(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134284
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】動作情報出力装置、動作判定システム、プログラムおよび動作判定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20240926BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20240926BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20240926BHJP
G06V 40/20 20220101ALI20240926BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06T7/20 300Z
G06T7/70 A
G06V40/20
H04N7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044507
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】319011546
【氏名又は名称】株式会社アイ・アイ・エム
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】小林 野愛
【テーマコード(参考)】
5C054
5L010
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA07
5C054FC12
5C054FC13
5C054FC15
5C054GB01
5C054GB05
5L010AA06
5L049AA06
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA69
5L096HA09
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】作業者の作業動作に関する情報をより簡便に取得する。
【解決手段】動作情報出力装置は、作業空間内で移動する作業者の身体に取り付けられた撮像装置によって撮像された動画像を取得する画像取得部と、動画像に含まれる作業者の身体の画像に基づいて、作業者の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報を生成する姿勢情報生成部と、動画像に基づいて、撮像装置によって撮像された物体の画像の特徴量の時間変化を示す特徴量情報を生成する特徴量情報生成部と、生成された姿勢情報と、特徴量情報とを、動画像の時系列に対応付けて出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間内で移動する作業者の身体に取り付けられた撮像装置によって撮像された動画像を取得する画像取得部と、
前記動画像に含まれる前記作業者の身体の画像に基づいて、前記作業者の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報を生成する姿勢情報生成部と、
前記動画像に基づいて、前記撮像装置によって撮像された物体の画像の特徴量の時間変化を示す特徴量情報を生成する特徴量情報生成部と、
生成された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを、前記動画像の時系列に対応付けて出力する出力部と、
を備える動作情報出力装置。
【請求項2】
前記作業空間内の所定の位置に付された、当該所定の位置を識別する位置識別物の画像である位置識別画像を、前記動画像の中から抽出する位置識別画像抽出部と、
抽出された前記位置識別画像に基づいて、前記所定の位置を特定する位置特定情報を生成する位置特定情報生成部
をさらに備え、
前記出力部は、生成された前記位置特定情報と、前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを、前記動画像の時系列に対応付けて出力する
請求項1に記載の動作情報出力装置。
【請求項3】
前記作業者の身体に装着された部位識別物の画像である部位識別画像を、前記動画像の中から抽出する部位識別画像抽出部
をさらに備え、
前記姿勢情報生成部は、抽出された前記部位識別画像に基づいて、前記動画像に撮像されている前記作業者の身体の部位を特定することにより、前記姿勢情報を生成する
請求項1に記載の動作情報出力装置。
【請求項4】
前記特徴量情報生成部は、非可逆変換演算によって前記動画像の情報量を低減することにより前記特徴量情報を生成する
請求項1に記載の動作情報出力装置。
【請求項5】
請求項1に記載の動作情報出力装置と、
出力された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを取得する情報取得部と、
前記姿勢情報と、前記特徴量情報とに基づいて、前記作業者による作業工程を構成する動作の種類を判定する動作判定部と、
を備える動作判定装置と、
を備える動作判定システム。
【請求項6】
前記動作判定装置は、前記動作判定部による前記動作の種類の判定結果に基づいて、前記動作によって構成される作業工程の種類を判定する作業工程判定部
をさらに備える請求項5に記載の動作判定システム。
【請求項7】
前記動作判定装置は、複数の前記作業工程間の所定の順序を示す工程情報を記憶する記憶部から、前記工程情報を取得する工程情報取得部
をさらに備え、
前記作業工程判定部は、前記工程情報に基づいて、前記作業工程の種類を判定する
請求項6に記載の動作判定システム。
【請求項8】
前記動作判定装置は、前記動作情報出力装置が出力する前記姿勢情報または前記特徴量情報のいずれか少なくとも1つと、当該いずれか少なくとも1つの情報に対応付けられている前記動画像の時系列とに基づいて、前記作業工程の所要時間を計時する計時部
をさらに備える請求項6に記載の動作判定システム。
【請求項9】
前記計時部は、前記作業空間内の位置のうち、第1位置から第2位置への前記作業者の移動時間を計時する
請求項8に記載の動作判定システム。
【請求項10】
前記作業工程判定部は、機械学習の結果に基づいて、前記作業工程の種類を判定する
請求項6に記載の動作判定システム。
【請求項11】
動作情報出力装置が備えるコンピュータに、
作業空間内で移動する作業者の身体に取り付けられた撮像装置によって時系列に撮像された動画像を取得することと、
前記動画像に含まれる前記作業者の身体の画像に基づいて、前記作業者の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報を生成することと、
前記動画像に基づいて、前記撮像装置によって撮像された物体の特徴量の時間変化を示す特徴量情報を生成することと、
生成された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを、前記動画像の時系列に対応付けて出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
