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特開2024-134202導体配置構造及び導体配置構造形成用キット
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  • 特開-導体配置構造及び導体配置構造形成用キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134202
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】導体配置構造及び導体配置構造形成用キット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/74 20060101AFI20240926BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01R13/74 A
H01R13/52 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044391
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝嘉
(72)【発明者】
【氏名】若林 哲
(72)【発明者】
【氏名】越川 智輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正信
(72)【発明者】
【氏名】杉原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】三浦 剛
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087FF03
5E087FF06
5E087FF15
5E087GG02
5E087LL12
5E087MM09
5E087MM12
5E087QQ04
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】車両の外板への穴開け追加加工をせずに、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造及び導体配置構造の形成に用いられる導体配置構造形成用キットを提供する。
【解決手段】導体配置構造は、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造であって、車両用外装パネルと、導体を備える。車両用外装パネルが、外装部品の固定に用いられるボルト挿通孔を有する。ボルト挿通孔の少なくとも一部を、その内部に導体を配置して電気的な接続に用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造であって、
車両用外装パネルと、導体を備え、
前記車両用外装パネルが、外装部品の固定に用いられるボルト挿通孔を有し、
前記ボルト挿通孔の少なくとも一部を、その内部に前記導体を配置して電気的な接続に用いた
ことを特徴とする導体配置構造。
【請求項2】
頭部と雄ネジ部を有するボルト型であり、軸芯部位に軸線方向に貫通した貫通孔を有する絶縁部材と、シール部材を備え、
前記絶縁部材は、前記シール部材を貫通させた前記雄ネジ部を前記ボルト挿通孔に固定することで、前記頭部と前記車両用外装パネルとで前記シール部材を挟持しており、
前記導体が、前記貫通孔に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の導体配置構造。
【請求項3】
前記ボルト挿通孔が、前記外装部品の一つの取付箇所に2個あり、
一方のボルト挿通孔側に配置されたプラス電極と、他方のボルト挿通孔側に配置されたマイナス電極を有するコネクタ構造を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の導体配置構造。
【請求項4】
前記コネクタ構造が、前記車両に固定された固定側コネクタ部と、前記固定側コネクタ部と分離可能な分離側コネクタ部を有することを特徴とする請求項3に記載の導体配置構造。
【請求項5】
前記導体が、前記導体が絶縁被覆されたワイヤ状部、前記ワイヤ状部が複数束ねられたケーブル状部、又は前記ワイヤ状部若しくは前記ケーブル状部の末端にコネクタを備えたハーネス状部を有することを特徴とする請求項1に記載の導体配置構造。
【請求項6】
車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造の形成に用いられるキットであって、
前記導体配置構造は、車両用外装パネルと、導体を備え、
前記車両用外装パネルが、外装部品の固定に用いられるボルト挿通孔を有し、
前記ボルト挿通孔の少なくとも一部を、その内部に前記導体を配置して電気的な接続に用い、
導体と、頭部と雄ネジ部を有するボルト型であり、軸芯部位に軸線方向に貫通した貫通孔を有する絶縁部材と、シール部材を備え、
前記絶縁部材は、前記シール部材を貫通させる前記雄ネジ部を前記ボルト挿通孔に固定することで、前記頭部と前記車両用外装パネルとで前記シール部材を挟持し、
前記導体が、前記貫通孔に配置される
ことを特徴とする導体配置構造形成用キット。
【請求項7】
前記ボルト挿通孔が、前記外装部品の一つの取付箇所に2個あり、
一方のボルト挿通孔側に配置されるプラス電極と、他方のボルト挿通孔側に配置されるマイナス電極を有するコネクタ構造を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の導体配置構造形成用キット。
【請求項8】
前記コネクタ構造が、前記車両に固定される固定側コネクタ部と、前記固定側コネクタ部と分離可能な分離側コネクタ部を有することを特徴とする請求項7に記載の導体配置構造形成用キット。
【請求項9】
前記分離側コネクタ部が分離された前記固定側コネクタ部に設けられるコネクタカバーを備えたことを特徴とする請求項8に記載の導体配置構造形成用キット。
