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特開2024-134139対象物検出装置およびその検出方法、該装置を備えた警報システムおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134139
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】対象物検出装置およびその検出方法、該装置を備えた警報システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/931 20200101AFI20240926BHJP
【FI】
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044270
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ドゥミトル トライアン
(72)【発明者】
【氏名】バートン エドワード
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB07
5J070AC02
5J070AC13
5J070AD05
5J070AE01
5J070AF03
5J070AH31
5J070AH40
5J070BF10
5J070BF12
(57)【要約】
【課題】 本発明は、自車両のブラインドスポット領域に侵入する車両等を検出する、対象物検出装置および対象物検出方法に関する。
【解決手段】 対象物検出装置は、自車両(100)に装着され、UWB波を所定の周期で送信波として送信する送信部(11a、12a、13a、14a)と、自車両に装着され、送信波が対象物(200)に反射することによって生じる反射波の信号を受信する受信部(11b、12b、13b、14b)と、無線部で受信した信号に基づいて、自車両に対する対象物の位置を特定する位置演算部(22)と、対象物の位置が、自車両におけるブラインドスポット領域(BS)に該当するかどうかを判定する判定部(23)、を備える。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(100)に装着され、UWB波を所定の周期で送信波として送信する送信部(11a、12a、13a、14a)と、
前記自車両に装着され、前記送信波が対象物(200)に反射することによって生じる反射波の信号を受信する受信部(11b、12b、13b、14b)と、
前記受信部で受信した信号に基づいて、前記自車両に対する前記対象物の位置を特定する位置演算部(22)と、
前記対象物の前記位置が、前記自車両におけるブラインドスポット領域(BS)に該当するかどうかを判定する判定部(23)を備える、対象物検出装置(1)。
【請求項2】
前記位置演算部(23)は、前記受信部で受信した信号に基づいて、前記受信部に対する前記対象物の距離と角度を特定することによって、前記自車両に対する前記対象物の前記位置を特定する、請求項1記載の対象物検出装置(1)。
【請求項3】
前記位置演算部(23)は、前記受信部に対する前記対象物の距離を演算する距離演算部(22a)と、前記受信部に対する前記対象物の角度を演算する方向演算部(22b)を備える、請求項1記載の対象物検出装置(1)。
【請求項4】
前記距離演算部(22a)は、前記送信部から前記送信波が発信されてから前記反射波の信号が到達するまでの到着時間差(TDoA)を少なくとも2つの前記受信部で比較することによって前記受信部と前記対象物の距離を演算する、請求項3記載の対象物検出装置(1)。
【請求項5】
前記判定部による判定結果と前記判定結果に対応する前記位置演算部で演算される位置情報に基づいて、ブラインドスポット該非判定モデルの機械学習を行う機械学習部(25)を備える、請求項1記載の対象物検出装置(1)。
【請求項6】
前記自車両は鞍乗型車両である、請求項1記載の対象物検出装置(1)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項記載の対象物検出装置の前記判定部による判定結果に応じて、前記自車両の運転者に警報を発する警報発信器(30)を備える、警報システム(2)。
【請求項8】
自車両に装着される送信部からUWB波を所定の周期で送信波として送信する送信ステップと、
前記送信波が対象物に反射することによって生じる反射波の信号を前記自車両に装着される受信部によって受信する受信ステップと、
前記受信部で受信した信号に基づいて、前記自車両に対する前記対象物の位置を特定する位置演算ステップと、
前記対象物の前記位置が、前記自車両におけるブラインドスポット領域(BS)に該当するかどうかを判定する判定ステップを有する、対象物検出方法。
【請求項9】
