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2024-134297ハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134297
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/16 20160101AFI20240926BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20240926BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20240926BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20240926BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20240926BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20240926BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B60W20/16
B60K6/46 ZHV
B60W10/06 900
B60W10/08 900
F01N3/20 D
F02D29/02 321B
F02D45/00 360A
F02D45/00 360Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044526
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 高弘
(72)【発明者】
【氏名】石田 公雄
(72)【発明者】
【氏名】森本 博貴
(72)【発明者】
【氏名】砂流 雄剛
(72)【発明者】
【氏名】小川 皓大
(72)【発明者】
【氏名】宮本 亨
(72)【発明者】
【氏名】橋坂 明
(72)【発明者】
【氏名】若山 敬平
(72)【発明者】
【氏名】横山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 竜大
【テーマコード(参考)】
3D202
3G091
3G093
3G384
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB09
3D202CC04
3D202CC43
3D202CC47
3D202DD01
3D202DD05
3D202DD17
3D202DD18
3D202DD22
3D202DD45
3D202DD46
3D202DD47
3D202DD48
3G091AA14
3G091BA02
3G091CA01
3G091EA16
3G091EA18
3G091EA27
3G091EA28
3G091EA39
3G091FA04
3G093AA07
3G093BA02
3G093CA02
3G093CA03
3G093DA05
3G093DB05
3G093DB19
3G093EA03
3G093FA10
3G384AA28
3G384CA02
3G384CA03
3G384DA15
3G384EE32
3G384FA28Z
3G384FA46Z
3G384FA66Z
3G384FA79Z
(57)【要約】
【課題】車速に応じて回転数を切替可能なエンジンを有するハイブリッド車両において、運転者に違和感を与えにくくする。
【解決手段】PCM60は、排気触媒36を暖機状態にするための暖機運転において、車速に応じて設定されかつそれぞれ異なる回転数に設定された複数の回転数領域のうち、現在の車速が属する回転数領域に設定された回転数となるように、エンジン6の回転数を設定する。各回転数領域に設定された回転数は、車両1の車速が高いときの方が、車両1の車速が低いときと比べて高回転に設定されており、減速運転時において一の回転数領域と他の回転数領域とを切り替える車速は、加速運転時において当該一の回転数領域と当該他の回転数領域とを切り替える車速と比較して低く設定されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置であって、
前記車両の駆動源としての駆動用モータと、
前記駆動用モータに供給する電力が蓄積されたバッテリと、
発電電力を前記駆動用モータ又は前記バッテリに供給するジェネレータと、
前記ジェネレータを作動させるエンジンと、
前記エンジンに設けられ、排気ガスを浄化する排気触媒と、
前記駆動用モータ、前記ジェネレータ、及び前記エンジンを制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
排気触媒が暖機状態であるか未暖機状態であるかを判定し、
前記エンジンの作動要求がありかつ前記排気触媒が前記未暖機状態であるときに、前記排気触媒を前記暖機状態にするための暖機運転を実行し、
前記暖機運転において、車速に応じて設定されかつそれぞれ異なる回転数に設定された複数の回転数領域のうち、現在の車速が属する回転数領域に設定された回転数となるように、前記エンジンの回転数を設定する、
ように構成され、
前記各回転数領域に設定された回転数は、前記車両の車速が高いときの方が、前記車両の車速が低いときと比べて高回転に設定されており、
車速を減少させる減速運転時において一の回転数領域と他の回転数領域とを切り替える減速時切替車速は、車速を増加させる加速運転時において当該一の回転数領域と当該他の回転数領域とを切り替える加速時切替車速と比較して低く設定されていることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置において、
前記コントローラは、前記暖機運転において、車速が、前記減速時切替車速以上でかつ前記加速時切替車速未満の状態で、前記加速運転と前記減速運転とが切り替えられたときには、前記エンジンの回転数を切り替えずに現在の回転数を維持することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置において、
前記加速時切替車速は、前記バッテリのSOCが低いときには該バッテリのSOCが高いときと比較して低く設定されていることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置において、
前記加速時切替車速は、前記バッテリの温度が低いときには該バッテリの温度が高いときと比較して低く設定されていることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置において、
前記加速運転時における前記回転数領域は、相対的に回転数が高い高回転数領域と、該高回転数領域の回転数よりも低い回転数に設定された低回転数領域とを含み、
前記高回転数領域への前記加速時切替車速は、前記低回転数領域への前記加速時切替車速よりも低く、
前記コントローラは、前記加速運転時において、前記バッテリのSOCが高くかつ該バッテリの温度が高い高出力状態のときには、車速が前記高回転数領域に属した時から前記暖機運転を実行すべく前記エンジンを始動させる一方で、前記バッテリのSOCが低くかつ該バッテリの温度が低い前記低出力状態のときには、車速が前記低回転数領域に属する時から前記暖機運転を実行すべく前記エンジンを始動させることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置において、
前記コントローラは、前記バッテリが前記高出力状態のときには、車速が前記高回転数領域に属して前記エンジンを始動させた後、前記加速運転から前記減速運転に切り替えられて、車速が前記低回転数領域に属したときには、前記エンジンの回転数を低下させて前記暖機運転を継続することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置において、
前記回転数領域は、相対的に低回転数に設定された低回転数領域と、相対的に高回転数に設定された高回転数領域と、前記低回転数領域と前記高回転数領域との間の回転数に設定された中回転数領域と、を含み、
前記減速運転時における前記中回転数領域の範囲は、前記加速運転時における前記中回転数領域の範囲よりも広いことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、ハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ジェネレータを発電するためのエンジンを備えたハイブリッド車両が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電動モータに電力を供給するバッテリと、バッテリを充電するための発電用のエンジンと、エンジンから排出される排ガスを処理する触媒と、触媒の温度が触媒を活性化させるための閾値温度よりも低くなると触媒暖機指令信号を送信する触媒暖機指令部と、触媒暖機指令信号を受信するとエンジンの目標回転数を触媒の温度が閾値温度よりも高い温度に加熱可能な第1暖機要求回転数に制御することで触媒暖機制御を行うエンジン制御部と、を備えるハイブリッド車両の触媒暖機制御装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の触媒暖機制御装置では、第1暖機要求回転数を、車速が高いときは車速が低いときと比べて高く設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/116589号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1において、カーブなどの減速運転と加速運転とを繰り返すシーンにおいて、車速が第1暖機要求回転数を切り替える車速に近いときには、エンジンの回転数の切り替えが頻繁に発生してしまう。エンジンの回転数の切替頻度が高いと、エンジン音が頻繁に切り替わるため、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0007】
