(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134230
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】カーテンエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/232 20110101AFI20240926BHJP
B60R 21/213 20110101ALI20240926BHJP
【FI】
B60R21/232
B60R21/213
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044429
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】南 雄太
(72)【発明者】
【氏名】濱田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅教
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA04
3D054AA07
3D054AA18
3D054CC04
3D054CC10
3D054CC11
3D054CC34
3D054CC42
3D054DD14
3D054FF16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エアバッグの容量を抑制しつつ車外放出防止性能を発揮可能なカーテンエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】ガスを発生するインフレータと、車両前後方向一端側に、前記ガスによって膨張する膨張部23Aと、前記ガスが流入しない非膨張領域22Bと、を有するエアバッグ20と、前記エアバッグの上部に設けられ、前記エアバッグを前記ルーフサイドレール51に固定する固定部材と、を備え、前記エアバッグの膨張展開状態において、前記非膨張領域は、前記複数の開口のうちの車両長手方向の最も端にある開口の一部を覆い、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域を囲って配置され、最も端にある開口にインパクタ80を打ち込んだ時、前記インパクタは、前記非膨張領域と当接し、かつ、前記膨張部のうち前記非膨張領域の車両下方側に位置する下方膨張部27は、前記インパクタの下端と前記車両側部の内装材との間に挟まれるカーテンエアバッグ装置である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフサイドレールに取り付けられ、前記ルーフサイドレール及び車両側部の内装材によって区画された複数の開口を覆って膨張展開するカーテンエアバッグ装置であって、
ガスを発生するインフレータと、
車両前後方向一端側に、前記ガスによって膨張する膨張部と、前記ガスが流入しない非膨張領域と、を有するエアバッグと、
前記エアバッグの上部に設けられ、前記エアバッグを前記ルーフサイドレールに固定する固定部材と、を備え、
前記エアバッグの膨張展開状態において、前記非膨張領域は、前記複数の開口のうちの車両長手方向の最も端にある開口の一部を覆い、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域を囲って配置され、
前記最も端にある開口にインパクタを打ち込んだ時、前記インパクタは、前記非膨張領域と当接し、かつ、前記膨張部のうち前記非膨張領域の車両下方側に位置する下方膨張部は、前記インパクタの下端と前記車両側部の内装材との間に挟まれることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【請求項2】
車両のルーフサイドレールに取り付けられ、前記ルーフサイドレール及び車両側部の内装材によって区画された複数の開口を覆って膨張展開するカーテンエアバッグ装置であって、
ガスを発生するインフレータと、
車両前後方向一端側に、前記ガスによって膨張する膨張部と、前記ガスが流入しない非膨張領域と、を有するエアバッグと、
前記エアバッグの上部に設けられ、前記エアバッグを前記ルーフサイドレールに固定する固定部材と、を備え、
前記エアバッグの膨張展開状態において、前記非膨張領域は、前記複数の開口のうちの車両長手方向の最も端にある開口の一部を覆い、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域を囲って配置され、
前記最も端にある開口にインパクタを打ち込んだ時、前記インパクタは、前記非膨張領域と当接し、
前記エアバッグの展開状態において、前記膨張部のうち前記非膨張領域の車両下方側に位置する下方膨張部の車両上下方向における長さは、前記最も端にある開口の車両上下方向における長さの15%以上であることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【請求項3】
車両のルーフサイドレールに取り付けられ、前記ルーフサイドレール及び車両側部の内装材によって区画された複数の開口を覆って膨張展開するカーテンエアバッグ装置であって、
ガスを発生するインフレータと、
車両前後方向一端側に、前記ガスによって膨張する膨張部と、前記ガスが流入しない非膨張領域と、を有するエアバッグと、
