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特開2024-134257情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134257
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/30 20060101AFI20240926BHJP
   G01H 1/00 20060101ALI20240926BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240926BHJP
【FI】
G01V1/30
G01H1/00 E
G01M99/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044464
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】591102095
【氏名又は名称】三菱電機ソフトウエア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下野 五月
(72)【発明者】
【氏名】杉本 賢司
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
2G105
【Fターム(参考)】
2G024CA13
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA11
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC41
2G064CC42
2G064DD02
2G105AA03
2G105BB01
2G105EE01
2G105MM01
2G105NN02
(57)【要約】
【課題】P波の初動とS波の初動とが時間的に近い場合や、水平動と上下動の振幅の違いが小さい地震動の場合でも、S波の到達タイミングを正確に検出できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置20は、振幅計算部21,周波数解析部22およびS波検出部23を備えている。振幅計算部21は、地動センサ10から、観測デジタルデータDg(l)を取得し、地動に起因する振幅x(l)を計算する。周波数解析部22は、自己回帰モデルを用いて、振幅x(l)からリアルタイムに周波数特性としてランニングスペクトルPS(l,f)、PL(l,f)を計算する。S波検出部23は、ランニングスペクトルPS(l,f)、PL(l,f)を使用することにより、地動で生成されたS波を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地動に起因する振幅を計算する振幅計算部と、
自己回帰モデルを用いて、前記振幅からリアルタイムに周波数特性を計算する周波数解析部と、
前記周波数特性を使用することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
地動に起因する振幅を計算する振幅計算部と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析部と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出部と、
を備える情報処理装置。
【請求項3】
前記周波数解析部は、
自己回帰モデルを用いて、前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記振幅計算部と前記周波数解析部とは、
前記地動の上下動成分を処理可能であり、
前記周波数解析部は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出部は、
前記短時間の前記上下動成分の周波数特性と、前記長時間の前記上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記振幅計算部と前記周波数解析部とは、
前記地動の上下動成分および水平動成分を処理可能であり、
前記周波数解析部は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの水平動成分の周波数特性と、前記長時間の前記ウィンドウサイズでの上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出部は、
前記短時間の水平動成分の周波数特性と、前記長時間の上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
地動に起因する振幅を計算する振幅計算処理と、
自己回帰モデルを用いて、前記振幅からリアルタイムに周波数特性を計算する周波数解析処理と、
前記周波数特性を使用することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出処理と、
を実行させる情報処理プログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
地動に起因する振幅を計算する振幅計算処理と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析処理と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出処理と、
を実行させる情報処理プログラム。
【請求項8】
前記周波数解析処理は、
自己回帰モデルを用いて、前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する請求項7に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記振幅計算処理と前記周波数解析処理とは、
前記地動の上下動成分を処理可能であり、
前記周波数解析処理は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出処理は、
前記短時間の前記上下動成分の周波数特性と、前記長時間の前記上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する請求項7または請求項8に記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
前記振幅計算処理と前記周波数解析処理とは、
前記地動の上下動成分および水平動成分を処理可能であり、
前記周波数解析処理は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの水平動成分の周波数特性と、前記長時間の前記ウィンドウサイズでの上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出処理は、
前記短時間の水平動成分の周波数特性と、前記長時間の上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する請求項7または請求項8に記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
コンピュータが、
地動に起因する振幅を計算し、