作業空間内で移動する作業者の身体に取り付けられた撮像装置によって時系列に撮像された動画像を取得する手順と、
前記動画像に含まれる前記作業者の身体の画像に基づいて、前記作業者の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報を生成する手順と、
前記動画像に基づいて、前記撮像装置によって撮像された物体の特徴量の時間変化を示す特徴量情報を生成する手順と、
生成された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを、前記動画像の時系列に対応付けて出力する手順と、
出力された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを取得する手順と、
前記姿勢情報と、前記特徴量情報とに基づいて、前記作業者による作業工程を構成する動作の種類を判定する手順と、
前記動作の種類の判定結果に基づいて、前記動作によって構成される作業工程の種類を判定する手順と、
を有する動作判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作情報出力装置、動作判定システム、プログラムおよび動作判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や倉庫などの作業空間における作業者の工数の定量測定のために、定点カメラを設置し、作業者の身体の各部位にマーカーを装着させてその動きを把握する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術においては、作業者が移動すると定点カメラの画角から作業者が消えてしまい観測ができなくなったり、作業者に多数のマーカーを装着する手間や装着したマーカーが定点カメラの死角に入って観測が困難になる、といった問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、作業者の作業動作に関する情報をより簡便に取得することができる動作情報出力装置、動作判定システム、プログラムおよび動作判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、作業空間内で移動する作業者の身体に取り付けられた撮像装置によって撮像された動画像を取得する画像取得部と、前記動画像に含まれる前記作業者の身体の画像に基づいて、前記作業者の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報を生成する姿勢情報生成部と、前記動画像に基づいて、前記撮像装置によって撮像された物体の画像の特徴量の時間変化を示す特徴量情報を生成する特徴量情報生成部と、生成された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを、前記動画像の時系列に対応付けて出力する出力部と、を備える動作情報出力装置である。
【0007】
本発明の一実施形態は、上述の動作情報出力装置と、出力された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを取得する情報取得部と、前記姿勢情報と、前記特徴量情報とに基づいて、前記作業者による作業工程を構成する動作の種類を判定する動作判定部と、を備える動作判定装置と、を備える動作判定システムである。
【0008】
本発明の一実施形態は、動作情報出力装置が備えるコンピュータに、作業空間内で移動する作業者の身体に取り付けられた撮像装置によって時系列に撮像された動画像を取得することと、前記動画像に含まれる前記作業者の身体の画像に基づいて、前記作業者の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報を生成することと、前記動画像に基づいて、前記撮像装置によって撮像された物体の特徴量の時間変化を示す特徴量情報を生成することと、生成された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを、前記動画像の時系列に対応付けて出力することと、を実行させるためのプログラムである。
【0009】
本発明の一実施形態は、作業空間内で移動する作業者の身体に取り付けられた撮像装置によって時系列に撮像された動画像を取得する手順と、前記動画像に含まれる前記作業者の身体の画像に基づいて、前記作業者の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報を生成する手順と、前記動画像に基づいて、前記撮像装置によって撮像された物体の特徴量の時間変化を示す特徴量情報を生成する手順と、生成された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを、前記動画像の時系列に対応付けて出力する手順と、出力された前記姿勢情報と、前記特徴量情報とを取得する手順と、前記姿勢情報と、前記特徴量情報とに基づいて、前記作業者による作業工程を構成する動作の種類を判定する手順と、前記動作の種類の判定結果に基づいて、前記動作によって構成される作業工程の種類を判定する手順と、を有する動作判定方法である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、作業者の作業動作に関する情報をより簡便に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の作業空間の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態のウエアラブルカメラの装着状態の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の帳票棚の外観の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の動作判定システムの構成の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の位置識別画像と識別コード情報との対応関係の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の部位識別マーカーの一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の工程情報の構成の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の動作判定システムの動作の流れの一例を示す図である。
【
図10】本実施形態の姿勢情報の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態の動画像の特徴量の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態の作業工程判定部による判定結果の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態の作業工程の一次判定結果の一例を示す図である。
