(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134251
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】柄部、らせん状構造、連結部材、及び柄付き器具
(51)【国際特許分類】
B25G 3/00 20060101AFI20240926BHJP
B25G 1/00 20060101ALI20240926BHJP
B26B 3/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B25G3/00 A
B25G1/00 C
B25G1/00 G
B26B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044457
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】502249585
【氏名又は名称】福善刃物工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(74)【代理人】
【識別番号】100214488
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】福久 貴央
(72)【発明者】
【氏名】今瀬 満
(72)【発明者】
【氏名】安江 章一
【テーマコード(参考)】
3C061
【Fターム(参考)】
3C061AA02
3C061AA13
3C061BB13
(57)【要約】
【課題】使い心地に優れた新規な柄部を提案する。
【解決手段】柄付き器具に用いられる柄部であって、線状の部材により構成され、上記線状の部材を巻回してなる筒状形状の筒状部を有しており、上記柄付き器具の本体部に取り付け可能に構成される。柄部は、線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄付き器具に用いられる柄部であって、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記柄付き器具の本体部に取り付け可能に構成され、
前記線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している、柄部。
【請求項2】
らせん状構造であって、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、
前記線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している、らせん状構造。
【請求項3】
柄付き器具に用いられる柄部であって、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記柄付き器具の本体部に取り付け可能に構成され、
当該柄部を前記筒状部における中心軸と平行な平面に投影したときに、前記中心軸からの距離が相対的に近い部分と相対的に遠い部分とが前記中心軸の長さ方向に沿って繰り返し設けられるように構成されている、柄部。
【請求項4】
請求項1に記載の柄部であって、
前記相対的に曲率が小さい部分は、直線状の部分である、柄部。
【請求項5】
請求項4に記載の柄部であって、
当該柄部を前記筒状部の中心軸と直交する平面に投影したとき、前記中心軸の長さ方向に関して異なる位置にある第1の巻き部と第2の巻き部とを比較すると、少なくとも1つの前記第2部分の設けられる位置が異なる、柄部。
【請求項6】
請求項1及び請求項3のいずれかに記載の2つの前記柄部を連結可能に構成された連結部材。
【請求項7】
柄付き器具であって、
本体部と、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記本体部に取り付けられた柄部と、を備え、
前記柄部は、前記筒状部における中心軸と平行な平面に投影したときに、前記中心軸からの距離が相対的に近い部分と相対的に遠い部分とが前記中心軸の長さ方向に沿って繰り返し設けられるように構成されている、柄付き器具。
【請求項8】
柄付き器具であって、
本体部と、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記本体部に取り付けられた柄部と、を備え、
前記柄部は、前記線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している、柄付き器具。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の柄付き器具であって、
前記柄部を前記本体部に固定するための固定部材を備える、柄付き器具。
【請求項10】
請求項9に記載の柄付き器具であって、