前記エアバッグの上部に設けられ、前記エアバッグを前記ルーフサイドレールに固定する固定部材と、を備え、
前記エアバッグの膨張展開状態において、前記非膨張領域は、前記複数の開口のうちの車両長手方向の最も端にある開口の一部を覆い、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域を囲って配置され、
前記最も端にある開口にインパクタを打ち込んだ時、前記インパクタは、前記非膨張領域と当接し、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域よりも端部側に、屈曲して前記内装材の車両上下方向における対向した縁部の間に挟まれるストッパー部を有し、
前記エアバッグの膨張展開状態であって前記インパクタを打ち込む前の状態において、前記ストッパー部の車両上下方向における長さは、前記内装材の対向した縁部間の車両上下方向における距離よりも長いことを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のカーテンエアバッグ装置であって、
前記エアバッグの膨張展開状態であって前記インパクタを打ち込む前の状態において、前記ストッパー部の上方部の車両幅方向における厚みと、前記ストッパー部の下方部の車両幅方向における厚みとの和は、前記内装材の対向した縁部間の車両上下方向における前記距離よりも長いことを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のカーテンエアバッグ装置において、
前記膨張部は、前記ストッパー部を区切る接合部を有し、
前記ストッパー部は、前記接合部で屈曲することを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンエアバッグ装置に関する。より詳しくは、自動車等の車両のルーフサイドレールに取り付けられ、車両の緊急時に車両側壁の上方から下方へ膨張展開し、乗員を保護するカーテンエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンエアバッグ装置は、ルーフサイドレールと天井材との間の空間等に収納され、車両の側面衝突時等の緊急時に、乗員を保護するために、ガスが導入されて膨張したエアバッグを車室内(以下、単に「車内」ともいう)に展開させる装置である。
【0003】
アメリカの法規であるFMVSS226にて定められたロールオーバー試験では、乗員の頭部が通り抜け可能なサイズの開口(サイドウィンドウ等)は乗員の頭部に相当するヘッドインパクタを当てた際に乗員の頭部がすり抜けないように、カーテンエアバッグ装置のエアバッグで覆っている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のカーテンエアバッグ装置では、車両前後方向中間部に比較的範囲の大きい非膨張領域を設け、乗員が車室外(以下、単に「車外」ともいう)に放出される時にはセンターピラーで支えることで、車外放出防止性能を満足させつつカーテンエアバッグの容量を抑えている。
【0005】
また、上記ロールオーバー試験において、車両長手方向の最も端にある開口においては、エアバッグを支えるところが少なくなるため拘束しにくく、インパクタの移動量が大きくなってしまう。
【0006】
それに対して、特許文献2に記載のエアバッグ装置では、ドアトリム側面を覆うようにエアバッグの下端を延長し、ドアトリム側面でエアバッグを支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/208256号
【特許文献2】国際公開第2014/132513号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のエアバッグ装置では、エアバッグの下端を延長した分だけ容量が大きくなってしまう。また、特許文献1に記載のカーテンエアバッグ装置では、センターピラーから遠ざかると車外放出防止性能は低下し、乗員の車外放出量が増加する傾向になるため、非膨張領域を設けずに大きな膨張部を設けることで乗員を早期に拘束して車外放出量を抑えている。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、エアバッグの容量を抑制しつつ車外放出防止性能を発揮可能なカーテンエアバッグ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、車両のルーフサイドレールに取り付けられ、前記ルーフサイドレール及び車両側部の内装材によって区画された複数の開口を覆って膨張展開するカーテンエアバッグ装置であって、ガスを発生するインフレータと、車両前後方向一端側に、前記ガスによって膨張する膨張部と、前記ガスが流入しない非膨張領域と、を有するエアバッグと、前記エアバッグの上部に設けられ、前記エアバッグを前記ルーフサイドレールに固定する固定部材と、を備え、前記エアバッグの膨張展開状態において、前記非膨張領域は、前記複数の開口のうちの車両長手方向の最も端にある開口の一部を覆い、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域を囲って配置され、前記最も端にある開口にインパクタを打ち込んだ時、前記インパクタは、前記非膨張領域と当接し、かつ、前記膨張部のうち前記非膨張領域の車両下方側に位置する下方膨張部は、前記インパクタの下端と前記車両側部の内装材との間に挟まれるカーテンエアバッグ装置である。