請求項8記載の対象物検出方法の前記判定ステップによる判定結果に応じて、前記自車両の運転者に警報を発する警報ステップを有する、警報方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機器を用いて、自車両に対する対象物の位置を特定する対象物検出装置、およびその方法、並びに該装置および方法を利用した警報システムおよび警報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に適用される技術として、無線通信規格の一つであるUWB(Ultra-Wide Band)を用いたスマートエントリーシステムがある。
UWBによるインパルス方式の信号は、ナノ秒以下の非常に短いパルス幅の電波を使用することで電波の伝搬時間を高精度に測定することができ、伝搬時間に基づく測距を高精度に行うことができる。例えば、UWBを用いた信号を送受信する機能を搭載した携帯電話を所持するユーザーが車両から所定の距離に近づくと、車両に設けられた制御装置が携帯電話と車両に搭載される無線通信部との距離を計算し、当該距離が所定値以下になると、キーレスエントリシステムが車両のドアの解錠や車両駆動装置の始動等を行う。(例えば、特許文献1を参照)。
UWBの規格を採用することによって、省電力でありながら高い測距制度を保って車両の制御を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-148741号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる技術では、携帯電話と車両の両方に送受信を可能とする通信機器が設けられている必要があり、通信機器を設けていない対象物の位置を特定することはできない。
一方、自動二輪車等の鞍乗型車両を含めた車両において、LiDAR等を用いてブラインドスポットに侵入する対象物を検出する技術がすでに存在する。
しかし、LiDAR等を用いた装置は比較的高価であり、かつ電力を多く消費する。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、車両のブラインドスポットに侵入する対象物を正確に、かつ少ない消費電力で検出することができる対象物検出装置およびその方法、並びに該装置を用いた運転者への警報システムおよび警報方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る対象物検出装置は、自車両に装着され、UWB波を所定の周期で送信波として送信する送信部と、自車両に装着され、送信波が対象物に反射することによって生じる反射波の信号を受信する受信部と、受信部で受信した信号に基づいて、自車両に対する対象物の位置を特定する位置演算部と、対象物の位置が、自車両におけるブラインドスポット領域に該当するかどうかを判定する判定部、を備えるものである。
【0007】
また、本発明に係る対象物検出方法は、自車両に装着される送信部からUWB波を所定の周期で送信波として送信する送信ステップと、送信波が対象物に反射することによって生じる反射波の信号を自車両に装着される受信部によって受信する受信ステップと、受信部で受信した信号に基づいて、自車両に対する対象物の位置を特定する位置演算ステップと、対象物の位置が、自車両におけるブラインドスポット領域に該当するかどうかを判定する判定ステップ、を有するものである。
【0008】
また、本発明に係る警報システムは、上記対象物検出装置の判定部による判定結果に応じて、自車両の運転者に警報を発する警報発信器を備えるものである。
【0009】
また、本発明に係る警報方法は、上記対象物検出方法の判定ステップによる判定結果に応じて、自車両の運転者に警報を発する警報ステップ、を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る対象物検出装置およびその方法では、送信部から発信されるUWB波が対象物に反射することによって生じる反射波に基づいて、ブラインドスポット領域における他車両等の有無を検出することができる。このため、LiDAR等による対象物検出方法と比較して、安価で、かつ少ない消費電力で自車両のブラインドスポットに侵入する対象物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る対象物検出装置および警報システムの、自動二輪車への搭載状態の一例を示す図である。
図2】本発明に係る対象物検出装置の、対象物の位置を特定する方法の一例を示す図である。
図3】本発明に係る対象物検出装置および警報システムの、システム構成図を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る対象物検出装置および警報システムの、処理ユニットの動作フローを示す図である。
図5】本発明の実施の形態2に係る対象物検出装置および警報システムの、処理ユニットの動作フローを示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る機械学習部の、動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る対象物検出装置およびその検出装置を備える警報システム、および、その検出方法について、図面を用いて説明する。