自己回帰モデルを用いて、前記振幅からリアルタイムに周波数特性を計算し、
前記周波数特性を使用することにより、前記地動で生成されたS波を検出する、情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータが、
地動に起因する振幅を計算し、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算し、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地動センサが観測した観測データの時系列からS波を検出する地震計に関する。
【背景技術】
【0002】
地動計は、地震発生直後に即時的な被害推定を行い、被害を未然に防ぐための装置である。観測した地動から震源位置およびマグニチュードを推定するため、地震計は、S波の到達タイミングを正確に検出する必要がある。
【0003】
特許文献1は、S波の到達タイミングの検出方法として、STA/LTA法と呼ばれる、振幅の急激な立ち上がりを検出する方法を開示している。また、非特許文献1は、水平動と上下動との比を用いる方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6291648号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】中村豊.研究展望:総合地震防災システムの研究.土木学会論文集.1996,No.531,p.1-33.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
STA/LTA法は、P波の初動とS波の初動とが時間的に近い場合に、両者の分離が困難という課題を有する。また、水平動と上下動との比を用いる方法では、水平動と上下動の振幅の違いが小さい地震動の場合には、S波の検出が困難という課題を有する。また、鉄道用や緊急地震速報用の地震計は、マグニチュードの推定に、S波到達の前後で異なる推定式を利用する。このため、S波検出の精度低下に起因して、マグニチュードの推定精度が低下するという課題を有する。
【0007】
本開示は、P波の初動とS波の初動とが時間的に近い場合や、水平動と上下動の振幅の違いが小さい地震動の場合でも、S波の到達タイミングを正確に検出できる地震計の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る情報処理装置は、
地動に起因する振幅を計算する振幅計算部と、
前記振幅を使用して、リアルタイムにランニングスペクトル等の周波数特性を計算する周波数解析部と、
前記ランニングスペクトル等の周波数特性を使用することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る情報処理装置は、周波数解析部およびS波検出部を備えるので、S波の到達タイミングを正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の図で、地震計30のシステム構成図。
図2】実施の形態1の図で、情報処理装置20の機能ブロック図。
図3】実施の形態1の図で、情報処理装置20によるS波検出処理を示すフローチャート。
図4】実施の形態1の図で、2009年駿河湾沖地震の地震動を示す図。
図5】実施の形態1の図で、情報処理装置20のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態の説明および図面において、同じ要素および対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略または簡略化する。以下の実施の形態では、「部」を、「回路」、「プロセス」、「ステップ」、「処理」または「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0012】
以下に実施の形態1で使用する記号をまとめておく。
【0013】
式1から式34以外の記載において、以下ではLの小文字lを数字の1と区別するためlと表記する。
【0014】
<インデックスおよび送受信されるデータ>
(1)j:jは地動センサのチャンネル番号である。(j=1,2,3)
1が南北方向、2が東西方向、3が上下方向を示す。
(2)l:lはサンプリングごとにカウントアップするカウンタである。
(3)m:mはARモデルのインデックスである。
(4)f:fは周波数(Hz)である。
(5)Dg(l):Dg(l)は観測デジタルデータである。(j=1,2,3)
(6)x(l):x(l)は物理的単位の振幅データである。(j=1,2,3)
(7)PS(l,f):PS(l,f)はARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルである。(j=1,2,3)
(8)PL(l,f):PL(l,f)はARモデル(長時間平均)によるランニングスペクトルである。(j=1,2,3)
(9)HV(l):HV(l)はS波検出の指標値である。
(10)ls:lsはS波検出タイミングである。
【0015】
<内部変数>
(1)μS(l):μS(l)はARモデル(短時間平均)による平均である(j=1,2,3)。
(2)CSj,m(l):CSm(l)はARモデル(短時間平均)による共分散関数である(j=1,2,3,m=0,・・・,M)。
(3)φSj,m(l):φSj,m(l)はARモデル(短時間平均)のAR係数である(j=1,2,3,m=1,・・・,M)。
(4)xS(l):xS(l)はARモデル(短時間平均)による振幅データの推定値である。(j=1,2,3)
(5)σS (l):σS (l)はARモデル(短時間平均)による振幅データの推定誤差の分散である。(j=1,2,3)
(6)μL(l):μL(l)はARモデル(長時間平均)による平均である。(j=1,2,3)
(7)CLj,m(l):CLj,m(l)はARモデル(長時間平均)による共分散関数である(j=1,2,3,m=0,・・・,M)。
(8)φLj,m(l):φLj,m(l)はARモデル(長時間平均)のAR係数である(j=1,2,3,m=1,・・・,M)。
(9)xL(l):xL(l)はARモデル(長時間平均)による振幅データの推定値である。(j=1,2,3)
(10)σL (l):σL (l)はARモデル(長時間平均)による振幅データの推定誤差の分散である。(j=1,2,3)
【0016】
<パラメータ>
(1)fs:fsは観測デジタルデータのサンプリング周波数(Hz)である。
(2)Cf:Cfは物理値換算係数である。
(3)M:MはARモデルの次数である。
(4)rS:rSはARモデル(短時間平均)の忘却係数である。ランニングスペクトルの平滑化のウィンドウサイズを決める係数であり、rSが大きいほどウィンドウサイズが小さく短時間平均となる。
(5)rL:rLはARモデル(長時間平均)の忘却係数である。ランニングスペクトルの平滑化のウィンドウサイズを決める係数であり、rLが小さいほどウィンドウサイズが大きく長時間平均となる。
(6)fhv1:fhv1はS波検出の指標値を計算するための周波数の下限(Hz)である。
(7)fhv2:fhv2はS波検出の指標値を計算するための周波数の上限(Hz)である。
(8)TDS:TDSはS波検出するための閾値である。
【0017】
実施の形態1.
