(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134289
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240926BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
H01L23/48 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044514
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】小野 昇太郎
(72)【発明者】
【氏名】一條 尚生
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩明
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】上面を有するダイパッドと、上面の上に設けられ、素子領域と、素子領域を取り囲む終端領域と、を有し、矩形形状を有する半導体チップと、半導体チップの上に設けられた第1電極と、半導体チップの上に設けられた第2電極と、終端領域の上に設けられ、上から見たときに矩形形状の4辺のそれぞれを覆う部分を有し、第1電極と電気的に接続された 第1コネクタと、半導体チップ及び第1コネクタの周囲を封止する封止樹脂と、を備える半導体装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有するダイパッドと、
前記上面の上に設けられ、
素子領域と、
前記素子領域を取り囲む終端領域と、
を有し、矩形形状を有する半導体チップと、
前記半導体チップの上に設けられた第1電極と、
前記半導体チップの上に設けられた第2電極と、
前記終端領域の上に設けられ、上から見たときに前記矩形形状の4辺のそれぞれを覆う部分を有し、前記第1電極と電気的に接続された第1コネクタと、
前記半導体チップ及び前記第1コネクタの周囲を封止する封止樹脂と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1コネクタは、上から見たときに前記矩形形状の少なくとも3辺を完全に覆う、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1コネクタは、前記半導体チップから外側にはみ出た庇部分を有し、
前記庇部分と前記上面の距離は、
前記半導体チップの上の前記第1コネクタと前記上面の距離より短い、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1コネクタは、前記半導体チップから外側にはみ出た庇部分を有し、
前記庇部分と前記上面の距離は、
前記半導体チップの上の前記第1コネクタと前記上面の距離より長い、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ダイパッドと離間して設けられた第1ポストと、
前記ダイパッド及び前記第1ポストと離間して設けられた第2ポストと、
を備え、
前記第1コネクタは、前記第1ポストに電気的に接続され、
前記第1コネクタは、前記第2電極の上に設けられた第1貫通孔を有し、
前記第2ポストは前記第1貫通孔を通る導電体を用いて前記第2電極と電気的に接続されている、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ダイパッドと離間して設けられた第2ポストと、
前記第2電極に接続された第1部分と、
前記第1部分に接続された第2部分であって、前記第1部分と前記上面の距離よりも前記第2部分と前記上面の距離の方が長い前記第2部分と、
を有し、前記第2ポストに電気的に接続された第2コネクタと、
をさらに備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ダイパッドと離間して設けられた第1ポストと、
前記ダイパッド及び前記第1ポストと離間して設けられた第2ポストと、
を備え、
前記第1コネクタは、上から見たときに前記矩形形状の4辺を完全に覆い、
前記第1コネクタは、前記素子領域の上に設けられた第2貫通孔を有し、
前記第1コネクタは、前記第1ポストに電気的に接続され、
前記第1電極は、前記第1ポストと、前記第2貫通孔を通る第2ワイヤを用いて電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2貫通孔を介して、前記第2ポストと、前記第2貫通孔を通る第3ワイヤを用いて電気的に接続された、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ダイパッドと離間して設けられた第1ポストと、
前記ダイパッド及び前記第1ポストと離間して設けられた第2ポストと、
を備え、
