(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134231
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】移動体制御装置、移動体制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 8/00 20090101AFI20240926BHJP
H04W 4/02 20180101ALI20240926BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20240926BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20240926BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H04W8/00 110
H04W4/02
H04W4/40
B60R25/24
E05B49/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044430
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水越 紀夫
【テーマコード(参考)】
2E250
5K067
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB35
2E250DD06
2E250FF23
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
5K067AA43
5K067DD11
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE16
5K067HH23
(57)【要約】
【課題】移動体の利用者を通信により認識する際の電力消費を抑制することができる移動体制御装置、移動体制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】移動体制御装置1は、所定周期で第1通信部作動状態と停止状態とに切り替える通信制御部11と、対象ドア操作認識部12により対象ドアに対する操作が認識されたときに、第1通信部30が作動状態である場合は、移動体100の外部の対象座席付近の第1探索範囲内で携帯端末を探索し、第1通信部30が停止状態である場合は、第1通信部30を起動して、移動体100の外部及び内部を含む対象座席付近の第2探索範囲内で携帯端末を探索する対象識別情報認識部15と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識部と、
前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識部と、
前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識部による認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識部と、
前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定部と、を備える移動体制御装置であって、
前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御部を備え、
前記対象識別情報認識部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する
移動体制御装置。
【請求項2】
前記対象識別情報認識部は、前記第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する場合に、先ず、前記第2探索範囲の前記移動体の外部の範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第2探索範囲の前記移動体の外部の範囲内で前記携帯端末が検出されなかったときに、前記第2探索範囲の前記移動体の内部の範囲内で前記携帯端末を探索する
請求項1に記載の移動体制御装置。
【請求項3】
前記対象ドアの開閉状態を認識する対象ドア開閉認識部を備え、
前記対象識別情報認識部は、前記対象ドア開閉認識部により前記対象ドアが開状態であることが認識されている状態で、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアが操作されたことが認識された場合は、前記移動体の内部の第3探索範囲内で前記携帯端末を探索する
請求項1に記載の移動体制御装置。
【請求項4】
前記対象識別情報認識部は、複数の前記携帯端末を検出したときに、前記携帯端末位置認識部により認識される前記携帯端末の位置の変化に基づいて、前記対象座席の利用者により使用される前記携帯端末を推定し、該推定した前記携帯端末から送信される前記端末識別情報を前記対象識別情報として認識する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の移動体制御装置。
【請求項5】
前記特定装備設定部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されなかった場合には、前記対象識別情報認識部により過去に認識された回数が最も多い前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記特定装備の設定を行う
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の移動体制御装置。
【請求項6】
前記特定装備設定部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されなかった場合には、前記対象識別情報認識部により前回に認識された前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記特定装備の設定を行う
