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特開2024-134244任意波形発生装置及び任意波形発生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134244
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】任意波形発生装置及び任意波形発生方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/3183 20060101AFI20240926BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G01R31/3183
G01R31/28 Q
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044446
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 恭男
(72)【発明者】
【氏名】大沼 弘季
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AG02
2G132AG04
2G132AG05
(57)【要約】
【課題】パルスパターンの波形データを加工可能な任意波形発生装置を提供する。
【解決手段】任意波形の波形データを格納する波形メモリ10と、波形メモリに格納された波形データを時系列順に所定の時間間隔で出力させる制御部30と、出力された波形データをD/A変換して波形信号を生成する波形信号生成部20と、パルスパターン波形を発生する場合、パルスパターンデータに基づいて波形データを時系列順に逐次算出するデータ処理部40と、を備え、制御部は、逐次算出された波形データを所定の時間間隔でデータ処理部から波形信号生成部へ出力させ、波形信号生成部にてD/A変換して波形信号を生成させる。制御部は、データ準備段階において指定されたパルスパターンデータにデータ加工処理を施し、波形メモリに格納可能な容量の加工済みの波形データを生成するデータ加工部33を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意波形の時系列データである波形データを格納する波形メモリ(10)と、
前記波形メモリに格納された前記波形データを時系列順に所定の時間間隔で出力させる制御を行う制御部(30)と、
前記制御部による制御下で出力された前記波形データをデジタル-アナログ変換して波形信号を生成する波形信号生成部(20)と、
パルスパターン波形を発生する場合は、パルスパターンの時系列データであるパルスパターンデータに基づいて前記波形データを時系列順に逐次算出するデータ処理部(40)と、を備え、
前記制御部は、前記逐次算出された前記波形データを前記所定の時間間隔で前記データ処理部から前記波形信号生成部へ出力させ、前記波形信号生成部にてデジタル-アナログ変換して波形信号を生成させる任意波形発生装置において、
前記制御部は、データ準備段階において、指定されたパルスパターンデータにデータ加工処理を施し、前記波形メモリに格納可能な容量の加工済みの前記波形データを生成するデータ加工部(33)を備えることを特徴とする任意波形発生装置。
【請求項2】
前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記指定されたパルスパターンデータの少なくとも一部を、指定長の別のパルスパターンデータに置き換え、前記データ処理部に、前記置き換え後のパルスパターンデータに基づいて前記波形メモリに格納可能な容量の加工済みの前記波形データを生成させる、請求項1に記載の任意波形発生装置。
【請求項3】
前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記指定されたパルスパターンデータを基に前記データ処理部により算出された前記波形データに、指定されたフィルタを掛ける処理を施し、前記波形メモリに格納可能な容量の加工済みの前記波形データを生成する、請求項1に記載の任意波形発生装置。
【請求項4】
前記データ処理部は、指定された擬似ランダムビットシーケンスに対応する生成多項式に基づいて前記パルスパターンデータを逐次算出しつつ、逐次算出された前記パルスパターンデータに基づいて前記波形データを逐次算出する擬似ランダム信号生成部(42)を含み、
前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記データ加工処理として前記擬似ランダム信号生成部により逐次算出される前記波形データを前記波形メモリに格納可能な容量の前記加工済みの前記波形データとして生成する、請求項1に記載の任意波形発生装置。
【請求項5】
前記データ処理部は、前記波形メモリに格納された前記パルスパターンデータを指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出しつつ、逐次算出された前記パルスパターン符号化データに基づいて前記波形データを逐次算出する符号化処理部(41)を含み、
前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記データ加工処理として前記符号化処理部により逐次算出される前記波形データを前記波形メモリに格納可能な容量の前記加工済みの前記波形データとして生成する、請求項1に記載の任意波形発生装置。
【請求項6】
前記データ処理部は、
指定された擬似ランダムビットシーケンスに対応する生成多項式に基づいて前記パルスパターンデータを逐次算出する擬似ランダム信号生成部(42)と、
前記擬似ランダム信号生成部により逐次算出された前記パルスパターンデータを、指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出しつつ、逐次算出された前記パルスパターン符号化データに基づいて前記波形データを逐次算出する符号化処理部(41)と、を含み、
