IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋インキSCホールディングス株式会社の特許一覧

特開2024-134290農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法
<>
  • 特開-農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法 図1
  • 特開-農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法 図2
  • 特開-農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法 図3
  • 特開-農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法 図4
  • 特開-農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法 図5
  • 特開-農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134290
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/04 20060101AFI20240926BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20240926BHJP
   A01N 43/88 20060101ALI20240926BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A01N25/04 101
A01N25/00 101
A01N43/88 101
A01P21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044517
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 恵子
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕一
(72)【発明者】
【氏名】唐木田 直人
(72)【発明者】
【氏名】門田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 裕一
(72)【発明者】
【氏名】内山 博雅
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB03
4H011BA01
4H011BB10
4H011BC01
4H011BC03
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC23
4H011DA16
4H011DC05
4H011DE15
4H011DH10
4H011DH15
(57)【要約】
【課題】油滴中に農薬成分が溶解している新規の水中油型ピッカリングエマルション及びその応用の提供。
【解決手段】水中油(O/W)型のピッカリングエマルションであって、油滴中に農薬成分が溶解しており、油水界面は、多糖高分子のファイバーと、金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかからなる無機粒子と、を含む成分で構築される、ピッカリングエマルション。ならびに、その調製方法及びその乾燥粉末、それを用いた農薬組成物及びその調製方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油(O/W)型のピッカリングエマルションであって、
油滴中に農薬成分が溶解しており、
油水界面は、多糖高分子のファイバーと、金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかからなる無機粒子と、を含む成分で構築される、
ピッカリングエマルション。
【請求項2】
前記多糖高分子は、キチン、キトサン及びセルロースの少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載のピッカリングエマルション。
【請求項3】
前記金属炭酸塩は、炭酸カルシウムを含み、前記金属酸化物は、シリカ及び酸化亜鉛の少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載のピッカリングエマルション。
【請求項4】
前記油滴は、植物油及び鉱物油の少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載のピッカリングエマルション。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のピッカリングエマルションを調製する方法であって、
前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体とを、ビーズの激突及び局所的な圧力負荷の少なくともいずれかの衝撃により水相中で粉砕し、
さらに、前記農薬成分と油とを水相中に加えてホモジナイズする、
方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載のピッカリングエマルションを調製する方法であって、
前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体と、前記農薬成分と、油とを、水相中にひとまとめにして、ビーズの激突及び局所的な圧力負荷の少なくともいずれかの衝撃によりホモジナイズし、並行して、前記衝撃により、前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体とを粉砕する、
方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載のピッカリングエマルションを含む農薬組成物。
【請求項8】
前記多糖高分子は、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含み、
前記農薬成分を植物又は土壌に作用させると同時に、前記キチン及びキトサンの少なくともいずれかを、バイオスティミュラントとして、前記植物又は土壌に作用させる、
請求項7に記載の農薬組成物。
【請求項9】
請求項1~4のいずれかに記載のピッカリングエマルションの乾燥粉末。
【請求項10】
請求項9に記載の乾燥粉末を含む農薬組成物。
【請求項11】
請求項9に記載の乾燥粉末を分散質として、水相中に再分散させて農薬組成物を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油滴中に農薬成分が溶解している水中油型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
難水溶性農薬成分は、溶解性を確保するため有機溶剤を用いており、製剤の形態として乳剤、エマルション製剤が知られている。これらに含まれる有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)などが使用されてきたが、近年の環境規制の強化の観点から、毒性の低い有機溶剤への置換が望まれている。また、乳化剤として界面活性剤が使用されているが、界面活性剤の中には環境ホルモンへの影響があるものが存在することから、こちらも毒性の低い乳化剤への置換が求められている。
【0003】
一方、界面活性剤を使用しない乳化技術として、乳化剤に固体粒子を用いたピッカリングエマルションという技術が注目されている。これは水相と油相の界面に固体粒子を吸着させて乳化を図る技術で、化粧品・食品用途での研究が盛んに行われている。乳化剤として、無機粒子、タンパク質、多糖高分子などが挙げられ、非特許文献1にはキチンのナノ結晶とダイズ油とを含む水中油(O/W)型のピッカリングエマルションを開示されている(Abstract参照)。農薬製剤としても、無機粒子を使用したピッカリングエマルションの事例がいくつか存在する。特許文献1には、ピッカリングエマルションの乳化剤としてポリエステルが挙げられている。特許文献2~3には、ピッカリングエマルションのためのコロイド安定化剤の例として炭酸カルシウムが挙げられている。しかし、これらは実用面においても、乳化安定性が不十分な場合があり、課題があった。
【0004】
また、ピッカリングエマルションは、液体製剤としてそのまま使用するだけでなく、乾燥させて粉末製剤化することも可能であり、製剤としての適応先の広がりが期待できる。特許文献4~6並びに非特許文献2は、水中油(O/W)型のピッカリングエマルションを乾燥して粉末化することを開示している。特許文献7は、W/O/W型のピッカリングエマルション中の油相を重合するとともに分散媒の水を除去することで、重合してなる固体中に水滴が分散している粒子を作製することを開示している。非特許文献3は、油中水(W/O)型のピッカリングエマルションの油相をさらに第2の粉体で包み込むことで粒子化することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009-508908号公報
【特許文献2】特開2013-216699号公報
【特許文献3】特表2010-502725号公報
【特許文献4】国際公開第2019/115667号
【特許文献5】中国特許出願公開第113521027号明細書
【特許文献6】中国特許出願公開第111053942号明細書
【特許文献7】特開2021-049487号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Fatma Ben Cheikh, Ayman Ben Mabrouk, Albert Magnin, Jean-Luc Putaux, Sami Boufi. Chitin nanocrystals as Pickering stabilizer for O/W emulsions: Effect of the oil chemical structure on the emulsion properties. Colloids and Surfaces B: Biointerfaces, Elsevier, 2021, 200, pp.111604. [retrieved on 2022.10.13]. Retrieved from <URL:https://hal.archives-ouvertes.fr/hal-03152020>.
【非特許文献2】Xingzhong Zhang, Yan Li, Jing Li, Hongshan Liang, Yijie Chen, Bin Li, Xiaogang Luo, Ying Pei, Shilin Liu, Edible oil powders based on spray-dried Pickering emulsion stabilized by soy protein/cellulose nanofibrils, LWT, Volume 154, 2022, 112605, ISSN 0023-6438, [retrieved on 2022.10.31]. Retrieved from <URL: https://doi.org/10.1016/j.lwt.2021.112605>.
