウンロードして今回の歯周病検診結果と比較してもよい。
【0033】
この場合、 例えば今回の検診で歯の欠損が発見された場合、前回の検診で歯周病が発見されていたのであれば、歯周病の対策または治療が不十分であったため悪化したなど原因を推定することができる。このような場合には、歯の欠損の拡大を防止するための治療法または手入れの方法を検討することができる。
このように、前回からの歯周病の状態の変化が明確になり、歯磨きその他の歯の手入れ方法の改善が必要かどうかを具体的に理解することができる。
歯周病検診データベースは、例えば歯科医院の内部のサーバーに設置してもよいが、地方自治体のう蝕、歯周病などの歯科定期検診結果を有効活用するためには、地方自治体などの公共のネットワークサーバー上に配置されることが望ましい。
【0034】
(9)
さらに他の局面に従う歯科総合検診AIシステムは、一局面に従う歯科検診AIシステムと他の局面に従う歯周病検診AIシステムとを備えてもよい。
【0035】
この場合、一度のパノラマX線撮影のみで歯科検診と歯周病検診とを効率よくおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の実施形態の歯科検診AIシステムの構成を示す模式図である。
図2】コンピュータの内部構成を示す模式図である。
図3】撮影された歯科パノラマX線画像の一例を示す写真である。
図4】病変箇所検出後の歯牙エリアX線画像の一例を示す写真である。
図5】第1の実施形態のセマンティックセグメンテーション後の歯牙エリアX線画像の一例を示す写真である。
図6】歯科検診結果一覧表の一例を示す表である。
図7】歯科検診AIシステム動作の一例を示すフローチャートである。
図8】第1のディープラーニング部の構成の一例を示す模式図である。
図9】セマンティックセグメンテーション部の構成の一例を示す模式図である。
図10】第2の実施形態のコンピュータの内部構成を示す模式図である。
図11】第2の実施形態のセマンティックセグメンテーション後の歯牙エリアX線画像の一例を示す模式図である。
図12図12(a)は歯周病が軽度の場合の歯の断面模式図とX線画像であり、図12(b)は重度の場合の歯の断面模式図とX線画像である。
図13図13(a)は、歯牙エリアX線画像における、通常の歯の歯根長の上端部の位置を示す図であり、図13(b)はクラウン(かぶせもの)をしている歯の歯根長の上端部の位置を示す図である。
図14】歯周病検診AIシステム動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0038】
[第1の実施形態の歯科検診AIシステム100]
図1は第1の実施形態の歯科検診AIシステム100の構成を示す模式図であり、図2は歯科検診AIシステム100のコンピュータ300の内部構成を示す模式図である。
また、図3は撮影された歯科パノラマX線画像400の一例を示す写真、図4は病変箇所検出後の歯牙エリアX線画像421の一例を示す写真、図5はセマンティックセグメンテーション後の歯牙エリアX線画像422の一例を示す写真、図6は歯科検診結果一覧表460の一例を示す表である。
本実施形態に係る歯科検診AIシステム100は、歯科パノラマX線撮影装置200、およびコンピュータ300を備える。
歯科パノラマX線撮影装置200は、撮影系210を備え、被検者の歯科パノラマX線画像400を撮影する。
図2に示すように、コンピュータ300は、歯牙エリア検出部330、第1のディープラーニング部340、第2のディープラーニング部350、歯科診断部358、制御部310、通信部360、および表示部320を備える。
第1のディープラーニング部340は、撮影された歯科パノラマX線画像400を分析して、病変箇所を検出し、その病名を判定する。
第2のディープラーニング部350は、歯科パノラマX線画像400のセマンティックセグメンテーションを行って、それぞれの歯の歯番445と歯の領域440とを特定する。
歯科診断部358は、病変箇所のバウンディングボックス430と歯の領域440とを対応させることにより、それぞれの歯番445の歯に対する病変の有無および病名を特定し、歯科検診結果一覧表460(図6)を作成する。
