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特開2024-134200情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134200
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240926BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044389
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 遼子
(72)【発明者】
【氏名】榊原 静
(72)【発明者】
【氏名】吉田 琢史
(72)【発明者】
【氏名】愛須 英之
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】設備計画の作成を高速化することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、複数の設備から任意の設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって設備計画問題の部分問題を作成し、作成された部分問題の解に基づいて設備計画問題に適用される条件を作成し、作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって設備計画を作成する作成手段を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備から任意の設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における前記複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって前記設備計画問題の部分問題を作成し、前記作成された部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される条件を作成し、前記作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって前記設備計画を作成する作成手段を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記設備計画問題は、前記複数の設備の各々を選択することにより消費される資源に関する設備資源情報を含み、
前記作成手段は、前記設備計画問題に前記設備資源情報が含まれる場合、前記設備資源情報に基づいて前記複数の設備が順次選択されることによって消費される資源が反映された複数の部分問題を作成する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設備計画問題は、前記複数の設備の各々を運用することにより消費される資源に関する運用資源情報を含み、
前記作成手段は、前記設備計画問題に前記運用資源情報が含まれる場合、前記運用資源情報に基づいて前記複数の設備が順次運用されることによって消費される資源が反映された複数の部分問題を作成する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記作成手段は、前記部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される初期値を作成し、前記作成された初期値が追加された設備計画問題を求解する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設備計画問題は、前記複数の設備の各々が選択された場合の評価値を得るための評価関数を示す評価関数情報を含み、
前記作成手段は、前記部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される前記評価値の限界値を作成し、前記作成された限界値が追加された設備計画問題を求解する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設備計画問題は、前記設備の選択に関する複数の設備情報を含み、
前記設備計画問題に複数の設備情報が含まれる場合、前記設備情報毎に前記設備計画問題が求解される
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記設備計画問題は、前記設備の運用に関する複数の運用情報を含み、
前記設備計画問題に複数の運用情報が含まれる場合、前記運用情報毎に前記設備計画問題が求解される
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記設備計画問題は、前記複数の設備のうちの一部の設備を表す部分集合に関する部分集合情報を含み、
前記作成手段は、前記部分集合情報に基づいて前記部分問題を作成する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記部分集合情報は、前記部分集合毎の優先順位を示す設備順位情報を含む請求項8記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記設備計画問題は、前記設備計画問題の制約条件を示す条件情報、前記複数の設備の各々が選択された場合の評価値を得るための評価関数を示す評価関数情報、前記設備の選択に関する設備情報または前記設備の運用に関する運用情報を含み、
前記作成手段は、前記条件情報、前記評価関数情報、前記設備情報または前記運用情報を出力し、前記出力された前記条件情報、前記評価関数情報、前記設備情報または前記運用情報に基づくユーザの操作に応じて入力された前記部分問題の作成に関する情報に基づいて前記部分問題を作成する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記作成手段は、前記部分問題の解に関する情報を出力し、前記出力された前記部分問題の解に関する情報に基づくユーザの操作に応じて入力された前記条件の作成に関する情報に基づいて前記条件を作成する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項12】
出力手段を更に具備し、
前記作成された設備計画は、前記複数の設備の中から選択されるべき設備を含み、
前記出力手段は、前記作成された設備計画問題に含まれる前記前記複数の設備の中から選択されるべき設備を出力する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項13】
複数の設備から任意の設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における前記複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって前記設備計画問題の部分問題を作成し、前記作成された部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される条件を作成し、前記作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって前記設備計画を作成することを具備する情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、複数の設備から任意の設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における前記複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって前記設備計画問題の部分問題を作成し、前記作成された部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される条件を作成し、前記作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって前記設備計画を作成する作成手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の設備が存在する場合に、当該複数の設備の全てを運用するのではなく、当該複数の設備の中から適切な設備を選択して運用することは重要である。
