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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134203
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】プログラムおよび音響装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/54 20140101AFI20240926BHJP
【FI】
A63F13/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044393
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 貴奈
(72)【発明者】
【氏名】北川 貴大
(57)【要約】
【課題】第1キャラクタが音声を発しているときに第2キャラクタが音声(第1キャラクタが発している音声と同様の音声)を発し始めるシーンのリアリティを向上させる。
【解決手段】音響処理部は、仮想空間における音を再生するための音響処理を行う。音響処理部は、それぞれが一連の語句からなる複数の節で構成された連続音声を第1キャラクタが発しているときに、第2キャラクタが連続音声を発し始めるというシーンにおいて、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第i番目の節の開始タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を構成する複数の節のうち第j番目の節から連続音声を発し始めるように、音響処理を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
複数のキャラクタが配置された仮想空間を制御する仮想空間制御部と、
前記仮想空間における音を再生するための音響処理を行う音響処理部として機能させ、
前記音響処理部は、それぞれが一連の語句からなる複数の節で構成された連続音声を前記複数のキャラクタの1つである第1キャラクタが発しているときに、前記複数のキャラクタのうち前記第1キャラクタではない第2キャラクタが前記連続音声を発し始めるというシーンにおいて、前記第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第i番目の節の開始タイミングに同期して、前記第2キャラクタが前記連続音声を構成する複数の節のうち第j番目の節から前記連続音声を発し始めるように、前記音響処理を行う
プログラム。
【請求項2】
請求項1のプログラムにおいて、
前記jは、前記iと同一である
プログラム。
【請求項3】
請求項1のプログラムにおいて、
前記第i番目の節は、前記第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち前記第1キャラクタから次に発せられる節である
プログラム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つのプログラムを記憶する記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部とを備える
音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラムおよび音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の音源オブジェクトが配置された仮想3次元空間を表現するゲームシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-094160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような仮想空間において、第1キャラクタが音声を発しているときに第2キャラクタが音声(第1キャラクタが発している音声と同様の音声)を発し始めるというシーンを設けることが考えられる。しかしながら、特許文献1には、上記のようなシーンについて開示がなく、どのようにして上記のようなシーンのリアリティを向上させるのかについて、開示も示唆もない。
【0005】
本開示の目的は、第1キャラクタが音声を発しているときに第2キャラクタが音声(第1キャラクタが発している音声と同様の音声)を発し始めるというシーンのリアリティを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを、
複数のキャラクタが配置された仮想空間を制御する仮想空間制御部と、
前記仮想空間における音を再生するための音響処理を行う音響処理部として機能させ、
前記音響処理部は、それぞれが一連の語句からなる複数の節で構成された連続音声を前記複数のキャラクタの1つである第1キャラクタが発しているときに、前記複数のキャラクタのうち前記第1キャラクタではない第2キャラクタが前記連続音声を発し始めるというシーンにおいて、前記第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第i番目の節の開始タイミングに同期して、前記第2キャラクタが前記連続音声を構成する複数の節のうち第j番目の節から前記連続音声を発し始めるように、前記音響処理を行う
