(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134286
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】タイルユニット、構造体およびタイルユニットの施工方法
(51)【国際特許分類】
E04C 2/38 20060101AFI20240926BHJP
E04B 2/90 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
E04C2/38 P
E04B2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044510
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】石橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】西岡 市朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 幸喜
【テーマコード(参考)】
2E002
2E162
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NB01
2E002NC01
2E002PA04
2E002RA02
2E002RB01
2E002SA01
2E002SA02
2E002TA01
2E002TA02
2E002TA03
2E162BA03
2E162BA04
2E162CA08
(57)【要約】
【課題】施工効率を向上することができるタイルユニットおよびタイルユニットの施工方法を提供する。
【解決手段】枠状のフレーム12と、フレームに取り付けられた複数のタイル11と、を備え、構造物1に取り付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状のフレームと、
前記フレームに取り付けられた複数のタイルと、を備え、
構造物に取り付けられるタイルユニット。
【請求項2】
前記フレームは、
矩形状の外枠材と、
前記外枠材の向かい合う枠材の間を架け渡す補助枠材と、を備えている請求項1に記載のタイルユニット。
【請求項3】
前記フレームはアルミニウム製である請求項1に記載のタイルユニット。
【請求項4】
前記フレームの上下に、前記構造物に対する支持構造を備え、
上部支持構造には、前記構造物に対して鉛直方向の位置を調整する高さ位置調整機構、および前記構造物に対して水平方向の位置を調整する水平位置調整機構が設けられ、
下部支持構造には、前記構造物に対して嵌め合わせる嵌合構造が備えられている請求項1に記載のタイルユニット。
【請求項5】
前記タイルの裏面側に前記フレームが配され、
前記タイルの表面側にタイル押え材が配され、
前記フレームと前記タイル押え材とが連結されている請求項1に記載のタイルユニット。
【請求項6】
前記タイルと前記フレームとの間には裏側スペーサが配されている請求項5に記載のタイルユニット。
【請求項7】
前記タイル押え材と前記タイルとの間には表側スペーサが配されている請求項6に記載のタイルユニット。
【請求項8】
前記タイルの上端には、前記フレームに支持固定するタイル上端押え部材が備えられている請求項6に記載のタイルユニット。
【請求項9】
前記タイル押え材と前記フレームとの間に連結部材が設けられ、
前記連結部材の上方に位置する前記タイルは、前記連結部材に支持されている請求項5に記載のタイルユニット。
【請求項10】
前記タイルの横ずれを防止する横ずれ防止材が設けられている請求項1に記載のタイルユニット。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のタイルユニットが取り付けられている構造体。
【請求項12】
カーテンウォールである請求項11に記載の構造体。
【請求項13】
製造工場において、
枠状のフレームを製造し、
前記フレームに複数のタイルを取り付けてタイルユニットを製造し、
構造物の施工現場にて、
前記タイルユニットを前記構造物に取り付けるタイルユニットの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイルユニット、構造体およびタイルユニットの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁の仕上げ材としてタイルを用いることがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のタイルユニットは、超大判タイルを1枚ずつ外壁に取り付けており、施工に手間がかかるという問題があった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであって、施工効率を向上することができるタイルユニット、構造体およびタイルユニットの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によるタイルユニットは、枠状のフレームと、前記フレームに取り付けられた複数のタイルと、を備え、構造物に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態によるタイルユニットを取り付けた構造物の正面図である。
