(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134143
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】データ表示方法、データ表示システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240926BHJP
G01M 17/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B60C19/00 J
G01M17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044279
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100181179
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 洋一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197295
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】新垣 達郎
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131CA03
3D131LA24
(57)【要約】
【課題】タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に容易に認識できるデータ表示方法、データ表示システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ表示方法は、複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報から、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出する算出工程と、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値との関係を可視化する可視化工程とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報から、前記タイヤサイズ毎の前記タイヤ特性値の代表値を算出する算出工程と、
前記タイヤサイズと前記タイヤ特性値の代表値との関係を可視化する可視化工程とを有する、データ表示方法。
【請求項2】
前記算出工程の前に、前記タイヤサイズと前記タイヤ特性値との前記タイヤ情報を取得する取得工程を有する、請求項1に記載のデータ表示方法。
【請求項3】
前記タイヤ特性値を目的変数とし、前記タイヤサイズを説明変数とした回帰分析により前記タイヤサイズ毎の前記タイヤ特性値の予測値を得る工程を有し、
前記可視化工程は、前記タイヤサイズと前記タイヤ特性値の代表値と前記タイヤ特性値の前記予測値との関係を可視化する、請求項1に記載のデータ表示方法。
【請求項4】
タイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析により、前記タイヤサイズと前記タイヤ特性値の予測値を得る工程と、
前記タイヤサイズと前記タイヤ特性値の前記予測値との関係を可視化する可視化工程とを有する、データ表示方法。
【請求項5】
前記算出工程の前に、
前記タイヤ情報の前記各タイヤについて、前記タイヤ情報以外の前記タイヤに関するタイヤ関連情報を取得する工程と、
前記タイヤサイズと取得した前記タイヤ関連情報とが、前記タイヤ特性値に及ぼす重要度を算出する工程と、
前記タイヤサイズの前記重要度に基づいて、層別化の要否を判定する工程と、
前記層別化の要否の判定に基づいて、前記タイヤ情報及び前記タイヤ関連情報に対して層別化処理を実施する工程とを備える層別化処理工程を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のデータ表示方法。
【請求項6】
前記タイヤ特性値の前記代表値に対応するラベル情報を付与する工程を有し、
前記可視化工程は、前記タイヤサイズと前記ラベル情報が付与された前記タイヤ特性値の前記代表値との関係を可視化する、請求項1~4のいずれか1項に記載のデータ表示方法。
【請求項7】
前記タイヤ特性値の前記予測値に対応するラベル情報を付与する工程を有し、
前記可視化工程は、前記タイヤサイズと前記ラベル情報が付与された前記タイヤ特性値の前記予測値との関係を可視化する、請求項3又は4に記載のデータ表示方法。
【請求項8】
複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報から、前記タイヤサイズ毎の前記タイヤ特性値の代表値を算出する算出部と、
前記タイヤサイズと前記タイヤ特性値の代表値との関係を可視化する表示制御部とを有する、データ表示システム。
【請求項9】
前記タイヤサイズと前記タイヤ特性値との前記タイヤ情報を取得する取得部を有し、
前記表示制御部は、前記タイヤサイズと前記タイヤ特性値の代表値と前記タイヤ特性値の前記予測値との関係を可視化する、請求項8に記載のデータ表示システム。
【請求項10】
前記タイヤ特性値を目的変数とし、前記タイヤサイズを説明変数とした回帰分析により前記タイヤサイズ毎の前記タイヤ特性値の予測値を得る解析部を有する、請求項8に記載のデータ表示システム。
【請求項11】
前記タイヤ情報の前記各タイヤについて、前記タイヤ情報以外の前記タイヤに関するタイヤ関連情報を取得し、
前記タイヤサイズと、取得した前記タイヤ関連情報とが、前記タイヤ特性値に及ぼす重要度を算出し、
前記タイヤサイズの前記重要度に基づいて層別化の要否を判定し、前記層別化の要否の判定に基づいて、前記タイヤ情報及び前記タイヤ関連情報に対して層別化処理を実施する処理部を有する、請求項8~10のいずれか1項に記載のデータ表示システム。
【請求項12】
前記タイヤ特性値の前記代表値に対応するラベル情報を付与する付与部を有し、
前記表示制御部は、前記タイヤサイズと前記ラベル情報が付与された前記タイヤ特性値の前記代表値との関係を可視化する、請求項8~10のいずれか1項に記載のデータ表示システム。
【請求項13】
前記タイヤ特性値の前記予測値に対応するラベル情報を付与する付与部を有し、
前記表示制御部は、前記タイヤサイズと前記ラベル情報が付与された前記タイヤ特性値の前記予測値との関係を可視化する、請求項10に記載のデータ表示システム。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか1項に記載のデータ表示方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を表示するデータ表示方法、データ表示システム及びプログラムに関し、特に、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を、散布図又はヒートマップ等で表示するデータ表示方法、データ表示システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、用途に応じた様々なタイヤがある。サイズについても、用途又は車の大きさ等に応じて様々なサイズのタイヤがある。
様々な用途のタイヤがあり、かつタイヤサイズについても様々なものがある。このため、タイヤを選択する際に、複数のタイヤから選ぶ必要がある。
例えば、特許文献1には、寒冷地走行に関するユーザの潜在的なニーズを判定し、これに合致するスタッドレスタイヤを選出することが可能なスタッドレスタイヤ提案システムが提案されている。
【0003】