前記第1コネクタは、上から見たときに前記矩形形状の4辺を完全に覆い、
前記第1コネクタは、前記素子領域の上に設けられた第2貫通孔を有し、
前記第1コネクタは、前記素子領域の上で接合材を介して前記第1電極と電気的に接続され、
前記第1電極は、前記第1ポストと、前記第2貫通孔を通る第2ワイヤを用いて電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2ポストと、前記第2貫通孔を通る第3ワイヤを用いて電気的に接続された、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ダイパッドと離間して設けられた第2ポストと、
前記第1コネクタが有するスリット内に設けられ、前記第2電極と前記第2ポストを電気的に接続する第2コネクタと、
をさらに備える請求項1記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体チップを有する半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。例えば、上述の半導体装置が縦型のMOSFETである場合、半導体チップの上面に設けられたソース電極は、例えばMOSFETの上に設けられたコネクタと接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-040055号公報
【特許文献2】特許第6945037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、上面を有するダイパッドと、上面の上に設けられ、素子領域と、素子領域を取り囲む終端領域と、を有し、矩形形状を有する半導体チップと、半導体チップの上に設けられた第1電極と、半導体チップの上に設けられた第2電極と、終端領域の上に設けられ、上から見たときに矩形形状の4辺のそれぞれを覆う部分を有し、第1電極と電気的に接続された 第1コネクタと、半導体チップ及び第1コネクタの周囲を封止する封止樹脂と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図2】第1実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図4】第1実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図5】第1実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図6】第1実施形態の比較形態となる半導体装置の模式上面図である。
【
図7】第1実施形態の比較形態となる半導体装置の模式断面図である。
【
図8】第2実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図9】第3実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図10】第4実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図11】第5実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図12】第6実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図13】第7実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図14】第8実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
(第1実施形態)
本実施形態の半導体装置は、上面を有するダイパッドと、上面の上に設けられ、素子領域と、素子領域を取り囲む終端領域と、を有し、矩形形状を有する半導体チップと、半導体チップの上に設けられた第1電極と、半導体チップの上に設けられた第2電極と、終端領域の上に設けられ、上から見たときに矩形形状の4辺のそれぞれを覆う部分を有し、第1電極と電気的に接続された 第1コネクタと、半導体チップ及び第1コネクタの周囲を封止する封止樹脂と、を備える。
【0010】
図1は、本実施形態の半導体装置100の模式上面図である。
図2は、
図1におけるA-A’断面の模式図である。
図3は、
図1におけるB-B’断面の模式図である。
図4は、
図1におけるC-C’断面の模式図である。
図5は、本実施形態の半導体装置100の模式断面図である。
図5においては、封止樹脂98があわせて図示されている。なお、以下の図面においては、封止樹脂98の図示が省略されることがある。
【0011】
【0012】