前記固定部材は、前記柄部の端部に設けられ、前記端部よりも外周側に突出する部分を有する、柄付き器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、柄部を有する柄付き器具、及びらせん状構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば刃物のような手で扱う器具では、器具をしっかりと保持するために、手で握るための柄部が設けられている。例えば特許文献1では、親指の当接する位置を調整した柄部を有する道具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
柄部は器具の使い心地や使用時の安全性に関わるのみでなく、器具の外観品質に大きな影響を与える。そこで本願の発明者らは、従来には無い新たな形状を備えつつ、使い心地に優れた柄部を検討した。また、従来には無いデザイン性の高い新たな形状を検討した。
【0005】
本開示の目的は、使い心地に優れた新規な柄部を提案することである。
また本開示の別の目的は、デザイン性の高い新規ならせん状構造を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、柄付き器具に用いられる柄部である。この柄部は、線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記柄付き器具の本体部に取り付け可能に構成される。またこの柄部は、前記線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している。
【0007】
このような構成では、柄部が相対的に曲率が小さい部分と相対的に曲率が大きい部分を交互に有することで外側に突き出た部分が形成されるため、柄部を掴んだとき、あるいは握ったときに手指が滑りにくくなる。よって、上記構成であれば、使用者が柄付き器具をしっかりと保持することができ、好ましい使い心地を与えることができる。また新規な形状を有する新たなデザインにより、製品価値の向上を図ることができる。
【0008】
上述した柄部において、前記相対的に曲率が小さい部分は、直線状の部分であってもよい。このような構成であれば、相対的に曲率が小さい部分と相対的に曲率が大きい部分の構造の相違が明確になった、新規な美感を創出することができる。
【0009】
また上述した柄部において、当該柄部を前記筒状部の中心軸と直交する平面に投影したとき、前記中心軸の長さ方向に関して異なる位置にある第1の巻き部と第2の巻き部とを比較すると、少なくとも1つの前記第2部分の設けられる位置が異なるように構成されていてもよい。
【0010】
このような構成であれば、第1の巻き部と第2の巻き部とで第2部分の位置が異なることから、中心軸の長さ方向に凹凸が形成されることとなる。そのため、柄部を掴んだとき、あるいは握ったときに手指が滑りにくくなり、好ましい使い心地を与えることができる。
【0011】
本開示の別の一態様は、らせん状構造であって、線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有している。またこのらせん状構造は、 前記線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している。
【0012】
このような構成では、相対的に曲率が小さい部分と相対的に曲率が大きい部分を交互に有することで外側に突き出た部分が形成される。そのため、新規な形状を有する新たなデザインにより、製品価値を向上させることができる。
【0013】
本開示のさらに別の一態様は、柄付き器具に用いられる柄部である。この柄部は、線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記柄付き器具の本体部に取り付け可能に構成される。そして、当該柄部を前記筒状部における中心軸と平行な平面に投影したときに、前記中心軸からの距離が相対的に近い部分と相対的に遠い部分とが前記中心軸の長さ方向に沿って繰り返し設けられるように構成されている。
【0014】
このような構成では、柄部には中心軸の長さ方向に沿って高さの変化する凹凸が形成されるため、柄部を掴んだとき、あるいは握ったときに手指が滑りにくくなる。よって、上記構成であれば、使用者が柄付き器具をしっかりと保持することができ、好ましい使い心地を与えることができる。また新規な形状を有する新たなデザインにより、製品価値を向上させることができる。
【0015】
本開示のさらに別の一態様は、上述した柄部を2つ連結可能に構成された連結部材である。このような構成であれば、2つの柄部を連結させることで、2つの柄付き器具を同時に使用することができる。
【0016】
本開示のさらに別の一態様は、柄付き器具であって、本体部と、柄部とを備える。柄部は、線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる筒状形状の筒状部を有しており、前記本体部に取り付けられる。また前記柄部は、前記筒状部における中心軸と平行な平面に投影したときに、前記中心軸からの距離が相対的に近い部分と相対的に遠い部分とが前記中心軸の長さ方向に沿って繰り返し設けられるように構成されている。