【0003】
また、独立して設備を運用するよりも、複数の設備を組み合わせて運用することによって、コストや利益のような評価関数によって得られる評価値が改善する場合がある。
【0004】
具体的には、例えばトラックを設備として運用するトラック配送では、当該トラックのルートを1台ずつ独立に(順に)計画するよりも、複数台のトラックのルートを同時に計画することで、効率的な配送エリアの分割が可能となり、処理することが可能な配送依頼の数(配送件数)を増加させたり、走行距離を減少させることができる可能性がある。
【0005】
このため、上記した設備の選択及び運用に関する計画(以下、設備計画と表記)を作成し、当該設備計画に従って複数の設備を運用することが有用である。
【0006】
この場合、適切な設備計画を作成するための最適化問題(以下、設備計画問題と表記)を考える必要があるが、例えば長期的な設備計画を作成するような大規模な設備計画問題を実用的な計算時間で解くことは困難である。また、上記したように複数の設備を組み合わせて運用するような場合には、当該組み合わせの効果を考慮する必要があるため、計算時間は更に増大する。
【0007】
なお、このような大規模な最適化問題には、ヒューリスティクス等の近似解法が多く用いられる。しかしながら、設備に関する費用が高額であるような場合には、近似解法により求められる解の誤差が与える影響は大きく、上記した設備計画問題に近似解法は適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-143336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、設備計画の作成を高速化することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る情報処理装置は、複数の設備から任意の設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における前記複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって前記設備計画問題の部分問題を作成し、前記作成された部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される条件を作成し、前記作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって前記設備計画を作成する作成手段を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図2】入力部の機能構成の一例を示す図。
図3】部分問題作成部の機能構成の一例を示す図。
図4】条件作成部の機能構成の一例を示す図。
図5】出力部の機能構成の一例を示す図。
図6】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図7】設備計画問題を表す数理モデルについて説明するための図。
図8】第1適用例における情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。
図9】第2適用例における情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
本実施形態に係る情報処理装置は、複数の設備の中から任意の(適切な)設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するように構成された電子機器(設備計画作成装置)である。
【0013】
なお、本実施形態において、設備とは、発電機等の据え置くことによって運用(運転)されるものであってもよいし、トラックや人等の移動体であってもよい。また、設備の選択とは、新たに導入する設備を選択することであってもよいし、既に導入された設備のうちの所定の期間(計画期間)中に運用する設備を選択することであってもよい。また、設備の導入とは、設備を購入及び設置することであってもよいし、設備を使用する(例えば、設備を借用及び雇用する)ことであってもよい。
【0014】
本実施形態においては設備の選択及び運用に関する設備計画を作成するものとして説明するが、当該設備計画は、設備の選択のみに関する計画であってもよい。
【0015】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置1は、入力部2、格納部3、設備計画作成部4及び出力部5を含む。
【0016】
入力部2は、上記した設備計画を作成するための設備計画問題(最適化問題)を入力する。入力部2によって入力された設備計画問題は、格納部3に格納される。
【0017】
設備計画作成部4は、格納部3に格納された設備計画問題を用いて設備計画を作成する機能を有し、部分問題作成部41、条件作成部42及び求解部43を含む。
【0018】
部分問題作成部41は、格納部3に格納された設備計画問題から、複数の設備のうちの一部を考慮する部分問題を作成する。本実施形態においては複数の設備から適切な設備を選択するための設備計画を作成するために設備計画問題を求解する必要があるところ、部分問題作成部41は、当該設備計画問題における複数の設備の集合(以下、元集合と表記)を当該複数の設備のうちの一部の設備を表す部分集合に置き換えることによって設備計画問題の部分問題を作成する。換言すれば、設備計画問題は元集合を考慮した最適化問題であるのに対し、部分問題においては元集合とは異なる部分集合を考慮した最適化問題である。
【0019】
条件作成部42は、部分問題作成部41によって作成された部分問題を求解し、当該部分問題の解を取得する。条件作成部42は、取得された部分問題の解(に関する情報)に基づいて、設備計画問題に適用される条件を作成する。
【0020】
なお、部分問題作成部41の処理及び条件作成部42の処理は、考慮する部分集合を変更しながら繰り返し実行されてもよい。
【0021】
求解部43は、条件作成部42によって作成された条件が追加された設備計画問題を求解し、当該設備計画問題の解を取得する。このように求解部43によって取得された設備計画問題の解は、設備計画作成部4によって作成される設備計画に相当する。
【0022】
出力部5は、上記したように設備計画作成部4によって作成された設備計画を出力する。
【0023】
ここで、上記したように入力部2によって入力される設備計画問題は、例えば条件情報、評価関数情報、設備情報及び運用情報を含む。
【0024】
条件情報は、設備計画問題の制約条件を示す。評価関数情報は、複数の設備の各々が選択された場合の評価値を得るための評価関数を示す。
【0025】