【
図14】本実施形態の作業工程の判定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の作業空間の一例を示す図である。本実施形態においては、商品倉庫を作業空間の一例として説明する。この一例の場合、作業者11は、作業空間である商品倉庫内を移動して、出庫指示書(以下の説明において、単に帳票600ともいう。)に記載されている商品をピックアップする。
【0013】
図2は、本実施形態の帳票600の一例を示す図である。例えば、帳票600には、出庫指示毎に固有に付された作業管理番号のバーコード601が付されている。
作業者11は、このバーコードをスキャンすることで、ピックアップ対象の商品が置かれている商品棚のロケーションを把握する。作業者11は、1つの帳票600に記載された商品をすべてピックアップしたら、ピックアップした商品をコンテナに入れて検品場に向かう。本実施形態において、この一連の作業をピックアップ作業ともいう。
【0014】
図1に戻り、位置P1~位置P4は、作業者11の作業位置の一例を示す。経路R12~R34は、作業者11の移動経路(移動軌跡)の一例を示す。
位置P1は、帳票棚60が設置されている位置P11に相対する作業スペースの位置である。すなわち、位置P1は、帳票棚60の近傍の位置である。
位置P2は、ピックアップ対象の商品80が保管されている商品棚90が設置されている位置P21に相対する作業スペースの位置である。すなわち、位置P2は、商品棚90の近傍の位置である。
位置P3は、空コンテナ置き場91が設置されている位置P31に相対する作業スペースの位置である。すなわち、位置P3は、空コンテナ置き場91の近傍の位置である。
位置P4は、検品場92が設置されている位置P41に相対する作業スペースの位置である。すなわち、位置P4は、検品場92の近傍の位置である。
なお「作業スペース」とは、作業空間内の作業者11の作業や移動が可能なエリアを広く意味しており、「作業者11が移動せずに作業を行う位置」という意味に限定されるものではない。
【0015】
本実施形態において「コンテナ」とは、ピックアップ後の商品を収納して検品場所に運ぶための箱である。コンテナは、1回のピックアップ作業における一般的な分量の商品を収納できる寸法であることが好ましい。また、コンテナは、不使用時には折りたためるものであってもよい。
【0016】
作業者11は、ウエアラブルカメラ10を装着した状態で、位置P1~位置P4の間を、経路R12~R34を経由して移動しながらピックアップ作業を行う。
【0017】
図3は、本実施形態のウエアラブルカメラ10の装着状態の一例を示す図である。本実施形態の一例において、ウエアラブルカメラ10は、作業者11の頭部に装着され、作業者11の前方を撮像する。
ウエアラブルカメラ10は、静止画像や動画像(以下、これらを総称して単に画像ともいう。)を撮像可能であり、撮像した画像をウエアラブルカメラ10が備える記憶部(不図示)に記憶させることができる。
なお、ウエアラブルカメラ10は、撮像した画像を無線通信や有線通信によって、撮像直後にリアルタイムで、あるいは撮像終了後に、外部装置に対して出力できる機能を有していてもよい。
【0018】
図1に戻り、位置P1の近傍の位置P11には、帳票棚60が置かれている。帳票棚60の一例について
図4を参照して説明する。
【0019】
図4は、本実施形態の帳票棚60の外観の一例を示す図である。同図には、ウエアラブルカメラ10が位置P1において撮像した動画像M11に含まれる帳票棚60の外観の様子を示している。帳票棚60には、新たな出庫指示を示す帳票600(すなわち、ピックアップ作業開始前の帳票600)が置かれる。帳票棚60の近傍には、位置識別マーカーID11が設置されている。
【0020】
位置識別マーカーID1とは、作業空間内の所定の位置を識別する識別物(例えば、カラーコード)であり、位置識別物の一例である。
位置識別物とは、例えば、紙、樹脂板、金属板などの板状の部品の表面に、印刷などの方法で識別コードが表示された物体である。
識別コードとは、位置識別物が設置される位置を示す符号であり、作業空間内の位置毎に互いに異なる一意性を有する符号である。
位置識別マーカーID1には、位置P1に設置された位置識別マーカーID11と、位置P3に設置された位置識別マーカーID13とがある。
上述したように、位置P1とは、帳票棚60が置かれた位置P11の近傍の位置である。つまり、位置識別マーカーID1は、帳票棚60を示す位置識別物である。
位置P3とは、コンテナ置き場91の位置P31の近傍の位置である。つまり、位置識別マーカーID13は、コンテナ置き場91を示す位置識別物である。
【0021】
なお、位置識別マーカーID1は、ウエアラブルカメラ10によって撮像された場合に、識別コードが認識できる物体であればどのように構成されていてもよい。位置識別マーカーID1は、上述した平面状の物体でなくてもよく、例えば、各方向から視認できる円筒形、三角錐形、または球形の立体物であってもよいし、内部から照明されることで暗所でも視認できる照光式の立体物であってもよい。
【0022】
位置識別マーカーID1は、作業空間内の各所に設置される。位置識別マーカーID1は、設置される位置毎に、当該位置に対応する一意の識別コードが与えられている。この一例の場合、識別コードは、カラーコードである。カラーコードとは、赤・青・緑などの色の配置(例えば、位置、順序、面積など)の違いによって一意性を示す符号である。位置識別マーカーID1がカラーコードである場合は、一意に配置された色と、作業空間内の所定の位置とが予め対応付けられている。
【0023】
なお、位置識別マーカーID1は、ウエアラブルカメラ10によって撮像された場合に、識別コードの一意性が判別できればカラーコードでなくてもよく、例えば、モノクロのバーコードや2次元コードであってもよい。
【0024】
以下の説明において、識別コードを撮像して、当該識別コードに予め対応付けられた位置を判定することを、「識別コードを解読する」ともいう。識別コードを解読することにより、いずれの位置に設置された位置識別マーカーID1であるかを特定することができる。識別コードを解読することで当該識別コードが示す位置を特定できることを、「識別コードは、設置された位置を識別する」ともいう。
すなわち、位置識別マーカーID1は、設置された位置を識別する。
【0025】
図1に戻り、位置P4とは、検品場92の位置である。検品とは、ピックアップ作業の次工程の作業である。検品場92とは、ピックアップされた商品80が帳票600と一致するか否かや、商品80に不具合がないかを確認する場所である。本実施形態において、位置P4には位置識別マーカーID1を設置してもよいし、設置しなくてもよい。
【0026】
位置P2とは、商品80が保管される商品棚90が置かれた位置P21の近傍の位置である。本実施形態において、位置P2には、位置識別マーカーID1が設置されていない。つまり、本実施形態では、商品棚90を示す位置識別物(例えば、カラーマーカー)は存在しない。
