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  • 特開-小屋裏換気構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134160
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】小屋裏換気構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/143 20060101AFI20240926BHJP
   E04D 13/16 20060101ALI20240926BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240926BHJP
   E04D 13/152 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
E04D13/143
E04D13/16 D
E04F13/08 101W
E04D13/152 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044309
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松原 悟志
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA09
2E110AB02
2E110AB04
2E110AB22
(57)【要約】
【課題】天井から漏れる暖気が屋根に提供されることを防止しながら、軒天や外壁の通気層を介して流入された外気をスムーズに塔換気に流して排気することのできる、小屋裏換気構造を提供すること。
【解決手段】通気層11を備える外壁10と、複数の垂木23と野地板22とを備える屋根20と、屋根20の端部と外壁10を繋ぐ軒天25と、外壁10の屋内側にある天井30とを有する建物80において、天井30と屋根20の間の小屋裏空間40を介して、軒天25から流入する第1外気と通気層11から流入する第2外気を塔換気を介して排気する、小屋裏換気構造100において、縦面材50の下部が外壁10の通気層11の屋内側面11aに固定され、野地板22に対向して野地板22との間に隙間を備えている横面材60の一端が縦面材50の上方に固定され、野地板22と横面材60とにより、塔換気まで延びる換気層70が形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気層を備える外壁と、屋根勾配に沿って延びる複数の垂木と、該垂木に支持される野地板とを備える屋根と、該屋根の端部と該外壁を繋ぐ軒天と、該外壁の屋内側にある天井と、を有する建物において、該天井と該屋根の間の小屋裏空間を介して、該軒天から該小屋裏空間に流入する第1外気と、該通気層を介して該小屋裏空間に流入する第2外気を、該屋根に設けられている塔換気を介して排気する、小屋裏換気構造であって、
縦方向に延びる縦面材の下部が、前記外壁の前記通気層の屋内側面に固定され、
前記野地板に対向し、該野地板との間に隙間を備えている横面材の一端が、前記縦面材の上方に固定されており、
前記野地板と前記横面材とにより、前記塔換気まで延びる換気層が形成されていることを特徴とする、小屋裏換気構造。
【請求項2】
前記縦面材は、縦片と、該縦片に固定されている複数のクリップとにより形成され、
前記クリップの上部が二股に分かれて、上方に開口を備えた被係合部を形成し、
前記横面材の一端が下方へ屈曲して係合部を形成し、
前記係合部が、前記開口を介して前記被係合部に係合していることを特徴とする、請求項1に記載の小屋裏換気構造。
【請求項3】
前記縦片の上部には、複数の前記垂木の下方が嵌まり込む複数の溝が設けられ、
前記横面材は、左右にある前記垂木の間の幅を有する下片と、該下片の左右の屈曲部にて屈曲して立ち上がる立ち片とを備え、
複数の前記垂木の下方に対して、対応する前記溝が嵌まり込んだ状態で前記縦面材が設置され、
左右にある前記垂木に対して、対応する前記立ち片が固定された状態で前記横面材が設置され、
前記野地板と、左右にある前記垂木と、前記下片とにより、前記換気層が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の小屋裏換気構造。
【請求項4】
前記屋根の勾配は、0.5寸乃至2.5寸の範囲の緩勾配であることを特徴とする、請求項3に記載の小屋裏換気構造。
【請求項5】