ダイパッド2は、半導体チップ10が配置される、Cu(銅)等の導電性材料を含む部材である。ダイパッド2は、第1ベッド部3と、第1アウターリード6と、を有する。第1ベッド部3は、上面4を有する。上面4の上に、半導体チップ10が設けられている。第1アウターリード6は第1ベッド部3に接続されている。第1アウターリード6は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0013】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。上面4は、XY面に平行に配置されている。
【0014】
半導体チップ10は、ダイパッド2の上面4の上に設けられている。半導体チップ10は、例えばSi(シリコン)、SiC(炭化珪素)、GaAs(ヒ化ガリウム)等の半導体基板又はSi基板の上に設けられたGaN(窒化ガリウム)の半導体層等に、縦型のダイオード、MOSFETやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が設けられたものである。
【0015】
半導体チップ10は、上から見たときに矩形形状を有している。半導体チップ10は、第1辺10c、第2辺10d、第3辺10e及び第4辺10fを有している。第1辺10cと第3辺10eは、互いに対向している。第2辺10dと第4辺10fは、互いに対向している。
【0016】
例えば、半導体チップ10が縦型のn型MOSFETを有している場合、半導体チップ10は、n型の半導体基板12と、半導体基板12の上に設けられたn型のドリフト層14と、ドリフト層14の上に選択的に設けられたp型のウェル領域16と、を有している。ここで、ドリフト層14のn型不純物濃度は、半導体基板12n型不純物濃度より高い。
【0017】
上から見たときに、ウェル領域16が設けられている領域は、MOSFETの素子領域10aに対応している。また、上から見たときに、ウェル領域16を取り囲むように設けられているドリフト層14の部分は、MOSFETの終端領域10b(接合終端領域)に対応している。素子領域10aは、半導体チップ10に所定の順方向電圧を印加したときに、電流が流れる領域である。終端領域10bは、印加電圧を保持するために、半導体チップ10の表面外周部に空乏層を広げるための領域である。
【0018】
第1絶縁膜18は、半導体チップ10の上に設けられている。第1絶縁膜18は、例えば、酸化シリコン等の絶縁材料を含む。
【0019】
第1電極24は、半導体チップ10の上に設けられている。第1電極24は、例えば、第1絶縁膜18の開口部内に設けられている。半導体チップ10がMOSFETを有する場合、第1電極24は、例えば、MOSFETのソース電極である。半導体チップ10がIGBTを有する場合、第1電極24は、例えば、IGBTのエミッタ電極である。第1電極24は、例えば、Al(アルミニウム)を含む。
【0020】
第2電極26は、半導体チップ10の上に設けられている。上から見たときに、第2電極26の大きさは、第1電極24の大きさよりも小さい。第2電極26は、例えば、MOSFET又はIGBTのゲート電極である。第2電極26は、例えば、Alを含む。
【0021】
なお、半導体チップ10の下には、図示しない電極が設けられている。半導体チップ10がMOSFETを有する場合、かかる図示しない電極は、例えば、MOSFETのドレイン電極である。半導体チップ10がIGBTを有する場合、かかる図示しない電極は、例えば、IGBTのコレクタ電極である。
【0022】
フィールドプレート電極22は、終端領域10bにおいて、第1絶縁膜18の上に設けられている。フィールドプレート電極22は、例えば、MOSFETのソース電極とドレイン電極の間への逆方向電圧印加時の電界集中を緩和して、耐圧を増加させるために設けられている。フィールドプレート電極22は、例えば、Alを含む。フィールドプレート電極22は、第1電極24と第2電極26のいずれの電極に接続されても、上記の電界集中の緩和効果を有する。そのため、フィールドプレート電極22は、第1電極24又は第2電極26と電気的に接続されている。
【0023】
第2絶縁膜20は、第1絶縁膜18、第1電極24、及びフィールドプレート電極22の上に設けられている。第2絶縁膜20は、例えば、ポリイミド等の絶縁材料を含む。
【0024】
第1接合材32は、第1電極24の上に設けられている。第1接合材32は、例えば、第2絶縁膜20の開口部内に設けられている。第1接合材32は、第1電極24と第1コネクタ50を電気的に接続している。なお、第1電極24と第1接合材32の間の接合強度を増加させるため、第1電極24と第1接合材32の間に、図示しない金属膜が設けられていてもかまわない。ここでかかる金属膜は、例えば、Ni(ニッケル)及びAu(金)を含む。
【0025】