【0017】
このような構成では、柄部において中心軸方向に沿って高さの変化する凹凸が形成されるため、柄部を掴んだとき、あるいは握ったときに手指が滑りにくくなる。よって、上記構成であれば、使用者が柄付き器具をしっかりと保持することができ、好ましい使い心地を与えることができる。
【0018】
本開示のさらに別の一態様は、柄付き器具であって、本体部と、柄部とを備える。柄部は、線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる筒状形状の筒状部を有しており、前記本体部に取り付けられる。また前記柄部は、前記線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している。
【0019】
このような構成では、柄部が相対的に曲率が小さい部分と相対的に曲率が大きい部分を有することで、外側に突き出た部分が形成されるため、柄部を掴んだとき、あるいは握ったときに手指が滑りにくくなる。よって、上記構成であれば、使用者が柄付き器具をしっかりと保持することができ、好ましい使い心地を与えることができる。
【0020】
上述した柄付き器具において、前記柄部を前記本体部に固定するための固定部材を備えていてもよい。このような構成であれば、柄部を本体部に対してしっかりと固定することができる。
【0021】
また上述した柄付き器具において、前記固定部材は、前記柄部の端部に設けられ、前記端部よりも外周側に突出する部分を有していてもよい。このような構成であれば、固定部材に手指が引っ掛かりやすくなることによって、柄部の端部から手指が滑り落ちることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1Aが実施形態の切断具を示す側面図であり、
図1Bが切断具を示す斜視図である。
【
図2】
図2Aが実施形態の柄部を示す斜視図であり、
図2Bが柄部を示す背面図であり、
図2Cが柄部の側面図であり、
図2Dが柄部の一部分を中心軸と直交する平面に投影した図である。
【
図3】
図3Aが実施形態の鍔部を示す斜視図であり、
図3Bが鍔部を示す
図3Aとは別の視点の斜視図であり、
図3Cが鍔部を本体部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4Aが実施形態のかしら部を示す側面図であり、
図4Bがかしら部を本体部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5Aが変形例である串を示す正面図であり、
図5Bが変形例である鋏を示す正面図である。
【
図6】
図6Aが連結部材を示す正面図であり、
図6Bが連結部材の使用状態を説明する図である。
【
図8】
図8A~8Fが、柄部の変形例を示す端面図である。
【
図9】
図9A~9Cが、柄部の変形例を示す
図2Dと同じ視点における端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.切断具の構成]
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1A、1Bに示すように、切断具1は、本体部2と、柄部3と、鍔部4と、かしら部5とを有している。切断具1が柄付き器具の一例である。また、鍔部4及びかしら部5が固定部材の一例である。
【0024】
本体部2は、細長い板状の部材であって、長さ方向の一方に設けられた刃部21と、長さ方向の一方とは異なる他方に設けられた中子22と、を有している。以下の説明では、刃部21の側を前側、中子22の側を後側、として、前後方向を用いて説明する場合がある。
【0025】
刃部21は、刃が形成された部分である。
中子22には、一対の第1溝部23と、第1貫通孔24と、第2貫通孔25と、第2溝部26と、が形成されている。一対の第1溝部23は、中子22における前方側の位置において、幅方向(高さ方向)の両端に設けられる。第1貫通孔24は、一対の第1溝部23よりも後側に設けられた孔である。第1貫通孔24は、中子22を厚さ方向に貫通している。第2貫通孔25は、中子22の後端よりもやや前方の位置に設けられた孔である。第2貫通孔25は中子22を厚さ方向に貫通している。第2溝部26は、中子22の後端部に設けられ、前方に向かって窪んだ溝である。
【0026】
柄部3は、線状の部材により構成され、本体部2に取り付け可能に構成されている。この柄部3は、線状の部材をおおよそ螺旋状に巻回してなる略筒状形状の筒状部31を有している。すなわち、柄部3は、概略的な形状としては、いわゆるコイルばねのような円筒状である。
【0027】