前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記データ加工処理として前記符号化処理部により逐次算出される前記波形データを前記波形メモリに格納可能な容量の前記加工済みの前記波形データとして生成する、請求項1に記載の任意波形発生装置。
【請求項7】
任意波形の時系列データである波形データを波形メモリに格納するステップと、
前記波形メモリに格納された前記波形データを時系列順に所定の時間間隔でデジタル-アナログ変換器に出力させる制御を行う制御ステップと、
前記制御ステップの前記制御下で出力された前記波形データを前記デジタル-アナログ変換器によりデジタル-アナログ変換して波形信号を生成する波形信号生成ステップと、
パルスパターン波形を発生する場合は、パルスパターンの時系列データであるパルスパターンデータに基づいて前記波形データを時系列順に逐次算出するデータ処理ステップと、
前記逐次算出された前記波形データを前記所定の時間間隔で前記デジタル-アナログ変換器に出力させる制御を行なってデジタル-アナログ変換により波形信号を生成させるステップと、
を備える任意波形発生方法において、
データ準備段階において、前記パルスパターンデータにデータ加工処理を施し、前記波形メモリに格納可能な容量の加工済みの前記波形データを生成するデータ加工ステップと、
を含むことを特徴とする任意波形発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意波形発生装置及び任意波形発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試験対象機器に既知の試験信号を入力し、試験対象機器からの出力信号を測定することにより、試験対象機器の性能を評価している。試験信号を生成する装置として、任意の波形信号を発生することができる任意波形発生装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は、特許文献1に開示された従来の任意波形発生装置の概略構成を示す図である。図11に示すように、従来の任意波形発生装置100は、波形データ111を格納する波形メモリ110と、デジタル-アナログ変換器を備えた波形信号生成部120と、波形データの波形メモリ110からの読み出しを制御する制御部130と、を備えている。任意波形発生器100は、制御部130による制御下で波形メモリ110から波形データ111を順に読み出し、デジタルの波形データを波形信号生成部120のデジタル-アナログ変換器によりアナログ信号に変換することで、任意の波形信号を出力するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平8-7643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の任意波形発生器では、全ての波形データを予め波形メモリに格納しておくため、PRBS(Pseudo Random Bit Sequence)31等の非常に長いデータ列からなる擬似ランダム信号を出力する場合には、膨大な容量の波形メモリが必要とされるという問題があった。また、NRZ(Non Return to Zero)方式のデジタル信号を出力する場合、H/L(High/Low)を表す1ビットに対して、デジタル-アナログ変換器の分解能を規定する複数ビット数を要するので、必要以上に大きな波形メモリが要求されるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の任意波形発生器では、データ準備段階においてパルスパターン波形の一部を別のものに置き換えたり、パルスパターン波形に独自のフィルタを掛けたりして周波数特性を変えるといった波形データの加工ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、大容量の波形メモリを必要とすることなくパルスパターン波形を発生可能な任意波形発生装置及び任意波形発生方法において、データの準備段階においてパルスパターンデータ又はパルスパターンデータから得られる波形データを加工可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の任意波形発生装置は、任意波形の時系列データである波形データを格納する波形メモリ(10)と、前記波形メモリに格納された前記波形データを時系列順に所定の時間間隔で出力させる制御を行う制御部(30)と、前記制御部による制御下で出力された前記波形データをデジタル-アナログ変換して波形信号を生成する波形信号生成部(20)と、パルスパターン波形を発生する場合は、パルスパターンの時系列データであるパルスパターンデータに基づいて前記波形データを時系列順に逐次算出するデータ処理部(40)と、を備え、前記制御部は、前記逐次算出された前記波形データを前記所定の時間間隔で前記データ処理部から前記波形信号生成部へ出力させ、前記波形信号生成部にてデジタル-アナログ変換して波形信号を生成させる任意波形発生装置において、前記制御部は、データ準備段階において、指定されたパルスパターンデータにデータ加工処理を施し、前記波形メモリに格納可能な容量の加工済みの前記波形データを生成するデータ加工部(33)を備えることを特徴とする。
【0009】
上述のように、本発明の任意波形発生装置は、パルスパターン波形を発生する場合は、パルスパターンの時系列データであるパルスパターンデータに基づいて波形データを時系列順に逐次算出するデータ処理部を備え、制御部は、逐次算出された波形データを前記所定の時間間隔でデータ処理部から波形信号生成部へ出力させ、波形信号生成部にてデジタル-アナログ変換して波形信号を生成させるようになっている。この構成により、予め全データを波形メモリに格納しておく必要がなく、擬似ランダム信号やNRZ方式のデジタル信号など長大なパルスパターンの波形信号であっても、大容量の波形メモリを必要とすることなく発生することができる。また、制御部は、データ準備段階において、指定されたパルスパターンデータにデータ加工処理を施し、波形メモリに格納可能な容量の加工済みの波形データを生成するデータ加工部を備えている。この構成により、パルスパターンデータを容易に加工することができる。
