IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピステクノロジー株式会社の特許一覧

特開2024-134201出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置
<>
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図1
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図2
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図3
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図4
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図5A
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図5B
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図6
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図7
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図8
  • 特開-出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134201
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20240926BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G09G3/20 623B
G09G3/36
G09G3/20 611A
G09G3/20 611C
G09G3/20 622B
G09G3/20 623R
G09G3/20 622G
G09G3/20 621A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044390
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
5C006AA16
5C006BC03
5C006BC11
5C006BC20
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF27
5C006BF31
5C006BF33
5C006BF37
5C006BF42
5C006FA32
5C006FA41
5C006FA47
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD12
5C080DD22
5C080DD26
5C080EE29
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
(57)【要約】
【目的】本発明は、EMI、消費電力及び回路面積の低減を図ることが可能な出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【構成】本発明は、ゲートで受けた入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を出力端子に供給する第1のトランジスタと、ゲートで受けた入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧より低い第2の電源電圧を出力端子に供給する第2のトランジスタと、入力信号の電圧変化時に、第1及び第2のトランジスタのうちでオフ状態にある方のトランジスタのゲート電圧を、バイアス部で生成されたバイアス電流の電流値に基づく変化速度で変化させることでオン状態に遷移させる出力制御部と、を有し、バイアス部は、入力信号の電圧変化に応じて、所定期間に亘りバイアス電流の電流値を第1の電流値に設定し、所定期間以外の期間では第1の電流値より小さい第2の電流値に切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2値の入力信号を増幅した出力信号を出力端子から出力する出力バッファ回路であって、
バイアス電流を生成するバイアス部と、
前記バイアス電流のミラー電流を生成し、前記入力信号を受けて前記出力信号を生成するバッファ部と、を含み、
前記バッファ部は、
自身のゲートで受けた前記入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を前記出力端子に供給する第1導電型の第1のトランジスタと、
自身のゲートで受けた前記入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に(前記第1の電源電圧より低い)第2の電源電圧を前記出力端子に供給する第2導電型の第2のトランジスタと、
前記入力信号の電圧変化時に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのうちでオフ状態にあるトランジスタのゲートの電圧を前記ミラー電流の電流値に基づく変化速度で変化させることで前記オフ状態にあるトランジスタをオン状態に遷移させる出力制御部と、を有し、
前記バイアス部は、前記入力信号の電圧変化に応じて、所定期間に亘り前記バイアス電流の電流値を第1の電流値に設定し、前記所定期間以外の期間では前記バイアス電流の電流値を前記第1の電流値より小さい第2の電流値に切り替えることを特徴とする出力バッファ回路。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記入力信号の電圧変化時に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのうちでオン状態にあるトランジスタのゲートの電圧を前記入力信号の電圧変化に応じた変化速度で変化させることで前記オン状態にあるトランジスタをオフ状態に遷移させる、ことを特徴とする請求項1に記載の出力バッファ回路。
【請求項3】
前記入力信号の電圧変化時において前記オフ状態にあるトランジスタのゲートの電圧を 変化させる変化期間の一部又は全てを含む期間を前記所定期間として示すタイミング制御信号と、前記第1の電流値及び前記第2の電流値を示す設定信号とを生成し、前記タイミング制御信号及び前記設定信号を前記バイアス部に供給する駆動制御部を更に含み、
前記バイアス部は、前記入力信号の電圧変化に応じて、前記タイミング制御信号にて示される前記所定期間に亘り前記バイアス電流の電流値を前記設定信号にて示される前記第1の電流値に設定し、前記所定期間以外の期間では前記バイアス電流の電流値を前記設定信号にて示される前記第2の電流値に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の出力バッファ回路。
【請求項4】
前記タイミング制御信号及び前記設定信号が共通の制御信号とされ、前記所定期間では前記バイアス電流の電流値が前記第1の電流値を示す設定に制御され、前記所定期間以外の期間では前記バイアス電流の電流値が前記第2の電流値を示す設定に制御される制御信号とされる、ことを特徴とする請求項3に記載の出力バッファ回路。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記第1の電流値が大きいほど前記所定期間の期間長を短くすることを特徴とする請求項3又は4に記載の出力バッファ回路。
【請求項6】
前記バッファ部は、前記ミラー電流として、前記第1のトランジスタのゲートの電圧をオン状態に変化させる作用を生じさせる電流値を有する第1ミラー電流と、前記第2のトランジスタのゲートの電圧をオン状態へ変化させる作用を生じさせる電流値を有する第2のミラー電流を生成し、
前記バイアス部は、前記バイアス電流として、前記第1のミラー電流の基となる第1のバイアス電流と、前記第2のミラー電流の基となる第2のバイアス電流を生成することを特徴とする請求項1~5のいずれか1に記載の出力バッファ回路。
【請求項7】
2値の第1~第M(Mは2以上の整数)の入力信号を夫々増幅した第1~第Mの出力信号を第1~第Mの出力端子から出力する出力バッファ回路であって、
バイアス電流を生成するバイアス部と、
前記第1~第Mの入力信号を個別に受け、前記バイアス電流のミラー電流を個別に生成し、前記第1~第Mの出力端子のうちの対応する1の出力端子が個別に接続されている第1~第Mのバッファ部と、を含み、
前記第1~第Mのバッファ部の各々は、
自身が受けた前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を前記1の出力端子に供給する第1導電型の第1のトランジスタ、自身が受けた前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に前記第1の電源電圧より低い第2の電源電圧を前記1の出力端子に供給する第2導電型の第2のトランジスタ、及び前記入力信号の電圧変化時に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのうちでオフ状態にあるトランジスタのゲートの電圧を前記ミラー電流の電流値に基づく変化速度で変化させることで前記オフ状態にあるトランジスタをオン状態に遷移させる出力制御部と、を有し、
前記バイアス部は、前記第1~第Mの入力信号各々の電圧変化に応じて、所定期間に亘り前記バイアス電流の電流値を第1の電流値に設定し、前記所定期間以外の期間では前記バイアス電流の電流値を前記第1の電流値より小さい第2の電流値に切り替えることを特徴とする出力バッファ回路。