前記クリップには、屋内側へ延びる取り付け片が設けられ、
複数の前記クリップの前記取り付け片に対して、軒天側断熱材が取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の小屋裏換気構造。
【請求項6】
前記天井の上面に、天井上断熱材が設置されていることを特徴とする、請求項5に記載の小屋裏換気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小屋裏換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建て住宅等の建物においては、外壁の上方と屋根の屋外側の端部が、当該外壁から屋外側へ張り出す軒天(軒天パネル)により相互に接続された軒先構造を備えており、意匠性の観点から軒天の出寸法は様々に設定される。このような建物において、軒天は外気が流入する換気口を備え、外壁は通気層を備えており、軒天から小屋裏空間に流入する外気と、外壁の通気層を介して小屋裏空間に流入する外気が小屋裏空間を流通し、屋根に設けられている塔換気を介して排気される、小屋裏換気構造が一般に適用される。
【0003】
ところで、建物の居室等における暖気は、天井を介して小屋裏空間に漏れ、例えば屋根に積もっている雪が暖気により解かされて雪解け水となり、多量の雪解け水によって屋根が漏水するといった課題や、軒先に多くの氷柱が生成されるといった課題が生じ得る。
【0004】
これらの課題を解消するべく、建物の小屋裏空間に面する天井の天井裏に天井上断熱材を配設し、この天井上断熱材にて暖気が屋根に提供されることを防止するといった対策が講じられる場合もあるが、天井上断熱材の無い箇所から暖気が漏れて屋根に提供されたり、天井上断熱材にて完全に断熱できない暖気の一部が屋根に提供されることは避けられず、上記課題を完全に解消するには至っていない。
【0005】
このことを、図1を参照して説明する。ここで、図1は、従来の建物の小屋裏換気構造の一例を説明する縦断面図であり、その途中を省略して示す図である。尚、図1では、建物の有する屋根を片流れ屋根として示している。
【0006】
屋根Rは、相互に積層する屋根材F(下葺き材や下地材等を含む)及び野地板Nと、これらを屋根勾配に沿って支持する複数の垂木Tとにより大略構成され、棟M側には塔換気Kが設けられている。外壁Wは通気層W1を備え、屋根Rの端部と外壁Wの上方を軒天Eが接続している。また、屋内側の天井Cと屋根Rとの間には小屋裏空間Gが設けられており、軒天Eから小屋裏空間GへX1方向に流入する外気と、通気層W1から小屋裏空間GへX2方向に流入する外気は、野地板Nの下方を塔換気KまでX3方向に流通し、塔換気Kを介してX4方向に排気される。
【0007】
小屋裏空間Gの下方には居室の天井Cがあり、天井Cの上方には天井上断熱材Dが配設されており、この天井上断熱材Dによって、天井Cから漏れる暖気の屋根Rへの提供が抑止されるようになっている。
【0008】
しかしながら、実際には、図示例のように天井上断熱材Dの側方の隙間から暖気がY1方向に漏れて屋根Rに提供されたり、天井上断熱材Dを通過した暖気の一部がY2方向に漏れて屋根Rに提供されてしまい、上記する雪解け水の生成に起因する課題を十分に解消できないというものである。
【0009】
以上のことから、天井から漏れる暖気が屋根に提供されることを防止しながら、軒天や外壁の通気層を介して流入された外気をスムーズに塔換気に流して排気することのできる、小屋裏換気構造が望まれる。
【0010】
ここで、特許文献1には、小屋裏に設けた断熱材と、屋根面材との間に換気通路を形成する小屋裏換気構造に関し、断熱材を換気通路に対して被う断熱堰板が設けられている、小屋裏換気構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005-163490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の小屋裏換気構造によれば、小屋裏に設けた断熱材と、屋根面材との間に換気通路を安定的に形成でき、断熱材に雨水がかかることを防止できるとしている。しかしながら、上記する課題、すなわち、天井から漏れる暖気が屋根に提供されることを防止する手段を開示するものではない。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、天井から漏れる暖気が屋根に提供されることを防止しながら、軒天や外壁の通気層を介して流入された外気をスムーズに塔換気に流して排気することのできる、小屋裏換気構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成すべく、本発明による小屋裏換気構造の一態様は、