【0010】
また、本発明の任意波形発生装置において、前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記指定されたパルスパターンデータの少なくとも一部を、指定長の別のパルスパターンデータに置き換え、前記データ処理部に、前記置き換え後のパルスパターンデータに基づいて前記波形メモリに格納可能な容量の加工済みの前記波形データを生成させる構成であってもよい。
【0011】
この構成により、本発明の任意波形発生装置は、パルスパターンデータの少なくとも一部を別のパルスパターンデータに置換するデータ加工を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明の任意波形発生装置において、前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記指定されたパルスパターンデータを基に前記データ処理部により算出された前記波形データに、指定されたフィルタを掛ける処理を施し、前記波形メモリに格納可能な容量の加工済みの前記波形データを生成する構成であってもよい。
【0013】
この構成により、本発明の任意波形発生装置は、パルスパターンデータを基に生成される波形信号の周波数特性を変えるデータ加工を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明の任意波形発生装置において、前記データ処理部は、指定された擬似ランダムビットシーケンスに対応する生成多項式に基づいて前記パルスパターンデータを逐次算出しつつ、逐次算出された前記パルスパターンデータに基づいて前記波形データを逐次算出する擬似ランダム信号生成部(42)を含み、前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記データ加工処理として前記擬似ランダム信号生成部により逐次算出される前記波形データを前記波形メモリに格納可能な容量の前記加工済みの前記波形データとして生成する構成であってもよい。
【0015】
この構成により、本発明の任意波形発生装置は、擬似ランダム信号のように長大なパルスパターンの信号であっても、大容量の波形メモリを必要とすることなく発生することができる。また、データ加工処理として擬似ランダム信号生成部により逐次算出される波形データを加工済みの波形データとして生成することができるので、波形発生段階で擬似ランダム信号を逐次算出することなく波形信号を生成することができる。
【0016】
また、本発明の任意波形発生装置において、前記データ処理部は、前記波形メモリに格納された前記パルスパターンデータを指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出しつつ、逐次算出された前記パルスパターン符号化データに基づいて前記波形データを逐次算出する符号化処理部(41)を含み、前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記データ加工処理として前記符号化処理部により逐次算出される前記波形データを前記波形メモリに格納可能な容量の前記加工済みの前記波形データとして生成する構成であってもよい。
【0017】
この構成により、本発明の任意波形発生装置は、擬似ランダム信号のように長大なパルスパターンの信号であっても、大容量の波形メモリを必要とすることなく発生することができる。また、データ加工処理として符号化処理部により逐次算出される波形データを加工済みの波形データとして生成することができるので、波形発生段階でパルスパターン符号化データを逐次算出することなく波形信号を生成することができる。
【0018】
また、本発明の任意波形発生装置において、前記データ処理部は、指定された擬似ランダムビットシーケンスに対応する生成多項式に基づいて前記パルスパターンデータを逐次算出する擬似ランダム信号生成部(42)と、前記擬似ランダム信号生成部により逐次算出された前記パルスパターンデータを、指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出しつつ、逐次算出された前記パルスパターン符号化データに基づいて前記波形データを逐次算出する符号化処理部(41)と、を含み、前記データ加工部は、前記データ準備段階において前記データ加工処理として前記符号化処理部により逐次算出される前記波形データを前記波形メモリに格納可能な容量の前記加工済みの前記波形データとして生成する構成であってもよい。
【0019】
この構成により、本発明の任意波形発生装置は、擬似ランダム信号のように長大なパルスパターンの信号であっても、大容量の波形メモリを必要とすることなく発生することができる。また、データ加工処理として符号化処理部により逐次算出される波形データを加工済みの波形データとして生成することができるので、波形発生段階でパルスパターン符号化データを逐次算出することなく波形信号を生成することができる。
【0020】
