IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特開2024-134182情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図8
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図9
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図10
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134182
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240926BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044362
(22)【出願日】2023-03-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 卓弥
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA11
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD19
2F129DD20
2F129DD53
2F129DD65
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE55
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE81
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF65
2F129HH20
5H181AA26
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
(57)【要約】
【課題】操作者が飛行体を目視可能な航路を定める。
【解決手段】地点取得部120は、飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の飛行体を観察するための視点の位置を含む地点情報を取得する。地図取得部121は、地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する。電波強度取得部122は、飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する。飛行可能空域特定部123は、電波強度マップを参照して、飛行対象空域のうち飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する。目視可能空域特定部124は、3次元地図情報を参照して、飛行対象空域のうち視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定する。航路特定部125は、離陸地点を離陸した飛行体が着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、飛行可能空域と目視可能空域との両方に含まれる航路を特定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得する地点取得部と、
前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する地図取得部と、
前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する電波強度取得部と、
前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する飛行可能空域特定部と、
前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定する目視可能空域特定部と、
前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定する航路特定部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記地点取得部は、前記3次元地図情報で特定される地図上に指定された位置を前記視点として取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記3次元地図情報は、前記視点の設定を禁止する領域を特定する視点設定不可情報を含んでおり、
前記地点取得部は、前記3次元地図情報で特定される地図上に指定された位置が前記視点の設定を禁止する領域の範囲外であることを条件として、前記指定された位置を前記視点として取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記地点取得部は、1又は複数の時刻それぞれにおける前記飛行体の操作者の存在予定位置を前記1又は複数の視点として取得し、
前記目視可能空域特定部は、前記1又は複数の時刻それぞれについて、前記飛行対象空域のうち各時刻に対応する視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を時刻毎に特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の時刻それぞれの太陽方位角と太陽高度とを示す太陽位置情報を取得する日射方向取得部と、
前記飛行体の離陸時刻及び飛行速度を含む飛行体情報を取得する飛行体情報取得部と、をさらに備え、
前記目視可能空域特定部は、前記離陸時刻に前記離陸地点を離陸し、前記航路特定部が特定した航路に沿って前記飛行体が飛行した場合に、前記視点から見た前記飛行体の方向と当該飛行体が飛行する時刻における日照方向のなす角が所定の閾角以下となる時間帯である逆光時間を特定し、
前記情報処理装置はさらに、
前記逆光時間を出力する出力部を備える、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記3次元地図情報は、前記飛行体の飛行が禁止される空域である飛行不可空域を特定する飛行不可空域情報を含んでおり、
前記航路特定部は、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれ、かつ前記飛行不可空域に含まれない航路を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサが、
飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得するステップと、
前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得するステップと、
前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得するステップと、
前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定するステップと、
前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定するステップと、
前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定するステップと、を実行する、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得する機能と、
前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する機能と、
前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する機能と、
前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する機能と、
前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定する機能と、
前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定する機能と、を実現させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線で遠隔操作できる小型の無人航空機(いわゆる、「ドローン」)が急速に普及してきている。これに関連し、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)には、「無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること」がルールとして定められている(航空法第132条の86第2項第2号、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】航空法[令和5年3月10日検索]、インターネット<URL:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC0000000231>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のルールを遵守するためには、小型の無人航空機(以下、本明細書においては単に「飛行体」と記載する。)の操作者が操作対象の飛行体を飛行させるときに、飛行体を目視できる航路を定めることができれば有用である。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、操作者が飛行体を目視可能な航路を定めるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、情報処理装置である。この装置は、飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得する地点取得部と、前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する地図取得部と、前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する電波強度取得部と、前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する飛行可能空域特定部と、前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定する目視可能空域特定部と、前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定する航路特定部と、を備える。
【0007】
前記地点取得部は、前記3次元地図情報で特定される地図上に指定された位置を前記視点として取得してもよい。
【0008】
前記3次元地図情報は、前記視点の設定を禁止する領域を特定する視点設定不可情報を含んでいてもよく、前記地点取得部は、前記3次元地図情報で特定される地図上に指定された位置が前記視点の設定を禁止する領域の範囲外であることを条件として、前記指定された位置を前記視点として取得してもよい。
【0009】
前記地点取得部は、1又は複数の時刻それぞれにおける前記飛行体の操作者の存在予定位置を前記1又は複数の視点として取得してもよく、前記目視可能空域特定部は、前記1又は複数の時刻それぞれについて、前記飛行対象空域のうち各時刻に対応する視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を時刻毎に特定してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、複数の時刻それぞれの太陽方位角と太陽高度とを示す太陽位置情報を取得する日射方向取得部と、前記飛行体の離陸時刻及び飛行速度を含む飛行体情報を取得する飛行体情報取得部と、をさらに備えてもよく、前記目視可能空域特定部は、前記離陸時刻に前記離陸地点を離陸し、前記航路特定部が特定した航路に沿って前記飛行体が飛行した場合に、前記視点から見た前記飛行体の方向と当該飛行体が飛行する時刻における日照方向のなす角が所定の閾角以下となる時間帯である逆光時間を特定してもよく、前記情報処理装置はさらに、前記逆光時間を出力する出力部を備えてもよい。
【0011】
前記3次元地図情報は、前記飛行体の飛行が禁止される空域である飛行不可空域を特定する飛行不可空域情報を含んでもよく、前記航路特定部は、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれ、かつ前記飛行不可空域に含まれない航路を特定してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様は、情報処理方法である。この方法において、プロセッサが、飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得するステップと、前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得するステップと、前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得するステップと、前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定するステップと、前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定するステップと、前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定するステップと、を実行する。