特許文献1では、複数の種類のスタッドレスタイヤに関する性能データを蓄積したタイヤ性能データベースが開示されている。特許文献1のタイヤ性能データベース(タイヤ性能データ)には、タイヤサイズ、製品名、用途、グリップ性能、耐摩耗性能及び価格等が含まれる。タイヤサイズは、タイヤ幅、偏平率、リム径等が含まれる。用途には、例えば、乗用車、軽乗用車、オフロード車が含まれる。グリップ性能は、圧雪路、凍結路及びアスファルト路に区分される。グリップ性能の評価については、各スタッドレスタイヤを基準車両(複数の車種を代表して性能評価に用いる基準車種の車両)に実際に装着し、テストコース{雪上路、凍結路、アスファルト路(ドライ及びウェット)}において所定速度(開始速度)で急制動させ、目標速度まで低下するのに要した距離に基づいて行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1のタイヤ性能データベースには、タイヤサイズ、製品名、用途、グリップ性能、耐摩耗性能及び価格等が含まれる。しかしながら、特許文献1のタイヤ性能データベースでは、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に把握しづらい。
例えば、新規なタイヤを設計したり、タイヤの改良をしたりする場合には、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係が視覚的に把握できれば、タイヤ設計又はタイヤ改良の指針に利用できる。このため、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に把握できることが望まれている。
本発明の目的は、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に容易に認識できるデータ表示方法、データ表示システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、発明[1]は、複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報から、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出する算出工程と、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値との関係を可視化する可視化工程とを有する、データ表示方法である。
発明[2]は、算出工程の前に、タイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報を取得する取得工程を有する、発明[1]に記載のデータ表示方法。
発明[3]は、タイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析によりタイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得る工程を有し、可視化工程は、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する、発明[1]又は[2]に記載のデータ表示方法。
【0007】
発明[4]は、タイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析により、タイヤサイズとタイヤ特性値の予測値を得る工程と、タイヤサイズとタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する可視化工程とを有する、データ表示方法である。
発明[5]は、算出工程の前に、タイヤ情報の各タイヤについて、タイヤ情報以外のタイヤに関するタイヤ関連情報を取得する工程と、タイヤサイズと取得したタイヤ関連情報とが、タイヤ特性値に及ぼす重要度を算出する工程と、タイヤサイズの重要度に基づいて、層別化の要否を判定する工程と、層別化の要否の判定に基づいて、タイヤ情報及びタイヤ関連情報に対して層別化処理を実施する工程とを備える層別化処理工程を有する、発明[1]~[4]のいずれか1つに記載のデータ表示方法。
【0008】
発明[6]は、タイヤ特性値の代表値に対応するラベル情報を付与する工程を有し、可視化工程は、タイヤサイズとラベル情報が付与されたタイヤ特性値の代表値との関係を可視化する、発明[1]~[5]のいずれか1つに記載のデータ表示方法。
発明[7]は、タイヤ特性値の予測値に対応するラベル情報を付与する工程を有し、可視化工程は、タイヤサイズとラベル情報が付与されたタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する、発明[3]~[5]のいずれか1つに記載のデータ表示方法。
【0009】
発明[8]は、複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報から、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出する算出部と、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値との関係を可視化する表示制御部とを有する、データ表示システムである。
発明[9]は、タイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報を取得する取得部を有し、表示制御部は、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する、発明[8]に記載のデータ表示システム。
発明[10]は、タイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析によりタイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得る解析部を有する、発明[8]又は[9]に記載のデータ表示システム。
【0010】
発明[11]は、タイヤ情報の各タイヤについて、タイヤ情報以外のタイヤに関するタイヤ関連情報を取得し、タイヤサイズと、取得したタイヤ関連情報とが、タイヤ特性値に及ぼす重要度を算出し、タイヤサイズの重要度に基づいて層別化の要否を判定し、層別化の要否の判定に基づいて、タイヤ情報及びタイヤ関連情報に対して層別化処理を実施する処理部を有する、発明[8]~[10]のいずれか1つに記載のデータ表示システム。
【0011】
発明[12]は、タイヤ特性値の代表値に対応するラベル情報を付与する付与部を有し、表示制御部は、タイヤサイズとラベル情報が付与されたタイヤ特性値の代表値との関係を可視化する、発明[8]~[11]のいずれか1つに記載のデータ表示システム。
発明[13]は、タイヤ特性値の予測値に対応するラベル情報を付与する付与部を有し、前表示制御部は、タイヤサイズとラベル情報が付与されたタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する、発明[10]に記載のデータ表示システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に容易に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態のデータ表示システムの第1の例を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例を示すフローチャートである。
【
図3】(a)~(c)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例による表示結果を示す模式図である。
【
