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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134249
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】無線通信端末
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240926BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G06K7/10 252
G06K7/00 004
G06K7/10 436
G06K7/10 224
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044454
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大棟
(57)【要約】
【課題】本体部の裏面側に設けられた発熱部にて生じた熱が本体部の裏面に設けられた把持部を把持する手に伝わり難い構成を提供する。
【解決手段】本体部12に対して裏面12b側であって把持部14から離れた位置に設けられる無線通信部30は、本体部12からの指示に応じて動作することで発熱する無線通信モジュール40と、無線通信モジュール40が収容される保護ケース31と、無線通信モジュール40からの熱が伝わるように保護ケース31内に収容される金属体50と、を有している。保護ケース31の外郭を構成する外壁のうち把持部14に対向する対向壁31aと異なる放熱壁31c,31dに複数の放熱孔32が形成され、金属体50は、無線通信モジュール40におけるRFIDモジュール部42の回路素子42a等からの熱が伝わる受熱面51と異なる一面が放熱面53,54として保護ケース31の各放熱孔32を介して外部に露出するように配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信媒体に記憶されている情報を読み取る無線通信端末であって、
前記無線通信媒体を読み取る読取処理時に発熱する発熱部品を有する発熱部と、
前記発熱部との間に所定の隙間が介在するように配置される把持部と、
を備え、
前記発熱部は、
前記発熱部品が収容される保護ケースと、
前記発熱部品からの熱が伝わるように前記保護ケース内に収容される金属体と、
を有し、
前記保護ケースの外郭を構成する外壁のうち前記把持部に対向する対向壁と異なる放熱壁に放熱孔が形成され、
前記金属体は、前記発熱部品からの熱が伝わる受熱面と異なる一面が放熱面として前記放熱孔を介して外部に露出するように配置されることを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記放熱孔は、前記放熱壁の内面での開口面積が前記放熱壁の外面での開口面積よりも大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記金属体は、前記受熱面が平状であって前記放熱面が前記受熱面に沿う一方向に長くなるように平板状に形成され、
前記放熱孔は、前記一方向に沿って長くなるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記金属体は、前記受熱面が設けられる第1の薄板部と前記放熱面が設けられる第2の薄板部とが連なるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記発熱部は、前記無線通信媒体の読取処理時に電波が平面状の送受信面から前記無線通信媒体が位置する読取方向に向けて放出されるアンテナ部を備え、
前記金属体は、前記受熱面が平面であり、前記受熱面が前記送受信面に対して前記読取方向と逆方向となる位置にて前記送受信面と平行であって、前記受熱面と前記送受信面との距離が当該送受信面から放出される電波の波長の1/4の長さとなるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
把持した状態での操作性を確保するため本体部の裏面に把持部を設けるタイプの携帯型の無線通信端末が知られており、このような携帯型の無線通信端末として、例えば、下記特許文献1に開示される無線タグ通信装置が知られている。この無線タグ通信装置は、表示部が上面に設けられる筐体と、トリガースイッチが設けられる把持部と、アンテナとを備えている。筐体には放熱用の通気孔が設けられ、把持部は筐体の下部(裏面)に設けられ、アンテナは筐体の前面部に対して略垂直となるように立設されている。このように構成される無線タグ通信装置は、放熱用の通気孔部に通気性を有した防水シートを組付けることにより防水機能確保と放熱性向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-204072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無線通信媒体を読み取る読取処理時に発熱する発熱部と把持部とが筐体の裏側にて隙間を介して配置される構成では、端末の小型化の要求等に応じて裏面側が小さくされていると、発熱部にて生じた熱が把持部を把持している手に伝わってしまう場合がある。特に、一度に大量の無線通信媒体を読み取る場合にはその発熱量が多くなるので、発熱量を下げるために無線通信媒体の読み取り数を減らすなどの処理負荷軽減を図ることもできるが、その処理負荷軽減によって読取性能が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、読取性能を低下させることなく発熱部にて生じた熱が把持部を把持する手に伝わり難い構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