また、本発明の任意波形発生方法は、任意波形の時系列データである波形データを波形メモリに格納するステップと、前記波形メモリに格納された前記波形データを時系列順に所定の時間間隔でデジタル-アナログ変換器に出力させる制御を行う制御ステップと、前記制御ステップの前記制御下で出力された前記波形データを前記デジタル-アナログ変換器によりデジタル-アナログ変換して波形信号を生成する波形信号生成ステップと、パルスパターン波形を発生する場合は、パルスパターンの時系列データであるパルスパターンデータに基づいて前記波形データを時系列順に逐次算出するデータ処理ステップと、前記逐次算出された前記波形データを前記所定の時間間隔で前記デジタル-アナログ変換器に出力させる制御を行なってデジタル-アナログ変換により波形信号を生成させるステップと、を備える任意波形発生方法において、データ準備段階において、前記パルスパターンデータにデータ加工処理を施し、前記波形メモリに格納可能な容量の加工済みの前記波形データを生成するデータ加工ステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
上述のように、本発明の任意波形発生方法は、パルスパターン波形を発生する場合は、パルスパターンの時系列データであるパルスパターンデータに基づいて波形データを時系列順に逐次算出するデータ処理ステップと、逐次算出された波形データを前記所定の時間間隔でデジタル-アナログ変換器に出力させる制御を行なってデジタル-アナログ変換により波形信号を生成させるステップと、を含んでいる。この構成により、予め全データを波形メモリに格納しておく必要がなく、擬似ランダム信号やNRZ方式のデジタル信号など長大なパルスパターンの波形信号であっても、大容量の波形メモリを必要とすることなく発生することができる。また、データ準備段階において、パルスパターンデータにデータ加工処理を施し、波形メモリに格納可能な容量の加工済みの波形データを生成するデータ加工ステップを含んでいる。この構成により、パルスパターンデータを容易に加工することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、大容量の波形メモリを必要とすることなくパルスパターン波形を発生可能な任意波形発生装置及び任意波形発生方法において、データの準備段階においてパルスパターンデータ又はパルスパターンデータから得られる波形データを加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る任意波形発生装置の概略構成を示す図である。
図2】表示部の表示画面の一例を示す図である。
図3】表示部の表示画面の一例を示す図である。
図4】表示部の表示画面の一例を示す図である。
図5】表示部の表示画面の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る任意波形発生方法のフローチャートを示す図である。
図7】データ加工処理での表示部の表示画面の一例を示す図である。
図8】データ加工処理での表示部の表示画面の一例を示す図である。
図9】データ加工処理での表示部の表示画面の一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係るデータ加工処理のフローチャートを示す図である。
図11】従来の任意波形発生装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る任意波形発生装置1の概略構成を示す図である。図1に示すように、任意波形発生装置1は、波形メモリ10と、波形信号生成部20と、制御部30と、データ処理部40と、操作部50と、表示部60と、記憶部70とを備えている。
【0026】
(波形メモリ)
波形メモリ10は、任意波形の時系列データである「波形データ」を格納するようになっている。また、波形メモリ10は、ユーザが設定したパルスパターンの波形を発生する場合は、パルスパターンの時系列データである「パルスパターンデータ」を格納するようになっている。
【0027】
波形データは、例えば、波形f(t)の時刻t1,t2,・・・,tNでの値のデータ列f(t1),f(t2),・・・,f(tN)からなる。この場合、波形メモリ10は、所定アドレスに波形データf(t1),f(t2),・・・,f(tN)を格納する。波形データを構成するデータ列の各データは、順次読み出されて波形信号生成部20に与えられ波形信号が生成される。すなわち、波形データは、波形信号生成部20において所望の波形信号を生成可能なデータ列である。
【0028】
パルスパターンデータは、例えば、パルスパターンB1,B2,・・・,Bm,・・・,BM(ただしBmは0又は1)からなる。パルスパターンデータは、ユーザが設定したパルスパターンに基づくものと、ユーザが指定したPRBSから生成されるものがある。ユーザが設定したパルスパターンに基づく場合、パルスパターンデータB1,B2,・・・,BMは、波形メモリ10に格納される。いずれの場合も、パルスパターンデータB1,B2,・・・,BMは、順に生成あるいは取得されて、必要ならばユーザ指定された符号化処理が施され、波形信号生成部20において使用可能なように波形データに逐次変換される。
【0029】
(波形信号生成部)
波形信号生成部20は、デジタル-アナログ変換器(D/A変換器ともいう)を備えており、制御部30による出力制御下で出力された波形データをデジタル-アナログ変換して波形信号を生成するようになっている。
【0030】
(制御部)
制御部30は、データ設定部31とデータ読み出し制御部32とデータ加工部33とを備えている。
【0031】
データ設定部31は、ユーザにより操作部50を介して入力された設定情報(波形,符号化方式,PRBS,信号レベル等)を基に、記憶部70に格納されていた波形データやパルスパターンデータを取得し、波形メモリ10に設定する。また、データ設定部31は、ユーザにより操作部50を介して入力された符号化方式の設定情報を基に、符号化処理部41において指定された符号化方式による符号化が実施されるように設定する。また、データ設定部31は、ユーザにより操作部50を介して入力された擬似ランダム信号を特定する情報を基に、擬似ランダム信号生成部42において擬似ランダム信号に対応した生成多項式が用いられるように設定する。
【0032】
データ読み出し制御部32は、波形メモリ10に格納された波形データを時系列順に所定の時間間隔で波形信号生成部20へ出力させる出力制御を行うようになっている。出力された波形データは、波形信号生成部20によりアナログの波形信号に変換される。