【0011】
また、本発明の別の一態様は、車両のルーフサイドレールに取り付けられ、前記ルーフサイドレール及び車両側部の内装材によって区画された複数の開口を覆って膨張展開するカーテンエアバッグ装置であって、ガスを発生するインフレータと、車両前後方向一端側に、前記ガスによって膨張する膨張部と、前記ガスが流入しない非膨張領域と、を有するエアバッグと、前記エアバッグの上部に設けられ、前記エアバッグを前記ルーフサイドレールに固定する固定部材と、を備え、前記エアバッグの膨張展開状態において、前記非膨張領域は、前記複数の開口のうちの車両長手方向の最も端にある開口の一部を覆い、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域を囲って配置され、前記最も端にある開口にインパクタを打ち込んだ時、前記インパクタは、前記非膨張領域と当接し、前記エアバッグの展開状態において、前記膨張部のうち前記非膨張領域の車両下方側に位置する下方膨張部の車両上下方向における長さは、前記最も端にある開口の車両上下方向における長さの15%以上であるカーテンエアバッグ装置である。
【0012】
また、本発明の更に別の一態様は、車両のルーフサイドレールに取り付けられ、前記ルーフサイドレール及び車両側部の内装材によって区画された複数の開口を覆って膨張展開するカーテンエアバッグ装置であって、ガスを発生するインフレータと、車両前後方向一端側に、前記ガスによって膨張する膨張部と、前記ガスが流入しない非膨張領域と、を有するエアバッグと、前記エアバッグの上部に設けられ、前記エアバッグを前記ルーフサイドレールに固定する固定部材と、を備え、前記エアバッグの膨張展開状態において、前記非膨張領域は、前記複数の開口のうちの車両長手方向の最も端にある開口の一部を覆い、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域を囲って配置され、前記最も端にある開口にインパクタを打ち込んだ時、前記インパクタは、前記非膨張領域と当接し、かつ、前記膨張部は、前記非膨張領域よりも端部側に、屈曲して前記内装材の車両上下方向における対向した縁部の間に挟まれるストッパー部を有し、前記エアバッグの膨張展開状態であって前記インパクタを打ち込む前の状態において、前記ストッパー部の車両上下方向における長さは、前記内装材の対向した縁部間の車両上下方向における距離よりも長いカーテンエアバッグ装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカーテンエアバッグ装置によれば、エアバッグの容量を抑制しつつ車外放出防止性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車両に取り付けた実施形態のカーテンエアバッグ装置の初期状態を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【
図2】
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの展開状態を模式的に示す図である。
【
図3】
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの膨張展開状態を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【
図4】
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の膨張展開状態(ただし、インパクタを打ち込む前)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【
図5】
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の膨張展開状態(ただし、インパクタを打ち込んだ時)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【
図6】
図5中のA-A線に沿ったカーテンエアバッグ装置の断面を模式的に示す図であり、車内側から車両側壁を斜視している。
【
図7】
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の展開状態(ただし、インパクタを打ち込む前)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【
図8】
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の膨張展開状態(ただし、インパクタを打ち込んだ時)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【
図9】
図8中のB-B線に沿ったカーテンエアバッグ装置の断面を模式的に示す図であり、車内側から車両側壁を斜視している。
【
図10】
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の膨張展開状態(ただし、インパクタを打ち込む前)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【
図11】