【0013】
本発明の第3の態様は、プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得する機能と、前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する機能と、前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する機能と、前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する機能と、前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定する機能と、前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定する機能と、を実現させる。
【0014】
このプログラムを提供するため、あるいはプログラムの一部をアップデートするために、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供されてもよく、また、このプログラムが通信回線で伝送されてもよい。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作者が飛行体を目視可能な航路を定めるための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置が実行する処理の概要を説明するための図である。
図2】第1の実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を模式的に示す図である。
図3】電波強度マップの一例を模式的に示す図である。
図4】地図上に指定された視点の位置を模式的に示す図である。
図5】視点設定不可情報を模式的に示す図である。
図6】太陽位置情報を説明するための図である。
図7】逆行時間における太陽の方向を模式的に示す図である。
図8】飛行不可空域を模式的に示す図である。
図9】第1の実施の形態に係る情報処理装置が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図10】第2の実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を模式的に示す図である。
図11】第2の実施の形態に係る情報処理装置が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施の形態の概要>
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置が実行する処理の概要を説明するための図である。以下、図1を参照して、第1の実施の形態に係る情報処理装置が実行する処理の概要を説明する。
【0019】
第1の実施の形態に係る情報処理装置は、飛行体の離陸地点Sから着陸地点Gに至るまでの航路Rを特定するための装置である。ここで、第1の実施の形態に係る情報処理装置は、飛行体Dを操作する送受者であるユーザUの位置として定められた視点から航路が見えることを航路Rの設定の条件とする。なお、本明細書において「視点から見える」とは、視点との間にビルや山等の遮蔽物が存在しないことを意味するものとし、そのような空域を「目視可能空域」と記載することとする。すなわち、第1の実施の形態に係る情報処理装置は、目視可能空域内に航路Rを設定する。
【0020】
図1における下段の図は、上段の図における視点Pから西の方向を見た場合の景色を模式的に示す図である。また、図1における上段の図は、離陸地点S及び着陸地点Gと、離陸地点Sから着陸地点Gに至るまでの航路R、及び視点Pにおける目視可能空域Vを示している。図1における下段の図は、ユーザUが飛行体Dを操作して飛行させると、飛行体Dはやがて丘Hに遮蔽されて目視できなくなることを示している。
【0021】
第1の実施の形態に係る情報処理装置は、まず、飛行体Dの離陸地点S、着陸地点G、及び飛行体Dを観察するための1又は複数の視点Pの位置を含む地点情報を取得する。情報処理装置は、地点情報に基づいて、地点情報を含む空域の3次元地図情報と、通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する。
【0022】
情報処理装置は、地点情報を含む空域において飛行体Dが通信可能となる空域と、地点情報に含まれる視点から目視可能な空域との両方に含まれる航路Rを特定する。これにより、第1の実施の形態に係る情報処理装置は、ユーザUが通信回線を介して飛行体Dを操作でき、かつ視点から飛行体Dが目視できる航路Rを定めることができる。
【0023】
<第1の実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成>
図2は、第1の実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置1は、記憶部10、通信部11、及び制御部12を備える。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってもよい。図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0024】
記憶部10は、情報処理装置1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や情報処理装置1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0025】
通信部11は、情報処理装置1が外部の装置と通信するための通信インターフェースであり、LAN(Local Area Network)モジュールやWi-Fi(登録商標)モジュール等の既知の通信モジュールで実現されている。以下、本明細書において、情報処理装置1が外部の装置と通信するときは通信部11を介することを前提として通信部11の記載を省略することがある。
【0026】