コンピュータ300で作成された歯科検診結果一覧表460は、各歯番445の歯の領域440および病変箇所のバウンディングボックス430が記載された歯牙エリアX線画像420とともに表示部320に表示され、歯科医師の判断の補助に有効利用することができる。第1のディープラーニング部340および第2のディープラーニング部350の詳細は後述する。
コンピュータ300の通信部360は、ネットワーク510を経由して歯科検診データベース500に接続されており、歯科検診結果一覧表460を歯科検診データベース500に登録すること、および以前の検診時の歯科検診結果一覧表460を歯科検診データベース500からダウンロードすることができる。なお、歯科検診データベース500はネットワーク経由ではなく、直接コンピュータ300に内蔵されていてもよい。
【0039】
歯牙エリアX線画像420および歯科検診結果一覧表460は、被検者のカルテとリンクしてもよい。これにより、歯科医師による診察、治療および診療情報の管理に供することができる。
【0040】
(歯科パノラマX線撮影装置200)
本発明に係る歯科パノラマX線撮影装置200は、図1に示すように、被検者に向けてX線を照射するX線源212と、被検者を通過したX線を検出し撮影するX線撮影手段214とを有していてもよい。
X線源212とX線撮影手段214とは、被検者の周りを旋回しながら撮影することができるよう、対向して配設される。撮影系210は、X線源212とX線撮影手段214とを旋回可能とした旋回アーム216を有しており、撮影系210を保持しつつ旋回駆動する。このようにしてX線のフォーカスなどを適宜調整しながら連続的に撮影することで、被検者の歯科パノラマX線画像400を得ることができる。
なお、歯科パノラマX線撮影装置200は、撮影系210を昇降可能に配置するスライド本体部220を有していてもよい。また、歯科パノラマX線撮影装置200は被検者の頭部の位置決めをするヘッドサポート230を有していてもよい。また、位置決めは、歯科パノラマX線撮影装置200に固定されたマウスピースを被検者に噛ませる方法であってもよい。
【0041】
(歯牙エリア検出部330)
撮影された歯科パノラマX線画像400は、図3に示すように通常、歯部のほか鼻部および顎部も同時に撮影されている。
本発明では、歯部の病変箇所を検出して病名を判定することを目的としているため、図3の歯牙エリアX線画像420に示すように撮影された歯科パノラマX線画像400から、歯牙の部分の画像を切り抜き(トリミング)する。図7に示すように、第1のディープラーニング部340の分析の前に歯牙エリア検出部330の処理を行うことで、第1のディープラーニング部340は、歯部のみの画像に基づいて病変箇所の検出および病名の判定をすることができるため、検出および判定の精度および速度を高めることができる。なお、以下では歯部の病変箇所を検出して病名を判定する方法について説明するが、鼻部または顎部の病変箇所を検出し病名を判定してもよい。
【0042】
撮影された歯科パノラマX線画像400から歯牙エリアX線画像420をトリミングするにあたっては、撮影された歯科パノラマX線画像400から、自動的に歯牙エリアを検出してトリミングを行ってもよい。この歯牙エリアの検出には、例えばYOLOv3(https://pystyle.info/pytorch-yolov3/)を使用してもよい。YOLOv3を用いる場合は、X線画像とそのX線画像の歯牙エリアの最小座標と最大座標を使用したアノテーションデータとを教師データに用いて学習させることができる。
また、撮影された歯科パノラマX線画像400は、撮影環境または被検者によっては、明るさ、コントラストおよびγ値が最適でない場合がある。したがって、撮影された歯科パノラマX線画像400の明るさ、コントラストおよびγ値を適宜調整してもよい。
【0043】
(第1のディープラーニング部340)
歯牙エリア検出部330により加工された歯牙エリアX線画像420は、コンピュータ300の第1のディープラーニング部340によって、病変箇所の検出および病名の判定が行われる。
第1のディープラーニング部340は、図8に示すように多層構造のニューラルネットワーク342(深層ニューラルネットワーク342)を用いた機械学習である。また、深層学習モデルとは、その深層ニューラルネットワーク342の構造を示す表現である。コンピュータ300は、教師データを用いて、深層学習モデル(深層ニューラルネットワーク342の構造)の少なくとも一部の構成要素について、人手を介することなく生成し、生成された構成要素を含む深層学習モデルを出力する。