【
図4】上下ユニットの連結部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の各実施形態によるタイルユニットおよびタイルユニットの施工方法を添付図面により説明する。
【0009】
以降の説明において、方向を示す場合は、以下のように説明する。タイルユニット10を正面から見た左右方向を幅方向と称する。幅方向に直交し、水平方向に沿う方向を室内外方向と称する。幅方向および室内外方向に直交する方向を上下方向または高さ方向と称する。
【0010】
図1に示すように、構造物1の柱2や梁3に対してタイルユニット10が取り付けられている。柱2と梁3とで囲まれた開口4にはサッシ(不図示)などが取り付けられる。タイルユニット10は、柱2の位置に対応した縦長の第1タイルユニット10Aと、梁3の位置に対応した横長の第2タイルユニット10Bと、で構成されている。第1タイルユニット10Aおよび第2タイルユニット10Bには、それぞれ4枚の大判のタイル11が取り付けられており、フレーム12と一体化されている。タイルユニット10は、製造工場で製作され、施工現場では構造物1に取り付けるだけである。
【0011】
図2~
図6を用いて第1タイルユニット10Aについて説明する。第1タイルユニット10Aは、正面視矩形状のフレーム12と、フレーム12に取り付けられた複数のタイル11と、を備えている。タイル11は4枚の大判タイルである。タイル11の裏面11bには飛散防止シート14が貼り付けられている。
【0012】
フレーム12は、上枠15、下枠16、一対の縦枠17,17で構成された外枠20と、一対の縦枠17,17の間を上下方向に間隔をあけて水平方向に架け渡された無目材21と、を備えている。フレーム12はアルミニウム製である。第1タイルユニット10Aには、無目材21が3本取り付けられている。フレーム12と無目材21とで囲まれた略矩形状の空間に1枚のタイル11が取り付けられている。1つの第1タイルユニット10Aには4枚のタイル11が取り付けられている。
【0013】
図2、
図3を用いて無目22の構造について説明する。無目22は、タイル11の裏面11b側に設けられた無目材21と、無目材21の上下に配されたタイル11の表面11a側に設けられた押え材23と、を備えている。
【0014】
タイル11と無目材21との間には第1押えゴム24が配されている。第1押えゴム24は、例えば硬質ゴムである。タイル11と押え材23との間には第2押えゴム25が配されている。第2押えゴム25は、例えばスポンジゴムである。
【0015】
押え材23と、無目材21との間には、連結部材26が設けられている。連結部材26は、無目材21に嵌め合わされる第1嵌合片27と、第1嵌合片27から室外側へ水平方向に延びる連結片28と、連結片28の室外側先端に形成され押え材23に嵌め合わされる第2嵌合片29と、を備えている。
【0016】
無目材21は中空部が形成されたホロー材である。無目材21におけるタイル11側を向く表面21aに、連結部材26が嵌め合わされる嵌合凹部30が形成されている。嵌合凹部30は、無目材21の表面21aから室内側へ水平方向に延びる一対の突出片31,31と、一対の突出片31,31の先端どうしをつなぐ底片32と、一対の突出片31,31の表面21a側の基端同士から互いに近づくように延びる一対の係止片33,33と、を備えている。嵌合凹部30には連結部材26の板状の第1嵌合片27が嵌め合わされる。無目材21の底片32と連結部材26の第1嵌合片27とはネジ19で固定されている。
【0017】
無目材21の表面21aには、上下方向に離れた位置に一対の突起18,18が形成されている。突起18には第1押えゴム24が取り付けられている。無目材21には、上下に2つの第1押えゴム24が取り付けられている。上側の第1押えゴム24は、無目22の上側に配されるタイル11と接触している。下側の第1押えゴム24は、無目22の下側に配されるタイル11と接触している。第1押えゴム24の幅方向の長さは、無目材21と略同じ長さであってもよいし、無目材21の部分的な位置に取り付けてもよい。
【0018】