通気層を備える外壁と、屋根勾配に沿って延びる複数の垂木と、該垂木に支持される野地板とを備える屋根と、該屋根の端部と該外壁を繋ぐ軒天と、該外壁の屋内側にある天井と、を有する建物において、該天井と該屋根の間の小屋裏空間を介して、該軒天から該小屋裏空間に流入する第1外気と、該通気層を介して該小屋裏空間に流入する第2外気を、該屋根に設けられている塔換気を介して排気する、小屋裏換気構造であって、
縦方向に延びる縦面材の下部が、前記外壁の前記通気層の屋内側面に固定され、
前記野地板に対向し、該野地板との間に隙間を備えている横面材の一端が、前記縦面材の上方に固定されており、
前記野地板と前記横面材とにより、前記塔換気まで延びる換気層が形成されていることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、縦方向に延びる縦面材の下部が外壁の通気層の屋内側面に固定され、野地板に対向して野地板との間に隙間を備えている横面材の一端が縦面材の上方に固定され、野地板と横面材とにより塔換気まで延びる換気層が形成さていることにより、天井から漏れる暖気が屋根に提供されることを換気層にて防止しながら、軒天や外壁の通気層から流入された外気を換気層を介してスムーズに塔換気に流して排気することができる。
【0016】
また、縦面材の下部が外壁の通気層の屋内側面に例えばビスや釘等で固定されることから、縦面材は外壁に反力を取って自立することができる。この縦面材の自立により、縦面材へ横面材を固定する施工性が良好になり、縦面材と横面材の強固かつ気密性の高い接合を実現できる。
【0017】
また、本発明による小屋裏換気構造の他の態様において、
前記縦面材は、縦片と、該縦片に固定されている複数のクリップとにより形成され、
前記クリップの上部が二股に分かれて、上方に開口を備えた被係合部を形成し、
前記横面材の一端が下方へ屈曲して係合部を形成し、
前記係合部が、前記開口を介して前記被係合部に係合していることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、縦面材を形成する複数のクリップの上部にある被係合部と、横面材の一端が下方へ屈曲して形成された係合部が相互に係合することにより、縦面材と横面材を気密性のある態様で強固に組み付けることができる。
【0019】
また、本発明による小屋裏換気構造の他の態様において、
前記縦片の上部には、複数の前記垂木の下方が嵌まり込む複数の溝が設けられ、
前記横面材は、左右にある前記垂木の間の幅を有する下片と、該下片の左右の屈曲部にて屈曲して立ち上がる立ち片とを備え、
複数の前記垂木の下方に対して、対応する前記溝が嵌まり込んだ状態で前記縦面材が設置され、
左右にある前記垂木に対して、対応する前記立ち片が固定された状態で前記横面材が設置され、
前記野地板と、左右にある前記垂木と、前記下片とにより、前記換気層が形成されていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、縦片の上部にある溝が垂木の下方に嵌まり込み、横面材を形成する下片の左右の屈曲部にて屈曲して立ち上がる立ち片が左右にある垂木に固定されて換気層が形成されることにより、気密性のある換気層を形成することができる。
【0021】
また、本発明による小屋裏換気構造の他の態様において、
前記屋根の勾配は、0.5寸乃至2.5寸の範囲の緩勾配であることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、屋根の勾配が0.5寸乃至2.5寸の範囲の緩勾配であることにより、例えば片流れ屋根においては、水上側の外壁(パラペット)を北側斜線制限等の敷地対応の観点から可及的に低くすることができ、外壁が低くなることにより施工コストを低減できることに加えて、緩勾配故に壁が自立し易くなることで屋根の施工性が向上する。
【0023】
また、本発明による小屋裏換気構造の他の態様において、
前記クリップには、屋内側へ延びる取り付け片が設けられ、
複数の前記クリップの前記取り付け片に対して、軒天側断熱材が取り付けられていることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、クリップが備える屋内側へ延びる取り付け片に対して、軒天側断熱材が取り付けられていることにより、高い断熱性能を有する小屋裏換気構造を形成できる。