柄部3は、中子22を覆うように配置される。言い換えると、本体部2に柄部3が取り付けられたときには、本体部2の一部である中子22が柄部3に挿入された状態となる。柄部3は、鍔部4及びかしら部5によって、本体部2に対して固定される。鍔部4及びかしら部5による柄部3の固定方法の詳細は後述する。
柄部3は、線状の部材として、例えば、ステンレス等の金属ワイヤを用いることができる。しかしながら、柄部3の材料は金属ワイヤに限定されず、様々な材料を用いることができる。また、線状の部材の断面も円形に限らず矩形・楕円など様々な形状を用いることができる。
【0028】
図2A、2Bに示されるように、柄部3の後端部には、被挿入部32が設けられている。被挿入部32は、線状の部材が円筒状の柄部3の中央部分を通過するように延び出した部分であり、折り返すことで柄部3の半径方向に並ぶ2本の直線を有する。また被挿入部32には、中子22が挿入される。なお
図2Bは、理解を容易にするために、柄部3における後方の一部分のみを示している。
【0029】
柄部3のより詳細な形状を説明する。
(i)
図2Cは、柄部3を筒状部31における中心軸Aと平行な平面に投影した図である。柄部3は、中心軸Aからの距離が相対的に近い部分(部分31a)と相対的に遠い部分(部分31b)とが中心軸Aの長さ方向(図中の矢印方向)に沿って繰り返し設けられるように構成されている。なお中心軸Aと平行な平面は無数に存在するが、任意の平面に投影した場合において上述した部分31aと部分31bの構成が実現されていればよい。
上述した形状を有することで、中心軸Aの長さ方向に関して、部分31aと部分31bとによって中心軸Aからの距離が異なることによる凹凸が複数形成される。
【0030】
(ii)
図2Dは、柄部3の一部分を、筒状部31の中心軸Aと直交する平面に投影した図である。
図2Dにおいて、第1の巻き部33aは筒状部31において周方向に1回転の長さを有する部分である。また第2の巻き部33bは、第1の巻き部33aと隣接する(すなわち、中心軸Aの長さ方向に関して異なる位置にある)、周方向に1回転の長さを有する部分である。
【0031】
柄部3は、線状の部材において相対的に曲率が小さい第1部分34と、相対的に曲率が大きい第2部分35と、を交互に有している。なお第1部分34は、実質的に略直線状の部分である。つまり、筒状部31は、直線状の部分と、曲線状の部分と、を交互に繰り返しつつ、全体として螺旋状に巻回して構成されている。第2部分35は線状の部材を曲げた際に形成される角の部分であってもよい。
【0032】
なお、複数の第1部分34は、それぞれの曲率が同一の値でなくともよい。例えば、直線状に形成された第1部分34と、曲線状に形成された(すなわち直線状である場合と比較すると曲率が大きい)第1部分34とが混在していてもよいし、曲線状に形成された第1部分34は曲率が同一でなくてもよい。また、線状の部材に直線状に形成された第1部分34が含まれていなくてもよい。また複数の第2部分35も同様に、それぞれの曲率が同一の値でなくてもよい。
【0033】
また、「相対的に曲率が小さい第1部分34」とは、その第1部分34が隣接する(言い換えると、線状の部材において長さ方向の前後に位置する)第2部分35と比較して曲率が小さい部分という意味である。また「相対的に曲率が大きい第2部分35」とは、隣接する第1部分34と比較して曲率が大きい部分という意味である。
【0034】
さらに第1部分34及び第2部分35を言い換えると、第2部分35は線状の部材が大きく折れ曲がった部分であり、第1部分34は2つの第2部分35に挟まれた直線状又は緩い曲線状の部分である。当然ながら、1つの第1部分34を構成する範囲の全体が一定の曲率を有している必要はなく、また1つの第2部分35を構成する範囲の全体が一定の曲率を有している必要はない。
【0035】
なお、線状の部材が極めて短い間隔で繰り返し折り曲げられて小さなジグザグになっている場合には、曲率の大きくなる屈曲部分(ジグザグを構成する角の部分)を第2部分35とは扱わなくてもよい。この場合、ジグザグが形成されていないものとみなして、第1部分34及び第2部分35などの曲率を定めてもよい。このように、線状の部材を折り曲げてらせん状にするための屈曲部分ではなく、線状の部材そのものの美感等に係る屈曲部分は、第1部分、第2部分として扱わなくてもよい。
【0036】
以上説明したように、筒状部31は、線状の部材において長さ方向に間隔を空けて曲率の大きい部分を有することで、多数の角部分を有するように折れ曲がりつつ、らせん形状を構築した形状となっている。なお上述した実施形態は連続した第1部分34と第2部分35が隣り合って接する螺旋構造であるが、それぞれは離隔の状態、すなわち、隙間を持った螺旋構造であっても良い。
【0037】
また、柄部3は、
図2Dに示されるように、当該柄部3を筒状部31の中心軸と直交する平面に投影したとき、第1の巻き部33aと第2の巻き部33bとを比較すると、少なくとも1つの第2部分35の設けられる位置が異なる。つまり、第1の巻き部33aと第2の巻き部33bとは、中心軸方向から見て少なくとも一部において重なっておらず、異なる形状となっている。もちろん、第1の巻き部33aと第2の巻き部33bとで、同じ位置に設けられる第2部分35が含まれていてもよい。