制御部12は、情報処理装置1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部10に記憶されたプログラムを実行することによって地点取得部120、地図取得部121、電波強度取得部122、飛行可能空域特定部123、目視可能空域特定部124、航路特定部125、日射方向取得部126、飛行体情報取得部127、及び出力部128として機能する。
【0027】
なお、図2は、情報処理装置1が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、情報処理装置1は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部12を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0028】
地点取得部120は、飛行体Dの離陸地点S、着陸地点G、及び飛行中の飛行体Dを観察するための1又は複数の視点Pの位置を含む地点情報を取得する。具体的には、地点取得部120は、離陸地点S、着陸地点G、及び視点Pの位置を、それぞれ経度及び緯度の情報として取得する。
【0029】
地図取得部121は、地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する。具体的には、飛行対象空域は、離陸地点S、着陸地点G、及び1又は複数の視点Pを少なくとも含む地表及びその上空の3時限的な領域である。3次元地図情報は、飛行対象空域に含まれる地表の地図情報と、家屋やビル、橋梁等の人口構造物、及び森林や山等の自然のものの形状や高さの情報を含む情報である。地図取得部121、例えばPLATEAU等の既知の3次元データを3次元地図情報として取得すればよい。3次元地図情報はあらかじめ記憶部10に格納されていてもよいし、地図取得部121が通信回線を介して他のデータベースから都度取得してもよい。
【0030】
電波強度取得部122は、飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する。図3は、電波強度マップの一例を模式的に示す図である。電波強度マップは、通信用の電波の強度を示す情報を高度と対応づけて保持している情報である。図3に示す例では、地表から100メートル付近における電波強度マップの一例を示している。電波強度マップは、あらかじめ計測され記憶部10に格納されていてもよいし、通信回線を介して他のデータベースから取得してもよい。電波強度マップは高度と対応づけられた情報であるため、飛行対象空域をカバーする3次元的な情報である。
【0031】
飛行可能空域特定部123は、電波強度取得部122が取得した電波強度マップを参照して、飛行対象空域のうち飛行体Dが通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する。飛行体Dは通信回線を介してユーザUからの操作を受信して飛行する。このため、飛行可能空域特定部123は、電波強度マップを取得して、十分な強度の通信用の電波が保証されている空域を飛行可能空域として特定する。
【0032】
目視可能空域特定部124は、地図取得部121が取得した3次元地図情報を参照して、飛行対象空域のうち1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定する。図1における上段の図では、符号Vで示される網掛けの領域が、視点Pからとの間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域Vとして示されている。目視可能空域V以外の領域は、何らかの遮蔽物の影響により、視点Pからは目視できない領域となっている。図1における上段の図では視点Pは一つしか例示していないが、異なる地点に視点Pを設定することにより、目視可能空域特定部124によって特定される目視可能空域Vは広くなる。
【0033】
図1における上段の図において、符号Wで示される白丸は航路Rに設けられたウェイポイントWの1つである。このウェイポイントWは視点Pの目視可能空域Vには含まれないため、飛行体DをこのウェイポイントWに移動させるためには、ユーザUは別の視点Pに移動する必要があることを示している。なお、煩雑となるためすべてに付してはいないが、図1における上段の図においてウェイポイントWと同一の白丸は航路Rに設けられたウェイポイントを示している。
【0034】
航路特定部125は、離陸地点Sを離陸した飛行体Dが着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、飛行可能空域と目視可能空域Vとの両方に含まれる航路Rを特定する。これにより、情報処理装置1は、ユーザUが通信回線を介して飛行体Dを目視しながら操作をすることが可能な航路Rを定めることができる。なお、航路Rを目視可能とするために複数の視点Pが必要な場合、ユーザUは飛行体Dの動きに合わせて自身の位置(すなわち視点P)も移動する。
【0035】
このため、ユーザUは、例えば車等に乗車して移動しながら飛行体Dを操作することもある。この場合、ユーザUは、あらかじめ移動経路にそってあらかじめ地図上に複数の視点Pを定めておく。地点取得部120は、3次元地図情報で特定される地図上に指定された位置を視点Pとして取得する。
【0036】
図4は、地図上に指定された視点Pの位置を模式的に示す図である。図4において、(1)から(4)までの数字で示される地図上の位置が、それぞれ4つの視点Pを表している。図4に示す例では、(1)から(4)の数字で示す視点Pは、それぞれ道路に接して駐車可能な土地に付されている。このように、ユーザUが複数の視点Pを設定することにより、目視可能空域特定部124は、複数の視点Pのうちのいずれかの視点Pから目視可能な目視可能空域Vを特定できるので、視点Pが1つの場合と比較して広い空域を目視可能空域Vとして特定することができる。
【0037】
ところで、例えば私有地や空港等、特別な許可がない限り人や車両が立ち入ることが禁止されている立ち入り不可エリアが存在する。また、海上等は船舶等を利用しない限りユーザUは立ち入ることができないので、一般にはユーザUは立ち入ることができない。ユーザUがそのような立ち入り不可エリアに視点Pを設定したとしてもユーザUは立ち入ることが困難であるため、その視点Pは実質的に機能しないことになる。そのため、地点取得部120は、立ち入り不可エリアに設定された視点Pは受け付けないようにすることが好ましい。
【0038】