設備情報は、設備の選択に関する情報であり、例えば設備資源情報及び設備部分集合情報を含む。設備資源情報は、設備の選択により消費される資源に関する情報である。設備の選択により消費される資源としては、設備の導入に関する予算(費用の上限値)等が考えられる。設備部分集合情報は、上記した設備の部分集合に関する情報であり、例えば設備順位情報を含む。設備順位情報は、設備の部分集合毎の優先順位を示す。なお、設備の部分集合は、1つの設備から構成されていてもよいし、2以上の設備から構成されていてもよい。また、設備計画問題には、複数の設備情報が含まれていてもよい。
【0026】
運用情報は、設備の運用に関する情報であり、例えば運用資源情報を含む。運用資源情報は、設備の運用により消費される資源に関する情報である。設備の運用により消費される資源としては、例えばトラック配送におけるトラックの燃料や配送依頼等が考えられる。なお、設備計画問題には、複数の運用情報が含まれていてもよい。
【0027】
本実施形態において、図1に示す入力部2は、図2に示すように、上記した条件情報を入力する条件情報入力部21、評価関数情報を入力する評価関数情報入力部22、設備情報を入力する設備情報入力部23及び運用情報を入力する運用情報入力部24を含む構成であってもよい。
【0028】
また、図2においては、入力部2が条件情報入力部21、評価関数情報入力部22、設備情報入力部23及び運用情報入力部24を含む例が示されているが、条件情報入力部21、評価関数情報入力部22、設備情報入力部23及び運用情報入力部24のうちの少なくとも一部は省略されてもよい(つまり、入力部2は上記した各種情報のうちの一部を入力するように構成されていてもよい)。
【0029】
なお、図2においては省略されているが、入力部2は、例えば上記した設備資源情報を入力する設備資源情報入力部、設備部分集合情報を入力する設備部分集合情報入力部、設備順位情報を入力する設備順位情報入力部及び運用資源情報を入力する運用資源情報入力部のうちの少なくとも一部を更に含むように構成されていてもよい。
【0030】
また、図1に示す部分問題作成部41は、上記した設備部分集合情報に基づいて部分問題において考慮される部分集合(複数の設備のうちの一部の設備)を決定してもよい。また、複数の部分問題が作成される場合、部分問題作成部41は、上記した設備順位情報に基づいて当該部分問題が作成(求解)される順番を決定してもよい。また、部分問題作成部41は、複数の部分集合の各々について部分問題を作成してもよい。
【0031】
更に、部分問題作成部41は、図3に示すように、部分問題情報出力部411及び部分問題情報入力部412を含む構成であってもよい。
【0032】
部分問題情報出力部411は、例えば上記した設備計画問題に含まれる条件情報、評価関数情報、設備情報及び運用情報のうちの少なくとも1つを出力する。
【0033】
部分問題情報入力部412は、部分問題情報出力部411によって出力された条件情報、評価関数情報、設備情報及び運用情報のうちの少なくとも1つに基づくユーザの操作に応じて部分問題の作成に関する情報を入力する。
【0034】
このような部分問題情報出力部411及び部分問題情報入力部412によれば、ユーザと対話的に部分問題を作成することが可能となる。
【0035】
なお、部分問題作成部41によって作成される部分問題における制約条件及び評価関数の一部は、設備計画問題における制約条件及び評価関数と異なっていてもよい。
【0036】
更に、図1に示す条件作成部42は、図4に示すように、条件情報出力部421、条件情報入力部422、初期値作成部423及び限界値作成部424を含む構成であってもよい。
【0037】
条件情報出力部421は、例えば部分問題作成部41によって作成された部分問題を求解することによって取得される当該部分問題の解に関する情報を出力する。
【0038】
条件情報入力部422は、条件情報出力部421によって出力された部分問題の解に関する情報に基づくユーザの操作に応じて設備計画問題に適用される条件の作成に関する情報を入力する。
【0039】
このような条件情報出力部421及び条件情報入力部422によれば、ユーザと対話的に設備計画問題に適用される条件を作成することができる。
【0040】
初期値作成部423は、例えば部分問題作成部41によって作成された部分問題の解に基づいて、設備計画問題に適用される初期値を作成する。
【0041】
限界値作成部424は、例えば条件作成部42によって求解された部分問題における評価値に基づいて、設備計画問題に適用される限界値を作成する。
【0042】
すなわち、本実施形態において求解部43は、上記した条件、初期値及び限界値が追加(適用)された設備計画問題を求解する。
【0043】
ここで、上記したように図1に示す条件作成部42は部分問題を求解し、求解部43は設備計画問題を求解するが、このような設備計画問題及び部分問題の解法としては、Gurobi OptimizerまたはCPLEX等の数理計算ソルバーを用いてもよいし、勾配法、シミュレーテッドアニーリング(Simulated Annealing)または遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm)等のメタヒューリスティック解法を用いてもよい。上記したように複数の設備情報や運用情報が与えられた場合、当該情報の各々に基づく複数の設備計画問題が求解されてもよいし、当該情報の組み合わせに基づく1つの設備計画問題が求解されてもよい。
【0044】
また、上記した設備計画作成部4によって作成された設備計画(つまり、設備計画問題の解)は、複数の設備の中から選択されるべき設備(つまり、複数の設備の各々の選択の適否)及び当該設備の運用計画を含む。この場合、図1に示す出力部5は、図5に示すように、設備選択出力部51及び運用計画出力部52を含む構成であってもよい。
【0045】
設備選択出力部51は、設備計画に含まれる複数の設備の中から選択されるべき設備を出力する。運用計画出力部52は、設備計画に含まれる運用計画を出力する。
【0046】
図5においては出力部5が設備選択出力部51及び運用計画出力部52を含むものとして説明したが、当該出力部5は、例えば設備選択出力部51のみを含む構成であってもよい。換言すれば、出力部5は、少なくとも複数の設備の各々の適否を出力するように構成されていればよい。
【0047】
また、上記したように設備計画問題に複数の設備情報または運用情報が含まれる場合には、当該設備情報または運用情報毎に設備計画問題を求解することによって取得された複数の解に基づく複数の設備の各々の適否や当該複数の解の統計量等が出力されてもよい。
【0048】
なお、上記したように部分問題作成部41は複数の部分問題を作成することが可能であるが、当該部分問題作成部41は、例えば設備部分集合情報等によって指定された全ての部分集合を考慮した部分問題を作成しなくてもよいし、制約条件や評価関数が異なる部分問題を作成してもよい。更に、部分問題作成部41は、既に求解された部分問題の解に関する情報に基づいて部分問題を作成してもよい。また、条件作成部42は、部分問題作成部41によって作成された全ての部分問題を求解しなくてもよい。また、条件作成部42は、部分問題作成部41によって複数の部分問題が作成された後に当該複数の部分問題の各々を求解してもよいし、当該部分問題が作成される度に当該部分問題を求解してもよい(つまり、部分問題の作成及び求解は逐次的に繰り返し実行されてもよい)。
【0049】