無線通信媒体(T)に記憶されている情報を読み取る無線通信端末(10)であって、
前記無線通信媒体を読み取る読取処理時に発熱する発熱部品を有する発熱部(30)と、
前記発熱部との間に所定の隙間(S)が介在するように配置される把持部(14)と、
を備え、
前記発熱部は、
前記発熱部品が収容される保護ケース(31)と、
前記発熱部品からの熱が伝わるように前記保護ケース内に収容される金属体(50,55)と、
を有し、
前記保護ケースの外郭を構成する外壁のうち前記把持部に対向する対向壁(31a)と異なる放熱壁(31c,31d)に放熱孔(32~35)が形成され、
前記金属体は、前記発熱部品からの熱が伝わる受熱面(51)と異なる一面が放熱面(53,54)として前記放熱孔を介して外部に露出するように配置されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、発熱部は、無線通信媒体を読み取る読取処理時に発熱する発熱部品と、発熱部品が収容される保護ケースと、発熱部品からの熱が伝わるように保護ケース内に収容される金属体と、を有している。保護ケースの外郭を構成する外壁のうち把持部に対向する対向壁と異なる放熱壁に放熱孔が形成され、金属体は、発熱部品からの熱が伝わる受熱面と異なる一面が放熱面として放熱孔を介して外部に露出するように配置される。
【0008】
これにより、発熱部品からの熱は、金属体の受熱面及び放熱面を介して放熱孔から放熱されやすくなるので、放熱孔が形成されない場合と比較して、保護ケース内に熱がこもり難くすることができる。特に、放熱孔は、保護ケースの外壁のうち把持部に対向する対向壁と異なる放熱壁に形成されているため、読取性能を低下させることなく発熱部にて生じた熱が把持部を把持する手に伝わり難くすることができる。
【0009】
請求項2の発明では、放熱孔は、放熱壁の内面での開口面積が放熱壁の外面での開口面積よりも大きくなるように形成される。
【0010】
これにより、人の指が金属体に触れないようにするために放熱壁の外面での放熱孔の開口面積を小さくしても、放熱壁の内面での放熱孔の開口面積が大きいために金属体が放熱孔を介して外気に触れる面積を大きくできるので、人の指等を保護しつつ放熱孔による放熱効果を高めることができる。
【0011】
請求項3の発明では、金属体は、受熱面が平面であって放熱面が受熱面に沿う一方向に長くなるように平板状に形成され、放熱孔は、上記一方向に沿って長くなるように形成される。
【0012】
これにより、人の指が金属体に触れないようにするために放熱孔の上記一方向に直交する方向の幅寸法を小さくしても、上記一方向に沿って長くなることで放熱孔の開口面積を大きくできるので、放熱孔による放熱効果を高めることができる。特に、上記一方向が上下方向に沿うように把持部を把持している場合には、受熱面から放熱面に伝わった熱は、上方向、すなわち、上記一方向に沿うように広がりながら外気に触れて放熱されるため、放熱孔による放熱効果をより高めることができる。
【0013】
請求項4の発明では、金属体は、受熱面が設けられる第1の薄板部と放熱面が設けられる第2の薄板部とが連なるように形成される。
【0014】
これにより、例えば、同じ面積の受熱面及び放熱面がL字状に連なる2つの外面となる直方体状の金属体と比較して、放熱性能を確保しつつ、放熱に必要な金属体の軽量化、すなわち、無線通信端末の軽量化を図ることができる。
【0015】
請求項5の発明では、発熱部は、無線通信媒体の読取処理時に電波が平面状の送受信面から無線通信媒体が位置する読取方向に向けて放出されるアンテナ部を備え、金属体は、受熱面が平面であり、受熱面が送受信面に対して上記読取方向と逆方向となる位置にて送受信面と平行であって、受熱面と送受信面との距離が当該送受信面から放出される電波の波長の1/4の長さとなるように配置される。
【0016】
アンテナ部の送受信面から読取方向へ放出された電波と読取方向と逆方向(以下、反読取方向ともいう)へ同じ位相で放出された電波が存在する。送受信面の反読取方向では電波の波長の1/4の距離に金属体の受熱面が位置しているため、反読取方向への電波は、受熱面に到達した際に位相が90°進み、受熱面で読取方向に反射することでさらに位相が180°進み、送受信面に到達した際にさらに位相が90°進むことで、合計で位相が360°進む。このように、受熱面にて反射した電波(反射波)が送受信面に戻ってきた時点で位相が360°進んでいるため(360°回転しているため)、反射波と送受信面から読取方向へ放出された電波との位相を一致させることができる。これにより、反射波が読取方向へ放出された電波と合流することで、読取方向への電波強度が増加して、アンテナ利得が増加するため、放熱用の金属体を流用して、無線通信端末の無線通信性能(読取性能)を高めることができる。そして、上述のようにアンテナ利得が増加することから、電波出力を低下させても無線通信性能(読取性能)を維持できるので、電波出力の低下に応じた発熱抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る携帯端末の構成概要を示す図であり、図1(A)は、平面図を示し、図1(B)は、側面図を示す。