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の移動体制御装置。
【請求項7】
前記対象識別情報認識部は、前記移動体に前記端末識別情報が登録された前記携帯端末が1台であるときは、前記移動体に備えられて前記携帯端末との通信を前記第1通信部よりも広い通信範囲により行う第2通信部と、前記携帯端末との通信が確立された時点で、前記携帯端末から送信される前記端末識別情報を前記対象識別情報として認識する
請求項1から請求項3のうちいずれか1つの構成に記載の移動体制御装置。
【請求項8】
コンピュータにより実行される移動体制御方法であって、
移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識ステップと、
前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識ステップと、
前記対象ドア操作認識ステップにより前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識ステップによる認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識ステップと、
前記対象識別情報認識ステップにより前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定ステップと、
前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御ステップと、
を含み、
前記対象識別情報認識ステップは、前記対象ドア操作認識ステップにより前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する
移動体制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識部と、
前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識部と、
前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識部による認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識部と、
前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定部と、
前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御部と、
して機能させ、
前記対象識別情報認識部に、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する処理を実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御装置、移動体制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載する移動体における充給電に関する研究開発が行われている。
例えば、バッテリが搭載された車両において、対象ドアのオープン操作がなされた場合に、対象ドアに設けられている車室外通信機を用いてスマートキーの認証処理を実行することにより、対象ドアに対応する座席に着座予定の利用者を識別する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次電池を搭載する移動体における充給電に関する技術として、特許文献1に記載された技術のように、移動体の利用者を通信により認識する場合には、移動体で消費される二次電池からの電力を抑制することが課題である。
本願は上記課題の解決のため、移動体の利用者を通信により認識する際の電力消費を抑制することを目的としたものである。そして、延いてはエネルギー効率の改善に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識部と、前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識部と、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識部による認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識部と、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定部と、を備える移動体制御装置であって、前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御部を備え、前記対象識別情報認識部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する移動体制御装置が挙げられる。
【0006】
上記移動体制御装置において、前記対象識別情報認識部は、前記第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する場合に、先ず、前記第2探索範囲の前記移動体の外部の範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第2探索範囲の前記移動体の外部の範囲内で前記携帯端末が検出されなかったときに、前記第2探索範囲の前記移動体の内部の範囲内で前記携帯端末を探索する構成としてもよい。
【0007】
上記移動体制御装置において、前記対象ドアの開閉状態を認識する対象ドア開閉認識部を備え、前記対象識別情報認識部は、前記対象ドア開閉認識部により前記対象ドアが開状態であることが認識されている状態で、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアが操作されたことが認識された場合は、前記移動体の内部の第3探索範囲内で前記携帯端末を探索する構成としてもよい。
【0008】