図1から図5を参照して、実施の形態1の地震計30を説明する。
【0018】
***構成の説明***
図1は、地震計30のシステム構成図である。地震計30は、地動センサ10と情報処理装置20を備える。地震計30は、ネットワーク50を介して外部装置40と通信可能である。
【0019】
図2は、情報処理装置20のブロック構成である。情報処理装置20は、機能要素として、振幅計算部21、周波数解析部22、S波検出部23を備えている。
(1)振幅計算部21は地動に起因する振幅x(l)を計算する。
(2)周波数解析部22は、自己回帰モデルを用いて、振幅x(l)からリアルタイムに周波数特性を計算する。周波数解析部22は、自己回帰モデルを用いて、振幅x(l)からリアルタイムにランニングスペクトルを計算するが、ランニングスペクトルは周波数特性の例である。
また、周波数解析部22は、周波数特性の計算に使用する地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付ける。そして周波数解析部22は、短時間のウィンドウサイズでの地動の周波数特性と、短時間よりも時間範囲の長い長時間のウィンドウサイズでの地動の周波数特性とを、振幅からリアルタイムに計算する。
(3)S波検出部23は前記周波数特性を使用することにより、地動で生成されたS波を検出する。
【0020】
***動作の説明***
図3は、情報処理装置20によるS波検出処理の動作を示すフローチャートである。図3を参照して情報処理装置20の動作を説明する。情報処理装置20の動作は、情報処理方法に相当する。また情報処理方法の動作は、後述の情報処理プログラム231よる処理に相当する。図3では、情報処理装置20の動作をプロセスP201からプロセスP204として示している。情報処理装置20は、サンプリング周波数fsの逆数(fs)-1の時間間隔で、地動センサ10から観測デジタルデータとして地動を取得する。地動とは大地の震動であり、地動のうち地震に由来する大地の震動を「地震動」という。地震動以外の地動には、車両による雑振動、暗振動(常時微動)、ノイズなどが、含まれる。以下、逆数(fs)-1をサンプリング間隔という。サンプリングごとに、情報処理装置20はS波検出処理を行う。
【0021】
<プロセスP201:観測データの振幅を計算>
(1)振幅計算部21は、地動センサ10から、地動センサ10の観測した観測デジタルデータDg(l)を取得する。観測デジタルデータDg(l)は地動である。
(2)振幅計算部21は、式1で、取得した観測デジタルデータDg(l)に基づき、振幅データx(l)を計算する。
【数1】
(l):振幅データ
Dg(l):観測デジタルデータ
Cf:物理値換算係数。
【0022】
<プロセスP202:ランニングスペクトルを計算>
周波数解析部22は、初めに、振幅データx(l)の時系列に対して、時間平均による平滑化を行う。次に、それを自己回帰モデルで表現することにより、振幅データの時間平均されたランニングスペクトルを計算する。その際、平滑化のウィンドウサイズが互いに異なる、短時間平均と長時間平均との2種類の方式を用いて2種類のランニングスペクトルを計算する。以下、自己回帰モデルは、ARモデルという。
(1)周波数解析部22は、式2で、ARモデル(短時間平均)による平均μS(l)を計算する。
【数2】
μS(l):ARモデル(短時間平均)による平均
rS:ARモデル(短時間平均)の忘却係数。
(l):振幅データ
(2)周波数解析部22は、式3で、ARモデル(短時間平均)による共分散関数CSj,m(l)を計算する。
【数3】
CSj,m(l):ARモデル(短時間平均)による共分散関数
rS:ARモデル(短時間平均)の忘却係数
(l):振幅データ
μS(l):ARモデル(短時間平均)による平均
(3)周波数解析部22は、式4のM次連立方程式(ユールウォーカー方程式)を解いて、ARモデル(短時間平均)のAR係数φSj,m(l)を計算する。
【数4】
CSj,m(l):ARモデル(短時間平均)による共分散関数
φSj,m(l):ARモデル(短時間平均)のAR係数
M:ARモデルの次数
(4)周波数解析部22は、式5および式6で、ARモデル(短時間平均)による振幅データの推定値xS(l)およびARモデル(短時間平均)による振幅データの推定誤差の分散σS (l)を計算する。
【数5】
【数6】
(l):振幅データ
μS(l):ARモデル(短時間平均)による平均
φSj,m(l):ARモデル(短時間平均)のAR係数
xS(l):ARモデル(短時間平均)による振幅データの推定値
σS (l):ARモデル(短時間平均)による振幅データの推定誤差の分散
M:ARモデルの次数
rS:ARモデル(短時間平均)の忘却係数
(5)周波数解析部22は、式7で、ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルPS(l,f)を計算する。
【数7】
PS(l,f):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトル
σS (l):ARモデル(短時間平均)による振幅データの推定誤差の分散
φSj,m:ARモデル(短時間平均)のAR係数
f:周波数
fs:サンプリング周波数
M:ARモデルの次数
(6)周波数解析部22は、長時間平均の場合も、短時間平均の式2から式7のそれぞれに対応する以下の式8から式13を計算する。
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
【0023】
<プロセスP203:S波検出の指標値を計算>