図2図1(B)に示す無線通信部を拡大して示す拡大断面図である。
図3図3(A)は、図2に示す無線通信部のX1-X1に相当する断面を示す断面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す無線通信部のX2-X2に相当する断面を示す断面図である。
図4図4(A)は、携帯端末の電気的構成を例示するブロック図であり、図4(B)は、RFIDモジュール部の電気的構成を例示するブロック図であり、図4(C)は、情報コード読取部の電気的構成を例示するブロック図である。
図5】第1実施形態の第1変形例に係る携帯端末の放熱壁に形成される放熱孔を説明する説明図であり、図5(A)は、本第1変形例において図3(A)に相当する断面図であり、図5(B)は、本第1変形例において図3(B)に相当する断面図であって図5(A)に示す無線通信部のX3-X3に相当する断面を示す断面図である。
図6】第1実施形態の第2変形例に係る携帯端末の放熱壁に形成される放熱孔を説明する説明図であり、図6(A)は、放熱孔が放熱面の長手方向に沿って長くなるように形成された状態を示し、図6(B)は、放熱孔が放熱面の短手方向に沿って長くなるように形成された状態を示す。
図7】第1実施形態の第3変形例に係る携帯端末の金属体を説明する説明図であり、図7(A)は、本第3変形例において図3(A)に相当する断面図であり、図7(B)は、本第3変形例において図3(B)に相当する断面図であって図7(A)に示す無線通信部のX4-X4に相当する断面を示す断面図である。
図8】第2実施形態における携帯端末の要部となる無線通信部を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る無線通信端末を携帯端末に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る携帯端末10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で所定の情報を読み取る情報読取装置として構成されており、アンテナ部を介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグ(無線通信媒体)Tに記憶されている所定の情報を無線通信(非接触通信)にて読み取る無線通信端末としての機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0019】
図1(A),(B)に示すように、携帯端末10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される筐体11によってその外郭が形成されている。この携帯端末10は、本体部12および把持部14に加えて、無線通信処理時の送信電波の高出力化を図るための無線通信部30を備えるように構成されている。本体部12の表面12aには、所定の情報を入力する際に操作されるファンクションキーおよびテンキー等の操作部24の一部や、所定の情報を表示するための表示部23等が配置されている。また、本体部12の前側(読取側:図1の左側)の端部には、情報コードからの反射光を取り込むための読取口13が設けられている。
【0020】
把持部14は、本体部12の裏面12bに対して中央近傍に組み付けられており、裏面12b近傍であって無線通信部30に対向する部位には、RFIDタグT等に対する読取処理を開始する際に操作されるトリガースイッチ15が配置されている。このため、本体部12の表示部23を見ながら、把持部14を把持したユーザの手の人差し指等でトリガースイッチ15を容易に押圧操作することができる。
【0021】
無線通信部30は、読取口13の下方に位置して、本体部12に対して裏面12b側であって把持部14との間に所定の隙間Sが介在するように配置されている。この無線通信部30は、図2に示すように、筐体11の一部を構成する樹脂製の保護ケース31を備え、この保護ケース31内に、後述する無線通信モジュール40等が収容されて構成されている。なお、無線通信部30は、「発熱部」の一例に相当し得る。
【0022】
保護ケース31の外郭を構成する外壁は、主に、把持部14に対向する対向壁31aと、RFIDタグTに向ける方向(読取方向)の前方壁31bと、対向壁31a及び前方壁31bに対して左右からそれぞれ連なる一対の放熱壁31c,31dとを備えている。図1(B)及び図3(A)に示すように、放熱壁31cには、複数の放熱孔32が上下方向(読取方向に直交する方向)にて2列で等間隔に配列されるように形成されており、放熱壁31dにも同様の配列にて複数の放熱孔32が形成されている。