したがって、深層学習モデルは自動的に構築される。本発明では、このようにして得られたニューラルネットワーク342を用いて歯牙エリアX線画像420の分析を行うため、従来の機械学習で行われる、領域探索、特徴抽出などの工程を必要としないため、より高速に処理をすることができる。
本発明における第1のディープラーニング部340のアルゴリズム(情報処理装置にインストールするプログラム)は、YOLO (You Only Look Once)、R-CNN (Regions with CNN features)、SPPnet、Fast R-CNN、SSD(Single Shot MultiBox Detector)、U-NETなどを用いることができる。
【0044】
本発明では、病変箇所の検出および病名の判定を行うことができる深層学習モデルの構築をするため、事前に教師データによる学習を行う。
教師データとして用いられる病変データは、う蝕、根尖病巣、嚢胞、歯石および根分岐部病変による病変画像を用いて学習をすることが好ましい。これにより、通常判定が難しいう蝕、根尖病巣、嚢胞、歯石および根分岐部病変を、ディープラーニングを用いて高い精度で検出し判定することができる。
第1のディープラーニング部340は、教師データによる学習を多数行うことにより、深層学習モデルが自動的に構築される。したがって、病変箇所および病名を学習した第1のディープラーニング部340は、画像認識などコンピュータビジョンによる一般物体検出のアルゴリズムによって、位置とカテゴリーを自動的に特定できるようになるため、歯牙エリアX線画像420から病変箇所を検出して同時に病名を判定することができるようになる。
【0045】
本発明の教師データによる学習は、判定する病名ごとに500種類以上100000種類以下の教師データを用いて学習し、10000種類以上50000種類以下の教師データを用いて学習することが好ましい。このように下限値以上の学習をすることで、病変箇所の検出および病名の判定を高精度ですることができる。一方で、上記上限値を超えると学習の効果が飽和する。
【0046】
本発明における第1のディープラーニング部340のシステム(情報処理装置にインストールするプログラム)は、YOLO(Redmon, Joseph, et al.“YOLOv3: An Incremental Improvement“ arXiv preprint arXiv:1804.02767)を用いることができる。YOLOは、あらかじめ画像全体をグリッド分割しておき領域ごとに物体のクラス分類(Classification)とバウンディングボックスの計算を行い(Bounding Box Regression)、また1つのネットワークで構築されるため、高精度かつ高速の処理をすることができる。
また、YOLOシステムに入力する歯牙エリアX線画像420は、画像の幅を1000ピクセル以上10000ピクセル以下、高さを500ピクセル以上5000ピクセル以下とすることが好ましい。さらに、YOLOシステムに入力する歯牙エリアX線画像420は、畳み込み処理前に下記式(1)の倍率Rに縮小することが好ましい。
R≧7/min(minW, minH) (1)
式1において、minWおよびminHは歯牙エリアX線画像420上の検出したい病変箇所を囲む矩形の幅の最小値および高さの最小値を示し、min(minW, minH)はminWまたはminHのうちいずれか小さい方の値を示す。
これにより、病変箇所の検出および病名の判定を高い精度ですることができる。
【0047】
(第2のディープラーニング部350)
第2のディープラーニング部350は、セマンティックセグメンテーション部352とインプラント検出部354と欠損歯認識部356とを備える。
【0048】
(セマンティックセグメンテーション部352)
歯牙エリア検出部330により加工された歯牙エリアX線画像420は、コンピュータ300のセマンティックセグメンテーション部352によって、セマンティックセグメンテーションが行われ、それぞれの歯の歯番445と歯の領域440とが特定される。
セマンティックセグメンテーション部352では、セマンティックセグメンテーションを実行するためのアルゴリズムとして、例えばU-Netを用いることができる。