プログラムである。
【0007】
第1の態様において、
前記jは、前記iと同一であってもよい。
【0008】
第1の態様において、
前記第i番目の節は、前記第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち前記第1キャラクタから次に発せられる節であってもよい。
【0009】
第2の態様は、
第1の態様のプログラムを記憶する記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部とを備える
音響装置である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、第1キャラクタが音声を発しているときに第2キャラクタが音声(第1キャラクタが発している音声と同様の音声)を発し始めるというシーンのリアリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のゲーム装置の構成を例示するブロック図である。
図2】第1キャラクタが音声を発しているときに第2キャラクタが音声を発し始めるというシーンを例示する概略図である。
図3】第1キャラクタおよび第2キャラクタにより発せられる連続音声を例示するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態を詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。また、以下では、プログラムをゲームプログラムとして実装し、音響装置をゲーム装置として実現した例を説明する。
【0013】
(ゲームの説明)
以下の説明におけるゲームは、仮想空間内において行われるゲーム(ビデオゲーム)のことである。仮想空間は、三次元のゲーム空間であり、画像としてディスプレイに表示される。仮想空間内には、オブジェクトが配置される。オブジェクトの例としては、プレイヤ(ユーザ)により操作されるプレイヤキャラクタ、コンピュータにより操作されるノンプレイヤキャラクタなどが挙げられる。
【0014】
また、オブジェクトには、仮想空間内において仮想の音源となる音源オブジェクトが含まれる。音源オブジェクトの例としては、仮想空間内において動作するオブジェクト、仮想空間内において音の出力のみを行うオブジェクトなどが挙げられる。
【0015】
そして、以下の説明におけるゲームでは、音が再生される。ゲームにおいて再生される音には、音源オブジェクトから出力される音、BGM(Background Music)、効果音などが含まれる。音源オブジェクトから出力される音の例としては、足音や風切り音などのオブジェクトの動作に伴う音、鳴き声や台詞などのオブジェクトが発する音などが挙げられる。
【0016】
以下では、説明の便宜上、ゲームの例として「プレイヤキャラクタが敵キャラクタを攻撃して倒していく対戦型のアクションゲーム」を挙げている。敵キャラクタは、ノンプレイヤキャラクタの一例である。プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタは、音源オブジェクトの一例である。なお、ゲームの種別などには限定はない。
【0017】
(ゲーム装置)
図1は、実施形態のゲーム装置10の構成を例示する。ゲーム装置10は、ユーザによる操作に応じてゲームを実行する。ゲーム装置10には、ディスプレイ21と、スピーカ22と、コントローラ23とが外部接続または内蔵される。ゲーム装置10は、音響装置の一例である。
【0018】
ゲーム装置10には、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などの、市販の装置を利用できる。
【0019】
ゲーム装置10では、インストールされたゲームプログラムおよびゲームデータに基づいてゲームが進行する。ゲーム装置10同士は、通信ネットワーク(図示を省略)または近距離無線通信装置(図示を省略)を用いて、互いにデータ通信を行うことができる。
【0020】
〔ゲーム装置のハードウェア構成〕
ゲーム装置10は、ネットワークインターフェース11、グラフィック処理部12、オーディオ処理部13、操作部14、記憶部15、制御部16を備える。ネットワークインターフェース11、グラフィック処理部12、オーディオ処理部13、操作部14、記憶部15は、バス17を介して制御部16と電気的に接続される。
【0021】
ネットワークインターフェース11は、例えば、他のゲーム装置10や外部のサーバ装置(図示を省略)との間で各種データを送受信するために、通信ネットワーク(図示を省略)に通信可能に接続される。
【0022】
グラフィック処理部12は、ディスプレイ21(例えば液晶ディスプレイ)と接続される。グラフィック処理部12は、制御部16から出力されるゲーム画像情報に従って、仮想空間における各種のオブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ21上に表示される。
