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  • 特開-測定装置 図1
  • 特開-測定装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134287
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240926BHJP
   G01S 17/95 20060101ALN20240926BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01S17/95
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044511
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】390030395
【氏名又は名称】英弘精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】内保 裕一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 聖明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 栄治
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 壽一
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AB08
5J084BA03
5J084BA05
5J084BB02
5J084BB07
5J084BB16
5J084DA04
5J084EA32
5J084EA33
(57)【要約】
【課題】周囲の温度変化があっても光軸ずれが起こりにくく、安定した送信光量を維持できる光学系を提供すること。
【解決手段】
第1の波長を有する第1のレーザ光と第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2のレーザ光とを選択的に大気中に射出する送信系であって、送信系は、送信系に入射する光が通過する第1光学系と、第1光学系からの光を増幅して出力する光アンプと、光アンプからの光が通過する第2光学系と、を有し、第1光学系は、第1ベース板に設けられ、第2光学系は第2ベース板に設けられ、第1ベース板の線膨張係数と、第2ベース板の線膨張係数とは異なる、測定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長を有する第1のレーザ光と前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2のレーザ光とを選択的に大気中に射出する送信系であって、
送信系は、
送信系に入射する光が通過する第1光学系と、第1光学系からの光を増幅して出力する光アンプと、光アンプからの光が通過する第2光学系と、を有し、
前記第1光学系は、第1ベース板に設けられ、前記第2光学系は第2ベース板に設けられ、
前記第1ベース板の線膨張係数と、前記第2ベース板の線膨張係数とは異なる、測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記第2ベース板は、前記第1ベース板の中央部分と接続する接続部を有し、
前記接続部は、前記第1ベース板と前記第2ベース板との間に部分的に隙間を形成するように、前記第1ベース板と前記第2ベース板とを接続する、測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気象状態を測定するために用いられる測定装置の1つにライダー装置がある。ライダー装置では、光アンプにシード光を入射し、送信光量が増幅されたレーザが観測に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
送信光量を一定以上として安定的に保つには、シード光が効率よく光アンプに入射される必要がある。ここで、光アンプの受光面は数μm角程度の大きさであり、わずかなシード光の光軸のずれが、送信光量の減少をもたらし得る。ライダー装置の送信系は、装置の振動による影響を防止する観点から、ライダー装置の望遠鏡側面に取り付けることが一般的である。この際、光軸ずれの防止、剛性の確保、軽量化、及び部材コスト等のバランスをとりつつ装置の設計を行う必要がある。
【0004】
従来の送信系では、光学機器が設けられるベース板にはアルミ等の軽量な金属材料を使用し、シード光の経路となるファイバから光アンプまでの光学機器が設けられ、シード光の光軸維持が重要となるベース板には、アルミ等より剛性が高く、かつ重量がある金属材料を使用し、光軸の維持及び光量の安定性の確保が行われていた。
【0005】
異なる金属材料をベース板として用いる場合は、線膨張係数の異なる金属を貼り合わせた状態となる。このとき、周囲の温度が変化すると、ベース板に歪みが生じ、光軸のずれを引き起こすという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、周囲の温度変化があっても光軸ずれが起こりにくく、安定した送信光量を維持できる光学系を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、周囲の温度変化があっても光軸ずれが起こりにくく、安定した送信光量を維持できる光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ライダー装置の構成の一例を示す図である。
図2】ライダー装置の送信系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1には、ライダー装置の構成の一例が示される。図1に記載のライダー装置では、レーザA及びレーザBをそれぞれ発生するレーザ装置からの光が、スイッチによって切り替えられつつ送信系に入力される。送信系からの光はミラーを通じて、ライダー装置から空間中に送信される。図1に示されるように、送信系は望遠鏡の側面に、望遠鏡取付板を介して接続されている。
【0010】
図2には送信系の詳細な構成が示される。送信系では、光ファイバを通じて入射する光は、レンズ、アイソレータ、λ/2波長板、及びレンズを通じて、光アンプへと入力される。光アンプで増幅された光は、レンズ、シリンドリカルレンズ、及びビームエキスパンダを通じて、送信系から出力される。
【0011】
ライダー装置では、光アンプに入力される光が通過する、レンズ、アイソレータ、λ/2波長板、及びレンズが、セラミックであるベース板Bに設けられる。セラミックは金属より線膨張係数が小さい。また、光アンプから出力される光が通過する、レンズ、シリンドリカルレンズ、及びビームエキスパンダが、金属材料(例えばアルミニウム)であるベース板Aに設けられる。また、光アンプは、図2において拡大されて示されるように、λ/2波長板の次に設けられるレンズが配置されるレンズホルダに取り付けられている。光アンプは、放熱板(例えば銅製)を通じて、ベース板A及びベース板Bに接続される。
【0012】
ベース板Aは、ベース板Bの中央部分に接続する接続部を有しており、接続部によってベース板Aとベース板Bとが接続される。接続部以外の部分では、ベース板Aとベース板Bとの間には隙間が形成される。隙間を形成することで、ベース板Aのゆがみがベース板Bに伝わらないようにできる。
【0013】
図1,2に示したライダー装置によって、周囲の温度変化があっても光軸ずれを起こしにくく、安定な送信光量を維持できる光学系を提供することができる。シード光の経路を形成する光学機器が設けられるベース板はセラミック材料であることから、送信系を軽量化することができる。これにより、送信系を望遠鏡側面へ取り付けた場合にも、振動等の外乱に強い光学系を実現することができる。さらに、ベース板Bは線膨張係数が小さく、周囲の温度変化に鈍感となるつまり温度変化によってベース板Bのゆがみが生じにくくなるので、ライダー装置の空調に要求される精度を抑えることができる。これにより、高価な精密空調機が不要となる。また、ライダー装置では、消耗品である光アンプを交換する際に送信系が一体化されているため、送信系ごと交換することができ、光軸調整が不要となる。
図1
図2