図4】(a)及び(b)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例による表示結果を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態のデータ表示方法の第2の例を示すフローチャートである。
【
図6】(a)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例による表示結果を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第2の例による表示結果を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施形態のデータ表示方法の第3の例を示すフローチャートである。
【
図8】(a)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例による表示結果を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第3の例による表示結果を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施形態のデータ表示システムの第2の例を示す模式図である。
【
図10】本発明の実施形態のデータ表示方法の第4の例を示すフローチャートである。
【
図11】(a)~(c)は本発明の実施形態のデータ表示方法の層別化を説明するための模式図である。
【
図12】本発明の実施形態のデータ表示方法の第5の例を示すフローチャートである。
【
図13】(a)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第2の例による表示結果を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第5の例による表示結果を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のデータ表示方法、データ表示システム及びプログラムを詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
また、「工程」とは、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0015】
[データ表示システムの第1の例]
図1は本発明の実施形態のデータ表示システムの第1の例を示す模式図である。
データ表示システム10は、コンピューター等のハードウェアを用いて構成される。後述のデータ表示方法には、例えば、
図1に示すデータ表示システム10が用いられるが、データ表示方法をコンピューター等のハードウェア及びソフトウェアを用いて実行することができればデータ表示システム10に限定されるものではなく、データ表示方法の各工程を手順としてコンピューター等に実行させるためのプログラムでもよい。また、データ表示システム10は
図1に示す構成に限定されるものではない。
【0016】
データ表示システム10は、処理ユニット12と、入力部14と、表示部16とを有する。処理ユニット12は、取得部20、算出部22、解析部24、付与部26、表示制御部28、メモリ29及び制御部30を有する。データ表示システム10は、この他に図示はしないがROM(Read Only Memory)等を有する。
処理ユニット12は、制御部30により制御される。また、処理ユニット12において取得部20、算出部22、解析部24、付与部26、表示制御部28及び制御部30はメモリ29に接続されており、取得部20、算出部22、解析部24、付与部26、表示制御部28及び制御部30のデータはメモリ29に記憶することができる。
以下に説明するデータ表示方法において、処理ユニット12の各部で種々の処理がなされる。以下の説明では制御部30により処理ユニット12の各部で種々の処理がなされることの説明を省略しているが、各部の一連の処理は制御部30により制御される。
【0017】
データ表示システム10は、ROM等に記憶されたプログラム(コンピュータソフトウェア)を、制御部30で実行することにより、取得部20、後述の処理部21(
図9参照)、算出部22、解析部24、付与部26、表示制御部28及び制御部30の各部を機能的に形成する。データ表示システム10は、上述のように、プログラムが実行されることで各部位が機能するコンピューターによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよく、クラウド上で実行される構成でもよい。
【0018】
データ表示システム10及びデータ表示方法は、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を可視化することで、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に容易に認識できるようにするものである。データ表示システム10及びデータ表示方法は、タイヤサイズ空間(呼び幅、偏平率、内径を因子とする二次元又は三次元空間)にタイヤ特性値を可視化することで、タイヤ開発に有益な情報として、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に設計者に提供することができる。
以下、データ表示システム10の各部について説明する。
【0019】
入力部14は、マウス及びキーボード等の各種情報をオペレータの指示により入力するための各種の入力デバイスである。無線又はインターネットを介して各種情報が送信される場合、入力部14は、無線を受信する受信部を有するか、又はインターネットに接続可能な構成である。
表示部16は、例えば、データ表示方法で得られたタイヤサイズとタイヤ特性値との関係の結果、タイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報等を表示するものであり、公知の各種のディスプレイが用いられる。また、表示部16には、タイヤ特性値の予測値、及びラベル情報を表示することもできる。これら以外に、表示部16には各種情報を出力媒体に表示するためのプリンタ等のデバイスも含まれる。また、表示部16は、無線又はインターネットを介して各種情報を送信する場合、表示部16は、各種情報を送信する送信部を有するか、又はインターネットに接続可能な構成である。
【0020】
データ表示システム10の取得部20は、タイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報を取得するものである。例えば、入力部14により、データ表示システム10の外部から、タイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報がメモリ29に記憶される。取得部20が、メモリ29から上述のタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報を読み出すことにより取得してもよい。
上述のタイヤサイズとタイヤ特性値は、例えば、事前に得られたものであるが、これに限定されるものではない。例えば、後述の解析部24で、タイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析によりタイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得る。このタイヤ特性値の予測値を、タイヤ特性値の代表値と同様に用いることができる。
【0021】
算出部22は、タイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報から、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出するものである。