【0013】
尚、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係る対象物検出装置は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。
【0014】
例えば、以下では、自車両が鞍乗型車両の一例である自動二輪車の場合を説明しているが、本発明は、自動四輪車、自動三輪車、または自転車等にも適用が可能である。
【0015】
また、以下では、同一のまたは類似する説明を適宜簡略化または省略している。また、各図において、同一のまたは類似する部分については、同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化または省略している。
【0016】
以下に、対象物検出装置1および該検出装置を含む警報システム2を説明する。
【0017】
<対象物検出装置および該装置を含む警報システムの構成>
対象物検出装置1の構成について説明する。
図1は、本発明に係る対象物検出装置1およびそれを含む警報システム2の、自動二輪車100への搭載状態を示す図である。
【0018】
図1は、自車両である自動二輪車100のブラインドスポット領域BSに他の車両200が侵入した時点の様子を上方から見た図である。
対象物検出装置1は、自動二輪車100に搭載されるUWBアンカー11、12、13、14と、処理ユニット20と、を含む。警報システム2は、当該対象物検出装置1と、警報発信器30と、を含む。
【0019】
図1の例では、UWBアンカー11、12、13、14が自動二輪車100の左前方、左後方、右前方、右後方に、それぞれ取り付けられている。UWBアンカー11、12、13、14の自動二輪車100における位置は、あらかじめ処理ユニット20の記憶部26に記憶されている。尚、図1では、UWBアンカーは左右に2個ずつ配置されている例を示しているが、それ以上の数を左右均等に配置することにより、測定精度を向上させることができる。
【0020】
UWBアンカーには、UWB波を送信する送信部11a、12a、13a、14aと、UWB波の反射波を受信する受信部11b、12b、13b、14bがそれぞれ一組ずつ、UWBアンカーに内蔵されている(図2参照)。UWBはUltra Wide Bandの略であり、超広帯域無線通信規格を指す。3.1~10.6GHzの広い周波数帯を利用した無線通信規格であるが、各国それぞれの規制により、国によって利用できる周波数帯が異なる。例えば、日本ではローバンドとして3.4~4.8GHzを、ハイバンドとして7.25~10.25GHzを利用する。ここでUWB波とは、超広帯域無線通信規格に準じて送信される電波のことを言う。
【0021】
処理ユニット20は、UWBアンカーにおいて送受信された信号に基づいて、対象物の位置、および、その対象物の位置がブラインドスポット領域BS該当するかどうかを判定する機能を有する。各機能の詳細は後述する。
図1において、処理ユニット20は、インストゥルメントパネル40に内蔵されている。
【0022】
警報発信器30は、処理ユニット20の処理結果に応じて、自車両の運転者に警報を発する装置である。警報は、例えば音、光、振動等によって運転者に伝えることができる。
音によって運転者に警報する場合には、運転者が着用するスピーカが内蔵されたヘルメットから効果音を発するようにしてもよい。光によって運転者に警報する場合には、インストゥルメントパネル40に表示される所定のアイコンを点滅させるようにしてもよい。振動によって運転者に警報する場合には、運転者が着用するヘルメットやライダースーツにバイブレータを内蔵させ、該バイブレータを作動させることによって発生する振動を通じて運転者へ警報するようにしてもよい。
図1において、警報発信器30がインストゥルメントパネル40に内蔵される一例が示されている。
【0023】
次に図2を用いて、UWBアンカーが対象物である車両200を検出する仕組みについて説明する。図2では、自車両である自動二輪車100の左レーンに対象物である車両200が存在する場合に、UWBアンカー11、12を用いて対象物を検出する仕組みについて説明する。対象物が右レーンに存在する場合には、同様にしてUWBアンカー13、14を用いて対象物を検出することができる。
【0024】
UWBアンカー11、12は少なくとも、送信部11a、12aと、受信部11b、12bと、A/D変換部11c、12cと、処理部11d、12dと、を有する。
送信部11a、12aは、所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を、所定の周期にて、送信波tw1、tw2として送信し得るよう構成されている。送信波tw1、tw2については後述する。図2のブロック図では、送信部11a、12aは、UWB波を送信するための変調部やアンテナをも含んでいる。該送信部11a、12aは、処理部11d、12dによって制御されていてもよく、PN符号は、処理部11d、12dによって作り出されたものであってよい。