図10中のC-C線に沿ったカーテンエアバッグ装置の断面を模式的に示す図であり、車内側から車両側壁を斜視している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明のカーテンエアバッグ装置の一実施形態について説明する。
【0016】
図1は、車両に取り付けた実施形態のカーテンエアバッグ装置の初期状態を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。「初期状態」は、エアバッグ20が膨張展開を開始する前の状態を意味する。
【0017】
図1に示すように、車両50の側壁は、車両前方のフロントピラー(Aピラー)52、車両中央のセンターピラー(Bピラー)53、車両後方のリアピラー(Cピラー)54等の複数のピラーと、少なくとも複数のピラーの間であって車両上方に位置するルーフサイドレール51と、を含んで構成される。カーテンエアバッグ装置1は、ルーフサイドレール51に取り付けられる。初期状態のカーテンエアバッグ装置1は、車両50の車内側の側壁と内装材との間に形成された空間(車両側壁の収納部)に収納されており、車内の乗員からは視認できない。内装材は、車両50の車内側の側壁を覆う部材であり、例えば、ルーフサイドレール51を覆う天井材、フロントピラー52を覆うフロントピラートリム55、センターピラー53を覆うセンターピラートリム56、リアピラー54を覆うリアピラートリム57、フロントピラー52及びセンターピラー53間に位置するフロントドアに設けられたフロントドアトリム58、センターピラー53及びリアピラー54間に位置するリアドアに設けられたリアドアトリム59、トランクの車幅方向外側に位置するトランクサイドトリム60が挙げられる。
【0018】
カーテンエアバッグ装置1は、ガスを発生するインフレータ10と、エアバッグ(カーテンエアバッグ)20と、規制部材(テザー)30と、複数の固定部材40と、を備える。
【0019】
インフレータ10は、シリンダー状(円柱状)のガス発生装置であり、車両前後方向の一端にガス噴出孔を有する。ガス噴出孔は、筒状に縫製されて形成されたエアバッグ20のガス導入部21に挿入されている。インフレータ10が発生したガスは、インフレータ10のガス噴出孔からエアバッグ20のガス導入部21を通じて、エアバッグ20内部に導入される。ガス導入部21は、ガスが漏れ出さないように、挿入されたインフレータ10とともにバンド11で締め付けられている。インフレータ10は、センターピラー53の上方で、ルーフサイドレール51に取り付けられており、エアバッグ20のガス導入部21は、エアバッグ20の上縁(車両高さ方向の上端)に配置されている。ガス導入部21が車両50の前後方向の中央付近に設けられていることから、エアバッグ20内部では、車両50の前後方向の中央付近から前端へ向かうガスの流れと、車両50の前後方向の中央付近から後端へ向かうガスの流れとが生じることになる。
【0020】
インフレータ10は、車両50の緊急時に作動する。例えば、車両50に搭載された衝突検知センサが車両50の側面衝突や斜め衝突(オブリーク衝突)を検知した場合、衝突検知センサから送られた信号をECU(Electronic Control Unit)が演算し、衝突のレベルが判定される。判定された衝突のレベルが、エアバッグ20を膨らませる場合に該当すると、インフレータ10が着火され、燃焼による化学反応でガスが発生する。
【0021】
インフレータ10の種類は特に限定されず、例えば、ガス発生剤を燃焼させて発生するガスを利用するパイロ式インフレータ、圧縮ガスを利用するストアード式インフレータ、ガス発生剤を燃焼させて発生するガスと圧縮ガスとの混合ガスを利用するハイブリッド式インフレータ等が挙げられる。
【0022】
図2は、
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの展開状態を模式的に示す図である。
図2は、エアバッグ20を膨張させずに展開させた状態を示す。
【0023】
エアバッグ20は、
図2に示す平面形状を有し、内部にガスを充填することで膨張可能な袋状の保護膨張部23を有する。固定部材40は、エアバッグ20の上部(エアバッグ20の車両上方側)に設けられ、ルーフサイドレール51等の車両側壁への取り付けに用いられる。初期状態では、エアバッグ20が折り畳まれ、膨張時に破断可能なラッピング材(図示せず)が周囲に巻き付けられることによって、
図1に示す棒状にされる。棒状のエアバッグ20は、フロントピラー52及びルーフサイドレール51に取り付けられ、車両側壁の収納部に収納される。車両50の緊急時には、インフレータ10が発生したガスが保護膨張部23の内部に充填されることで、エアバッグ20は、膨張しながら折り畳みが解ける。そして、膨張したエアバッグ20の圧力によって内装材が押し開けられると、エアバッグ20は車内に降下して更に膨張し、車内側壁に沿って車両50の下方へ向かってカーテン状に展開し、
図2に示す形状になる。
【0024】
図3は、
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの膨張展開状態を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【0025】