S波検出部23は、式14で、S波検出の指標値HV(l)を計算する。S波検出の指標値HV(l)は、地動のうちの水平動から計算したARモデルにおける短時間平均のランニングスペクトルと、地動のうちの上下動から計算したARモデルにおける長時間平均のランニングスペクトルとの比の周波数平均である。S波検出の指標値HV(l)の計算は、周波数成分ごとに、「STA/LTA法」と「水平動と上下動との比を用いる方法」とを、組み合わせた方法に相当する。
【数14】
HV(l):S波検出の指標値
f:周波数
fhvl:周波数の下限(Hz)
fhv2:周波数の上限(Hz)
PS(l,f):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトル
PL(l,f):ARモデル(長時間平均)によるランニングスペクトル
【0024】
<プロセスP204:S波を検出>
S波検出の指標値HV(l)が式15を満たす場合、S波検出部23は、S波が検出されたと判断し、このときのカウンタlをS波検出タイミングlsとする。S波検出部23は、S波検出タイミングlsを、外部装置40へ出力する。
【数15】
TDS:S波を検出するための閾値
HV(l):S波検出の指標値
【0025】
図3に説明した以上の手順によって、精度の高いS波の検出が可能となる。特にS波検出部23の式14の処理によって、精度の高いS波の検出が可能となる。
【0026】
図4は、2009年駿河湾沖地震の地震動に対する、情報処理装置20によるS波検出を示す。図4横軸は時間、縦軸は振幅データの振幅値およびS波検出の指標値である。
【0027】
***実施の形態1の効果***
(1)情報処理装置20は、S波検出の指標値がS波で大きくなり、P波で大きくならない性質がある。このため、特許文献1に開示されたSTA/LTA法と比べて、P波の初動とS波の初動とが時間的に近い場合でも、両者が分離可能という効果がある。
(2)情報処理装置20は、S波検出の指標値が周波数成分ごとの、水平動と上下動との振幅の違いを検出する。このため、非特許文献1に開示された方法と比べて、全周波数を合成した際の水平動と上下動の振幅の違いが小さい場合でも、S波の検出が可能という効果がある。
(3)式14のパラメータfhvlおよびfhv2を調整することで、目的とする周波数帯域にのみ着目することができるので、列車振動に因るもの等のあらかじめ分かっている周波数帯域を避けてS波を検知することも可能である。
(4)S波の検出時にランニングスペクトルが得られるので、検出したS波が地震に起因するものかノイズに起因するものかを識別するのにそれを利用することが可能である。
【0028】
以上に情報処理装置の動作をまとめておく。情報処理装置は以下の動作を実行し得る。(1)振幅計算部21は、地動センサ10から観測デジタルデータを取得し、地動に起因する振幅を計算する。周波数解析部22は、振幅からランニングスペクトルを計算する。S波検出部23は、ランニングスペクトルを使用することにより、地動で生成されたS波を検出する。
(2)振幅計算部21と周波数解析部22とは、地動の上下動成分を処理可能である。周波数解析部22は、ランニングスペクトルの計算に使用する地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付ける。時間範囲は、例えば、短時間のウィンドウサイズおよび長時間のウィンドウサイズである。周波数解析部22は、短時間のウィンドウサイズでの上下動成分のランニングスペクトルと、短時間よりも時間範囲の長い長時間のウィンドウサイズでの上下動成分のランニングスペクトルとを計算する。S波検出部23は、短時間の上下動成分のランニングスペクトルと、長時間の上下動成分のランニングスペクトルとを比較することにより、地動で生成されたS波を検出する。
(3)振幅計算部21と周波数解析部22とは、地動の上下動成分および水平動成分を処理可能である。周波数解析部22は、水平動成分のランニングスペクトルと上下動成分のランニングスペクトルとを計算する。S波検出部23は、水平動成分のランニングスペクトルと、上下動成分のランニングスペクトルとを比較することにより、地動で生成されたS波を検出する。
(4)振幅計算部21と周波数解析部22は、地動の上下動成分および水平動成分を処理可能である。周波数解析部22は、ランニングスペクトルの計算に使用する地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付ける。周波数解析部22は、短時間のウィンドウサイズでの水平動成分のランニングスペクトルと、短時間よりも時間範囲の長い長時間のウィンドウサイズでの上下動成分のランニングスペクトルとを計算する。S波検出部23は、短時間の水平動成分のランニングスペクトルと、長時間の上下動成分のランニングスペクトルとを比較することにより、地動で生成されたS波を検出する。
【0029】
実施の形態1では、式14に示すS波検出の指標値HV(l)を用いてS波検出することを想定したが、S波検出の指標値HV(l)はARモデル(短時間平均)による水平動のランニングスペクトルPS(l,f)およびPS(l,f)とARモデル(長時間平均)による上下動のランニングスペクトルPL(l,f)の距離の指標として他の様々な方法で定義することも可能である。例えば、以下に示す実施の形態が可能である。
(1)周波数解析部22は、短時間平均の場合について、式16に示す複素数zについてのM次多項式(特性方程式)を解き、解のうち虚部が0または正のものをARモデル(短時間平均)の特性根zSj,q(l)とする(qは連番でq=1,・・・,Q)。
【数16】
φSj,m:ARモデル(短時間平均)のAR係数
zSj,q(l):ARモデル(短時間平均)の特性根
M:ARモデルの次数