【0023】
オーディオ処理部13は、スピーカ22と接続される。オーディオ処理部13は、制御部16の指示に従って、デジタルのゲーム音を再生する。具体的には、オーディオ処理部13は、制御部16が出力した音声データをアナログ信号に変換し、スピーカ22に出力する。
【0024】
オーディオ処理部13は、三次元的な音の再生を行うために、多チャンネルの音声出力をできるように構成される。それに合わせて、ゲーム装置10には、複数のスピーカ22が接続される。これらのスピーカ22は、三次元的な音の再生ができるように、聴取者(例えばゲームのプレイヤ)の左右、前後、上方などに配置される場合がある。
【0025】
操作部14は、コントローラ23と接続される。操作部14は、信号をコントローラ23との間で送受信する。ゲームのプレイヤは、コントローラ23のボタンなどの各種操作子を操作することで、ゲーム装置10に信号(命令やデータなど)を入力する。
【0026】
記憶部15は、各種の情報およびデータを記憶する。記憶部15は、HDD、SSD、RAM、ROMなどで構成される。例えば、記憶部15は、ゲームデータ、ゲームプログラムを含む各種のプログラムなどを記憶する。ゲームデータの例としては、ゲーム媒体、ユーザのアカウント情報などが挙げられる。
【0027】
また、記憶部15は、予め準備された各種の音声データを記憶する。各種の音声データには、プレイヤキャラクタや敵キャラクタなどの音源オブジェクトから出力される音を示す音声データ、ゲームにおいて再生される楽曲(BGM)を示す音声データ、効果音を示す音声データなどが含まれる。
【0028】
制御部16は、ゲーム装置10の動作を制御する。制御部16は、各種の情報およびデータを送受信し、各種の情報およびデータを処理する。制御部16は、CPU(マイクロコンピュータ)と半導体メモリと有する。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムやデータなどが格納される。
【0029】
〔制御部の機能的構成〕
ゲーム装置10の制御部16は、ゲーム進行部100と音響処理部101とを有する。具体的には、制御部16は、ゲームプログラムを実行することで、ゲーム進行部100、音響処理部101として機能する。
【0030】
〈ゲーム進行部(仮想空間制御部)〉
ゲーム進行部100は、仮想空間内において行われるゲームを進行する。ゲーム進行部100は、複数のキャラクタが配置された仮想空間を制御する仮想空間制御部の一例である。
【0031】
この例では、ゲーム進行部100は、ゲーム装置10を使用するユーザ(すなわちゲームのプレイヤ)の操作に応じて、仮想空間内においてプレイヤキャラクタを動作させることで、ゲームを進行する。また、ゲーム進行部100は、ノンプレイヤキャラクタや所定のオブジェクト(例えば乗り物など)も仮想空間内において動作させる。例えば、ゲーム進行部100は、AI(artificial intelligence)によってノンプレイヤキャラクタや所定のオブジェクトの動作を制御する。そして、ゲーム進行部100は、プレイヤキャラクタやノンプレイヤキャラクタの動作に応じて、ゲームを進行させる。
【0032】
〈音響処理部〉
音響処理部101は、仮想空間における音を再生するための音響処理を行う。この例では、音響処理部101は、音響処理において、ゲームの進行に応じた音声データを生成する。
【0033】
具体的には、音響処理部101は、ゲームの進行に応じて、記憶部15に記憶された音声データ(予め用意された各種の音声データ)の中から再生すべき音声データを選択し、その選択された音声データ(または選択された複数の音声データを合成して得られる新たな音声データ)をオーディオ処理部13に出力する。
【0034】
音響処理部101は、音声データを出力する際に、オーディオ処理部13に、その音量を指示する。オーディオ処理部13は、音響処理部101から出力された音声データを、指示された音量のアナログ信号に変換し、スピーカ22に出力する。これにより、音響処理部101により生成された音声データに応じた音がスピーカ22から再生される。
【0035】
なお、音響処理部101は、音声の再生のために音像定位を行う。音像定位は、人間(ユーザ)が感じる音源の位置を、仮想空間内の所定の仮想位置(例えば音源オブジェクトの位置)に定位させる処理のことである。
【0036】
音像定位を行うために、音響処理部101は、仮想空間内に仮想マイクを設定し、仮想空間内に配置された仮想マイクにより得られた音を含む音声データを生成する。なお、仮想マイクは、仮想の聴取者(集音点)であり、音響処理部101による音像定位の基準点である。仮想マイクは、指向性を有してもよい。この例では、図2に示すように、仮想マイクM0は、プレイヤキャラクタC0の近傍に配置され、プレイヤキャラクタC0の移動に追従して移動する。
【0037】