【0038】
また、第1の巻き部33aと第2の巻き部33bとを比較したとき、第1の巻き部33aの方が外周側に位置する部分36と、第2の巻き部33bの方が外周側に位置する部分37と、が存在する。つまり、第1の巻き部33aと第2の巻き部33bの形状が異なり、それぞれが外側に配置される部分を有している。
【0039】
なお、第1の巻き部33aと第2の巻き部33bとは、隣接している部分に限られず、中心軸Aの長さ方向に離れた部分であってもよい。つまり、筒状部31を構成する線状の部材の任意の2箇所において、例えば周方向に1回転の長さを有する部分同士が、上述した第1の巻き部33aと第2の巻き部33bの関係を有していればよい。
【0040】
鍔部4は、
図3A、3Bに示されるように、線状の部材により構成される。鍔部4は、縁部41と、鉤部42と、係止部43と、を有する。縁部41は、筒状部31よりも大きい外周形状を有する略環状の部分である。鉤部42は、縁部41の間に配置され、先端が折れ曲がりフック状に形成された部分である。係止部43は、鉤部42から間隔を空けた位置に設けられた、線状の部材の先端が折れ曲がった部分である。
【0041】
鍔部4は、本体部2に取り付け可能である。
図3Cに示されるように、鍔部4の縁部41と鉤部42が一対の第1溝部23に係合し、係止部43が第1貫通孔24に係合する。このように係合することで、鍔部4が本体部2から脱落してしまうことが抑制される。縁部41が筒状部31よりも大きいことから、
図1Aに示されるように、鍔部4は柄部3と当接して柄部3の前方への移動を抑制する。
【0042】
かしら部5は、
図4Aに示されるように、線状の部材により構成される。かしら部5は、屈曲部51と、一対の突出部52と、を有する。屈曲部51はU字状の形状である。一対の突出部52は、屈曲部51の先端それぞれに設けられる。突出部52それぞれは、折り曲げられて屈曲した先端が、対となる突出部52の側に向かっている。
【0043】
かしら部5は、本体部2に取り付け可能である。柄部3を省略した図である
図4Bに示されるように、屈曲部51のU字状の底部分が第2溝部26に係合し、一対の突出部52の先端が第2貫通孔25に係合する。実際にかしら部5が取り付けられる場面では、本体部2に柄部3を取り付けられている。
図2Bに示されるように、かしら部5が本体部2に固定されるときには、屈曲部51によって被挿入部32が挟み込まれる。このようにして、柄部3はかしら部5により本体部2に固定される。
【0044】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本実施形態の切断具1では、柄部3において中心軸Aの長さ方向に沿って高さの変化する凹凸が形成される。また、柄部3が第1部分34と第2部分35を有することで、外側に突き出た部分が形成される。そのため、柄部3を掴んだとき、あるいは握ったときに手指が滑りにくくなる。よって、使用者が切断具1をしっかりと保持することができ、好ましい使い心地を与えることができる。また柄部3が新規な形状を有する新たなデザインを備えることにより、製品価値の向上を図ることができる。
【0045】
(1b)本実施形態の切断具1では、直線状の第1部分と曲線状の第2部分とを有することによって、線状の部材により形成された多角形を前後に多数並べたような、新規な美感を創出することができる。また、中心軸方向に見て、第1の巻き部33aと第2の巻き部33bとで第2部分35の位置が異なることから、第2部分35の位置が同じ場合よりも凹凸が形成されやすくなる。そのため、柄部3を掴んだときの手指の滑りにくさを良好に実現できる。
【0046】
(1c)本実施形態の切断具1では、鍔部4とかしら部5とによって、柄部3を本体部2に対してしっかりと固定することができる。また鍔部4の縁部41は筒状部31よりも外側に配置されることから、使用者は柄部3の前端部分の位置を把握しやすく、また柄部3の前端から手指が滑り落ちることを抑制できる。よって、切断具1を使用者に対してより安全に使用させることができる。
【0047】
(1d)本実施形態の切断具1では、柄部3の内側に本体部2が挿入されることで、柄部3の変形を抑制することができる。よって、柄部3を強く握ることができ、切断具1の使い心地が向上する。
【0048】
(1e)本実施形態の切断具1は、柄部3がすべて線状の部材によって構成されているため、内部に水分が入った場合に抜けやすく、また乾燥が早く都合がよい。また、柄部3の内部に空間があるため、切断具1全体として重量の増加が抑制でき、持ち運びや使用が便利になる。
【0049】
[2.その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0050】