U-Netは、医用画像のセマンティックセグメンテーション向けに提案された、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)構造である、FCN(Fully Convolutional Network)のネットワークをもとに、後半Decoder部分をプーリング層から(学習可能な)アップサンプリング層に改善した構造を提案し,Encoder-Decoder構成の対称型のネットワークになっている。
U-Netでは,入力の512×512画像から,同じ空間サイズ512×512の、セグメンテーション結果マップ画像を出力するように,学習をおこなう。ただし、Fully Convolutionalな構造なので入力画像サイズを固定する必要は必ずしもない(https://cvml-expertguide.net/terms/dl/semantic-segmentation/u-net/参照)。
【0049】
図9にU-Netを用いた場合の、セマンティックセグメンテーション部352の構成の一例を示す。この場合、入力画像として歯牙エリアX線画像420が入力されると、入力画像に歯の領域440と歯番445が記載された歯牙エリアX線画像422が出力される。
図5に歯の領域440と歯番445が記載された歯牙エリアX線画像422の一例を示す。なお、図5に記載された歯番445は仮の番号であって、その後、正式の歯番445に変換される。
セマンティックセグメンテーション部352においても、各歯のアノテーションデータを教師データとして使用して事前に学習させる。
なお、セマンティックセグメンテーションを実行するためのアルゴリズムとしてU-Netを用いる場合、U-Netのいくつかの畳み込み層の最後にバッチ正規化を使用してもよい。また、エンコーダでは、通常の畳み込みレイヤーの代わりにLSTM/RNNを使用してもよい。
【0050】
(インプラント検出部354)
セマンティックセグメンテーション部352でも通常の歯とインプラントとを分類することは可能であるが、インプラント検出の精度を向上させるためには第2のディープラーニング部350にインプラント検出部354を追加することが望ましい。
インプラント検出部354では、セグメンテーションの結果をもとに各歯を64×64の小さな正方形に切り出し、検出アルゴリズムに入力する。
検出アルゴリズムとしては、ResNet(Residual Network)で構築し、スキップ接続の手法を使用することが望ましい。
ResNetは、「ある層で求める最適な出力を学習するのではなく、層の入力を参照した残差関数を学習する」ことで最適化しやすくすることによって、ディープラーニングの層数を増加した場合の性能の劣化を抑えることを特徴とするディープラーニングのアルゴリズムである。ResNetを使用することによりインプラント検出の精度を向上させることができる。
【0051】
(欠損歯認識部356)
欠損歯がある場合、欠損歯に隣接する歯の位置がずれるため、セマンティックセグメンテーション部352による各歯の歯番445の判定に誤りが発生する可能性がある。
欠損歯認識部356では、セマンティックセグメンテーション部352によって検出した歯の位置認識をガウス分布の1シグマ区間の範囲内で修正する、および/または、2つの歯の重なり合う領域の幅を測定し、その幅の大きさに基づいて歯の位置認識を修正することにより、欠損歯がある場合の歯と歯番445との照合の精度を向上させている。
【0052】
(歯科診断部358)
歯科診断部358は第1のディープラーニング部340で特定した病変箇所が、第2のディープラーニング部350で特定したどの歯番445の歯の領域440に位置するかを調べることにより、それぞれの歯番445に対する病変の有無および病名を特定する。
図6には、歯科診断部358により特定された、各歯番445の歯の病変の有無および病名が記載された歯科検診結果一覧表460の一例を示す。各歯の診断結果としては、総歯(欠損していない歯)、現在歯(総歯から埋伏歯を除いたもの)、埋伏歯(RT)、う蝕(C)、根尖病巣(Per)、根分岐部病変(Fur)、顎骨嚢胞(Cyst)などがあり、それぞれに該当する歯の本数が右側に記載されている。なお、図6には、歯周病の診断結果も記載されているが、第1の実施形態のように歯科検診が歯周病検診を含まない場合はこの欄は空白でよい。
【0053】
(表示部320)