【0023】
本実施形態では、各放熱孔32は、図3(A)(B)からわかるように、放熱壁の外面での径と内面での径とが径dでほぼ同じになる断面円形状に貫通し、径dが一般的な人の指の太さdpよりも小さくなるように、例えば、径d=3mmで形成されている。
【0024】
次に、携帯端末10の電気的構成について、図4(A)~(C)を参照して説明する。
本体部12は、携帯端末10全体を制御する制御部21を備えており、筐体11内に収容されている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。また、制御部21には、図4(A)に示すように、表示部23、操作部24、報知部25、外部インタフェース26などが接続されている。
【0025】
表示部23は、例えば、液晶表示器などの公知の表示デバイスであって、その表示画面23aの表示内容が制御部21によって制御されるように構成されている。操作部24は、トリガースイッチ15やテンキー等を備えてその操作に応じた操作信号を制御部21に対して与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。報知部25は、LEDなどの発光部やスピーカ、ブザー、バイブレータ等を備えており、制御部21による制御によって発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態、バイブレータの振動状態等が制御されることで、ユーザに対して読取処理等に関する報知を行うように構成されている。外部インタフェース26は、外部機器等との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源部27が設けられており、この電源部27やバッテリ28によって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0026】
また、制御部21には、RFIDモジュール部42および情報コード読取部29が接続されている。
RFIDモジュール部42は、アンテナ部41および制御部21と協働してRFIDタグTとの間で電波(電磁波)による通信を行ない、RFIDタグTに記憶されるデータの読取り、或いはRFIDタグTに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。このRFIDモジュール部42は、公知の電波方式で伝送を行うための回路素子等が実装された回路基板として構成されており、図4(B)にて概略的に示すように、送信回路43、受信回路44、整合回路45などを有している。
【0027】
送信回路43は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路45を介してアンテナ部41に出力している。このようにしてアンテナ部41に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ部41の送受信面41aを介して外部に放出(放射)される。
【0028】
一方、アンテナ部41の送受信面41aを介して受信された応答信号は、整合回路45を介して受信回路44に入力される。この受信回路44は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ部41を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。
【0029】
情報コード読取部29は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、図4(C)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ29c、結像レンズ29b、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部29aなどを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象に付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0030】
この情報コード読取部29によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部29aから照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口13を通って読取対象に照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口13を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ29bを通って受光センサ29cに受光される。読取口13と受光センサ29cとの間に配される結像レンズ29bは、情報コードCの像を受光センサ29c上に結像させる構成をなしており、受光センサ29cはこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ29cから出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(図4(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部29には、受光センサ29cからの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0031】