第2接合材80は、第2電極26の上に設けられている。第2接合材80は、例えば、第2絶縁膜20の開口部内に設けられている。第2接合材80は、第2電極26と第2コネクタ60を電気的に接続している。なお、第2電極26と第2接合材80の間の接合強度を増加させるため、第2電極26と第2接合材80の間に、図示しない金属膜が設けられていてもかまわない。ここでかかる金属膜は、例えば、Ni(ニッケル)及びAu(金)を含む。
【0026】
第3接合材70は、半導体チップ10と上面4の間に設けられている。第3接合材70は、半導体チップ10の図示しない電極(例えばドレイン電極)と上面4を電気的に接続している。
【0027】
第1ポスト54は、第2ベッド部58と、第2アウターリード56と、を有する。第1ポスト54は、Cu等の導電性材料を含む。第2アウターリード56は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0028】
第2ポスト64は、第3ベッド部68と、第3アウターリード66と、を有する。第2ポスト64は、Cu等の導電性材料を含む。第3アウターリード66は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0029】
第1コネクタ50は、第1端部51aと、第2端部51bと、を有する。第1コネクタ50は、例えば、Cu等の導電性材料を含む。なお、第1コネクタ50の表面に、例えばSnを含む材料によりめっきが施されていてもかまわない。
【0030】
第1コネクタ50の第1端部51aは、上から見たときに、半導体チップ10の矩形形状の第1辺10c、第2辺10d、第3辺10e及び第4辺10fのそれぞれを覆う部分を有している。
図1に示した第1端部51aの場合、第1端部51aは、上から見たときに、矩形形状の3辺を完全に覆っている。言い換えると、
図1に示した第1端部51aの場合、第1端部51aは、上から見たときに、第2辺10d、第3辺10e及び第4辺10fを完全に覆っている。第1端部51aは、上から見たときに、矩形形状の少なくとも3辺を完全に覆っている。なお、
図1に示した第1端部51aは、第2コネクタ60を設けるためにスリット51sを有しているため、上から見たときに第1辺10cは完全に覆われていない。
【0031】
図1に示した第1コネクタ50は、終端領域10bの上と素子領域10aの上にわたって設けられている。
【0032】
また、XY面(上面4)に平行な面内において、第1コネクタ50の第1端部51aのX方向の外径L2は、半導体チップ10のX方向の長さL1より大きい。XY面に平行な面内において、第1コネクタ50の第1端部51aのY方向の長さL4は、半導体チップ10のY方向の長さL3より長い。このように、XY面(上面4)に平行な面内において、第1コネクタ50は、X方向及びY方向において、半導体チップ10の長さより長い部分を有する。言い換えると、第1コネクタ50は、半導体チップ10の各辺(第1辺10c、第2辺10d、第3辺10e及び第4辺10f)から外側に向かって、庇状に凸部を有する。
【0033】
なお、第1コネクタ50と第2絶縁膜20は、
図2、
図3及び
図4において図示したように、接していてもかまわない。また、第1コネクタ50と第2絶縁膜20は、離間していてもかまわない。ただし、半導体チップ10の放熱性を向上させるという観点からは、第1コネクタ50と第2絶縁膜20は、接していることが好ましい。
【0034】
第2端部51bは、第2ベッド部58の上に設けられている。
【0035】
第4接合材59は、第2ベッド部58と第2端部51bの間に設けられている。第4接合材59は、第2ベッド部58と第2端部51bを接合している。これにより、第1コネクタ50は、第1ポスト54に電気的に接続されている。
【0036】
第2コネクタ60は、第3端部61aと、第4端部61bと、を有する。第2コネクタ60は、例えば、Cu等の導電性材料を含む。なお、第2コネクタ60の表面に、例えばSnを含む材料によりめっきが施されていてもかまわない。第3端部61aは、第1端部51aに設けられたスリット51s内に設けられている。上から見たときに、第2接合材80は、スリット51s内に設けられている。第3端部61aは、第2接合材80を介して、半導体チップ10の第2電極26と電気的に接続されている。
【0037】
第2コネクタ60は、
図4に示したように、半導体チップ10の上においては、出来るだけ半導体チップ10から距離が離れないようにすることが好ましい。第2コネクタ60は、第2接合材80を介して第2電極26に接続された第1部分62aと、第1部分62aに接続された第2部分62bと、を有する。第1部分62aは、第3端部61aを有する。第1部分62aと上面4の距離d1よりも、第2部分62bと上面4の距離d2の方が長いことが好ましい。また、第2部分62bの下には、半導体チップ10の終端領域10bが設けられていないことが好ましい。
【0038】
なお、第1コネクタ50及び第2コネクタ60は、容易に曲げたりすることが出来ない、硬いコネクタであり、ボンディングに用いられるワイヤとは異なるものである。