(2)次に、周波数解析部22は、式17から式20でARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルのピーク周波数fSj,q(l)とその場合のスペクトルのピーク値PSj,q(l)、ARモデル(短時間平均)による損失関数LossS(l)、ARモデル(短時間平均)による赤池情報量規準AicS(l)を計算する。
【数17】
zSj,q(l):ARモデル(短時間平均)の特性根
fSj,q(l):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルのピーク周波数
fs:サンプリング周波数
【数18】
PSj,q(l):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルのピーク値
σS (l):ARモデル(短時間平均)による振幅データの推定誤差の分散
φSj,m(l):ARモデル(短時間平均)のAR係数
fSj,q(l):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルのピーク周波数
M:ARモデルの次数
fs:サンプリング周波数
【数19】
LossS(l):ARモデル(短時間平均)による損失関数
(l):振幅データ
xS(l):ARモデル(短時間平均)による振幅データの推定値
σS (l):ARモデル(短時間平均)による振幅データの推定誤差の分散
【数20】
AicS(l):ARモデル(短時間平均)による赤池情報量規準
LossS(l):ARモデル(短時間平均)による損失関数
M:ARモデルの次数
(3)周波数解析部22は、長時間平均の場合も、短時間平均の式16から式20のそれぞれに対応する以下の式21から式25を計算する。
【数21】
【数22】
【数23】
【数24】
【数25】
(4)S波検出部23は、式26から式31のうちの何れかから、異常検出の指標値HV(l)を計算する。
【数26】
HV(l):S波検出の指標値
zSj,q(l):ARモデル(短時間平均)の特性根
zLj,q(l):ARモデル(長時間平均)の特性根
【数27】
HV(l):S波検出の指標値
fSj,q(l):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルのピーク周波数
fLj,q(l):ARモデル(長時間平均)によるランニングスペクトルのピーク周波数
【数28】
HV(l):S波検出の指標値
PSj,q(l):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルのピーク値PLj,q(l):ARモデル(長時間平均)によるランニングスペクトルのピーク値
【数29】
HV(l):S波検出の指標値
fSj,q’(l):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルの卓越周波数であり、q’は式18で計算されるARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルのピーク値PSj,q(l)が最大となるqである。
fLq’’(l):ARモデル(長時間平均)によるランニングスペクトルの卓越周波数であり、q’’は式23で計算されるARモデル(長時間平均)によるランニングスペクトルのピーク値PLj,q(l)が最大となるqである。
【数30】
HV(l):S波検出の指標値
LossS(l):ARモデル(短時間平均)による損失関数
LossL(l):ARモデル(長時間平均)による損失関数
【数31】
HV(l):S波検出の指標値
AicS(l):ARモデル(短時間平均)による赤池情報量規準
AicL(l):ARモデル(長時間平均)による赤池情報量規準
以上のようにS波検出の指標値HV(l)を計算することで、式14のように多くの周波数fについてスペクトルの値を計算することなく、ランニングスペクトルの急激な変化を検出することができるので、計算時間を短縮することが可能である。
【0030】
ARモデル(短時間平均)による水平動のランニングスペクトルPS(l,f)およびPS(l,f)とARモデル(長時間平均)による上下動のランニングスペクトルPL(l,f)の距離の指標として、その外には、カイ2乗カーネル、正定値カイ2乗カーネル、ヒストグラムインターセクションカーネル、へリンジャ―カーネル、相関係数等を利用した実施の形態が可能である。
【0031】
また、式7および式13で計算したPS(l,f)およびPL(l,f)の全部または一部をディープラーニング等の機械学習に用いてS波の特徴を学習させることで、精度の高いS波検出を行う実施の形態が可能である。
【0032】
また、式16から式18及び式21から式23で計算したzSj,q(l)、fSj,q(l)、PSj,q(l)、zLj,q(l)、fLj,q(l)およびPLj,q(l)はすべての周波数fにわたるランニングスペクトルを次元削減したことに相当するので、これらの全部または一部をディープラーニング等の機械学習に用いてS波の特徴の効果的な学習を行うことで、精度の高いS波検出を行う実施の形態が可能である。
【0033】
また、実施の形態1では、振幅データx(l)を空間3成分をそのまま用いることを想定したが、複数の空間成分から計算される関数値を用いる場合の実施の形態も可能である。例えば、水平動2成分をベクトル合成して1成分として利用すること、が考えられる。
【0034】
また、実施の形態1では、S波検出部23において、式14に示すようにS波検出の指標値HV(l)を、ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルPS(l,f)と、ARモデル(長時間平均)によるランニングスペクトルPL(l,f)との比を用いて定義したが、式32のように単純に卓越周波数自体を利用する実施の形態、式33のように単純にARモデル(短時間平均)による損失関数自体を利用する実施の形態、式34のように単純にARモデル(短時間平均)による赤池情報量規準自体を利用する実施の形態も可能である。