【請求項8】
前記第1~第Mのバッファ部の各々の前記出力制御部は、前記入力信号の電圧変化時に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのうちでオン状態にあるトランジスタのゲートの電圧を自身が受けた前記入力信号の電圧変化に応じた変化速度で変化させることで前記オン状態にあるトランジスタをオフ状態に遷移させることを特徴とする請求項7に記載の出力バッファ回路。
【請求項9】
表示画面の水平方向に沿って伸張する第1~第m(mは2以上の整数)のデータ線及び前記表示画面の垂直方向に沿って伸張する複数のゲート線と、
ゲートタイミング信号を受け前記ゲートタイミング信号に応じたタイミングでゲート選択信号を前記複数のゲート線の各々に供給する走査ドライバと、
前記第1~第mのデータ線のj(jは2以上の整数)個毎に設けられており、夫々が1つの入力端を有し、データ線選択信号に応じて前記j個のデータ線の各々を順次択一的に前記1つの入力端に接続する(m/j)個のマルチプレクサと、が配置されている表示パネルを、映像データ信号に応じて駆動するデータドライバであって、
前記映像データ信号に基づき各画素の輝度レベルに対応した電圧値を有する(m/j)個の階調電圧信号を生成し、夫々を前記(m/j)個のマルチプレクサ各々の前記入力端に供給する階調電圧出力部と、
請求項7に記載の出力バッファ回路と、を含み、前記ゲートタイミング信号又は前記データ線選択信号を前記出力バッファ回路の前記出力信号として前記表示パネルに供給することを特徴とするデータドライバ。
【請求項10】
表示画面の水平方向に沿って伸張する第1~第m(mは2以上の整数)のデータ線及び前記表示画面の垂直方向に沿って伸張する複数のゲート線と、ゲートタイミング信号を受け前記ゲートタイミング信号に応じたタイミングでゲート選択信号を前記複数のゲート線の各々に供給する走査ドライバと、前記第1~第mのデータ線のj(jは2以上の整数)個毎に設けられており、夫々が1つの入力端を有し、データ線選択信号に応じて前記j個のデータ線の各々を順次択一的に前記1つの入力端に接続する(m/j)個のマルチプレクサと、が配置されている表示パネルと、
映像データ信号を受け、前記映像データ信号に基づき各画素の輝度レベルに対応した電圧値を有する(m/j)個の階調電圧信号を生成し、夫々を前記(m/j)個のマルチプレクサ各々の前記入力端に供給するデータドライバと、を有し、
前記データドライバは、請求項9に記載の出力バッファ回路を含み、前記ゲートタイミング信号又は前記データ線選択信号を前記出力バッファ回路の前記出力信号として前記表示パネルに供給することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
表示画面の水平方向に沿って伸張する複数のデータ線及び前記表示画面の垂直方向に沿って伸張する複数のゲート線と、前記複数のデータ線の各々と前記複数のゲート線の各々との交叉部に配置された表示デバイスと、表示デバイスによる表示画像の駆動を制御する薄膜トランジスタと、が配置されている表示パネルを駆動する半導体装置であって、
請求項7に記載の出力バッファ回路を含み、所定の駆動タイミング信号に従って前記出力バッファ回路の前記第1~第Mの出力信号を前記表示パネルに供給することを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を駆動する出力バッファ回路、この出力バッファ回路を含むデータドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部接続されている負荷を駆動する半導体集積装置には、当該負荷を駆動するための駆動信号を出力する出力バッファが設けられている。出力バッファは、例えば2値(論理レベル0、1)の入力信号を夫々のゲート端で受け、夫々のドレイン端同士が出力ノードに接続されているPチャネルMOS(metal oxide semiconductor)型のトランジスタ及びNチャネルMOS型のトランジスタを含む。かかる構成により、出力バッファは、上記した両トランジスタを2値の入力信号によって相補的にオン状態に設定することで、出力ノードから、2値の駆動信号を出力する。
【0003】
ところで、駆動対象とする負荷として、液晶表示パネルや有機EL表示パネルのガラスやプラスチック等の絶縁性基板上に薄膜トランジスタで形成される走査ドライバ(以下、GIP(Gate in Panel)とも呼ぶ)がある。また、中小型のパネルでは、パネル上の複数のデータ線へ1つのドライバ出力から階調信号を時分割で出力するための薄膜トランジスタで形成された選択回路(以後、マルチプレクサと呼ぶ)がある。これらGIPやマルチプレクサは、薄膜トランジスタ回路の駆動素子の寄生容量やパネルサイズに応じた配線長の配線容量など比較的大きな容量を有し、GIPやマルチプレクサを駆動する半導体集積装置は、パネル上の薄膜トランジスタのオン、オフ制御を行う高電圧のパルス駆動が要求される。したがって、出力バッファとしては高駆動型の出力バッファが用いられる。
【0004】
このような高駆動型の出力バッファでは、両トランジスタのうちの一方のトランジスタがオフ状態からオン状態へ切り替わるタイミングよりも、他方のトランジスタがオン状態からオフ状態へ切り替わるタイミングが遅れることで、一時的に両トランジスタが同時にオン状態となる場合が生じる。これにより、両トランジスタ間に比較的大きな貫通電流が流れ、当該貫通電流に起因するEMI(electro magnetic interference)の発生及び消費電力の増加を招くという問題があった。また、負荷駆動時の充放電電流に伴う電流変動に起因して発生するEMIの発生の問題もあった。
【0005】
そこで、かかる問題を解決するために、上記したPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタからなるバッファ部の前段に、プリバッファ部を設けた出力バッファ回路が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載の出力バッファ回路に含まれるプリバッファ部は、入力信号を受けその反転信号を上記したPチャネルMOSトランジスタのゲートに供給する第1のインバータと、入力信号を受けその反転信号を上記したNチャネルMOSトランジスタのゲートに供給する第2のインバータと、を有する。この際、第1のインバータのNチャネルMOSトランジスタのソースには電流源が接続されており、第2のインバータのPチャネルMOSトランジスタのソースには電流源が接続されている。特許文献1に記載の出力バッファ回路では、プリバッファ部の電流源の各々で流す電流を個別に調整することで、バッファ部の両トランジスタのオン状態からオフ状態への遷移をオフ状態からオン状態への遷移よりも早くさせる。これにより、当該出力バッファ回路では、バッファ部の両トランジスタが同時にオン状態となる状態が回避され、貫通電流を防止し、出力信号の電圧変化を遅くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6-152374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の出力バッファ回路は、プリバッファ部の電流源で流す電流を減らすほど、バッファ部の両トランジスタをオフ状態からオン状態に遷移させる時間が長くなる。これにより、出力信号の電圧変化が緩やかになり、貫通電流が抑えられるのでEMIを低減させることができる。しかしながら、その分だけ出力バッファ回路の電流駆動能力が低下し、出力信号のパルス電圧波形の鈍りが大きくなるため、高速な負荷駆動ができなくなる。
【0009】
このように、EMIの低減と電流駆動能力とはトレードオフの関係にあり、その最適な調整値は駆動対象となる負荷毎に異なる。そこで、電流駆動能力を調整する調整回路を内蔵した出力バッファ回路が望まれている。
【0010】
ここで、多出力の出力バッファ回路の負荷駆動能力を電流値で調整する場合、目標とする負荷駆動能力に対応した電流を流す入力側の電流路と、この入力側電流路に流れる電流を夫々ミラーして送出する複数の出力側の電流路と、からなるカレントミラー構成を採用することが考えられる。
【0011】
これにより、多出力の出力バッファ回路の省面積化が可能となるが、出力数が多くなるほどカレントミラーの入力側に流す電流を大きくしなければならないので、当該入力側での消費される電流が増加し、それに伴い出力バッファ回路自体の消費電力が増加する。尚、入力側の電流に対する出力側の電流のミラー比を上げることで消費電力を抑えることができるが、ミラー比を上げる為に出力側のトランジスタのサイズを大きくしなければならないので、出力バッファ回路の回路面積が増加してしまう。
【0012】
そこで、本願発明は、EMIの発生を抑えて、消費電力及び回路面積の低減を図ることが可能な出力バッファ回路、データドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る出力バッファ回路は、2値の入力信号を増幅した出力信号を出力端子から出力する出力バッファ回路であって、バイアス電流を生成するバイアス部と、前記バイアス電流のミラー電流を生成し、前記入力信号を受けて前記出力信号を生成するバッファ部と、を含み、前記バッファ部は、自身のゲートで受けた前記入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を前記出力端子に供給する第1導電型の第1のトランジスタと、自身のゲートで受けた前記入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧を前記出力端子に供給する第2導電型の第2のトランジスタと、前記入力信号の電圧変化時に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのうちでオフ状態にあるトランジスタのゲートの電圧を前記ミラー電流の電流値に基づく変化速度で変化させることで前記オフ状態にあるトランジスタをオン状態に遷移させる出力制御部と、を有し、前記バイアス部は、前記入力信号の電圧変化に応じて、所定期間に亘り前記バイアス電流の電流値を第1の電流値に設定し、前記所定期間以外の期間では前記バイアス電流の電流値を前記第1の電流値より小さい第2の電流値に切り替える。