【0039】
第5接合材69は、第3ベッド部68と第4端部61bの間に設けられている。第5接合材69は、第3ベッド部68と第4端部61bを接合している。これにより、第2コネクタ60は、第2ポスト64に電気的に接続されている。
【0040】
なお、第1コネクタ50と第1ポスト54は、一体形成されていてもかまわない。また、第2コネクタと第2ポスト64は、一体形成されていてもかまわない。
【0041】
第1接合材32、第2接合材80、第3接合材70、第4接合材59及び第5接合材69としては、例えば、Pb(鉛)及びSn(スズ)を含むはんだ、Pb、Ag(銀)及びSn(スズ)を含むはんだ、Sn及びSb(アンチモン)を含むはんだ、Au(金)及びSnを含むはんだ、Au及びSiを含むはんだ、Au及びGe(ゲルマニウム)を含むはんだ、又は銀ペースト等を好ましく用いることができる。
【0042】
図5は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図5に示したように、半導体装置100は、封止樹脂98により封止されて用いられる。例えば、封止樹脂は、半導体チップ10及び第1コネクタ50の周囲に設けられている。ここで封止樹脂98は、例えばエポキシ樹脂である。なお、封止樹脂98は、さらにシリカ等の充填剤を含んでいても良い。
【0043】
次に、本実施形態の半導体装置の作用効果を記載する。
【0044】
図6は、本実施形態の比較形態となる半導体装置1000の模式上面図である。
図7は、本実施形態の比較形態となる半導体装置1000の模式断面図である。上から見たときに、第1コネクタ150は、第2辺10d、第3辺10e及び第4辺10fを覆っていない。
【0045】
本実施形態のような縦型パワー半導体装置は、逆方向阻止電圧を保持するために、電圧に応じて、半導体チップ10の内部において縦方向(Z方向)に空乏層が広がることにより、高い逆方向阻止電圧を保持することができる。このときに、半導体チップ10の表面外周部においては、チップ側面が逆方向阻止電圧と同電位となるように設計されている。ここで、逆方向阻止電圧とは、耐圧のことである。
【0046】
また、半導体チップ10は、横方向(XY面に平行な方向)にも空乏層が広がりつつ半導体チップ10の端部に到達しないように設計された終端領域10bを有する。これにより、高い逆方向阻止電圧が保持されている。
【0047】
終端領域10bは、素子領域10aに対し高い耐圧として設計し、L負荷(誘導負荷)時のアバランシェ耐量を高くするのが一般的である。終端領域10bにおいて、素子領域10aに対して高耐圧を得るためには、終端領域10bに素子領域10aよりも高い電圧が加わり終端領域全域に空乏層が広がり、電界ピークがSi等の半導体材料によって規定される臨界電界を超えて、アバランシェ降伏する状況において、終端領域10bの電圧値が素子領域10aの電圧値以上となるように設計することが重要である。
【0048】
ここで、終端領域10bの電界ピークが局所的に高すぎると、ホットキャリア注入が発生することにより、半導体チップ10内の電界分布が変化し、耐圧が低下してしまうおそれがあった。また、終端領域10bの上に、封止樹脂98や水分等に含まれているナトリウムイオン等の可動イオンが存在していると、かかるイオンの有する電荷のために、終端領域の電界分布が変化し、耐圧が低下してしまうおそれがあった。
【0049】
そこで、本実施形態の半導体装置100は、終端領域10bの上に設けられ、上から見たときに矩形形状の4辺のそれぞれを覆う部分を有し、第1電極24と電気的に接続された第1コネクタ50を備える。
【0050】
上記の可動イオンは、静電引力により、第1コネクタ50に引き寄せられる。例えば半導体チップ10がn型のMOSFETを有する場合、正電荷を有するナトリウムイオン等の可動イオンは、低電位(Lo電位)となっている第1コネクタ50に引き寄せられる。第1コネクタ50が、上から見たときに矩形形状の4辺のそれぞれを覆う部分を有していることにより、可動イオンが半導体チップ10の終端領域10bの上へ侵入しづらくなる。これにより、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。特に、第1コネクタ50が、上から見たときに矩形形状の3辺を完全に覆うことが好ましい。
【0051】
第1部分62aと上面4の距離d1よりも、第2部分62bと上面4の距離d2の方が長いことが好ましい。また、第2部分62bの下には、半導体チップ10の終端領域10bが設けられていないことが好ましい。第2コネクタ60が第2電極26に接続されていることにより、第2コネクタ60の電位は比較的低く保たれる。そのために、可動イオンを第2コネクタ60に引き寄せて、半導体チップ10の上に侵入しづらくすることが可能となるためである。
【0052】