図6は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す。図6に示すように、情報処理装置1は、CPU101、不揮発性メモリ102、主メモリ103、入力デバイス104、表示デバイス105及び通信デバイス106等を備える。
【0050】
CPU101は、情報処理装置1内の各コンポーネントの動作を制御するハードウェアプロセッサである。CPU101は、ストレージデバイスである不揮発性メモリ102から主メモリ103にロードされる様々なプログラムを実行する。CPU101によって実行されるプログラムには、オペレーティングシステム(OS)及び上記したように設備計画を作成するためのプログラム(以下、情報処理プログラムと表記)等が含まれる。
【0051】
入力デバイス104は、各種情報を入力するように構成されたデバイスであり、例えばマウス及びキーボード等を含む。表示デバイス105は、各種情報を表示(出力)するように構成されたデバイスであり、例えばディスプレイ等を含む。通信デバイス106は、外部装置と例えば有線または無線による通信を実行するように構成されたデバイスである。
【0052】
図6においては不揮発性メモリ102及び主メモリ103のみが示されているが、情報処理装置1は、例えばHDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)のような他の記憶装置を更に備えていてもよい。
【0053】
本実施形態において、図1に示す入力部2、設備計画作成部4及び出力部5の一部または全ては、図6に示すCPU101に情報処理プログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアによって実現されるものとする。この情報処理プログラムは、ネットワークを介して情報処理装置1にダウンロードされてもよいし、記憶媒体に格納されて頒布されてもよい。また、入力部2、設備計画作成部4及び出力部5の一部または全ては、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを組み合わせた構成によって実現されてもよい。
【0054】
また、図1に示す格納部3は、図6に示す不揮発性メモリ102またはその他の記憶装置等によって実現される。
【0055】
ところで、本実施形態においては、複数の設備を組み合わせて運用することによってより高い評価値を得ることができるような設備計画を作成する場合を想定しているが、例えば設備計画問題に設備の選択により消費される資源(設備資源)や設備の運用により消費される資源(運用資源)が含まれない場合には、上記したように単に設備計画問題における元集合を部分集合に置き換えることで部分問題が作成されればよい。
【0056】
一方、設備計画問題に設備資源や運用資源が含まれる場合においては、当該設備計画問題に含まれる条件情報(制約条件)や評価関数情報(評価関数)から当該資源に関する要素を除いて部分問題を作成及び求解するようにしてもよいし、既に求解された部分問題において設備資源または運用資源が消費されること(つまり、消費された資源)を考慮して逐次的に部分問題を作成及び求解する(つまり、部分問題の作成及び求解を繰り返し実行する)ようにしてもよい。
【0057】
以下、本実施形態に係る情報処理装置1が適用される適用例として、第1及び第2適用例について説明する。
【0058】
まず、第1適用例について説明する。第1適用例においては、設備期計画が発電機の設置計画である場合を想定しており、条件情報や評価関数情報から消費される資源に関する要素を除いて部分問題を作成及び求解するものとする。
【0059】
具体的に、第1適用例においては、設備として発電機を設置し、当該発電機により発電した電力を調整力市場及びスポット市場で売電することを考える。調整力市場とは、調整力を売買する市場である。調整力とは、調整力市場における約定量に相当する発電能力を一日単位で確保し、応札者からの約定量を超えない範囲で指令に応じて発動する電力である。約定量に相当する発電能力は常に確保しなければならないため、当該発電能力はスポット市場等の他の市場で取引するための発電に利用することはできない。
【0060】
また、調整力には、指令を受けてから指令値まで出力を変化させる時間(以下、応動時間と表記)が定められている。一般に、停止している発電機の応動には時間を要するため、定められている応動時間が短い場合には指令を受けてから停止している発電機を運転させたとしても指令値まで出力を変化させることができず、当該応動時間で調整力を供給することができない。
【0061】
上記した事情を考慮すると、発電機を常に運転させておき、更に、当該発電機の発電能力の最大(定格出力)で運転するのではなく、調整力に相当する分だけ差し引いて当該発電機を運転する。これによれば、指令を受けたときに短い応動時間で調整力を供給することが可能となる。
【0062】
ここで、一般に発電機は定格出力で運転したときに最も燃費がよく、出力量が低下するほど燃費が悪化する。ただし、燃費や当該燃費が悪化する度合いは発電機の種類により異なる。したがって、複数の発電機を組み合わせて運転した場合には、発電機毎に調整力を確保する代わりに、例えば出力量が低い場合でも比較的燃費がよい発電機に調整力を割り当てることによってコストを低減することができると考えられる。
【0063】
すなわち、第1適用例における発電機の設置計画問題(発電機の設置計画を作成するための最適化問題)の目的は、仕様が異なる複数の種類の発電機の集合の中から、コストを最小化するように設置する発電機を選択することにある。
【0064】
以下、第1適用例における発電機の設置計画問題を表す数理モデルについて説明する。以下に説明する数理モデルにおいては、停止している発電機は調整力を供給できないものとしている。
【0065】
図7は、数理モデルを記述する記号の定義を示す。なお、図7において添字iは発電機、dは日付、tは時間断面を表す。また、図7中の例えばC及びP等は設備情報に相当し、C´dt、Odt、Adt等は運用情報に相当する。
【0066】
ここで、以下の式(1)~(5)は、発電機の設置計画問題に含まれる条件情報によって示される制約条件の一部である。
【数1】
【0067】
式(1)は、設置された発電機のみが運転することができるという制約条件を表している。式(2)は、発電された電力がスポット市場での売電または調整力の発動に充てられるという制約条件を表している。式(3)は、運転中の発電機の発電能力がスポット市場での売電量と調整力市場の約定量とをカバーすることができるという制約条件を表している。式(4)は、調整力の発動量が調整力市場における約定量を超えないという制約条件を表している。式(5)は、調整直の全指令値から他の応札者の発動量を差し引いた値が発動量となるという制約条件を表している。
【0068】
また、以下の式(6)は、発電機の設置計画問題に含まれる評価関数情報によって示される評価関数である。
【数2】
【0069】
式(6)は、評価値としてコストを得ることができる評価関数の一例を示している。式(6)は、第一項から順に、発電機の設置費、燃料費、スポット市場の売上金額、調整力市場の発動に対する売上金額、当該調整力市場の約定金額を示している。
【0070】
以下、図8のフローチャートを参照して、第1適用例における情報処理装置1の処理手順の一例について説明する。
【0071】