連結部材26の連結片28は水平方向に延びる板状に形成されている。連結片28の板面は鉛直上下方向を向いている。連結片28の幅方向の長さは、押え材23の幅方向の長さと略同一である。タイル11は、連結片28の上面28aに載置されている。タイル11と連結片28の上面28aとの間には緩衝材71が配置されている。緩衝材71は設けなくてもよい。連結片28は、タイル11の自重を受ける形材として機能している。連結片28の裏面28bの室内側端部は、無目材21の下側の係止片33と接触している。タイル11が連結片28に載置されると、タイル11の自重は連結片28から係止片33を介して無目材21にかかる。タイル11の自重は、フレーム12で受けている。
【0019】
連結部材26の室外側の先端には、連結片28に対して上下方向に突出した第2嵌合片29が形成されている。第2嵌合片29には、押え材23が嵌め合わされる。
【0020】
押え材23は、連結部材26の第2嵌合片29に嵌め合わされるピース材である。押え材23は、アルミダイカスト製である。押え材23の表面23aには連結部材26と連結するためのネジ34を取り付ける凹部35が形成されている。凹部35はネジ34の頭部が収まる大きさで形成されている。凹部35は、正面視で押え材23の中央に形成されている。
【0021】
押え材23の裏面23bには、室内方向に水平方向に突出した一対の突出片36,36と、一対の突出片36,36の先端から互いに近づく方向に延びる一対の係止片37,37と、が形成されている。一対の突出片36,36と、一対の係止片37,37と、で囲まれた空間内に、連結部材26の第2嵌合片29が嵌め合わされている。連結部材26の第2嵌合片29に対して押え材23を水平方向にスライド移動させることで、連結部材26に押え材23が嵌め合わされる。押え材23と連結部材26とは、ネジ34を用いて固定される。
【0022】
押え材23の裏面23bの上端近傍には、裏面23bから室内側へ水平方向に延びる一対の保持片38,38が形成されている。一対の保持片38,38の間には、第2押えゴム25が取り付けられている。押え材23の裏面23bの下端近傍には、裏面23bから室内側へ水平方向に延びる一対の保持片39,39が形成されている。一対の保持片39,39の間には、第2押えゴム25が取り付けられている。押え材23には、上下に2つの第2押えゴム25が取り付けられている。上側の第2押えゴム25は、無目22の上側に配されるタイル11と接触している。下側の第2押えゴム25は、無目22の下側に配されるタイル11と接触している。第2押えゴム25は、押え材23の幅方向の長さと略同一の長さで形成されている。
【0023】
図2、
図4を用いて、上下方向に配置されたタイルユニット10A,10A同士の連結構造について説明する。
【0024】
下側のタイルユニット10Aの上端には、構造物1に連結する上枠15が設けられている。上枠15は中空部が形成された上枠本体部41と、上枠本体部41の裏面41b側から室内側に水平方向に延びる上枠連結片42と、上枠本体部41の上面41cから上方に延びるユニット連結片43と、を有している。
【0025】
構造物1に取り付けられたアルミファスナー45と、上枠本体部41とは、ボルト46、ナット47を用いて接合されている。上枠本体部41の中空部の内部には、上枠本体部41の裏板48から室外側へ水平方向に延びる突出片49と、突出片49の室外側先端から鉛直下方に延びる係止片50と、上枠本体部41の底板51から係止片50と向い合う位置で鉛直上方に延びる係止片52と、が形成されている。上枠本体部41の突出片49、係止片50,52に囲まれた空間内にナット47が設けられている。ボルト46はアルミファスナー45の室内側からナット47にねじ込むことで、アルミファスナー45と上枠15とを固定している。アルミファスナー45に形成されたボルト46を挿通するボルト孔44は、上下方向に延びる長孔で形成されている。
【0026】
アルミファスナー45の上方には高さ位置調整機構55が設けられている。高さ位置調整機構55は、ボルト56と、ナット57とを備えている。上枠15には、上枠連結片42の室内側先端から下方に延びる延設片58と、延設片58の下端から室外側へ水平方向に延びる係止片59と、上枠本体部41の裏板48から係止片59と向い合う位置で室内側の水平方向に延びる係止片60と、が形成されている。上枠連結片42、延設片58、係止片59,60に囲まれた空間内にナット57が配されている。ボルト56は上枠連結片42の上方から取り付けられている。ボルト56をねじ込むことにより、ナット57からボルト56先端の突出する長さを調整することができる。ボルト56の下端56aはアルミファスナー45の上端45aに接触している。ボルト56をねじ込むことにより、アルミファスナー45に対する第1タイルユニット10Aの高さを調整することができる。
【0027】