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車速に応じて回転数を切替可能なエンジンを有するハイブリッド車両において、運転者に違和感を与えにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様では、ハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置を対象として、前記車両の駆動源としての駆動用モータと、前記駆動用モータに供給する電力が蓄積されたバッテリと、発電電力を前記駆動用モータ又は前記バッテリに供給するジェネレータと、前記ジェネレータを作動させるエンジンと、前記エンジンに設けられ、排気ガスを浄化する排気触媒と、前記駆動用モータ、前記ジェネレータ、及び前記エンジンを制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、排気触媒が暖機状態であるか未暖機状態であるかを判定し、前記エンジンの作動要求がありかつ前記排気触媒が前記未暖機状態であるときに、前記排気触媒を前記暖機状態にするための暖機運転を実行し、前記暖機運転において、車速に応じて設定されかつそれぞれ異なる回転数に設定された複数の回転数領域のうち、現在の車速が属する回転数領域に設定された回転数となるように、前記エンジンの回転数を設定する、ように構成され、前記各回転数領域に設定された回転数は、前記車両の車速が高いときの方が、前記車両の車速が低いときと比べて高回転に設定されており、車速を減少させる減速運転時において一の回転数領域と他の回転数領域とを切り替える減速時切替車速は、車速を増加させる加速運転時において当該一の回転数領域と当該他の回転数領域とを切り替える加速時切替車速と比較して低く設定されている、という構成とした。
【0009】
この構成によると、暖機運転時において、車両が加速して、車速が加速時切替車速以上になったときには、回転数領域が切り替わって、エンジンの回転数が切り替えられる。その後、車両が減速して、車速が加速時切替車速未満になったとしても、車速が減速時切替車速未満になるまでは、回転数領域が切り替わらないため、エンジンの回転数は切り替えられない。また逆に、車両が減速して、車速が減速時切替車速未満になったときにはエンジンの回転数が切り替えられるが、その後、車両が加速して、車速が減速時切替車速以上になったとしても、車速が加速時切替車速以上になるまでは、エンジンの回転数は切り替えられない。これにより、減速運転と加速運転とを繰り返すシーンにおいて、エンジン回転数の切替頻度が低くなる。この結果、運転者に違和感を与えにくくすることができる。
【0010】
ここに開示された技術の第2の態様では、前記第1の態様において、前記コントローラは、前記暖機運転において、車速が、前記減速時切替車速以上でかつ前記加速時切替車速未満の状態で、前記加速運転と前記減速運転とが切り替えられたときには、前記エンジンの回転数を切り替えずに現在の回転数を維持する。
【0011】
この構成によると、減速運転と加速運転とが切り替えられた際に、エンジンの回転数が切り替えられてしまうのを抑制することができる。これにより、減速運転と加速運転とを繰り返すシーンにおいて、エンジン回転数の切替頻度をより低くすることができ、運転者に違和感をより与えにくくすることができる。
【0012】
ここに開示された技術の第3の態様では、前記第1の態様において、前記加速時切替車速は、前記バッテリのSOCが低いときには該バッテリのSOCが高いときと比較して低く設定されている。
【0013】
この構成によると、バッテリのSOCが低いときには、相対的に低い車速からエンジンの回転数が高回転数に切り替えられる。これにより、排気触媒を早期に暖機状態にして、ジェネレータで適切に発電できる状態にすることができる。この結果、バッテリのSOCを早期に適切な状態にすることができる。
【0014】
ここに開示された技術の第4の態様では、前記第1の態様において、前記加速時切替車速は、前記バッテリの温度が低いときには該バッテリの温度が高いときと比較して低く設定されている。
【0015】
すなわち、バッテリの温度が低いときには、バッテリの出力が低下する。このため、排気触媒を早期に暖機状態にして、ジェネレータで適切に発電できる状態にする必要がある。前記の構成では、バッテリの温度が低いときには、相対的に低い車速からエンジンの回転数が高回転数に切り替えられる。これにより、排気触媒を早期に暖機状態になるため、早期にジェネレータで適切に発電できる状態にすることができる。
【0016】
ここに開示された技術の第5の態様では、前記第1~4の態様のいずれか1つにおいて、前記加速運転時における前記回転数領域は、相対的に回転数が高い高回転数領域と、該高回転数領域の回転数よりも低い回転数に設定された低回転数領域とを含み、前記高回転数領域への前記加速時切替車速は、前記低回転数領域への前記加速時切替車速よりも低く、前記コントローラは、前記加速運転時において、前記バッテリのSOCが高くかつ該バッテリの温度が高い高出力状態のときには、車速が前記高回転数領域に属した時から前記暖機運転を実行すべく前記エンジンを始動させる一方で、前記バッテリのSOCが低くかつ該バッテリの温度が低い前記低出力状態のときには、車速が前記低回転数領域に属する時から前記暖機運転を実行すべく前記エンジンを始動させる。
【0017】
この構成によると、バッテリが高出力状態であるときには、車速が高回転数領域に属する程度に高くなるまでエンジンが駆動されないため、エンジンの作動に伴う騒音を出来る限り抑制することができる。一方で、バッテリが低出力状態であるときには、低回転数領域に属する時からエンジンを駆動させて、暖機運転を行うことで、排気触媒を早期に暖機状態にして、ジェネレータで適切に発電できる状態にすることができる。
【0018】
ここに開示された技術の第6の態様では、前記第5の態様において、前記コントローラは、前記バッテリが前記高出力状態のときには、車速が前記高回転数領域に属して前記エンジンを始動させた後、前記加速運転から前記減速運転に切り替えられて、車速が前記低回転数領域に属したときには、前記エンジンの回転数を低下させて前記暖機運転を継続する。
【0019】
すなわち、エンジンを始動させた後、車速が低下して即座に暖機運転を停止すると、排気触媒の暖機に時間がかかってしまう。前記構成では、エンジンが始動した後は排気触媒の暖機が優先されるため、この後にバッテリのSOCが低下したとしても、ジェネレータで適切に発電することができる。
【0020】
ここに開示された技術の第7の態様では、前記第1の態様において、前記回転数領域は、相対的に低回転数に設定された低回転数領域と、相対的に高回転数に設定された高回転数領域と、前記低回転数領域と前記高回転数領域との間の回転数に設定された中回転数領域と、を含み、前記減速運転時における前記中回転数領域の範囲は、前記加速運転時における前記中回転数領域の範囲よりも広いことを特徴とする。
【0021】
この構成により、減速運転時においてエンジンの回転数を出来る限り高い状態に維持することができるため、排気触媒を出来る限り早期に暖機状態にすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、車速に応じて回転数を切替可能なエンジンを有するハイブリッド車両において、運転者に違和感を与えにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態1に係るエンジン暖機制御装置を有するハイブリッド車両の構成図である。
図2図2は、エンジンシステムの概略図である。
図3図3は、パワートレインの制御系を示す概略図である。
図4図4は、エンジン駆動時の制御処理を示すフローチャートである。
図5図5は、暖機運転時の制御処理を示すフローチャートである。
図6図6は、バッテリSOCとバッテリ温度とで設定された各ゾーンを示すバッテリ状態マップである。
図7図7は、第1ゾーンにおける回転数設定マップである。
図8図8は、第2ゾーンにおける回転数設定マップである。
図9図9は、第3ゾーンにおける回転数設定マップである。