(2a)上記実施形態では、柄付き器具として切断具1を例示した。しかしながら、柄付き器具は切断具に限定されず、柄部を設けることができる様々な器具に本開示の構成は適用可能である。
例えば、柄付き器具の例として、
図5Aに示される串101が挙げられる。串101は、串本体102と、柄部103と、を有する。柄部103は、柄部3と同様の形状である。串本体102は、筒状である柄部103に圧入されていてもよい。また例えば、
図5Bに示される鋏201が挙げられる。鋏201は、刃やハンドルの芯を含む鋏本体202と、柄部203と、を含む。
【0051】
なお柄付き器具における本体部とは、柄部を取り付けることができる部分を含む部分を意味する。よって、器具そのものの機能を発揮するための部分と本体部とが別の部分であってもよい。
また本開示の筒状部は、らせん状構造として、柄付き器具における柄部のみでなく他の製品にも適用可能である。例えば、照明器具のセード、グローブ、カバーなどに適用可能である。また例えば、装飾品として適用可能である。ここでいう装飾品とは、ある物体の内部又は外部に配置される装飾品であってもよいし、建物内や建物外に配置される装飾品であってもよい。
【0052】
(2b)柄付き器具を用いる際に、上述した柄部同士を連結する連結部材を用いてもよい。
図6Aに示す連結部材6は、
図6Bに示されるように、上述した串101の柄部103を2つ連結可能に構成されている。連結部材6は、略U字状であり、一対の棒状の挿入部61を有する。挿入部61は、串本体102と柄部103の間に圧入され、これにより挿入部61に串101が固定される。このような構成であれば、2つの柄部103を連結させることで、2つの串101を同時に使用することができる。
【0053】
なお、連結部材の構成は上記の構成に限定されない。例えば、連結部材と柄部との連結を実現する具体的構造は特に限定されない。連結部材は、例えば、柄部のみに対して圧入される部分や、柄部を挟み込んで固定する部分などを有していてもよい。
【0054】
(2c)柄部の形状は、上記実施形態にて開示した形状に限定されない。例えば、筒状部において、直線状の部分を有しておらず、すべて曲線状の部分で構成されていてもよい。また、例えば
図7Aの端面図に示す筒状部301のように、中心軸Aからの距離が一定となるように複数回巻回したのち、中心軸Aからの距離を変更して、その距離で巻回する構造を繰り返すように構成されていてもよい。また
図7Bの端面図に示す筒状部302のように、徐々に中心軸Aからの距離が近づき、その後、徐々に中心軸からの距離が遠ざかる、という巻き方を繰り返すように構成されていてもよい。
【0055】
上述した
図7A、7Bでは、線状の部材の端面が中心軸Aに接近したり離れたりするものの、全体としては中心軸Aに沿って略平行に延びる構成を例示したが、それ以外の形状であってもよい。
【0056】
図8A~8Fにおいて、仮想線401は線状の部材の端面のおおよその位置を示す線であり、線状の部材の傾斜を示す。
図8A~8Cに示される筒状部303~305のように、中心軸Aからの距離が徐々に変化するように構成されていてもよい。また
図8D、8Eに示される筒状部306、307のように、中心軸Aからの距離が急激に大きく変化する部分を有していてもよい。また
図8Fに示される筒状部308のように、直線状の軸Cに対してらせんが偏芯した形状(略円筒形の中心部分が曲線状や折れ曲がった形状)であってもよい。
【0057】
また上記実施形態では、
図2Dに示されるように筒状部31は線状の部材により形成された多角形を前後に多数並べたような形状である構成を例示した。ここで、線状の部材が取り得る形状としての上述した多角形は特に限定されず、様々な形状をとることができる。例えば
図9Aに示される筒状部311ように、長方形に近い形状を有していてもよい。この場合、相対的に曲率が小さい第1部分34の長さは2種類となり、第2部分35は90°に近い角度で折り曲げられていてもよい。また
図9B、9Cに示される筒状部312、313のように、三角形(
図9B参照)や正方形(
図9C参照)に近い形状などであってもよい。このように、特定の多角形を連続して形成することができる。
【0058】
なお、
図9A~9Cや
図2Dでは、第1の巻き部33aと第2の巻き部33bとがずれて配置される構成を例示したが、ずれない構成であってもよい。この場合、筒状部は断面が一定の形状(多角形)を有する略筒状のような形状となる。
【0059】
また、
図10に示されるように、1つの筒状部321において、特定の多角形が形成される部分が複数存在していてもよい。例えば、中心軸と直交する平面に筒状部321の各部を投影したとき、第1範囲322は
図9Cのような正方形に近い形状を有し、第2範囲323は
図9Bのような三角形に近い形状を有していてもよい。また上記の構成と、