【請求項10】
前記導体が、前記導体が絶縁被覆されたワイヤ状部、前記ワイヤ状部が複数束ねられたケーブル状部、又は前記ワイヤ状部若しくは前記ケーブル状部の末端にコネクタを備えたハーネス状部を有することを特徴とする請求項6に記載の導体配置構造形成用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体配置構造及び導体配置構造形成用キットに係り、さらに詳細には、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造及び導体配置構造の形成に用いられる導体配置構造形成用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の外板で隔てられた車外アンテナ素子と車内アンテナ素子とを備える車両用アンテナ装置を開示している。この車両用アンテナ装置においては、車外アンテナ素子と車内アンテナ素子に入力する高周波信号の位相を互いに反転にし、その入力方向を互いに略反対方向にしている。そして、車外アンテナ素子に入力する高周波信号は、外板に設けられた貫通孔を貫通する電線を介して流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-271326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような車両用アンテナ装置においては、貫通孔がアンテナのケーブル専用の孔である。そのため、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造をさらに形成しようとすると、車両の外板への穴開け追加加工を必要とし、車両を傷つけてしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、車両の外板への穴開け追加加工をせずに、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造及び導体配置構造の形成に用いられる導体配置構造形成用キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、外装部品の固定に用いられるボルト挿通孔を有する車両用外装パネルにおいて、ボルト挿通孔の少なくとも一部をその内部に導体を配置して電気的な接続に用いたことにより、前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の導体配置構造は、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造であって、車両用外装パネルと、導体を備える。
車両用外装パネルが、外装部品の固定に用いられるボルト挿通孔を有する。
ボルト挿通孔の少なくとも一部を、その内部に導体を配置して電気的な接続に用いる。
【0008】
また、本発明の導体配置構造形成用キットは、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造の形成に用いられるキットである。
導体配置構造は、車両用外装パネルと、導体を備える。
車両用外装パネルが、外装部品の固定に用いられるボルト挿通孔を有する。
ボルト挿通孔の少なくとも一部を、その内部に導体を貫装して電気的な接続に用いる。
導体配置構造形成用キットは、頭部と雄ネジ部を有するボルト型であり、軸芯部位に軸線方向に貫通した貫通孔を有する絶縁部材と、シール部材を備える。
絶縁部材は、シール部材を貫通させる雄ネジ部をボルト挿通孔に固定することで、頭部と車両用外装パネルとでシール部材を挟持する。
導体が、貫通孔に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外装部品の固定に用いられるボルト挿通孔を有する車両用外装パネルにおいて、ボルト挿通孔の少なくとも一部をその内部に導体を配置して電気的な接続に用いたため、車両の外板への穴開け追加加工をせずに、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造及び導体配置構造の形成に用いられる導体配置構造形成用キットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の導体配置構造の一実施形態を車両に搭載した状態を模式的に示す平面図である。
図2図1に示した導体配置構造をII-II線に沿って切った状態を模式的に示す断面図である。
図3図2に示した導体配置構造を固定側コネクタ部と分離側コネクタ部とで分離した状態を模式的に示す断面図である。
図4図3に示した固定側コネクタ部にコネクタカバーを設けた状態を模式的に示す断面図である。
図5図2に示した固定側コネクタ部の分解状態を模式的に示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の導体配置構造及び導体配置構造形成用キットについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
(導体配置構造)
図1及び図2に示すように、本実施形態の導体配置構造1は、車両Vの室内側Vaと室外側Vbを電気的に接続するものである。導体配置構造1は、車両用外装パネル10と、導体20(20A~20H)を備えている。ここで、車両用外装パネル10としては、例えば、ルーフパネル、ルーフサイドパネルを挙げることができる。
【0013】
図1に示した車両用外装パネル(ルーフパネル)10においては、その縁部にルーフキャリアの取付箇所を8個有している。また、このボルト挿通孔10aは、ルーフキャリアを取り付けない場合には、ボルト13と図示しないゴムシール部材とで封止されている。
【0014】
図2に示した車両用外装パネル10(ルーフパネル)においては、例えば、図示しないルーフキャリアなどの外装部品の1つの取付箇所に固定に用いられるボルト挿通孔10aを2個有している。