表示部320には、図4に示す病変箇所の位置およびその病名が記載された歯牙エリアX線画像421が表示される。歯牙エリアX線画像421には、歯牙エリアX線画像420に重ねるようにして、第1のディープラーニング部340によって検出された病変箇所の位置がバウンディングボックス430で表され、さらに判定された病名が表示される。歯牙エリアX線画像421を確認することで、歯科医師は、撮影した被検者(患者)の病変箇所およびその病名を即座に知ることができる。
また、表示部320には、図5に示すセマンティックセグメンテーション後の歯牙エリアX線画像422が表示される。歯牙エリアX線画像422には、歯牙エリアX線画像420に重ねるようにして、それぞれの歯の領域440とその歯番445とが表示される。
さらに、表示部320には、歯科検診結果一覧表460が表示される。利用者は、歯牙エリアX線画像421、422、および歯科検診結果一覧表460のうちいずれを表示するかを選択することができる。
表示部320は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどであってよい。また、歯科パノラマX線の画像以外の診療情報または画像と併せて表示されていてもよい。また、表示部320はX線装置の一部であってもよいし、ネットワーク510を介して表示するものであってもよい。
【0054】
また、表示部320に表示される病名には、病変箇所の判定確率をさらに表示させてもよい。これにより、歯科医師の判断の補助に有効利用することができる。
さらに、歯科医師は、歯科検診結果一覧表460を見て被検者を診察したうえで、必要な場合は歯科診断部358により特定された診断結果を訂正したうえで、さらに診断結果と撮影した被検者の歯牙エリアX線画像421とを教師データとして第1のディープラーニング部340に学習させてもよい。これを繰り返すことにより、判定確率をさらに高くすることができる。
本発明の歯牙エリアX線画像421,422および歯科検診結果一覧表460は、被検者のカルテとリンクしてもよい。これにより、歯科医師による診察、治療および診療情報の管理に供することができる。
【0055】
また、歯科検診AIシステム100は、通信部360を介して歯科検診結果が記録された歯科検診データベース500と接続し、歯科検診データベース500に今回の歯科検診結果を登録するとともに、前回の歯科検診結果を歯科検診データベース500からダウンロードして今回の歯科検診結果と比較し、比較結果を表示部320に表示してもよい。
今回の歯科検診結果を前回の歯科検診結果と比較することで、う蝕の進行の有無などを診断することが容易になり、歯の手入れに対するより有益なアドバイスを行うことができる。
【0056】
(歯科検診AIシステム100のフローチャート)
図7に、歯科検診AIシステム100のフローチャートを示す。
以下、各ステップの説明を記載する。
・歯牙エリア検出(ステップS1):歯科パノラマX線撮影装置200で撮影した歯科パノラマX線画像400を歯牙エリア検出部330に入力し、歯牙の部分の画像を切り抜き(トリミング)して歯牙エリアX線画像420を作成する。
・病変箇所検出(ステップS2):歯牙エリアX線画像420を第1のディープラーニング部340に入力して、病変箇所および病名を重ねて記載した歯牙エリアX線画像421を出力する。
・セマンティックセグメンテーション(ステップS3):歯牙エリアX線画像420をセマンティックセグメンテーション部352に入力して、それぞれの歯の歯番445と歯の領域440とを特定した歯牙エリアX線画像422を出力する。
・インプラント検出(ステップS4):歯牙エリアX線画像422から各歯を64×64の小さな正方形に切り出し、それぞれの歯がインプラントであるかどうかを検出する。
・欠損歯認識(ステップS5):欠損歯の付近において歯の位置認識を修正することにより、欠損歯がある場合の歯と歯番445との照合の過ちを訂正する。
・歯科検診表作成(ステップS6):第1のディープラーニング部340で特定した病変箇所が、第2のディープラーニング部350で特定したどの歯番445の歯の領域440に位置するかを調べることにより、それぞれの歯番445に対する病変の有無および病名を判定し、歯科検診結果一覧表460を作成する。
・データベース登録、過去検診結果比較(ステップS7):歯科検診データベース500に今回の歯科検診結果を登録するとともに、前回の歯科検診結果を歯科検診データベース500からダウンロードして今回の歯科検診結果と比較する。