図10図10は、バッテリの状態が第1ゾーンに属する際のAWS制御時の制御処理を示すフローチャートである。
図11図11は、バッテリの状態が第1ゾーンに属する際のAWS制御時の制御処理を示すフローチャートである。
図12図12は、バッテリの状態が第2ゾーンに属する際のAWS制御時の制御処理を示すフローチャートの一部である。
図13図13は、バッテリの状態が第2ゾーンに属する際のAWS制御時の制御処理を示すフローチャートの残部である。
図14図14は、バッテリの状態が第3ゾーンに属する際のAWS制御時の制御処理を示すフローチャートの一部である。
図15図15は、バッテリの状態が第3ゾーンに属する際のAWS制御時の制御処理を示すフローチャートの残部である。
図16図16は、実施形態2に係るエンジン暖機制御装置の第1ゾーンにおける回転数設定マップである。
図17図17は、実施形態2に係るエンジン暖機制御装置の第2ゾーンにおける回転数設定マップである。
図18図18は、実施形態2に係るエンジン暖機制御装置の第3ゾーンにおける回転数設定マップである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
(実施形態1)
〈システム構成〉
図1は、実施形態1に係るハイブリッド車両1(以下、単に車両1という)を概略的に示す。車両1は、シリーズ式のハイブリッド車両である。車両1は、駆動用モータ2と、減速機3と、バッテリ4と、スタータジェネレータ5と、エンジン6と、を備えている。
【0026】
駆動用モータ2は、車両1の主な駆動源である。駆動用モータ2は、バッテリ4から供給される電力によって駆動する電動モータである。駆動用モータ2からの出力は、減速機3を介して駆動輪7(ここでは前輪)に伝達される。
【0027】
バッテリ4は、例えばリチウムイオン電池で構成されている。バッテリ4は、車室の下側に配置されている。
【0028】
スタータジェネレータ5は、エンジン6を始動させるスタータとしての機能と、エンジン6の回転によって発電するジェネレータとしての機能とを有している。スタータジェネレータ5は、エンジン6の始動時には、バッテリ4からの電力により駆動されて、エンジン6をクランキングすることで、エンジン6を始動させる。スタータジェネレータ5により発電された電力は、バッテリ4に供給されて蓄積されるか、又は駆動用モータ2に直接供給される。
【0029】
エンジン6は、スタータジェネレータ5を作動させて発電を行うための発電用エンジンである。エンジン6は、基本的には、車両1の駆動源としては利用されない。
【0030】
エンジン6は、図2に示すように、ロータリエンジン14を備えている。ロータリエンジン14は、トロコイド状の内周面を有するロータハウジング16と、ロータハウジング16の両側にそれぞれ配置された平面状の内面を有するサイドハウジング18と、ロータハウジング16及びサイドハウジング18に囲まれたロータ収容室に収容された概略三角形状のロータ20とを備えている。
【0031】
ロータ20は、その三角形の頂点部に図示しないアペックスシールを有し、これらアペックスシールがロータハウジング16のトロコイド内周面に摺接している。これにより、ロータ20によりロータ収容室内に3つの作動室24(燃焼室に相当)が画成される。ロータ20は、該ロータ20の3つのアペックスシールが各々ロータハウジング16のトロコイド内周面に当接した状態でエキセントリックシャフト22の周りを自転しながら、該エキセントリックシャフト22の軸心周りに公転するようになっている。ロータ20が1回転する間に、該ロータ20の各頂点部間にそれぞれ形成された作動室24が周方向に移動しながら、吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程を行い、これにより発生する回転力がロータ20を介して出力軸としてのエキセントリックシャフト22から出力される。
【0032】
ロータリエンジン14は、燃料を作動室24内に噴射するインジェクタ54と、作動室24内で形成された混合気に着火するための点火プラグ26と、作動室24内に吸気を導入するための吸気ポート28と、排気ガスを作動室24から排出するための排気ポート30と、を有する。インジェクタ54は、ロータハウジング16に取り付けられている。インジェクタ54は、燃料供給通路を介して燃料タンクに接続され(何れも図示省略)、この燃料タンクから燃料が供給されるようになっている。点火プラグ26は、ロータハウジング16に取り付けられている。吸気ポート28及び排気ポート30は、サイドハウジング18に形成されている。吸気ポート28には、吸気通路32が接続されている。吸気(空気)は、吸気通路32を介して作動室24内に導入される。また、排気ポート30には、排気通路34が接続されている。排気ガスは、排気通路34を介して作動室24から排出される。吸気通路32には、スロットルバルブ38が設けられ、さらにその上流側にはエアクリーナ42が設けられている。排気通路34には、排気ガスを浄化する排気触媒36が設けられている。
【0033】
ロータ20は、図2において時計回りに回転する。図2に示す状態では、ロータ20の右上の作動室24において圧縮行程が行われ、右下の作動室24において膨張(爆発)行程が行われている。図2の例では、ロータ20は時計回りに回転するので、作動室24のリーディング側(進み側、つまりロータ回転方向の前方側)とは作動室24の時計回り側(つまりロータ20の右上の作動室24では右下側、右下の作動室24においては左下側)であり、トレーリング側(遅れ側、つまりロータ回転方向の後方側)とは作動室24の反時計回り側(つまりロータ20の右上の作動室24では左上側、右下の作動室24においては右上側)である。
【0034】
さらにロータリエンジン14には、エキセントリックシャフト22の回転角度を検出するエキセントリックシャフト角センサ70が取り付けられている。エキセントリックシャフト角センサ70が検出した回転角度からエキセントリックシャフト22の回転数、つまりロータリエンジン14のエンジン回転数を検出することができる。また、図2では省略しているが、エンジン冷却水の温度(以下、エンジン水温という)を検出する水温センサ71は、ロータリエンジン14に設けられている。
【0035】
エンジン6は、ECM(Engine Control Module)により制御される。ECM62は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラである。ECM62は、1つ又は複数のプロセッサ62a、と各種プログラムを記憶する記憶部62bとを備えている。プロセッサ62aは典型的にCPUであり、記憶部62bは典型的にはROMやRAMである。
【0036】
詳しくは後述するが、ECM62は、前述した各種センサ70,71や後述するPCM(Powertrain Control Module)60から入力された信号に基づき、ロータリエンジン14の点火プラグ26、インジェクタ54、スロットルバルブ38などの各デバイスの制御量を演算し、演算した制御量に対応する電気信号をそれらのデバイスに出力する。PCM60は、駆動用モータ2、減速機3、バッテリ4、スタータジェネレータ5、エンジン6などを含む車両1の動力系統全体の制御を行うコントローラであり、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)、各種プログラムを記憶する記憶部(典型的にはROM、RAMなど)などを備えている。
【0037】
〈エンジン制御システム〉
次に、図3を参照して、本実施形態による車両1におけるエンジン制御システムの概要を説明する。図3は本実施形態による車両1の制御ブロック図である。
【0038】
車両1のバッテリ4には、バッテリ4の出力電圧を検出する電圧センサ72と、バッテリ4の出力電流を検出する電流センサ73が設けられている。これらの電圧センサ72及び電流センサ73は、それぞれの検出値に対応する電気信号をBCM(Battery Control Module)64に出力する。BCM64は、主にバッテリ4の充放電制御を行うコントローラであり、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)、各種プログラムを記憶する記憶部(ROM、RAMなど)などを備えている。
【0039】
BCM64は、電圧センサ72及び電流センサ73から入力されたバッテリ4の電圧値及び電流値から、バッテリ4のSOC(State of Charge、以下単にバッテリSOCという)を推定し、PCM60に出力する。
【0040】
バッテリ4には、該バッテリ4の温度(以下、単にバッテリ温度という)を検出するバッテリ温度センサ74が設けられている。バッテリ温度センサ74は、検出したバッテリ温度をBCM64に送信する。BCM64は、バッテリ温度をPCM60に送信する。
【0041】
PCM60は、車両1のアクセルペダル(図示省略)の開度を検出するアクセル開度センサ75からアクセル開度を取得する。PCM60は、検出されたアクセル開度に基づいて、駆動用モータ2の要求駆動力を算出して、DMCM(driving Motor Control Module)66に出力する。DMCM66は、主にスタータジェネレータ5の制御を行うコントローラであり、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)、各種プログラムを記憶する記憶部(ROM、RAMなど)などを備えている。