【0025】
車両200に照射された送信波tw1、tw2は、車両200内のターゲット面200aで反射し、減衰した反射波rw1、rw2となってUWBアンカー11、12に返ってくる。同図では、説明のために、送信波tw1、tw2がターゲット面200aのそれぞれ1点で反射するように描いているが、実際には、送信波は特定の広がり(指向角度)を以て送信されており、ターゲット面200aの多点や、車両内部の物体(図示せず)の表面の多点での反射、および送信波tw1、tw2が直接UWBアンカー11、12に返ってくる場合がある。
【0026】
受信部11b、12bは、その反射波rw1、rw2を受信し得るよう構成される。図2のブロック図では、受信部11b、12bは、反射波を受信するためのアンテナをも含んでいる。このとき受信して増幅された信号波には、反射波rw1、rw2だけでなく、その他の反射波や送信波tw1、tw2自体が含まれており、さらにUWBアンカー11、12の回路に起因する熱雑音などが加わり、ほとんどが熱雑音からなる白色雑音信号となっている。そこで本発明では、車両200のターゲット面から反射される反射波rw1、rw2の振幅範囲、および強度等の電波特性をあらかじめ定めておき、当該振幅範囲等のフィルターをかけることによって、該当する信号のみ取得するようにしてもよい。当該フィルター機能は処理部11d、12dに設けることができる。
【0027】
A/D(アナログ/デジタル、Analog-to-Digital)変換部11c、12cは、受信した前記反射波(アナログ信号)を他の受信波と共にデジタル信号へと変換するよう構成されている。
処理部11d、12dは、先ず、A/D変換された前記デジタル信号を、前記所定の周期で取り出し、次に、得られた信号部分(前記所定のコード長に対応する長さを持った信号部分)を同期的に重ね合わせる。そして、その重ね合わせた結果と、元の所定のコード長のPN符号(レプリカ)との相関を計算し得るように構成される。
処理部11d、12dの好ましい形態はコンピュータである。この相関の計算によって、反射波rw1、rw2を識別することができ、送信部11a、12aとターゲット面200aとの間の距離および反射の大きさを計算することが可能になる。
【0028】
次に図3を用いて、対象物検出装置1および警報システム2構成について説明する。対象物検出装置1は、UWBアンカー11、12、13、14と処理ユニット20を含み、警報システム2は、該対象物検出装置1と警報発信機を含む。
処理ユニット20は、少なくともデータ取得部21と、位置演算部22と、判定部23と、通信部24と、機械学習部25と、記憶部26を含む。処理ユニット20の各部は、1つの筐体に纏めて設けられていてもよく、また、複数の筐体に分けられて設けられていてもよい。
また、処理ユニット20の一部または全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0029】
データ取得部21は、UWBアンカー11、12、13、14においてA/D変換された反射波のデジタル信号を取得する。
【0030】
位置演算部22は、データ取得部21で取得したデジタル信号に基づき、対象物の自車両に対する位置を演算する。位置演算部42は、サブユニットとして距離演算部22aと方向演算部22bを有し、取得したデジタル信号から、各UWBアンカーに対する対象物の方向、および距離を演算する。対象物の方向の演算は、少なくとも2つ受信部で受信する信号の位相差に基づいて方向を演算することができる。対象物との距離の演算は、受信部で受信する信号の強度や、信号が送信部から受信部に届く時間を計算することによって演算することができる。
【0031】
また、到着角(AoA)と到着時間差(TDoA)を演算し、当該位置を特定することにより、対象物の位置検出精度を向上させることができる。尚、到着角(AoA)とは、2つ以上の受信部で、位相の異なる信号を受信することにより、その位相差から角度を算出する方法のことを言い、到着時間差(TDoA)とは、2つ以上の受信部で信号の到着時間差を比較することによって対象物の距離を算出する方法のことを言う。いずれも既知の方法であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0032】
判定部23は、位置演算部22によって演算された自車両に対する対象物の位置データから、当該位置が自車両のブラインドスポット領域BSの範囲にあるかどうかを判定する。具体的には、記憶部26に予めブラインドスポット領域BSに該当する角度と距離の範囲を定めておき、当該位置データがそのブラインドスポット領域に該当するかどうかによって判断してもよい。ミラー101、102とUWBアンカー11、12、13、14は自動二輪車100に固定されているので、例えば自動二輪車の重心位置(図1参照)からのミラーの位置、およびUWBアンカーの位置のベクトル座標をあらかじめ記憶部26に記憶しておくことにより、ブラインドスポット領域BSの範囲と対象物の位置を、当該重心位置を原点とする同じ座標系で表すことが可能となる。尚、ブラインドスポット領域BSに該当する角度と距離の範囲は固定値でもよいし、可変値としてもよい。範囲が可変となる場合には、当該位置情報とその位置がブラインドスポット領域に該当するかの該非判定結果を入力とする機械学習を行わせることによって、ブラインドスポット領域の範囲を適合させることができる。