なお、歯番445と歯の領域440の特定の精度は少し低下するが、インプラント検出および欠損歯認識を行わず、セマンティックセグメンテーションの結果を用いてそのまま歯番445と歯の領域440とを特定することも可能である。この場合、インプラント検出部354および欠損歯認識部356は無くてもよい。
【0057】
[第2の実施形態の歯周病検診AIシステム100a]
図10は歯周病検診AIシステム100aのコンピュータ300aの内部構成を示す模式図である。歯周病検診AIシステム100aの全体構成は、コンピュータ300が300aに変更になっているだけで、その他の部分は図1の歯科検診AIシステム100の構成と同じである。
また、図11はセマンティックセグメンテーション後の歯牙エリアX線画像423の一例を示す写真である。
図10に示すように、コンピュータ300aは、歯牙エリア検出部330、第3のディープラーニング部370、歯周病診断部374、制御部310、通信部360、および表示部320を備える。
歯牙エリア検出部330は第1の実施形態の歯牙エリア検出部330と同一である。
【0058】
(第3のディープラーニング部370)
第3のディープラーニング部370は、セマンティックセグメンテーション部372を備える。セマンティックセグメンテーション部372は第2のディープラーニング部350のセマンティックセグメンテーション部352と構成は同一でよいが、教師データとして、各歯のアノテーションデータに加えて歯槽骨のアノテーションデータを準備し、学習させる。また、第3のディープラーニング部370においても、第2のディープラーニング部350同様、セマンティックセグメンテーションの精度を向上させるために、インプラント検出部354および欠損歯認識部356を追加してもよい。
図11に歯の領域440,441と歯槽骨の領域450,451とが記載された歯牙エリアX線画像422の一例を示す。図11からわかるように、例えば領域440の歯の場合は歯槽骨が歯の歯根長をほとんど覆っているが、領域441の歯の場合は歯根長が歯槽骨から露出しており、歯周病として重度である。
【0059】
図12(a)に軽度の場合の歯の断面模式図とX線画像を、図12(b)に重度の場合の歯の断面模式図とX線画像を示す。図12において、D1は歯根長の長さ、D2は歯根長のうち歯槽骨から露出している部分の長さである。歯周病学会ではD2/D1を歯槽骨の吸収度と定義している。図12(a)のX線画像では吸収度は約0.21、図12(b)のX線画像では約0.69である。
D1、D2の値を測定するには、歯根長の上端部の位置を特定する必要がある。解剖学的には歯根長の上端部の位置はセメント質とエナメル質との境界であるが、X線画像から歯根長の上端部の位置の特定する場合には、以下のようにして歯根長の上端部の位置を特定する。
まず、クラウン(金属のかぶせもの)のない通常の歯の場合には、図13(a)に示すように、歯冠と歯根の間のくぼんでいる箇所376を歯根長の上端部とする。
一方、クラウンのある歯の場合には、図13(b)に示すようにクラウンの下端377を歯根長の上端部とする。
このような方法に基づいて、歯根長の上端部をディープラーニングの教師データに反映して学習を行うことができる。
【0060】
歯周病診断部374では歯の領域440、441と歯槽骨の領域450、451との相対関係に基づいて歯周病のステージを判断する。具体的には、図11に記載の歯の領域440,441と歯槽骨の領域450,451とが記載された歯牙エリアX線画像422をもとに、D1,D2を測定して、歯槽骨の吸収度D2/D1を計算し、歯周病の重症度を診断する。
なお、吸収度は歯番ごとに計算することはできるが、歯周病の場合はう蝕などと違っては単位ではなく全体の傾向が重要であり、全体の傾向に基づいて重症度を診断することが望ましい。したがって、例えば図6の歯科検診結果一覧表に歯周病の欄を設けた場合には、個人レベルの歯周病の診断結果を「軽度~中等度」などの表現で記載するとよい。
【0061】
この診断結果に関して、「歯周治療のガイドライン2022」(日本歯周病学会編)29ページには、組織破壊の程度による歯周炎の分類として、以下のように記載されている。
・軽度歯周炎とは歯槽骨吸収度(Bone level:BL)が15%未満,あるいはアタッチメントレベル(Attachment level:AL)が3mm未満であり,根分岐部病変がない歯周炎である(ステージ1に相当).