上記移動体制御装置において、前記対象識別情報認識部は、複数の前記携帯端末を検出したときに、前記携帯端末位置認識部により認識される前記携帯端末の位置の変化に基づいて、前記対象座席の利用者により使用される前記携帯端末を推定し、該推定した前記携帯端末から送信される前記端末識別情報を前記対象識別情報として認識する構成としてもよい。
【0009】
上記移動体制御装置において、前記特定装備設定部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されなかった場合には、前記対象識別情報認識部により過去に認識された回数が最も多い前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記特定装備の設定を行う構成としてもよい。
【0010】
上記移動体制御装置において、前記特定装備設定部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されなかった場合には、前記対象識別情報認識部により前回に認識された前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記特定装備の設定を行う構成としてもよい。
【0011】
上記移動体制御装置において、前記対象識別情報認識部は、前記移動体に前記端末識別情報が登録された前記携帯端末が1台であるときは、前記移動体に備えられて前記携帯端末との通信を前記第1通信部よりも広い通信範囲により行う第2通信部と、前記携帯端末との通信が確立された時点で、前記携帯端末から送信される前記端末識別情報を前記対象識別情報として認識する構成としてもよい。
【0012】
上記目的を達成するための第2態様として、コンピュータにより実行される移動体制御方法であって、移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識ステップと、前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識ステップと、前記対象ドア操作認識ステップにより前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識ステップによる認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識ステップと、前記対象識別情報認識ステップにより前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定ステップと、前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御ステップと、を含み、前記対象識別情報認識ステップは、前記対象ドア操作認識ステップにより前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する移動体制御方法が挙げられる。
【0013】
上記目的を達成するための第3態様として、コンピュータを、移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識部と、前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識部と、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識部による認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識部と、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定部と、前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御部と、して機能させ、前記対象識別情報認識部に、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する処理を実行させるプログラムが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の移動体制御装置によれば、移動体の利用者を、利用者により使用される携帯端末との通信によって認識する際の電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、移動体制御装置により、車両に接近して運転席を使用する利用者を認識する態様の説明図である。
【
図3】
図3は、運転席を使用する利用者に対応付けられた認証コードを認識して、車両の装備の設定を行う処理の第1のフローチャートである。
【
図4】
図4は、運転席を使用する利用者に対応付けられた認証コードを認識して、車両の装備の設定を行う処理の第2のフローチャートである。
【
図5】
図5は、利用者が運転席ドアのハンドルを操作したときに設定される携帯端末の探索範囲の説明図である。
【
図6】
図6は、運転席ドアが開いた状態で、利用者が運転席ドアのハンドルを操作したときに設定される携帯端末の探索範囲の説明図である。
【
図7】
図7は、車内の探索範囲内で2台の携帯端末が検出された場合の処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.車両に接近する携帯端末の探索]
図1を参照して、本実施の形態の移動体制御装置1による、車両100に接近する利用者Uが所持する携帯端末2の探索の態様の概要について説明する。移動体制御装置1は、車両100に搭載されて、車両100の作動を制御するECU(Electronic Control Unit)の機能として構成されている。
【0017】
携帯端末2には電子鍵アプリ(アプリケーション)がインストールされており、携帯端末2は、電子鍵アプリを実行することによって、車両100の遠隔操作機能を含む電子鍵として機能する。携帯端末2は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスであり、利用者Uにより携帯或いは装着して使用される。
【0018】