具体的には、音響処理部101は、音像定位処理(音像定位のための処理)において、スピーカ22から出力される音が仮想マイクにより得られた音を含む音となるように、仮想マイクの集音状況(例えば、仮想空間内における音源オブジェクトに対する仮想マイクの位置および方向、音源オブジェクトから出力される音の音量および方向など)に応じて音声データを生成する。
【0038】
音像定位処理により生成された音声データがオーディオ処理部13において処理されることで、仮想空間内において仮想の音源(音源オブジェクト)から出力された音を、あたかも仮想マイクで集音したかのような音響表現で、スピーカ22から出力することが可能となる。
【0039】
〔同期開始シーン〕
この実施形態では、仮想空間内におけるシーンの1つとして、複数のキャラクタのうち第1キャラクタが連続音声を発しているときに、複数のキャラクタのうち第1キャラクタではない第2キャラクタが連続音声(第1キャラクタから発せられている連続音声と同様の連続音声)を発し始めるというシーン(以下では「同期開始シーン」と記載)が設けられる。
【0040】
具体的には、図2に示すように、仮想空間内において進行するゲームのシーンの1つとして、プレイヤキャラクタC0の近くにいる第1キャラクタC1が連続音声を発しているときに、プレイヤキャラクタC0に近づいてきた第2キャラクタC2が連続音声を発し始めるというシーンが設けられる。このシーンは、同期開始シーンの一例である。
【0041】
図2の例では、第1キャラクタC1および第2キャラクタC2は、複数のキャラクタのうちプレイヤキャラクタではない他キャラクタであり、例えば、敵キャラクタである。第1キャラクタC1および第2キャラクタC2は、「無声状態」と「発声準備状態」と「発声状態」と「無声準備状態」とに切り換えられる。無声状態は、連続音声を発していない状態のことである。発声準備状態は、連続音声を発することを開始しようとしている状態のことである。発声状態は、連続音声を発している状態のことである。無声準備状態は、連続音声を発することを終了しようとしている状態のことである。
【0042】
図3に示すように、連続音声は、複数の節で構成される。複数の節の各々は、一連の語句からなる。例えば、1つの節を構成する一連の語句は、予め定められた纏まりのある語または句の集合である。連続音声の例としては、呪文のような長い台詞、詩、歌などが挙げられる。
【0043】
図3の例では、連続音声は、「かごめかごめ」という歌(童謡)であり、それぞれが歌詞を示す6つの節で構成される。第1キャラクタC1は、連続音声を繰り返し発する。具体的には、第1キャラクタC1は、連続音声を構成する複数の節のうち最後の節(図3の例では第6番目の節)を発し終えると、連続音声を構成する複数の節のうち最初の節(第1番目の節)を発し始める。
【0044】
〔同期開始シーンに関する音響処理部の動作〕
次に、図3を参照して、音響処理部101の動作(同期開始シーンに関する動作)について説明する。
【0045】
まず、音響処理部101は、仮想空間内におけるシーンが「同期開始シーン」であるか否かを判定する。例えば、音響処理部101は、ゲーム進行部100により進行されるゲームの進行状況に基づいて、仮想空間内におけるシーンがどのようなシーンであるのかを検出する。
【0046】
具体的には、音響処理部101は、ゲーム進行部100により進行されるゲームの進行状況に基づいて、プレイヤキャラクタC0の周囲(例えばプレイヤキャラクタC0の位置を基準とする所定範囲内)に配置されたキャラクタの状態がどのような状態であるのかを検出する。そして、音響処理部101は、プレイヤキャラクタC0の周囲に配置された複数のキャラクタのうち少なくとも1つが「発声状態」であり、且つ、残りのキャラクタのうち少なくとも1つが「発声準備状態」である場合に、仮想空間内におけるシーンが「同期開始シーン」であると判定する。
【0047】
なお、キャラクタの状態が「発声準備状態」であると判定される状況の例としては、プレイヤキャラクタC0の近傍範囲内(例えばプレイヤキャラクタC0の位置を基準とする所定範囲内)にキャラクタが入るという状況、プレイヤキャラクタC0が存在する空間(例えば部屋)にキャラクタが入るという状況、キャラクタがプレイヤキャラクタC0と戦闘状態になるという状況などが挙げられる。
【0048】
仮想空間内におけるシーンが「同期開始シーン」である場合、音響処理部101は、同期開始処理を行う。同期開始処理において、音響処理部101は、第1キャラクタ(発声状態であるキャラクタ)から発せられた連続音声を構成する複数の節のうち第i番目の節の開始タイミングに同期して、第2キャラクタ(発声準備状態であるキャラクタ)が連続音声を構成する複数の節のうち第j番目の節から連続音声を発し始めるように、音響処理を行う。
【0049】
上記のiは、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する第2キャラクタに連続音声を発することを開始させる開始タイミングとなる節の番号を示す。上記のjは、連続音声を構成する複数の節のうち第2キャラクタが最初に発する節の番号を示す。iおよびjは、自然数である。
【0050】