商品棚90は、商品80の種類に応じて多数用意される。これらの商品棚90は、商品80の種類に応じて、その位置を識別できることが望ましい。しかしながら、それぞれの商品棚90に対して、コードが互いに異なる位置識別マーカーID1を付すとすれば、多数の商品棚90について、それぞれ位置識別マーカーID1を設置する手間が生じる。
本実施形態においては、商品棚90を示す位置識別マーカーID1を設置しないことで、位置識別マーカーID1を設置する手間を軽減する。
【0027】
[動作判定システムの構成]
図5は、本実施形態の動作判定システム1の構成の一例を示す図である。動作判定システム1は、動作情報出力装置20と、動作判定装置30とを備える。
【0028】
[動作情報出力装置の機能構成]
動作情報出力装置20は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であって、不図示の記憶部に記憶されたソフトウエアによって動作する。動作情報出力装置20は、そのソフトウエア機能部(あるいはハードウエア機能部)としての、画像取得部210と、特徴量情報生成部220と、位置識別画像抽出部230と、位置特定情報生成部240と、部位識別画像抽出部250と、姿勢情報生成部260と、出力部270とを備える。
【0029】
画像取得部210は、作業空間内で移動する作業者11の身体に取り付けられたウエアラブルカメラ10(撮像装置)によって撮像された動画像Mを取得する。
上述したように、ウエアラブルカメラ10は、撮像した画像(例えば、動画像M)を記憶部(不図示)に記憶させることができる。画像取得部210は、ウエアラブルカメラ10に記憶されている動画像Mを、記憶媒体を介して、あるいは無線または有線通信によって、取得する。
【0030】
なお、ウエアラブルカメラ10がコンピュータ装置を備える場合には、動作情報出力装置20は、ウエアラブルカメラ10が備えるコンピュータ装置に組み込まれて構成されていてもよい。すなわち、ウエアラブルカメラ10と動作情報出力装置20とは、一体型の装置として構成されていてもよい。
【0031】
ここで、本実施形態における動画像Mとは、複数の静止画像(フレーム)が、撮像された時刻順(つまり、時系列)に並べられたものであればよく、そのフレームレートや解像度の大小は問わない。
【0032】
一般的に、動画像Mについて、その画像の特徴を数値化した特徴量FVを算出することができる。特徴量FVの一例としては、ある時間範囲における画像内の物体の移動量(つまり、画像内の物体の移動速度)がある。この場合、動画像Mの特徴点について、複数のフレーム間での位置の差分に基づいて動きベクトルの大きさを求めることにより、動画像Mの特徴量FVを算出することができる。
この一例の場合、特徴量FVは、動画像Mに撮像されている物体の移動速度を示している。ここで、動画像Mは、作業者11に装着されたウエアラブルカメラ10によって撮像された画像である。したがって、動画像Mに撮像されている物体の移動速度は、当該物体と作業者11との相対速度を示している。例えば、動画像Mに撮像されている物体が床に固定された固定物(例えば、商品棚90)である場合には、動画像Mに撮像されている物体の移動速度は、作業者11の移動速度を示している。
すなわち、この一例の場合、動画像Mの特徴量FVは、作業者11の移動速度を示す。
【0033】
特徴量情報生成部220は、動画像Mに基づいて、ウエアラブルカメラ10(撮像装置)によって撮像された物体の画像の特徴量FVの時間変化を示す特徴量情報221を生成する。
【0034】
特徴量情報生成部220は、非可逆変換演算によって動画像Mの情報量を低減することにより特徴量情報221を生成してもよい。ここで、非可逆変換演算とは、変換後の情報である特徴量情報221から、変換前の情報である動画像Mを復元できない演算のことをいう。本実施形態の非可逆変換演算は、変換前の動画像Mの情報量に比べて、変換後の特徴量情報221の情報量が少ない。すなわち、本実施形態の非可逆変換演算は、動画像Mの情報量を低減することにより特徴量情報221を生成する。
非可逆変換演算の一例として、動画像Mの特徴量をハッシュ値によって示すハッシュ演算がある。この場合、特徴量情報生成部220は、ハッシュ演算によって、動画像Mから特徴量情報221を生成する、ということもできる。
【0035】
このように構成された動作情報出力装置20によれば、動画像Mから非可逆変換演算によって特徴量情報221を生成するため、仮に特徴量情報221が第三者に取得されたとしても、この第三者は元の動画像Mを完全には復元することができない。
動画像Mは、作業空間(例えば、商品倉庫)内の風景を撮像したものである。したがって、動画像Mには、当該作業空間を運営する企業の機密事項が含まれている場合がある。仮に、動作情報出力装置20が、非可逆変換演算を施さずに動画像Mを外部装置(例えば、動作判定装置30)に出力した場合、当該作業空間を運営する企業の機密事項が流出してしまうおそれがある。本実施形態の動作情報出力装置20は、動画像Mに非可逆変換演算を施して外部装置(例えば、動作判定装置30)に出力することができるため、当該作業空間を運営する企業の機密事項が流出してしまうおそれを低減することができる。
また、上述したように、特徴量情報221は、動画像Mに比べて情報量が少ない。本実施形態の動作情報出力装置20は、動画像Mをそのまま外部装置(例えば、動作判定装置30)に出力する場合に比べ、動画像Mの特徴を示す情報(つまり、特徴量情報221)の情報量をより少なくして、外部装置(例えば、動作判定装置30)に出力することができる。
【0036】
ウエアラブルカメラ10で撮像された動画像Mには、作業者11の作業状況によっては、位置識別マーカーID1が撮像されている場合がある。例えば、作業者11が位置P1にいる際に撮像された動画像Mには、
図1に示した位置識別マーカーID11が撮像されている場合がある。また、例えば、作業者11が位置P3にいる際に撮像された動画像Mには、位置識別マーカーID13が撮像されている場合がある。
【0037】
位置識別画像抽出部230は、作業空間内の所定の位置に付された、当該位置を識別する位置識別マーカーID1(位置識別物)の画像である位置識別画像231を、動画像Mの中から抽出する。
上述の一例では、動画像Mに位置識別マーカーID11が撮像されている場合には、位置識別画像抽出部230は、動画像Mの中から位置識別マーカーID11の画像である位置識別画像231を抽出する。
また、動画像Mに位置識別マーカーID13が撮像されている場合には、位置識別画像抽出部230は、動画像Mの中から位置識別マーカーID13の画像である位置識別画像231を抽出する。
【0038】
位置特定情報生成部240は、抽出された位置識別画像231に基づいて、所定の位置を特定する位置特定情報241を生成する。
位置特定情報241とは、位置識別マーカーID1の識別コードに対応付けられている作業空間内の所定の位置を示す情報である。
【0039】