【0014】
また、本発明に係る出力バッファ回路は、2値の第1~第M(Mは2以上の整数)の入力信号を夫々増幅した第1~第Mの出力信号を第1~第Mの出力端子から出力する出力バッファ回路であって、バイアス電流を生成するバイアス部と、前記第1~第Mの入力信号を個別に受け、前記バイアス電流のミラー電流を個別に生成し、前記第1~第Mの出力端子のうちの対応する1の出力端子が個別に接続されている第1~第Mのバッファ部と、を含み、前記第1~第Mのバッファ部の各々は、自身が受けた前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を前記1の出力端子に供給する第1導電型の第1のトランジスタ、自身が受けた前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号の電圧に応じてオン状態となった場合に前記第1の電源電圧より低い第2の電源電圧を前記1の出力端子に供給する第2導電型の第2のトランジスタ、及び前記入力信号の電圧変化時に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのうちでオフ状態にあるトランジスタのゲートの電圧を前記ミラー電流の電流値に基づく変化速度で変化させることで前記オフ状態にあるトランジスタをオン状態に遷移させる出力制御部と、を有し、前記バイアス部は、前記第1~第Mの入力信号各々の電圧変化に応じて所定期間に亘り前記バイアス電流の電流値を第1の電流値に設定し、前記所定期間以外の期間では前記バイアス電流の電流値を前記第1の電流値より小さい第2の電流値に切り替える。
【0015】
本発明に係るデータドライバは、表示画面の水平方向に沿って伸張する第1~第m(mは2以上の整数)のデータ線及び前記表示画面の垂直方向に沿って伸張する複数のゲート線と、ゲートタイミング信号を受け前記ゲートタイミング信号に応じたタイミングでゲート選択信号を前記複数のゲート線の各々に供給する走査ドライバと、前記第1~第mのデータ線のj(jは2以上の整数)個毎に設けられており、夫々が1つの入力端を有し、データ線選択信号に応じて前記j個のデータ線の各々を順次択一的に前記1つの入力端に接続する(m/j)個のマルチプレクサと、が配置されている表示パネルを、映像データ信号に応じて駆動するデータドライバであって、前記映像データ信号に基づき各画素の輝度レベルに対応した電圧値を有する(m/j)個の階調電圧信号を生成し、夫々を前記(m/j)個のマルチプレクサ各々の前記入力端に供給する階調電圧出力部と、請求項7に記載の出力バッファ回路と、を含み、前記ゲートタイミング信号又は前記データ線選択信号を前記出力バッファ回路の前記出力信号として前記表示パネルに供給する。
【0016】
本発明に係る表示装置は、表示画面の水平方向に沿って伸張する第1~第m(mは2以上の整数)のデータ線及び前記表示画面の垂直方向に沿って伸張する複数のゲート線と、ゲートタイミング信号を受け前記ゲートタイミング信号に応じたタイミングでゲート選択信号を前記複数のゲート線の各々に供給する走査ドライバと、前記第1~第mのデータ線のj(jは2以上の整数)個毎に設けられており、夫々が1つの入力端を有し、データ線選択信号に応じて前記j個のデータ線の各々を順次択一的に前記1つの入力端に接続する(m/j)個のマルチプレクサと、が配置されている表示パネルと、映像データ信号を受け、前記映像データ信号に基づき各画素の輝度レベルに対応した電圧値を有する(m/j)個の階調電圧信号を生成し、夫々を前記(m/j)個のマルチプレクサ各々の前記入力端に供給するデータドライバと、を有し、前記データドライバは、請求項9に記載の出力バッファ回路を含み、前記ゲートタイミング信号又は前記データ線選択信号を前記出力バッファ回路の前記出力信号として前記表示パネルに供給する。
【0017】
本発明に係る半導体装置は、表示画面の水平方向に沿って伸張する複数のデータ線及び前記表示画面の垂直方向に沿って伸張する複数のゲート線と、前記複数のデータ線の各々と前記複数のゲート線の各々との交叉部に配置された表示デバイスと、表示デバイスによる表示画像の駆動を制御する薄膜トランジスタと、が配置されている表示パネルを駆動する半導体装置であって、請求項7に記載の出力バッファ回路を含み、所定の駆動タイミング信号に従って前記出力バッファ回路の前記第1~第Mの出力信号を前記表示パネルに供給する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る出力バッファ回路は、2値の入力信号に基づく電圧をゲート電圧として出力段の第1及び第2のトランジスタの各々のゲートに供給して両者を相補的にオン状態にすることで、第1又は第2の電源電圧を有する出力信号を生成する。この際、当該出力バッファ回路では、入力信号の電圧変化時に、第1及び第2のトランジスタのうちでオフ状態にある方のトランジスタのゲート電圧を、バイアス部が生成したバイアス電流の電流値に基づく変化速度で緩やかに変化させる。これにより、第1及び第2のトランジスタのうちでオン状態にある方のトランジスタがオフ状態に遷移した後で、オフ状態にある方のトランジスタがオン状態に遷移する。よって、第1及び第2のトランジスタの同時オンが回避され、両トランジスタ間に流れる瞬時的な貫通電流が防止されるので、当該貫通電流に伴うEMIの発生が抑止される。また、当該出力バッファ回路が出力端子に接続される負荷容量を駆動する際に、負荷容量の充放電に伴う第1及び第2のトランジスタに流れる比較的大きな電流のピーク値の低減及び電流の変化速度が制限されることにより、EMIの増大が抑止される。
【0019】
更に、本発明に係る出力バッファ回路では、入力信号の電圧変化に応じて所定期間に亘りバイアス電流の電流値を第1の電流値に設定し、この所定期間以外の期間ではバイアス電流の電流値を第1の電流値より小さい第2の電流値に切り替えている。これにより、バイアス電流を流すトランジスタのサイズを大きくすることなく、入力信号の電圧変化に応じて、所望の変化速度でオフ状態にある方の出力段のトランジスタのゲート電圧を緩やかに変化させることが可能となる。
【0020】
よって、本発明に係る出力バッファ回路によれば、EMIの発生を抑えて、消費電力及び回路面積の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る出力バッファ回路の一例としての出力バッファ回路100の構成を示す回路図である。
図2】出力バッファ回路100の内部動作の一例を示すタイムチャートである。
図3】出力バッファ回路100の内部動作の他の一例を示すタイムチャートである。
図4】出力バッファ回路100の内部動作の更に他の一例を示すタイムチャートである。
図5A】可変電流源41の内部構成の一例を示す回路図である。
図5B】可変電流源42の内部構成の一例を示す回路図である。
図6】出力バッファ回路の他の一例としての出力バッファ回路100Aの構成を示す回路図である。
図7】多出力化した出力バッファ回路の一例としての出力バッファ回路500の構成を示すブロック図である。
図8】出力バッファ回路500を含む表示装置600の構成を示すブロック図である。
図9】表示装置600の出力バッファBU1及びBU2から出力されるデータ線切替信号OUT1~OUT3及びバイアス電流の制御動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例0022】
図1は、本発明に係る出力バッファ回路の一例としての出力バッファ回路100の構成を示す回路図である。
【0023】
図1に示すように、出力バッファ回路100は、バッファ部10及びバイアス部30を含み、出力バッファ回路100の動作を制御する駆動制御部20を備える。
【0024】
出力バッファ回路100のバッファ部10は、Pチャネル型のトランジスタ11及びNチャネル型のトランジスタ12からなる出力段と、これらトランジスタ11及び12各々のゲート電圧を制御する出力制御部19と、を備える。
【0025】
トランジスタ11のソースには電源電圧VGHが印加されており、トランジスタ12のソースには電源電圧VGLが印加されている。トランジスタ11及び12各々のドレインは出力端子TOに接続されており、当該出力端子TOに生じた電圧を有する2値(論理レベル0又は1)の信号レベルを有する出力信号Soとして出力される。
【0026】
出力制御部19は、インバータ13、14、Nチャネル型のトランジスタ15及びPチャネル型のトランジスタ16を含む。
【0027】
インバータ13は、Nチャネル型のトランジスタ13n及びPチャネル型のトランジスタ13pで構成される。トランジスタ13n及び13p各々のゲート同士が共通接続されており、その共通接続点がインバータ13の入力端を成す。当該入力端はノードTiに接続されており、このノードTiを介して、2値(論理レベル0又は1)の信号レベルを有する入力信号Siを受ける。また、トランジスタ13n及び13p各々のドレイン同士が共通接続されており、その共通接続点がインバータ13の出力端を成す。当該出力端はノードn1を介してトランジスタ11のゲートに接続されている。トランジスタ13pのソースは正側電源端子に接続されて電源電圧VGHを受け、トランジスタ13nのソースはトランジスタ15を介して負側電源端子に接続されて電源電圧VGLを受ける。