まず、入力部2は、設備計画問題として、発電機の設置計画問題を入力する(ステップS1)。この場合、入力部2(条件情報入力部21及び評価関数情報入力部22)は、上記した式(1)~(5)のような制約条件を示す条件情報及び式(6)のような評価関数を示す評価関数情報を入力する。また、入力部2(設備情報入力部23)は、例えば発電機の集合や、各発電機の設置費用、最大・最小負荷及び負荷率に対する発電効率等の性能値を、設備情報として入力する。更に、入力部2(設備部分集合情報入力部)は、発電機1台ずつからなる部分集合を、設備部分集合情報として入力する。また、入力部2(運用情報入力部24)は、時間断面毎の燃料費及びスポット市場の約定値段等を、運用情報として入力する。更に、入力部2(運用資源情報入力部)は、調整力市場全体の指令値及び発動量等を、運用資源情報として入力する。
【0072】
ステップS1において入力された発電機の設置計画問題(条件情報、評価関数情報、設備情報及び運用情報等を含む設備計画問題)は、格納部3に格納される(ステップS2)。
【0073】
次に、部分問題作成部41は、上記した設備部分集合情報に基づいて、例えば発電機1台のみを考慮した部分問題を作成する(ステップS3)。このように作成される部分問題は、1台の発電機iのみを独立に運転(運用)した場合に当該発電機iを設置することが適当であるか否か(つまり、当該発電機iの設置の適否)を判定する問題に相当する。換言すれば、上記した発電機の設置計画問題を表す数理モデルにおける発電機の集合Iを発電機iのみからなる集合に置き換えることによって部分問題が作成される。
【0074】
ここで、本実施形態においては、部分問題で設備を過小評価したときに当該設備の導入(選択)が適当であるのであれば、設備計画問題においても当該設備の導入が適当であると判定することができるという考え方を前提としている。なお、本実施形態においては、複数の設備を組み合わせて運用することで評価が向上する(少なくとも低下しない)ような場合に当該設備を独立に運用することが上記した設備の過小評価に該当するものとする。すなわち、設備を独立に運用する(つまり、個別に評価する)場合に、過大評価となり得る要素が存在する場合には、当該要素を排除した部分問題が作成される。
【0075】
この場合、例えば部分問題情報出力部411は、発電機iを含む複数の発電機間に跨る条件や評価関数、当該発電機iと関係性が低いような条件や評価関数等を出力する。なお、発電機iと関係性が低いような条件や評価関数とは、例えば発電機iが明示的に現れない(つまり、発電機iの添え字を含まない)ような条件や評価関数の項が含まれる。
【0076】
具体的には、上記した式(1)~(5)のうちの例えば式(5)中のθdはユーザが設置する発電機の発動量を除いた調整力市場全体の発動量であり、実際の発電機iの発電量は、θdと当該ユーザが設置する他の発電機の発電量の和を、市場全体の指令値Adtから差し引いた値となる。しかしながら、部分問題においては発電機iしか考慮されず、ユーザが発電機i以外の発電機を設置した場合の当該発電機の発動量は無視されるため、発電機iの発動量は実際よりも大きくなり得る。また、式(5)は発電機iの発動量に応じた燃料費を考慮するための制約条件であり、当該式(5)を制約条件として採用しない場合には上記した設備の過小評価に反する可能性がある(つまり、過大評価となり得る)。
【0077】
この場合、上記した式(5)が出力される(表示デバイス105に表示される)ことにより、部分問題情報入力部412は、例えばユーザの操作に応じて、式(5)を部分問題の制約条件として採用することを、部分問題の作成に関する情報として入力する。これによれば、部分問題作成部41は、入力された部分問題の作成に関する情報に基づいて、式(5)を制約条件として含む部分問題を作成することができる。なお、ここでは式(5)を制約条件として含む部分問題を作成する場合について説明したが、制約条件によっては、当該制約条件を採用しないという部分問題の作成に関する情報が部分問題情報入力部412によって入力され、当該制約条件を含まない部分問題が作成されてもよい。
【0078】
更に、部分問題情報出力部411は、式(6)を出力してもよい。ここで、例えば式(6)の第四項の値は実際の発動量に応じて得られる利益よりも大きくなり得るため、当該式(6)の第四項は過大評価になり得る要素であるといえる。この場合、部分問題情報入力部412は、ユーザの操作に応じて、例えば式(6)の第四項の調整力市場の発動に対する売上金額を評価関数に含めないことを、部分問題の作成に関する情報として入力する。これによれば、部分問題作成部41は、式(6)の第四項を含まない評価関数に基づく部分問題を作成することができる。
【0079】
なお、ここでは部分問題情報入力部412によって入力された部分問題の作成に関する情報に基づいて部分問題が作成されるものとして説明したが、部分問題作成部41は、上記した発電機iと関係性が低いような条件や評価関数等を除外した部分問題を自動的に作成してもよい。
【0080】
次に、条件作成部42は、ステップS3において作成された部分問題を求解する(ステップS4)。なお、部分問題が求解された場合には、上記した発電機iの設置の適否(つまり、発電機iの設置が適当であるか否か)が判定される。
【0081】
ステップS4の処理が実行されると、条件作成部42は、部分問題の解に関する情報に基づいて、発電機の設置計画問題に適用される条件、初期値及び限界値を作成する(ステップS5)。
【0082】
具体的には、部分問題の解に関する情報には、当該部分問題の解(つまり、発電機の設置の適否)及び当該部分問題における評価値(評価関数値)等が含まれる。この場合、条件作成部42は、例えば部分問題において設置が適当であると判定された発電機iについては、発電機の設置計画問題(元問題)において設置が適当であるとする条件(γ=1)を作成する。また、条件作成部42(初期値作成部423)は、部分問題において設置が適当でないと判定された発電機iについては、設置が適当でないとする初期値(γ=0)を作成する。更に、条件作成部42(限界値作成部424)は、部分問題における評価値の和を限界値(コストの上限値)として作成する。部分問題における評価値の和を限界値とするのは、部分問題では調整力の発動量(つまり、燃料費)を過大に評価し、発動に対する売上金額を考慮していないというだけでなく、上記したように複数の発電機を組み合わせて運用することで効率的に調整力向けの発電能力を確保することができる(つまり、よりコストを削減することができる)ことから、元問題には評価値が部分問題の評価値の和より小さい解が存在するためである。
【0083】
なお、ステップS3において複数の部分問題が作成された場合には、条件、初期値及び限界値は、各部分問題の解や当該部分問題における評価値の統計値に基づいて作成されてもよい。
【0084】
更に、条件情報出力部421が部分問題の解や当該部分問題における評価値(または統計値)を出力し、条件情報入力部422がユーザの操作に応じて発電機の設置計画問題に適用される条件、初期値及び限界値の作成に関する情報を入力することによって、条件作成部42は、当該入力された情報に基づいて条件、初期値及び限界値を作成してもよい。
【0085】
なお、ここでは条件、初期値及び限界値が作成されるものとして説明したが、後述するように発電機の設置計画問題(設備計画問題)の解を探索する範囲を削減することができるのであれば、当該条件、初期値及び限界値のうちの少なくとも1つは省略されてもよい。
【0086】