【数32】
HV(l):異常検出の指標値
fSj,q’(l):ARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルの卓越周波数であり、q’は式18で計算されるARモデル(短時間平均)によるランニングスペクトルのピーク値PS(l)が最大となるqである。
【数33】
HV(l):異常検出の指標値
LossS(l):ARモデル(短時間平均)による損失関数
【数34】
HV(l):異常検出の指標値
AicS(l):ARモデル(短時間平均)による赤池情報量規準
【0035】
また、実施の形態1では、ARモデル(短時間平均)とARモデル(長時間平均)の次数を共通のMとしたが、双方で互いに異なる次数とする実施の形態も可能である。
【0036】
また、実施の形態1では、周波数解析部22においてランニングスペクトルを計算するために自己回帰モデルを用いたが、FFT(Fast Fourier Transform)等の他の方法でランニングスペクトルを計算する実施の形態も可能である。
【0037】
(ハードウェアの補足)
図5は、情報処理装置20のハードウェア構成を示す。情報処理装置20のハードウェア構成を示す。情報処理装置20は、コンピュータである。情報処理装置20は、プロセッサ210を備える。情報処理装置20は、ハードウェアとして、プロセッサ210、主記憶装置220、補助記憶装置230、通信インタフェース240を備えている。プロセッサ210は、信号線250を介して、他のハードウェアと接続され、他のハードウェアを制御する。
【0038】
情報処理装置20は、振幅計算部21、周波数解析部22およびS波検出部23を備えている。これらの機能は、情報処理プログラム231により実現される。
【0039】
プロセッサ210は、情報処理プログラム231を実行する装置である。プロセッサ210が情報処理プログラム231を実行することで、振幅計算部21、周波数解析部22およびS波検出部23の機能が実現される。プロセッサ210は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。
【0040】
主記憶装置220の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。主記憶装置220は、プロセッサ210の演算結果を保持する。
【0041】
補助記憶装置230は、データを不揮発的に保管する記憶装置である。補助記憶装置230の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)である。補助記憶装置230は、可搬記録媒体であってもよい。補助記憶装置230は、情報処理プログラム231を記憶している。
【0042】
通信インタフェース240は、プロセッサ210が他の装置と通信するための通信ポートである。通信インタフェース240は、ネットワーク50に接続している。
【0043】
プロセッサ210は補助記憶装置230から情報処理プログラム231を主記憶装置220にロードする。プロセッサ210は、ロードされた情報処理プログラム231を主記憶装置220から読み込んで実行する。
【0044】
情報処理プログラム231は、情報処理装置20の有するそれぞれの「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させるプログラムである。
【0045】
また、情報処理方法は、コンピュータである情報処理装置20が情報処理プログラム231を実行することにより行われる方法である。情報処理プログラム231は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0046】
以下に、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
地動に起因する振幅を計算する振幅計算部と、
自己回帰モデルを用いて、前記振幅からリアルタイムに周波数特性を計算する周波数解析部と、
前記周波数特性を使用することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出部と、
を備える情報処理装置。
(付記2)
地動に起因する振幅を計算する振幅計算部と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析部と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出部と、
を備える情報処理装置。
(付記3)
前記周波数解析部は、
自己回帰モデルを用いて、前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記振幅計算部と前記周波数解析部とは、
前記地動の上下動成分を処理可能であり、
前記周波数解析部は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出部は、
前記短時間の前記上下動成分の周波数特性と、前記長時間の前記上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する付記2または付記3に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記振幅計算部と前記周波数解析部とは、
前記地動の上下動成分および水平動成分を処理可能であり、