これを実現するために、3次元地図情報は、視点Pの設定を禁止する領域である立ち入り不可エリアを特定する視点設定不可情報を含んでいる。図5は、視点設定付加情報を模式的に示す図である。図5において、符号Fが付された格子の網掛けで示す領域が立ち入り不可エリアFである。地点取得部120は、3次元地図情報で特定される地図上にユーザUによって指定された位置が視点の設定を禁止する領域(すなわち、立ち入り不可エリアF)の範囲外であることを条件として、指定された位置を視点Pとして取得する。これにより、地点取得部120は、ユーザUが立ち入ることができない地点が視点Pとして設定されることを防止することができる。結果として、目視可能空域特定部124による目視可能空域Vの特定の精度を向上させることができる。
【0039】
上述したように、ユーザUはある視点Pから他の視点Pまで移動しながら飛行体Dを操作する場合がある。具体的には、ユーザUは、飛行体Dの離陸地点Sに近い視点Pから着陸地点Gに近い視点Pに向かって移動すれば、視点Pと飛行体Dとの距離も短くなるため飛行体Dの操作がしやすくなる。図4に示す(1)から(4)までの視点Pは、ユーザUがこの数字の順に移動することを示している。
【0040】
そこで、地点取得部120は、1又は複数の時刻それぞれにおける飛行体Dの操作者の存在予定位置を1又は複数の視点Pとして取得してもよい。図4中に示す例では、ユーザUはあらかじめ(1)から(4)までの数字で示す視点Pの到着予定時刻を定めておく。目視可能空域特定部124は、1又は複数の時刻それぞれについて、飛行対象空域のうち各時刻に対応する視点Pとの間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域Vを時刻毎に特定する。これにより、目視可能空域特定部124は、ユーザUの移動に伴う視点Pの移動に応じて、各視点Pの存在時刻それぞれについて目視可能空域Vを特定することができる。
【0041】
ユーザUは地上から飛行体Dを見ながら操作するため、飛行体Dを見るためにユーザUは見上げる格好となる。このため、ユーザUと飛行体Dとの間に遮蔽物が存在しない場合であっても、ユーザUの視線方向に太陽が存在すると飛行体Dの視認性が悪化しかねない。
【0042】
そこで、日射方向取得部126は、複数の時刻それぞれの太陽方位角と太陽高度とを示す太陽位置情報を取得する。太陽位置情報は、あらかじめ記憶部10に記憶されており、日射方向取得部126は、記憶部10から太陽位置情報を読み出して取得する。
【0043】
図6(a)-(b)は、太陽位置情報を説明するための図である。具体的には、図6(a)は太陽高度と太陽方位角とを説明するための図であり、図6(b)は太陽位置情報を格納するデータベースのデータ構造を模式的に示す図である。
【0044】
既知であるため詳細な説明は省略するが、図6(a)に示すように、太陽高度は視点Pを始点として太陽に向かう線分と、その線分を地表に正射影した線分とのなす角として定義される。このため、太陽高度は0度から90度までの値を取り得る。また、太陽方位角は、太陽高度は視点Pを始点として太陽に向かう線分を地表に正射影した線分と、南方向とのなす角として定義される。このとき、太陽高度は視点Pを始点として太陽に向かう線分が真南を向くとき太陽方位角は0度であり、真西を向くとき+90度、真東を向くとき-90度として定義される。したがって、太陽方位角は、-90度から+90度までの値を取り得る。
【0045】
図6(b)に示すように、太陽位置情報は、日付と場所毎に、日の出から日の入りまでの間の複数の時刻と紐づけて太陽高度と太陽方位角とを格納している。図6(b)に示す例では、東経X度、北緯Y度の地点における2023年3月8日の日の出から日の入りまでの間の太陽高度及び太陽方位角が、15分間隔で格納されている例を示している。
【0046】
飛行体情報取得部127は、飛行体Dの離陸時刻及び飛行速度を含む飛行体情報を取得する。飛行体情報取得部127は、例えば飛行体Dの運航を管理するサーバから飛行体情報を取得すればよい。目視可能空域特定部124は、離陸時刻に離陸地点Sを離陸し、航路特定部125が特定した航路Rに沿って飛行体Dが飛行した場合に、視点Pから見た飛行体Dの方向と飛行体Dが飛行する時刻における日照方向のなす角が所定の閾角以下となる時間帯である逆光時間を特定する。
【0047】
図7は、逆行時間における太陽の方向を模式的に示す図である。図7において、飛行体Dは2023年a月b日c時d分に航路R上のある位置に存在する。この日時は夕方であり、太陽は西の空に存在する。このため、図7に示す例では、斜めの格子で示す領域Bの中に視点Pが存在すると、その視点Pから飛行体Dを見ると逆光となる。図7では、(2)で示す視点Pが領域Bの中にあるため、2023年a月b日c時d分において(2)で示す視点Pは逆光時間となる。
【0048】
出力部128は、逆光時間を出力する。具体的には、出力部128は、複数の視点Pそれぞれについて、逆光時間となる時間帯を出力する。また、出力部128は、複数の視点Pそれぞれについて、図7に示す領域Bを含む地図情報を時間帯毎に出力してもよい。これにより、出力部128が出力したユーザUは、逆光となる時間帯を考慮して飛行体Dを操作するための移動場所を定めることができる。
【0049】
私有地や空港等が特別な許可がない限り人や車両が立ち入ることが禁止されているのと同様に、飛行体Dも空港付近や私有地等の上空を飛行することは禁止されている。この他、建物の上空30メートル未満や、多数の人が集まる催し物の開催場所の上空の飛行も禁止されている。したがって、これらの場所が通信可能かつ目視可能な空域であったとしても航路特定部125は飛行体Dの航路Rとするべきではない。
【0050】
そこで、3次元地図情報は、飛行体Dの飛行が禁止される空域である飛行不可空域を特定する飛行不可空域情報を含んでいる。図8は、飛行不可空域Aを模式的に示す図である。図8に示す飛行不可空域Aは、図5に示す立ち入り不可エリアFと一部が重複している。これは、空港等の施設はユーザUは立ち入ることができず、かつその上空に飛行体Dを飛行させることができないからである。ただし、飛行体Dは海上も飛行できるため、海上領域は飛行不可空域Aとはなっていない。
【0051】
航路特定部125は、飛行可能空域と目視可能空域Vとの両方に含まれ、かつ飛行不可空域Aに含まれない航路Rを特定する。図8に示してはいないが、飛行体Dは、建物等の上空30メートル未満も飛行不可空域Aとなる。このため、航路特定部125は、地図取得部121が取得した3次元地図情報も参照し、建物の上空30メートル未満となる空域も飛行不可空域Aとして航路Rを特定する。航路特定部125は、特定の日時及び場所において開催されるイベント情報を取得し、その日時におけるその場所の上空も飛行不可空域Aとする。これにより、航路特定部125は、飛行体Dの飛行が禁止される空域に航路Rを設定することを防止できる。