【0042】
PCM60は、要求駆動力に基づいて、駆動用モータ2に供給すべき電力を算出する。PCM60は、算出した電力が駆動用モータ2に供給されるようにBCM64に出力する。
【0043】
PCM60は、BCM64から入力されたSOCと、アクセル開度センサ75から入力されたアクセル開度とに基づいて、要求発電電力を算出する。PCM60は、該要求発電電力を得るために必要なロータリエンジン14の回転数(要求エンジン回転数)及び負荷(要求エンジン負荷)を算出して、ECM62に出力する。
【0044】
PCM60は、エンジン6を始動させる場合、スタータジェネレータ5によりロータリエンジン14のエキセントリックシャフト22を回転させる際の回転数(要求回転数)及び回転数の上昇速度(回転上昇率)を算出し、SGCM(Starter Generator Control Module)68に出力する。SGCM68は、主にスタータジェネレータ5の制御を行うコントローラであり、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)、各種プログラムを記憶する記憶部(ROM、RAMなど)などを備えている。
【0045】
PCM60は、車両1の車速を検出する車速センサ76からの出力を取得する。詳しくは後述するが、PCM60は、エンジン6の始動時において、排気触媒36を暖機させる暖機運転させる場合、車速センサ76から取得した車速に基づいて、エンジン6を制御する。
【0046】
PCM60は、ECM62を介して、エンジン水温に関する情報を取得する。PCM60は、エンジン6を始動させるときには、エンジン水温から排気触媒36が暖機状態であるか否かを判定する。エンジン6の始動時においては、エンジン6が冷間状態であれば、基本的に排気触媒36は未暖機状態であるため、エンジン水温から排気触媒36が暖機状態であるか否かを判定しても問題ない。具体的には、PCM60は、エンジン水温Twが、排気触媒36が暖機状態であると判定出来る暖機完了水温Tcw以上であるときには、排気触媒36が暖機状態であると判定する一方、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるときには、排気触媒36が未暖機状態であると判断する。詳しくは後述するが、PCM60は、排気触媒36が未暖機状態であると判定したときには、排気触媒36を暖機状態にするための暖機運転(後述するAWS(Accelerated Warm-up System)制御)を実行する。PCM60、特にPCM60のCPUは、コントローラの一例である。
【0047】
〈エンジン駆動時の制御処理〉
次に、エンジン駆動時のPCM60の処理制御について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0048】
まず、ステップS101において、PCM60は各種センサからの信号を読み込む。
【0049】
次に、ステップS102において、PCM60は駆動用モータ2で出力すべき要求駆動力を算出する。
【0050】
次いで、ステップS103において、PCM60は、発電要求があるか否かを判定する。この発電要求は、スタータジェネレータ5で発電した電力を駆動用モータ2に供給するための発電要求と、該電力をバッテリ4に供給するための発電要求とを含んでいる。PCM60は、発電要求があるYESのときにはステップS104に進む一方で、発電要求がないNOのときには前記ステップS101に戻る。
【0051】
前記ステップS104では、PCM60は、前記ステップS103の発電要求が、スタータジェネレータ5で発電した電力をバッテリ4に供給する充電要求であるか否かを判定する。PCM60は、発電要求が充電要求であるYESのときには前記ステップS105に進む一方で、発電要求が充電要求でないNOのときにはステップS107に進む。
【0052】
前記ステップS105では、PCM60は、エンジン水温Twが、排気触媒36の暖機状態を判定する暖機完了水温Tcw未満であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるYESのときには、ステップS106に進む。一方で、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるNOのときには、ステップS107に進む。
【0053】
前記ステップS106では、PCM60は、前記AWS制御を実行する。PCM60は、前記AWS制御が完了したときにはステップS110に進む。AWS制御の詳細については後述する。
【0054】
前記ステップS107では、PCM60は、スタータジェネレータ5を作動させて、エンジン6を始動させる。
【0055】
次に、ステップS108において、PCM60は、要求発電電力を算出する。
【0056】
次いで、ステップS109において、PCM60は、前記ステップS107で算出した要求発電電力で発電されるように、スタータジェネレータ5及びエンジン6を制御する。PCM60は、要求発電電力に基づいて、スタータジェネレータ5の作動点と、エンジン6の作動点とをそれぞれ設定して、各作動点でスタータジェネレータ5及びエンジン6を作動させる。
【0057】
次に、ステップS110において、PCM60は、発電要求がないか否かを判定する。PCM60は、発電要求がないYESのときにはステップS111に進む。一方で、PCM60は、発電要求があるNOのときには、前記ステップS108に戻る。
【0058】
前記ステップS111では、PCM60はエンジン6を停止させる。ステップS111の後は、PCM60はリターンする。
【0059】
前述のように、PCM60は、発電要求が駆動用モータ2に電力を供給するための発電要求であるときには、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるとき、すなわち排気触媒36が未暖機状態であったとしても前記AWS制御を行わない。このときには、要求発電電力が大きく、エンジン6に要求されるトルク及び回転数も大きいため、高温の排気ガスが排気触媒36に多く投入される。これにより、前記AWS制御を実行せずとも、排気触媒36が比較的早期に暖機状態になる。一方で、PCM60は、発電要求が充電要求でありかつ排気触媒36が未暖機状態であるときには、前記AWS制御を行う。充電要求のときには、バッテリSOCが低くなりすぎない程度に発電できればいいため、エンジン6に要求されるトルク及び回転数は比較的小さい。このため、充電のためのエンジン6の作動のみでは排気触媒36の暖機が進みにくい。そこで、PCM60は、発電要求が充電要求でありかつ排気触媒36が未暖機状態であるときには、前記AWS制御を行って、早期に排気触媒36を暖機状態にする。
【0060】
〈AWS制御〉
次に、前記AWS制御について、図5図14を参照しながら詳細に説明する。
【0061】
図5は、前記AWS制御のフローチャートを例示する。本実施形態1では、バッテリ4の状態に応じて前記AWS制御の内容が異なる。
【0062】
まず、ステップS201において、PCM60は各種センサからの信号を読み込む。
【0063】
次に、ステップS202において、PCM60は、排気触媒36に投入すべき熱量である目標投入熱量を算出する。目標投入熱量は、排気触媒36の比熱、排気触媒36の質量、及び前記ステップS105の判定に用いたエンジン水温Twと排気触媒36の目標温度との差分、の3つのパラメータの積から推定することができる。目標温度は、排気触媒36が暖機状態であるみなすことができる温度である。
【0064】
次に、ステップS203において、PCM60は、バッテリ4の状態が属するゾーンを決定する。
【0065】
PCM60は、図6に示すような、前記ゾーンを決定するためのバッテリ状態マップ600を有している。マップには、第1ゾーンZ1、第2ゾーンZ2、及び第3ゾーンZ3が設定されている。第1ゾーンZ1は、バッテリSOCが低く及びバッテリ温度の少なくとも一方が低い範囲に広がっている。第3ゾーンZ3は、バッテリSOCが高くかつバッテリ温度が高い領域である。第3ゾーンZ3は、バッテリSOCが高いほど、バッテリ温度が低い範囲にまで広がっている。第2ゾーンZ2は、バッテリSOC及び温度が、それぞれ第1ゾーンZ1と第3ゾーンZ3との間にあるゾーンである。第2ゾーンZ2は、バッテリSOCが低い範囲では、バッテリ温度が高い範囲に広がっている一方で、バッテリSOCが高くなるに連れて、バッテリ温度が低い範囲に広がっている。バッテリ状態マップ600は、第1ゾーンZ1と第2ゾーンZ2との間に第1境界B1を有するとともに、第3ゾーンZ3と第2ゾーンZ2との間に第2境界B2を有する。バッテリ4は、バッテリ4の状態が第1ゾーンZ1に属しているときには、電力を出力しにくい低出力状態になっている。一方で、バッテリ4は、バッテリ4の状態が第3ゾーンZ3に属しているときには、電力を出力しやすい高出力状態になっている。バッテリ状態マップ600は、PCM60の記憶部に記憶されている。