タイヤサイズは、例えば、呼び幅、偏平率、及び内径等であるが、特に限定されるものではない。ロードインデックス、速度記号、及びタイヤ外径等のタイヤサイズ表示に記載されている情報、並びにタイヤ断面高さ、及びタイヤ総幅等のタイヤサイズに関係する値もタイヤサイズに含まれる。タイヤサイズとは、例えば、呼び幅等の1種の情報ではなく、例えば、呼び幅、偏平率、及び内径のような複数の種の情報を有するものでもよい。
タイヤサイズ毎とは、例えば、呼び幅毎の場合もあり、また、例えば、呼び幅毎、偏平率毎、又は内径毎の場合もある。
タイヤ特性値は、例えば、転がり抵抗、縦バネ、横バネ、及びコーナリングパワー等のタイヤに関する種々の特性値である。これ以外に、タイヤ特性値としては、シミュレーション結果でもよく、各種試験の計測データでもよい。
タイヤ特性値の代表値は、例えば、タイヤ特性値の平均値又は中央値である。このことは、同じタイヤサイズでタイヤ特性値が異なるタイヤが複数あることを意味する。
また、空気圧等の試験条件、夏用若しくは冬用等の使用用途、タイヤを構成する材料の物性値、又はタイヤの設計因子等に基づいて限定したデータセットを対象にして、タイヤ特性値の代表値を算出してもよい。
【0022】
解析部24は、上述のようにタイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析によりタイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得るものである。
得られるタイヤ特性値の予測値は、データが存在しないタイヤサイズのタイヤ特性値の予測値が含まれる。
なお、解析部24で目的変数にタイヤ特性値を用いるが、目的変数に用いるタイヤ特性値には、タイヤ特性値の代表値も含まれる。
解析部24では、例えば、回帰分析による予測モデルを作成し、タイヤ特性値の予測値を算出する。
予測モデルは、特に限定されるものではないが、リッジ回帰、ラッソ回帰、及びエラスティックネットのような線形回帰モデル、並びにニューラルネットワークのような非線形回帰モデルが用いられる。ニューラルネットワーク以外に各種の手法を用いることができる。例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、SVM(Support Vector Machine)、One Classs SVM、LOF(Local Outlier Factor)、ランダムフォレスト、及び非線形判別法等を用いてもよい。
予測モデルにどのようなものを用いるのが適当であるかは、説明変数と目的変数との組み合わせ等により異なるため、予め複数の予測モデルを用意しておき、ユーザーが任意に選択できるようしてもよい。例えば、メモリ29に予測モデルを記憶させておき、目的変数と説明変数とに応じて、解析部24がメモリ29から予測モデルを読み出すようにしてもよい。
【0023】
付与部26は、タイヤ特性値の代表値に対応するラベル情報を付与するものである。また、付与部26は、タイヤ特性値の予測値に対応するラベル情報を付与するものである。ラベル情報には、文字、記号及び数字等のテキスト情報も含まれる。
ラベル情報は、例えば、転がり抵抗係数及びウェットグリップ性能等のタイヤラベリング制度に基づくラベルの情報である。また、ラベル情報には、任意の基準に沿って判定された結果(合格又は不合格等)に基づいてラベル付与してもよい。
ラベル情報は、公知のラベリング制度以外でも、数値データを任意にカテゴリ化した情報でもよい。目標性能に達している割合を数値で示したもの、及び目標性能に達している割合を色又は模様等によるクラス分けしたものもラベル情報に含まれる。
また、ラベル情報は、ヒートマップのセル上に、文字で表示される情報は、ラベル情報でもよいし、数値とラベル情報を併せて表示してもよい。
また、後述のヒートマップの色は、ラベル情報に基づいて表示してもよく、数値に基づいて表示してもよい。
【0024】
表示制御部28は、タイヤサイズと、算出部22が算出したタイヤ特性値の代表値との関係を可視化するものである。可視化の対象は、タイヤ特性値の代表値以外にタイヤ特性値の予測値を含んでもよく、表示制御部28はタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値とを可視化してもよい。また、表示制御部28はタイヤ特性値の代表値としてタイヤ特性値の予測値だけを用いて可視化してもよい。
表示制御部28における可視化手法は、特に限定されるものではないが、散布図、ヒートマップ等の視覚的にタイヤサイズとタイヤ特性値との関係を把握できるものであることが好ましい。可視化手法としては、2次元で可視化してもよく、3次元で可視化してもよい。
複数のタイヤ特性値を同時に可視化する際、PCA(Principal Component Analysis))、t-SNE(t-Distributed Stochastic Neighbor Embedding)、自己組織化マップ等の次元削減又はクラスタリング等を行ってもよい。
表示制御部28において、表示部16に表示させる場合、取得部20、算出部22、解析部24、付与部26及びメモリ29から各種の情報を読み出して表示してもよい。また、表示制御部28は、入力部14を介して入力される各種の情報等も表示部16に表示させることもできる。
データ表示システム10によれば、上述の構成により、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値との関係を可視化できるため、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に容易に認識できる。
【0025】
[データ表示方法の第1の例]
次に、データ表示方法の第1の例について説明する。
図2は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例を示すフローチャートである。
図3(a)~(c)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例による表示結果を示す模式図である。
図4(a)及び(b)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例による表示結果を示す模式図である。
例えば、データ表示方法の第1の例には、上述のデータ表示システム10が用いられる。
【0026】
図2に示すように、先ず、複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報を取得する(ステップS1)。ステップS1は、タイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報を取得する取得工程である。
ステップS1(取得工程)における複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報の取得方法は、上述のように事前に得られた複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報を取得してもよい。
また、解析部24(
図1参照)で、タイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析によりタイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得て、この予測値を、タイヤ特性値としてもよい。
【0027】