図3に示すように、カーテンエアバッグ装置1は、ルーフサイドレール51及び車両側部の内装材によって区画された複数の開口70A、70B、70Cを覆って膨張展開する。すなわち、膨張展開したエアバッグ20が、車両50の前後方向に沿って側壁及びサイドウィンドウを車内側から覆う。これにより、車内の乗員は、頭部を中心に保護される。エアバッグ20は、インフレータ10の着火後、およそ70ミリ秒後に膨張展開が完了し、その後は膨張展開状態を維持する。
【0026】
開口70Aは、ルーフサイドレール51、フロントピラートリム55、センターピラートリム56及びフロントドアトリム58によって区画されており、開口70Bは、ルーフサイドレール51、センターピラートリム56、リアピラートリム57及びリアドアトリム59によって区画されており、開口70Cは、ルーフサイドレール51、リアピラートリム57及びトランクサイドトリム60によって区画されている。開口70Aは、フロントサイドウィンドウ61の開口領域であり、開口70Bは、リアサイドウィンドウ62の開口領域であり、開口70Cは、クォーターウィンドウ63の開口領域である。それぞれのウィンドウは開閉できる構造であってもよいし、開閉できない構造であってもよい。
【0027】
エアバッグ20は、重ね合わせた基布を外周接合部24で接合することによって袋状の保護膨張部23が形成される。基布は、例えば、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の糸で形成することができる。また、基布は、耐熱性や気密性の向上等のために、シリコン等で表面が被覆されたものであってもよい。上記重ね合わせた基布は、互いに独立した2枚の基布であってもよいし、1枚の基布を2つ折りにして作製した同一の基布の対向する部分であってもよい。
【0028】
外周接合部24は、気密性を有する袋状の保護膨張部23が形成されるように、ガス導入部21を除いて基布を環状に接合した部分であり、保護膨張部23の外縁形状を規定する。本発明において、接合の方法は特に限定されず、例えば、縫製、接着、溶着、それらの組み合わせが挙げられる。外周接合部24の接合には、気密性及び接合強度が求められることから、縫製と接着の併用が好適である。
【0029】
また、外周接合部24に囲まれた領域内には、表裏で対向する基布を互いに接合した接合部25が設けられてもよい。接合部25を設けることにより、保護膨張部23の車幅方向における膨張時の厚みを部分的に規制し、保護膨張部23の膨張形状を制御することができる。
【0030】
また、エアバッグ20は、インフレータ10が発生したガスが流入しない複数の非膨張領域22A、22Bを有する。これにより、保護膨張部23の内部容量を抑制することができる。各非膨張領域22A、22Bは、重ね合わせた基布を環状に接合部25で接合することによって形成される。
【0031】
そして、エアバッグ20は、車両前後方向一端側、ここでは車両前後方向の後端側に、保護膨張部23の一部である膨張部23Aと、非膨張領域22Bとを有する。保護膨張部23は、複数の気室(チャンバ)から構成されているが、膨張部23Aは、そのうちの車両前後方向の最も後端側に位置する気室に相当する。
【0032】
保護膨張部23の上部には、複数の固定部材(タブ)40がエアバッグ20の上縁から突出するように設けられている。固定部材40は、ボルトやクリップを用いてルーフサイドレール51及びフロントピラー52に固定される。
【0033】
規制部材30は、インフレータ10が発生したガスの流入によって、保護膨張部23がルーフサイドレール51から車室内下方へ向かって膨張展開する際に、保護膨張部23の位置及び膨張形状を規制する役割を有する帯状又は紐状の部材であり、初期状態では、折り畳まれた保護膨張部23に巻き込まれている。規制部材30の一端32は、フロントピラー52に固定され、規制部材30の他端36は、保護膨張部23の車両前方側に位置する部分に固定される。規制部材30の中間部34は、保護膨張部23を構成する気室の内部と連通しないように設けられた開口(スリット)26に、車両前後方向に移動可能に挿入されている。開口26は、気室から離れた位置で基布を貫通するように形成されている。
【0034】
規制部材30の材料は特に限定されないが、高強度で伸びにくいものが好適である。規制部材30の材料としては、例えば、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の糸で織られた布の表面をシリコン処理して形成される、シリコンコート布が用いられる。
【0035】
次に、
図4~
図11を用いて、実施形態のカーテンエアバッグ装置1におけるエアバッグ20の膨張展開状態及びインパクタとの関係について、より詳細に説明する。
【0036】
図4は、
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の膨張展開状態(ただし、インパクタを打ち込む前)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
【0037】
図4に示すように、エアバッグ20の膨張展開状態において、非膨張領域22Bは、複数の開口70A、70B、70Cのうちの車両長手方向の最も端、ここでは車両前後方向において最も後端にある開口70Cの一部を覆う。すなわち、車内側から車両側壁を正面視した状態において、非膨張領域22Bは、三角形又は台形状であり、開口70Cの一部のみと重なる。
【0038】