【0066】
PCM60は、バッテリ状態マップ600を読み込んで、バッテリ状態マップ600に取得したバッテリSOC及びバッテリ温度を当てはめて、バッテリ4が属するゾーンを決定する。
【0067】
尚、前述した充電要求は、バッテリ4の状態が第1ゾーンZ1及び第2ゾーンZ2に属している場合に加えて、バッテリ4の状態が第3ゾーンZ3に属しかつ第2境界B2の近傍に位置しているときに出力される。このため、バッテリ4の状態が、バッテリSOCが比較的高い第3ゾーンZ3に属している場合であっても、AWS制御が実行されることがあり得る。
【0068】
そして、ステップS204において、PCM60は、前記ステップS203において決定したゾーンに応じた前記AWS制御を実行する。PCM60は、一旦、ゾーンを決定した後は、AWS制御の途中で、バッテリ4の状態が異なるゾーンに属するようになったとしても、当該AWS制御が完了するまでは、前記ステップS203において決定したゾーンに応じたAWS制御を継続する。PCM60は、AWS制御が完了したときにはリターンする。
【0069】
ここで、前記AWS制御では、エンジン6を駆動させて、ロータリエンジン14から排気ガスを排気触媒36に供給する。エンジン6が駆動すると、エンジン音が発生して運転者に伝達される。車速が高いときには、比較的大きなロードノイズが発生しているため、運転者にエンジン音が伝達されたとしても運転者に不快感を与えにくいが、車速が低いときには、ロードノイズが小さいため、エンジン音が運転者に不快感を与えるおそれがある。
【0070】
このため、本実施形態1では、前記AWS制御において、車速に応じてエンジン6の回転数(以下、単にエンジン回転数という)を切り替えるようにした。特に、エンジン回転数を、車速が高いときの方が、車速が低いときと比べて高回転にするようにした。これにより、ロードノイズが比較的大きい運転シーンでは、エンジン回転数を高くして、排気ガスを排気触媒36に積極的に導入できる一方で、ロードノイズが比較的小さい運転シーンでは、エンジン回転数を低くして、騒音を抑制することができる。
【0071】
しかしながら、車両1の加速時と減速時とで同じ車速でエンジン回転数を切り替えるようにすると、カーブなどの加速と減速とが繰り返される運転シーンで頻繁にエンジン回転数が切り替えられてしまう。エンジンの回転数の切替頻度が高いと、エンジン音が頻繁に切り替わるため、運転者に違和感を与えるおそれがある。そこで、本実施形態1では、加速運転時における、エンジン回転数を切り替える車速である加速時切替車速と、減速運転時における切替車速である減速時切替車速とを異なる値にするようにした。
【0072】
図7図9に示すように、PCM60は、前述した第1ゾーンZ1、第2ゾーンZ2、及び第3ゾーンZ3ごとに、車速に応じてエンジン回転数を設定するための回転数設定マップ700,800,900を有している。各回転数設定マップ700,800,900は、PCM60の記憶部に記憶されている。
【0073】
図7は、バッテリ4の状態が第1ゾーンZ1に属しているときの回転数設定マップ700(以下、第1回転数設定マップ700という)である。第1回転数設定マップ700のR1,R2,R3は、それぞれ異なるエンジン回転数に設定された回転数領域である。各回転数領域R1~R3は、それぞれ一定のエンジン回転数が設定されている。つまり、第1回転数領域R1に属する値である間は、エンジン回転数は第1回転数に設定され、車速が第2回転数領域R2に属する値である間は、エンジン回転数は第2回転数に設定され、車速が第3回転数領域R3に属する値である間は、エンジン回転数は第3回転数に設定される。第1回転数は、第1~第3回転数の中では最も低いエンジン回転数であり、第2回転数は、第1回転数よりは高くかつ第3回転数よりは低いエンジン回転数であり、第3回転数は、第1~第3回転数中では最も高いエンジン回転数である。スタータジェネレータ5の発電電力は、第1回転数領域R1では第1発電電力に設定され、第2回転数領域R2では第2発電電力に設定され、第3回転数領域R3では第3発電電力に設定される。第1発電電力は、第1~第3発電電力の中では最も小さく、第2発電電力は、第1発電電力よりは大きくかつ第3発電電力よりは小さく、第3発電電力は、第1~第3発電電力の中では最も大きい。エンジン6の1サイクルあたりの排気触媒36への投入熱量は、第1回転数領域R1では第1熱量と推定され、第2回転数領域R2では第2熱量と推定され、第3回転数領域R3では第3熱量と推定される。第1熱量は、第1~第3熱量の中では最も小さく、第3熱量は、第1~第3熱量の中では最も大きい。
【0074】
加速運転時における第1回転数領域R1と第2回転数領域R2との切替車速は、第1加速時切替車速Va1であり、第2回転数領域R2と第3回転数領域との切替車速は、第2加速時切替車速Va2である。第2加速時切替車速Va2は、第1加速時切替車速Va1よりも高い。減速運転時における第1回転数領域R1と第2回転数領域R2との切替車速は、第1減速時切替車速Vd1であり、第2回転数領域R2と第3回転数領域との切替車速は、第2減速時切替車速Vd2である。第2減速時切替車速Vd2は、第1減速時切替車速Vd1よりも高い。
【0075】
バッテリ4の状態が第1ゾーンZ1に属しているときには、加速運転時及び減速運転時共に車速が0kph(km/時)の時から第1回転数領域R1に属する。つまり、第1回転数設定マップ700では、後述する無回転数領域から第1回転数領域R1への加速時切替車速は0kphであるといえる。第1回転数領域R1への加速時切替車速が0kphであるため、PCM60は、バッテリ4の状態が第1ゾーンZ1に属していると決定したときには、即座にエンジン6を始動させる。前述したように、第1ゾーンZ1は、バッテリ4が低出力状態である。このため、車速が0kphの時からエンジン6を作動させて、充電を行うことで、バッテリSOCを増加させたり、バッテリ温度を上昇させたりする必要がある。
【0076】
図8は、バッテリ4の状態が第2ゾーンZ2に属しているときの回転数設定マップ800(以下、第2回転数設定マップ800という)である。第2回転数設定マップ800には、第1~第3回転数領域R1~R3に加えて、無回転数領域R0が設定されている。無回転数領域R0は、エンジン6が停止して、エンジン回転数が0になる領域である。第2ゾーンZ2では、第1ゾーンZ1ほどにはバッテリ4の充電要求が高くない。このため、無回転数領域R0を設定して、車速が低いときの騒音を抑制するとともに、燃費を向上させるようにしている。
【0077】
加速運転時における無回転数領域R0と第1回転数領域R1との切替車速は、第3加速時切替車速Va3である。第3加速時切替車速Va3は、第1加速時切替車速Va1よりも低い。減速運転時における無回転数領域R0と第1回転数領域R1との切替車速は、第3減速時切替車速Vd3である。第3減速時切替車速Vd3は、第1減速時切替車速Vd1よりも低い。
【0078】
第2回転数設定マップ800は、第1回転数設定マップ700と比較してかなり狭い範囲ではあるが、加速運転時において第1回転数領域R1が設定されている。これは、車速が比較的低い時には、ロードノイズが小さく、運転者がエンジン音を意識しやすいため、エンジン回転数が低い状態で始動させた方が、運転者に違和感を与えにくいためである。
【0079】
図9は、バッテリ4の状態が第3ゾーンZ3に属しているときの回転数設定マップ900(以下、第3回転数設定マップ900という)である。第3回転数設定マップ900では、加速運転時の回転数領域は、エンジン6を始動させるときと、エンジン6が作動中であるときとで異なる領域に設定されている。具体的には、エンジン6を始動させるときには、無回転数領域R0と第3回転数領域R3とが設定されている。一方で、エンジン6が作動中であるときには、第1回転数領域R1、第2回転数領域R2、及び第3回転数領域R3が設定されている。第3回転数設定マップ900における減速運転時の回転数領域は、第2ゾーンZ2のときと同じである。
【0080】
無回転数領域R0と第3回転数領域R3との切替車速は、第4加速時切替車速Va4である。第4加速時切替車速Va4は、第2加速時切替車速Va2よりも高い。
【0081】
第3ゾーンZ3は、バッテリ4が高出力状態であるため、充電要求自体はそれほど高くない。このため、車両1の走行を開始する(つまり、0kphから加速する)ときには、ロードノイズが大きくなる車速までエンジン6を始動させないようにして、騒音を抑制するようにしている。一方で、エンジン6を始動させた後は、低車速の範囲までエンジン6の作動を継続して、排気触媒36の暖機を優先する。特に、エンジン6の作動中には、第2回転数領域R2から第3回転数領域R3への加速時切替車速を、第4加速時切替車速Va4よりも低い第2加速時切替車速Va2に設定することで、出来る限り投入熱量を多くして、排気触媒36の暖機を効率的に行うことができる。また、エンジン6を始動させた後は、低車速の範囲までエンジン6の作動を継続させることで、エンジン6の停止と始動とが頻繁に繰り替えされないようにする。