求解部43は、ステップS5において作成された条件、初期値及び限界値が追加された発電機の設置計画問題(設備計画問題)を求解する(ステップS6)。これにより、例えばステップS1において入力された発電機の設置計画問題をそのまま求解する場合と比較して、解を探索する範囲を削減することが可能であり、当該求解に要する時間を削減する(つまり、高速に求解する)ことができる。具体的には、上記した1台の発電機について設置が適当であるとする条件を追加する毎に解を探索する範囲は1/2に削減することができる。
【0087】
なお、ステップS6の処理が実行された場合には発電機の設置計画(設備計画)が作成され、出力部5は、当該発電機の設置計画を出力する(ステップS7)。
【0088】
ここで、発電機の設置計画(つまり、発電機の設置計画問題の解)には、各発電機の設置の適否(γi)及び当該発電機の運用計画が含まれる。この場合、各発電機の設置の適否は設備選択出力部51によって出力され、当該発電機の運用計画は運用計画出力部52によって出力される。
【0089】
また、複数の設備情報や運用情報が設備計画問題に含まれている場合、当該設備情報や運用情報毎に設備計画問題を求解することによって取得された複数の解に基づく発電機(設備)の設置の適否や当該複数の解に関する統計量等が出力されてもよい。
【0090】
また、ここでは例えば燃料費、電力市場の約定値段と約定量、調整力の指令値等が確定している場合を想定しているが、例えば推定の信頼度の異なる複数のシナリオに基づく複数の運用情報が入力された場合には、当該運用情報毎に設備計画問題を求解し、当該信頼度に基づいて各発電機の設置の適否の期待値等の統計量を出力するようにしてもよい。
【0091】
上記したように第1適用例において情報処理装置1は、資源の消費による利益を無視して部分問題を作成して、当該部分問題の解を過小評価するように動作する。
【0092】
なお、第1適用例においては設備計画問題に設備の選択により消費される資源や設備の運用により消費される資源が含まれる場合を想定しているが、当該資源が含まれない場合には、図8に示すステップS3において設備計画問題における元集合を部分集合に置き換えることによって部分問題を作成する処理が実行されればよい。
【0093】
次に、第2適用例について説明する。第2適用例においては、設備計画がトラック配送計画である場合を想定しており、既に求解された部分問題において設備資源または運用資源が消費されることを考慮して逐次的に部分問題を作成及び求解するものとする。
【0094】
具体的に、第2適用例においては、トラックを借用し、当該トラックを用いて荷物を集積所から各地点に配送することを考える。なお、荷物を配送する地点と当該地点に配送すべき荷物の量(つまり、当該地点における需要)とを配送依頼と称する。トラックには最大積載量(容量)が定められており、トラック配送においては、需要の和が当該容量を超えない範囲で配送依頼を処理することで報酬を得ることができる。なお、トラック配送においては、トラックの走行距離に応じた燃料費を要する。
【0095】
ここで、トラックの賃借料と燃料費との和から配送依頼を処理することによって得られる報酬の和を差し引いたものをコストとすると、第2適用例におけるトラック配送計画問題(トラック配送計画を作成するための最適化問題)の目的は、コストを最小化する(つまり、報酬の和からトラックの賃借料と燃料費との和を差し引いた利益を最大化する)ように、借用するトラックの台数を選択することにある。換言すれば、トラック配送計画問題は、配送依頼の集合を全て処理するために必要なトラックの最小台数を求める問題であるといえる。ただし、最小台数のトラックを借りる賃借料が予算の上限を超える場合や走行距離が長すぎることによって報酬に見合わないルートが存在する場合、トラック配送計画問題は、予算内で可能なトラックの台数や報酬に見合う配送依頼及びルートを考慮して、最も利益が大きくなる組み合わせを求める問題となる。
【0096】
なお、第2適用例におけるトラック配送においては、借用するトラックの台数を選択すると同時に、借用したトラックに対して配送依頼を割り当て、当該配送依頼を処理する順番(すなわち、割り当てられた地点を巡るルート)を決定する必要がある。トラックに順番に配送依頼を割り当ててルートを決定すると、集積所から近い地点や報酬が高い地点を巡るルートが優先的に選択されるため、複数のトラックによる配送を同時に計画した方が、より効率的なルートが決定され、処理可能な配送依頼の総数が増加したり走行距離が減少したりする可能性がある。
【0097】
以下、図9のフローチャートを参照して、第2適用例における情報処理装置1の処理手順の一例について説明する。
【0098】
まず、入力部2は、設備計画問題として、トラック配送計画問題を入力する(ステップS11)。具体的には、入力部2(条件情報入力部21及び評価関数情報入力部22)は、例えば借用した台数のトラックが集積所を発着する制約条件等を示す条件情報及び評価値として上記したコストを得ることができる評価関数を示す評価関数情報を入力する。また、入力部2(設備情報入力部23)は、トラック毎の賃借料及び容量のような性能値等を、設備情報として入力する。更に、入力部2(設備資源情報入力部)は、トラックを借用するための予算を、設備資源情報として入力する。また、入力部2(設備部分集合情報入力部)は、トラック1台ずつからなる部分集合を、設備部分集合情報として入力する。また、入力部2(設備順位情報入力部)は、容量に対する賃借量の比の昇順に基づいて割り当てられた各トラックの優先順位を、設備順位情報として入力する。更に、入力部2(運用情報入力部24)は、トラックが各地点間を走行する際に要する燃料費、各配送依頼における地点及び需要(各配送依頼において荷物を配送する地点及び当該配送する荷物の量)、及び各配送依頼を処理することによって得られる報酬等を、運用情報として入力する。また、入力部2(運用資源情報入力部)は、配送依頼の集合等を、運用資源情報として入力する。
【0099】
ステップS11において入力されたトラック配送計画問題(条件情報、評価関数情報、設備情報及び運用情報等を含む設備計画問題)は、格納部3に格納される(ステップS12)。
【0100】
次に、部分問題作成部41は、設備順位情報に基づいて容量に対して賃借料が割安なトラックを1台選択し、当該選択されたトラック(以下、対象トラックと表記)1台のみを考慮した部分問題を作成する(ステップS13)。このように作成される部分問題は、対象依頼のトラック1台のみを借用して配送依頼の集合のうちいくつかの依頼を処理することが適当であるか否か(つまり、対象トラックの借用の適否)を判定する問題に相当する。
【0101】
条件作成部42は、ステップS13において作成された部分問題を求解する(ステップS14)。
【0102】
なお、ステップS14の処理が実行されると、上記した対象トラックの賃借料を予算から差し引いた値を残りの予算(新たな予算)とし、配送依頼の集合から当該対象トラックに割り当てられた配送依頼を除外したものを新たな配送依頼の集合とする。
【0103】
次に、部分問題の作成を終了する条件(以下、終了条件と表記)を満たすか否かが判定される(ステップS15)。なお、終了条件には、例えば部分問題においてトラックの借用が適当でないと判定されたこと(以下、第1終了条件と表記)、次に選択されるトラックの賃借料が残りの予算を超えること(以下、第2終了条件と表記)及びトラックに割り当てるべき配送依頼がない(つまり、新たな配送依頼の集合が空集合である)こと(以下、第3終了条件と表記)が含まれる。
【0104】
第1~第3終了条件の全てを満たさないと判定された場合(ステップS15のNO)、ステップS13に戻って処理が繰り返される。すなわち、第2適用例においては、当該複数の設備が順次選択または運用されることによって資源(ここでは、予算及び配送依頼等)が消費されていくことを考慮し、当該消費された資源が反映された複数の部分問題を繰り返し作成及び求解するような処理が実行される。