【0028】
かかる構成により、インバータ13は、ノードTiを介して受けた入力信号Siの位相を反転させた信号の電圧をノードn1を介してトランジスタ11のゲートに供給する。
【0029】
インバータ14は、Nチャネル型のトランジスタ14n及びPチャネル型のトランジスタ14pで構成される。トランジスタ14n及び14p各々のゲート同士が共通接続されており、その共通接続点がインバータ14の入力端を成す。当該入力端はノードTiに接続されており、このノードTiを介して入力信号Siを受ける。また、トランジスタ14n及び14p各々のドレイン同士が共通接続されており、その共通接続点がインバータ14の出力端を成す。当該出力端はノードn2を介してトランジスタ12のゲートに接続されている。トランジスタ14pのソースはトランジスタ16を介して正側電源端子に接続されて電源電圧VGHを受け、トランジスタ14nのソースは負側電源端子に接続されて電源電圧VGLを受ける。
【0030】
かかる構成により、インバータ14は、ノードTiを介して受けた入力信号Siの位相を反転させた信号の電圧をノードn2を介してトランジスタ12のゲートに供給する。
【0031】
トランジスタ15は、自身のドレインがインバータ13の負側電源端子であるトランジスタ13nのソースに接続されている。また、トランジスタ15は、電源電圧VGLを自身のソースで受けると共に、バイアス部30からノードn3を介して供給されたバイアス電圧VBNをゲートで受ける。
【0032】
トランジスタ16は、自身のドレインがインバータ14の正側電源端子であるトランジスタ14pのソースに接続されている。また、トランジスタ16は、電源電圧VGHを自身のソースで受けると共に、バイアス部30からノードn4を介して供給されたバイアス電圧VBPをゲートで受ける。
【0033】
駆動制御部20は、出力バッファ回路100の動作に必要な信号群を生成する。駆動制御部20は、電源電圧VGL~VGHの振幅で電圧(信号レベル)が変化する2値(論理レベル0又は1)の入力信号を生成しこれをノードTiを介して出力バッファ回路100のバッファ部10に供給する。
【0034】
また、駆動制御部20は、入力信号Siの電圧変化に応じて、所定期間の間だけバイアス電流の電流値を所定の第1の電流値に設定し、その他の期間では当該バイアス電流の電流値を上記第1の電流値より小さい第2の電流値に切り換えるタイミングを示すタイミング制御信号Cs1を生成する。
【0035】
具体的には、駆動制御部20は、入力信号Siが電源電圧VGLからVGHの状態に遷移する、いわゆる電圧の立ち上がりに応じて、その立ち上がりの開始時点から所定期間Twrが経過する時点までを示すタイミング制御信号Cs1を生成する。更に、駆動制御部20は、入力信号Siが電源電圧VGHからVGLの状態に遷移する、いわゆる立ち下がりに応じて、その立ち下がりの開始時点から所定期間Twfが経過する時点までを示すタイミング制御信号Cs1を生成する。
【0036】
更に、駆動制御部20は、上記した所定期間Twr、Twf及びその他の期間で生成するバイアス電流の電流値を設定する設定信号Cs2を生成する。
【0037】
例えば、駆動制御部20は、上記した所定期間Twrの間はバイアス電流を電流値Ir1に設定し、所定期間Twfの間はバイアス電流を電流値If1に設定すると共に、所定期間Twr及びTwf以外の期間では電流値Ir1及びIf1より低い電流値Ir2又はIf2に設定する設定信号Cs2を生成する。
【0038】
そして、駆動制御部20は、上記したように生成したタイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2を出力バッファ回路100のバイアス部30に供給する。
【0039】
なお、上記では、バイアス電流の電流値を切替える制御を、駆動制御部20から供給するタイミング制御信号Cs1と設定信号Cs2のそれぞれにより行う例を説明したが、タイミング制御信号及び設定信号が共通の制御信号により制御してもよい。例えば、駆動制御部20は、上記した所定期間Twrの間はバイアス電流を電流値Ir1に設定し、所定期間Twr以外の期間では電流値Ir1より低い電流値に設定する制御信号と、上記した所定期間Twfの間はバイアス電流を電流値If1に設定すると共に、所定期間Twf以外の期間では電流値If1より低い電流値If2に設定する制御信号と、をバイアス部30に供給するようにしてもよい。以下では、駆動制御部20からタイミング制御信号Cs1と設定信号Cs2を供給する例で説明する。
【0040】
出力バッファ回路100のバイアス部30は、電流電圧変換部としてのNチャネル型のトランジスタ35及びPチャネル型のトランジスタ36と、バイアス変調部40と、を含む。
【0041】
トランジスタ35は、自身のゲート及びドレインがノードn3を介してバッファ部10のトランジスタ15のゲートに接続されており、自身のソースで電源電圧VGLを受ける。トランジスタ36は、自身のゲート及びドレインがノードn4を介してバッファ部10のトランジスタ16のゲートに接続されており、自身のソースには電源電圧VGHが印加されている。
【0042】
バイアス変調部40は、可変電流源41及び42を含む。
【0043】
可変電流源41は、駆動制御部20から供給されたタイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2に基づく電流値を有するバイアス電流I1Aを生成し、トランジスタ35のドレインに送出する。つまり、可変電流源41は、入力信号Siの立ち上がり時点から所定期間Twrに亘り電流値Ir1を有し、その他の期間は電流値Ir1より低い電流値Ir2を有するバイアス電流I1Aを生成し、これをトランジスタ35のドレインに送出する。この際、ノードn3に生じた電圧がバイアス電圧VBNとして、ノードn3を介してバッファ部10のトランジスタ15のゲートに供給される。
【0044】
可変電流源41は、タイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2に基づく電流値を有するバイアス電流I2Aを生成し、これをトランジスタ36に流す。つまり、可変電流源42は、入力信号Siの立ち下がり時点から所定期間Twfに亘り電流値If1を有し、その他の期間は電流値If1より低い電流値If2を有するバイアス電流I2Aを生成し、これをトランジスタ36に流す。この際、ノードn4に生じた電圧がバイアス電圧VBPとして、ノードn4を介してバッファ部10のトランジスタ16のゲートに供給される。
【0045】
かかる構成により、バイアス部30は、タイミング制御信号Cs1に基づき、入力信号Siの電圧変化時に設定される所定期間(Twr、Twf)では、設定信号Cs2にて示される電流値(Ir1、If1)を有するバイアス電流(I1A、I2A)生成する。また、バイアス部30は、所定期間(Twr、Twf)以外の期間では、設定信号Cs2にて示される、電流値(Ir1、If1)より小さな電流値(Ir2、If2)を有するバイアス電流(I1A、I2A)生成する。そして、バイアス部30は、生成したバイアス電流(I1A、I2A)に対応した電圧値を有するバイアス電圧(VBP、VBN)をバッファ部10に供給する。
【0046】
ここで、図1に示す構成では、バイアス部30のトランジスタ35及びバッファ部10のトランジスタ15が第1のカレントミラー回路を構成している。よって、当該トランジスタ35に流れるバイアス電流I1Aをミラーしたバイアス電流I1Bをトランジスタ15に流すことができる。更に、バイアス部30のトランジスタ36及びバッファ部10のトランジスタ16が第2のカレントミラー回路を構成している。よって、当該トランジスタ36に流れるバイアス電流I2Aをミラーしたバイアス電流I2Bをトランジスタ16に流すことができる。なお、バイアス電流I1AとI1Bの電流ミラー比は、バイアス部30のトランジスタ35及びバッファ部10のトランジスタ15のチャネル幅サイズ比又は同一サイズのトランジスタ個数比により予め設定できる。同様に、バイアス電流I2AとI2Bの電流ミラー比は、バイアス部30のトランジスタ36及びバッファ部10のトランジスタ16のチャネル幅サイズ比又は同一サイズのトランジスタ個数比により予め設定できる。
【0047】
以上のように、バイアス電流I1B及びI2Bは共に、駆動制御部20から供給されるタイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2に基づき、バイアス部30によって制御される。
【0048】
尚、電源電圧VSS、VDD、VGL及びVGH各々の電圧値は、
VGH≧VDD>VSS≧VGL
なる大小関係を有するものとする。
【0049】
そして、駆動制御部20は、電源電圧VGL~VGLの振幅を有する2値(論理レベル0又は1)の入力信号Si、及び、電源電圧VSS~VDDの振幅を有する2値(論理レベル0又は1)のタイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2を生成し、バイアス部30に供給する。尚、駆動制御部20は、所定の基準電源電圧の振幅を有する信号群を基に、電源電圧VGL~VGLや電源電圧VSS~VDDそれぞれの振幅に変換するレベルシフタ群を含む。
【0050】
以下に、図1に示す出力バッファ回路100の内部動作について、図2に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。
【0051】