次に、複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報から、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出する(ステップS2)。ステップS2は、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出する算出工程である。
タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値は、例えば、呼び幅毎であるが、これ以外に、呼び幅毎、偏平率毎、及び内径毎の場合もある。
タイヤサイズの情報が複数の種の場合、例えば、呼び幅、偏平率、及び内径のように3つの場合、3つのうち、1つを固定値とする。
タイヤ特性値の代表値は、上述のように、例えば、タイヤ特性値の平均値又は中央値である。
【0028】
なお、ステップS1(取得工程)は、ステップS2(算出工程)の前に設けたが、事前に、複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報がある場合には不要である。このため、ステップS1(取得工程)は、必ずしも必要ではない。
【0029】
次に、ステップS2(算出工程)の後に、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値との関係を可視化する(ステップS3)。ステップS3は、可視化工程である。このステップS3(可視化工程)により、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値との関係が可視化され、タイヤサイズとタイヤ特性値との全体像を視覚的に把握できる。
ステップS2(算出工程)で、例えば、タイヤサイズの情報として、例えば、呼び幅、偏平率及び内径の3種類の情報がある場合、呼び幅、偏平率及び内径のうち、1つを単一の値とし、残りの2つを変数とする。また、例えば、タイヤの物性値として、縦ばね(KV)とし、代表値として平均値を算出する。この場合、ステップS3(可視化工程)では、例えば、
図3(a)に示すように呼び幅を単一値に固定し、縦軸を偏平率とし、横軸を内径として、縦ばねの平均値を示すヒートマップ32が得られる。
また、
図3(b)に示すように偏平率を単一値に固定し、縦軸を呼び幅とし、横軸を内径として、縦ばねの平均値を示すヒートマップ33が得られる。
また、
図3(c)に示すように内径を単一値に固定し、縦軸を呼び幅とし、横軸を偏平率として、縦ばねの平均値を示すヒートマップ34が得られる。
図3(a)~(c)に示すように、タイヤサイズと、タイヤ特性値である縦バネの平均値(代表値)との関係を可視化できる。これにより、タイヤサイズと縦バネの平均値(タイヤ特性値)との関係を視覚的に容易に認識できる。
【0030】
また、ステップS2(算出工程)において、例えば、夏用と冬用のようにタイヤの使用用途をグループ分けして、各グループに対して、タイヤ特性値の代表値を算出することもできる。より具体的には、タイヤの使用用途を夏用と冬用にグループ分けし、夏用タイヤのグループに対して、タイヤサイズ毎に転がり抵抗係数(RRC)の代表値として平均値を算出する。また、冬用タイヤのグループに対して、タイヤサイズ毎に転がり抵抗係数(RRC)の平均値を代表値として算出する。
これにより、例えば、
図4(a)に示すように、内径を単一値(16インチ)に固定し、縦軸を呼び幅とし、横軸を偏平率として、転がり抵抗係数(RRC)の平均値を示す夏用タイヤのヒートマップ35が得られる。また、例えば、
図4(b)に示すように、内径を単一値(16インチ)に固定し、縦軸を呼び幅とし、横軸を偏平率として、転がり抵抗係数(RRC)の平均値を示す冬用タイヤのヒートマップ36が得られる。ヒートマップ35とヒートマップ36とは、内径を単一値(16インチ)に固定しており、縦軸と横軸も同じであることから、夏用タイヤと冬用タイヤの比較が容易である。
このようにタイヤの使用用途によりデータセットをグループ分けし、各グループ毎に可視化することで、各グループ毎のタイヤサイズとタイヤ特性値の関係と、グループ間の関係の違いも容易に把握できる。
【0031】
[データ表示方法の第2の例]
次に、データ表示方法の第2の例について説明する。
図5は本発明の実施形態のデータ表示方法の第2の例を示すフローチャートである。
図6(a)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例による表示結果を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第2の例による表示結果を示す模式図である。
図5に示すデータ表示方法の第2の例において、
図2に示すデータ表示方法の第1の例と同一工程については、その詳細な説明は省略する。
データ表示方法の第2の例は、
図2に示すデータ表示方法の第1の例に比して、ステップS10はステップS1(取得工程)と同じ工程である。ステップS11はステップS2(算出工程)と同じ工程である。ステップS11は、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出する。
データ表示方法の第2の例では、タイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析により、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を算出する(ステップS12)。ステップS12では、例えば、解析部24(
図1参照)で、回帰分析による予測モデルを作成し、タイヤ特性値の予測値を算出する。予測モデルについては、上述の通りである。ステップS12では、例えば、目的変数を縦はねとし、呼び幅と偏平率と内径とを説明変数にして、縦ばねの予測値を算出する。
ステップS11とステップS12により、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値と、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値とを得る。
次に、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する(ステップS13)。ステップS13(可視化工程)は、上述のデータ表示方法の第1の例のステップS3(可視化工程)に比して、タイヤ特性値の予測値が加わった点が異なり、それ以外は、同様の工程である。
ステップS13(可視化工程)では、例えば、内径を単一値に固定し、縦軸を呼び幅とし、横軸を偏平率として、縦ばねの平均値を示すこととする。
【0032】
ここで、上述のデータ表示方法の第1の例のステップS3(可視化工程)では、
図6(a)に示すヒートマップ34が得られる。
図6(a)は上述の
図3(c)と同じ図である。
図6(a)のヒートマップ34では、データがないところがブランク37で示される。
一方、ステップS12でタイヤ特性値の予測値を得ているため、ステップS13により、ブランク37(
図6(a)参照)がない
図6(b)に示すヒートマップ38が得られる。
図6(b)において、枠線部39は、
図6(a)に示すヒートマップ34に相当する部分である。
図6(b)に示すヒートマップ38において、枠線部39はタイヤ特性値の代表値38aを示す。枠線部39以外はタイヤ特性値の予測値38bを示す。ヒートマップ38では、タイヤ特性値の代表値38aと、タイヤ特性値の予測値38bとが混在して示されている。
また、ヒートマップ38は、内径を単一値に固定し、縦軸を呼び幅とし、横軸を偏平率として、縦ばねの平均値を示している。