【0082】
尚、減速運転時に車速が無回転数領域R0に属するようになってエンジン6を停止させた後には、再加速させる時の加速運転時の回転数領域は、エンジン6を始動させるときものが再度採用される。これにより、騒音を出来る限り抑制する。
【0083】
前述のように、第1~第3回転数設定マップ700,800,900は設定されている。加速時切替車速、特に無回転数領域R0から他の回転数領域R1~R3への加速時切替車速は、第1回転数設定マップ700では0kphであり、第2回転数設定マップ800では第3加速時切替車速Va3であり、第3回転数設定マップ900では第4加速時切替車速Va4である。このため、無回転数領域R0から他の回転数領域R1~R3への加速時切替車速は、同じバッテリ温度において、バッテリSOCが低いときにはバッテリSOCが高いときと比較して低く設定されていると言える。また、無回転数領域R0から他の回転数領域R1~R3への加速時切替車速は、同じバッテリSOCにおいて、バッテリ温度が低いときにはバッテリ温度が高いときと比較して低く設定されていると言うこともできる。
【0084】
〔第1ゾーンにおけるAWS制御〕
図10及び図11は、バッテリ4の状態が第1ゾーンZ1に属しているときのAWS制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、スタートの時点では車両1が加速運転中でかつエンジン6が停止中である
まず、ステップS301において、PCM60は、スタータジェネレータ5を利用してエンジン6を始動させる。
【0085】
次に、ステップS302において、PCM60は、車速が第1加速時切替車速Va1以上であるか否かを判定する。PCM60は、車速が第1加速時切替車速Va1以上であるYESのときには、ステップS306に進む一方で、車速が第1加速時切替車速Va1未満であるNOのときには、ステップS303に進む。
【0086】
前記ステップS303では、PCM60は、エンジン回転数が第1回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第1発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0087】
次にステップS304では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS305に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、前記ステップS302に戻る。
【0088】
前記ステップS305では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、第1熱量と第1回転数との積を、車速が第1回転数領域R1に属してからの経過時間で割ることで、車速が第1回転数領域R1に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、本フローチャートがスタートしてから排気触媒36に投入された熱量に、前記計算で算出した投入熱量を加算して、現時点での総投入熱量を算出する。そして、PCM60は、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、前記ステップS302に戻る。
【0089】
前記ステップS306では、PCM60は、車速が第2加速時切替車速Va2以上であるか否かを判定する。PCM60は、車速が第2加速時切替車速Va2以上であるYESのときには、ステップS311に進む一方で、車速が第2加速時切替車速Va2未満であるNOのときには、ステップS307に進む。
【0090】
前記ステップS307では、PCM60は、エンジン回転数が第2回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第2発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0091】
次にステップS308では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS309に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、ステップS310に進む。
【0092】
前記ステップS309では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、前記ステップS305と同様にして、第2熱量と第2回転数との積を、車速が第2回転数領域R2に属してからの経過時間で割ることで、車速が第2回転数領域R2に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、算出した投入熱量に基づいて、現時点での総投入熱量を算出し、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、ステップS310に進む。
【0093】
前記ステップS310では、PCM60は、車速が第1減速時切替車速Vd1未満になったか否かを判定する。PCM60は、車速が第1減速時切替車速Vd1未満であるYESのときには、前記ステップS303に進む一方で、車速が第1減速時切替車速Vd1以上であるNOのときには、前記ステップS306に戻る。
【0094】
前記ステップS311では、PCM60は、エンジン回転数が第3回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第3発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0095】
次にステップS312では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS313に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、ステップS314に進む。
【0096】
前記ステップS313では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、前記ステップS305と同様にして、第3熱量と第3回転数との積を、車速が第3回転数領域R3に属してからの経過時間で割ることで、車速が第3回転数領域R3に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、算出した投入熱量に基づいて、現時点での総投入熱量を算出し、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、ステップS314に進む。
【0097】
前記ステップS314では、PCM60は、車速が第2減速時切替車速Vd2未満になったか否かを判定する。PCM60は、車速が第2減速時切替車速Vd2未満であるYESのときには、前記ステップS307に進む一方で、車速が第2減速時切替車速Vd2以上であるNOのときには、前記ステップS311に戻る。
【0098】
PCM60は、バッテリ4の状態が第1ゾーンZ1に属しているときには、以上のようにして、AWS制御を行う。
【0099】
前記フローチャートから分かるように、PCM60は、例えば、車速が第1加速時切替車速Va1以上とならない限り、車速が第1減速時切替車速Vd1未満であるか否かの判定を行わない。つまり、PCM60は、車速が第1減速時切替車速Vd1以上でかつ第1加速時切替車速Va1未満の状態で、加速運転から減速運転に切り替えられたとしても、エンジン回転数を第2回転数には切り替えず、第1回転数のまま維持する。また、PCM60は、車速が第2減速時切替車速Vd2以上でかつ第2加速時切替車速Va2未満の状態で、加速運転から減速運転に切り替えられたとしても、同様に、エンジン回転数を第3回転数には切り替えず、第2回転数のまま維持する。
【0100】
また、前記フローチャートから分かるように、PCM60は、例えば、車速が第1減速時切替車速Vd1未満とならない限り、車速が第1加速時切替車速Va1以上であるか否かの判定を行わない。つまり、PCM60は、車速が第1減速時切替車速Vd1以上でかつ第1加速時切替車速Va1未満の状態で、減速運転から加速運転に切り替えられたとしても、エンジン回転数を第1回転数には切り替えず、第2回転数のまま維持する。また、PCM60は、車速が第2減速時切替車速Vd2以上でかつ第2加速時切替車速Va2未満の状態で、減速運転から加速運転に切り替えられたとしても、同様に、エンジン回転数を第2回転数には切り替えず、第3回転数のまま維持する。
【0101】
PCM60がこのようにエンジン回転数を切り替えることで、加速運転と減速運転とが切り替えられた瞬間にエンジン回転数が切り替えられることを抑制して、エンジン回転数が頻繁に切り替えられるのを抑制することができる。
【0102】
〔第2ゾーンにおけるAWS制御〕
図12及び図13は、バッテリ4の状態が第2ゾーンZ2に属しているときのAWS制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、スタートの時点では車両1が加速運転中でかつエンジン6が停止中であることを前提としている。