尚、図2に示すタイムチャートは、出力バッファ回路100が、時点tr1にて論理レベル0(VGL)の状態から論理レベル1(VGH)に遷移し、その後の時点tf1で論理レベル0の状態に遷移する入力信号Siを受けた場合に、出力バッファ回路100内で生成されるノードn1、n2及び出力端子Toの電圧信号V1、V2及びSoの波形を示す。また、入力信号Siの電圧変化に応じたタイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2に基づきバイアス変調部40の可変電流源41で生成されるバイアス電流I1A及び可変電流源42で生成されるバイアス電流I2Aの電流波形も示す。
【0052】
かかる入力信号Siを受けて、出力バッファ回路100の出力制御部19は、図2に示すように、信号レベル(電圧)が時点tr1にて論理レベル0(VGL)の状態から論理レベル1の状態(VGH)に立ち上がり、時点tf1で論理レベル0の状態(VGL)に立ち下がる入力信号Siを、バッファ部10のインバータ13及び14に供給する。
【0053】
先ず、入力信号Siが論理レベル0(VGL)の状態にある間は、インバータ13及び14は共に当該入力信号Siの位相を反転させた論理レベル1(VGH)の信号をノードn1、n2に夫々供給する。よって、ノードn1の電圧V1及びノードn2の電圧V2が共に電源電圧VGHとなり、トランジスタ11がオフ状態、トランジスタ12がオン状態になることから、図2に示すように論理レベル0(VGL)の出力信号Soが出力端子TOから出力される。
【0054】
その後、図2に示す時点tr1にて、入力信号Siの電圧が論理レベル0(VGL)の状態から論理レベル1(VGH)の状態に立ち上がる。これにより、インバータ14のトランジスタ14nがオン状態となり、電源電圧VGLをノードn2に供給する。よって、ノードn2の電圧V2が図2に示すように電源電圧VGLに遷移し、トランジスタ12がオフ状態となる。このとき、入力信号Siの変化速度にほぼ追随する速度でノードn2の電圧V2が変化し、トランジスタ12はオン状態からオフ状態へ速やかに変化する。
【0055】
更に、この間、インバータ13のトランジスタ13nがオン状態となることで、トランジスタ15を介して電源電圧VGLがノードn1に供給される。ところで、このような入力信号Siの電圧の立ち上がり時には、バイアス部30の可変電流源41が、図2に示すようにその電圧の立ち上がりの開始時点(tr1)から所定期間Twrに亘り、電流値Ir1を有するバイアス電流I1Aをトランジスタ35に流す。よって、バッファ部10のトランジスタ15は、当該バイアス電流I1Aをミラーした電流をバイアス電流I1Bとして流すことができる。
【0056】
これにより、ノードn1の電圧V1は、図2に示す時点tr2から、バイアス電流I1Bの電流値(電流値Ir1にミラー比を積算した値)に応じた変化速度で低下してゆく。
【0057】
そして、電圧V1に基づくトランジスタ11のゲート・ソース間電圧が閾値電圧を超える時点tr3でトランジスタ11がオン状態となり、電源電圧VGHが出力端子TOに供給される。その結果、ノードn1の電圧V1は図2に示す時点tr4にて電源電圧VGLに至ると共に、出力信号Soの電圧はバイアス電流I1Bの電流値に応じた変化速度で緩やかに上昇して論理レベル1(VGH)の状態に遷移する。そして、電圧V1が電源電圧VGLに到達すると、バイアス電流I1Bの電流値はゼロとなる。
尚、バイアス部30の可変電流源41は、図2に示す所定期間Twrの前後では、トランジスタ35に流すバイアス電流I1Aの電流値を電流値Ir1よりも低い電流値Ir2に切り換えることで、消費電力を低減させる。このときバイアス電流I1Aの電流値Ir2は、電流値ゼロに設定することも可能である。なお、入力信号Siの電圧の立ち上がり開始時点(tr1)での電流値(Ir2からIr1へ)の切替えに伴う遅延を考慮する場合は、電流値の切替えを行う期間Twrの開始時刻を、入力信号Siの電圧の立ち上がり開始時点(tr1)より少し前に設定してもよい。
【0058】
その後、図2に示すように、時点tf1で入力信号Siが論理レベル1(VGH)の状態から論理レベル0(VGL)の状態に立ち下がる。これにより、インバータ13のトランジスタ13pがオン状態となり、電源電圧VGHがノードn1に供給される。よって、ノードn1の電圧V1が電源電圧VGHに遷移し、トランジスタ11がオフ状態となる。このとき、入力信号Siの変化速度にほぼ追随する速度でノードn1の電圧V1が変化し、トランジスタ11はオン状態からオフ状態へ速やかに変化する。
【0059】
更に、この間、インバータ14のトランジスタ14pがオン状態となることで、トランジスタ16を介して電源電圧VGHがノードn2に供給される。ところで、このような入力信号Siの電圧の立ち下がり時には、バイアス部30の可変電流源42が、図2に示すようにその電圧の立ち下がりの開始時点(tf1)から所定期間Twfに亘り、電流値If1を有するバイアス電流I2Aをトランジスタ36に流す。よって、バッファ部10のトランジスタ16は、当該バイアス電流I2Aをミラーした電流をバイアス電流I2Bとして流すことができる。
【0060】
これにより、ノードn2の電圧V2は、図2に示す時点tf2から、バイアス電流I2Bの電流値(電流値If1にミラー比を積算した値)に応じた変化速度で低下してゆく。
【0061】
そして、電圧V2に基づくトランジスタ12のゲート・ソース間電圧が閾値電圧を超える時点tf3でトランジスタ12がオン状態となり、電源電圧VGLが出力端子TOに供給される。その結果、ノードn2の電圧V2が図2に示す時点tf4にて電源電圧VGHに至ると共に、出力信号Soの電圧はバイアス電流I2Bの電流値に応じた変化速度で緩やかに低下して論理レベル0(VGL)の状態に遷移する。そして、電圧V2が電源電圧VGHに到達すると、バイアス電流I2Bの電流値はゼロとなる。
【0062】
尚、バイアス部30の可変電流源42は、図2に示す所定期間Twfの前後では、トランジスタ36に流すバイアス電流I2Aの電流値を電流値If1よりも低い電流値If2に切り換えることで、消費電力を低減させる。このときバイアス電流I2Aの電流値If2は、電流値ゼロに設定することも可能である。なお、入力信号Siの電圧の立ち下がり開始時点(tf1)での電流値(If2からIf1へ)の切替えに伴う遅延を考慮する場合は、電流値の切替えを行う期間Twfの開始時刻を、入力信号Siの電圧の立ち下がり開始時点(tf1)より少し前に設定してもよい。
【0063】
このように、出力バッファ回路100では、入力信号Siに基づき、バッファ部10の出力制御部19が、出力段のトランジスタ11及び12各々のゲート電圧を制御することで、これらトランジスタ11及び12を相補的にオン状態又はオフ状態に設定する。この際、インバータ13及び14と、トランジスタ15及び16とを含む出力制御部19は、入力信号Siの電圧変化時において、以下のように出力段のトランジスタ11及び12を制御する。
【0064】
つまり、出力制御部19は、トランジスタ11及び12のうちでオン状態にある方のトランジスタのゲート電圧を、入力信号の電圧変化に追従させて変化させることで、このトランジスタを迅速にオフ状態に遷移させる。
【0065】
一方、トランジスタ11及び12のうちでオフ状態にある方のトランジスタのゲート電圧については、出力制御部19は、トランジスタ15及び16に流すバイアス電流I1B及びI2Bの電流値を制御することで、入力信号の電圧変化に対して緩やかに変化させる。これにより、トランジスタ11及び12のうちでオフ状態にある方のトランジスタは、オン状態にあるトランジスタがオフ状態に遷移した後にオン状態になる。よって、入力信号の電圧変化時における出力段のトランジスタ11及び12の同時オンを回避することが可能となる。その結果、トランジスタ11及び12間に流れる瞬時的な貫通電流が防止され、当該貫通電流に伴うEMIの発生及び消費電力の増加が抑止される。
【0066】
また、出力バッファ回路100によれば、図2に示されるように、出力信号Soの電圧の変化が緩やかになるように制御されるので、負荷駆動時の充放電電流の変化速度も抑えられ、EMIの低減が可能となる。
【0067】
更に、出力バッファ回路100では、バイアス電流I1Bを生成する第1のカレントミラー回路(15、35)の入力側に流すバイアス電流I1Aの電流値を、可変電流源41によって図2に示すように制御している。また、バイアス電流I2Bを生成する第2のカレントミラー回路(16、36)の入力側に流すバイアス電流I2Aの電流値を、可変電流源42によって図2に示すように制御している。
【0068】
つまり、可変電流源41は、図2に示すように入力信号Siの立ち上がりの開始時点(tr1)から所定期間Twrの間だけ、トランジスタ11のゲート電圧(V1)を所望の変化速度で緩やかに下降させることができる電流値Ir1を有するバイアス電流I1Aを、第1のカレントミラー回路(15、35)の入力側に流す。可変電流源42は、図2に示すように入力信号Siの立ち下がりの開始時点(tf1)から所定期間Twfの間だけ、トランジスタ12のゲート電圧(V2)を所望の変化速度で緩やかに上昇させることができる電流値If1を有するバイアス電流I2Aを、第2のカレントミラー回路(16、36)の入力側に流す。この際、可変電流源41(42)は、図2に示すように、所定期間Twr(Twf)以外の期間では、バイアス電流I1A(I2A)の電流値を、電流値Ir1(If1)よりも小さい電流値Ir2(If2)に下げる。
【0069】
これにより、カレントミラー回路の入力側に流す電流の電流値を電流値Ir1(If1)に固定している場合に比べて電力消費を抑えることが可能となる。
【0070】
よって、図1に示す出力バッファ回路100によれば、EMIを抑えて高速駆動及び低消費電力化を実現することが可能となる。
【0071】
また、単一のバイアス部30のノードn3及びn4に複数のバッファ部10を接続することで、バイアス部30を共有する出力バッファ回路100の多出力化を省面積で実現することができる。その場合、上記バイアス電流I1A及びI2Aの電流値を変化させる所定期間Twr及びTwfの設定は、複数のバッファ部10にそれぞれ供給される入力信号の立上り開始時点及び立下り開始時点に合せて設定する。