【0033】
また、データ読み出し制御部32は、パルスパターン波形を発生する場合であって、パルスパターンデータが波形メモリ10に格納されている場合には、波形メモリ10に格納されたパルスパターンデータを時系列順にデータ処理部40へ出力させる出力制御を行うようになっている。
【0034】
また、データ読み出し制御部32は、パルスパターン波形を発生する場合は、データ処理部40により逐次算出された波形データを所定の時間間隔でデータ処理部40から波形信号生成部20へ出力させ、波形信号生成部20にてデジタル-アナログ変換して波形信号を生成させるようになっている。
【0035】
データ加工部33は、データ準備段階において、指定されたパルスパターンデータにデータ加工処理を施し、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データを生成するようになっている。加工済みの波形データは、例えば記憶部70に格納される。
【0036】
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SDD(Solid State Drive)等の記憶装置等を有するコンピュータで構成され、任意波形発生装置1を構成する各部の動作を制御するようにしてもよい。制御部30による制御は、ROMや記憶装置に記憶された制御プログラムをRAMに読み出してCPUで実行することにより行うことができる。
【0037】
(データ処理部)
データ処理部40は、パルスパターンの時系列データであるパルスパターンデータに基づいて必要なデータ処理(符号化,信号レベル調整等)を行なって波形データを時系列順に逐次算出するようになっている。このため、データ処理部40は、符号化処理部41と擬似ランダム信号生成部42とを備えている。
【0038】
擬似ランダム信号生成部42は、指定された擬似ランダムビットシーケンスに対応する生成多項式に基づいてパルスパターンデータ(擬似ランダムビットシーケンス)を逐次算出しつつ、逐次算出された擬似ランダムビットシーケンスに基づいて波形データを逐次算出するようになっている。
【0039】
符号化処理部41は、制御部30による出力制御下で波形メモリ10から出力されたパルスパターンデータを指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出しつつ、逐次算出されたパルスパターン符号化データに基づいて波形データを逐次算出するようになっている。
【0040】
符号化処理部41は、制御部30の出力制御下で波形メモリ10から出力されたパルスパターンデータに基づいて波形データを時系列順に逐次算出するようにしてもよい。
【0041】
データ処理部40は、擬似ランダム信号生成部42により、指定された擬似ランダムビットシーケンスに対応する生成多項式に基づいてパルスパターンデータ(擬似ランダムビットシーケンス)を生成し、符号化処理部41により、パルスパターンデータを指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出しつつ、逐次算出されたパルスパターン符号化データに基づいて波形データを逐次算出するようにしてもよい。
【0042】
<擬似ランダム信号の生成>
擬似ランダム信号生成部42は、直列接続されたn個のシフトレジスタと、最終段のシフトレジスタの出力信号とシフトレジスタの段数nによって定まる中間に位置する1個以上のシフトレジスタの出力信号との排他的論理和を帰還信号として先頭のシフトレジスタへ帰還させる排他的論理和ゲートと、により構成されている。生成される擬似ランダム信号の周期(パターン長)は、2-1である。例えば、擬似ランダム信号がPRBS31の場合、生成多項式は1+X28+X31であり、231-1=2,147,483,647ビットの周期である。
【0043】
<符号化>
符号化処理部41により行われる符号化の方式は、例えば、各ビットの間でゼロに復帰しない方式であるNRZ変調方式、振幅をシンボルごとに4以上のレベルに分ける方式であるパルス振幅変調(PAM:Pulse Amplitude Modulation)方式、互いに独立な2つの搬送波の振幅を変更・調整することによってデータを伝達する変調方式である直角位相振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)方式などがある。PAM信号を扱う伝送方式としては、例えば、PAM4信号を伝送するPAM4方式や、PAM8信号を伝送するPAM8方式等が知られている。このうち、PAM4方式は、情報信号の振幅をパルス信号の系列で符号化したパルス振幅変調(PAM)信号として、論理「0」及び「1」から構成されるビット列を、4つの電圧レベル又は光電力のパルス信号として変調して伝送する方式である。例えば16QAMとは、デジタル信号の変調方式であるQAMのうち、一度に16通りの値(4ビットのデータ)を送ることができる方式である。
【0044】
なお、データ処理部40は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのデジタル回路で構成される。あるいは、処理速度にも依るが、データ処理部40の少なくとも一部は、デジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
【0045】
(操作部)
操作部50は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部60に設けられたタッチパネルで構成される。あるいは、操作部50は、キーボードまたはマウスのような入力デバイスを含んで構成されてもよい。また、操作部50は、リモートコマンドなどによる遠隔制御を行う外部制御装置で構成されてもよい。操作部50への操作入力は、制御部30により検知されるようになっている。例えば、操作部50により、生成する波形、符号化方式、擬似ランダム信号、信号レベル等に関する設定情報をユーザが設定することが可能である。