本実施形態の半導体装置によれば、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体装置は、ダイパッドの上面に平行な面内において、第1コネクタは、半導体チップから外側へはみ出た庇部分を有し、第1コネクタの庇部分とダイパッドの上面の距離は、半導体チップの上の第1コネクタとダイパッドの上面の距離より短い点で、第1実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0054】
図8は、本実施形態の半導体装置110の模式断面図である。第1コネクタ250は、半導体チップ10から外側へはみ出た第1庇部分252(庇部分の一例)と、半導体チップ10から外側へはみ出た第2庇部分254と、を有する。X方向における第1コネクタ250の長さL2は、X方向における半導体チップの長さL1より長い。Z方向において、第1庇部分252とダイパッド2の上面4の距離d3は、半導体チップ10の上における第1コネクタ50とダイパッド2の上面4の距離d1より短い。また、Z方向において、第2庇部分254とダイパッド2の上面4の距離d4は、半導体チップ10の上における第1コネクタ50とダイパッド2の上面4の距離d1より短い。
【0055】
本実施形態の半導体装置110によれば、第1庇部分252及び第2庇部分254が上面4に向かって折れ曲がっていることにより、半導体チップ10と第1コネクタ50の間に可動イオンが侵入することをさらに抑制することが出来る。
【0056】
本実施形態の半導体装置によっても、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0057】
(第3実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1コネクタは、半導体チップから外側へはみ出た庇部分を有し、第1コネクタの庇部分とダイパッドの上面の距離は、半導体チップの上の第1コネクタとダイパッドの上面の距離より長い点で、第1実施形態及び第2実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1実施形態及び第2実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0058】
図9は、本実施形態の半導体装置120の模式断面図である。第1コネクタは、半導体チップ10から外側へはみ出た第3庇部分352(庇部分の一例)と、半導体チップ10から外側へはみ出た第4庇部分354と、を有する。Z方向において、第1コネクタ350の第3庇部分352とダイパッド2の上面4の距離d5は、半導体チップ10の上の第1コネクタ350とダイパッド2の上面4の距離d1より長い。また、Z方向において、第1コネクタ350の第4庇部分354とダイパッド2の上面4の距離d6は、半導体チップ10の上の第1コネクタ350とダイパッド2の上面4の距離d1より長い。
【0059】
第1コネクタの端部では、電位が急激に変化する。そのため、高い電圧が印加されたときに、破壊が発生しやすい。そこで、本実施形態の半導体装置120では、第1コネクタ350の端部とダイパッド2の上面4の距離を、半導体チップ10の上の第1コネクタとダイパッド2の上面4の距離より長いものとしている。このため、第1コネクタの端部における電位の急激な変化を、特にZ方向により広い空間範囲で発生させることが出来る。これにより、かかる破壊を抑制出来るため、より高い耐圧を確保することができる。
【0060】
本実施形態の半導体装置によっても、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0061】
(第4実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1コネクタは、ダイパッドと離間して設けられた第1ポストと、ダイパッド及び第1ポストと離間して設けられた第2ポストと、を備え、第1コネクタは、第1ポストに電気的に接続され、第1コネクタは、第2電極の上に設けられた第1貫通孔を有し、第2ポストは第1貫通孔を通る導電体を用いて第2電極と電気的に接続されている点で、第1乃至第3実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1乃至第3実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0062】
図10は、本実施形態の半導体装置130の模式上面図である。
【0063】
第1コネクタ450は、第2電極26の上に設けられた第1貫通孔452を有する。第2ポスト64は、第1貫通孔452を介して、第2電極26及び第2接合材80と電気的に接続されている。