【0103】
まず、ステップS401において、PCM60は、車速が第3加速時切替車速Va3以上であるか否かを判定する。PCM60は、車速が第3加速時切替車速Va3以上であるYESのときには、ステップS402に進む一方で、車速が第3加速時切替車速Va3未満であるNOのときには、車速が第3加速時切替車速Va3以上になるまで、ステップS401の判定が繰り返される。
【0104】
次に、ステップS402において、PCM60は、スタータジェネレータ5を利用してエンジン6を始動させる。
【0105】
次に、ステップS403において、PCM60は、車速が第1加速時切替車速Va1以上であるか否かを判定する。PCM60は、車速が第1加速時切替車速Va1以上であるYESのときには、ステップS409に進む一方で、車速が第1加速時切替車速Va1未満であるNOのときには、ステップS404に進む。
【0106】
前記ステップS404では、PCM60は、エンジン回転数が第1回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第1発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0107】
次にステップS405では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS406に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、ステップS407に進む。
【0108】
前記ステップS406では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、第1熱量と第1回転数との積を、車速が第1回転数領域R1に属してからの経過時間で割ることで、車速が第1回転数領域R1に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、本フローチャートがスタートしてから排気触媒36に投入された熱量に、前記計算で算出した投入熱量を加算して、現時点での総投入熱量を算出する。そして、PCM60は、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、ステップS407に進む。
【0109】
前記ステップS407では、PCM60は、車速が第3減速時切替車速Vd3未満になったか否かを判定する。PCM60は、車速が第3減速時切替車速Vd3未満であるYESのときには、前記ステップS408に進む一方で、車速が第3減速時切替車速Vd3以上であるNOのときには、前記ステップS403に戻る。
【0110】
前記ステップS408では、PCM60は、エンジン6を停止させる。PCM60は、エンジン6を停止させた後は、前記ステップS401に戻る。
【0111】
前記ステップS409では、PCM60は、車速が第2加速時切替車速Va2以上であるか否かを判定する。PCM60は、車速が第2加速時切替車速Va2以上であるYESのときには、ステップS414に進む一方で、車速が第2加速時切替車速Va2未満であるNOのときには、ステップS410に進む。
【0112】
前記ステップS410では、PCM60は、エンジン回転数が第2回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第2発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0113】
次にステップS411では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS412に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、ステップS413に進む。
【0114】
前記ステップS412では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、前記ステップS406と同様にして、第2熱量と第2回転数との積を、車速が第2回転数領域R2に属してからの経過時間で割ることで、車速が第2回転数領域R2に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、算出した投入熱量に基づいて、現時点での総投入熱量を算出し、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、ステップS413に進む。
【0115】
前記ステップS413では、PCM60は、車速が第1減速時切替車速Vd1未満になったか否かを判定する。PCM60は、車速が第1減速時切替車速Vd1未満であるYESのときには、前記ステップS404に進む一方で、車速が第1減速時切替車速Vd1以上であるNOのときには、前記ステップS409に戻る。
【0116】
前記ステップS414では、PCM60は、エンジン回転数が第3回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第3発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0117】
次にステップS415では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS416に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、ステップS417に進む。
【0118】
前記ステップS416では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、前記ステップS406と同様にして、第3熱量と第3回転数との積を、車速が第3回転数領域R3に属してからの経過時間で割ることで、車速が第3回転数領域R3に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、算出した投入熱量に基づいて、現時点での総投入熱量を算出し、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、ステップS417に進む。
【0119】
前記ステップS417では、PCM60は、車速が第2減速時切替車速Vd2未満になったか否かを判定する。PCM60は、車速が第2減速時切替車速Vd2未満であるYESのときには、前記ステップS410に進む一方で、車速が第2減速時切替車速Vd2以上であるNOのときには、前記ステップS414に戻る。
【0120】
PCM60は、バッテリ4の状態が第2ゾーンZ2に属しているときには、以上のようにして、AWS制御を行う。
【0121】
前記フローチャートから分かるように、PCM60は、エンジン6が停止した状態では、車速が第3加速時切替車速Va3以上にならない限り、エンジン6を始動させない。つまり、PCM60は、車速が第3減速時切替車速Vd3以上でかつ第3加速時切替車速Va3未満の状態で、加速運転から減速運転に切り替えられたとしても、エンジン6を始動させず、エンジン6を停止させたまま、つまりエンジン回転数を0の状態に維持する。これにより、騒音を出来る限り抑制することができる。
【0122】
また、PCM60は、一度エンジン6を始動させた後は、車速が第3減速時切替車速Vd3未満とならない限り、エンジン6を停止させない。つまり、PCM60は、車速が第3減速時切替車速Vd3以上でかつ第3加速時切替車速Va3未満の状態で、減速運転から加速運転に切り替えられたとしても、エンジン6を停止させず、エンジン回転数を第1回転数又は第2回転数に維持する。これにより、エンジン6を始動させた後は、排気触媒36の暖機が優先されるため、排気触媒36の暖機を早期に完了することができる。
【0123】
また、PCM60は、エンジン6を停止させたとしても、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上となりかつ総投入熱量が目標投入熱量に到達しない限り、AWS制御を完了させない。このことによっても、エンジン6を始動させた後は、排気触媒36の暖機が優先されるため、排気触媒36の暖機を早期に完了することができる。
【0124】
尚、PCM60は、バッテリ4の状態が第2ゾーンZ2に属しているときにも、加速運転と減速運転とを切り替える際には、エンジン回転数を維持させる。
【0125】
〔第3ゾーンにおけるAWS制御〕
図14及び図15は、バッテリ4の状態が第3ゾーンZ3に属しているときのAWS制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、スタートの時点では車両1が加速運転中でかつエンジン6が停止中であることを前提としている。
【0126】
まず、ステップS501において、PCM60は、車速が第4加速時切替車速Va4以上であるか否かを判定する。PCM60は、車速が第4加速時切替車速Va4以上であるYESのときには、ステップS502に進む一方で、車速が第4加速時切替車速Va4未満であるNOのときには、車速が第4加速時切替車速Va4以上になるまで、ステップS501の判定が繰り返される。