【0033】
通信部24は、判定部23によって演算された判定結果を警報発信器30へ送信する。
【0034】
機械学習部25は、複数の機械学習モデルのうちの1つを選択し、選択された機械学習モデルと、判定部によって演算される判定結果、および該判定結果に対応する位置演算部によって算出される位置情報を用いてブランドスポット該非判定モデルの機械学習を行う。
なお、上記の機械学習モデルは、既存の機械学習モデルのうちのブランドスポット該非判定モデルの機械学習に利用可能なモデルのいずれであってもよい。例えば、機械学習モデルは、ロジスティック回帰、サポートベクタマシン、ランダムフォレストもしくは近傍法などの分類手法、ニューラルネットワークまたはベイジアンネットワークなどを用いた計算モデルであってよい。
機械学習部25の処理フローについては後述する。
【0035】
記憶部26はデータやプログラムの保存・記憶を行うための装置であり、少なくとも、位置演算部22や判定部23によって実行されるプログラム、UWBアンカーおよびブラインドスポット領域BSのベクトル座標、機械学習モデル等を記憶する。
【0036】
<対象物検出装置の動作>
実施の形態1に係る対象物検出装置の動作について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る対象物検出装置および警報システムの動作フローを示す図である。
【0037】
対象物検出装置1は、図4に示される動作フローを実行する。
【0038】
(送信部によるUWB波の送信ステップ)
ステップS101において、送信部11a、12a、13a、14aは、UWB波を所定の周期で送信波として送信する。
【0039】
(受信部のよるUWB波の反射波の受信ステップ)
ステップS102において、受信部11b、12b、13b、14bは、自車両に隣接して走行する車両等に送信波が反射することによって生じるUWB波の反射波の信号を受信する。
【0040】
(反射波取得ステップ)
ステップS103において、データ取得部21は受信部で受信する反射波のデータをデジタル信号として取得する。
【0041】
(位置演算部による対象物の位置演算ステップ)
ステップS104において、位置演算部22はデータ取得部で取得した反射波のデジタル信号に基づき、自車両に対する対象物の位置を特定する。具体的には、各UWBアンカーに対する対象物の方向、および距離を演算し、UWBアンカーのそれぞれに対する対象物の位置を特定した後に、ベクトル演算によって、自動二輪車の重心に対する対象物の位置を特定する。
【0042】
(判定部による判定ステップ)
ステップS105において、判定部23は位置演算ステップS104で演算された自車両に対する対象物の位置情報から、当該対象物の位置が自車両におけるブラインドスポット領域に該当するかどうかを判定する。
判定部23によって対象物の位置が自車両におけるブラインドスポット領域に該当すると判定されると、処理はステップS106に進み、対象物の位置が自車両におけるブラインドスポット領域に該当しないと判定されると、処理を終了する。
【0043】
ステップS106において、警報発信器30は自車両の運転者に警報を発する。警報発信器30の警報制御部32は運転者に対して警報を発する制御を行う。
【0044】
<運転者姿勢検出装置の効果>
実施の形態1に係る情報管理システムの効果について説明する。
実施の形態1によれば、送信部から発信されるUWB波が対象物に反射することによって生じる反射波の信号に基づいて、ブラインドスポット領域BSに侵入する他車両等の有無を検出することができる。このため、LiDAR等による対象物検出方法と比較して、安価で、かつ少ない消費電力で対象物の位置の特定しつつ、ブラインドスポットに侵入する対象物の検出を行うことができる。
【0045】
次に実施の形態2に係る対象物検出装置の動作について説明する。
対象物検出装置1は、図6に示される動作フローを実行する。尚、図5に係る実施の形態はAoAおよびTDoAによる角度および距離の計算方法に基づいている。
【0046】
(送信部によるUWB波の送信ステップ)
ステップS201において、送信部11a、12a、13a、14aは、UWB波を所定の周期で送信波として送信する。
【0047】
(受信部のよるUWB波の反射波の受信ステップ)
ステップS202において、受信部11b、12b、13b、14bは、自車両に隣接して走行する車両等に送信波が反射することによって生じるUWB波の反射波の信号を受信する。
【0048】