・中等度歯周炎とは歯槽骨吸収度が15%以上33%未満,あるいはアタッチメントレベルが3mm以上5mm未満であり,根分岐部病変がある歯周炎である(ステージ2に相当).
・重度歯周炎とは歯槽骨吸収度が33%以上,あるいはアタッチメントレベルが5mm以上であり,根分岐部病変が2度以上の歯周炎である(ステージ3,4に相当).
【0062】
また、各歯と歯槽骨とのセマンティックセグメンテーションによる診断を行う場合、以前の「歯周病治療の指針2015」(日本歯周病学会編)26ページには、組織破壊の程度による歯周炎の分類について、以下のように記載されている。
・歯槽骨吸収度(Bone Level:BL)あるいはアタッチメントロス(Attachment Loss:ALoss)が歯根長の1/3以下(約30%未満),根分岐部病変がないものが軽度歯周炎である。
・歯槽骨吸収度あるいはアタッチメントロスが歯根長の1/3~1/2以下(約30~50%),根分岐部病変があるものが中等度歯周炎である。
・歯槽骨吸収度あるいはアタッチメントロスが歯根長の1/2以上(約51%以上),根分岐部病変が2度以上のものが重度歯周炎である。
【0063】
第2の実施形態の歯周病検診AIシステム100aでは、それぞれの歯の歯槽骨の吸収度D2/D1を計算し、上記「歯周治療のガイドライン2022」および「歯周病治療の指針2015」を参考に、各歯が軽度、中等度、重度のいずれに相当するかを判断したうえで、全体としての歯周病の分類を行うことが望ましい。
それぞれの歯に対しては、以下のような診断方法が望ましい。
・軽度歯周炎:歯槽骨吸収度が歯根長の1/6以下(約15%未満)、歯科検診AIシステム100の診断で根分岐部病変がないもの
・中等度歯周炎:歯槽骨吸収度が歯根長の1/6~1/3以下(約15~33%)
(診断が難しい場合、軽度~中等度歯周炎とする)
・重度歯周炎:歯槽骨吸収度が歯根長の1/3以上(約33%以上),歯科検診AIシステム100の診断で根分岐部病変があるもの。
【0064】
(表示部320)
表示部320は、歯科検診AIシステム100の表示部320と同一であって、図11に示す、各歯の領域440および歯槽骨の領域450,451の記載された歯牙エリアX線画像423が表示される。また、表示部320には歯周病の診断結果も表示される。
【0065】
また、歯周病検診AIシステム100aは、通信部360を介して歯科検診結果が記録された歯周病検診データベース500aと接続し、歯周病検診データベース500aに今回の歯周病検診結果を登録するとともに、前回の歯周病検診結果を歯周病検診データベース500aからダウンロードして今回の歯周病検診結果と並べて表示部320に表示してもよい。
今回の歯周病検診結果を前回の歯周病検診結果と比較することで、歯周病の進行の有無などを診断することが容易になり、歯の手入れに対するより有益なアドバイスを行うことができる。
【0066】
(歯周病検診AIシステム100aのフローチャート)
図14に、歯周病検診AIシステム100aのフローチャートを示す。
以下、各ステップの説明を記載する。
・歯牙エリア検出(ステップS11):歯科検診AIシステム100の歯牙エリア検出(ステップS1)と同一である。
・セマンティックセグメンテーション(ステップS12):各歯だけでなく、歯槽骨のセマンティックセグメンテーションも行う点を除いて、歯科検診AIシステム100のセマンティックセグメンテーション(ステップS3)と同一である。なお、この後、歯科検診AIシステム100と同様に、インプラント検出と欠損歯認識を行ってもよい。セマンティックセグメンテーション(ステップS12)の出力の一例は、図11である。