【0052】
<第1の実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理方法の処理フロー>
図9は、第1の実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えば情報処理装置1が起動したときに開始する。
【0053】
地点取得部120は、飛行体Dの離陸地点S、着陸地点G、及び飛行中の飛行体Dを観察するための1又は複数の視点Pの位置を含む地点情報を取得する(S2)。地図取得部121は、地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する(S4)。
【0054】
電波強度取得部122は、飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する(S6)。飛行可能空域特定部123は、電波強度マップを参照して、飛行対象空域のうち飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する(S8)。
【0055】
目視可能空域特定部124は、3次元地図情報を参照して、飛行対象空域のうち1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域Vを特定する(S10)。航路特定部125は、離陸地点Sを離陸した飛行体Dが着陸地点Gに着陸するまでに通過する航路Rであって、飛行可能空域と目視可能空域Vとの両方に含まれる航路Rを特定する(S12)。航路特定部125が航路Rを特定すると、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0056】
<第1の実施の形態に係る情報処理装置1が奏する効果>
以上説明したように、第1の実施の形態に係る情報処理装置1によれば、飛行体Dの操作者であるユーザUが飛行体Dを目視可能な航路を定めることができる。
【0057】
<第2の実施の形態の概要>
第1の実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザUが設定した視点Pから目視可能な航路Rを設定した。これに対し、第2の実施の形態に係る情報処理装置は、まず航路Rを特定し、ユーザUが航路Rに設定した観察対象点を目視可能な地上領域を特定する点で、第1の実施の形態に係る情報処理装置1と異なる。以下、図面を参照しながら第2の実施の形態に係る情報処理装置を説明するが、第1の実施の形態に係る情報処理装置と重複する部分については、適宜省略又は簡略化して説明する。
【0058】
図10は、第2の実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置1は、記憶部10、通信部11、及び制御部12を備える。図10において、矢印は主なデータの流れを示しており、図10に示していないデータの流れがあってもよい。図10において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図10に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0059】
記憶部10は、情報処理装置1を実現するコンピュータのBIOS等を格納するROMや情報処理装置1の作業領域となるRAM、OSやアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDDやSSD等の大容量記憶装置である。
【0060】
通信部11は、情報処理装置1が外部の装置と通信するための通信インターフェースであり、LANモジュールやWi-Fiモジュール等の既知の通信モジュールで実現されている。以下、本明細書において、情報処理装置1が外部の装置と通信するときは通信部11を介することを前提として通信部11の記載を省略することがある。
【0061】
制御部12は、情報処理装置1のCPUやGPU等のプロセッサであり、記憶部10に記憶されたプログラムを実行することによって地点取得部120、地図取得部121、電波強度取得部122、飛行可能空域特定部123、航路特定部125、日射方向取得部126、飛行体情報取得部127、出力部128、設定部129、目視可能領域特定部130、位置算出部131、及び距離算出部132として機能する。
【0062】
なお、図10は、情報処理装置1が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、情報処理装置1は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部12を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0063】
地点取得部120は、飛行体Dの離陸地点Sと着陸地点Gとを含む地点情報を取得する。電波強度取得部122は、離陸地点Sと着陸地点Gとを含む空域である飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する。飛行可能空域特定部123は、電波強度取得部122が取得した電波強度マップを参照して、飛行対象空域のうち飛行体Dが通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する。航路特定部125は、離陸地点Sを離陸した飛行体Dが着陸地点Gに着陸するまでに通過する航路Rであって、飛行可能空域に含まれる航路Rを特定する。
【0064】
設定部129は、航路特定部125が特定した航路R上に1又は複数の観察対象点を設定する。具体的には、設定部129は、離陸地点Sから着陸地点Gに至るまでの航路Rに沿った距離をあらかじめ定められた分割数で分割した距離毎に観察対象点を定める。あるいは、設定部129は、離陸地点Sから着陸地点Gに至るまでの航路Rに沿って、あらかじめ定められた間隔で観察対象点を定めてもよい。別の例として、設定部129は、離陸地点Sから着陸地点Gに至るまでの航路RをユーザUが操作する端末(不図示)に提示し、ユーザUが航路R上に設定した観察対象点Pを取得して設定してもよい。
【0065】
地図取得部121は、航路Rを含む空域の3次元地図情報を取得する。目視可能領域特定部130は、地図取得部121が取得した3次元地図情報を参照して、設定部129が航路R上に設定した1又は複数の観察対象点との間に遮蔽物が存在しない地上の領域である目視可能地上領域を特定する。これにより、第2の実施の形態に係る情報処理装置1は、飛行体Dの操作者であるユーザUが飛行体Dを目視可能な航路を定めることができる。