上枠本体部41の表面41aの上端近傍に、室外側の水平方向に延びる突起62が形成されている。突起62にはタイル押えゴム63が取り付けられている。タイル押えゴム63は硬質ゴムである。タイル押えゴム63は、タイル11の裏面11bに接触している。タイル押えゴム63は、第1押えゴム24と略同一のものである。タイル押えゴム63の幅方向の長さは、上枠15と略同じ長さであってもよいし、上枠15の部分的な位置に取り付けてもよい。
【0028】
上枠本体部41の室外側上端には鉛直上方に延びる突出片65が形成されている。突出片65にはタイル上端押え部材66が連結されている。タイル上端押え部材66は、突出片65と向い合う接続片67と、接続片67から室外側の水平方向に延びる押え片68と、押え片68の室外側端部から下方に延びる係止片69と、を備えている。突出片65と接続片67とはネジ70で連結されている。押え片68とタイル11との間、および、係止片69とタイル11との間には、それぞれ緩衝材71が設けられている。
【0029】
ユニット連結片43は、上枠本体部41から鉛直上方に延びる延設片73と、延設片73の上端から水平方向に延びる係合片74と、を備えている。係合片74を覆うように緩衝材75が設けられている。係合片74は、上側のタイルユニット10Aの下枠16に連結されている。
【0030】
上側の第1タイルユニット10Aの下端には、下側の第1タイルユニット10Aに連結する下枠16が設けられている。下枠16は中空部が形成されたホロー材である。下枠16は中空部が形成された下枠本体部77と、下枠本体部77の室内側下端に形成された嵌合凹部78と、を有している。
【0031】
嵌合凹部78は、鉛直下方に開口した凹部である。下枠本体部77の裏板79の下端から鉛直下方に延びる突出片80が形成されている。裏板79と突出片80との境界から室外側の水平方向に延びる延設片81が形成されている。延設片81の室外側端部から鉛直下方に延びる側板82が形成されている。嵌合凹部78は、突出片80と、延設片81と、側板82と、に囲まれて形成されている。嵌合凹部78に、ユニット連結片43の係合片74が挿入されて、嵌め合わされている。
【0032】
下枠本体部77におけるタイル11側を向く表面77aに、室外側の水平方向に延びる突起83が形成されている。突起83にはタイル押えゴム63が取り付けられている。タイル押えゴム63は硬質ゴムである。タイル押えゴム63は、タイル11の裏面11bに接触している。タイル押えゴム63は、第1押えゴム24と略同一のものである。タイル押えゴム63の幅方向の長さは、下枠16と略同じ長さであってもよいし、下枠16の部分的な位置に取り付けてもよい。
【0033】
下枠本体部77の表面77aに、連結部材85が嵌め合わされる嵌合凹部86が形成されている。下枠本体部77の表板87から室内側へ水平方向に延びる突出片88が形成されている。突出片88の室内側先端から鉛直下方に延びる延設片89が形成されている。延設片89の下端近傍から室内側へ水平方向に延びる突出片90が形成されている。突出片90の室内側先端から鉛直下方に延びる延設片91が形成されている。嵌合凹部86は、突出片88と、延設片89と、突出片90と、延設片91と、下枠本体部77の底板92と、に囲まれて形成されている。嵌合凹部86に、連結部材85の第1嵌合部93が挿入されて、嵌め合わされている。
【0034】
連結部材85は、下枠本体部77に嵌め合わされる第1嵌合部93と、第1嵌合部93の下端から室外側へ水平方向に延びる連結片94と、連結片94の室外側先端から鉛直下方に延びる延設片95と、延設片95の下端から室外側へ水平方向に延びる突出片96と、突出片96の室外側先端から上下方向に突出した係止片97と、を備えている。第1嵌合部93は、連結片94の室内側端部から鉛直上方に延びる突出片98と、連結片94の室内側端部から室内側へ水平方向に延びる延設片99と、延設片99の室内側端部から鉛直上方に延びる係止片100と、を備えている。
【0035】
嵌合凹部86には連結部材85の第1嵌合部93が嵌め合わされる。下枠16の嵌合凹部86に対して連結部材85を水平方向にスライド移動させることで、下枠16に連結部材85が嵌め合わされる。連結部材85の突出片98と、下枠本体部77の延設片89と、はネジ101を用いて連結されている。
【0036】
連結部材85の連結片94は水平方向に延びる板状に形成されている。連結片94の板面は鉛直上下方向を向いている。タイル11は、連結片94の上面94aに載置されている。連結片94の幅方向の長さは、押え材103の幅方向の長さと略同一である。タイル11と連結片94の上面94aとの間には緩衝材71が配置されている。緩衝材71は設けなくてもよい。連結片94は、タイル11の自重を受ける形材として機能している。連結片94の裏面94bの室内側端部は、下枠本体部77の底板92と接触している。タイル11が連結片94に載置されると、タイル11の自重は連結片94から下枠本体部77にかかる。タイル11の自重は、フレーム12で受けている。