図10においては、第2電極26と第2ポスト64は、第1貫通孔452を通るワイヤ90等の導電体を用いて、電気的に接続されている。しかし、第2電極26と第2ポスト64は、第1貫通孔452を通るコネクタ等の導電体により接続されていてもかまわない。なお、第2接合材80及び第5接合材69は、設けられていなくてもかまわない。
【0064】
本実施形態の半導体装置130によれば、上からみたときに、半導体チップ10の第1辺10c、第2辺10d、第3辺10e及び第4辺10fを完全に覆うことが出来る。これにより、可動イオンが半導体チップ10上へさらに侵入しづらくなる。
【0065】
本実施形態の半導体装置によっても、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0066】
(第5実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1コネクタは、第1端部を貫通する複数の孔を有する点で、第1乃至第4実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1乃至第4実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0067】
図11は、本実施形態の半導体装置140の模式上面図である。複数の貫通孔552が、第1コネクタ550の第1端部に設けられている。貫通孔552の内部には、例えば、第1接合材32が設けられている。また、貫通孔552の内部には、例えば、封止樹脂98が設けられている。なお貫通孔552は、例えば凹部やスリット等であってもかまわない。また、貫通孔552が、第1電極24の上の、第1接合材32が設けられた部分のみに設けられていてもかまわない。
【0068】
例えば、第1接合材32の量が多すぎる場合、貫通孔552の中に第1接合材32が入り込むことが出来る。これにより、例えば第1接合材32が第2絶縁膜20の上に残り、第2絶縁膜20の信頼性を損なうといった問題を解決することが出来る。
【0069】
また、例えば、封止樹脂98が貫通孔552の内部に入り込むことにより、第1コネクタと封止樹脂98の密着性を向上させることができる。これにより、半導体装置の信頼性をさらに高くすることが出来る。
【0070】
本実施形態の半導体装置によっても、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0071】
(第6実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第2電極26が、素子領域10aの角部に設けられている点で、第1乃至第5実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1乃至第5実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0072】
図12は、本実施形態の半導体装置155の模式上面図である。第2電極26及び第2接合材80は、素子領域10aの角部に設けられている。又は、第2電極26及び第2接合材80は、半導体チップ10の角部の周辺に設けられている。第1コネクタ650は、上から見たときに、第2電極26及び第2接合材80を覆わない。第2コネクタ600は、第2電極26及び第2接合材80と第2ポスト64を電気的に接続している。
【0073】
本実施形態の半導体装置によっても、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0074】
(第7実施形態)
本実施形態の半導体装置は、ダイパッドと離間して設けられた第1ポストと、ダイパッド及び第1ポストと離間して設けられた第2ポストと、を備え、第1コネクタは、上から見たときに半導体チップの矩形形状の4辺を完全に覆い、第1コネクタは、素子領域の上に設けられた第2貫通孔を有し、第1コネクタは、第1ポストに電気的に接続され、第1電極は、第1ポストと、第2貫通孔を通る第2ワイヤを用いて電気的に接続され、第2電極は、第2ポストと、第2貫通孔を通る第3ワイヤを用いて電気的に接続されている点で、第1乃至第6実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1乃至第6実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0075】
図13は、本実施形態の半導体装置160の模式上面図である。
【0076】
第1コネクタ750は、上から見たときに、終端領域10b、第1辺10c、第2辺10d、第3辺10e及び第4辺10fを完全に覆っている。第1コネクタ750は、例えば、図示しない接合材により固定されている。なお、第1コネクタ750は、例えば、第2絶縁膜20と接することにより、固定されていても良い。
【0077】
第1コネクタ750は、素子領域10aの上に設けられた第2貫通孔752を有している。第1電極24及び第2電極26は、上から見たときに、第2貫通孔752内に設けられている。