前記周波数解析部は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの水平動成分の周波数特性と、前記長時間の前記ウィンドウサイズでの上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出部は、
前記短時間の水平動成分の周波数特性と、前記長時間の上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する付記2から付記4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記6)
コンピュータに、
地動に起因する振幅を計算する振幅計算処理と、
自己回帰モデルを用いて、前記振幅からリアルタイムに周波数特性を計算する周波数解析処理と、
前記周波数特性を使用することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出処理と、
を実行させる情報処理プログラム。
(付記7)
コンピュータに、
地動に起因する振幅を計算する振幅計算処理と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析処理と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出処理と、
を実行させる情報処理プログラム。
(付記8)
前記周波数解析処理は、
自己回帰モデルを用いて、前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する付記7に記載の情報処理プログラム。
(付記9)
前記振幅計算処理と前記周波数解析処理とは、
前記地動の上下動成分を処理可能であり、
前記周波数解析処理は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出処理は、
前記短時間の前記上下動成分の周波数特性と、前記長時間の前記上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する付記7または付記8に記載の情報処理プログラム。
(付記10)
前記振幅計算処理と前記周波数解析処理とは、
前記地動の上下動成分および水平動成分を処理可能であり、
前記周波数解析処理は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの水平動成分の周波数特性と、前記長時間の前記ウィンドウサイズでの上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出処理は、
前記短時間の水平動成分の周波数特性と、前記長時間の上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する付記7から付記9のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
(付記11)
コンピュータが、
地動に起因する振幅を計算し、
自己回帰モデルを用いて、前記振幅からリアルタイムに周波数特性を計算し、
前記周波数特性を使用することにより、前記地動で生成されたS波を検出する、情報処理方法。
(付記12)
コンピュータが、
地動に起因する振幅を計算し、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算し、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する、
情報処理方法。
【符号の説明】
【0047】
10 地動センサ、20 情報処理装置、21 振幅計算部、22 周波数解析部、23 S波検出部、30 地震計、40 外部装置、50 ネットワーク、210 プロセッサ、220 主記憶装置、230 補助記憶装置、231 情報処理プログラム、240 通信インタフェース、250 信号線。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地動に起因する振幅を計算する振幅計算部と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析部と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出部と、
を備える情報処理装置であって、
前記周波数解析部は、
自己回帰モデルを用いて、前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する情報処理装置。
【請求項2】
地動に起因する振幅を計算する振幅計算部と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析部と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出部と、
を備える情報処理装置であって、
前記振幅計算部と前記周波数解析部とは、
前記地動の上下動成分を処理可能であり、
前記周波数解析部は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出部は、
前記短時間の前記上下動成分の周波数特性と、前記長時間の前記上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する情報処理装置。
【請求項3】
地動に起因する振幅を計算する振幅計算部と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析部と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出部と、