具体的には、同期開始処理において、音響処理部101は、第1キャラクタの連続音声の第i番目の節の開始タイミングと、第2キャラクタの連続音声の第j番目の節の開始タイミングとが一致するように、第1キャラクタの連続音声を示す第1音声データと、第2キャラクタの連続音声を示す第2音声データとを合成する。これにより、「第1キャラクタから発せられる連続音声の第i番目の節の開始タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声の第j番目の節から連続音声を発し始める」という合成音声を示す合成音声データが生成される。そして、音響処理部101は、その合成音声データをオーディオ処理部13に出力する。これにより、上記の合成音声がスピーカ22から再生される。
【0051】
なお、この例では、jは、iと同一である。すなわち、音響処理部101は、同期開始シーンにおいて、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第i番目の節の開始タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を構成する複数の節のうち第i番目(j=i)の節から連続音声を発し始めるように、音響処理を行う。
【0052】
また、この例では、第i番目の節は、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち「第1キャラクタから次に発せられる節(現在発声中の節の次の節)」である。例えば、音響処理部101は、同期開始シーンにおいて、連続音声を構成する複数の節のうち「第1キャラクタから発せられている第k番目の節」において第2キャラクタの状態が「無声状態」から「発声準備状態」になる場合、連続音声を構成する複数の節のうち「第1キャラクタから次に発せられる第k+1番目(i=k+1)の節」の開始タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を発し始めるように、音響処理を行う。
【0053】
図3の例では、第1キャラクタから連続音声の第2番目の節が発せられている期間に含まれる時刻t1において、第2キャラクタの状態が「無声状態」から「発声準備状態」に遷移し、仮想空間内におけるシーンが「同期開始シーン」となる。そして、時刻t2になると、第1キャラクタから連続音声の第3番目の節が発し始められると同時に、第2キャラクタから連続音声の第3番目の節が発し始められる。
【0054】
〔同期終了シーン〕
また、この実施形態では、仮想空間内におけるシーンの1つとして、第1キャラクタおよび第2キャラクタが連続音声を発しているときに、第2キャラクタが連続音声を発し終えるというシーン(以下では「同期終了シーン」と記載)が設けられる。
【0055】
具体的には、仮想空間内において進行するゲームのシーンの1つとして、プレイヤキャラクタC0の近くにいる第1キャラクタC1および第2キャラクタC2が連続音声を発しているときに、第2キャラクタC2が連続音声を発し終えるというシーンが設けられる。このシーンは、同期終了シーンの一例である。
【0056】
〔同期終了シーンに関する音響処理部の動作〕
次に、図3を参照して、音響処理部101の動作(同期終了シーンに関する動作)について説明する。
【0057】
まず、音響処理部101は、仮想空間内におけるシーンが「同期終了シーン」であるか否かを判定する。具体的には、音響処理部101は、プレイヤキャラクタC0の周囲に配置された複数のキャラクタのうち少なくとも1つが「発声状態」であり、且つ、残りのキャラクタのうち少なくとも1つが「無声準備状態」である場合に、仮想空間内におけるシーンが「同期終了シーン」であると判定する。
【0058】
なお、キャラクタの状態が「無声準備状態」であると判定される状況の例としては、プレイヤキャラクタC0の近傍範囲内(例えばプレイヤキャラクタC0の位置を基準とする所定範囲内)からキャラクタが出るという状況、プレイヤキャラクタC0が存在する空間(例えば部屋)からキャラクタが出るという状況、キャラクタがプレイヤキャラクタC0と非戦闘状態になるという状況などが挙げられる。
【0059】
仮想空間内におけるシーンが「同期終了シーン」である場合、音響処理部101は、同期終了処理を行う。同期終了処理において、音響処理部101は、第1キャラクタ(発声状態であるキャラクタ)から発せられた連続音声を構成する複数の節のうち第m番目の節の終了タイミングに同期して、第2キャラクタ(無声準備状態であるキャラクタ)が連続音声を構成する複数の節のうち第n番目の節において連続音声を発し終えるように、音響処理を行う。
【0060】
上記のmは、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する第2キャラクタに連続音声を発することを終了させる終了タイミングとなる節の番号を示す。上記のnは、連続音声を構成する複数の節のうち第2キャラクタが最後に発する節の番号を示す。mおよびnは、自然数である。また、mからnを減算して得られる値(m-n)は、iからjを減算して得られる値(i-j)と同一である。