タイヤ特性値の予測値を用いることにより、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を滑らかな分布で表示することができ、視覚的に理解しやすくなる。また、存在しないタイヤサイズの特性値の見積り、及び呼び幅、偏平率又は内径の変化に対するタイヤ特性値の傾きも把握することが可能である。
ヒートマップに、データの有無、又は予測誤差が強調されるような表示を追加してよい。上述の強調されるような表示としては、例えば、枠色又は文字サイズ等が挙げられる。
なお、データ表示方法の第2の例には、例えば、上述のデータ表示システム10が用いられる。
【0033】
[データ表示方法の第3の例]
図7は本発明の実施形態のデータ表示方法の第3の例を示すフローチャートである。
図8(a)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第1の例による表示結果を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態のデータ表示方法の第3の例による表示結果を示す模式図である。
図7に示すデータ表示方法の第3の例において、
図5に示すデータ表示方法の第2の例と同一工程については、その詳細な説明は省略する。
データ表示方法の第3の例は、
図5に示すデータ表示方法の第2の例に比して、ステップS11がない点と、ステップS14の可視化工程の可視化の対象が異なる点以外は、データ表示方法の第2の例と同様の方法である。
データ表示方法の第3の例では、ステップS12で得たタイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得ている(ステップS12)。タイヤサイズとタイヤ特性値の予測値との関係を可視化している(ステップS14)。
【0034】
上述のデータ表示方法の第1の例のステップS3(可視化工程)では、
図8(a)に示すヒートマップ34が得られる。
図8(a)は上述の
図3(c)と同じ図である。
図8(a)のヒートマップ34では、データがないところがブランク37で示される。
一方、ステップS12でタイヤ特性値の予測値を得ている。このため、ステップS12により、ブランク37(
図8(a)参照)がない
図7(b)に示すヒートマップ38が得られる。
図8(b)において、枠線部39は、
図8(a)に示すヒートマップ34に相当する部分である。
図8(b)のヒートマップ38は、タイヤ特性値の予測値だけが示されている。
【0035】
ヒートマップ38は、内径を単一値に固定し、縦軸を呼び幅とし、横軸を偏平率として、縦ばねの平均値を示している。
タイヤ特性値の予測値を用いることにより、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を滑らかな分布で表示することができ、視覚的に理解しやすくなる。また、存在しないタイヤサイズの特性値の見積り、及び呼び幅、偏平率又は内径の変化に対するタイヤ特性値の傾きも把握することが可能である。
このように、データ表示方法の第3の例は、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を滑らかな分布で表示することができ、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に理解しやすくなる。タイヤサイズの特性値の見積り、及び呼び幅、偏平率、内径変化に対するタイヤ特性値の傾きも把握することができる。
【0036】
[データ表示システムの第2の例]
次に、データ表示システムの第2の例について説明する。
図9は本発明の実施形態のデータ表示システムの第2の例を示す模式図である。
図9において、
図1に示すデータ表示システム10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図9に示すデータ表示システム10aは、
図1に示すデータ表示システム10に比して処理部21を有する点が異なり、それ以外の構成は、
図1に示すデータ表示システム10と同様の構成である。
【0037】
データ表示システム10aは、取得部20と算出部22との間に処理部21が設けられている。
処理部21は、後述のようにタイヤ情報及びタイヤ関連情報に対して層別化処理を実施するものである。
算出部22は、
図1に示すデータ表示システム10の機能に加えて、処理部21で層別化処理されたタイヤ情報及びタイヤ関連情報から、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出するものである。
解析部24は、
図1に示すデータ表示システム10の機能に加えて、層別化処理されたタイヤ情報及びタイヤ関連情報において、タイヤ特性値を目的変数とし、タイヤサイズを説明変数とした回帰分析によりタイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得るものである。
【0038】
処理部21はタイヤ情報の各タイヤについて、タイヤ情報以外のタイヤに関するタイヤ関連情報を取得し、タイヤサイズと、取得したタイヤ関連情報とが、タイヤ特性値に及ぼす重要度を算出し、タイヤサイズの重要度に基づいて層別化の要否を判定し、層別化の要否の判定に基づいて、タイヤ情報及びタイヤ関連情報に対して層別化処理を実施する。
タイヤサイズ以外の影響により、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係の把握が困難なことがある。この場合、処理部21で層別化処理を実施できる。そして、層別化処理したタイヤサイズとタイヤ特性値との関係を可視化することにより、タイヤサイズ以外の影響を抑制して、タイヤサイズのタイヤ特性値への影響を把握できる。
【0039】
処理部21は、演算部21aと、判定部21bと、層別化部21cとを有する。
演算部21aは、タイヤ情報の各タイヤについて、タイヤ情報以外のタイヤに関するタイヤ関連情報を取得し、タイヤサイズと、取得したタイヤ関連情報とが、タイヤ特性値に及ぼす重要度を算出するものである。演算部21aにより、タイヤサイズに関する情報と取得したタイヤ関連情報とにおいて、どの情報、すなわち、どの因子がタイヤ特性値に対する重要度が高いかがわかる。重要度の数値化手法等は後に説明する。
判定部21bは、タイヤサイズの重要度に基づいて層別化の要否を判定するものである。判定部21bでは、例えば、タイヤサイズの因子の重要度が最上位ではない場合、層別化処理を実施すると判定される。
層別化部21cは、層別化の要否の判定に基づいて、タイヤ情報及びタイヤ関連情報に対して層別化処理を実施するものである。層別化部21cによる層別化処理により、タイヤサイズの因子の重要度を最上位にできる。層別化処理については、以下のデータ表示方法の第4の例で詳細に説明する。以下に説明するデータ表示方法の第4の例の層別化処理は、特に断りがない限り、処理部21で行われる。
【0040】
[データ表示方法の第4の例]
図10は本発明の実施形態のデータ表示方法の第4の例を示すフローチャートである。
図10に示すデータ表示方法の第4の例において、
図2に示すデータ表示方法の第1の例と同一工程については、その詳細な説明は省略する。
データ表示方法の第4の例は、
図2に示すデータ表示方法の第1の例に比して、ステップS20はステップS1(取得工程)と同じ工程である。データ表示方法の第4の例は、層別化処理工程を有する点と、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得る点と、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する点以外は、データ表示方法の第1の例と同様の方法である。
【0041】