【非特許文献3】Bernard P. Binks and Andrew T. Tyowua, Particle-Stabilized Powdered Water-in-Oil Emulsions, Langmuir 2016 32 (13), 3110-3115, [retrieved on 2022.10.31]. Retrieved from <URL: https://doi.org/10.1021/acs.langmuir.6b00140>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、油滴中に農薬成分が溶解している新規の水中油型ピッカリングエマルション及びその応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るピッカリングエマルション、その調製方法、それを用いた乾燥粉末および農薬組成物、ならびに前記農薬組成物の調製方法は、下記[1]~[11]の構成を有することができる。
[1]水中油(O/W)型のピッカリングエマルションであって、油滴中に農薬成分が溶解しており、油水界面は、多糖高分子のファイバーと、金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかからなる無機粒子と、を含む成分で構築される、ピッカリングエマルション。
[2]前記多糖高分子は、キチン、キトサン及びセルロースの少なくともいずれかを含む、[1]に記載のピッカリングエマルション。
[3]前記金属炭酸塩は、炭酸カルシウムを含み、前記金属酸化物は、シリカ及び酸化亜鉛の少なくともいずれかを含む、[1]または[2]に記載のピッカリングエマルション。
[4]前記油滴は、植物油及び鉱物油の少なくともいずれかを含む、[1]~[3]のいずれかに記載のピッカリングエマルション。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のピッカリングエマルションを調製する方法であって、前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体とを、ビーズの激突及び局所的な圧力負荷の少なくともいずれかの衝撃により水相中で粉砕し、さらに、前記農薬成分と油とを水相中に加えてホモジナイズする、方法。
[6][1]~[4]のいずれかに記載のピッカリングエマルションを調製する方法であって、前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体と、前記農薬成分と、油とを、水相中にひとまとめにして、ビーズの激突及び局所的な圧力負荷の少なくともいずれかの衝撃によりホモジナイズし、並行して、前記衝撃により、前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体とを粉砕する、方法。
[7][1]~[4]のいずれかに記載のピッカリングエマルションを含む農薬組成物。
[8]前記多糖高分子は、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含み、前記農薬成分を植物又は土壌に作用させると同時に、前記キチン及びキトサンの少なくともいずれかを、バイオスティミュラントとして、前記植物又は土壌に作用させる、[7]に記載の農薬組成物。
[9][1]~[4]のいずれかに記載のピッカリングエマルションの乾燥粉末。
[10][9]に記載の乾燥粉末を含む農薬組成物。
[11][9]に記載の乾燥粉末を分散質として、水相中に再分散させて農薬組成物を調製する方法。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、油滴中に農薬成分が溶解している新規の水中油型ピッカリングエマルション及びその応用を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るピッカリングエマルションの模式図である。
図2】比較用のピッカリングエマルションの一例の模式図である。
図3】本実施形態に係るピッカリングエマルションの一例の調製フロー図である。
図4】粉砕された原体の顕微鏡観察像を示す図である。
図5】本実施形態に係るピッカリングエマルションの顕微鏡観察像を示す図である。
図6】本実施形態に係るピッカリングエマルションの一例の調製フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<ピッカリングエマルション>
【0012】
図1に水中油(O/W)型のピッカリングエマルション10の模式図を示す。水相11中に油滴12が分散している。油滴12は水相11と対になる油相である。油滴12、より詳しくは、油水界面は、多糖高分子のファイバー13と、金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの無機粒子14とを含む成分で構築されている。例えば、油水界面は、多糖高分子のファイバー13と、金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかからなる無機粒子14とで構築されることができる。油水界面を構築する成分は、本開示の効果が得られる範囲でファイバー13及び無機粒子14以外の物質を含むことができる。また、油滴12中に農薬成分15が溶解している。一態様において、本実施形態に係るピッカリングエマルション10は農薬組成物として用いられる。
【0013】
図1に示すピッカリングエマルション10の一態様において、水相11は水を含み、例えば、水からなることができる。水相11に対して油滴12を構成する油は難溶又は不溶である。水相11には塩又はその他の添加剤を添加してもよい。添加剤により水相のpHや浸透圧を調整してもよい。
【0014】
図1に示すピッカリングエマルション10の一態様において、油滴12は水に不溶又は難溶の油を含み、例えば、水に不溶又は難溶の油からなることができる。油滴12を構成する油は農薬成分15に対する有機溶剤である。油滴12を構成する油は植物油及び鉱物油の少なくともいずれかを含むことが好ましく、これらからなることもできる。植物油は、例えば、ナタネ油、ダイズ油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、コーン油、アマニ油、ヤシ油、アザミ油及びヒマシ油のいずれかでもよい。これらの中でも、植物油は、ダイズ油、ヒマシ油及びナタネ油が好ましい。鉱物油は、例えば、マシン油でもよい。
【0015】
図1に示すピッカリングエマルション10の一態様において、ファイバー13を構成する多糖高分子は、水相11及び油滴12に難溶又は不溶の物質である。一態様において、多糖高分子は、キチン、キトサン及びセルロースの少なくともいずれかを含み、例えば、多糖高分子は、これらのうちの少なくともいずれかであることができる。
【0016】
図1に示すピッカリングエマルション10において、無機粒子14を構成する金属炭酸塩及び金属酸化物は、水相11及び油相すなわち油滴12に対して難溶である。一態様において、金属炭酸塩及び金属酸化物は、水に対する溶解度が0-200(mg/L H2O、20℃、1気圧)、好ましくは0-20(mg/L H2O、20℃、1気圧)である。
【0017】
図1に示す一態様において、無機粒子14を構成する金属炭酸塩は、炭酸カルシウム(溶解度15mg/L H2O、25℃、1気圧)を含むことが好ましい。一態様において、無機粒子14を構成する金属酸化物は、酸化亜鉛(溶解度1.6mg/L H2O、28℃、1気圧)、酸化鉄、酸化銅、二酸化チタン、酸化アルミニウム及びシリカ(溶解度12mg/100g H2O、20℃、1気圧)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。より好ましくは、無機粒子14は、炭酸カルシウム、シリカ及び酸化亜鉛の少なくともいずれかを含み、例えば、これらで構成される。特に好ましくは、無機粒子14は、炭酸カルシウムを含み、例えば、炭酸カルシムで構成される。
【0018】
<ファイバーと無機粒子との併用>
【0019】
図1において油水界面を構成するファイバー13に、無機粒子14をさらに加える。これにより、ピッカリングエマルションを構成する油滴のサイズを小さくできる他、乳化安定性を向上させることができる。
【0020】
図2に比較用のピッカリングエマルション20の模式図を示す。背景技術で述べられるように多糖高分子のファイバーだけでもピッカリングエマルションが構築できる。図2中では水相11中に油滴17が分散している。比較用のピッカリングエマルション20は、油水界面を構築する材料から無機粒子14が除外されている点で、図1に示す本実施形態に係るピッカリングエマルション10と異なる。比較用のピッカリングエマルション20の調製のためのホモジナイズの物理的条件は、図1に示す本実施形態に係るピッカリングエマルション10のものと同一である。水相11、油滴17及びファイバー13を構成する物質は、図1に示す水相11、油滴12及びファイバー13を構成するそれぞれの物質と全て同一種類である。
【0021】
図1及び図2において動的光散乱法でそれぞれの油滴12及び17の粒度分布を測定した時、図1に示す本実施形態に係るピッカリングエマルション10の油滴12は、比較用のピッカリングエマルション20の油滴17よりも小さい。一態様において、図1に示す油滴12の平均粒子径及びD50の少なくともいずれかが、図2に示す油滴17のそれよりも小さい。一態様において、図1に示す油滴12の平均粒子径、D10、D50、D90及びD99のいずれもが、図2に示す油滴17のそれらよりも小さい。ここで、油滴の粒子径には、油水界面を構成するファイバー13と無機粒子14とを含む層(図1では、ファイバー13と無機粒子14とからなる層)又は図2に示すファイバー13からなる層の厚みも含まれる。以下同様とする。
【0022】
図1に示す一態様において、動的光散乱法で測定した油滴12の粒度分布における平均粒子径は1~100μmであることが好ましい。油滴12の平均粒子径は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80及び90μmのいずれかであってもよい。
【0023】
図1に示す一態様において、動的光散乱法で測定した油滴12の粒度分布におけるD10は1.0~10.0μmであることが好ましい。油滴12のD10は、例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0及び9.0μmのいずれかであってもよい。
【0024】