開口70Cは、乗員の頭部が通り抜け可能なサイズであり、車両の2列目の座席に対して車両後方に位置しており、ここでは車両の3列目の座席に対して車幅方向外側に位置している。
【0039】
また、エアバッグ20の膨張展開状態において、膨張部23Aは、非膨張領域22Bを囲って配置される。すなわち、非膨張領域22Bの車両上方、車両下方、車両前方及び車両後方に膨張部23Aが位置している。
【0040】
図5は、
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の膨張展開状態(ただし、インパクタを打ち込んだ時)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
図6は、
図5中のA-A線に沿ったカーテンエアバッグ装置の断面を模式的に示す図であり、車内側から車両側壁を斜視している。
図5及び
図6は、エアバッグ20の膨張展開完了後であってインパクタ80が最も車外側に突出した状態を示している。
【0041】
本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、最も端にある開口70Cにインパクタ80を打ち込んだ時、インパクタ80は、非膨張領域22Bと当接し、かつ、膨張部23Aのうち非膨張領域22Bの車両下方側に位置する下方膨張部27は、インパクタ80の下端(車両上下方向において下方に位置する端)81と車両側部の内装材、具体的にはトランクサイドトリム60との間に挟まれる。これにより、エアバッグ20の容量を抑制しつつ、インパクタ80、すなわち乗員が車外に放出されるのを防止することができる。
【0042】
より詳細に説明すると、開口70Cにインパクタ80を打ち込んだ時、膨張展開完了後のエアバッグ20の非膨張領域22Bにインパクタ80が当接すると、エアバッグ20はインパクタ80の進入によって開口70Cよりも車外側に押し出される。その時、非膨張領域22Bの車両下方側に位置する下方膨張部27は、インパクタ80と、車両側部の内装材であるトランクサイドトリム60との間に挟まれて車外側への移動が規制される。それに連動して下方膨張部27の車両上方に位置する非膨張領域22Bも車外側への移動が規制される。その後、非膨張領域22Bを囲む膨張部23Aやエアバッグ20が車両側壁と当接して生じる反力によって車内側へインパクタ80が押し戻される。以上より、非膨張領域22Bによりエアバッグ20の容量を抑制しつつ、車外放出防止性能を発揮することができる。
【0043】
なお、開口70Cにインパクタ80を打ち込んだ時、インパクタ80の少なくとも中央部(車外方向に最も突出した部分)が非膨張領域22Bと当接する。
【0044】
このインパクタ80による車外放出防止性能の試験は、車両への乗員車外放出防止を求める米国の法規(FMVSS226)で定められたロールオーバー試験に基づいて行われる。より詳細には、当該法規の評価は、インパクタを用いた試験に基づいて行われ、乗員の頭部を模したインパクタ(ヘッドインパクタ)をカーテンエアバッグ装置作動後の所定のタイミング(ここでは1.5秒後)で車外へ所定速度(ここでは法定速度20km/時にマージンを加味した速度)で打ち出し、インパクタの車外への放出量が100mm以下であることが求められる。インパクタの打点は、打ち込み対象の開口(ここでは開口70C)の形状に基づいて所定の位置に設定される。インパクタが縦置きした状態で打ち込み対象の開口を通過しない場合は開口内に納まる角度まで5°ずつ回転させる。本実施形態では、インパクタ80をその頭頂部を車両前方側へ5°ずつ回転した。インパクタ80のサイズは、縦が226.1mm、横が176.8mmの縦方向に長い長円の楕円形である。
【0045】
図7は、
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の展開状態(ただし、インパクタを打ち込む前)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
図7は、エアバッグ20を膨張させずに展開させた状態を示す。
【0046】
また、本実施形態では、
図7に示すように、エアバッグ20の展開状態(エアバッグ20を膨張させずに展開させた状態)において、膨張部23Aのうち非膨張領域22Bの車両下方側に位置する下方膨張部27の車両上下方向における長さL1は、最も端にある開口70Cの車両上下方向における長さL2の15%以上である。これによっても、エアバッグ20の容量を抑制しつつ、インパクタ80、すなわち乗員が車外に放出されるのを防止することができる。
【0047】
より詳細に説明すると、開口70Cにインパクタ80を打ち込んだ時、膨張展開完了後のエアバッグ20の非膨張領域22Bにインパクタ80が当接すると、エアバッグ20はインパクタ80の進入によって開口70Cよりも車外側に押し出される。その時、下方膨張部27の車両上下方向における長さL1が開口70Cの車両上下方向における長さL2の15%以上であると、下方膨張部27を、インパクタ80と、車両側部の内装材であるトランクサイドトリム60との間に挟んで車外側への移動を規制することができる。そのため、上述の場合と同様に、非膨張領域22Bも車外側への移動が規制され、インパクタ80が押し戻される。したがって、非膨張領域22Bによりエアバッグ20の容量を抑制しつつ、車外放出防止性能を発揮することができる。
【0048】