車両100と携帯端末2とは、BLE(Bluetooth Low Energy、Bluetoothは登録商標)、及びUWB(Ultra-Wide Band)の通信仕様により相互に通信を行う。UWB通信では、500MHz~十数GHzの帯域(例えば、8GHz帯周辺)が使用される。車両100には、UWBによる通信を行う第1通信部30、第1通信部30に接続されたUWBアンテナ31a~31d,32a~32d、BLEによる通信を行う第2通信部40、及び第2通信部40に接続されたBLEアンテナ41が備えられている。
【0019】
UWBアンテナ31a~31dは車両100の車体の四隅に配置され、UWBアンテナ32a~32dは車両100の車室に配置されている。また、運転席ドア111には、ハンドル50が設けられ、利用者Uによるハンドル50の操作がハンドルセンサ50a(
図2参照)により検出される。運転席110は、本開示の対象座席に相当し、運転席ドア111は、本開示の対象ドアに相当する。
【0020】
移動体制御装置1は、第2通信部40を介してBLE通信によるポーリングを行い、携帯端末2が第2通信部40によるBLE通信の通信エリアAr1の外側(C1の状態)から内側(C2の状態)に入ったときに、通信エリアAr1内の携帯端末2との間でBLE通信を確立する。BLE通信による通信可能範囲はUWB通信よりも広く、また、BLE通信による消費電力はUWB通信よりも少ないため、このように、BLE通信によるポーリングを行うことにより、車両100に接近する携帯端末2を、消費電力を抑えて認識することができる。
【0021】
そして、移動体制御装置1は、携帯端末2との間で電子鍵の認証を行って、携帯端末2が車両100の電子鍵として登録されていることを確認する。具体的には、移動体制御装置1は、携帯端末2から送信される認証コード(本開示の端末識別情報に相当する)と、移動体制御装置1のメモリに保存された認証コードとを照合することにより、携帯端末2が車両100の電子鍵として登録されていることを確認する。
【0022】
続いて、移動体制御装置1は、BLE通信の電波強度から認識される携帯端末2の大まかな位置に基づいて、携帯端末2がUWB距離測定範囲である通信エリアAr2の外側(C2の状態)から内側(C3の状態)に入ったことを認識したときに、UWBアンテナ31a~31dをアクティブとして第1通信部30によるUWB通信を開始する。
【0023】
移動体制御装置1は、UWB通信により、携帯端末2の車両100からの距離を測定し、携帯端末2がUWB位置測定範囲である通信エリアAr3の外側(C3の状態)から内側(C4の状態)に入ったことを認識したときに、UWBアンテナ32a~32dもアクティブとして(全てのUWBアンテナ31a~31d,32a~32dをアクティブとした状態)、携帯端末2の位置を測定する。UWB通信による携帯端末2の距離及び位置の測定は、特開2021-096134号公報等に開示された公知の手法を用いて行うことができる。
【0024】
ここで、通常であれば、利用者Uがさらに車両100に近づいて運転席ドア111のハンドル50を操作したときに、移動体制御装置1は、利用者Uが運転席110を使用すると判断して、携帯端末2の認証コードを対象認証コード(本開示の対象識別情報に相当する)として認識し、対象認証コードに対応してメモリに保存されている設定条件に応じて、運転席110に備えられたパワーシート装備(本開示の特定装備に相当する)のポジションを設定する等の処理を行う。
【0025】
しかしながら、車両100に近づいて利用者Uが直ぐには乗車せずに、運転席ドア111の付近に留まる場合もある。そして、この場合に、携帯端末2とのUWB通信を継続すると、UWB通信による電力消費が多くなってしまうため、移動体制御装置1は、第1通信部30を所定周期で作動状態と停止状態に切り替えることにより、UWB通信による電力消費を抑制する処理を実行する。以下では、このように、携帯端末2の位置を測定するためのUWB通信が、間欠的に実行される場合に対応した車両100の制御について説明する。
【0026】
[2.移動体制御装置の構成]
図2を参照して、移動体制御装置の構成について説明する。移動体制御装置1には、上述した第1通信部30、第2通信部、及びハンドルセンサ50aが接続されている。さらに、移動体制御装置1は、運転席ドア111の開閉状態を検出するドア開閉センサ51、運転席110のパワーシート装備52(モータ等のアクチュエータ)、ディスプレイ53、及びエアコン54等と接続されている。
【0027】
移動体制御装置1は、プロセッサ10、メモリ20等を備えた制御ユニットであり、メモリ20には、移動体制御装置1の制御用のプログラム21、利用者登録情報22等が保存されている。プログラム21は、移動体制御装置1により記録媒体(光ディスク、フラッシュメモリ等)から読み込まれてメモリ20に保存されてもよく、移動体制御装置1により、図示しない外部サーバー等からダウンロードされてメモリ20に保存されてもよい。
【0028】
利用者登録情報22には、車両100の利用者Uにより使用される携帯端末2の認証コードと、認証コードに対応付けられた車両100の特定装備の設定条件(利用者Uにより設定された条件)が含まれる。車両100が複数の利用者Uによって共用される場合には、各利用者Uについて、認証コードと特定設備の設定条件が個別に保存される。
【0029】
プロセッサ10は、プログラム21を読み込んで実行することにより、通信制御部11、対象ドア操作認識部12、対象ドア開閉認識部13、携帯端末位置認識部14、対象識別情報認識部15、及び特定装備設定部16として機能する。
【0030】
通信制御部11により実行される処理は、本開示の移動体制御方法における通信制御ステップに相当し、対象ドア操作認識部12により実行される処理は、本開示の移動体制御方法における対象ドア操作認識ステップに相当する。対象ドア開閉認識部13により実行される処理は、本開示の移動体制御方法における対象ドア開閉認識ステップに相当し、携帯端末位置認識部14により実行される処理は、本開示の移動体制御方法における携帯端末位置認識ステップに相当する。対象識別情報認識部15により実行される処理は、本開示の対象識別情報認識ステップに相当し、特定装備設定部16により実行される処理は、本開示の移動体制御方法における特定装備設定ステップに相当する。