図1に示す一態様において、動的光散乱法で測定した油滴12の粒度分布におけるD50は、1.0~100.0μmであることが好ましい。油滴12のD50は、例えば、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、80.0及び90.0μmのいずれかであってもよい。
【0025】
図1に示す一態様において、動的光散乱法で測定した油滴12の粒度分布におけるD90は10~1000μmであることが好ましい。油滴12のD90は、例えば、10、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800及び900μmのいずれかであってもよい。
【0026】
図1に示す一態様において、動的光散乱法で測定した油滴12の粒度分布におけるD99は100~1000μmであることが好ましい。油滴12のD99は、例えば、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、400、500、600、700、800及び900μmのいずれかであってもよい。
【0027】
図1に示すピッカリングエマルション10を含む(例えば、ピッカリングエマルション10からなる)農薬組成物は、例えば界面活性剤で油水界面が構築されたエマルションを含む(例えば、当該エマルションからなる)農薬組成物よりも安定して保存できる効果が期待できる。ピッカリングエマルション10を含む農薬組成物はまた、界面活性剤のエマルションを含む農薬組成物よりも薬剤を長期間にわたって徐放する効果が期待できる。
【0028】
<乾燥粉末>
【0029】
図1に示すピッカリングエマルション10を乾燥させることで水相11を除去してもよい。これによりピッカリングエマルション10の乾燥粉末が得られる。乾燥の方法は噴霧乾燥や凍結乾燥が挙げられる。一態様において、当該乾燥粉末は農薬組成物として用いられる。また、当該乾燥粉末を分散質とし、水相中に再分散させて農薬組成物を調製してもよい。このように、農薬組成物は、ピッカリングエマルション10の乾燥粉末を含み、さらに、展着剤及びその他の添加剤の少なくともいずれかを添加してもよい。
【0030】
<バイオスティミュラント>
【0031】
一態様において、図1に示す、ファイバー13を構成する多糖高分子は、バイオスティミュラントであってもよい。バイオスティミュラントは、植物生理による非生物的ストレスから植物体を保護する物質である。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の代謝効率を高めることで作物の収量を増やし、また作物の品質を向上させる。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の非生物的ストレスに対する耐性を増強することで、植物体の非生物的ストレスからの回復を早める。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体内での栄養素の同化を促進し、又は転流を促進する。一態様において、バイオスティミュラントは、作物の糖度、色、結実の品質特性を向上させる。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体中の水バランスを調整することで、これを改善する。その一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の生育する土壌の物理化学的性質を強化し、土壌微生物の発育を促進する補完的な役割を有する。
【0032】
一態様において、バイオスティミュラントは、動物から抽出された物質、例えば、キチン、キトサンの少なくともいずれかである。一態様において、バイオスティミュラントは、植物から抽出された物質、例えば海藻から抽出された多糖類である。一態様において、バイオスティミュラントは、微生物の代謝物である。
【0033】
一態様において、キチン及びキトサンは、植物体の環境への適応力を増強する物質であり、また土壌環境を健全化する物質である。その一態様において、キチン及びキトサンは、植物体の生育を健全化する。その一態様において、キチン及びキトサンは、植物体の環境ストレスに対する耐性を向上する。その一態様において、キチン及びキトサンは、作物の品質を向上する。その一態様において、キチン及びキトサンは、作物の収量を増大する。その一態様において、キチン及びキトサンは、植物体の根張りを向上する。その一態様において、キチン及びキトサンは、土壌環境を改善する。その一態様において、キチン及びキトサンは、植物体内での特異成分の増加をもたらす。
【0034】
また、キチンやキトサンに限らずバイオスティミュラントには、以下の様々な作用が知られる。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体のストレス耐性を向上させる。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の代謝を向上させる。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の光合成を促進する。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の開花及び着果を促進する。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の蒸散を調整する。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の浸透圧を調整する。一態様において、バイオスティミュラントは、根圏環境を改善する。一態様において、バイオスティミュラントは、植物体の根量を増加させる、又は根の活性を向上する。一態様において、バイオスティミュラントは、土壌のミネラルを可溶化する。
【0035】
図1において、ファイバー13を構成する多糖高分子がバイオスティミュラントである場合、ピッカリングエマルション10又はその乾燥粉末を含む農薬組成物は、農薬としての機能とバイオスティミュラントとしての機能を併せ持つ。例えば、ファイバー13を構成する多糖高分子は、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含んでもよい。そして、農薬成分15が植物又は土壌に作用すると同時に、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含むファイバー13はバイオスティミュラントとして植物又は土壌に作用できる。
【0036】
<農薬成分>
【0037】
農薬成分としては特許文献1に例示される以下のものが使用できるがこれらに限定されない。これらの農薬成分による防除の対象には、植物病原性の細菌類、真菌類、ヤスデ、昆虫、ダニ、線虫及びその他の害虫並びに雑草が含まれるがこれらに限定されない。
【0038】
A.殺虫成分
【0039】
A.1.有機(チオ)リン酸エステル:
【0040】
アセフェート(acephate)、アザメチホス(azamethiphos)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、ジアジノン(diazinon)、ジクロルボス(dichlorvos)、ジクロトホス(dicrotophos)、ジメトエート(dimethoate)、ジスルホトン(disulfoton)、エチオン(ethion)、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェンチオン(fenthion)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メタミドホス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion)、メチルパラチオン(methyl-parathion)、メビンホス(mevinphos)、モノクロトホス(monocrotophos)、オキシデメトンメチル(oxydemeton-methyl)、パラオキソン(paraoxon)、パラチオン(parathion)、フェントエート(phenthoate)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホレート(phorate)、ホキシム(phoxim)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロフェノホス(profenofos)、プロチオホス(prothiofos)、スルプロホス(sulprophos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、テルブホス(terbufos)、トリアゾホス(triazophos)、トリクロルホン(trichlorfon);
【0041】
A.2.カルバメート:
【0042】
アラニカルブ(alanycarb)、アルジカルブ(aldicarb)、ベンジオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、カルバリル(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、メチオカルブ(methiocarb)、メトミル(methomyl)、オキサミル(oxamyl)、ピリミカルブ(pirimicarb)、プロポキスル(propoxur)、チオジカルブ(thiodicarb)、トリアザメート(triazamate);
【0043】
A.3.ピレスロイド:
【0044】
アレスリン(allethrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、アルファシペルメトリン(alpha-cypermethrin)、ベータシペルメトリン、ゼータシペルメトリン、デルタメトリン(deltamethrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(etofenprox)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、イミプロトリン(imiprothrin)、ラムダシハロトリン(lambda-cyhalothrin)、ガンマシハロトリン、ペルメトリン(permethrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrin)I及びII、レスメトリン(resmethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、タウフルバリネート(tau-fluvalinate)、テフルトリン(tefluthrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin);
【0045】
A.4.成長調節物質:
【0046】
a)キチン合成阻害剤:ベンゾイル尿素:クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、シラマジン(cyramazin)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron);ブプロフェジン(buprofezin)、ジオフェノラン(diofenolan)、ヘキシチアゾックス(hexythiazox)、エトキサゾール(etoxazole)、クロフェンタジン(clofentazine);
【0047】
b)エクジソンアンタゴニスト:ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)、アザジラクチン(azadirachtin);
【0048】
c)幼若ホルモン様物質:ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、メトプレン(methoprene)、フェノキシカルブ(fenoxycarb);
【0049】
d)脂質生合成阻害剤:スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen);
【0050】
A.5.ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト:クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、イミダクロプリド(imidacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid);
【0051】
A.6.γ-アミノ酪酸(GABA)アンタゴニスト:アセトプロール(acetoprole)、エンドスルファン(endosulfan)、エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fipronil)、バニリプロール(vaniliprole);
【0052】
A.7.マクロリド殺虫剤:アバメクチン(abamectin)、エマメクチン(emamectin)、ミルベメクチン(milbemectin)、レピメクチン(lepimectin)、スピノサド(spinosad);
【0053】
A.8.ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤(METI I)型ダニ駆除剤:フェナザキン(fenazaquin)、ピリダベン(pyridaben)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、トルフェンピラド(tolfenpyrad);
【0054】
A.9.ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤(METI II)及びミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤(METI III)化合物:アセキノシル(acequinocyl)、フルアシプリム(fluacyprim)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon);
【0055】
A.10.脱共役剤化合物:クロルフェナピル(chlorfenapyr);
【0056】
A.11.酸化的リン酸化阻害剤:
【0057】
シヘキサチン(cyhexatin)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、フェンブタチンオキシド(fenbutatin oxide)、プロパルギト(propargite);
【0058】
A.12.脱皮攪乱物質:クリオマジン(cryomazine);
【0059】
A.13.混合機能オキシダーゼ阻害剤:ピペロニルブトキシド(piperonyl butoxide);
【0060】
A.14.ナトリウムチャネル遮断剤:インドキサカルブ(indoxacarb)、メタフルミゾン(metaflumizone);
【0061】
A.15.その他の殺虫成分:ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート(bifenazate)、カルタップ(cartap)、フロニカミド(flonicamid)、ピリダリル(pyridalyl)、ピメトロジン(pymetrozine)、硫黄、チオシクラム(thiocyclam)。
【0062】
B.殺菌成分
【0063】
B.1.ストロビルリン:
【0064】
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバメート、メチル(2-クロロ-5-[1-(6-メチルピリジン-2-イルメトキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバメート、メチル2-(オルト((2,5-ジメチルフェニルオキシメチレン)フェニル)-3-メトキシアクリレート;
【0065】
B.2.カルボキシアミド:
【0066】
- カルボキシアニリド:ベナラキシル(benalaxyl)、ベノダニル(benodanil)、ボスカリド(boscalid)、カルボキシン(carboxin)、メプロニル(mepronil)、フェンフラム(fenfuram)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、フルトラニル(flutolanil)、フラメトピル(furametpyr)、メタラキシル(metalaxyl)、オフレース(ofurace)、オキサジキシル(oxadixyl)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、チフルザミド(thifluzamide)、チアジニル(tiadinil)、N-(4'-ブロモビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキシアミド、N-(4'-トリフルオロメチルビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキシアミド、N-(4'-クロロ-3'-フルオロビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキシアミド、N-(3',4'-ジクロロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2-シアノフェニル)-3,4-ジクロロイソチアゾール-5-カルボキシアミド;
【0067】
- カルボン酸モルホリド:ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph);
【0068】
- ベンゾアミド:フルメトベル(flumetover)、フルオピコリド(fluopicolide)(ピコベンザミド(picobenzamid))、ゾキサミド(zoxamide);
【0069】
- その他のカルボキシアミド:カルプロパミド(carpropamid)、ジクロシメット(diclocymet)、マンジプロパミド(mandipropamid)、N-(2-(4-[3-(4-クロロフェニル)プロプ-2-イニルオキシ]-3-メトキシフェニル)エチル)-2-メタンスルホニルアミノ-3-メチルブチルアミド、N-(2-(4-[3-(4-クロロフェニル)プロプ-2-イニルオキシ]-3-メトキシフェニル)エチル)-2-エタンスルホニルアミノ-3-メチルブチルアミド;
【0070】
B.3.アゾール:
【0071】
- トリアゾール:ビテルタノール(bitertanol)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、シプロコナゾール(cyproconazole)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、エニルコナゾール(enilconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルトリアホール(flutriafol)、ヘキサコナゾール(hexaconazol)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、イプコナゾール(ipconazole)、メトコナゾール(metconazol)、ミクロブタニル(myclobutanil)、ペンコナゾール(penconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、シメコナゾール(simeconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、トリアジメホン(triadimefon)、トリチコナゾール(triticonazole);
【0072】
- イミダゾール:シアゾファミド(cyazofamid)、イマザリル(imazalil)、ペフラゾエート(pefurazoate)、プロクロラズ(prochloraz)、トリフルミゾール(triflumizole);
【0073】
- ベンズイミダゾール:ベノミル(benomyl)、カルベンダジム(carbendazim)、フベリダゾール(fuberidazole)、チアベンダゾール(thiabendazole);
【0074】
- その他のアゾール:エタボキサム(ethaboxam)、エトリジアゾール(etridiazole)、ヒメキサゾール(hymexazole);
【0075】
B.4.窒素含有複素環化合物:
【0076】
- ピリジン:フルアジナム(fluazinam)、ピリフェノックス(pyrifenox)、3-[5-(4-クロロフェニル)-2,3-ジメチルイソキサゾリジン-3-イル]ピリジン;
【0077】
- ピリミジン:ブピリメート(bupirimate)、シプロジニル(cyprodinil)、フェリムゾン(ferimzone)、フェナリモール(fenarimol)、メパニピリム(mepanipyrim)、ヌアリモール(nuarimol)、ピリメタニル(pyrimethanil);
【0078】
- ピペラジン:トリホリン(triforine);
【0079】
- ピロール:フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil);
【0080】
- モルホリン:アルジモルフ(aldimorph)、ドデモルフ(dodemorph)、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(tridemorph);