データ表示方法の第4の例では、ステップS20で得た複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報に対して層別化処理を実施する。
層別化処理では、まず、タイヤ情報を取得した各タイヤについて、タイヤ情報以外のタイヤに関するタイヤ関連情報を取得する(ステップS21)。ステップS21により、上述のタイヤ情報に、タイヤ関連情報が加わる。
タイヤ関連情報は、例えば、タイヤ設計仕様、及び試験条件のデータである。タイヤ設計仕様は、例えば、タイヤの各寸法値、タイヤを構成する材料の物性値、タイヤ構造、タイヤの使用用途等である。試験条件は、例えば、荷重、空気圧、使用リム、及び路面等である。
【0042】
次に、タイヤサイズと、取得したタイヤ関連情報とが、タイヤ特性値に及ぼす重要度を算出する(ステップS22)。ステップS22により、タイヤサイズに関する情報と取得したタイヤ関連情報とにおいて、どの情報、すなわち、どの因子がタイヤ特性値に対する重要度が高いかがわかる。
重要度の数値化手法は、特に限定されるものではないが、例えば、相関係数の絶対値、機械学習によるPermutation Importance、因果探索手法によって得られる因果の強さ等を用いることができる。
重要度を算出する際、タイヤのベルト構造等の質的変数は、ターゲットエンコーディング又はカウントエンコーディング等の数値化手法により数値化してもよい。
重要度を算出する因子は以下のような基準を満たす因子に限定してもよい。
例えば、タイヤサイズ因子(呼び幅、偏平率及び内径等)のどれか1つとの相関係数が閾値以下であること、データの欠損率が閾値以下であることである。
【0043】
次に、ステップS22で得られたタイヤサイズの重要度に基づいて、層別化の要否を判定する(ステップS23)。
ステップS22で、タイヤサイズの因子の重要度が、タイヤサイズ以外の因子に比して、どの位置にあるかが判明する。タイヤサイズの因子の重要度が低い場合、すなわち、タイヤ特性値への影響がタイヤサイズ以外のタイヤ関連情報(タイヤ設計仕様、及び試験条件)の因子の方が重要度が大きい場合、タイヤ特性値に対する影響を小さくする必要がある。このため、ステップS23において、タイヤサイズの因子の重要度が最上位ではない場合、層別化処理を実施すると判定される。層別化処理の実施については判定部21b(
図9参照)で判定される。
一方、ステップS22において、タイヤサイズの因子の重要度が最上位の場合には、上述のステップS2と同様に、複数のタイヤに関するタイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報から、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出する(ステップS24)。
【0044】
ステップS23の層別化の要否の判定には、例えば、以下の基準が用いられる。
タイヤ設計仕様、及び試験条件の重要度が、全てのタイヤサイズ因子、呼び幅、偏平率及び内径の重要度より大きい場合、層別化を実施する。
タイヤサイズの影響を把握することが困難になるため、タイヤサイズ数(データ数)が閾値より少ない場合、タイヤサイズ数が閾値以下のデータセットに層別化を実施しない。
また、層別化を実施した回数が閾値を超える場合、層別化を実施しない。このように、層別化処理を繰り返し実施する場合には制限がかかる。
【0045】
ステップS24の後、次に、上述のステップS12と同様に、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得る(ステップS25)。
次に、上述のステップS13と同様に、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する(ステップS26)。
【0046】
一方、ステップS23において、層別化が必要であると判定された場合、層別化処理を実施する(ステップS27)。
ステップS27(層別化処理)では、データセットがグループ分けできれば、層別化処理の方法は、特に限定されるものではない。層別化処理には、例えば、重心法、K-means、及びX-meansが用いられる。
また、層別化処理は、単一因子に基づく層別化でもよいし、複数因子に基づく層別化でも良い。
層別化処理を実施した場合、単一因子に基づく層別化では、重要度が最上位の因子に基づいてデータを分ける。このため、データ数が少なくなる。
ステップS27(層別化処理)後、再度、タイヤサイズ及びタイヤ関連情報が、タイヤ特性値に及ぼす重要度を算出する(ステップS22)。そして、重要度に基づいて層別化の要否を判定する(ステップS23)。上述のステップS22、S23及びS27を、ステップS23において層別化が不要と判定されるか、又はタイヤサイズ数(データ数)が上述の基準に示すように閾値より少なくなる迄、若しくは層別化処理の回数が閾値を超える迄、繰り返し実施する。データ表示方法の第4の例では、ステップS21、ステップS22、ステップS23及びステップS27により、層別化処理工程が構成される。
【0047】
層別化処理について、例えば、タイヤサイズ及びタイヤ関連情報が転がり抵抗係数(RRC)に及ぼす重要度として、相関係数の絶対値を算出したところ、下記表1に示す結果が得られた。なお、下記表1に示す因子X1~X10は、タイヤサイズ以外のタイヤ関連情報に基づくものである。また、下記表1に示す重要度の欄の数値は、転がり抵抗係数との相関係数の絶対値である。
【0048】
下記表1に示すように層別化前では、重要度は、タイヤ関連情報の因子X1が最上位である。この場合、ステップS23で層別化処理が必要であると判定され、上述のように1回目の層別化処理を実施した。その結果、タイヤ関連情報の因子X4が重要度が最上位になった。このため、ステップS23で層別化処理が必要であると判定され、次に、2回目の層別化処理を実施した。その結果、タイヤ関連情報の因子X7が重要度が最上位になった。
このため、ステップS23で層別化処理が必要であると判定され、次に、3回目の層別化処理を実施した。この結果、タイヤサイズの因子のうち、呼び幅が重要度が最上位になった。この状態で、ステップS23で層別化処理が不要であると判定されて層別化処理が終了する。このようにステップS23において層別化が不要と判定されるまで、上述のステップS22、S23及びS27が繰り返し実施される。
【0049】
【0050】
タイヤを構成するゴム若しくは補強材等の物性値、又は空気圧若しくは試験荷重等の試験条件が特性値に与えている影響(交絡因子)を取り除かずに、呼び幅、偏平率及び内径等のタイヤサイズと、タイヤ特性値との関係を可視化している。このとき、タイヤ特性値に強く影響する交絡因子が存在する場合、交絡因子が存在するデータセットでは、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を把握することが困難な場合がある。
例えば、地面と接地するゴムの損失係数(tanδ)が高いと転がり抵抗係数(RRC)は大きくなる傾向があり、tanδが低いと転がり抵抗係数は小さくなる傾向がある。言い換えると、転がり抵抗係数とtanδ(損失係数)とは相関関係がある。この場合、あるデータセットでは、呼び幅が大きいタイヤと小さいタイヤとで、転がり抵抗係数に差がないとしても、それはtanδ(損失係数)の影響で差が生じていない可能性がある。そのため、呼び幅が大きいタイヤと小さいタイヤとで、転がり抵抗係数に差がないデータセットはtanδが高い群と低い群とに分けることにより、tanδ(損失係数)が転がり抵抗係数(RRC)に与える影響が抑制され、呼び幅の影響が確認できるようになる可能性がある。
ここで、
図11(a)~(c)は本発明の実施形態のデータ表示方法の層別化を説明するための模式図である。