【0031】
通信制御部11は、上述したように、所定周期で、第1通信部30を作動状態と停止状態に切り替える処理を実行する。対象ドア操作認識部12は、ハンドルセンサ50aから出力される検出信号に基づいて、運転席ドア111のハンドル50が操作されたことを認識する。対象ドア開閉認識部13は、ドア開閉センサ51から出力される検出信号に基づいて、運転席ドア111が開状態であるか閉状態であるかを認識する。
【0032】
携帯端末位置認識部14は、上述したように、第1通信部30と携帯端末2とのUWB通信、又は第2通信部40と携帯端末2とのBLE通信により、車両100に対する携帯端末2の位置を認識する。対象識別情報認識部15は、運転席ドア111のハンドル50が操作されたときに、後述するように、携帯端末2の探索範囲を設定して携帯端末2を探索し、運転席110の付近で検出された携帯端末2の認証コードを対象認証コードとして認識する。
【0033】
特定装備設定部16は、対象識別情報認識部15により認識された対象認証コードに対応付けられた設定条件に基づいて、車両100に備えられた特定装備の設定を行う。特定装備の設定には、上述した運転席110のパワーシート装備によるシートポジションの設定、ディスプレイ53の表示内容の設定、エアコン54の温度の設定、ドアミラーの角度の設定、バックミラーの角度の設定等が含まれる。
【0034】
[3.認証コードの認識と特定装備の設定処理]
図3~
図4に示したフローチャートに従って、移動体制御装置により実行される、運転席110に接近する携帯端末2の認証コードを対象認証コードとして認識して、車両100の特定装備を対象認証コードに対応した設定条件により設定する一連の処理について説明する。
図3~
図4に示したフローチャートによる処理は、通信制御部11により所定周期で第1通信部30を作動状態と停止状態に切り替える処理が行われている場合に、実行される。
【0035】
図3のステップ1で、対象識別情報認識部15は、対象ドア操作認識部12により運転席ドア111の操作が認識されたときに、ステップS2に処理を進める。ステップS2で、対象識別情報認識部15は、対象ドア開閉認識部13により運転席ドア111が開状態であることが認識されているか否かを判断する。そして、対象識別情報認識部15は、運転席ドア111が開状態であることが認識されているときはステップS20に処理を進め、運転席ドア111が開状態であることが認識されていないときにはステップS3に処理を進める。
【0036】
ステップS3で、対象識別情報認識部15は、第1通信部30が作動状態であるか否かを判断する。そして、対象識別情報認識部15は、第1通信部30が作動状態であるときはステップS4に処理を進め、第1通信部30が停止状態であるときには
図4のステップS40に処理を進める。
【0037】
第1通信部30が作動状態であるときは、携帯端末位置認識部14は、第1通信部30によるUWB通信を行って、速やかに携帯端末2を検出できると期待される。そのため、ステップS4で、対象識別情報認識部15は、
図5に示したように、携帯端末2の探索範囲を、車両100の外部の車外探索範囲Sa1に設定する。この場合の車外探索範囲Sa1は、本開示の第1探索範囲に相当する。このように、携帯端末2の探索範囲を車外探索範囲Sa1に限定することにより、第1通信部30によるUWB通信を行って携帯端末2を探索する際の電力消費を抑制することができる。続くステップS5で、対象識別情報認識部15は、端末位置認識部14のUWB通信による携帯端末2の位置の認識状況に基づいて、携帯端末2を探索する。
【0038】
次のステップS6で、対象識別情報認識部15は、携帯端末2が検出されたときはステップS7に処理を進め、携帯端末2が検出されなかったときにはステップS30に処理を進める。ステップS7で、対象識別情報認識部15は、検出した携帯端末2から取得した認証コードを、運転席110を使用する利用者Uに対応付けられた認証コードである対象認証コードとして認識する。対象識別情報認識部15は、対象認証コードとして認識された認証コードについて、認識された回数を利用者登録情報22に記録する。
【0039】
続くステップS8で、特定装備設定部16は、メモリ20に保存された利用者登録情報22を参照して、対象認証コードに対応付けられた設定条件を認識し、対象認証コードに対応付けられた設定条件に基づいて、車両100のパワーシート装備52等の特定装備の設定を行う。
【0040】
ステップS30は、携帯端末2が検出されなかった場合に対応した処理であり、特定装備設定部16は、メモリ20に保存された利用者登録情報22を参照して、対象識別情報認識部15により、過去に対象認証コードとして認識された回数が最も多い認証コードを抽出する。そして、特定装備設定部16は、抽出した認証コードに対応付けられた設定条件に基づいて、車両100のパワーシート装備52等の特定装備の設定を行い、ステップS9に処理を進める。
【0041】
ステップS20~S22は、運転席ドア111が開状態であるときに、運転席ドア111のハンドル50が操作された場合に対応した処理である。ステップS20で、対象識別情報認識部15は、第1通信部30が作動状態であるか否かを判断し、第1通信部30が作動状態であるときはステップS22に処理を進め、第1通信部30が停止状態であるときには、ステップS21に処理を進める。
【0042】
ステップS21で、対象識別情報認識部15は、第1通信部30を起動してステップS22に処理を進める。
図6に示したように、運転席ドア111が開状態であるときには、運転席ドア111のハンドル50を操作した利用者Uは、速やかに乗車して運転席110に着座すると想定される。そのため、利用者Uが車外にいる段階で、第1通信部30と携帯端末2とのUWB通信が確立される可能性は低いと判断できる。
【0043】
そこで、この場合に、対象識別情報認識部15は、