【0105】
一方、第1~第3終了条件のうちの少なくとも1つを満たすと判定された場合(ステップS15のYES)、条件作成部42は、部分問題の解に関する情報(例えば、トラックの借用の適否及び当該部分問題における評価値等)に基づいて、トラック配送計画問題に適用される条件、初期値及び限界値を作成する(ステップS16)。
【0106】
具体的には、例えば第1終了条件を満たすと判定された場合、条件作成部42は、上記したようにステップS13及びS14が繰り返し実行されることによって各部分問題において借用が適当であると判定されたトラックについては、トラック配送計画問題(元問題)において借用が適当であるとする条件を作成する。また、条件作成部42(初期値作成部423)は、各部分問題において借用が適当であると判定されたトラック以外については、借用が適当でないとする初期値を作成する。更に、条件作成部42(限界値作成部424)は、各部分問題における評価値の和を限界値として作成する。
【0107】
一方、例えば第2または第3終了条件を満たすと判定された場合、条件作成部42(初期値作成部423)は、各部分問題において借用が適当であると判定されたトラックについては、トラック配送計画問題において借用が適当であるとする初期値を作成する。また、条件作成部42は、各部分問題において借用が適当であると判定されたトラック以外のトラックについては、トラック配送計画問題において借用が適当でないという条件を作成する。更に、条件作成部42(限界値作成部424)は、各部分問題における評価値の和を限界値として作成する。
【0108】
なお、第1終了条件と第2終了条件または第3終了条件との両方を満たすと判定された場合には、第1終了条件を満たすと判定された場合の処理が実行される(つまり、第1終了条件は第2及び第3終了条件よりも優先される)ものとする。
【0109】
また、条件情報出力部421が部分問題の解や当該部分問題における評価値を出力し、条件情報入力部422がユーザの操作に応じてトラック配送計画問題に適用される条件、初期値及び限界値の作成に関する情報を入力することによって、条件作成部42は、当該入力された情報に基づいて条件、初期値及び限界値を作成してもよい。
【0110】
また、ここでは条件、初期値及び限界値が作成されるものとして説明したが、後述するようにトラック配送計画問題(設備計画問題)の解を探索する範囲を削減することができるのであれば、当該条件、初期値及び限界値のうちの少なくとも1つは省略されてもよい。
【0111】
求解部43は、ステップS16において作成された条件、初期値及び限界値が追加されたトラック配送計画問題(設備計画問題)を求解する(ステップS17)。これにより、例えばステップS11において入力されたトラック配送計画問題をそのまま求解する場合と比較して、解を探索する範囲を削減することが可能となり、当該求解に要する時間を削減する(つまり、高速に求解する)ことができる。
【0112】
なお、ステップS17の処理が実行された場合にはトラック配送計画(設備計画)が作成され、出力部5は、当該トラック配送計画を出力する(ステップS18)。
【0113】
ここで、トラック配送計画(つまり、トラック配送計画問題の解)には、各トラックの借用の適否及び当該トラックの運用計画(例えば、当該トラックが走行するルート等)が含まれる。この場合、各トラックの借用の適否は設備選択出力部51によって出力され、当該トラックの運用計画は運用計画出力部52によって出力される。
【0114】
なお、第2適用例においては消費された資源を差し引きながら繰り返し複数の部分問題を作成するが、設備が同一でない場合には、複数の部分問題を求解する順番によって得られる結果(設備計画問題の解)が異なる。このため、第2適用例は、設備が同一であるまたは設備の優先順位が決まっている設備計画問題を求解する場合に好適である。
【0115】
上記したように本実施形態においては、複数の設備から任意の(適切な)設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における当該複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって部分問題を作成し、当該作成された部分問題の解に基づいて設備計画問題に適用される条件を作成し、当該作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって設備計画を作成する。
【0116】
本実施形態においては、このような構成により、設備計画問題(元問題)に条件を追加することによって当該設備計画問題の解を探索する範囲を限定することができるため、設備計画の作成(つまり、設備計画問題の求解)を高速化することが可能となる。
【0117】
なお、本実施形態においては、設備計画問題に設備資源情報または運用資源情報が含まれる場合、複数の設備が順次選択または運用されることによって消費される資源が反映された複数の部分問題が作成される。本実施形態においては、このような構成により、消費される資源を考慮した適切な設備計画を作成することも可能である。
【0118】
更に、本実施形態においては、部分問題の解に基づいて設備計画問題に適用される初期値及び限界値が作成される。本実施形態においては、このような初期値及び限界値を追加することによって設備計画問題の解を探索する範囲を更に限定することができるため、当該設備計画の作成を更に高速化することが可能となる。
【0119】
また、本実施形態において設備計画問題に複数の設備情報が含まれる場合には、当該設備情報毎に設備計画問題が求解される構成であってもよい。同様に、設備計画問題に複数の運用情報が含まれる場合には、当該運用情報毎に設備計画問題が求解される構成であってもよい。このような構成によれば、複数の解に基づく設備の適否やその統計量等を得る(出力する)ことが可能となる。
【0120】
更に、本実施形態において設備計画問題は部分集合情報を含み、部分問題は、当該部分集合情報に基づいて作成されてもよい。また、部分集合情報には、部分集合毎の優先順位を示す設備順位情報が含まれていてもよい。このような構成によれば、設備計画問題における複数の設備の集合(元集合)の中から適切な部分集合を選択して部分問題を作成することが可能であるため、精度の高い設備計画を作成することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態においては、設備計画問題に含まれる条件情報、評価関数情報、設備情報または運用情報を出力し、当該出力された条件情報、評価関数情報、設備情報または運用情報に基づくユーザの操作(つまり、当該情報を確認して行われたユーザの操作)に応じて入力された部分問題の作成に関する情報に基づいて部分問題を作成してもよい。更に、本実施形態においては、部分問題の解に関する情報(当該部分問題の解及び当該部分問題における評価値)を出力し、当該出力された部分問題の解に関する情報に基づくユーザの操作(つまり、当該情報を確認して行われたユーザの操作)に応じて入力された設備計画問題に適用される条件の作成に関する情報に基づいて当該条件を作成してもよい。このような構成によれば、部分問題及び条件をユーザと対話的に作成することができる。
【0122】