図6は、本実施形態の位置識別画像231と識別コード情報242との対応関係の一例を示す図である。
動作情報出力装置20の記憶部(不図示)には、識別コードと位置Pとが対応付けられた識別コード情報242が予め記憶されている。本実施形態の一例では、位置識別マーカーID11の識別コードと、位置P11(帳票棚60の位置)とが対応付けられ、位置識別マーカーID13の識別コードと、位置P13(空コンテナ置き場91の位置)とが対応付けられて、識別コード情報242として記憶されている。
【0040】
位置識別画像抽出部230が抽出した位置識別画像231が位置識別マーカーID11の画像である場合には、位置特定情報生成部240は、識別コード情報242が示す対応関係に基づいて、位置P11(帳票棚60の位置)を、位置特定情報241として生成する。
【0041】
なお、本実施形態では、位置Pに位置識別マーカーID1が設置されている場合を一例として説明したが、これに限られない。例えば、位置特定情報生成部240は、作業空間内の物体の画像と位置との関係を機械学習した結果に基づいて、ウエアラブルカメラ10が撮像した画像から、位置特定情報241を生成してもよい。
【0042】
図5に戻り、部位識別画像抽出部250は、作業者11の身体に装着された部位識別マーカーID2(部位識別物)の画像である部位識別画像251を、動画像Mの中から抽出する。
部位識別マーカーID2について、
図7を参照して説明する。
【0043】
図7は、本実施形態の部位識別マーカーID2の一例を示す図である。部位識別マーカーID2とは、作業者11の身体の所定の部位を識別する識別物(例えば、カラーコード)であり、部位識別物の一例である。
部位識別物とは、例えば、紙、樹脂板などの板状の部品の表面に、印刷などの方法で識別コードが表示された物体である。識別コードとは、部位識別物が装着される身体の部位を示す符号であり、身体の部位毎に互いに異なる一意性を有する符号である。
【0044】
部位識別マーカーID2は、作業者11の身体のいずれかの部位に装着されることにより、作業者11の身体の部位を識別する。一例として、部位識別マーカーID21は、いわゆるリストバンド形状に構成されており、作業者11の左手首に装着される。この場合、部位識別マーカーID21は、装着された位置が作業者11の左手LHであることを示す。
【0045】
なお、部位識別マーカーID2は、作業者11の身体に装着されるだけでなく、作業者11が身に着けて操作する道具に付すこともできる。例えば、ピックアップ作業において、作業者11は、帳票600、商品80および商品棚90などに付された識別コード(例えば、バーコード)をスキャンするためのハンドヘルド装置(同図に示す端末装置70)を右手RHに持って使用する場合がある。この場合には、部位識別マーカーID22は、裏面に糊が付されたステッカー状の樹脂板として構成され、端末装置70の表面に貼付される。この場合、部位識別マーカーID22は、貼付された位置が、端末装置70の位置であることを示す。つまり、端末装置70が作業者11の右手RHに把持されている場合、部位識別マーカーID22は、貼付された位置が、作業者11の右手RHの位置であることを間接的に示す。
【0046】
ここで、同図に示す動画像M21は、位置P2(つまり、商品棚90の近傍の位置)において、作業者11が商品棚90から商品80を取り出す状況が撮像された動画像Mである。商品棚90には、商品80を収めた収納かご801が載置されている。収納かご801には、商品80を識別する商品コード802が付されている。
商品棚90には、収納かご801に対応する位置に、商品棚90の位置を識別するロケーションコード901が付されている。
作業者11は、右手RHに端末装置70を持ち、商品80のうち帳票600に記載されたピックアップ対象商品81を、左手LHで、収納かご801から取り出す。作業者11は、取り出したピックアップ対象商品81の商品コード802と、商品棚90のロケーションコード901とを、右手RHに把持した端末装置70によってスキャンする。端末装置70の表示部701には、スキャン結果が表示される。
【0047】
図5に戻り、姿勢情報生成部260は、部位識別画像抽出部250が抽出した部位識別画像251を取得する。姿勢情報生成部260は、取得した部位識別画像251に基づいて、動画像Mに撮像されている作業者11の身体の部位を特定することにより、姿勢情報261を生成する。
【0048】
姿勢情報261とは、作業者11の身体の姿勢の時間変化を示す情報である。作業者11の身体の姿勢とは、例えば、左手LHなどの作業者11の身体の部位や、右手RHに把持された端末装置70などの作業者11が操作する道具の位置についての、作業空間内における座標である。姿勢情報生成部260は、これらの座標の時系列変化を、姿勢情報261として生成する。
すなわち、姿勢情報生成部260は、動画像Mに含まれる作業者11の身体の画像に基づいて、作業者11の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報261を生成する。姿勢情報261には、作業者11が行う動作の種類毎に特徴的な座標変化のパターンが含まれている。
【0049】
なお、上述した一例では、作業者11が、部位識別マーカーID2を身体(例えば、左手LH)に装着する場合について説明したが、これに限られない。
すなわち、部位識別マーカーID2を装着していない場合でも、例えば、動画像Mを機械学習することにより、姿勢情報生成部260が作業者11の身体の姿勢を判定できるように構成することもできる。
この場合、部位識別マーカーID2によらずに、姿勢情報生成部260は、動画像Mに含まれる作業者11の身体の画像に基づいて、作業者11の身体の姿勢の時間変化を示す姿勢情報261を生成してもよい。
【0050】
出力部270は、生成された位置特定情報241と、姿勢情報261と、特徴量情報221とを、動画像Mの時系列に対応付けて出力する。本実施形態の一例では、出力部270は、これら各種情報を、動作判定装置30に対して出力する。
なお、ここでいう「出力」には、各種情報が生成された時点で、無線あるいは有線の通信によって(つまり、リアルタイムに)出力されることや、不図示の記憶部に記憶された各種情報を、記憶媒体を介して、または無線あるいは有線の通信によって出力されることが含まれる。
【0051】
[動作判定装置の機能構成]
次に、動作判定装置30の機能構成について説明する。動作判定装置30は、例えば、クラウドサーバなどのコンピュータシステムによって構成され、不図示の記憶部に記憶されたソフトウエアによって動作する。動作判定装置30は、クラウドサーバとして構成されることにより、他システムとデータを共有し連携しやすくなり、運用を効率化することができる。また、動作判定装置30は、動作情報出力装置20に比べて処理能力が高いコンピュータシステムである場合は、動作判定装置30は、動作情報出力装置20に比べてより複雑な演算をより高速に実行することが可能である。