図8Fのように偏芯した形状とを組み合わせてもよい。なお、第3範囲324は円形であってもよい。このように、筒状部の一部において本開示の柄部(又はらせん状構造)の特徴を含まない円形である部分が含まれていてもよい。
【0060】
(2d)上記実施形態では、鍔部4及びかしら部5を用いて柄部3を本体部2に固定する構成を例示したが、固定の方法は特に限定されない。鍔部4、かしら部5などの固定部材は、3の前方側又は後方側のいずれか一方にのみ配置されていてもよいし、いずれにも設けられていなくてもよい。固定部材を用いない場合、例えば、串101のように圧入により固定してもよいし、柄部を構成する線状の部材を本体部に巻き付けて固定してもよい。
【0061】
(2e)柄部(又はらせん状構造)を構成する線状の部材は、その太さが変化するように構成されていてもよい。例えば、主に柄部の本体部への固定に係る部分は線状の部材を太くし、主に使用者に握られる部分は線状の部材を細くしてもよい。線状の部材の太さを変更するために、異なる太さの複数の線状の部材によって柄部を構成してもよいし、長さ方向に沿って太さが異なるように構成された1つの線状の部材によって柄部を構成してもよい。
【0062】
(2f)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0063】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
柄付き器具に用いられる柄部であって、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記柄付き器具の本体部に取り付け可能に構成され、
前記線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している、柄部。
[項目2]
らせん状構造であって、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、
前記線状の部材において相対的に曲率が小さい部分と、相対的に曲率が大きい部分と、を交互に有している、らせん状構造。
[項目3]
柄付き器具に用いられる柄部であって、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記柄付き器具の本体部に取り付け可能に構成され、
当該柄部を前記筒状部における中心軸と平行な平面に投影したときに、前記中心軸からの距離が相対的に近い部分と相対的に遠い部分とが前記中心軸の長さ方向に沿って繰り返し設けられるように構成されている、柄部。
[項目4]
項目1に記載の柄部であって、
前記相対的に曲率が小さい部分は、直線状の部分である、柄部。
[項目5]
項目4に記載の柄部であって、
当該柄部を前記筒状部の中心軸と直交する平面に投影したとき、前記中心軸の長さ方向に関して異なる位置にある第1の巻き部と第2の巻き部とを比較すると、少なくとも1つの前記第2部分の設けられる位置が異なる、柄部。
[項目6]
項目1及び項目3から項目5のいずれか1項に記載の2つの前記柄部を連結可能に構成された連結部材。
[項目7]
柄付き器具であって、
本体部と、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記本体部に取り付けられた柄部と、を備え、
前記柄部は、前記筒状部における中心軸と平行な平面に投影したときに、前記中心軸からの距離が相対的に近い部分と相対的に遠い部分とが前記中心軸の長さ方向に沿って繰り返し設けられるように構成されている、柄付き器具。
[項目8]
柄付き器具であって、
本体部と、
線状の部材により構成され、前記線状の部材を巻回してなる略筒状形状の筒状部を有しており、前記本体部に取り付けられた柄部と、を備え、
前記柄部は、前記線状の部材において相対的に曲率が小さい第1部分と、相対的に曲率が大きい第2部分と、を交互に有している、柄付き器具。
[項目9]
項目7又は項目8に記載の柄付き器具であって、
前記柄部を前記本体部に固定するための固定部材を備える、柄付き器具。
[項目10]
項目9に記載の柄付き器具であって、
前記固定部材は、前記柄部の端部に設けられ、前記端部よりも外周側に突出する部分を有する、柄付き器具。
【符号の説明】
【0064】
1…切断具、2…本体部、3…柄部、4…鍔部、5…かしら部、6…連結部材、21…刃部、22…中子、23…第1溝部、24…第1貫通孔、25…第2貫通孔、26…第2溝部、31…筒状部、31a…部分、31b…部分、32…被挿入部、33a…第1の巻き部、33b…第2の巻き部、34…第1部分、35…第2部分、36…部分、37…部分、41…縁部、42…鉤部、43…係止部、51…屈曲部、52…突出部、61…挿入部、101…串、102…串本体、103…柄部、201…鋏、202…鋏本体、203…柄部、301,302,303,304,305,306,307,308,311,312,313,321…筒状部、322…第1範囲、323…第2範囲、333…第3範囲、401…仮想線。