また、本実施形態において、設備計画問題を求解することによって作成される設備計画に含まれる複数の設備の中から選択されるべき設備が出力される。本実施形態においては、このような構成により、ユーザは、設備計画問題において複数の設備の中から選択されるべき設備を容易に把握することが可能となる。なお、複数の設備の中から選択されるべき設備に加えて、当該設備の運用計画が更に出力されても構わない。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0124】
前述した実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
[1]
複数の設備から任意の設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における前記複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって前記設備計画問題の部分問題を作成し、前記作成された部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される条件を作成し、前記作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって前記設備計画を作成する作成手段を具備する情報処理装置。
[2]
前記設備計画問題は、前記複数の設備の各々を選択することにより消費される資源に関する設備資源情報を含み、
前記作成手段は、前記設備計画問題に前記設備資源情報が含まれる場合、前記設備資源情報に基づいて前記複数の設備が順次選択されることによって消費される資源が反映された複数の部分問題を作成する
[1]記載の情報処理装置。
[3]
前記設備計画問題は、前記複数の設備の各々を運用することにより消費される資源に関する運用資源情報を含み、
前記作成手段は、前記設備計画問題に前記運用資源情報が含まれる場合、前記運用資源情報に基づいて前記複数の設備が順次運用されることによって消費される資源が反映された複数の部分問題を作成する
[1]または[2]記載の情報処理装置。
[4]
前記作成手段は、前記部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される初期値を作成し、前記作成された初期値が追加された設備計画問題を求解する[1]~[3]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[5]
前記設備計画問題は、前記複数の設備の各々が選択された場合の評価値を得るための評価関数を示す評価関数情報を含み、
前記作成手段は、前記部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される前記評価値の限界値を作成し、前記作成された限界値が追加された設備計画問題を求解する
[1]~[4]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[6]
前記設備計画問題は、前記設備の選択に関する複数の設備情報を含み、
前記設備計画問題に複数の設備情報が含まれる場合、前記設備情報毎に前記設備計画問題が求解される
[1]~[5]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[7]
前記設備計画問題は、前記設備の運用に関する複数の運用情報を含み、
前記設備計画問題に複数の運用情報が含まれる場合、前記運用情報毎に前記設備計画問題が求解される
[1]~[6]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[8]
前記設備計画問題は、前記複数の設備のうちの一部の設備を表す部分集合に関する部分集合情報を含み、
前記作成手段は、前記部分集合情報に基づいて前記部分問題を作成する
[1]~[7]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[9]
前記部分集合情報は、前記部分集合毎の優先順位を示す設備順位情報を含む[8]記載の情報処理装置。
[10]
前記設備計画問題は、前記設備計画問題の制約条件を示す条件情報、前記複数の設備の各々が選択された場合の評価値を得るための評価関数を示す評価関数情報、前記設備の選択に関する設備情報または前記設備の運用に関する運用情報を含み、
前記作成手段は、前記条件情報、前記評価関数情報、前記設備情報または前記運用情報を出力し、前記出力された前記条件情報、前記評価関数情報、前記設備情報または前記運用情報に基づくユーザの操作に応じて入力された前記部分問題の作成に関する情報に基づいて前記部分問題を作成する
[1]~[9]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[11]
前記作成手段は、前記部分問題の解に関する情報を出力し、前記出力された前記部分問題の解に関する情報に基づくユーザの操作に応じて入力された前記条件の作成に関する情報に基づいて前記条件を作成する[1]~[10]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[12]
出力手段を更に具備し、
前記作成された設備計画は、前記複数の設備の中から選択されるべき設備を含み、
前記出力手段は、前記作成された設備計画問題に含まれる前記前記複数の設備の中から選択されるべき設備を出力する
[1]~[11]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[13]
複数の設備から任意の設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における前記複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって前記設備計画問題の部分問題を作成し、前記作成された部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される条件を作成し、前記作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって前記設備計画を作成することを具備する情報処理方法。
[14]
コンピュータを、複数の設備から任意の設備を選択して当該選択された設備を運用するための設備計画を作成するための設備計画問題における前記複数の設備を当該複数の設備のうちの一部の設備に置き換えることによって前記設備計画問題の部分問題を作成し、前記作成された部分問題の解に基づいて前記設備計画問題に適用される条件を作成し、前記作成された条件が追加された設備計画問題を求解することによって前記設備計画を作成する作成手段として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0125】
1…情報処理装置、2…入力部、3…格納部、4…設備計画作成部、5…出力部、21…条件情報入力部、22…評価関数情報入力部、23…設備情報入力部、24…運用情報入力部、41…部分問題作成部、42…条件作成部、43…求解部、51…設備選択出力部、52…運用計画出力部、101…CPU、102…不揮発性メモリ、103…主メモリ、104…入力デバイス、105…表示デバイス、106…通信デバイス、411…部分問題情報出力部、412…部分問題情報入力部、421…条件情報出力部、422…条件情報入力部、423…初期値作成部、424…限界値作成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9