【0037】
連結片94の室外側の先端には、上下方向に突出した係止片97が形成されている。係止片97には、押え材103が嵌め合わされる。
【0038】
押え材103は、連結部材85の係止片97に嵌め合わされるピース材である。押え材103は、アルミダイカスト製である。押え材103の表面103aには連結部材85と連結するためのネジ104を取り付ける凹部105が形成されている。凹部105はネジ104の頭部が収まる大きさで形成されている。凹部105は、正面視で押え材103の中央に形成されている。押え材103は、押え材23と略同一のものである。
【0039】
押え材103の裏面103bには、室内方向に水平方向に突出した一対の突出片106,106と、一対の突出片106,106の先端から互いに近づく方向に延びる一対の係止片107,107と、が形成されている。一対の突出片106,106と、一対の係止片107,107と、で囲まれた空間内に、連結部材85の係止片97が嵌め合わされている。連結部材85の係止片97に対して押え材103を水平方向にスライド移動させることで、連結部材85の係止片97と、押え材103の一対の係止片107,107とが嵌め合わされる。押え材103と連結部材85とは、ネジ104を用いて固定される。
【0040】
押え材103の裏面103bの上端近傍には、裏面103bから室内側へ水平方向に延びる一対の保持片108,108が形成されている。一対の保持片108,108の間には、押えゴム109が取り付けられている。押えゴム109は、上側のタイルユニット10Aのタイル11と接触している。押えゴム109は、スポンジゴムである。押えゴム109は、第2押えゴム25と略同一のものである。押え材103の裏面103bの下端近傍には、裏面103bから室内側へ水平方向に延びる一対の保持片102,102が形成されている。保持片102の室内側には、タイル上端押え部材66の係止片69が向い合って配置されている。配置の関係上、一対の保持片102,102の間には、押えゴム109が取り付けられていない。
【0041】
図2、
図5、
図6を用いて、第1タイルユニット10Aの水平断面について説明する。
【0042】
タイル11は、フレーム12に対して、上枠15、下枠16、および無目材21のいずれかの部材に対して上下2箇所ずつ、合計4箇所で支持されている。タイル11は、縦枠17には直接支持されていない。
【0043】
縦枠17は、中空部が形成されたホロー材である。縦枠17の室外側に位置する表板110にはタイル11の横ずれを防止する横ずれ防止材111が取り付けられている。横ずれ防止材111は、縦枠17の表板110に接触する連結片112と、連結片112の幅方向外側端部から室外方向に突出する突出片113と、突出片113の室外側端部から幅方向外側に延びる延設片114と、延設片114の幅方向外側端部から室外方向に延びる押え片115と、を備えている。横ずれ防止材111は、ナイロン製である。縦枠17の表板110と、横ずれ防止材111の連結片112と、はネジ116を用いて固定されている。横ずれ防止材111は、タイル11の鉛直方向の中間位置に設けられている。横ずれ防止材111は、一対の縦枠17,17のそれぞれに取り付けられている。延設片114とタイル11の裏面11bとが近接して向い合っている。押え片115とタイル11の側面11cとが近接して向かい合っている。
【0044】
縦枠17の幅方向外側にはフレームカバー118が連結されている。フレームカバー118は縦枠17に嵌め合わされている。縦枠17の幅方向外側の側板119に、室内外方向に間隔をあけて係止突起120が形成されている。係止突起120は、3箇所形成されている。係止突起120は、縦枠17の側板119から幅方向外側に突出した突出片122と、突出片122の幅方向外側端部から室外方向に延びる係止片123と、を備えている。フレームカバー118は、板状に形成されており、第1タイルユニット10Aの側面を構成している。フレームカバー118の縦枠17と向い合う面118aには係止突起125が形成されている。係止突起125は、縦枠17の係止突起120と係止している。係止突起125は、フレームカバー118の面118aから幅方向内側に延びる突出片126と、突出片126の幅方向内側端部から室内方向に延びる係止片127と、を備えている。フレームカバー118は、縦枠17にネジ(不図示)でも固定されている。
【0045】
第1タイルユニット10Aと構造物1である柱2との接合構造について説明する。
【0046】
柱2にはアルミファスナー45を取り付けるための取付金具130が取り付けられている。取付金具130は、側面視でL字状に形成されており、柱2に接触する接合片131と、接合片131の上端から室外側の水平方向に延びる連結片132と、を備えている。連結片132は、板状に形成されており、板面が鉛直上下方向を向いている。連結片132の上面にアルミファスナー45が載置されている。アルミファスナー45は、側面視で略L字状に形成されている。アルミファスナー45は、連結片132に載置される連結板133と、連結板133の室外側端部から鉛直上方に延びる接合板134と、を備えている。