【0061】
具体的には、同期終了処理において、音響処理部101は、第1キャラクタの連続音声の第m番目の節の終了タイミングと、第2キャラクタの連続音声の第n番目の節の終了タイミングとが一致するように、第1キャラクタの連続音声を示す第1音声データと、第2キャラクタの連続音声を示す第2音声データとを合成する。これにより、「第1キャラクタから発せられる連続音声の第m番目の節の終了タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声の第n番目の節において連続音声を発し終える」という合成音声を示す合成音声データが生成される。そして、音響処理部101は、その合成音声データをオーディオ処理部13に出力する。これにより、上記の合成音声がスピーカ22から再生される。
【0062】
なお、この例では、nは、mと同一である。すなわち、音響処理部101は、同期終了シーンにおいて、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第m番目の節の終了タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を構成する複数の節のうち第m番目(n=m)の節において連続音声を発し終えるように、音響処理を行う。
【0063】
また、この例では、第m番目の節は、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち「第1キャラクタから発せられている最中の節(現在発声中の節)」である。例えば、音響処理部101は、同期終了シーンにおいて、連続音声を構成する複数の節のうち「第1キャラクタから発せられている第p番目の節」において第2キャラクタの状態が「発声状態」から「無声準備状態」になる場合、連続音声を構成する複数の節のうち「第1キャラクタから発せられている第p番目(m=p)の節」の終了タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を発し終えるように、音響処理を行う。
【0064】
図3の例では、第1キャラクタから連続音声の第6番目の節が発せられている期間に含まれる時刻t3において、第2キャラクタの状態が「発声状態」から「無声準備状態」に遷移し、仮想空間内におけるシーンが「同期終了シーン」となる。そして、時刻t4になると、第1キャラクタから連続音声の第6番目の節が発し終えられると同時に、第2キャラクタから連続音声の第6番目の節が発し終えられて第2キャラクタの連続音声が終了する。
【0065】
〔実施形態の総括〕
以上を纏めると、実施形態のゲームプログラムは、コンピュータ(制御部16)を、複数のキャラクタが配置された仮想空間を制御する仮想空間制御部(ゲーム進行部100)と、仮想空間における音を再生するための音響処理を行う音響処理部101として機能させる。音響処理部101は、それぞれが一連の語句からなる複数の節で構成された連続音声を複数のキャラクタの1つである第1キャラクタが発しているときに、複数のキャラクタのうち第1キャラクタではない第2キャラクタが連続音声を発し始めるというシーンにおいて、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第i番目の節の開始タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を構成する複数の節のうち第j番目の節から連続音声を発し始めるように、音響処理を行う。
【0066】
実施形態の音響装置(ゲーム装置10)は、上記プログラムを記憶する記憶部15と、上記プログラムを実行する制御部16とを備える。
【0067】
〔実施形態の効果〕
以上のように、実施形態では、音響処理部101は、同期開始シーンにおいて、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第i番目の節の開始タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を構成する複数の節のうち第j番目の節から連続音声を発し始めるように、音響処理を行う。このような構成により、第1キャラクタから発せられる連続音声の途中から第2キャラクタから発せられる連続音声を自然に(違和感の少ない状態で)同期させることができる。これにより、同期開始シーンのリアリティを向上させることができる。
【0068】
また、実施形態では、jは、iと同一である。音響処理部101は、同期開始シーンにおいて、第1キャラクタから発せられる連続音声の第i番目の節の開始タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声の第i番目(j=i)の節から連続音声を発し始めるように、音響処理を行う。このような構成により、第1キャラクタから発せられる連続音声と第2キャラクタから発せられる連続音声とを完全に同期させることができる。
【0069】