【0081】
- ジカルボキシイミド:イプロジオン(iprodione)、プロシミドン(procymidone)、ビンクロゾリン(vinclozolin);
【0082】
- その他の窒素含有複素環化合物:アシベンゾラル-S-メチル(acibenzolar-S-methyl)、アニラジン(anilazin)、キャプタン(captan)、カプタホール(captafol)、ダゾメット(dazomet)、ジクロメジン(diclomezine)、フェノキサニル(fenoxanil)、ホルペット(folpet)、フェンプロピジン(fenpropidin)、ファモキサドン(famoxadone)、フェナミドン(fenamidone)、オクチリノン(octhilinone)、プロベナゾール(probenazole)、プロキナジド(proquinazid)、ピロキロン(pyroquilon)、キノキシフェン(quinoxyfen)、トリシクラゾール(tricyclazole)、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、N-ジメチル-3-(3-ブロモ-6-フルオロ-2-メチルインドール-1-スルホニル)[1,2,4]トリアゾール-1-スルホンアミド;
【0083】
B.5.カルバメート及びジチオカルバメート:
【0084】
- ジチオカルバメート:フェルバム(ferbam)、マンコゼブ(mancozeb)、マネブ(maneb)、
メチラム(metiram)、メタム(metam)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)、ジネブ(zineb)、ジラム(ziram);
【0085】
- カルバメート:ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、フルベンチアバリカルブ(flubenthiavalicarb)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、プロパモカルブ(propamocarb)、メチル 3-(4-クロロフェニル)-3-(2-イソプロポキシカルボニルアミノ-3-メチルブチリルアミノ)プロピオネート、4-フルオロフェニルN-(1-(1-(4-シアノフェニル)エタンスルホニル)ブト-2-イル)カルバメート;
【0086】
B.6.その他の殺菌成分:
【0087】
- グアニジン:ドジン(dodine)、イミノクタジン(iminoctadine)、グアザチン(guazatine);
【0088】
- 抗生物質:カスガマイシン(kasugamycin)、ポリオキシン(polyoxine)、ストレプトマイシン(streptomycin)、バリダマイシンA(validamycin A);
【0089】
- 有機金属化合物:フェンチン塩(fentin salts);
【0090】
- 硫黄含有複素環化合物:イソプロチオラン(isoprothiolane)、ジチアノン(dithianon);
【0091】
- 有機リン化合物:エジフェンホス(edifenphos)、ホセチル(fosetyl)、ホセチルアルミニウム、イプロベンホス(iprobenfos)、ピラゾホス(pyrazophos)、トルクロホスメチル(tolclofosmethyl)、亜リン酸及びその塩;
【0092】
- 有機塩素化合物:チオファネートメチル(thiophanate methyl)、クロロタロニル(chlorothalonil)、ジクロフルアニド(dichlofluanid)、トリルフルアニド(tolylfluanid)、フルスルファミド(flusulfamide)、フタリド(phthalide)、ヘキサクロルベンゼン、ペンシクロン(pencycuron)、キントゼン(quintozene);
【0093】
- ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル(binapacryl)、ジノカップ(dinocap)、ジノブトン(dinobuton);
【0094】
- 無機活性成分:ボルドー液(Bordeaux broth)、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅、硫黄;
【0095】
- 上記以外の殺菌成分:スピロキサミン(spiroxamine)、シフルフェナミド(cyflufenamid)、シモキサニル(cymoxanil)、メトラフェノン(metrafenone)。
【0096】
C.除草成分
【0097】
C.1.脂質の生合成を阻害する化合物、例えば、クロラジホップ(chlorazifop)、クロジナホップ(clodinafop)、クロホップ(clofop)、シハロホップ(cyhalofop)、シクロホップ(ciclofop)、フェノキサプロップ(fenoxaprop)、フェノキサプロップp、フェンチアプロップ(fenthiaprop)、フルアジホップ(fluazifop)、フルアジホップP、ハロキシホップ(haloxyfop)、ハロキシホップP、イソキサピリホップ(isoxapyrifop)、メタミホップ(metamifop)、プロパキザホップ(propaquizafop)、キザロホップ(quizalofop)、キザロホップP、トリホップ(trifop)、アロキシジム(alloxydim)、ブトロキシジム(butroxydim)、クレトジム(clethodim)、クロプロキシジム(cloproxydim)、シクロキシジム(cycloxydim)、プロホキシジム(profoxydim)、セトキシジム(sethoxydim)、テプラロキシジム(tepraloxydim)、トラルコキシジム(tralkoxydim)、ブチレート(butylate)、シクロエート(cycloat)、ジアレート(diallat)、ジメピペレート(dimepiperat)、EPTC、エスプロカルブ(esprocarb)、エチオレート(ethiolate)、イソポリネート(isopolinate)、メチオベンカルブ(methiobencarb)、モリネート(molinate)、オルベンカルブ(orbencarb)、ペブレート(pebulate)、プロスルホカルブ(prosulfocarb)、スルファレート(sulfallat)、チオベンカルブ(thiobencarb)、チオカルバジル(thiocarbazil)、トリアレート(triallat)、ベルノレート(vernolat)、ベンフレセート(benfuresat)、エトフメセート(ethofumesat)及びベンスリド(bensulid);
【0098】
C.2.アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害剤、例えば、アミドスルフロン(amidosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、ベンスルフロン(bensulfuron)、クロリムロン(chlorimuron)、クロルスルフロン(chlorsulfuron)、シノスルフロン(cinosulfuron)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、エタメツルフロン(ethametsulfuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、フラザスルフロン(flazasulfuron)、フルピルスルフロン(flupyrsulfuron)、ホラムスルフロン(foramsulfuron)、ハロスルフロン(halosulfuron)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、ヨードスルフロン(iodosulfuron)、メソスルフロン(mesosulfuron)、メトスルフロン(metsulfuron)、ニコスルフロン(nicosulfuron)、オキサスルフロン(oxasulfuron)、プリミスルフロン(primisulfuron)、プロスルフロン(prosulfuron)、ピラゾスルフロン(pyrazosulfuron)、リムスルフロン(rimsulfuron)、スルホメツロン(sulfometuron)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、チフェンスルフロン(thifensulfuron)、トリアスルフロン(triasulfuron)、トリベヌロン(tribenuron)、トリフロキシスルフロン(trifloxysulfuron)、トリフルスルフロン(triflusulfuron)、トリトスルフロン(tritosulfuron)、イマザメタベンズ(imazamethabenz)、イマザモックス(imazamox)、イマザピック(imazapic)、イマザピル(imazapyr)、イマザキン(imazaquin)、イマゼタピル(imazethapyr)、クロランスラム(cloransulam)、ジクロスラム(diclosulam)、フロラスラム(florasulam)、フルメツラム(flumetsulam)、メトスラム(metosulam)、ペノクスラム(penoxsulam)、ビスピリバック(bispyribac)、ピリミノバック(pyriminobac)、プロポキシカルバゾン(propoxycarbazone)、フルカルバゾン(flucarbazone)、ピリベンゾキシム(pyribenzoxim)、ピリフタリド(pyriftalid)及びピリチオバック(pyrithiobac);
【0099】
C.3.光合成を阻害する化合物、例えば、アトラトン(atraton)、アトラジン(atrazine)、アメトリン(ametryne)、アジプロトリン(aziprotryne)、シアナジン(cyanazine)、シアナトリン(cyanatryn)、クロラジン(chlorazine)、シプラジン(cyprazine)、デスメトリン(desmetryne)、ジメタメトリン(dimethametryne)、ジプロペトリン(dipropetryn)、エグリナジン(eglinazine)、イパジン(ipazine)、メソプラジン(mesoprazine)、メトメトン(methometon)、メトプロトリン(methoprotryne)、プロシアジン(procyazine)、プログリナジン(proglinazine)、プロメトン(prometon)、プロメトリン(prometryne)、プロパジン(propazine)、セブチラジン(sebuthylazine)、セクブメトン(secbumeton)、シマジン(simazine)、シメトン(simeton)、シメトリン(simetryne)、テルブメトン(terbumeton)、テルブチラジン(terbuthylazine)及びテルブトリン(terbutryne);