【0047】
連結板133には、鉛直方向に貫通する長孔136が形成されている。長孔136は、室内外方向に延びる第1長孔136aと、幅方向に延びる第2長孔136bと、を有している。第1長孔136aは、平面視で幅方向に離間して2箇所形成されている。第2長孔136bは、左右の第1長孔136aを連結するとともに、さらに幅方向外側に延びて形成されている。2つの第1長孔136aの室内外方向の長さは略同一の長さで形成されている。取付金具130に対するアルミファスナー45の水平位置を調整してボルト137を締め付けることで、柱2に対する第1タイルユニット10Aの水平方向の位置を調整することができる。アルミファスナー45が水平位置調整機構140の機能を有している。
【0048】
第1タイルユニット10Aの製作方法および施工方法について説明する。
【0049】
第1タイルユニット10Aは、製作工場において製造される。アルミフレーム材を枠組みして、フレーム12を製造する。フレーム12は、外枠20と、無目材21とで構成されている。フレーム12が組み上がった後、無目材21に第1押えゴム24および連結部材26を取り付ける。第1押えゴム24は、幅方向に間隔をあけて2箇所に取り付けてもよいし、無目材21と略同一の幅方向の長さのものを取り付けてもよい。連結部材26は、幅方向に間隔をあけて2箇所に取り付ける。上枠15にタイル押えゴム63を取り付ける。下枠16にタイル押えゴム63および連結部材85を取り付ける。タイル押えゴム63は、幅方向に間隔をあけて2箇所に取り付けてもよいし、上枠15および下枠16と略同一の幅方向の長さのものを取り付けてもよい。連結部材85は、幅方向に間隔をあけて2箇所に取り付ける。
【0050】
フレーム12にタイル11を取り付ける。1つのタイルユニット10には、4枚のタイル11が取り付けられている。タイル11は下側から取り付ける。一番下のタイル11の取付方法は、タイル11を下枠16の連結部材85上に載せる。タイル11の裏面11bをタイル押えゴム63に押し付けた状態で、当該タイル11が載っている連結部材85に押え材103を取り付ける。押え材103の裏面103bには押えゴム109が既に取り付けられている。押え材103にネジ104を取り付けることで一番下のタイル11の下端が固定される。一番下のタイル11の上端に対応した押え材23を連結部材26に取り付ける。押え材23は幅方向に間隔をあけて2箇所取り付ける。この段階で、一番下のタイル11の上端は仮固定の状態である。
【0051】
次に、下から2番目のタイル11をフレーム12に取り付ける。タイル11の下端側に配置された連結部材26上にタイル11を乗せる。このとき、第1押えゴム24と第2押えゴム25との間にタイル11の下端部を挿入するようにしてタイル11を設置する。一番下のタイル11と下から2番目のタイル11がフレーム12に取り付けられた状態で、タイルの境界に配置されている押え材23を本固定する。押え材23の表面23aにネジ34を取り付けて、押え材23と連結部材26とを固定する。一番下のタイル11は本固定される。下から2番目のタイル11の直上に配置されている連結部材26に押え材23を取り付ける。押え材23の裏面23bには第2押えゴム25が既に取り付けられている。この段階で、下から2番目のタイル11の上端は仮固定の状態である。
【0052】
次に、下から3番目のタイル11をフレーム12に取り付ける。タイル11の下端側に配置された連結部材26上にタイル11を乗せる。このとき、第1押えゴム24と第2押えゴム25との間にタイル11の下端部を挿入するようにしてタイル11を設置する。下から2番目のタイル11と下から3番目のタイル11がフレーム12に取り付けられた状態で、タイルの境界に配置されている押え材23を本固定する。押え材23の表面23aにネジ34を取り付けて、押え材23と連結部材26とを固定する。下から2番目のタイル11は本固定される。下から3番目のタイル11の直上に配置されている連結部材26に押え材23を取り付ける。押え材23の裏面23bには第2押えゴム25が既に取り付けられている。この段階で、下から3番目のタイル11の上端は仮固定の状態である。
【0053】
最後に、一番上のタイル11をフレーム12に取り付ける。タイル11の下端側に配置された連結部材26上にタイル11を乗せる。このとき、第1押えゴム24と第2押えゴム25との間にタイル11の下端部を挿入するようにしてタイル11を設置する。下から3番目のタイル11と一番上のタイル11がフレーム12に取り付けられた状態で、タイルの境界に配置されている押え材23を本固定する。押え材23の表面23aにネジ34を取り付けて、押え材23と連結部材26とを固定する。下から3番目のタイル11は本固定される。一番上のタイル11の上端にタイル上端押え部材66を取り付ける。タイル上端押え部材66は、上枠15の突出片65にネジ70を用いて連結する。一番上のタイル11は本固定される。