【0046】
(表示部)
表示部60は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、制御部30から出力される制御信号に応じて、波形信号生成における諸条件などを設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
【0047】
<データ加工部>
次に、データ加工部33について説明する。
【0048】
制御部30に設けられたデータ加工部33は、データ準備段階において、ユーザにより指定されたパルスパターンデータに対して、ユーザにより指定されたデータ加工処理を施し、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データを生成するようになっている。データ加工部33によりデータ加工処理が施された加工済みの波形データは、例えば記憶部70に格納される。波形発生段階では、記憶部70から加工済みの波形データが読み出されて波形メモリ10に設定され、波形メモリ10から順次読み出されて波形信号生成部20にて波形信号が生成される。
【0049】
具体的には、データ加工部33は、データ準備段階において、ユーザにより指定されたパルスパターンデータの少なくとも一部を、ユーザにより指定された指定長の別のパルスパターンデータに置き換え、データ処理部40に、置き換え後のパルスパターンデータに基づいて波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データを生成させるようになっている。
【0050】
また、データ加工部33は、データ準備段階において、ユーザにより指定されたパルスパターンデータを基にデータ処理部40により算出された波形データに対し、ユーザにより指定されたフィルタを掛ける処理を施し、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データを生成するようになっている。処理に用いるフィルタは、例えば、ローパスフィルタやFIR(Finite Impulse Response)フィルタ等である。
【0051】
また、データ加工部33は、データ準備段階において、データ加工処理として擬似ランダム信号生成部42により逐次算出される波形データを、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データとして生成するようになっている。具体的には、データ加工部33は、データ準備段階において、擬似ランダム信号生成部42に、ユーザにより指定された擬似ランダムビットシーケンスに対応する生成多項式に基づいてパルスパターンデータ(擬似ランダムビットシーケンス)を逐次算出させつつ、算出された擬似ランダムビットシーケンスに基づいて波形データを逐次算出させる。
【0052】
また、データ加工部33は、データ準備段階において、データ加工処理として符号化処理部41により逐次算出される波形データを、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データとして生成するようになっている。具体的には、データ加工部33は、データ準備段階において、符号化処理部41に、波形メモリ10に格納されたパルスパターンデータをユーザにより指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出させつつ、算出されたパルスパターン符号化データに基づいて波形データを逐次算出させる。
【0053】
また、データ加工部33は、データ準備段階において、擬似ランダム信号生成部42に、ユーザにより指定された擬似ランダムビットシーケンスに対応する生成多項式に基づいてパルスパターンデータ(擬似ランダムビットシーケンス)を逐次算出させ、符号化処理部41に、算出された擬似ランダムビットシーケンスに対してユーザにより指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出させ、算出されたパルスパターン符号化データに基づいて波形データを逐次算出させるようにしてもよい。
【0054】
上記説明では、データ加工部33によるデータ加工処理において、符号化処理部41や擬似ランダム信号生成部42を用いているが、これに限定されず、符号化処理部41や擬似ランダム信号生成部42の機能をデータ加工部33が有するようにしてもよい。
【0055】
<任意波形発生方法>
次に、任意波形発生方法について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る任意波形発生方法のフローチャートを示す図である。
【0056】
図6に示すように、まず、ユーザが、例えば操作部50を操作して、波形、符号化方式、擬似ランダム信号、信号レベルなどの条件を設定する(ステップS1)。制御部30は、ユーザが設定した波形が任意波形発生器型の波形(すなわち、全データを事前に準備しておく全データ事前準備型)か否かを判定し(S2)、判定が否の場合(ステップS2でNO)、ステップS7に進む。判定が是の場合(ステップS2でYES)、制御部30のデータ設定部31は指定された波形データを波形メモリ10に格納する。次いで、制御部30のデータ読み出し制御部32は、波形メモリ10に格納された波形データを所定の時間間隔で順次読み出す(ステップS3)。波形信号生成部20は、波形メモリ10から読み出された波形データをデジタル-アナログ変換によってアナログの波形信号に変換する(ステップS4)。制御部30は、波形データが全て読み出されたか否かを判定し(S5)、判定が否の場合(S5でNO)、ステップS3に戻って処理を続行する。判定が是の場合(S5でYES)、処理を終了する。
【0057】