図6に示したように、携帯端末2の探索範囲を車両100の内部の車内探索範囲Sa2に設定して、ステップS5に処理を進める。この場合、車内探索範囲Sa2は、本開示の第3探索範囲に相当する。このように、携帯端末2の探索範囲を車内探索範囲Sa2に限定することにより、携帯端末位置認識部14が第1通信部30によるUWB通信を行って認識する携帯端末2の位置に基づいて、探索範囲内に存在する携帯端末2探索する際の電力消費を抑制することができる。
【0044】
なお、
図6では、運転席ドア111の外側に設けられたハンドル50が操作されている状況を例示したが、運転席ドア111の内側に設けられたハンドル55が操作された場合にも、同様の処理によって対応することができる。内側のハンドル55が操作されるのは、利用者Uが運転席110に着座して運転席ドア111を閉めるときであると想定されるので、携帯端末2の探索範囲を車内探索範囲Sa2に設定して、携帯端末2を効率良く探索することができる。
【0045】
図4のステップS40~S45は、運転席ドア111が閉状態であって、運転席ドア111のハンドル50が操作されたときに、第1通信部30が停止状態であった場合に対応した処理である。
【0046】
ここで、第1通信部30が停止状態であった場合には、第1通信部30を起動させて、携帯端末2とのUWB通信が可能になるまでには、ある程度の時間を要する。そのため、利用者Uが車両100に乗り込む前に、携帯端末2を検出することができないことがある。
【0047】
そこで、対象識別情報認識部15は、
図5に示したように、車外探索範囲Sa1と車内探索範囲Sa2を合わせた範囲を携帯端末2の探索範囲として、携帯端末2をより確実に検出するようにしている。この場合、車外探索範囲Sa1と車内探索範囲Sa2を合わせた範囲は、本開示の第2探索範囲に相当する。さらに、対象識別情報認識部15は、先ずは車外探索範囲Sa1を探索範囲として携帯端末2を探索し、車外探索範囲Sa1内で携帯端末2が検出されなかった場合に、車内探索範囲Sa2を探索範囲として携帯端末2を探索する。このように、携帯端末2の探索を段階的に行って、車外探索範囲Sa1内で携帯端末2が検出された場合にはその時点で探索を終了することにより、携帯端末2を探索する際のUWB通信による電力消費を抑制することができる。
【0048】
図4のステップS40で、対象識別情報認識部15は、第1通信部30を起動し、ステップS41で、携帯端末2の探索範囲を車両100の外部の車外探索範囲Sa1に設定する。続くステップS42で、対象識別情報認識部15は、携帯端末位置認識部14によるUWB通信での位置認識を行って携帯端末2を探索する。次のステップS43で、対象識別情報認識部15は、携帯端末2が検出されたときは
図3のステップS7に処理を進め、携帯端末2が検出されなかったときにはステップS44に処理を進める。
【0049】
ステップS44で、対象識別情報認識部15は、携帯端末2の探索範囲を、車両100の内部の車内探索範囲Sa2に設定する。続くステップS45で、対象識別情報認識部15は、携帯端末位置認識部14によるUWB通信での位置認識を行って携帯端末2を探索する。次のステップS46で、対象識別情報認識部15は、携帯端末2が検出されたときは
図3のステップS7に処理を進め、携帯端末2が検出されなかったときには
図3のステップS30に処理を進める。
【0050】
[4.他の実施形態]
図7は、車両100が複数の利用者Ua,Ubにより共用され、利用者Uaにより使用される携帯端末2aと、利用者Ubにより使用される携帯端末2bが、車両100に登録されている場合に、利用者Ua,Ubが車両100に乗り込んだ状況を示している。この状況では、対象識別情報認識部15は、車内探索範囲Sa2内に存在する携帯端末2a,2bを検出するため、携帯端末2a,2bのどちらが、運転席110を使用する利用者Uaにより使用される携帯端末であるかを判断する処理を行う。
【0051】
すなわち、対象識別情報認識部15は、携帯端末位置認識部14により認識された携帯端末2a,2bの位置の変化Tra,Trbに基づいて、運転席ドア111から運転席110に向かって変位したことが認識される携帯端末2aを、利用者Uaにより使用される携帯端末であると判断する。そして、対象識別情報認識部15は、携帯端末2aの認証コードを、運転席110を使用する利用者Uaに対応した設定条件と対応付けられた対象認証コードとして認識する。
【0052】
また、車両100に認証コードが登録された携帯端末2が1台であるときには、対象識別情報認識部15が、第2通信部40と携帯端末2のBLE通信が確立された時点(
図1のC2の状態)で、携帯端末2から送信される認証コードを対象認証コードとして認識してもよい。これにより、特定装備設定部16による特定装備の設定を速やかに実行することができる。
【0053】
上記実施形態では、本開示の移動体として車両100を例示したが、本開示の移動体は、対象座席の使用者の利用者によって使用される携帯端末を、通信により認識される携帯端末の位置に基づいて検出して、携帯端末の端末識別情報に応じて特定装備の設定を行う移動体であればよく、飛行体、船舶等であってもよい。
【0054】
上記実施形態では、
図6に示したように、対象識別情報認識部15は、運転席ドア111が開状態である場合に、携帯端末2の探索範囲を車内探索範囲Sa2に設定する処理を行ったが、この処理を省略した構成としてもよい。
【0055】
上記実施形態では、UWB通信により車両100に対する携帯端末2の位置を認識する第1通信部30と、BLE通信により車両100に対する携帯端末2の位置を認識する第2通信部40とを例示したが、他の通信仕様により車両100に対する携帯端末2の位置を認識する構成としてもよい。
【0056】
上記実施形態では、運転席110が本開示の対象座席に相当し、運転席ドア111が本開示の対象ドアに相当する例を示したが、助手席或いは後部座席についても、同様の処理を適用することができる。すなわち、各座席を使用する利用者が使用する携帯端末の認証コードを対象認証コードとして認識することによって、対象認証コードに対応付けられた設定条件により、各座席のシートポジションの設定等の特定装備の設定を行うことができる。