【0066】
ここで、目視可能領域特定部130は、複数の観察対象点それぞれについて、観察対象点との間に遮蔽物が存在しない地上の領域である目視可能地上領域を順次特定してもよい。これにより、飛行体Dの進行に応じて飛行体Dを操作するために移動すべき場所を把握することができる。
【0067】
第1の実施の形態に係る情報処理装置1と同様に、第2の実施の形態に係る情報処理装置1が保持する3次元地図情報は、目視可能地上領域の設定を禁止する領域である立ち入り不可エリアを特定する禁止領域情報を含んでいる。目視可能領域特定部130は、1又は複数の観察対象点との間に遮蔽物が存在しない地上の領域であり、かつ立ち入り不可エリアの範囲外の領域を目視可能地上領域として特定する。これにより、目視可能領域特定部130は、観察対象点を観察できる場所であってもユーザUが立ち入ることができない場所を目視可能領域として特定することを防止できる。
【0068】
第1の実施の形態に係る情報処理装置1と同様に、第2の実施の形態に係る情報処理装置1が保持する3次元地図情報は、飛行体Dの飛行が禁止される空域である飛行不可空域を特定する飛行不可空域情報を含んでいる。航路特定部125は、飛行不可空域に含まれないように航路Rを特定する。これにより、航路特定部125は、飛行体Dの飛行が禁止される空域に航路Rを設定することを防止できる。
【0069】
第1の実施の形態に係る日射方向取得部126と同様に、第2の実施の形態に係る日射方向取得部126も、複数の時刻それぞれの太陽方位角と太陽高度とを示す太陽位置情報を取得する。また、飛行体情報取得部127は、飛行体Dの離陸時刻及び飛行速度を含む飛行体情報を取得する。
【0070】
目視可能領域特定部130は、離陸時刻に離陸地点Sを離陸し、航路特定部125が特定した航路Rに沿って飛行体Dが飛行した場合に、太陽と飛行体Dとを結ぶ直線が地上と交差する点を含む所定の地上領域を目視可能地上領域から除外して目視可能地上領域を特定する。これにより、目視可能領域特定部130は、ユーザUが飛行体Dを観察する方向に太陽が存在する状態、いわゆる逆光状態となる領域を目視可能地上領域から除外することができる。
【0071】
上述したように、目視可能領域特定部130は、航路R上に設定した1又は複数の観察対象点との間に遮蔽物が存在しない地上の領域である目視可能地上領域を特定する。このため、ユーザUが目視可能地上領域に存在すれば、ユーザUは観察対象点を観察できることになる。しかしながら、ユーザUと観察対象点との距離が長い場合は短い場合と比較して、ユーザUは観察対象点P付近の飛行体Dを観察しづらくなると考えられる。
【0072】
そこで、位置算出部131は、飛行体情報取得部127が取得した飛行体情報を参照して、飛行体Dが離陸時刻に離陸地点Sを離陸して航路Rを飛行して着陸地点Gに着陸するまでの間の複数の時刻それぞれにおける飛行体Dの位置を算出する。距離算出部132は、複数の時刻それぞれにおける飛行体Dの位置と、目視可能地上領域の各位置と距離を算出する。出力部128は、それぞれについて、目視可能地上領域の各位置を距離に応じて異なる態様で出力する。
【0073】
具体的には、出力部128は、飛行体Dとの距離が遠い目視可能地上領域は彩度が低く、飛行体Dとの距離が近い目視可能地上領域は彩度が高くなる、いわゆるヒートマップの態様(不図示)で目視可能地上領域を出力する。これにより、目視可能地上領域を確認したユーザUは、複数の時刻それぞれについて、飛行体Dを操作するために飛行体Dとの距離が近くなる場所に移動するように計画を立てることができる。
【0074】
また、目視可能領域特定部130は、位置算出部131が算出した複数の時刻それぞれにおける飛行体Dの位置との間に遮蔽物が存在しない地上の領域である目視可能地上領域を特定してもよい。出力部128が複数の時刻それぞれと、その時刻における目視可能地上領域と対応づけて出力する。これにより、ユーザUは、飛行体Dの進行に応じて変化する目視可能地上領域を時刻に沿って把握することができ、飛行体Dを操作するための移動計画の立案に利用することができる。
【0075】
ところで、ユーザUは通信回線を介して飛行体Dに制御信号を送信して飛行体Dに飛行を制御する。このため、ユーザUが飛行体Dを視認できる場所であったとしても、その場所が通信用の電波が届いていない場合、ユーザUは飛行体Dの飛行を制御できなくなる。
【0076】
そこで、目視可能領域特定部130は、電波強度マップを参照して、目視可能地上領域のうち電波強度が飛行体Dの飛行制御が可能となる所定の強度となる領域を目視可能地上領域として特定する。これにより、目視可能領域特定部130は、ユーザUの通信が保証され、かつ飛行体Dを目視できる領域を目視可能地上領域として特定することができる。
【0077】
離陸地点Sと着陸地点Gとの間の距離が短い場合や、航路特定部125が特定した航路Rが見通しのよい開けた空域である場合は、ユーザUは一箇所から飛行体Dを目視できる場合もあり得る。そのような場合、ユーザUは飛行体Dを操作するための移動を省けるため、飛行体Dの操作のための負担を軽減することができる。
【0078】
そこで、目視可能領域特定部130は、航路R上の任意の点との間に遮蔽物が存在しない地上の領域が存在する場合、その領域を目視可能地上領域として特定してもよい。これにより、ユーザUは、移動を伴わずに飛行体Dを操作可能な領域を把握することができる。
【0079】
<第2の実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理方法の処理フロー>
図11は、第2の実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えば情報処理装置1が起動したときに開始する。
【0080】
地点取得部120は、飛行体Dの離陸地点Sと着陸地点Gとを含む地点情報を取得する(S20)。電波強度取得部122は、離陸地点Sと着陸地点Gとを含む空域である飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する(S22)。飛行可能空域特定部123は、電波強度マップを参照して、飛行対象空域のうち飛行体Dが通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する(S24)。
【0081】
航路特定部125は、離陸地点Sを離陸した飛行体Dが着陸地点Gに着陸するまでに通過する航路Rであって、飛行可能空域に含まれる航路Rを特定する(S26)。設定部129は、航路R上に1又は複数の観察対象点を設定する(S28)。