(反射波取得ステップ)
ステップS203において、データ取得部21は受信部で受信する反射波のデータをデジタル信号として取得する。
【0049】
(位置演算部による対象物の位置演算ステップ)
ステップS204において、位置演算部はデータ取得部で取得した反射波のデジタル信号に基づき、自車両に対する対象物の位置を特定する。本実施例においては、少なくとも2つ以上の受信部で受信する反射波のデジタル信号に基づき、到着時間差(TDoA)と到着角(AoA)を演算することにより、自車両に対する対象物の位置を特定する。
【0050】
(判定部による判定ステップ)
ステップS205において、判定部は位置演算ステップS204で演算された自車両に対する対象物の位置情報から、当該対象物の位置が自車両におけるブラインドスポット領域に該当するかどうかを判定する。本実施例においては、位置演算部22によって演算された自車両に対する対象物の位置データから、当該位置が自車両のブラインドスポット領域BSの範囲にあるかどうかを判定する。具体的には、記憶部26に予めブラインドスポット領域に該当する角度と距離の範囲を定めておき、当該位置データがそのブラインドスポット領域に該当するかどうかによって判断する。
判定部によって対象物の位置が自車両におけるブラインドスポット領域に該当すると判定されると、処理はステップS206に進み、対象物の位置が自車両におけるブラインドスポット領域に該当しないと判定されると、処理を終了する。
【0051】
ステップS206において、警報発信器は自車両の運転者に警報を発する。
【0052】
<運転者姿勢検出装置の効果>
実施の形態2に係る情報管理システムの効果について説明する。
実施の形態2によれば、AoAにより受信部に対する対象物の角度が演算され、TDoAにより受信部と対象物の距離が算出され、自車両に対する対象物の位置が特定される。 そのため、自車両に対する対象物の位置を正確に算出することができ、自車両のブラインドスポット領域に侵入する対象物を高精度に検出することができる。
【0053】
以上、実施の形態1および実施の形態2について説明したが、本発明は各実施の形態の説明に限定されない。例えば、各ステップの動作は説明した時系列で実施されてもよいし、一部のステップは同時に実行されてもよい。
【0054】
<機械学習部の動作>
続いて、図6を参照して、対象物検出装置の機械学習部25の動作について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る対象物検出装置の機械学習処理の例を概念的に示すフローチャートである。
【0055】
対象物検出装置は、ステップS301において判定部によって演算される判定結果および該判定結果に対応する位置演算部によって算出される位置情報を取得する。具体的には、機械学習部25は、記憶部26に記憶された判定結果と対象物の位置情報を取得する。
【0056】
対象物検出装置は、ステップS302において既存のブランドスポット該非判定モデルを取得する。ブランドスポット該非判定モデルとは、ここでは対象物の位置情報を入力することによって当該位置が、自車両のブラインドスポット領域に該当するかどうかを判定するモデルのことを言う。
【0057】
次に、対象物検出装置は、判定部によって演算される判定結果および該判定結果に対応する位置演算部によって算出される位置情報を用いてブランドスポット該非判定モデルを更新する(ステップS303)。具体的には、機械学習部25は、複数の機械学習モデルのうちの1つを選択し、選択された機械学習モデルと判定部によって演算される判定結果および該判定結果に対応する位置演算部によって算出される位置情報とを用いてブラインドスポット該非判定モデルの機械学習を行う。
【0058】
次に、対象物検出装置は、更新後のブラインドスポット該非判定モデルの正確性を算出する(ステップS304)。具体的には、機械学習部25は、機械学習により得られた新たなブラインドスポット該非判定モデルにテスト用入力データを入力し、出力された値とテスト用出力データとを比較することによりモデルの正確性を算出する。
【0059】
算出値が閾値以上である場合(ステップS305/Y)、対象物検出装置は、更新後のブラインドスポット該非判定モデルを記憶する(ステップS306)。具体的には、機械学習部25は、算出された正確性が閾値以上である場合、新たなブラインドスポット該否判定モデルを記憶部26に記憶させる。なお、算出値が閾値未満である場合(ステップS205/N)、ステップS303に処理が戻される。
【符号の説明】
【0060】
1 対象物検出装置、2 警報システム、11,12,13,14 UWBアンカー、20 処理ユニット、21 データ取得部、22 位置演算部、23 判定部、24 通信部、25 機械学習部、26 記憶部、30 警報発信器、40 インストゥルメントパネル、100 自動二輪車、200 車両、BS ブラインドスポット領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6