【0057】
上記実施形態において、特定装備設定部16は、
図3のステップS6、ステップS30に示したように、対象ドア操作認識部12により運転席ドア111の操作が認識されたときに、携帯端末2が検出されなかったときには、過去に対象認証コードとして認識された回数が最も多い認証コードに対応付けられた設定条件に基づいて、車両100のパワーシート装備52等の特定装備の設定を行った。他の実施形態として、対象ドア操作認識部12により運転席ドア111の操作が認識されたときに、携帯端末2が検出されなかったときには、特定装置設定部16が、前回に対象認証コードとして認識された認証コードに対応付けられた設定条件に基づいて、車両100の特定装備の設定を行うようにしてもよい。
【0058】
なお、
図1、
図2は、本開示の発明の理解を容易にするために、移動体制御装置1の構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、移動体制御装置1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、
図3、
図4に示した各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0059】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0060】
(構成1)移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識部と、前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識部と、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識部による認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識部と、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定部と、を備える移動体制御装置であって、前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御部を備え、前記対象識別情報認識部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する移動体制御装置。
構成1の移動体制御装置によれば、通信制御部により第1通信部を所定周期で作動状態と停止状態とに切り替えることによって、移動体に接近する携帯端末と通信を行う際の第1通信部の待機電力が低減される。そして、携帯端末位置認識部は、対象ドアに対する操作が認識されたときに、第1通信部が作動状態であるときには、第1通信部と携帯端末との通信が速やかに確立されて、利用者が対象ドア付近の移動体の外部にいる段階で、携帯端末の位置が認識されることが期待できるため、移動体の外部の第1探索範囲内で携帯端末を探索することによって、第1通信部の電力消費を抑制することができる。また、携帯端末位置認識部は、対象ドアに対する操作が認識されたときに、第1通信部が停止状態であるときには、第1通信部の起動にある程度の時間を要するため、第1通信部と携帯端末との通信が確立されるまでの間に、利用者が移動体に搭乗することも想定される。そこで、移動体の外部と内部を含む第2探索範囲で携帯端末を探索することによって、移動体の内部に持ち込まれた携帯端末についても、第1通信部との通信を確立して対象識別情報を認識することができる。
【0061】
(構成2)前記対象識別情報認識部は、前記第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する場合に、先ず、前記第2探索範囲の前記移動体の外部の範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第2探索範囲の前記移動体の外部の範囲内で前記携帯端末が検出されなかったときに、前記第2探索範囲の前記移動体の内部の範囲内で前記携帯端末を探索する構成1に記載の移動体制御装置。
構成2の移動体制御装置によれば、移動体の外部の範囲で第1通信部と携帯端末との通信が確立されなかった場合に限定して、第1通信部の通信範囲を移動体の内部に広げることにより、最初から移動体の外部と内部に第1通信部の通信範囲を設定する場合よりも、第1通信部の電力消費を低減することができる。
【0062】
(構成3)前記対象ドアの開閉状態を認識する対象ドア開閉認識部を備え、前記対象識別情報認識部は、前記対象ドア開閉認識部により前記対象ドアが開状態であることが認識されている状態で、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアが操作されたことが認識された場合は、前記移動体の内部の第3探索範囲内で前記携帯端末を探索する構成1又は構成2に記載の移動体制御装置。
構成3の移動体制御装置によれば、既に対象ドアが開いている状況で対象ドアが操作された場合には、利用者が速やかに移動体に搭乗すると想定される。そこで、この場合は、移動体の内部の第3探索範囲内で携帯端末を探索することによって、第1通信部の消費電力を抑制して、第1通信部と携帯端末との通信を効率良く確立することができる。
【0063】
(構成4)前記対象識別情報認識部は、複数の前記携帯端末を検出したときに、前記携帯端末位置認識部により認識される前記携帯端末の位置の変化に基づいて、前記対象座席の利用者により使用される前記携帯端末を推定し、該推定した前記携帯端末から送信される前記端末識別情報を前記対象識別情報として認識する構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の移動体制御装置。
構成4の移動体制御装置によれば、携帯端末の位置の変化から、対象座席付近に向かって移動したことが認識される携帯端末の端末識別情報を、対象識別情報として認識することができる。
【0064】