動作判定装置30には、記憶装置40および入出力装置50が接続されている。記憶装置40は、動作判定装置30が利用する各種の情報が記憶されている。入出力装置50は、動作判定装置30に対して各種の操作情報を与え、動作判定装置30からの情報を出力する。入出力装置50は、例えばキーボードやマウス、ディスプレイ、プリンタなどから構成されており、ごく一般的な機能を有しているため、その詳細な説明は省略する。
【0052】
動作判定装置30は、そのソフトウエア機能部(あるいはハードウエア機能部)としての、情報取得部310と、動作判定部320と、作業工程判定部330と、工程情報取得部340と、計時部350とを備える。
【0053】
情報取得部310は、動作情報出力装置20から出力された姿勢情報261と、特徴量情報221とを取得する。情報取得部310は、取得した各情報を、動作判定部320に出力する。
【0054】
動作判定部320は、姿勢情報261と、特徴量情報221とに基づいて、作業者11による作業工程を構成する動作の種類を判定する。ここで、作業工程と動作の種類とについて
図8を参照して説明する。
【0055】
図8は、本実施形態の工程情報401の構成の一例を示す図である。工程情報401とは、作業空間内における作業を構成する一連の作業工程について、作業工程を識別する工程IDと、作業工程の内容を示す情報とが対応付けられた情報である。この工程情報401は、
図5に示す記憶装置40に予め記憶されている。
【0056】
記憶装置40は、工程情報401を記憶する。なお、記憶装置40は、必ずしも、動作判定装置30に接続されたハードディスクドライブなどのハードウエアなどとして構成される必要はない。例えば、記憶装置40は、クラウドサーバ上の記憶機能として構成されていてもよい。
【0057】
図8に戻り、本実施形態の一例において、作業空間内では商品80のピックアップ作業が行われる。この場合、工程情報401は、ピックアップ作業の作業工程を示す。
より具体的には、工程情報401は、工程ID1から工程ID8までの8工程を、その作業順に並べて示している。
工程ID1において、作業者11は、位置P1に移動し、帳票棚60から帳票600をとる。
工程ID2において、作業者11は、位置P1で、帳票600に表示されている作業管理番号のバーコード601を端末装置70によってスキャンする。端末装置70の表示部701には、ピックアップすべき商品80(つまり、ピックアップ対象商品81)が保管されている商品棚90のロケーション(つまり、位置P2)が表示される。
工程ID3において、作業者11は、ピックアップ対象商品81が保管されている商品棚90のロケーション(つまり、位置P2)に移動する。
工程ID4において、作業者11は、商品棚90のロケーションコード901を端末装置70によってスキャンする。端末装置70の表示部701には、当該ロケーション(例えば、位置P2)の商品棚90においてピックアップすべき商品80(つまり、ピックアップ対象商品81)の名称等が表示される。
工程ID5において、作業者11は、商品棚90からピックアップ対象商品81をとる。
工程ID6において、作業者11は、ピックアップ対象商品81に付された商品コード802をスキャンする。端末装置70の表示部701には、スキャンされた商品コード802に対応する商品80の名称等が表示される。なお、端末装置70は、工程ID4において表示したピックアップ対象商品81と、工程ID6においてスキャンされた商品コード802が示す商品80とが一致しているか否かを、表示部701に表示させてもよい。
工程ID7において、作業者11は、位置P3の空コンテナ置き場91に移動し、ピックアップした商品80をコンテナへ投入する。
工程ID8において、作業者11は、コンテナを位置P4の検品場92に移動させる。
【0058】
上述した作業工程は、複数の動作を組み合わせて構成されている。例えば、工程ID5の作業工程は、作業者11が商品棚90に左手LHを伸ばす動作と、伸ばしたままの左手LHが商品80を把持する動作と、商品80を把持した左手LHが引き戻される動作との3種類の動作によって構成されている。
以下の説明において、この「作業工程を構成する動作」のことを単に「動作」とも記載する。本実施形態における動作とは、歩く、手を動かすなどの作業者11の基本動作のことをいう。なお、動作とは、いわゆるサーブリック分析における18種類の動作要素のことでもよく、これらの動作要素を組み合わせた要素作業や単位作業のことでもよい。
これらの動作は、上述した姿勢情報261や、特徴量情報221に含まれる情報を解析することによって、その種類を判定することができる。
【0059】
上述したように、動作判定部320は、姿勢情報261と、特徴量情報221とに基づいて、作業者11による作業工程を構成する動作の種類を判定する。
すなわち、動作判定部320は、動作の種類の判定を行うが、作業工程の種類の判定を行わない。
【0060】
作業工程判定部330は、動作判定装置30は、動作判定部320による動作の種類の判定結果と、動作情報出力装置20が出力する位置特定情報241とに基づいて、動作によって構成される作業工程の種類を判定する。
すなわち、作業工程判定部330は、動作判定部320が判定しなかった作業工程の種類を判定する。
【0061】
なお、作業工程判定部330は、位置識別マーカーID1(位置識別物)が付されていない位置における作業工程の種類を判定するように構成されていてもよい。
この場合、工程情報取得部340は、記憶装置40(記憶部)から、工程情報401を取得する。上述したように、工程情報401とは、複数の作業工程間の所定の順序を示す情報である。
作業工程判定部330は、工程情報取得部340が取得した工程情報401と、位置特定情報241とに基づいて、作業工程の種類を判定する。
【0062】
また、作業工程判定部330は、機械学習の結果に基づいて、作業工程の種類を判定するように構成されていてもよい。
【0063】
動作判定装置30は、動作情報出力装置20が出力する位置特定情報241、姿勢情報261または特徴量情報221のいずれか少なくとも1つと、当該いずれかの情報に対応付けられている動画像Mの時系列とに基づいて、作業工程の所要時間を計時する。
【0064】
なお、計時部350は、作業空間内の位置のうち、第1位置から第2位置への作業者11の移動時間を計時するように構成されていてもよい。
【0065】
[動作判定システムの動作]
次に、動作判定システム1の動作の流れについて説明する。
図9は、本実施形態の動作判定システム1の動作の流れの一例を示す図である。同図において、動作情報出力装置20の動作をステップS210~ステップS260に示し、動作判定装置30の動作をステップS310~ステップS340に示す。
【0066】
[動作情報出力装置の動作]
(ステップS210)画像取得部210は、ウエアラブルカメラ10によって撮像された動画像Mを取得する。この動画像Mは、作業者11の周囲の様子が撮像されている。
(ステップS220)位置識別画像抽出部230は、動画像Mの中から位置識別画像231を抽出する。上述したように、位置識別画像231とは、位置識別マーカーID1の画像である。