【0025】
また、本発明による小屋裏換気構造の他の態様において、
前記天井の上面に、天井上断熱材が設置されていることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、天井の上面に天井上断熱材が設置されていることにより、縦面材の屋内側に取り付けられている軒天側断熱材と相俟って、より一層断熱性能に優れた小屋裏換気構造を形成できる。
【発明の効果】
【0027】
以上の説明から理解できるように、本発明の小屋裏換気構造によれば、天井から漏れる暖気が屋根に提供されることを防止しながら、軒天や外壁の通気層を介して流入された外気をスムーズに塔換気に流して排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来の小屋裏換気構造の一例の縦断面図である。
図2】実施形態に係る小屋裏換気構造の一例の縦断面図である。
図3図2のIII部の拡大図である。
図4】縦面材の一例の縦断面図である。
図5図3のV方向矢視図であって、換気層の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施形態に係る小屋裏換気構造の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0030】
[実施形態に係る小屋裏換気構造]
図2乃至図5を参照して、実施形態に係る小屋裏換気構造の一例について説明する。ここで、図2は、実施形態に係る小屋裏換気構造の一例の縦断面図であり、図3は、図2のIII部の拡大図であり、図4は、縦面材の一例の縦断面図である。また、図5は、図3のV方向矢視図であって、換気層の正面図である。
【0031】
図示例の小屋裏換気構造100は、例えば片流れ屋根20を備える戸建ての建物80を形成する換気構造である。尚、小屋裏換気構造100が適用される屋根は、片流れ屋根の他にも、切妻屋根や陸屋根等であってもよい。
【0032】
建物80は、通気層11を備える外壁10と、屋根20と、屋根20の端部と外壁10の上方を繋ぐ軒天25と、外壁10の屋内側にある天井30とを有し、天井30と屋根20の間に小屋裏空間40が設けられている。
【0033】
屋根20は、屋根勾配に沿って延びる複数の垂木23と、垂木23に支持される屋根材21及び野地板22を有する。ここで、図示例の屋根勾配は、0.5寸乃至2.5寸の範囲の緩勾配である。また、屋根20には、環境対応型のパネルの一例として、太陽光パネル28が設置されている。
【0034】
外壁10は、外壁材12と断熱ボード14とパネルフレーム13の積層体であり、外壁材12と断熱ボード14の間に通気層11が介在している。ここで、外壁材12は、窯業系もしくは金属系のサイディングボード等により形成される外装パネルである。また、パネルフレーム13は、溝形鋼等の形鋼材が枠状に組み付けられたフレーム部材である。さらに、断熱ボード14は、例えばグラスウールボード等である。
【0035】
小屋裏換気構造100では、軒天25に設けられている換気口26を介して、外気(第1外気)が小屋裏空間40へX1方向に流入し、外壁10の通気層11を介して、外気(第2外気)が小屋裏空間40へX2方向に流入するようになっており、小屋裏空間40に流入した外気は、野地板22の下方に形成されている換気層70を介して、不図示の棟側に設けられている塔換気を介して排気されるようになっている。
【0036】
天井30の上方には、例えばセルロースファイバーにより形成される、天井上断熱材35が載置されている。また、外壁10の屋内側には、居室に面する内壁32が設けられている。
【0037】
このように、小屋裏空間40の特に屋根20を形成する野地板22の下方に換気層70が設けられていることにより、小屋裏空間40に流入した外気を換気層70を介して塔換気にスムーズに導入することができる。さらに、図2に示すように、天井30から天井上断熱材35の側方を介してY5方向に漏れた暖気や、天井上断熱材35を通過してY6方向に漏れた暖気を換気層70にて遮断し、暖気が屋根20に提供されることを防止することができる。
【0038】
次に、換気層70を形成する、縦面材50と横面材60について説明する。
【0039】
縦方向に延びる縦面材50は、その下部が外壁10の上部に固定されるようになっている。縦面材50は、例えば鋼板や樹脂製板等からなる面状の縦片51と、縦片51の幅方向に間隔を置いて配設されて、縦片51に固定される複数のクリップ55とにより形成されている。