【0051】
層別化処理について、例えば、タイヤサイズ及びタイヤ関連情報が転がり抵抗係数(RRC)に及ぼす重要度(相関係数の絶対値)を算出したところ、下記表2に示す結果が得られた。なお、下記表2に示す因子tanδ、X2~5、X7、X9、X10及びX11はタイヤサイズ以外のタイヤ関連情報に基づく因子である。
下記表2に示すように層別化前では、重要度は因子tanδが最上位である。この場合、ステップS23で層別化処理が必要であると判定され、上述のように1回目の層別化処理を実施した。
層別化処理では、tanδについて層別化処理を実施し、tanδが高い群と、tanδが低い群とに分ける。そして、分けたtanδが高い群と、tanδが低い群とについてタイヤ特性値に及ぼす重要度を算出する(ステップS22)。その結果、tanδが高い群及びtanδが低い群のいずれも、呼び幅が重要度が最上位になった。これにより、ステップS23で層別化処理が不要であると判定され、層別化処理が終了する。
【0052】
そして、次に、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の代表値を算出する(ステップS24)。次に、タイヤサイズ毎のタイヤ特性値の予測値を得る(ステップS25)。
次に、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する(ステップS26)。
これにより、tanδが高い群について、偏平率を単一値(55偏平)に固定し、呼び幅を縦軸とし、内径を横軸とした
図11(b)に示すヒートマップ41が得られる。tanδが低い群について、偏平率を単一値(55偏平)に固定し、呼び幅を縦軸とし、内径を横軸とした
図11(c)に示すヒートマップ42が得られる。
なお、
図11(a)には下記表2の層別化処理前のタイヤサイズ及びタイヤ関連情報と、タイヤ特性値との関係を、
図11(b)及び(c)と同様にして可視化して得られたヒートマップ40である。
図11(a)に示すヒートマップ40は、タイヤサイズに対する転がり抵抗係数の変化が小さく、タイヤサイズと転がり抵抗係数との関係が把握しづらい。一方、
図11(b)に示すヒートマップ41及び(c)に示すヒートマップ42は、いずれもタイヤサイズに対する転がり抵抗係数の変化が大きく、タイヤサイズと転がり抵抗係数との関係が把握しやすい。これは、上述のように転がり抵抗係数と相関関係にあるtanδの影響を抑制したためと考えられる。
なお、
図11(a)~(c)に示す枠線部43で囲まれたタイヤサイズはタイヤ特性値の代表値が存在するタイヤサイズである。
【0053】
【0054】
上述のデータ表示方法の第1の例~第4の例のいずれにおいても、例えば、
図1に示す付与部26により、タイヤ特性値の代表値に対応するラベル情報を付与することができる。ラベル情報を付与して、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を可視化する際には、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係をラベル情報を含めて可視化する。
また、タイヤ特性値の予測値に対応するラベル情報を付与することもできる。この場合、タイヤサイズとタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する際に、タイヤサイズとタイヤ特性値の予測値との関係をラベル情報を含め可視化する。以下、データ表示方法の第5の例で具体的に説明する。
【0055】
[データ表示方法の第5の例]
図12は本発明の実施形態のデータ表示方法の第5の例を示すフローチャートである。
図12に示すデータ表示方法の第5の例において、
図5に示すデータ表示方法の第2の例と同一工程については、その詳細な説明は省略する。
データ表示方法の第5の例は、
図5に示すデータ表示方法の第2の例に比して、ラベル情報を付与する工程(ステップS16)を有する点と、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値との関係をラベル情報を付与して可視化する点以外は、データ表示方法の第2の例と同様の方法である。
【0056】
データ表示方法の第5の例では、ステップS11及びステップS12の後に、タイヤ特性値の代表値に対応するラベル情報を付与し、タイヤ特性値の予測値に対応するラベル情報を付与する(ステップS16)。
次に、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値との関係を可視化する(ステップS18)。
ステップS18(可視化工程)は、
図5に示すデータ表示方法の第2の例のステップS3(可視化工程)に比して、タイヤ特性値の代表値に対応するラベル情報とタイヤ特性値の予測値に対応するラベル情報とが加わった点が異なり、それ以外は、同様の工程である。
【0057】
ステップS18(可視化工程)では、例えば、偏平率を単一値に固定し、縦軸を呼び幅とし、横軸を内径として、転がり抵抗係数の代表値と、例えば、等級を表すラベル情報を示す。
表示されるラベル情報は、上述の等級を表す文字47に限定されるものではなく、文字、記号及び数字等のテキスト情報も含まれる。また、表示されるラベル情報は、目標性能に達している割合を示す数値、及び目標性能に達している割合を色又は模様等でクラス分けしたものでもよいし、例えば、数値とラベル情報を併せて表示してもよい。
【0058】
データ表示方法の第5の例では、タイヤサイズとタイヤ特性値の代表値とタイヤ特性値の予測値とを用いたが、これに限定されるものではない。上述のデータ表示方法の第3の例と同様に、タイヤサイズ毎にタイヤ特性値の予測値を算出して、タイヤサイズとタイヤ特性値の予測値との関係を、ラベル情報を含め可視化してもよい。この場合、
図13(b)に示すヒートマップ45のように、マス46にラベル情報として、等級を表す文字47が示される。
図13(a)に示すヒートマップ44は、
図13(b)に示すヒートマップ45においてラベル情報がない状態のヒートマップである。
図13(b)に示すヒートマップ45のように、付与されたラベル情報を表示することで、直観的に目標サイズがどのラベルに分類されるかを把握できる。また、数値に基づいたカラーマップとラベル情報を併せて表示することで、目的サイズがどのラベルに近いかを把握できる。
なお、
図13(a)及び(b)に示す枠線部48は、タイヤサイズとタイヤ特性値とのタイヤ情報があるデータを示す。
【0059】
以上、説明したデータ表示方法の第2の例~第5の例においても、タイヤサイズとタイヤ特性値との関係を視覚的に容易に認識できる。
なお、以上、説明したデータ表示方法は、データ表示方法を実行するプログラムにより、上述のデータ表示方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させることができる。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のデータ表示方法、データ表示システム及びプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0060】
10、10a データ表示システム
12 処理ユニット
14 入力部
16 表示部
20 取得部
21 処理部
21a 演算部
21b 判定部
21c 層別化部
22 算出部
24 解析部
26 付与部
28 表示制御部
29 メモリ
30 制御部
32、33、34、35、36、38、40、41、42、44、45 ヒートマップ
37 ブランク
38a タイヤ特性値の代表値
38b タイヤ特性値の予測値
39、43、48 枠線部
46 マス
47 文字