【0054】
タイル11は、フレーム12に対して上下2箇所ずつ、合計4箇所で支持固定する。フレーム12にタイル11を支持する際は、押え材23を連結部材26に対して水平方向にスライドして、押え材23を連結部材26に嵌め合わせる。第1タイルユニット10Aの製作工場での作業は完了となる。
【0055】
第1タイルユニット10Aの製作が完了した後、第1タイルユニット10Aを施工現場まで搬送する。施工現場において、構造物1に第1タイルユニット10Aを取り付ける。第1タイルユニット10Aは、構造物1の柱2の下方から上方に向かって順次取り付けていく。
【0056】
最下端の第1タイルユニット10Aは、構造物1に取り付けられた支持部材(不図示)にタイルユニット10の下枠16を支持する。例えば、下枠16の嵌合凹部78に構造物1側の連結部(不図示)を嵌め合わせることで、第1タイルユニット10Aの下端を支持する。
【0057】
最下端の第1タイルユニット10Aの上枠15に取り付けられた高さ位置調整機構55のボルト56を構造物1に取り付けられたアルミファスナー45上に載せる。この状態でボルト56をねじ込むことにより構造物1に対する第1タイルユニット10Aの高さ位置を調整する。同時に、第1タイルユニット10Aの水平位置調整機構140を用いて、構造物1に対する第1タイルユニット10Aの幅方向の位置および奥行方向の位置を調整する。
【0058】
第1タイルユニット10Aの位置が決定したらアルミファスナー45のボルト46を締め付け固定する。アルミファスナー45と取付金具130との間を連結するボルト137を締め付けることで、第1タイルユニット10Aが構造物1に固定される。
【0059】
次に、最下端の第1タイルユニット10Aの直上に下から2番目の第1タイルユニット10Aを取り付ける。最下端の第1タイルユニット10Aの係合片74に、下から2番目の第1タイルユニット10Aの嵌合凹部78を嵌め込んで、上下の第1タイルユニット10A同士を連結する。この状態で、最下端の第1タイルユニット10Aと同じ方法で高さ、幅、奥行の位置を調整し、下から2番目の第1タイルユニット10Aが構造物1に固定される。上下に隣り合う第1タイルユニット10A,10Aの間は特にシールなどは施さない。隣り合う第1タイルユニット10A,10A同士の隙間には、例えば一方の第1タイルユニット10Aに樹脂製やゴム製のパッキン材を取り付けてもよい。この作業を繰り返すことで、上下方向に複数の第1タイルユニット10Aを構造物1に取り付けることができる。
【0060】
ここまで、縦長の第1タイルユニット10Aの構造について説明をしてきた。梁3の位置に対応した横長の第2タイルユニット10Bの構造について簡単に説明する。
【0061】
第2タイルユニット10Bは、枠状のフレーム12と、複数のタイル11と、を備えている。タイル11は、フレーム12の上枠15および下枠16に支持固定されている。フレーム12には無目材21に代わり、方立材(不図示)を設けてもよい。方立材は、上枠15と下枠16との間を鉛直方向につなぐ部材であり、幅方向に間隔をあけて複数配置してもよい。フレーム12にタイル11を支持固定する構造は、第1タイルユニット10Aと略同じ構造である。タイル11の下端は、押え材103を用いて支持固定している。タイル11の上端は、タイル上端押え部材66を用いて支持固定している。第2タイルユニット10Bが上下に連結される場合は、上枠15および下枠16の形状は
図4の形状と同一である。第2タイルユニット10Bが上下に連結されない場合は、上枠15のユニット連結片43および下枠16の嵌合凹部78が形成されていなくてもよい。
【0062】
タイルユニット10は、枠状のフレーム12と、フレーム12に取り付けられた複数のタイル11と、を備え、構造物1に取り付けられるため、施工効率を向上することができる。
【0063】
タイルユニット10のフレーム12は、矩形状の外枠20と、外枠20の向かい合う枠材の間を架け渡す無目材21と、を備え、一枚のタイル11はフレーム12に対して少なくとも4点で支持されているため、タイル11をフレーム12に確実に固定することができる。
【0064】
タイルユニット10のフレーム12はアルミニウム製であるため、軽量化を図ることができる。
【0065】
タイルユニット10は、フレーム12の上下に、構造物1に対する支持構造を備え、上部支持構造には、構造物1に対して鉛直方向の位置を調整する高さ位置調整機構55、および構造物1に対して水平方向の位置を調整する水平位置調整機構140が設けられ、下部支持構造には、構造物1に対して嵌め合わせる嵌合凹部78が備えられているため、タイルユニット10を構造物1に対して保持した状態で、容易に正確な位置に取り付けることができる。