【0072】
また、複数のバッファ部10各々のトランジスタ15及び16のチャネル幅サイズ又は同一サイズのトランジスタの個数を調整することにより、バイアス電流I1B、I2Bの電流ミラー比を個別設定することもできる。これにより、複数のバッファ部10各々の出力信号の駆動能力を駆動する負荷に応じて変えることもできる。但し、バイアス部30は共有しているので、バイアス電流I1A、I2Aの電流値の設定には連動する。
【0073】
尚、図2に示す一例では、トランジスタ11をオフ状態からオン状態に遷移させる、当該トランジスタ11のゲート電圧(V1)における電圧低下の開始時点tr2から電源電圧VGLに至る時点tr4までの全期間を含むように所定期間Twrが設定されている。しかしながら、所定期間Twrとしては、トランジスタ11のゲート電圧(V1)の変化期間(tr2~tr4)内の少なくとも一部の期間を含むように設定されていれば良い。
【0074】
また、図2に示す一例では、トランジスタ12をオフ状態からオン状態に遷移させる、当該トランジスタ12のゲート電圧(V2)における電圧上昇の開始時点tf2から電源電圧VGHに至る時点tf4までの全期間を含むように所定期間Twfが設定されている。しかしながら、所定期間Twfとしては、トランジスタ12のゲート電圧(V2)の変化期間(tf2~tf4)内の少なくとも一部の期間を含むように設定されていれば良い。
【0075】
つまり、駆動制御部20は、上記設定信号(Cs2)と共に、入力信号Siの電圧変化時においてオフ状態にあるトランジスタ(11、12)のゲートの電圧(V1、V2)を変化させる変化期間(tr2~tr4、tf2~tf4)の一部又は全てを含む期間(Twr、Twf)を設定するタイミング信号(Cs1)をバイアス部30に供給すれば良いのである。
【実施例0076】
図3は、出力バッファ回路100の内部動作の他の一例を示すタイムチャートである。
【0077】
尚、図3では、図2と同様な入力信号Siの立ち上がり時及び立ち下がり時に、可変電流源41及び42が流すバイアス電流I1A及びI2Aの電流値を、設定信号Cs2に基づき、図2に示す電流値Ir1及びIf1より小さい電流値Ir1a及びIf1aに変更している。
【0078】
これにより、バッファ部10内に流れるバイアス電流I1B及びI2Bの電流値も小さくなり、その分だけ、図3に示すようにノードn1の電圧V1の立ち下がり速度、及びノードn2の電圧V2の立ち上がり速度が図2に示すものよりも遅くなる。
【0079】
そこで、この電圧V1を目標電圧(VGL)に至らせる為に、バイアス部30の可変電流源41は、タイミング制御信号Cs1に基づき、図3に示すように、図2に示す所定期間Twrよりも長い所定期間Twr1に亘り、電流値Ir1aを有するバイアス電流I1Aを第1のカレントミラー回路(15、35)の入力側に流す。更に、電圧V2を目標電圧(VGH)に至らせる為に、可変電流源42は、タイミング制御信号Cs1に基づき、図3に示すように、図2に示す所定期間Twfよりも長い所定期間Twf1に亘り、電流値If1aを有するバイアス電流I2Aを第2のカレントミラー回路(16、36)の入力側に流す。
【0080】
要するに、駆動制御部20は、設定信号Cs2で設定するバイアス電流I1A及びI2Aの電流値(Ir1、Ir1a、If1、If1a)が大きいほど、所定期間(Twr、Twr1、Twf、Twf1)を短い期間長として示すタイミング制御信号Cs1を生成する。
【0081】
よって、上記したバイアス電流I1A及びI2Aの電流値を高くするほど出力バッファ回路100の出力信号Soの電圧変化が速くなり、駆動能力が高くなるが、その分駆動に必要な所定期間(Twr、Twr1、Twf、Twf1)は短くてよい。したがって、駆動能力が高さに応じて所定期間(Twr、Twr1、Twf、Twf1)を短くすることにより、出力バッファ回路100の駆動に寄与しない所定期間外のバイアス電流I1A及びI2Aの電流値を削減し、低消費電力化を図ることができる。
【実施例0082】
図4は、出力バッファ回路100の内部動作の更に他の一例を示すタイムチャートである。
【0083】
図4では、図2と同様な入力信号Siの立ち上がり時及び立ち下がり時に、可変電流源41及び42が流すバイアス電流I1A及びI2Aの電流値を夫々複数の電流値に切り換えている。
【0084】
すなわち、図4に示すように、電圧V1の立ち下がり時には、可変電流源41は、時点tr1から時点tr3の経過後の時点tr5までの期間Twraに亘り、電流値Ir1を有するバイアス電流I1Aを第1のカレントミラー回路(15、35)の入力側に流す。そして、この時点tr5から時点tr4までの期間Twrbに亘り、駆動制御部20及び可変電流源41は、電流値Ir1より低く且つ電流値Ir2より大なる電流値Ir3を有するバイアス電流I1Aを第1のカレントミラー回路(15、35)の入力側に流す。
【0085】
また、図4に示すように、電圧V2の立ち上がり時には、可変電流源42は、時点tf1から時点tf3の経過後の時点tf5までの期間Twfaに亘り、電流値If1を有するバイアス電流I2Aを第2のカレントミラー回路(16、36)の入力側に流す。そして、この時点tf5から時点tf4までの期間Twfbに亘り、駆動制御部20及び可変電流源42は、電流値If1より低く且つ電流値If2より大なる電流値If3を有するバイアス電流I2Aを第2のカレントミラー回路(16、36)の入力側に流す。
【0086】
このような入力信号Siの立ち上がり時及び立ち下がり時におけるバイアス電流I1A及びI2A各々の電流値の切り替えにより、図4に示すように、電圧V1、V2及び出力信号So各々の電圧の変化速度も変化する。
【実施例0087】
図5Aは、図1に示す可変電流源41の構成を示す回路図である。
【0088】
可変電流源41は、定電流源43A、43A_1~43A_k(kは2以上の整数)と、夫々がスイッチ素子としてのPチャネルMOS型のトランジスタ44A_1~44A_kと、電流セレクタ410と、を含む。
【0089】
定電流源43A、43A_1~43A_kは、例えば電源電圧VDDが印加されている電源端子と図1に示すトランジスタ35のドレインに接続されているノードn41Aとの間に並列形態で接続されている。トランジスタ44A_1~44A_kは、定電流源43A_1~43A_kに夫々対応して設けられている。トランジスタ44A_1~44A_k各々のドレインは、そのトランジスタに対応する定電流源に接続されており、各ソースがノードn41Aに共通に接続されている。
【0090】
電流セレクタ410は、タイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2に基づき、トランジスタ44A_1~44A_kを個別にオン状態又はオフ状態に設定する制御電圧Csp_1~Csp_kを生成し、夫々をトランジスタ44A_1~44A_k各々のゲートに供給する。
【0091】
図5Aに示す構成により、トランジスタ44A_1~44A_kのうちでオン状態に設定されているトランジスタに接続されている定電流源と、定電流源43Aとから夫々送出された電流の合計電流がバイアス電流I1Aとなる。
【0092】
尚、タイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2及び図5Aに示す可変電流源41の回路を電源電圧VSS~VDDの範囲に設定する場合は、トランジスタ35のドレインとノードn41Aの間にクランプ素子を設けてもよい。例えば、トランジスタ35のドレインとノードn41Aの間に、クランプ素子となる電源電圧VGL~VGHで動作可能なPチャネル型のトランジスタを接続し、そのゲートに電源電圧VSS又はVSS近傍電圧を供給することにより、ノードn41Aの電圧を電源電圧VSS以上に保つことができる。
【0093】
図5Bは、図1に示す可変電流源42の構成を示す回路図である。
【0094】
可変電流源42は、定電流源45A、45A_1~45A_k(kは2以上の整数)と、夫々がスイッチ素子としてのNチャネルMOS型のトランジスタ46A_1~46A_kと、電流セレクタ420と、を含む。
【0095】
定電流源45A、45A_1~45A_kは、例えば電源電圧VSSが印加されている電源端子と図1に示すトランジスタ36のドレインに接続されているノードn42Aとの間に並列形態で接続されている。トランジスタ46A_1~46A_kは、定電流源45A_1~45A_kに夫々対応して設けられている。トランジスタ46A_1~46A_k各々のソースは、そのトランジスタに対応する定電流源に接続されており、各ドレインがノードn42Aに共通に接続されている。
【0096】
電流セレクタ420は、タイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2に基づき、トランジスタ46A_1~46A_kを個別にオン状態又はオフ状態に設定する制御電圧Csn_1~Csn_kを生成し、夫々をトランジスタ46A_1~46A_k各々のゲートに供給する。
【0097】
図5Bに示す構成により、トランジスタ46A_1~46A_kのうちでオン状態に設定されているトランジスタに接続されている定電流源と、定電流源45Aとから夫々送出された電流の合計電流が電流I12となる。
【0098】
尚、タイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2及び図5Bに示す可変電流源42の回路を電源電圧VSS~VDDの範囲に設定する場合は、トランジスタ36のドレインとノードn42Aの間にクランプ素子を設けてもよい。例えば、トランジスタ36のドレインとノードn42Aの間に、クランプ素子となる電源電圧VGL~VGHで動作可能なNチャネル型のトランジスタを接続し、そのゲートに電源電圧VDD又はVDD近傍電圧を供給することにより、ノードn42Aの電圧を電源電圧VDD以下に保つことができる。