(ステップS230)位置特定情報241は、抽出された位置識別画像231に基づいて、動画像Mが撮像された位置を特定する。
(ステップS240)姿勢情報生成部260は、動画像Mに含まれる作業者11の身体の画像に基づいて、作業者11の身体の姿勢を判定する。姿勢情報生成部260は、判定結果を示す情報として、姿勢情報261を生成する。
(ステップS250)特徴量情報生成部220は、特徴量情報221を生成する。上述したように、特徴量情報221とは、ウエアラブルカメラ10によって撮像された物体の画像の特徴量FVの時間変化を示す情報である。
(ステップS260)出力部270は、生成された位置特定情報241と、姿勢情報261と、特徴量情報221とを、動画像Mの時系列に対応付けて出力する。
【0067】
[姿勢情報の生成]
ステップS240において生成される姿勢情報261の一例について、
図10を参照して説明する。
図10は、本実施形態の姿勢情報261の一例を示す図である。同図には、位置P1において、作業者11が帳票棚60から帳票600を取る場合の動作の一例を示している。
図10(A)は、時刻t1において作業者11が帳票棚60に向けて移動している場合の動画像Mの一例を示す図である。
図10(B)は、時刻t3において作業者11が帳票棚60から帳票600を取る動作をしている場合の動画像Mの一例を示す図である。
図10(C)は、時刻t4において作業者11が帳票棚60から帳票600を取った後に、帳票600の作業管理番号のバーコード601をスキャンしようとしている場合の動画像Mの一例を示す図である。
図10(D)は、時刻t1から時刻t4における左手LHの座標の時間変化の一例を示す図である。
【0068】
同図に示す時刻t1から時刻t4において、位置識別画像抽出部230は、左手LHの部位識別マーカーID21を抽出する。同図(A)~(C)に示すように動画像Mの横方向をx軸、縦方向をy軸とし、時刻tnにおける部位識別マーカーID21のy座標をID21(tn、y)と表す。この場合、同図(D)に示すようにID21(t1、y1)、ID21(t2、y2)、ID21(t3、y3)、ID21(t4、y4)の順に時系列に部位識別マーカーID21のy座標が変化する。
姿勢情報生成部260は、ID21(tn、y)の時間変化(例えば、
図10(D)に示すグラフの軌跡)を、姿勢情報261として生成する。
【0069】
なお、この一例において、動画像Mの横方向をx軸、縦方向をy軸とした。これは、作業者11の左手LHの座標を、動画像M上の2次元座標系によって表現することに相当する。これは一例であって、例えば、ウエアラブルカメラ10がいわゆるステレオカメラや奥行き距離(深さ)測定機能を有するカメラである場合には、画像内の物体の3次元座標を求めることができる。この場合には、作業者11の左手LHの座標を、3次元座標によって表現してもよい。
図9に戻り、動作判定装置30による動作判定および作業工程について説明する。
【0070】
[動作の判定]
(ステップS310)情報取得部310は、動作情報出力装置20によって生成された位置特定情報241と、姿勢情報261と、特徴量情報221と取得する。
(ステップS320)動作判定部320は、姿勢情報261と、特徴量情報221とに基づいて、作業者11による作業工程を構成する動作の種類を判定する。
【0071】
動作判定部320が姿勢情報261に基づいて動作の種類を判定する例について説明する。上述した
図10に示す姿勢情報261の一例の場合、時刻t2から時刻t3において、y座標がy2からy3に急激に変化している。また、時刻t4において、y座標が時刻t2と同じy2に戻っている。
この場合、動作判定部320は、時刻t2から時刻t4の作業者11の左手LHの座標の時間変化(つまり、作業者11の姿勢変化)を、左手LHを伸ばした後、左手LHを引き戻す動作であると判定する。
【0072】
次に、
図11を参照して、動作判定部320が姿勢情報261と特徴量情報221とに基づいて動作の種類を判定する例について説明する。
図11は、本実施形態の動画像Mの特徴量FVの一例を示す図である。
図11(A)は、時刻t5から時刻t6における動画像Mの一例を示す図である。
図11(B)は、時刻t5から時刻t6における動画像Mのx軸方向の時間変化の一例を示す図である。
図11(C)は、時刻t5から時刻t6における動画像Mの特徴量FVの時間変化の一例を示す図である。
【0073】
同図に示す時刻t5から時刻t6において、位置識別画像抽出部230は、端末装置70に付された部位識別マーカーID22を抽出する。
同図(B)には、動画像Mの横方向をx軸、縦方向をy軸とした場合の、部位識別マーカーID22のx座標の時間変化を示す。この一例において、時刻t5から時刻t6の間、部位識別マーカーID22のx座標は、座標x1から座標x2の範囲に収まっている。
同図(C)には、動画像Mの横方向をx軸、縦方向をy軸とした場合の、部位識別マーカーID22の特徴量FVの時間変化を示す。この一例では、部位識別マーカーID22の特徴量FVとは、部位識別マーカーID22の座標変化の速さ、より具体的には部位識別マーカーID22の座標の動きベクトルの大きさである。この一例において、時刻t5から時刻t6の間、部位識別マーカーID22の特徴量FVは、特徴量のしきい値FV1以下の範囲に収まっている。
すなわち、姿勢情報261および特徴量情報221は、時刻t5から時刻t6において、端末装置70の位置変化が比較的少ないことを示している。
この場合、動作判定部320は、時刻t5から時刻t6において作業者11が端末装置70を使用して何かをスキャンしている、つまりスキャン動作であると判定する。
【0074】
[作業工程の判定]
図9に戻り、作業工程の種類の判定について説明する。
(ステップS330)作業工程判定部330は、動作判定部320による動作の種類の判定結果と、動作情報出力装置20が出力する位置特定情報241とに基づいて、動作によって構成される作業工程の種類を判定する。
【0075】
一例として、
図10(D)に示す時刻t2から時刻t4について、動作判定部320が「左手LHを伸ばした後、左手LHを引き戻す動作」と判定している場合について説明する。
【0076】
図12は、本実施形態の作業工程判定部330による判定結果の一例を示す図である。
動作情報出力装置20が出力する位置特定情報241が、時刻t2から時刻t4において「位置P1」であることを示す場合には、作業工程判定部330は、位置P1において作業者11が左手LHを伸ばした後、左手LHを引き戻す動作をしている、と判定する。この場合、作業工程判定部330は、位置P1において作業者11が左手LHを伸ばした後、左手LHを引き戻す動作が、帳票棚60から帳票600を取る動作である、つまり、
図8に示した工程ID2「帳票600を取る」動作である、と判定する。
【0077】
また、他の一例として、
図11(B)~(C)に示す時刻t5から時刻t6について、動作判定部320が「スキャン動作」と判定している場合について説明する。