・歯周病診断(ステップS13):図11のセグメンテーション結果から各歯番の歯槽骨の吸収度D2/D1を計算し、歯周病の重症度を診断する。なお、歯周病の重症度の診断にあたっては、個別の歯の吸収度ではなく、全体の傾向に基づいて重症度を診断することが望ましい。
・データベース登録、過去検診結果比較(ステップS14):歯周病検診データベース500aに今回の歯科検診結果を登録するとともに、前回の歯周病検診結果を歯周病検診データベース500aからダウンロードして今回の歯周病検診結果と比較する。
【0067】
[第3の実施形態の歯科総合検診AIシステム100b]
第3の実施形態の歯科総合検診AIシステム100bは歯科検診AIシステム100と歯周病検診AIシステム100aとを備えている。
ただし、歯科パノラマX線撮影装置200、コンピュータ300は共通に使用することができ、コンピュータ300の内部構成も第2のディープラーニング部350と第3のディープラーニング部370とは基本構成は同じであることから、実質的には、歯科検診AIシステム100の第2のディープラーニング部350のパラメータ変更および歯槽骨の領域450のアノテーションデータを含む教師データによる再学習と、ソフトウェアによる歯周病検診機能の追加により、歯科総合検診AIシステム100bを構成することができる。
特に、歯周病の診断においては、歯槽骨吸収度だけでなく根分岐部病変の有無も重要であることから、歯周病検診AIシステム100aは単独ではなく、歯科検診AIシステム100も備えた歯科総合検診AIシステム100bとすることが望ましい。
【0068】
本実施形態においては、歯科パノラマX線画像400が「歯科パノラマX線画像」に相当し、第1のディープラーニング部340が「第1のディープラーニング部」に相当し、第2のディープラーニング部350が「第2のディープラーニング部」に相当し、歯科診断部358が「歯科診断部」に相当し、歯科検診AIシステム100が「歯科検診AIシステム」に相当し、歯牙エリア検出部330が「歯牙エリア検出部」に相当し、セマンティックセグメンテーション部352、372が「セマンティックセグメンテーション部」に相当し、インプラント検出部354が「インプラント検出部」に相当し、欠損歯認識部356が「欠損歯認識部」に相当し、表示部320が「表示部」に相当し、歯科検診データベース500が「歯科検診データベース」に相当し、通信部360が「通信部」に相当し、第3のディープラーニング部370が「第3のディープラーニング部」に相当し、歯周病診断部374が「歯周病診断部」に相当し、歯周病検診AIシステム100aが「歯周病検診AIシステム」に相当し、歯周病検診データベース500aが「歯周病検診データベース」に相当し、歯科総合検診AIシステム100bが「歯科総合検診AIシステム」に相当する。
【0069】
本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0070】
100 歯科検診AIシステム
100a 歯周病検診AIシステム
100b 歯科総合検診AIシステム
320 表示部
330 歯牙エリア検出部
340 第1のディープラーニング部
350 第2のディープラーニング部
352 セマンティックセグメンテーション部
354 インプラント検出部
356 欠損歯認識部
358 歯科診断部
360 通信部
370 第3のディープラーニング部
372 セマンティックセグメンテーション部
374 歯周病診断部
400 歯科パノラマX線画像
500 歯科検診データベース
510 歯周病検診データベース
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