次に、無線通信部30の配置構成等について、図2及び図3(A)(B)を参照して詳述する。
図2に示すように、無線通信部30は、上述したアンテナ部41及びRFIDモジュール部42等を有する無線通信モジュール40と放熱用の金属体50とが保護ケース31内に収容されるようにして構成されている。
【0032】
アンテナ部41は、保護ケース31内にて平面状の送受信面41aが前方壁31bに対向するように配置されることで、前方壁31bを向けた方向に存在するRFIDタグT、すなわち、読取方向に位置するRFIDタグTに対して電波を放出するように機能する。図2では、送受信面41aをRFIDタグTに向ける方向を読取方向として図示している。
【0033】
RFIDモジュール部42は、本体部12の制御部21による無線通信処理時に制御部21からの指示に応じて動作することで発熱する回路素子42a等が実装面に実装されるようにして構成されており、保護ケース31内にてアンテナ部41に対して読取方向と逆方向(以下、反読取方向ともいう)に配置されている。特に、RFIDモジュール部42は、回路素子42a等を実装した実装面が、反読取方向(図2での右方向)に向くように配置されている。なお、アンテナ部41及びRFIDモジュール部42は、保護ケース31内に設けられるリブ等(図示略)を利用して所定の位置に固定される。また、回路素子42a等を有する無線通信モジュール40は、RFIDタグ(無線通信媒体)Tを読み取る読取処理時に発熱する「発熱部品」の一例に相当し得る。
【0034】
金属体50は、RFIDモジュール部42の回路素子42a等により生じた熱を保護ケース31の外方に放熱するためのもので、平板状(直方体状)に形成されるアルミニウム合金、銅合金などの金属製部材によって構成されている。金属体50は、RFIDモジュール部42に対して反読取方向に位置して、平面状の受熱面51にて回路素子42a等を実装した実装面に対向し、平面状の裏面52にて保護ケース31の対向壁31aに対向し、平面状の左右の放熱面53,54にて保護ケース31の放熱壁31c,31dの内面に対向するように配置されている。金属体50は、薄肉平板状(直方体状)であるため、放熱面53及び放熱面54は、受熱面51に沿う一方向(図2の上下方向)を長手方向とし、受熱面51に対してそれぞれL字状に連なっている(図3(B)参照)。
【0035】
受熱面51と上記実装面との間には、シリコン樹脂、アクリル樹脂などの熱伝導性の高い熱伝導部材61が介在していることで、回路素子42aにて発生した熱が熱伝導部材61を介して金属体50に伝わりやすくなっている。その一方で、裏面52と対向壁31aとの間には、断熱用の空間が設けられることで、金属体50からの熱が対向壁31aに伝わり難くなっている。
【0036】
また、金属体50は、図3(A)(B)に示すように、放熱面53にて防水用のパッキン62aを介して保護ケース31の放熱壁31cに対してねじ63aを利用して締結され、放熱面54にて防水用のパッキン62bを介して保護ケース31の放熱壁31dに対してねじ63bを利用して締結されている。パッキン62aには、上記締結時に放熱壁31cの各放熱孔32にそれぞれ連なる同じ形状の放熱孔が形成されている。同様に、パッキン62bには、上記締結時に放熱壁31dの各放熱孔32にそれぞれ連なる同じ形状の放熱孔が形成されている。なお、図3(B)の拡大図示範囲では、便宜上、ねじ63bの図示を省略している。
【0037】
このため、上記締結時には、金属体50は、放熱面53にて放熱壁31cの各放熱孔32を介して外部に露出し(図1(B)参照)、放熱面54にて放熱壁31dの各放熱孔32を介して外部に露出する。なお、金属体50は、ねじ63a,63bを利用することなく、保護ケース31内に設けられるリブ等を利用して所定の位置に固定されてもよい。
【0038】
このように構成されることで、制御部21による無線通信処理時にRFIDモジュール部42の回路素子42a等により生じた熱は、熱伝導部材61を介して金属体50の受熱面51に伝わり、さらに放熱面53及び放熱面54に広がるようにして伝わる。そして、放熱面53に伝わった熱は、保護ケース31の放熱壁31cの各放熱孔32から外気に放熱され、放熱面54に伝わった熱は、保護ケース31の放熱壁31dの各放熱孔32から外気に放熱されることで、保護ケース31内に熱がこもることなく、RFIDモジュール部42の冷却が促進される。これにより、無線通信時にRFIDモジュール部42が発熱したとしても、その熱が把持部14を把持する手に伝わり難くすることができる。
【0039】