【実施例0099】
図6は、図1に示す出力バッファ回路100の変形例としての出力バッファ回路100Aの構成を示す回路図である。出力バッファ回路100Aは、バッファ部10A及びバイアス部30を含み、出力バッファ回路100Aに入力信号Si、タイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2を供給する駆動制御部20を備える。
【0100】
尚、図6に示す構成では、図1に示すバッファ部10に代えてバッファ部10Aを採用したものであり、駆動制御部20及びバイアス部30については、図1に示されるものと同一である。
【0101】
バッファ部10Aは、Pチャネル型のトランジスタ11及びNチャネル型のトランジスタ12からなる出力段と、これらトランジスタ11及び12各々のゲート電圧を制御する出力制御部19Bと、を備える。
【0102】
トランジスタ11のソースには電源電圧VGHが印加されており、トランジスタ12のソースには電源電圧VGLが印加されている。トランジスタ11及び12各々のドレインは出力端子TOに接続されており、当該出力端子TOに生じた電圧(VGL、VGH)を有する2値(論理レベル0又は1)の信号が出力信号Soとして出力される。
【0103】
出力制御部19Bは、Pチャネル型のトランジスタ13B及び16Bと、Nチャネル型のトランジスタ14B及び15Bと、を含む。
【0104】
トランジスタ13B及び14B各々のゲートには、ノードTiを介して入力信号Siが供給されている。
【0105】
トランジスタ13Bのソースには電源電圧VGHが印加されており、そのドレインは、ノードn1を介してトランジスタ16Bのソース、トランジスタ15Bのドレイン、及びトランジスタ11のゲートに夫々接続されている。
【0106】
トランジスタ14Bのソースには電源電圧VGLが印加されており、そのドレインは、ノードn2を介してトランジスタ16Bのドレイン、トランジスタ15Bのソース、及びトランジスタ12のゲートに夫々接続されている。
【0107】
トランジスタ15Bのゲートには、バイアス部30で生成されたバイアス電圧VBNが供給されており、トランジスタ16Bのゲートには、バイアス部30で生成されたバイアス電圧VBPが供給されている。
【0108】
尚、出力制御部19Bは、図1に示す出力制御部19と構成が異なるが、入力信号Siと、可変電流源41及び42が流すバイアス電流I1A及びI2Aとそのミラー電流であるバイアス電流I1B及びI2Bに基づき出力段のトランジスタ11及び12各々のゲート電圧を制御する作用は同様である。
【0109】
例えば、入力信号Siが論理レベル0の状態から論理レベル1の状態に遷移するとき、トランジスタ13B及び14Bは夫々オフ状態及びオン状態となり、ノードn2が電源電圧VGHの状態から電源電圧VGLの状態に遷移することでトランジスタ11がオン状態からオフ状態に速やかに遷移する。このとき、バイアス部30のトランジスタ35と、バッファ部10Aのトランジスタ15Bとが疑似的にカレントミラー回路を構成し、バイアス部30で生成されたバイアス電流I1Aのミラー電流としてのバイアス電流I1Bがトランジスタ15Bで生成される。これにより、トランジスタ11のゲート電圧(V1)をバイアス電流I1B(I1Aのミラー電流)に対応した変化速度で引き下げる。したがって出力信号Soの電圧の変化速度もバイアス電流I1Aにより制御される。
【0110】
また、入力信号Siが論理レベル1の状態から論理レベル0の状態に遷移するときも同様の作用により、出力信号Soの電圧の変化速度はバイアス電流I2Aにより制御される。尚、トランジスタ13B及び14Bの電流駆動能力はトランジスタ15B及び16Bの電流駆動能力より大きく設定される。
【0111】
ここで、図6に示される出力バッファ回路100Aにおいても、図1に示す出力バッファ回路100と同様に、2値の入力信号Siに基づくゲート電圧(V1、V2)をトランジスタ11及び12各々のゲートに供給して両者を相補的にオン状態にすることで、電源電圧VGH又はVGLを有する2値の出力信号Soを出力する。この際、出力バッファ回路100と同様に出力バッファ回路100Aでも、入力信号の電圧変化時に、トランジスタ11及び12のうちのオフ状態にある方のトランジスタのゲート電圧を、バイアス部30が生成したバイアス電流の電流値に基づく変化速度で緩やかに変化させる。これにより、トランジスタ11及び12のうちでオン状態にある方のトランジスタがオフ状態に遷移した後で、オフ状態にある方のトランジスタがオン状態に遷移する。よって、トランジスタ11及び12の同時オンが回避され、両トランジスタ間に流れる瞬時的な貫通電流が防止されるので、当該貫通電流に伴うEMIの発生が抑止される。
【0112】
更に、出力バッファ回路100Aでは出力バッファ回路100と同様に、入力信号の電圧変化に応じて所定期間(Twr、Twr1、Twf、Twf1)に亘りバイアス電流I1A(I2A)の電流値を第1の電流値Ir1(If1)に設定し、この所定期間以外の期間では当該第1の電流値より小さい第2の電流値Ir2(If2)に切り替える。これにより、入力信号の電圧変化に応じて、トランジスタ11及び12のうちのオフ状態にある方のトランジスタのゲート電圧をバイアス電流I1A(I2A)の電流値Ir1(If1)に基づく所望の変化速度で緩やかに変化させ、出力信号の電圧も同様に所望の変化速度で緩やかに変化させることが可能となる。また、出力バッファ回路100Aの駆動に寄与しない所定期間(Twr、Twr1、Twf、Twf1)以外では、バイアス電流I1A(I2A)の電流値を電流値Ir2(If2)に削減し、低消費電力化を図ることができる。
【0113】
よって、図6に示す出力バッファ回路100Aでも図1に示す出力バッファ回路100と同様に、EMIの発生を抑えて、消費電力及び回路面積を抑制することが可能となる。
【0114】
尚、本発明に係る出力バッファ回路としては、上記した図1又は図6に示す回路構成に限定されない。
【0115】
要するに、本発明に係る出力バッファ回路としては、以下の第1及び第2のトランジスタ、出力制御部及びバイアス部を有するものであれば良い。
【0116】
第1導電型(Pチャネル型)の第1のトランジスタ(11)は、自身のゲートで受けた入力信号(Si)の電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧(VGH)を出力端子(TO)に供給する。
【0117】
第2導電型(Nチャネル型)の第2のトランジスタ(12)は、自身のゲートで受けた入力信号(Si)の電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧(VGH)より低い第2の電源電圧(VGL)を出力端子(TO)に供給する。
【0118】
出力制御部(19、19B)は、入力信号の電圧変化時に、第1及び第2のトランジスタ(11、12)のうちでオフ状態にある方のトランジスタのゲートの電圧をバイアス電流(I1A、I2A、I1B、I2B)の電流値に基づく変化速度で変化させることで、このオフ状態にあるトランジスタをオン状態に遷移させる。
【0119】
上記したバイアス電流を生成するバイアス部(30)は、入力信号の電圧変化に応じて、所定期間(Twr、Twr1、Twf、Twf1)に亘りバイアス電流I1A(I2A)の電流値を第1の電流値(Ir1、If1)に設定し、所定期間以外の期間では当該バイアス電流の電流値を第1の電流値(Ir1、If1)より小さい第2の電流値(Ir2、If2)に切り替える。
【実施例0120】
図7は、上記したバッファ部10(10A)を複数設けて多出力化した多出力型の出力バッファ回路500の構成を示すブロック図である。
【0121】
図7に示すように、出力バッファ回路500は、バイアス部30、及びM(Mは2以上の整数)個のバッファ部10_1~10_Mを含み、出力バッファ回路500の動作を制御する駆動制御部20Aを備える。
【0122】
尚、バッファ部10_1~10_Mの各々は、図1に示すバッファ部10又は図6に示すバッファ部10Aと同一の構成を有する。また、バイアス部30も図1又は図6に示されるバイアス部30と同一の構成を有する。
【0123】
駆動制御部20Aは、夫々が電源電圧VGL~VGHの振幅で電圧(信号レベル)が変化するM個の2値(論理レベル0又は1)の入力信号Si_1~Si_Mを生成し、夫々をノードTi_1~Ti_Mを介してバッファ部10_1~10_Mに供給する。更に、駆動制御部20Aは、上記した駆動制御部20と同様に、生成したタイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2をバイアス部30に供給する。
【0124】
バイアス部30は、上記したようにタイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2に基づき生成したバイアス電圧VBN及びVBPを夫々ノードn3及びn4を介してバッファ部10_1~10_Mに供給する。
【0125】
バッファ部10_1~10_Mは、入力信号Si_1~Si_Mを個別に増幅した出力信号So_1~So_Mを出力端子TO_1~TO_Mから出力する。
【0126】
このように、出力バッファ回路500によれば、出力数の増加に対してバイアス部30を少なくとも1系統だけ設ければ良いので、出力バッファ回路500自体の回路面積を省面積化することが可能となる。
【実施例0127】
図8は、図7に示す出力バッファ回路500を含む表示装置600の概略構成を示すブロック図である。