ステップS7では、制御部30は、ユーザが設定した波形がPRBSパターンか否かを判定し(S7)、判定が否の場合(ステップS7でNO)、ステップS12に進む。判定が是の場合(ステップS7でYES)、データ処理部40は、指定されたPRBSに対応する生成多項式によりPRBSの値を逐次算出する(ステップS8)。データ処理部40は、逐次算出されたPRBSの値に対して、指定された符号化方式にて逐次符号化を行いつつ波形データに変換する(ステップS9)。波形信号生成部20は、データ処理部40により逐次符号化されたPRBSの値に対応する波形データをデジタル-アナログ変換によってアナログの波形信号に変換する(ステップS10)。制御部30は、PRBSパターンのデータが全て終了したか否かを判定し(S11)、判定が否の場合(S11でNO)、ステップS8に戻って処理を続行する。判定が是の場合(S11でYES)、処理を終了する。
【0058】
ステップS12では、制御部30は、ユーザが設定した波形がパルスパターンか否かを判定し(S12)、判定が否の場合(ステップS12でNO)、処理を終了する。判定が是の場合(ステップS12でYES)、データ処理部40は、波形メモリ10に格納されたパルスパターンデータを取得し、指定された符号化方式で逐次符号化する(ステップS13)。波形信号生成部20は、データ処理部40により逐次符号化されたパルスパターンの値をデジタル-アナログ変換によってアナログの波形信号に変換する(ステップS14)。制御部30は、パルスパターンのデータが全て終了したか否かを判定し(S15)、判定が否の場合(S15でNO)、ステップS13に戻って処理を続行する。判定が是の場合(S15でYES)、処理を終了する。
【0059】
図2は、任意波形を出力する場合の画面例を示す。「Test Pattern」の項目で、「AWG Waveform」を選択すると、波形ファイルを選択することができ、波形ファイルに含まれる波形データを波形メモリ10に格納して、波形信号生成部20により波形信号を出力することができる。図2では、「Max Amplitude」と「Offset」を設定できるようになっている。
【0060】
図3は、波形メモリ10に格納されたパルスパターンデータを基に波形信号を出力する場合の画面例を示す。「Test Pattern」の項目で、「Pattern」を選ぶと、パルスパターンデータファイルを選択することができ、符号化方式や振幅レベルを設定することができる。図3では、符号化方式としてPAM4が選択されている。符号化における「Symbol」と「Volt」を編集することにより、アイダイアグラムにおける「Eye Ratio」や「Eye Amplitude」も設定できるようになっている。
【0061】
図4及び図5は、PRBSパターンを出力する場合の画面例を示す。「Test Pattern」の項目で、「PRBS」を選択すると、PRBSの種類、符号化方式、振幅レベルを設定することができる。図4では、符号化方式としてQAM16が選択されており、図5では、符号化方式としてPAM4が選択されている。
【0062】
<データ加工方法>
次にデータ準備段階におけるデータ加工方法を説明する。
図10は、本実施形態に係るデータ加工方法のフローチャートである。
【0063】
制御部30は、パルスパターンデータの加工がユーザにより選択されたか否かを判定する(ステップS20)。判定結果が否ならば(ステップS20でNO)、処理を終了する。判定結果が是ならば(ステップS20でYES)、ステップS21に進む。
【0064】
ステップS21では、制御部30は、データ加工処理の内容がパルスパターンデータの一部の置換か否かを判定する。判定結果が否ならば(ステップS21でNO)、ステップS26に進む。判定結果が是ならば(ステップS21でYES)、データ加工する対象のパルスパターンデータファイルを選択し、置換する新たなパルスパターンデータを例えば操作部50を介して指定(あるいは設定)する(ステップS22)。
【0065】
次に、ユーザは、データ加工対象のパルスパターンデータのうち、どの範囲のデータを置換するのかを例えば操作部50を介して指定する(ステップS23)。そして、データ加工部33は、データ加工対象のパルスパターンデータのうち、指定した置換範囲のデータを、設定した新たなデータに置換する(ステップS24)。
【0066】
次いで、データ処理部40は、置換済みのパルスパターンデータに基づいて波形データを算出し、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データとして記憶部70に保存する(ステップS25)。
【0067】
ステップS26では、操作部50を介したユーザ入力を基に、ユーザにより指定されたパルスパターンデータのフィルタリングを行うか否かを判定する。判定結果が否ならば(ステップS26でNO)、処理を終了する。判定結果が是ならば(ステップS26でYES)、例えば操作部50を介してフィルタを選択(あるいは設定)し(ステップS27)、データ加工部33は、ユーザ指定されたパルスパターンデータに基づいてデータ処理部40により算出された波形データに対して、選択したフィルタを用いてフィルタリング処理を実施する(ステップS28)。データ加工部33は、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データを記憶部70に保存する(ステップS29)。フィルタリングは、データ処理部40において行うようにしてもよい。
【0068】
図7は、データ加工処理での表示部60の表示画面の一例を示す図である。図7は、PRBSをAWG波形(波形データ)にデータ加工する画面例を示す。「Test Pattern」の項目で、「PRBS to AWG Waveform」を選択すると、データ加工するPRBSを選択することができ、符号化方式、信号レベルなどを設定することができる。図7では、擬似ランダム信号の周期(パターン長)が215-1ビットのPRBS15が選択され、符号化方式としてQAM16が選択されている。「Max Amplitude」は1.000Vppに設定され、符号化における「Symbol」と「I」,「Q」の対応関係を編集できるようになっている。「Save」を選択すると、PRBSを符号化して波形データ(AWG波形)に変換した加工済み波形データを記憶部70に保存することができる。