【0078】
第1電極24及び第1接合材32は、第2貫通孔752を通る第2ワイヤ756及び第2ワイヤ758等の導電体を用いて、第1ポスト54と電気的に接続されている。また、第1コネクタ750の第2端部751bは第1ポスト54に電気的に接続されている。このため、第1電極24及び第1接合材32は、第2ワイヤ756、第2ワイヤ758、第1ポスト54及び第2端部751bを介して、第1コネクタ750の第1端部751aと電気的に接続されている。なお、第2ワイヤ756及び第2ワイヤ758の代わりに、コネクタ等の導電体が用いられてもかまわない。
【0079】
第2電極26及び第2接合材80は、第2貫通孔752を通る第3ワイヤ754等の導電体を用いて、第2ポスト64と電気的に接続されている。なお、第3ワイヤ754の代わりに、コネクタ等の導電体が用いられてもかまわない。
【0080】
本実施形態の半導体装置によれば、終端領域10b及び半導体チップ10の矩形形状の4辺(第1辺10c、第2辺10d、第3辺10e及び第4辺10f)を完全に覆うことが出来る。
【0081】
本実施形態の半導体装置によっても、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0082】
(第8実施形態)
本実施形態の半導体装置は、ダイパッドと離間して設けられた第1ポストと、ダイパッド及び第1ポストと離間して設けられた第2ポストと、を備え、第1コネクタは、上から見たときに半導体チップの矩形形状の4辺を完全に覆い、第1コネクタは、素子領域の上に設けられた第2貫通孔を有し、第1コネクタは、素子領域の上で接合材を介して第1電極と電気的に接続され、第1電極は、第1ポストと、第2貫通孔を通る第2ワイヤを用いて電気的に接続され、第2電極は、第2ポストと、第2貫通孔を通る第3ワイヤを用いて電気的に接続されている点で、第1乃至第7実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1乃至第7実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0083】
図14は、本実施形態の半導体装置170の模式上面図である。第7実施形態の第1コネクタ750と異なり、本実施形態の第1コネクタ850は、第2端部を有しない導電体である。
【0084】
第1コネクタ850は、ブリッジ状となる延長部864を有している。延長部864の下には、接合材33が設けられている。接合材33は、例えば、第2絶縁膜20に設けられた、図示しない開口部内に設けられ、第1電極24と電気的に接続されている。そして、延長部864及び接合材33を介して、第1コネクタ850は、第1電極24と電気的に接続されている。このようにして、第1コネクタ850は、素子領域10aの上で、第1電極24と電気的に接続されている。第1電極24は、例えば、第1接合材32と接合材33の下に設けられている。なお、第1コネクタ850と第1電極24を素子領域10aの上で電気的に接続する方法は、上記の態様に限定されるものではない。例えば、第1コネクタ850は、図示しない接合材により固定されていても良い。また、例えば、第1コネクタ850は、第2絶縁膜20と接することにより、固定されていても良い。
【0085】
第2接合材80の上には、第1コネクタ850の貫通孔860が設けられている。第1接合材32の上には、第1コネクタ850の貫通孔862が設けられている。貫通孔860及び貫通孔862は、第2貫通孔の一例である。
【0086】
本実施形態の半導体装置によっても、信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0087】
以上の説明は、SMD(Surface Mount Device)型の半導体装置を例にしてなされた。しかし、本実施形態の半導体装置は、SMD型の半導体装置に限定されるものではない。例えば、本実施形態の半導体装置は、THD(Through Hole Device)型の半導体装置であってもかまわない。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
2 :ダイパッド
4 :上面
10 :半導体チップ
10a :素子領域
10b :終端領域
10c :第1辺
10d :第2辺
10e :第3辺
10f :第4辺
24 :第1電極
26 :第2電極
50 :第1コネクタ
54 :第1ポスト
60 :第2コネクタ
62a :第1部分
62b :第2部分
64 :第2ポスト
90 :ワイヤ
98 :封止樹脂
100 :半導体装置
110 :半導体装置
120 :半導体装置
130 :半導体装置
140 :半導体装置
155 :半導体装置
160 :半導体装置
170 :半導体装置
252 :第1庇部分(庇部分)
352 :第3庇部分(庇部分)