【0128】
表示装置600は、データドライバ120と、画面の水平方向に沿って配置されているゲート線GL1~GLr(rは2以上の整数)及び各ゲート線に交叉して配置されているデータ線DL1~DLm(mは2以上の整数)を有する表示パネル150と、を含む。尚、表示装置600は、データ線DL1~DLmを例えば3本毎にグループ化し、そのグループの各々内で1水平走査期間内で3つのデータ線を1つずつ時分割にて駆動する時分割駆動方式を採用している。また、表示パネル150には、ゲート線GL1~GLrの各々とデータ線DL1~DLm各々との交叉部に、各画素を担う表示セル154が形成されている。
【0129】
更に、表示パネル150上には、走査ドライバ110_1及び110_2と、マルチプレクサMX1~MXk(kは2以上の整数)と、が配置されている。
【0130】
走査ドライバ110_1は、ゲート線GL1~GLr各々の一端に接続されており、走査ドライバ110_2は、ゲート線GL1~GLr各々の他端に接続されている。走査ドライバ110_1は、データドライバ120から供給されたゲート線タイミング信号群GSにて示されるタイミングでゲート選択信号を生成し、ゲート線GL1~GLr各々の一端に順に供給する。走査ドライバ110_2は、データドライバ120から供給されたゲート線タイミング信号群GSにて示されるタイミングでゲート選択信号を生成し、ゲート線GL1~GLr各々の他端に順に供給する。
【0131】
マルチプレクサMX1~MXkの各々は、データドライバ120から各画素に対応した階調電圧信号Ds1~Dskを個別に受ける1つの入力端と、データ線DL1~DLmのうちの同一グループの3つのデータ線に接続されている3つの出力端と、この入力端と3つの出力端各々との間を個別に接続又は遮断するスイッチSW1~SW3を含む。スイッチSW1~SW3は、データドライバ120から供給されたデータ線選択信号Sa、Sb、Scによって、順次択一的にオン状態に設定される。
【0132】
データドライバ120は、駆動制御部200、電源電圧生成部90、階調電圧出力部125、出力バッファ回路BU1及びBU2を含む。データドライバ120は、例えば単一又は複数の半導体チップからなり、その外部から、映像データ信号VDS及び各種制御信号を受ける。出力バッファ回路BU1及びBU2は、それぞれ図7に示す出力バッファ回路500で構成される。
【0133】
駆動制御部200は、当該映像データ信号VDSに対して所定の信号処理(説明せず)を施すことで各画素の輝度レベルを表す映像データ片の系列を取得し、階調電圧出力部125に供給する。更に、駆動制御部200は、上記した各種制御信号に基づきマルチプレクサMX1~MXk各々のスイッチSW1~SW3を順に択一的にオン状態に設定する第1~第3のデータ線切替信号、及びゲート線を選択するタイミングを示すゲート線タイミング信号の基となる制御信号群を夫々入力信号Si_1~Si_Mとして出力バッファ回路BU1及びBU2に供給する。また駆動制御部200は、出力バッファ回路BU1及びBU2の夫々のバイアス部へ、タイミング制御信号Cs1及び設定信号Cs2を供給する。
【0134】
電源電圧生成部90は、外部電源電圧を受け、当該外部電源電圧に基づき各モジュールを動作させる内部電源電圧を生成し、これを駆動制御部200、階調電圧出力部125、出力バッファBU1及びBU2に供給する。
【0135】
階調電圧出力部125は、駆動制御部200から供給された映像データの系列によって表される各画素の輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧信号Ds1~Dskを生成し、夫々をマルチプレクサMX1~MXk各々の入力端に供給する。
【0136】
出力バッファBU1及びBU2の各々は、図7に示すような複数のバッファ部10_1~10_M、単一のバイアス部30を含む。また図7に示す駆動制御部20Aの制御は図8の駆動制御部200で行われる。
【0137】
出力バッファBU1及びBU2の各々は、駆動制御部200から供給された第1~第3のデータ線切替信号の基となる制御信号群を入力信号Si_1~Si_3として受け、ゲート線タイミング信号の基となる制御信号群を入力信号Si_4~Si_Mとして受ける。
【0138】
そして、出力バッファBU1及びBU2の各々は、入力信号Si_1~Si_3に応じて出力される出力信号So_1~So_3をデータ線選択信号Sa~ScとしてマルチプレクサMX1~MXkの各々に供給する。
【0139】
更に、出力バッファBU1は、入力信号Si_4~Si_Mに応じて出力される出力信号So_4~So_Mを、ゲート線タイミング信号群GSとして走査ドライバ110_1に供給する。同様に、出力バッファBU2は、入力信号Si_4~Si_Mに応じて出力される出力信号So_4~So_Mを、ゲート線タイミング信号群GSとして走査ドライバ110_2に供給する。
【0140】
尚、図8は、表示装置600として、表示パネル150のデータ線DL1~DLmを3本毎にグループ化し、各グループ毎に、1水平走査期間内で3つのデータ線を時分割駆動する際に適用される構成を示しているが、1水平走査期間内で時分割駆動するデータ線の本数は3本に限定されない。
【0141】
要するに、表示装置600としては、表示画面の水平方向に沿って伸張する第1~第m(mは2以上の整数)のデータ線(DL1~DLm)、表示画面の垂直方向に沿って伸張する複数のゲート線(GL1~GLr)、及び以下の走査ドライバを含む表示パネルと、データドライバと、を含むものであれば良い。
【0142】
すなわち、走査ドライバ(110_1、110_2)は、ゲート線タイミング信号(GS)を受け当該ゲート線タイミング信号に応じたタイミングでゲート選択信号を複数のゲート線(GL1~GLr)の各々に供給する。
【0143】
表示パネル(150)には、更に、第1~第mのデータ線のj(jは2以上の整数)個毎に設けられており、夫々が1つの入力端を有し、データ線選択信号(Sa~Sc)に応じてj個のデータ線の各々を順次択一的に1つの入力端に接続する(m/j)個のマルチプレクサ(MX1~MXk)が配置されている。
【0144】
データドライバ(120)は、映像データ信号(VDS)を受け、この映像データ信号に基づき各画素の輝度レベルに対応した電圧値を有する(m/j)個の階調電圧信号(Ds1~Dsk)を生成し、夫々を(m/j)個のマルチプレクサ各々の入力端に供給する。尚、当該データドライバは、上記した出力バッファ回路(図1図6図7)を含み、ゲートタイミング信号又はデータ線選択信号を出力バッファ回路の出力信号として表示パネルに供給する。
【実施例0145】
図9は、表示装置600の出力バッファBU1及びBU2から出力される各種信号(Sa~Sc、GS)のうちから、マルチプレクサMX1~MXk各々のスイッチSW1~SW3を順に択一的にオン状態に設定する第1~第3のデータ線切替信号を出力信号OUT1~OUT3として抜粋して、バイアス電流の制御動作を示すタイムチャートである。
【0146】
図9に示すように、映像データ信号VDSにおける垂直ブランク期間Vblk内では、バイアス部30の可変電流源41及び42は、バイアス電流I1A及びI2Aの電流値をゼロにすることで、バイアス部30の動作を停止する。更に、垂直ブランク期間Vblk内では、図9に示すように、データ線切替信号OUT1~OUT3は電源電圧VGL固定状態となる。
【0147】
一方、映像データ信号VDSにおける表示期間Act内では、データ線切替信号OUT1~OUT3各々の電圧の立ち上り時点毎に、その時点から所定期間Twrに亘り電流値Ir1を有し、その他の期間は電流値Ir1より低い電流値Ir2を有するバイアス電流I1Aを、第1のカレントミラー回路(35、15)の入力側に流す。また、表示期間Actでは、データ線切替信号OUT1~OUT3各々の電圧の立ち下がり時点毎に、その時点から所定期間Tfrに亘り電流値If1を有し、その他の期間は電流値If1より低い電流値If2を有するバイアス電流I2Aを、第2のカレントミラー回路(36、16)の入力側に流す。
【0148】
このように、出力バッファ回路BU1及びBU2は、垂直ブランク期間Vblk内では、バイアス電流I1B及びI2Bの電流値を設定するバイアス電流I1A(I2A)をゼロとする。
【0149】
また、出力バッファ回路BU1及びBU2は、表示期間Act内では、データ線切替信号OUT1~OUT3各々の電圧変化時において所定期間Twr(Twf)の間だけ当該バイアス電流I1A(I2A)を所望の電流値Ir1(If1)とし、それ以外の期間は電流値Ir1(If1)より低い電流値Ir2(If2)に切り替えている。
【0150】
これにより、出力バッファ回路BU1及びBU2各々のバイアス部30で消費される平均消費電流が小さくなり、低消費電力が図られるようになる。
【0151】
尚、上記した出力バッファ回路(図1図6図7)は、図9に示すようなデータドライバ120内に設けて、高電圧の2値の制御信号を表示パネル150の走査ドライバやマルチプレクサへ供給する例を説明したが、例えば、出力バッファ回路がデータドライバとは別の半導体装置で構成される場合など、データドライバ以外の半導体装置から高電圧の2値の制御信号を表示パネル内の薄膜トランジスタ回路へ供給する構成においても、図1図6図7の出力バッファ回路を適用することもできる。その場合は、当該出力バッファ回路を搭載する半導体装置は、EMIの発生を抑え、消費電力及び回路面積の低減が可能となる。
【符号の説明】
【0152】
10、10A バッファ部
11、12、15、16、35、36 トランジスタ
20 駆動制御部
30 バイアス部
41、42 可変電流源
100、100A 出力バッファ回路
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9