【0069】
図8は、PRBSをAWG波形(波形データ)にデータ加工する別の画面例を示す。図8では、符号化方式としてPAM4が選択されている。符号化における「Symbol」と「Volt」を編集することにより、アイダイアグラムにおける「Eye Ratio」や「Eye Amplitude」も設定できるようになっている。
【0070】
図9は、パルスパターンデータをAWG波形(波形データ)にデータ加工する画面例を示す。「Test Pattern」の項目で、「Pattern to AWG Waveform」を選択すると、例えば、データ加工対象のパルスパターンデータファイルを選択することができ、符号化方式、信号レベルなどを設定することができる。図9では、符号化方式としてPAM4が選択されている。
【0071】
<作用・効果>
上述のように、本実施形態の任意波形発生装置1において、制御部30は、データ準備段階において、ユーザにより指定されたパルスパターンデータにデータ加工処理を施し、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データを生成するデータ加工部33を備えている。この構成により、パルスパターンの波形データを容易に加工することができる。
【0072】
また、本実施形態の任意波形発生装置1において、データ加工部33は、データ準備段階において、ユーザにより指定されたパルスパターンデータの少なくとも一部を、ユーザにより指定された指定長の別のパルスパターンデータに置き換え、データ処理部40に、置き換え後のパルスパターンデータに基づいて波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データを生成させることができる。この構成により、パルスパターンデータの少なくとも一部を別のパルスパターンデータに置換するデータ加工を容易に行うことができる。
【0073】
また、本実施形態の任意波形発生装置1において、データ加工部33は、データ準備段階において、ユーザにより指定されたパルスパターンデータを基にデータ処理部40により算出された波形データに、ユーザにより指定されたフィルタを掛ける処理を施し、波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データを生成することができる。この構成により、パルスパターンデータから得られる加工済みの波形データの周波数特性を変えるデータ加工を容易に行うことができる。
【0074】
また、本実施形態の任意波形発生装置1において、データ加工部33は、データ準備段階において、データ加工処理として擬似ランダム信号生成部42により逐次算出される波形データを波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データとして生成することができる。この構成により、データ加工処理として擬似ランダム信号生成部42により逐次算出される波形データを加工済みの波形データとして生成し、記憶部70に格納しておくことができるので、波形発生段階において擬似ランダム信号を逐次算出することなく波形信号として生成することができる。
【0075】
また、本実施形態の任意波形発生装置1において、データ加工部33は、データ準備段階において、データ加工処理として符号化処理部41により逐次算出される波形データを波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データとして生成することができる。この構成により、データ加工処理として符号化処理部41により逐次算出される波形データを加工済みの波形データとして生成し、記憶部70に格納しておくことができるので、波形発生段階においてパルスパターン符号化データを逐次算出することなく波形信号として生成することができる。
【0076】
また、本実施形態の任意波形発生装置1において、符号化処理部41は、擬似ランダム信号生成部42により逐次算出されたパルスパターンデータ(擬似ランダムビットシーケンス)を、ユーザにより指定された符号化方式により符号化してパルスパターン符号化データを逐次算出しつつ、算出されたパルスパターン符号化データに基づいて波形データを逐次算出することができる。そして、データ加工部33は、データ準備段階において、データ加工処理として符号化処理部41により逐次算出される波形データを波形メモリ10に格納可能な容量の加工済みの波形データとして生成することができる。この構成により、データ加工処理として符号化処理部41により逐次算出される波形データを加工済みの波形データとして生成し、記憶部70に格納しておくことができるので、波形発生段階においてパルスパターン符号化データを逐次算出することなく波形信号として生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、本発明は、長大なパルスパターンの信号であっても大容量の波形メモリを必要とすることなく発生可能であるとともに、データ準備段階においてパルスパターンデータ又はパルスパターンデータから得られる波形データを加工することができるという効果を有し、任意波形発生装置及び任意波形発生方法の全般に有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 任意波形発生装置
10 波形メモリ
20 波形信号生成部
30 制御部
31 データ設定部
32 データ読み出し制御部
33 データ加工部
40 データ処理部
41 符号化処理部
42 擬似ランダム信号生成部
50 操作部
60 表示部
70 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11