【0100】
C.4.プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ阻害剤、例えば、アシフルオルフェン(acifluorfen)、ビフェノックス(bifenox)、クロメトキシフェン(cchlomethoxyfen)、クロルニトロフェン(chlornitrofen)、エトキシフェン(ethoxyfen)、フルオロジフェン(fluorodifen)、フルオログリコフェン(fluoroglycofen)、フルオロニトロフェン(fluoronitrofen)、ホメサフェン(fomesafen)、フリロキシフェン(furyloxyfen)、ハロサフェン(halosafen)、ラクトフェン(lactofen)、ニトロフェン(nitrofen)、ニトロフルオルフェン(nitrofluorfen)、オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)、フルアゾレート(fluazolate)、ピラフルフェン(pyraflufen)、シニドンエチル(cinidon-ethyl)、フルミクロラック(flumiclorac)、フルミオキサジン(flumioxazin)、フルミプロピン(flumipropyn)、フルチアセット(fluthiacet)、チジアジミン(thidiazimin)、オキサジアゾン(oxadiazon)、オキサジアルギル(oxadiargyl)、アザフェニジン(azafenidin)、カルフェントラゾン(carfentrazone)、スルフェントラゾン(sulfentrazone)、ペントキサゾン(pentoxazone)、ベンズフェンジゾン(benzfendizone)、ブタフェナシル(butafenacil)、ピラクロニル(pyraclonil)、プロフルアゾール(profluazol)、フルフェンピル(flufenpyr)、フルプロパシル(flupropacil)、ニピラクロフェン(nipyraclofen)及びエトニプロミド(etnipromid);
【0101】
C.5.その他の除草成分、例えば、メトフルラゾン(metflurazon)、ノルフルラゾン(norflurazon)、フルフェニカン(flufenican)、ジフルフェニカン(diflufenican)、ピコリナフェン(picolinafen)、ベフルブタミド(beflubutamid)、フルリドン(fluridone)、フルロクロリドン(flurochloridone)、フルルタモン(flurtamone)、メソトリオン(mesotrione)、スルコトリオン(sulcotrione)、イソキサクロルトール(isoxachlortole)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、ピラゾリネート(pyrazolynate)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、アミトロール(amitrole)、クロマゾン(clomazone)、アクロニフェン(aclonifen)、及び4-(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)ピリミジン。
【0102】
さらに上記以外の除草成分としては以下が挙げられる:
【0103】
C.6.シキミ酸経路酵素(EPSPシンターゼ)阻害剤、例えば、グリホサート(glyphosate);
【0104】
C.7.グルタミンシンターゼ阻害剤、例えば、グルホシネート(glufosinate)及びビラナホス(bilanaphos);
【0105】
C.8.ジヒドロプテロイン酸(DHP)シンターゼ阻害剤、例えば、アシュラム(asulam);
【0106】
C.9.有糸分裂阻害剤、例えば、ベンフルラリン(benfluralin)、ブトラリン(butralin)、ジニトラミン(dinitramine)、エタルフルラリン(ethalfluralin)、フルクロラリン(fluchloralin)、イソプロパリン(isopropalin)、メタルプロパリン(methalpropalin)、ニトラリン(nitralin)、オリザリン(oryzalin)、ペンジメタリン(pendimethalin)、プロジアミン(prodiamine)、プロフルラリン(profluralin)、トリフルラリン(trifluralin)、アミプロホスメチル(amiprofos-methyl)、ブタミホス(butamifos)、ジチオピル(dithiopyr)、チアゾピル(thiazopyr)、プロピザミド(propyzamide)、テブタム(tebutam)、クロルタール(chlorthal)、カルベタミド(carbetamide)、クロルブファム(chlorbufam)、クロルプロファム(chlorpropham)及びプロファム(propham);
【0107】
C.10.超長鎖脂肪酸(VLCFA)阻害剤、例えば、アセトクロル(acetochlor)、アラクロル(alachlor)、ブタクロル(butachlor)、ブテナクロル(butenachlor)、デラクロル(delachlor)、ジエタチル(diethatyl)、ジメタクロル(dimethachlor)、ジメテナミド(dimethenamid)、ジメテナミドP、メタザクロル(metazachlor)、メトラクロル(metolachlor)、S-メトラクロル、プレチラクロル(pretilachlor)、プロパクロル(propachlor)、プロピソクロル(propisochlor)、プリナクロル(prynachlor)、テルブクロル(terbuchlor)、テニルクロル(thenylchlor)、キシラクロル(xylachlor)、アリドクロル(allidochlor)、CDEA、エプロナズ(epronaz)、ジフェナミド(diphenamid)、ナプロパミド(napropamide)、ナプロアニリド(naproanilide)、ペトキサミド(pethoxamid)、フルフェナセット(flufenacet)、メフェナセット(mefenacet)、フェントラザミド(fentrazamide)、アニロホス(anilofos)、ピペロホス(piperophos)、カフェンストロール(cafenstrole)、インダノファン(indanofan)及びトリジファン(tridiphan);
【0108】
C.11.セルロース生合成阻害剤、例えば、ジクロベニル(dichlobenil)、クロルチアミド(chlorthiamid)、イソキサベン(isoxaben)及びフルポキサム(flupoxam);
【0109】
C.12.さらに上記以外の除草成分、例えば、ジノフェナート(dinofenat)、ジノプロップ(dinoprop)、ジノサム(dinosam)、ジノセブ(dinoseb)、ジノテルブ(dinoterb)、4,6-ジニトロ-o-クレゾ-ル(DNOC)、エチノフェン(etinofen)及びメジノテルブ(medinoterb);
【0110】
C.13.オーキシン除草剤、例えば、クロメプロップ(clomeprop)、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、4-クロロ-2-メチルフェノキシ酢酸(MCPA)、S-エチル(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)チオアセタート(MCPAチオエチル)、ジクロルプロップ(dichlorprop)、ジクロルプロップP、メコプロップ(mecoprop)、メコプロップP、4-(2,4-ジクロロフェノキシ)酪酸(2,4-DB)、4-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)酪酸(MCPB)、クロラムベン(chloramben)、ジカンバ(dicamba)、2,3,6-トリクロロ安息香酸(2,3,6-TBA)、トリカンバ(tricamba)、キンクロラック(quinclorac)、キンメラック(quinmerac)、クロピラリド(clopyralid)、フルロキシピル(fluroxypyr)、ピクロラム(picloram)、トリクロピル(triclopyr)及びベナゾリン(benazolin);
【0111】
C.14.オーキシン輸送阻害剤、例えば、ナプタラム(naptalam)、ジフルフェンゾピル(diflufenzopyr);
【0112】
C.15.さらに上記以外の除草成分:ベンゾイルプロップ(benzoylprop)、フラムプロップ(flamprop)、フラムプロップM、ブロモブチド(bromobutide)、クロルフルレノール(chlorflurenol)、シンメチリン(cinmethylin)、メチルジムロン(methyldymron)、エトベンザニド(etobenzanid)、ホサミン(fosamine)、メタム(metam)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone)、ダゾメット(dazomet)、トリアジフラム(triaziflam)及び臭化メチル。
【0113】
D.薬害軽減剤
【0114】
「薬害軽減剤」は除草剤と組み合わせることで、除草剤の適合性を高められる。「薬害軽減剤」は解毒剤またはアンタゴニストとして作用する。「薬害軽減剤」は植物の損傷を抑制する。
【0115】
ベノキサコル(benoxacor)、クロキントセット(cloquintocet)、シオメトリニル(cyometrinil)、ジクロルミド(dichlormid)、ジシクロノン(dicyclonon)、ジエトレート(dietholate)、フェンクロラゾール(fenchlorazole)、フェンクロリム(fenclorim)、フルラゾール(flurazole)、フルキソフェニム(fluxofenim)、フリラゾール(furilazole)、イソキサジフェン(isoxadifen)、メフェンピル(mefenpyr)、メフェネート(mephenate)、無水ナフタル酸、2,2,5-トリメチル-3-(ジクロロアセチル)-1,3-オキサゾリジン(R-29148)、4-(ジクロロアセチル)-1-オキサ-4-アザスピロ[4.5]デカン(AD-67; MON 4660)及びオキサベトリニル(oxabetrinil)。
【0116】
E.植物に対する成長調節作用を有する化合物
【0117】