ここで、長さL2に対する長さL1の割合の下限である15%の値は、上述のFMVSS226において要求される放出量100mm以下の要件を満足するであろう長さL1を、放出量を70mm以下に厳しくして本実施形態に係るカーテンエアバッグ装置を用いて実際に行った評価試験の結果に基づき机上計算することで、算出した。その結果、長さL2が240mmであるときに長さL1が33mm以上あれば放出量100mm以下の要件を満たすことが分かった。
【0049】
また、
図7に示すように、長さL1と長さL2は、車内側からインパクタ80を打ち込む方向と平行な方向に車両側壁を観察した状態において、インパクタ80の中心82を通る同一直線上で測定される。なお、インパクタ80の中心82とは、インパクタ80の角丸長方形状(トラック状)のアウトライン(インパクタ80のヘッドフォームの外形線)の幾何中心を意味する。
【0050】
長さL1は、長さL2の41.7%以上であることが好ましい。長さL1は、長さL2の81%以下であることが好ましい。
【0051】
図8は、
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の膨張展開状態(ただし、インパクタを打ち込んだ時)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
図9は、
図8中のB-B線に沿ったカーテンエアバッグ装置の断面を模式的に示す図であり、車内側から車両側壁を斜視している。
図10は、
図1のカーテンエアバッグ装置が備えるエアバッグの車両後方部の膨張展開状態(ただし、インパクタを打ち込む前)を模式的に示しており、車内側から車両側壁を正面視している。
図11は、
図10中のC-C線に沿ったカーテンエアバッグ装置の断面を模式的に示す図であり、車内側から車両側壁を斜視している。
図8及び
図9は、エアバッグ20の膨張展開完了後であってインパクタ80が最も車外側に突出した状態を示している。
図10及び
図11は、エアバッグ20の膨張展開完了後であってインパクタ80がエアバッグ20に当接する前の状態を示している。なお、
図8は、
図5と同じ状態を示している。
【0052】
また、本実施形態では、
図8及び
図9に示すように、最も端にある開口70Cにインパクタ80を打ち込んだ時、膨張部23Aは、非膨張領域22Bよりも端部側、ここでは後端部側に、屈曲して内装材の車両上下方向における対向した縁部64A及び64Bの間に挟まれるストッパー部28を有する。すなわち、開口70Cにインパクタ80が打ち込まれると、ストッパー部28は、車両上下方向において屈曲し、屈曲した状態で縁部64A及び64Bの間に挟まれる。より詳細には、ストッパー部28は、車両前後方向の屈曲線を境にして車内側に屈曲する。なお、後端部側とは、車両後方に位置する端部側を意味する。また、縁部64Aは、トランクサイドトリム60の縁部であって開口70Cの車両上方に位置する縁部に相当し、縁部64Bは、トランクサイドトリム60の縁部であって開口70Cの車両下方に位置する縁部に相当する。
【0053】
また、
図10及び
図11に示すように、エアバッグ20の膨張展開状態であって開口70Cにインパクタ80を打ち込む前の状態において、ストッパー部28の車両上下方向における長さL3は、内装材の対向した縁部64A及び64B間の車両上下方向における距離Dよりも長い。これによっても、エアバッグ20の容量を抑制しつつ、インパクタ80、すなわち乗員が車外に放出されるのを防止することができる。
【0054】
より詳細に説明すると、インパクタ80によって非膨張領域22Bが車外側に移動することでストッパー部28は屈曲するが、ストッパー部28の車両上下方向における長さL3が、内装材の対向した縁部64A及び64Bの距離Dよりも長いことでストッパー部28は内装材の対向した縁部64A及び64Bによって挟まれる。それにより、エアバッグ20の車外側への移動が規制され、結果、非膨張領域22Bと非膨張領域22Bに当接しているインパクタ80との移動が規制される。その後、屈曲したストッパー部28が元に戻ろうとすることで、非膨張領域22Bと非膨張領域22Bに当接しているインパクタ80とが車内側へと押し戻される。すなわち、非膨張領域22Bによりエアバッグ20の容量を抑制しつつ、車外放出防止性能を発揮することができる。
【0055】
なお、長さL3と距離Dの大きさはいずれも、車両前後方向において変化し得るが、ここで、長さL3が距離Dよりも長いとは、車両前後方向のいずれの位置でも当該関係を満たすことを意味する。
【0056】
また、
図11に示すように、長さL3と距離Dは、車両前後方向に直交する同一断面上で互いに比較される。
【0057】
距離Dに対する長さL3の割合は、100%を超える限り特に限定されないが、200%以上であることが好ましい。
【0058】
また、
図11に示すように、エアバッグ20の膨張展開状態であって開口70Cにインパクタ80を打ち込む前の状態において、ストッパー部28の上方部28Aの車両幅方向における厚みW1と、ストッパー部28の下方部28Bの車両幅方向における厚みW2との和(W1+W2)は、内装材の対向した縁部64A及び64B間の車両上下方向における距離Dよりも長いことが好ましい。