【0015】
そして、ボルト挿通孔10aの少なくとも一部を、ボルト挿通孔10aの内部に導体20(20E)を配置して電気的な接続に用いている。なお、ルーフキャリアを取り付ける場合、8箇所全てのボルト挿通孔10aを利用せずに、例えば、4箇所や6箇所のボルト挿通孔10aを利用して取付可能なルーフキャリアもある。そのため、ルーフキャリアの固定に用いられるボルト挿通孔10aをこのような電気的な接続に利用できる。
【0016】
さらに、図2に示すように、導体配置構造1は、絶縁部材30,30と、シール部材40を備えていることが好ましい。絶縁部材30は、頭部30Aと雄ネジ部30Bを有するボルト型であり、軸芯部位30aに軸線方向に貫通した貫通孔30bを有していることが好ましい。例えば、絶縁部材30やシール部材40は、樹脂からなるものを用いることが好ましい。また、シール部材40は、ゴムからなるものを用いることも好ましい。シール部材40は、シート状であるものを用いることも好ましい。
【0017】
絶縁部材30は、シール部材40を貫通させた雄ネジ部30Bを車両用外装パネル10に設けた雌ネジとして機能するナット11に螺入して固定することで、頭部30Aと車両用外装パネル10とでシール部材40を挟持していることが好ましい。
【0018】
導体20(20E)は、貫通孔30bに配置されていることが好ましい。また、導体20(20A~20H)は、所望の導体配置構造を形成できれば、特に限定されるものではない。導体配置構造における絶縁性、形成性の向上の観点からは、例えば、導体が絶縁被覆されたワイヤ状部、ワイヤ状部が複数束ねられたケーブル状部、又はワイヤ状部若しくはケーブル状部の末端にコネクタを備えたハーネス状部を有していることが好ましい。
【0019】
さらに、この導体配置構造1は、一方のボルト挿通孔10a側に配置されたプラス電極50Aと、他方のボルト挿通孔10a側に配置されたマイナス電極50Bを有するコネクタ構造50を有していることが好ましい。
【0020】
さらに、図2及び図3に示すように、コネクタ構造50は、車両Vに固定された固定側コネクタ部51と、固定側コネクタ部51と分離可能な分離側コネクタ部53を有していることが好ましい。
【0021】
図3に示すような電気的に接続していない状態において、図3中の分離側コネクタ部53を図中矢印Aで示すように固定側コネクタ部51側に移動させることにより、図2に示すような電気的に接続した状態になる。
【0022】
図2及び図3に示した導体配置構造1においては、固定側コネクタ部51側のプラス電極50A及びマイナス電極50Bの形状タイプがメス型であり、分離側コネクタ部53側のプラス電極50A及びマイナス電極50Bの形状タイプがオス型である。
【0023】
固定側コネクタ部51は、プラス電極50A、マイナス電極50Bを外部からの衝撃等から保護する保護部材511を有しており、導体20D等の絶縁性や防水性を確保する充填材513を有している。保護部材511としては、例えば、樹脂や金属からなるものを用いることが好ましい。また、充填材513としては、シリコーン樹脂のようないわゆるコーキング材として用いられるものを用いることが好ましい。
【0024】
固定側コネクタ部51側においては、プラス電極50A、マイナス電極50Bを有する導体20D,20Dが、その一部を貫通する雄ネジとして機能するボルト型の導体20E,20Eと雌ネジとして機能する接続用金属部材21,21とで車両用外装パネル10に固定されている。接続用金属部材21とナット11との間には、これらの絶縁性を確保する絶縁用樹脂部材31が設けられている。導体20E,20Eと導体20F,20Gを接続するために、導体20F,20Gが接続用金属部材21,21同士で挟持されている。さらに、導体20F,20Gが導体20Hに接続されている。これにより、導体20D~20Hによる電気的な接続が可能になる。ここで、導体20D~20Gは金属導体であることが好ましく、ボルト型の導体20Eの直径は3~4mm程度とすることが好ましい。また、金属導体は適宜メッキされていてもよい。また、導体20Hはハーネス状部を有している。また、接続用金属部材21としては、例えば、導体20Dと同様の金属導体を適用することができる。さらに、絶縁用樹脂部材31としては、例えば、絶縁部材30やシール部材40と同様の樹脂製やゴム製のものを適用することができる。このような固定側コネクタ部51においては、例えば、導体20D~20G等を適宜組立た後、保護部材511内に充填材513を充填することが好ましい。
【0025】
分離側コネクタ部53は、プラス電極50Aとマイナス電極50Bを外部からの衝撃等から保護する保護部材531を有しており、導体20B,20C等の絶縁性や固定性等を確保する固定材533を有している。保護部材531としては、例えば、樹脂や金属からなるものを用いることが好ましい。固定材533としては、例えば、樹脂からなるものを用いることが好ましい。
【0026】
分離側コネクタ部53側においては、保護部材531に導体20Aが接続され、プラス電極50A、マイナス電極50Bを末端に有する導体20B、20Cが導体20Aに接続されている。これにより、導体20A~20Cによる電気的な接続が可能になる。ここで、導体20Aはハーネス状部を有している。また、導体20B,20Cはワイヤ状部を有している。このような分離側コネクタ部53においては、例えば、導体20B,20Cを型内に適宜配置した後、樹脂製の保護部材531と固定材533をモールド成形することによって一体成形してもよく、導体20B,20Cと金属製の保護部材531を型内に適宜配置した後、樹脂製の固定材533をモールド成形によって一体成形してもよい。
【0027】
上述の導体配置構造1は、車両Vの室内側Vaと室外側Vbとの電気的な接続が不要なときには、図4に示すように、分離側コネクタ部53が分離された固定側コネクタ部51にコネクタカバー55を設けることが好ましい。