1-ナフチルアセトアミド、1-ナフチル酢酸、2-ナフチルオキシ酢酸、2-(3-クロロフェノキシ)プロパンアミド(3-CPA)、4-クロロフェノキシ酢酸(4-CPA)、アンシミドール(ancymidol)、アントラキノン、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、ブチホス(butifos);トリブホス(tribufos)、ブトラリン(butralin)、クロルフルレノール(chlorflurenol)、クロルメコート(chlormequat)、クロフェンセット(clofencet)、シクラニリド(cyclanilide)、ダミノジド(daminozide)、ジカンバ(dicamba)、ジケグラックナトリウム(dikegulac sodium)、ジメチピン(dimethipin)、クロルフェネトール(chlorfenethol)、エタセラシル(etacelasil)、エテホン(ethephon)、エチクロゼート(ethychlozate)、フェノプロップ(fenoprop)、2-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)プロピオン酸(2,4,5-TP)、フルオリダミド(fluoridamid)、フルルプリミドール(flurprimidol)、フルトリアホール(flutriafol)、ジベレリン酸、ジベレリン、グアザチン(guazatin)、イマザリル(imazalil)、インドリル酪酸、インドリル酢酸、カレタザン(karetazan)、キネチン(kinetin)、ラクチジクロルエチル(lactidichlor-ethyl)、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド(mefluidide)、メピコートクロリド(mepiquat-chlorid)、ナプタラム(naptalam)、パクロブトラゾール(paclobutrazole)、プロヘキサジオンカルシウム(prohexadione calcium)、キンメラック(quinmerac)、シントフェン(sintofen)、テトシクラシス(tetcyclacis)、チジアズロン(thidiazuron)、トリヨード安息香酸、トリアペンテノール(triapenthenol)、トリアゼタン(triazethan)、トリブホス(tribufos)、トリネキサパックエチル(trinexapacethyl)、ウニコナゾール(uniconazole)。
【0118】
上記以外にも、農薬成分の具体例として、「農薬ハンドブック2021年版」(社団法人 日本植物防疫協会)、「農薬便覧(第10版)」(農山漁村文化協会)、「クミアイ農薬総覧2022」(全国農村教育協会)などに記載のものが挙げられる。また、ここに記載のない農薬成分でも、本開示の目的を達成しうるものであれば使用することができる。
【0119】
<多糖高分子>
本実施形態で用いられる多糖高分子は、生分解性を考慮して、キチン、キトサン及びセルロースの少なくともいずれかを含むことが好ましい。中でも、バイオスティミュラント効果が期待できるキチン、キトサンの少なくともいずれかを含むことがより好ましい。多糖高分子は、乳化安定性の観点から、ファイバー化することが望ましい。多糖高分子ファイバーの調製法としては、多糖高分子と水を混合し、高圧ホモジナイザー処理もしくはビーズミル分散処理を行うことでファイバーを調製することができる。ファイバーの状態は、透過型電子顕微鏡で観察することができ、幅が10~100nm、長さは500nm以上であることが乳化安定性の観点から望ましい。
【0120】
<無機粒子>
本実施形態に係るピッカリングエマルションでは、さらに無機粒子を使用することを特徴とする。無機粒子としては、金属炭酸塩もくしは金属酸化物である。なお、金属炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム(溶解度15mg/L H2O、25℃、1気圧)が挙げられる。また、金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(溶解度1.6mg/L H2O、28℃、1気圧)、酸化鉄、酸化銅、二酸化チタン、酸化アルミニウム及びシリカ(溶解度12mg/100g H2O、20℃、1気圧)の少なくともいずれかを用いることができる。これら無機粒子の分散処理を行うことで、油相への吸着が促進され、乳化が安定化しやすくなる。無機粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡で確認することができ、乳化安定性の観点から、10nm~100nmであることが望ましい。
【0121】
<油相成分>
本実施形態に係るピッカリングエマルションの油相成分に使用する有機溶剤・油状物質は、通常農薬として用いられるものであれば使用できる。例えば、エタノール、イソプロパノール、1-ブタノール、酢酸、無水酢酸、アセトフェノン、オレイン酸メチル、植物油、鉱物油、パラフィン油、ケロシン、高級アルコール、シクロヘキサノール、γ―ブチルラクトン、脂肪酸メチルエステル、メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロアニリン、ノルマルパラフィン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトニトリル、キシレン、灯油、マシン油などが挙げられる。中でも環境への影響を鑑みて、植物油及び鉱物油の少なくともいずれかを含むことが好ましい。植物油としては、例えば、ナタネ油、ダイズ油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、コーン油、アマニ油、ヤシ油、アザミ油、サフラワー油、ごま油及びヒマシ油等が挙げられる。鉱物油としては、例えば、パラフィン油、ケロシン、マシン油などが挙げられる。
【0122】
<その他の農薬補助剤>
本実施形態に係るピッカリングエマルションは、他の液体の農薬製剤(水和剤、乳剤、水溶剤、液剤など)と混合使用すること、さらに通常の農薬製剤において用いられる農薬補助剤を必要に応じて含有することができる。かかる農薬補助剤としては、例えば、増粘剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤が挙げられる。本実施形態に係るピッカリングエマルションは、界面活性剤のエマルションに比べ、界面の吸着が強固であるため乳化安定性に優れており、他の製剤や添加剤との混合時のショック及び乳化の崩壊が起きにくい。
【0123】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、アラビノガラクタン、ペクチン、ローカストビーンガム、タラガム、グアガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、カシアガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム塩等の天然多糖類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩及びその誘導体が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0124】
凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0125】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸一水和物、酢酸、ソルビン酸等のカルボン酸及びその塩、リン酸及びその塩、ホウ酸及びその塩が挙げられる。
【0126】
防腐剤としては、例えば、ブチルパラベン(n-ブチルパラヒドロキシベンゾエート) 、ソルビン酸及びソルビン酸カリウム、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが挙げられる。
【0127】
<ピッカリングエマルションの調製>
【0128】
図3は、本実施形態に係るピッカリングエマルションの調製フローの一例を示す。このフローでは、油水界面を構成する多糖高分子の一例としてキチンを選択する。油水界面を構成する金属炭酸塩の一例として炭酸カルシウムを選択する。キチンの原体と炭酸カルシウムの原体とをビーズ分散すなわちビーズの激突の衝撃により水相中で粉砕する。なお、ビーズ分散の代わりに高圧ホモジナイザーを用いて局所的な圧力を負荷することで各原体に衝撃を与えてもよい。以上により、水相中にキチンのファイバーと炭酸カルシウムの粒子とが分散している分散体を得る。
【0129】
ここで、図4に、それぞれ個別に粉砕されたキチンの原体及び炭酸カルシウム(炭酸Ca)の原体の透過型電子顕微鏡での観察像を示す。上段に示すようにキチンの原体は長さ500nm以上のサイズを有していた。これらの原体はビーズ分散により粉砕されて、長さ500nm以下のサイズのファイバーとなった。以上によりキチンのファイバーが水相中に分散する分散体が得られた。下段に示すように炭酸カルシウムの原体は長径500nm以上のサイズを有していた。これらの原体はビーズ分散により粉砕されて、長径500nm以下のサイズの粒子となった。以上により無機粒子が水相中に分散する分散体が得られた。
【0130】
次に、図3のフローに示すように、油相を構成する油の一例としてダイズ油を選択する。農薬成分と油とを、より詳しくは、農薬成分を溶解したダイズ油を、水相中に加えてホモジナイズする。農薬成分を含有するダイズ油は水相中に油滴として分散する。水相の分散体中のキチンのファイバーと炭酸カルシウムの粒子とが油水界面を構築する。
【0131】
ホモジナイズの手法としては、ホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー、音波分散機、二本ロール、三本ロール、円盤ブレード混練分散機等など公知の乳化手法を用いることができる。図3では、ホモジナイザーを用いてホモジナイズを行った例を示している。
【0132】
ここで、図5に、上記調製フローにより調製できる、本実施形態に係るピッカリングエマルションの顕微鏡観察像の一例を示す。当該例では、撮像範囲に示す油滴(乳化粒子)の大部分が直径50μm以下となっている。
【0133】
なお、図6に示すピッカリングエマルションの調製フローの他の例のように、以下の調製フローにより、本実施形態に係るピッカリングエマルションを調製してもよい。より具体的には、まず、キチンの原体と、炭酸カルシウムの原体と、農薬成分を溶解したダイズ油とを水相中にひとまとめにする。これらをビーズ分散すなわちビーズの衝撃により水相中でホモジナイズする。なお、ビーズ分散の代わりに高圧ホモジナイザーを用いて水相中に局所的な圧力を負荷することでその衝撃により上記材料をホモジナイズしてもよい。ホモジナイズと並行して、衝撃によりキチンの原体と炭酸カルシウムの原体とを粉砕する。以上の操作により、本実施形態に係るピッカリングエマルションを調製することもできる。