その一方で、金属体50の裏面52と保護ケース31の対向壁31aとの間には、断熱用の空間が設けられているため、受熱面51から裏面52に伝わる熱によって対向壁31aが過剰に熱くなることもない。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯端末10では、本体部12に対して裏面12b側であって把持部14から離れた位置に設けられる無線通信部30は、本体部12からの指示に応じて動作することで発熱する無線通信モジュール40と、無線通信モジュール40が収容される保護ケース31と、無線通信モジュール40からの熱が伝わるように保護ケース31内に収容される金属体50と、を有している。保護ケース31の外郭を構成する外壁のうち把持部14に対向する対向壁31aと異なる放熱壁31c,31dに複数の放熱孔32が形成され、金属体50は、無線通信モジュール40におけるRFIDモジュール部42の回路素子42a等からの熱が伝わる受熱面51と異なる一面が放熱面53,54として保護ケース31の各放熱孔32を介して外部に露出するように配置される。
【0041】
これにより、無線通信モジュール40のRFIDモジュール部42からの熱は、金属体50の受熱面51及び放熱面53,54を介して保護ケース31の各放熱孔32から放熱されやすくなるので、放熱孔32が形成されない場合と比較して、保護ケース31内に熱がこもり難くすることができる。特に、各放熱孔32は、保護ケース31の外壁のうち把持部14に対向する対向壁31aと異なる放熱壁31c,31dに形成されているため、読取性能を低下させることなく本体部12の裏面12b側に設けられた無線通信部30の無線通信モジュール40にて生じた熱が本体部12の裏面12bに設けられた把持部14を把持する手に伝わり難くすることができる。
【0042】
本実施形態の第1変形例として、放熱壁31c,31d及び設けられる放熱孔は、放熱壁の内面での開口面積が放熱壁の外面での開口面積よりも大きくなるように形成されてもよい。具体的には、例えば、図5に例示する放熱孔33のように、放熱壁の内面での円形状の開口径d1が放熱壁の外面での円形状の開口径d2よりも大きくなるように形成することができる。
【0043】
これにより、放熱壁の外面での円形状の開口径d2を一般的な人の指の太さdpよりも小さくすることで、人の指が金属体50に触れないようにするために放熱壁31c,31dの外面での放熱孔33の開口面積を小さくしても、放熱壁31c,31dの内面での放熱孔33の開口面積が大きいために金属体50が各放熱孔33を介して外気に触れる面積を大きくできるので、人の指等を保護しつつ放熱孔33による放熱効果を高めることができる。なお、パッキン62a,62bには、上記放熱孔33の内面部位に連なる同じ形状の放熱孔が形成されるものとする。
【0044】
本実施形態の第2変形例として、金属体50は、受熱面51が平面であって放熱面53,54が受熱面51に沿う一方向(図2の上下方向)に長くなるように平板状に形成されているため、放熱壁31c,31dに設けられる放熱孔は、例えば、図6(A)に例示する3つの放熱孔34のように、上記一方向(放熱面53,54の長手方向:図6(A)の上下方向)に沿って長くなるように形成されてもよい。なお、パッキン62a,62bには、上記放熱孔34の内面部位に連なる同じ形状の放熱孔が形成されるものとする。
【0045】
これにより、人の指が金属体50に触れないようにするために放熱孔34の上記一方向に直交する方向の幅寸法を小さくしても、上記一方向に沿って長くなることで放熱孔34の開口面積を大きくできるので、放熱孔34による放熱効果を高めることができる。特に、上記一方向(放熱面53,54の長手方向)が上下方向に沿うように把持部14を把持している場合には、受熱面51から放熱面53,54に伝わった熱は、上方向、すなわち、上記一方向に沿うように広がりながら外気に触れて放熱されるため、放熱孔34による放熱効果をより高めることができる。
【0046】
なお、放熱孔は、図6(B)に例示する放熱孔35のように、放熱面53,54の短手方向(放熱面53,54の長手方向に直交する方向:図6(B)の左右方向)に沿って長くなるように形成されてもよい。この場合でも、パッキン62a,62bには、上記放熱孔35の内面部位に連なる同じ形状の放熱孔が形成されるものとする。
【0047】
本実施形態の第3変形例として、保護ケース31に収容される金属体は、図7に例示する金属体55のように、受熱面51が設けられる薄板部55aと放熱面53,54が設けられる薄板部55b,55cとがそれぞれL字状に連なるように断面コ字状に形成されてもよい。なお、薄板部55aは、受熱面が設けられる「第1の薄板部」の一例に相当し、薄板部55b,55cは、放熱面が設けられる「第2の薄板部」の一例に相当し得る。
【0048】
これにより、同じ面積の受熱面51及び放熱面53,54がそれぞれL字状に連なる直方体状の金属体50と比較して、放熱性能を確保しつつ、放熱に必要な金属体55の軽量化、すなわち、携帯端末10の軽量化を図ることができる。
【0049】