【0028】
コネクタカバー55は、プラス電極50Aとマイナス電極50Bを保護する保護部材551を有しており、コネクタカバー55を固定側コネクタ部に固定する固定材553を有している。なお、固定材553の凸部555がメス型のプラス電極50Aとマイナス電極50Bに嵌合することで、コネクタカバー55が固定側コネクタ部51に固定される。
【0029】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態によれば、図示しない外装部品の固定に用いられるボルト挿通孔10aを有する車両用外装パネル10において、ボルト挿通孔10aの少なくとも一部をボルト挿通孔10aの内部に導体20を配置して電気的な接続に用いたので、車両の外板への穴開け追加加工をせずに、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造を提供できる。
【0030】
また、本実施形態によれば、ボルト型の絶縁部材30とシール部材40とを上述のように組み合わせ、さらに導体20(20E)を絶縁部材30の貫通孔30bに配置したので、導体と車両用外装パネルとの絶縁性を向上させることができ、さらに、絶縁部材と車両用外装パネルとの間の防水性を向上させることができるという利点がある。
【0031】
さらに、本実施形態によれば、導体配置構造1がプラス電極50Aとマイナス電極50Bを有するコネクタ構造50を有しているので、導体配置構造の形成が容易であるという利点がある。
【0032】
さらに、本実施形態によれば、コネクタ構造50が固定側コネクタ部51と分離側コネクタ部53を有しているので、車両Vの室内側Vaと室外側Vbとの電気的な接続が不要なときには、分離側コネクタ部53を容易に取り外すことができるという利点がある。
【0033】
さらに、本実施形態によれば、導体20として種々の形状、仕様のものを用いたので、ボルト挿通孔を適切に利用した導体配置構造を提供できるという利点がある。
【0034】
上述の導体配置構造によって、車両の外板への穴開け追加加工をせずに、例えば、ルーフパネルに設置したソーラーパネルで発電した電力を車両の室内側で利用することができる。また、上述の導体配置構造によって、車両の外板への穴開け追加加工をせずに、例えば、車両の室内に設置したバッテリーで発電した電力をルーフキャリアに設けたワークランプで利用することができる。
【0035】
(導体配置構造形成用キット)
本実施形態の導体配置構造形成用キットは、上述した導体配置構造の形成に用いられるキットである(図1図4参照)。導体配置構造において説明した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
導体配置構造形成用キットは、上述した導体20と絶縁部材30とシール部材40を備えている。また、図5は、導体配置構造形成用キットの一例である図2に示した固定側コネクタ部の分解状態を模式的に示す分解図である。なお、説明の便宜上、図5には、ナット11を有する車両用外装パネル10を示している。
【0037】
さらに、導体配置構造形成用キットは、上述したコネクタ構造50を有していることが好ましい。これらを容易に形成できるプラス電極50A、マイナス電極50B等を有していてもよい。
【0038】
コネクタ構造50は、上述した固定側コネクタ部51と分離側コネクタ部53を有していることが好ましい。これらを容易に形成できる保護部材511,531、充填材513,固定材533を有していてもよい。
【0039】
さらに、導体配置構造形成用キットは、上述したコネクタカバー55を備えていることが好ましい。
【0040】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態によれば、上述した導体20と絶縁部材30とシール部材40を備えているので、車両の外板への穴開け追加加工をせずに、車両の室内側と室外側を電気的に接続した導体配置構造を容易に形成できる導体配置構造形成用キットを提供できる。
【0041】
また、本実施形態によれば、上述したコネクタ構造50を有しているので、導体配置構造をより容易に形成できる導体配置構造形成用キットを提供できるという利点がある。
【0042】
さらに、本実施形態によれば、コネクタ構造50が上述した固定側コネクタ部51と分離側コネクタ部53を有しているので、車両Vの室内側Vaと室外側Vbとの電気的な接続が不要なときには、分離側コネクタ部53を容易に取り外すことができるという利点がある。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、導体配置構造形成用キットが上述したコネクタカバー55を備えているので、車両の室内側と室外側との電気的な接続が不要なときには、分離側コネクタ部が取り外された固定側コネクタ部を保護することができるという利点がある。
【0044】
さらに、本実施形態によれば、導体20として種々の形状、仕様のものを用いたので、ボルト挿通孔を適切に利用した導体配置構造を容易に形成できる導体配置構造形成用キットを提供できるという利点がある。
【0045】
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 導体配置構造
10 車両用外装パネル
10a ボルト挿通孔
11 ナット
13 ボルト
20,20A~20H 導体
21 接続用金属部材
30 絶縁部材
30a 軸心部位
30b 貫通孔
30A 頭部
30B 雄ネジ部
31 絶縁用樹脂部材
40 シール部材
50 コネクタ構造
50A プラス電極
50B マイナス電極
51 固定側コネクタ部
511 保護部材
513 充填材
53 分離側コネクタ部
531 保護部材
533 固定材
55 コネクタカバー
551 保護部材
553 固定材
555 凸部
V 車両
Va 室内側
Vb 室外側
図1
図2
図3
図4
図5