【0066】
タイルユニット10は、タイル11の裏面側にフレーム12が配され、タイル11の表面側に押え材23が配され、フレーム12と押え材23とが連結されているため、フレーム12に対してタイル11を安定して保持することができる。
【0067】
タイルユニット10は、押え材23とタイル11との間には第2押えゴム25が配され、タイル11とフレーム12との間には第1押えゴム24が配されているため、タイル11を傷つけることなくフレーム12に保持することができる。
【0068】
タイルユニット10の第2押えゴム25および第1押えゴム24はゴム製であるため、タイル11を傷つけることなく、タイル11を所望の位置でフレーム12に保持することができる。
【0069】
タイルユニット10の押え材23とフレーム12との間に連結部材26が設けられ、連結部材26の上方に位置するタイル11は、連結部材26に支持されているため、簡易な構造でタイル11を確実に保持することができる。
【0070】
タイルユニット10のタイル11は大判タイルであるため、外壁に大判タイルを用いて施工する際に、ユニット化して施工効率を向上することができる。
【0071】
タイルユニット10の施工方法は、製造工場において、枠状のフレーム12を製造し、フレーム12に複数のタイル11を取り付けてタイルユニット10を製造し、構造物1の施工現場にて、タイルユニット10を構造物1の所定位置に取り付けるため、施工現場での施工を格段に向上することができる。
【0072】
タイルユニット10の上端に位置するタイル11の上端には、タイル上端押え部材66を取り付けてフレーム12に支持固定したため、タイル11を確実にフレーム12に保持することができる。
【0073】
タイルユニット10の側方には、タイル11の横ずれを防止する横ずれ防止材111を取り付けたため、タイル11の水平方向への横ずれを確実に防止することができる。
【0074】
なお、本開示によるタイルユニットおよびタイルユニットの施工方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。
【0075】
タイルユニット10のタイル11は、フレーム12に対して4点支持の構成で説明したが、タイル11が確実に支持固定される構造であれば4点支持でなくてもよい。
【0076】
タイルユニット10のフレーム12はアルミニウム製としたが、他の材質のものであってもよい。
【0077】
タイルユニット10は、上枠15の上部支持構造に高さ位置調整機構55および水平位置調整機構140を設けたが、下枠16の下部支持構造に同様の機構を設けてもよい。下部支持構造に嵌合凹部78を設けたが、タイルユニット10を構造物1に対して仮支持できるのであれば嵌合凹部78以外の構造であってもよい。
【0078】
タイル11の表面に押え材23を取り付けて、フレーム12にタイル11を支持固定する構造を採用したが、タイル11をフレーム12に支持固定できる構造であれば他の構造にしてもよい。
【0079】
押え材23とタイル11との間には第2押えゴム25を設け、タイル11とフレーム12との間には第1押えゴム24を設けたが、タイル11の位置を保持できる構造を採用すれば押えゴムは無くてもよい。
【0080】
第1押えゴム24および第2押えゴム25は共にゴム製としたが、タイル11の位置を保持できるものであれば別の材料であってもよい。
【0081】
押え材23とフレーム12との間に連結部材26を設けて、タイル11の自重を連結部材26で支持する構成を採用したが、タイル11の自重は他の部位で支持するようにしてもよい。
【0082】
タイル11は大判タイルの場合で説明したが、タイルの形状や大きさは問わない。
【0083】
タイルユニット10を直接構造物1に取り付ける説明をしたが、例えば、タイルユニット10を一または複数取り付けてカーテンウォール(構造体)として組み上げたものを構造物に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…構造物、10…タイルユニット、10A…第1タイルユニット(タイルユニット)、10B…第2タイルユニット(タイルユニット)、11…タイル、11a…(タイルの)表面、11b…(タイルの)裏面、12…フレーム、20…外枠(外枠材)、21…無目材(補助枠材)、23…押え材(タイル押え材)、24…第1押えゴム(裏側スペーサ)、25…第2押えゴム(表側スペーサ)、26…連結部材、55…高さ位置調整機構、66…タイル上端押え部材、78…嵌合凹部(嵌合構造)、85…連結部材、103…押え材(タイル押え材)、111…横ずれ防止材、140…水平位置調整機構