なお、保護ケース31に収容される金属体は、受熱面51が設けられる薄板部55aと放熱面53が設けられる薄板部55bとがL字状に連なるように形成されて、放熱壁31cのみに形成される放熱孔32等から外部に露出するように構成されてもよいし、受熱面51が設けられる薄板部55aと放熱面54が設けられる薄板部55cとがL字状に連なるように形成されて、放熱壁31dのみに形成される放熱孔32等から外部に露出するように構成されてもよい。また、例えば、上記金属体は、薄板部55aと薄板部55bとがT字状に連なるように形成されるとともに、薄板部55aと薄板部55cとがT字状に連なるように形成されてもよい。また、保護ケース31に収容される金属体50は、放熱壁31cのみに形成される放熱孔32等から外部に露出するように構成されてもよいし、放熱壁31dのみに形成される放熱孔32等から外部に露出するように構成されてもよい。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る携帯端末について、図8を用いて説明する。
本第2実施形態では、放熱用の金属体50を利用して携帯端末10の無線通信性能(読取性能)を高める点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
図8に示すように、本実施形態では、金属体50は、平面状の受熱面51が送受信面41aに対して上記読取方向と逆方向となる位置にて送受信面41aと平行であって、受熱面51と送受信面41aとの距離Lが当該送受信面41aから放出される電波の波長λの1/4の長さとなるように配置される。例えば、920Mzの電波を使用する場合には、受熱面51と送受信面41aとの距離Lは、8cm程度に設定される。
【0052】
図8に示すように、アンテナ部41の送受信面41aから読取方向へ放出された電波R1と反読取方向へ同じ位相で放出された電波R2が存在する。送受信面41aの反読取方向では電波の波長λの1/4の距離に金属体50の受熱面51が位置しており、送受信面41aと受熱面51との往復距離はλ/2となる。このため、反読取方向への電波R2は、受熱面51に到達した際に位相θが90°進み、受熱面51で読取方向に反射することでさらに位相θが180°進み、送受信面41aに到達した際にさらに位相θが90°進むことで、合計で位相θが360°進む。
【0053】
このように、本実施形態では、受熱面51にて反射した電波(反射波)が送受信面41aに戻ってきた時点で位相θが360°進んでいるため(360°回転しているため)、反射波と送受信面41aから読取方向へ放出された電波との位相θを一致させることができる。これにより、反射波が読取方向へ放出された電波と合流することで、読取方向への電波強度が増加して、アンテナ利得が増加するため、放熱用の金属体50を流用して、携帯端末10の無線通信性能、すなわち、RFIDタグTの読取性能を高めることができる。
【0054】
そして、上述のようにアンテナ利得が増加することから、RFIDモジュール部42による電波出力を低下させても無線通信性能(読取性能)を維持できるので、無線通信性能(読取性能)を維持しつつ電波出力の低下に応じた発熱抑制を図ることができる。
【0055】
なお、受熱面51が平面状の金属体であれば、例えば、上述した断面コ字状の金属体55等であっても、受熱面51と送受信面41aとの距離Lが当該送受信面41aから放出される電波の波長λの1/4の長さとなるように配置されることで、上記効果を奏する。
【0056】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、RFIDタグ(無線触通信媒体)Tを読み取る無線通信端末としての機能に加えて情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備える携帯端末10に適用されることに限らず、無線通信端末としての機能のみを有する携帯端末に適用されてもよいし、さらに他の機能を有する携帯端末に適用されてもよい。すなわち、本発明は、本体部12がアンテナ部41を介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグT等の無線通信媒体と無線通信を行うことで所定の情報を読み取り、発熱部品がアンテナ部41を有する無線通信モジュール40となる携帯端末に適用することができる。
【0057】
(2)さらに、本発明は、無線通信端末としての機能と異なる所定の機能を有する携帯端末にも適用することができる。この場合、保護ケースの外壁のうち対向壁と異なる放熱壁に複数の放熱孔が形成され、上記所定の機能を実現するための発熱部品からの熱が伝わるように保護ケース内に収容される金属体が受熱面と異なる一面となる放熱面にて複数の放熱孔を介して外部に露出するように配置されることで、上記効果を奏する。
【0058】
(3)熱伝導部材61を採用することなく、金属体50の受熱面51とRFIDモジュール部42の回路素子42aとを十分に近づけることで、回路素子42aにて生じた熱が受熱面51に伝わるように構成されてもよい。
【0059】
10…携帯端末(無線通信端末)
12…本体部
12b…裏面
14…把持部
30…無線通信部(発熱部)
31…保護ケース
31a…対向壁
31c,31d…放熱壁
32,33,34,35…放熱孔
40…無線通信モジュール(発熱部品)
41…アンテナ部
41a…送受信面
42…RFIDモジュール部
50,55…金属体
51…受熱面
53,54…放熱面
55a~55c…薄板部
T…RFIDタグ(無線通信媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8