(構成5)前記特定装備設定部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されなかった場合には、前記対象識別情報認識部により過去に認識された回数が最も多い前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記特定装備の設定を行う構成1から構成4のうちいずれか1つの構成に記載の移動体制御装置。
構成5の移動体制御装置によれば、利用者が携帯端末を所持せずに移動体に搭乗した場合に、移動体の過去の利用回数から、移動体を利用する可能性が最も高いと推定される利用者に対応付けられた設定条件によって、特定設備の設定を行うことができる。
【0065】
(構成6)前記特定装備設定部は、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されなかった場合には、前記対象識別情報認識部により前回に認識された前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記特定装備の設定を行う構成1から構成5のうちいずれか1つの構成に記載の移動体制御装置。
構成6の移動体制御装置によれば、利用者が携帯端末を所持せずに移動体に搭乗した場合に、前回に移動体を使用した利用者に対応付けられた設定条件によって、特定設備の設定を行うことができる。
【0066】
(構成7)前記対象識別情報認識部は、前記移動体に前記端末識別情報が登録された前記携帯端末が1台であるときは、前記移動体に備えられて前記携帯端末との通信を前記第1通信部よりも広い通信範囲により行う第2通信部と、前記携帯端末との通信が確立された時点で、前記携帯端末から送信される前記端末識別情報を前記対象識別情報として認識する構成1から構成6のうちいずれか1つの構成に記載の移動体制御装置。
構成7の移動体制御装置によれば、移動体に端末識別情報が登録された携帯端末が1台であるときには、第2通信部と携帯端末との通信が確立された時点で端末識別情報を取得することによって、第1通信部と携帯端末との通信により端末識別情報を取得するための処理が不要となるため、第1通信部の電力消費を抑制しつつ、特定装備の設定を速やかに行うことができる。
【0067】
(構成8)コンピュータにより実行される移動体制御方法であって、移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識ステップと、前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識ステップと、前記対象ドア操作認識ステップにより前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識ステップによる認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識ステップと、前記対象識別情報認識ステップにより前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定ステップと、前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御ステップと、を含み、前記対象識別情報認識ステップは、前記対象ドア操作認識ステップにより前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する移動体制御方法。
構成8の移動体制御方法をコンピュータにより実行することによって、構成1の移動体制御装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
(構成9)コンピュータを、移動体に備えられた第1通信部と、前記移動体の利用者により使用される携帯端末との通信状況に応じて、前記移動体に対する前記携帯端末の位置を認識する携帯端末位置認識部と、前記移動体の対象座席に対応して前記移動体に設けられた対象ドアに対する操作を認識する対象ドア操作認識部と、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記携帯端末位置認識部による認識状況に基づいて、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末を探索し、前記対象座席付近に存在する前記携帯端末が検出された場合に、前記携帯端末から送信される端末識別情報を、前記対象座席を使用する利用者と対応付けられた対象識別情報として認識する対象識別情報認識部と、前記対象識別情報認識部により前記対象識別情報が認識されたときに、前記対象識別情報と対応付けられた設定条件に基づいて、前記移動体に備えられた特定装備の設定を行う特定装備設定部と、前記第1通信部を、所定周期で作動状態と停止状態とに切り替える通信制御部と、して機能させ、前記対象識別情報認識部に、前記対象ドア操作認識部により前記対象ドアに対する操作が認識されたときに、前記第1通信部が作動状態である場合は、前記移動体の外部の前記対象座席付近の第1探索範囲内で前記携帯端末を探索し、前記第1通信部が停止状態である場合は、前記第1通信部を起動して、前記移動体の外部及び内部を含む前記対象座席付近の第2探索範囲内で前記携帯端末を探索する処理を実行させるプログラム。
構成9のプログラムをコンピュータにより実行することによって、構成1の移動体制御装置の構成を実現することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…移動体制御装置、2…携帯端末、10…プロセッサ、11…通信制御部、12…対象ドア操作認識部、13…対象ドア開閉認識部、14…携帯端末位置認識部、15…対象識別情報認識部、16…特定装備設定部、20…メモリ、21…プログラム、22…利用者登録情報、30…第1通信部、31a~31f,32a~32d…UWBアンテナ、40…第2通信部、41…BLEアンテナ、50…ハンドル、50a…ハンドルセンサ、51…ドア開閉センサ、52…パワーシート装備、53…ディスプレイ、54…エアコン、100…車両(移動体)、110…運転席(対象座席)、111…運転席ドア(対象ドア)、U…利用者。