【0082】
地図取得部121は、航路Rを含む空域の3次元地図情報を取得する(S30)。目視可能領域特定部130は、3次元地図情報を参照して、1又は複数の観察対象点との間に遮蔽物が存在しない地上の領域である目視可能地上領域を特定する(S32)。目視可能領域特定部が目視可能地上領域を特定すると、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0083】
<第2の実施の形態に係る情報処理装置1が奏する効果>
以上説明したように、第2の実施の形態に係る情報処理装置1によれば、飛行体Dの操作者であるユーザUが飛行体Dを目視可能な航路を定めることができる。
【0084】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0085】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【符号の説明】
【0086】
1 情報処理装置
10 記憶部
11 通信部
12 制御部
120 地点取得部
121 地図取得部
122 電波強度取得部
123 飛行可能空域特定部
124 目視可能空域特定部
125 航路特定部
126 日射方向取得部
127 飛行体情報取得部
128 出力部
129 設定部
130 目視可能領域特定部
131 位置算出部
132 距離算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得する地点取得部と、
前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する地図取得部と、
前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する電波強度取得部と、
前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する飛行可能空域特定部と、
前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定する目視可能空域特定部と、
前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定する航路特定部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記地点取得部は、前記3次元地図情報で特定される地図上に指定された位置を前記視点として取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記3次元地図情報は、前記視点の設定を禁止する領域を特定する視点設定不可情報を含んでおり、
前記地点取得部は、前記3次元地図情報で特定される地図上に指定された位置が前記視点の設定を禁止する領域の範囲外であることを条件として、前記指定された位置を前記視点として取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記地点取得部は、1又は複数の時刻それぞれにおける前記飛行体の操作者の移動経路に沿ってあらかじめ定められた存在予定位置を前記1又は複数の視点として取得し、
前記目視可能空域特定部は、前記1又は複数の時刻それぞれについて、前記飛行対象空域のうち各時刻に対応する視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を時刻毎に特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の時刻それぞれの太陽方位角と太陽高度とを示す太陽位置情報を取得する日射方向取得部と、
前記飛行体の離陸時刻及び飛行速度を含む飛行体情報を取得する飛行体情報取得部と、をさらに備え、
前記目視可能空域特定部は、前記離陸時刻に前記離陸地点を離陸し、前記航路特定部が特定した航路に沿って前記飛行体が飛行した場合に、前記視点から見た前記飛行体の方向と当該飛行体が飛行する時刻における日照方向のなす角が所定の閾角以下となる時間帯である逆光時間を特定し、
前記情報処理装置はさらに、
前記逆光時間を出力する出力部を備える、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記3次元地図情報は、前記飛行体の飛行が禁止される空域である飛行不可空域を特定する飛行不可空域情報を含んでおり、
前記航路特定部は、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれ、かつ前記飛行不可空域に含まれない航路を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサが、
飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得するステップと、
前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得するステップと、
前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得するステップと、
前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定するステップと、
前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定するステップと、
前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定するステップと、を実行する、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
飛行体の離陸地点、着陸地点、及び飛行中の前記飛行体を観察するための1又は複数の視点の位置を含む地点情報を取得する機能と、
前記地点情報を含む空域である飛行対象空域の3次元地図情報を取得する機能と、
前記飛行対象空域における通信用の電波の強度を示す電波強度マップを取得する機能と、
前記電波強度マップを参照して、前記飛行対象空域のうち前記飛行体が通信接続された状態で飛行可能な空域である飛行可能空域を特定する機能と、
前記3次元地図情報を参照して、前記飛行対象空域のうち前記1又は複数の視点のうちの少なくとも1つの視点との間に遮蔽物が存在しない空域である目視可能空域を特定する機能と、
前記離陸地点を離陸した前記飛行体が前記着陸地点に着陸するまでに通過する航路であって、前記飛行可能空域と前記目視可能空域との両方に含まれる航路を特定する機能と、を実現させる、
プログラム。