また、実施形態では、第i番目の節は、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち「第1キャラクタから次に発せられる節(現在発声中の節の次の節)」である。このような構成により、第1キャラクタから発せられる連続音声と第2キャラクタから発せられる連続音声との同期を迅速に開始することができる。
【0070】
また、実施形態では、音響処理部101は、同期終了シーンにおいて、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第m番目の節の終了タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を構成する複数の節のうち第n番目の節において連続音声を発し終えるように、音響処理を行う。なお、m-nは、i-jと同一である。このような構成により、第1キャラクタから発せられる連続音声の途中において第2キャラクタから発せられる連続音声を自然に(違和感の少ない状態で)終了させることができる。これにより、同期終了シーンのリアリティを向上させることができる。
【0071】
また、実施形態では、nは、mと同一である。音響処理部101は、同期終了シーンにおいて、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち第m番目の節の終了タイミングに同期して、第2キャラクタが連続音声を構成する複数の節のうち第m番目(n=m)の節において連続音声を発し終えるように、音響処理を行う。このような構成により、第1キャラクタから発せられる連続音声と第2キャラクタから発せられる連続音声との同期の開始から終了までの期間において、これらの連続音声を完全に同期させることができる。
【0072】
また、実施形態では、第m番目の節は、第1キャラクタから発せられる連続音声を構成する複数の節のうち「第1キャラクタから発せられている最中の節(現在発声中の節)」である。このような構成により、第1キャラクタから発せられる連続音声と第2キャラクタから発せられる連続音声との同期を迅速に終了させることができる。
【0073】
(その他の実施形態)
以上の説明では、jがiと同一である場合を例に挙げたが、これに限定されない。jはiと異なってもよい。同様に、nがmと同一である場合を例に挙げたが、nはmと異なってもよい。例えば、jがiと異なる場合、第1キャラクタから発せられる連続音声に対して第2キャラクタから発せられる連続音声が輪唱のように同期する。
【0074】
また、以上の説明では、第i番目の節が「第1キャラクタから次に発せられる節(現在発声中の節の次の節)」である場合を例に挙げたが、これに限定されない。同様に、第m番目の節が「第1キャラクタから発せられている最中の節(現在発声中の節)」である場合を例に挙げたが、これに限定されない。
【0075】
また、以上の説明では、2つのキャラクタ(第1キャラクタと第2キャラクタ)の間において連続音声を同期させる場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、第1キャラクタを含む複数のキャラクタと第2キャラクタを含む複数のキャラクタとの間において連続音声を同期させてもよい。具体的には、同期開始シーンは、第1キャラクタを含む複数のキャラクタから連続音声が同期して発せられているときに、第2キャラクタを含む複数のキャラクタが連続音声を同期して発し始めるというシーンであってもよい。
【0076】
また、以上の説明において、連続音声を構成する複数の節の各々の時間長さは、同一であってもよいし、それぞれ異なってもよい。なお、jがiと異なる場合、連続音声を構成する複数の節の各々の時間長さは、同一であることが好ましい。
【0077】
また、以上の説明において、音声データは、必ずしも予め用意しておく必要はない。何らかのデータないしは情報を基に、その都度、音声データを合成したり生成したりしてもよい。
【0078】
また、以上の説明において、ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装されてもよい。この場合、ゲーム装置10の制御部16において行われる処理は、サーバ装置の制御部(図示省略)において行われてもよいし、ゲーム装置10とサーバ装置の制御部とで分担されてもよい。ゲーム装置10は、スマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末であってもよい。
【0079】
また、以上の説明では、仮想空間の例として、ゲームが進行する仮想空間(ゲーム空間)を挙げたが、これに限定されない。例えば、仮想空間は、アバター同士がコミュニケーションをとる仮想空間(メタバース空間)であってもよい。
【0080】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0081】
10 ゲーム装置(音響装置)
11 ネットワークインターフェース
12 グラフィック処理部
13 オーディオ処理部
14 操作部
15 記憶部
16 制御部
17 バス
21 ディスプレイ
22 スピーカ
23 コントローラ
100 ゲーム進行部(仮想空間制御部)
101 音響処理部
図1
図2
図3