動作情報出力装置20が出力する位置特定情報241が、時刻t5から時刻t6において「位置P1」であることを示す場合には、作業工程判定部330は、位置P1において作業者11がスキャン動作をしている、と判定する。この場合、作業工程判定部330は、位置P1において作業者11がスキャン動作をしている、つまり、
図8に示した工程ID3「作業管理番号をスキャンする」工程である、と判定する。
【0078】
また、他の一例として、動作判定部320が、
図12に示す時刻t7から時刻t8においてスキャン動作をしていると判定し、位置特定情報241が「位置P2」を示している場合について説明する。
この場合、作業工程判定部330は、商品棚90の位置でスキャン動作をしている、つまり、
図8に示した工程ID5「商品棚番号(ロケーションコード)をスキャンする」工程である、と判定する。
【0079】
ここで、時刻t6から時刻t7における作業者11の動作が不明である場合がある。この場合、動作判定部320が、時刻t6から時刻t7における作業者11の動作を判定できず、動作の種類の判定結果が得られない。
この場合、作業工程判定部330は、工程情報401と、位置特定情報241とに基づいて、位置識別マーカーID1が付されていない位置における作業工程の種類を判定する。
例えば、作業工程判定部330は、工程情報401が示す工程の順序に基づいて、時刻t6から時刻t7が、工程ID3「作業管理番号をスキャンする」と、工程ID5「商品棚番号(ロケーションコード)をスキャンする」の間の工程である、工程ID4「商品棚に向かう」に相当すると判定する。
【0080】
このように構成された動作判定装置30によれば、位置識別マーカーID1が付されていない場所における作業者11の動きを推定して、工程を判別することができる。
また、作業工程判定部330は、ピックアップ作業などの一連の作業において、同じ動作(例えば、スキャン動作)が複数回行われていたとしても、当該動作が行われている位置や工程間の順序に基づいて、当該動作がいずれの工程で行われているのかを判定することができる。
【0081】
[作業工程の判定結果の集約]
図13は、本実施形態の作業工程の一次判定結果の一例を示す図である。同図に示すように、作業工程判定部330は、本来は1つの工程として判定すべき場合に複数の工程であると誤判定したり、商品棚90から複数の商品80を連続して取り出した場合など、本来は1つの工程にまとめるべき複数の動作を、複数の工程であると判定する場合がある。
このような場合に、作業工程判定部330は、時系列に連続した複数の同種の工程を、1つの工程にまとめる機能を有していてもよい。この場合に、作業工程判定部330は、工程情報401が示す工程の順序に基づいて、時系列に連続した複数の同種の工程を、1つの工程にまとめてもよい。
【0082】
図14は、本実施形態の作業工程の判定結果の一例を示す図である。作業工程判定部330は、
図13に示した時系列に連続した複数の同種の工程を、
図14に示す作業工程にまとめることにより、作業工程毎の作業時間の計時ができるようにすることができる。
【0083】
[作業工程の時間の計時]
動作判定装置30の計時部350は、
図13および
図14に示すように、各作業工程の開始時刻tと終了時刻tとに基づいて、各作業工程の所要時間を算出する。
上述したように、位置特定情報241、姿勢情報261または特徴量情報221のいずれか1つ、またはこれらの情報を2つ以上組み合わせることにより、各作業工程の開始タイミングと終了タイミングとを判定することができる。さらに、各作業工程の開始タイミングおよび終了タイミングと、動画像Mの時系列(つまり、実時間の経過の状況)と組み合わせることにより、各作業工程の具体的な開始時刻tおよび終了時刻tを求めることができる。
すなわち、計時部350は、動作判定装置30は、動作情報出力装置20が出力する位置特定情報241、姿勢情報261または特徴量情報221のいずれか少なくとも1つと、当該いずれかの情報に対応付けられている動画像Mの時系列とに基づいて、作業工程の所要時間を計時する。
【0084】
また、上述したように、作業工程判定部330は、作業者11が、ある位置P(第1位置)から他の位置P(第2位置)まで移動していることを判定する。この場合、計時部350は、作業空間内の位置のうち、ある位置P(第1位置)から他の位置P(第2位置)への作業者11の移動時間を計時することができる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の動作判定システム1によれば、従来、ベテラン従業員の経験や勘によって行われていた作業工数の見積もりを、より定量的に行うことが可能になる。
【0086】
また、従来、工数の定量測定のために定点カメラを設置したり、作業者の身体の各部位にマーカーを装着させてその動きを把握する場合があった。このような場合、作業者が移動すると定点カメラの画角から作業者が消えてしまい観測ができなくなったり、作業者に多数のマーカーを装着する手間や装着したマーカーが定点カメラの死角に入って観測が困難になる、といった問題が生じていた。
【0087】
本実施形態の動作判定システム1によれば、作業者11に装着したウエアラブルカメラ10の動画像Mに基づいて作業者11の動作を判定するため、作業者11が作業空間内を移動して作業する場合においても、作業者11の動作を把握することができる。
【0088】
また、本実施形態の動作判定システム1によれば、動作情報出力装置20と動作判定装置30との機能を分割しているため、動作情報出力装置20を当該作業空間を運営するユーザ企業側の装置として構成し、動作判定装置30を動作判定システム1を運営するシステム運営企業側の装置として構成することができる。このため、動作判定システム1によれば、処理負荷が大きい動作判定や作業工程判定を、より高性能な動作判定装置30に行わせることにより、ユーザ企業側の装置の投資負担を軽減することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0090】
なお、上記の実施形態における各装置が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0091】
なお、各装置が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0092】
また、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0093】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…動作判定システム、10…ウエアラブルカメラ、20…動作情報出力装置、30…動作判定装置、40…記憶装置、50…入出力装置、60…帳票棚、70…端末装置、80…商品、90…商品棚、91…空コンテナ置き場、92…検品場
210…画像取得部、220…特徴量情報生成部、230…位置識別画像抽出部、240…位置特定情報生成部、250…部位識別画像抽出部、260…姿勢情報生成部、270…出力部、310…情報取得部、320…動作判定部、330…作業工程判定部、340…工程情報取得部、350…計時部