【0134】
水相(多糖高分子・分散体と無機粒子・分散体の総和)と油相の比率としては、水相/油相=50/50~95/5の比率が望ましい。当該比率が50/50以上であれば、油相の配合割合を適切な量に調整し易く、界面を安定化する成分が十分存在するため、乳化安定性に優れる。一方、当該比率が95/5以下であれば、農薬成分が溶解している油相の配合割合が適切な量となり、その結果、製剤中に含有する農薬成分の量も適切な量となり、十分な農薬活性効果を容易に得ることができる。
【実施例0135】
以下、本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「質量部」を意味する。
【0136】
(平均一次粒子径の測定)
得られた農薬活性成分微粒子の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM-1200EX」(商品名))を用い、10万倍での観察試料中の全農薬活性成分微粒子の一次粒子径を計測してその平均値を用いた。なお、粒子形状が球状でない場合は、長径と短径を計測し、(長径+短径)/2により求められる値を粒子径とした。
【0137】
<多糖高分子・分散体の調製>
【0138】
(多糖高分子・分散体T-1の調製)
キチン2質量部、精製水98質量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」(商品名))で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、多糖高分子・分散体T-1を得た。
【0139】
(多糖高分子・分散体T-2の調製)
キチン2質量部、精製水98質量部を混合し、高圧式ホモジナイザー(スギノマシン社製「スターバーストミニ」(商品名))を用いて100MPaの高圧処理を10回行い、多糖高分子・分散体T-2を得た。
【0140】
(多糖高分子・分散体T-3の調製)
キトサン2質量部、精製水98質量部を混合し、高圧式ホモジナイザー(スギノマシン社製「スターバーストミニ」(商品名))を用いて100MPaの高圧処理を10回行い、多糖高分子・分散体T-3を得た。
【0141】
(多糖高分子・分散体T-4の調製)
セルロース2質量部、精製水98質量部を混合し、高圧式ホモジナイザー(スギノマシン社製「スターバーストミニ」(商品名))を用いて100MPaの高圧処理を10回行い、多糖高分子・分散体T-4を得た。
【0142】
<無機粒子・分散体の調製>
【0143】
(無機粒子・分散体M-1の調製)
炭酸カルシウム2質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.2質量部、精製水97.8質量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」(商品名))で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、無機粒子・分散体M-1を得た。
【0144】
(無機粒子・分散体M-2の調製)
酸化亜鉛2質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.2質量部、精製水97.8質量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」(商品名))で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、無機粒子・分散体M-2を得た。
【0145】
<農薬成分含有油相の調製>
【0146】
(農薬成分含有油相Y-1の調製)
難水溶性農薬成分:ブプロフェジン2質量部、ダイズ油98質量部を混合し、ディスパーで2時間攪拌して、農薬成分含有油相Y-1を調製した。
【0147】
(農薬成分含有油相Y-2の調製)
難水溶性農薬成分:ブプロフェジン2質量部、なたね油98質量部を混合し、ディスパーで2時間攪拌して、農薬成分含有油相Y-2を調製した。
【0148】
(農薬成分含有油相Y-3の調製)
難水溶性農薬成分:ブプロフェジン2質量部、マシン油98質量部を混合し、ディスパーで2時間攪拌して、農薬成分含有油相Y-3を調製した。
【0149】
<ピッカリングエマルションの調製>
【0150】
[実施例1]
(ピッカリングエマルションP-1の調製)
多糖高分子・分散体T-1を37.5質量部、無機粒子・分散体M-1を37.5質量部、農薬成分含有油相Y-1を25質量部混合し、攪拌式ホモジナイザー(エムテクニック社製「クレアミックス CLM-0.8S」(商品名))を用いて、ホモジナイザー処理を2時間行い、ピッカリングエマルションP-1を得た。
【0151】
[実施例2~7・比較例1~2]
(ピッカリングエマルションP-2~9の調製)
多糖高分子・分散体、無機粒子・分散体、農薬成分含有油相の種類及び量を、下記表1に記載の数値に変更した他は、実施例1と同様の手法で、ピッカリングエマルションを調製した。
【0152】
【表1】
【0153】
[実施例8]
キチンを1.5質量部、炭酸カルシウムを1.5質量部、農薬成分含有油相Y-1を25質量部、精製水を72質量部混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」(商品名))で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、ピッカリングエマルションP-10を得た。
【0154】
[実施例9]
キチンを1.5質量部、炭酸カルシウムを1.5質量部、農薬成分含有油相Y-1を25質量部、精製水を72質量部混合し、高圧式ホモジナイザー(スギノマシン社製「スターバーストミニ」(商品名))を用いて100MPaの高圧処理を10回行った後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、ピッカリングエマルションP-11を得た。
【0155】
[実施例10](乾燥粉末製剤)
ピッカリングエマルションP-1に関して、スプレードライヤー(BUCHI社製「B-290」(商品名))を用いて120℃で噴霧乾燥(スプレードライ)を実施し、水を乾燥させることでピッカリングエマルションの乾燥粉末P-12を得た。この粉末製剤25gと水75gを混合し、ディスパーで攪拌することで、P-12は分散質として水に再分散しており、本実施形態に係るピッカリングエマルションは、粉末製剤化した後、再度水性製剤化することが可能であることが分かった。
【0156】
[比較例3](通常の水性懸濁液製剤)
ブプロフェジンを10質量部、リグニンスルホン酸カルシウムを1質量部、精製水を89質量部混合し、高圧式ホモジナイザー(スギノマシン社製「スターバーストミニ」(商品名))を用いて100MPaの高圧処理を10回行った後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、農薬製剤N-1を得た。
【0157】
[比較例4](通常のエマルション製剤)
農薬成分含有油相Y-1を25質量部、界面活性剤:ドデシル硫酸ナトリウムを1質量部、精製水を74質量部混合し、高圧式ホモジナイザー(スギノマシン社製「スターバーストミニ」(商品名))を用いて100MPaの高圧処理を10回行った後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、農薬製剤N-2を得た。
【0158】
<ピッカリングエマルションの粒度分布評価>
調製したピッカリングエマルションに関し、粒度分布の評価を行った。粒度分布は、レーザ回折式粒子径分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD-2300(商品名))を用いて、ピッカリングエマルションの粒子径(50%メジアン径)を測定した。
【0159】
<ピッカリングエマルションの乳化保存安定性評価>
調製したピッカリングエマルションを、温度:25℃、相対湿度:60%RHの環境で7日保管し、レーザ回折式粒子径分布測定装置により粒子径(10、50、90%メジアン径)を測定して、ピッカリングエマルションの乳化保存安定性評価を行った。また、目視にて乳化粒子の沈降・クリーミング(乳化粒子の浮遊)安定性の確認を行った。その評価基準を下に示す。
(沈降・クリーミング安定性の評価基準)
〇:目視にて沈降及びクリーミングなし
△:やや沈降及び/又はクリーミングあり
×:沈降及び/又はクリーミングあり
【0160】
ピッカリングエマルションの粒度分布・乳化安定性の評価結果を下記表2に示す。
【0161】
【表2】
【0162】
本実施形態に係るピッカリングエマルションは、既存の水性懸濁製剤(比較例3)やエマルション製剤(比較例4)より、安定性が優れている結果であった。また、多糖高分子と無機粒子を併用することで、乳化粒径が微細かつ安定性が向上していた。(実施例1、2と比較例1を対比)。乳化粒径の観点からは、実施例8、9で示すように、多糖高分子と無機粒子油相を混合しビーズ分散もしくはホモジナイザー処理したものが微細な傾向であった。
【0163】
<圃場での試験>
【0164】
次に、本実施形態に係るピッカリングエマルションがバイオスティミュラント効果を有するか、検証を行った。
【0165】
<試験例>
(コマツナの収穫量に及ぼす影響)
ビニールハウス内にてテラポット(内径11.5cm、高さ9.5cm)を用意し、1試験区あたり2ポットの並行試験とした。ピートモス/赤玉土中粒/パーライトを4/3/3の量比で混合し、苦土石灰でpHを5.9に調整することで供試土壌を調製した。ポットに500mLの供試土壌を充填し、1gのマグァンプK(ハイポネックス社製)を投入、よく混合した。更に、下記表3に示す所定量で、実施例1及び比較例3で調製したピッカリングエマルションP-1もしくはN-1を投入し、よく混合した。ポット当たり20粒のコマツナ種子を、ピンセットを使用して等間隔に播種した。試験期間中の栽培管理は、常時潅水により行った。子葉展開後、1ヶ月経過時点で最終調査を行った。最終調査では地上部の生体重を測定した。全試験区において、供試資材による障害や、異物による薬害等は確認されなかった。表3に、各試験区の地上部生体重(g/株)を示す。なお、対照区では、いずれの農薬も使用しなかった。
【0166】
【表3】
【0167】
表3に示す結果より、本実施形態に係るピッカリングエマルションは、バイオスティミュラント効果を有することが判明し、油相に溶解した農薬成分の農薬薬効も併せ持った多機能性農薬製剤であると言える。
【符号の説明】
【0168】
10 ピッカリングエマルション、 11 水相、 12 油滴、 13 ファイバー、 14 無機粒子、 15 農薬成分、 17 油滴、 20 比較用のピッカリングエマルション
図1
図2
図3
図4
図5
図6