【0040】
図4に明りょうに示すように、クリップ55の上部は二股に分かれて、開口57を形成する二股片56a,56bを有し、これらの二股片56a,56bにより被係合部56が形成されている。
【0041】
一方、クリップ55の下部58は、屋外側へ屈曲した後に下方へさらに屈曲して固定片58aを形成している。図3に示すように、縦片51の下端51aが、外壁10のパネルフレーム13の天端に載置され、クリップ55の固定片58aが、外壁10の通気層11に挿入され、通気層11の屋内側面11aに対して不図示のビスや釘等により固定される。この固定構造により、縦面材50は外壁10に反力を取って自立することができる。
【0042】
また、クリップ55には、屋内側へ延びる複数(図示例は2つ)の取り付け片59が設けられており、複数の取り付け片59に対して、軒天側断熱材54が取り付けられている。
【0043】
面状の縦片51は図4の紙面奥行き方向に延びており、この縦片51に対して間隔を置いて複数のクリップ55が固定されていることから、複数のクリップ55の各取り付け片59に対して、同様に紙面奥行き方向に延びる軒天側断熱材54が取り付けられることになる。
【0044】
このように、天井30の上面に天井上断熱材35が設置され、縦面材50の屋内側に軒天側断熱材54が取り付けられていることにより、断熱性能に優れた小屋裏換気構造100が形成される。
【0045】
一方、図3に示すように、横面材60の一端は下方へ屈曲して係合部61を形成する。この係合部61は、縦面材50を構成するクリップ55の上方の開口57に挿通され、被係合部56に係合するようになっている。
【0046】
ここで、横面材60は、例えば、ポリエチレン等の樹脂や断熱面材、段ボール、鋼板等により形成できるが、少なくとも縦面材50と気密性を有した状態で係合できる剛性を備えていればよい。
【0047】
また、図5に示すように、横面材60は、左右にある垂木23の間の幅tを有する下片63と、下片63の左右の屈曲部にて屈曲して立ち上がる立ち片65とを有する。そして、左右にある垂木23に対して対応する立ち片65が当接し、ビス等の留め具68にて固定されるようになっている。
【0048】
縦面材50を構成する縦片51は、複数の垂木23の下方に嵌まり込む溝52を備えており、溝52に垂木23の下方が嵌まり込んだ状態で、縦面材50のクリップ55の被係合部56に対して横面材60の係合部61が係合することにより、縦面材50と横面材60を気密性のある態様で強固に組み付けることができる。
【0049】
そして、組み付けられた横面材60の下片63は、野地板22に対向して野地板22との間に隙間を備え、野地板22と、左右にある垂木23と、下片63とにより換気層70が形成され、小屋裏換気構造100が形成される。
【0050】
例えば、外壁10の天端に縦面材50を取り付けておき、屋根20の複数の垂木23に対して横面材60を取り付けておき、屋根20をクレーン等で吊り下ろしながら、双方の被係合部56と係合部61を係合させる施工方法が適用できる。その他、屋根20が施工された後に、作業員が小屋裏空間40に入り、縦面材50と横面材60を順番に組み付け、その過程で双方の被係合部56と係合部61を係合させる施工方向が適用されてもよい。
【0051】
小屋裏換気構造100によれば、小屋裏空間40の屋根20を形成する野地板22の下方に換気層70が設けられていることにより、塔換気への外気のスムーズな導入と、天井30から漏れる暖気が屋根20に提供されることを防止できる。そして、後者の効果により、屋根20に積もっている雪が暖気により解かされて生じる多量の雪解け水によって、屋根が漏水するといった課題や軒先に多くの氷柱が生成されるといった課題は生じない。
【0052】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0053】
10:外壁
11:通気層
11a:屋内側面
12:外壁材
13:パネルフレーム
14:断熱ボード
20:屋根(片流れ屋根)
21:屋根材
22:野地板
23:垂木
25:軒天
26:換気口
28:太陽光パネル
30:天井
32:内壁
35:天井上断熱材
40:小屋裏空間
50:縦面材
51:縦片
51a:下端
52:溝
54:軒天側断熱材
55:クリップ
56:被係合部
56a,56b:二股片
57:開口
58:下部
58a:固定片
59:取り付け片
60:横面材
61:係合部
63:下片
65:立ち片
68:留め具
70:換気層
80:建物
100:小屋裏換気構造
図1
図2
図3
図4
図5