図9に示したように、インパクタ80が打ち込まれると、ストッパー部28の上方部28A及び下方部28Bが屈曲線を中心にして回転し、ストッパー部28の上方部28A及び下方部28Bの厚み方向が車両上下方向に向くことになる。そのため、厚みW1及び厚みW2の和(W1+W2)を距離Dよりも長くすることで、ストッパー部28が縁部64A及び64Bによってより確実に挟まれる。その結果、非膨張領域22Bと非膨張領域22Bに当接しているインパクタ80との車外側への移動がより効果的に規制される。
【0059】
なお、ストッパー部28の上方部28Aとは、ストッパー部28の屈曲線の車両上方に位置する部分であり、ストッパー部28の下方部28Bとは、ストッパー部28の屈曲線の車両下方に位置する部分である。
【0060】
また、厚みW1、W2と距離Dの大きさはいずれも、車両前後方向において変化し得るが、ここで、厚みW1及び厚みW2の和(W1+W2)が距離Dよりも長いとは、車両前後方向のいずれの位置でも当該関係を満たすことを意味する。
【0061】
また、
図11に示すように、厚みW1及び厚みW2の和(W1+W2)と距離Dは、車両前後方向に直交する同一断面上で互いに比較される。
【0062】
距離Dに対する厚みW1及び厚みW2の和(W1+W2)の割合は、100%を超える限り特に限定されないが、138%以上であることが好ましい。
【0063】
また、
図8及び
図9に示すように、膨張部23Aは、ストッパー部28を区切る接合部25Aを有し、ストッパー部28は、接合部25Aで屈曲することが好ましい。これにより、インパクタ80によって非膨張領域22Bが車外側に移動したときにストッパー部28を容易かつ確実に屈曲させることができる。接合部25Aは、車両前後方向に直線状に設けられることが好ましい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、インパクタ80と当接する非膨張領域22Bを設けてもインパクタ80の移動を規制できるため、エアバッグ20の容量を小さくしつつ、車外放出防止性能を発揮することができる。また、非膨張領域22Bでインパクタ80を受け止めるため、インパクタ80がエアバッグ20表面に対して滑りにくく安定して受け止めることができる。
【0065】
なお、上記では、(1)開口70Cにインパクタ80を打ち込んだ時、下方膨張部27がインパクタ80の下端81と車両側部の内装材との間に挟まれ、(2)エアバッグ20の展開状態において、下方膨張部27の車両上下方向における長さL1が開口70Cの車両上下方向における長さL2の15%以上であり、かつ、(3)開口70Cにインパクタ80を打ち込んだ時、膨張部23Aが、非膨張領域22Bよりも端部側に、屈曲して内装材の車両上下方向における対向した縁部64A及び64Bの間に挟まれるストッパー部28を有し、エアバッグ20の膨張展開状態であって開口70Cにインパクタ80を打ち込む前の状態において、ストッパー部28の車両上下方向における長さL3が、内装材の対向した縁部64A及び64B間の車両上下方向における距離Dよりも長い場合について説明したが、カーテンエアバッグ装置1は、(1)~(3)の少なくとも1つの特徴を満たしていてもよい。ただし、車外放出防止性能を向上する観点からは、(1)~(3)の少なくとも2つの特徴を満たすことが好ましく、(1)~(3)の全ての特徴を満たすことがより好ましい。
【0066】
また、上記では、非膨張領域22Bが複数の開口70A、70B、70Cのうちの車両長手方向において最も後端にある開口70Cの一部を覆う場合について説明したが、本発明において、非膨張領域は、複数の開口のうちの車両長手方向において最も前端にあり、乗員の頭部が通り抜け可能なサイズの開口の一部を覆ってもよい。
【0067】
本発明は、上記実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、実施形態に記載された各構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜削除されてもよいし、追加されてもよいし、変更されてもよいし、組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1:カーテンエアバッグ装置
10:インフレータ
11:バンド
20:エアバッグ(カーテンエアバッグ)
21:ガス導入部
22A、22B:非膨張領域
23:保護膨張部
23A:膨張部
24:外周接合部
25:接合部
25A:接合部
26:開口(スリット)
27:下方膨張部
28:ストッパー部
28A:ストッパー部の上方部
28B:ストッパー部の下方部
30:規制部材(テザー)
32:規制部材の一端
34:規制部材の中間部
36:規制部材の他端
40:固定部材
50:車両
51:ルーフサイドレール
52:フロントピラー
53:センターピラー
54:リアピラー
55:フロントピラートリム
56:センターピラートリム
57:リアピラートリム
58:フロントドアトリム
59:リアドアトリム
60:トランクサイドトリム
61:フロントサイドウィンドウ
62:リアサイドウィンドウ
63:クォーターウィンドウ
64A、64B:内装材の車両上下方向における対向した縁部
70A、70B、70C:開口
80:インパクタ
81:インパクタの下端
82:インパクタの中心
L1:下方膨張部の車両上下方向における長さ
L2:最も端にある開口の車両上下方向における長さ
L3:ストッパー部の車両上下方向における長さ
D:内装材の対向した縁部間の距離
W1:ストッパー部の上方部の車両幅方向における厚み
W2:ストッパー部の下方部の車両幅方向における厚み