を備える情報処理装置であって、
前記振幅計算部と前記周波数解析部とは、
前記地動の上下動成分および水平動成分を処理可能であり、
前記周波数解析部は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの水平動成分の周波数特性と、前記長時間の前記ウィンドウサイズでの上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出部は、
前記短時間の水平動成分の周波数特性と、前記長時間の上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータに、
地動に起因する振幅を計算する振幅計算処理と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析処理と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出処理と、
を実行させる情報処理プログラムであって、
前記周波数解析処理は、
自己回帰モデルを用いて、前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する情報処理プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
地動に起因する振幅を計算する振幅計算処理と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析処理と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出処理と、
を実行させる情報処理プログラムであって、
前記振幅計算処理と前記周波数解析処理とは、
前記地動の上下動成分を処理可能であり、
前記周波数解析処理は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出処理は、
前記短時間の前記上下動成分の周波数特性と、前記長時間の前記上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する情報処理プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
地動に起因する振幅を計算する振幅計算処理と、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する周波数解析処理と、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出するS波検出処理と、
を実行させる情報処理プログラムであって、
前記振幅計算処理と前記周波数解析処理とは、
前記地動の上下動成分および水平動成分を処理可能であり、
前記周波数解析処理は、
短時間の前記ウィンドウサイズでの水平動成分の周波数特性と、前記長時間の前記ウィンドウサイズでの上下動成分の周波数特性とを計算し、
前記S波検出処理は、
前記短時間の水平動成分の周波数特性と、前記長時間の上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する情報処理プログラム。
【請求項7】
コンピュータが、
地動に起因する振幅を計算し、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算し、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する、
情報処理方法であって、
前記コンピュータは、
自己回帰モデルを用いて、前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算する情報処理方法
【請求項8】
コンピュータが、
地動に起因する振幅を計算し、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算し、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する、
情報処理方法であって、
前記コンピュータは、
前記地動の上下動成分を処理可能であり、
前記コンピュータは、
短時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記上下動成分の周波数特性とを計算し
記短時間の前記上下動成分の周波数特性と、前記長時間の前記上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する情報処理方法
【請求項9】
コンピュータが、
地動に起因する振幅を計算し、
周波数特性の計算に使用する前記地動の時間範囲をウィンドウサイズの指定として受け付け、短時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性と、前記短時間よりも前記時間範囲の長い長時間の前記ウィンドウサイズでの前記地動の周波数特性とを、前記振幅からリアルタイムに計算し、
前記短時間の前記地動の周波数特性と、前記長時間の前記地動の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する、
情報処理方法であって、
前記コンピュータは、
前記地動の上下動成分および水平動成分を処理可能であり、
前記コンピュータは、
短時間の前記ウィンドウサイズでの水平動成分の周波数特性と、前記長時間の前記ウィンドウサイズでの上下動成分の周波数特性とを計算し
記短時間の水平動成分の周波数特性と、前記長時間の上下動成分の周波数特性とを比較することにより、前記地動で生成されたS波を検出する情報処理方法