【0127】
次に、ステップS502において、PCM60は、スタータジェネレータ5を利用してエンジン6を始動させる。
【0128】
前記ステップS503では、PCM60は、エンジン回転数が第3回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第3発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0129】
次にステップS504では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS505に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、ステップS506に進む。
【0130】
前記ステップS505では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、第3熱量と第3回転数との積を、車速が第3回転数領域R3に属してからの経過時間で割ることで、車速が第3回転数領域R3に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、本フローチャートがスタートしてから排気触媒36に投入された熱量に、前記計算で算出した投入熱量を加算して、現時点での総投入熱量を算出する。そして、PCM60は、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、ステップS506に進む。
【0131】
前記ステップS506では、PCM60は、車速が第2減速時切替車速Vd2未満になったか否かを判定する。PCM60は、車速が第2減速時切替車速Vd2未満であるYESのときには、前記ステップS507に進む一方で、車速が第2減速時切替車速Vd2以上であるNOのときには、前記ステップS503に戻る。
【0132】
前記ステップS507では、PCM60は、エンジン回転数が第2回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第2発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0133】
次にステップS508では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS509に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、ステップS510に進む。
【0134】
前記ステップS509では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、前記ステップS505と同様にして、第2熱量と第2回転数との積を、車速が第2回転数領域R2に属してからの経過時間で割ることで、車速が第2回転数領域R2に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、算出した投入熱量に基づいて、現時点での総投入熱量を算出し、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、ステップS510に進む。
【0135】
前記ステップS510では、PCM60は、車速が第2加速時切替車速Va2以上であるか否かを判定する。PCM60は、車速が第2加速時切替車速Va2以上であるYESのときには、前記ステップS503に戻る一方で、車速が第2加速時切替車速Va2未満であるNOのときには、ステップS511に進む。
【0136】
前記ステップS511では、PCM60は、車速が第1減速時切替車速Vd1未満になったか否かを判定する。PCM60は、車速が第1減速時切替車速Vd1未満であるYESのときには、ステップS512に進む一方で、車速が第1減速時切替車速Vd1以上であるNOのときには、前記ステップS507に戻る。
【0137】
前記ステップS512では、PCM60は、エンジン回転数が第1回転数となるようにエンジン6を制御するともに、発電量が第1発電量となるようにスタータジェネレータ5を制御する。
【0138】
次にステップS513では、PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるか否かを判定する。PCM60は、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw以上であるYESのときには、ステップS514に進む一方で、エンジン水温Twが暖機完了水温Tcw未満であるNOのときには、ステップS515に進む。
【0139】
前記ステップS514では、PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が、目標投入熱量に到達したか否かを判定する。PCM60は、前記ステップS505と同様にして、第1熱量と第1回転数との積を、車速が第1回転数領域R1に属してからの経過時間で割ることで、車速が第1回転数領域R1に属してからの投入熱量を算出する。PCM60は、算出した投入熱量に基づいて、現時点での総投入熱量を算出し、総投入熱量が目標投入熱量以上であるときには、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したと判定する。PCM60は、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達したYESのときには、リターンする一方で、排気触媒36に投入された熱量が目標投入熱量に到達していないNOのときには、ステップS515に進む。
【0140】
前記ステップS515では、PCM60は、車速が第1加速時切替車速Va1以上であるか否かを判定する。PCM60は、車速が第1加速時切替車速Va1以上であるYESのときには、前記ステップS507に戻る一方で、車速が第1加速時切替車速Va1未満であるNOのときには、ステップS516に進む。
【0141】
前記ステップS516では、PCM60は、車速が第3減速時切替車速Vd3未満になったか否かを判定する。PCM60は、車速が第3減速時切替車速Vd3未満であるYESのときには、ステップS517に進む一方で、車速が第3減速時切替車速Vd3以上であるNOのときには、前記ステップS512に戻る。
【0142】
前記ステップS517では、PCM60は、エンジン6を停止させる。PCM60は、エンジン6を停止させた後は、前記ステップS501に戻る。
【0143】
PCM60は、バッテリ4の状態が第3ゾーンZ3に属しているときには、以上のようにして、AWS制御を行う。
【0144】
前記フローチャートから分かるように、PCM60は、エンジン6が停止した状態では、車速が第4加速時切替車速Va4以上にならない限り、エンジン6を始動させない。つまり、PCM60は、車速が第3減速時切替車速Vd3以上でかつ第4加速時切替車速Va4未満の状態で、加速運転から減速運転に切り替えられたとしても、エンジン6を始動させず、エンジン6を停止させたまま、つまりエンジン回転数を0の状態に維持する。これにより、騒音を出来る限り抑制することができる。
【0145】
また、PCM60は、一度エンジン6を始動させた後は、車速が第3減速時切替車速Vd3未満とならない限り、エンジン6を停止させない。つまり、PCM60は、車速が第3減速時切替車速Vd3以上でかつ第4加速時切替車速Va4未満の状態で、減速運転から加速運転に切り替えられたとしても、エンジン6を停止させず、エンジン回転数を第1~第3回転数のいずれか1つに維持する。これにより、エンジン6を始動させた後は、排気触媒36の暖機が優先されるため、排気触媒36の暖機を早期に完了することができる。騒音を出来る限り抑制することができる。
【0146】
尚、PCM60は、バッテリ4の状態が第3ゾーンZ3に属しているときにも、加速運転と減速運転とを切り替える際には、エンジン回転数が維持される。
【0147】
〈実施形態1の効果〉
以上のように、実施形態1では、PCM60は、排気触媒36が暖機状態であるか未暖機状態であるかを判定し、エンジン6の作動要求がありかつ排気触媒36が未暖機状態であるときに、排気触媒36を暖機状態にするためのAWS制御を実行し、AWS制御において、車速に応じて設定されかつそれぞれ異なる回転数に設定された無回転数領域R0、第1回転数領域R1、第2回転数領域R2、及び第3回転数領域R3のうち、現在の車速が属する回転数領域に設定された回転数となるように、エンジン6の回転数を設定する。各回転数領域R0~R3に設定された回転数は、車両1の車速が高いときの方が、車両1の車速が低いときと比べて高回転に設定されており、車速を減少させる減速運転時において一の回転数領域と他の回転数領域とを切り替える減速時切替車速は、車速を増加させる加速運転時において当該一の回転数領域と当該他の回転数領域とを切り替える加速時切替車速と比較して低く設定されている。これにより、カーブなどの減速運転と加速運転とを繰り返すシーンにおいて、エンジン回転数の切替頻度が低くなる。この結果、運転者に違和感を与えにくくすることができる。
【0148】
また、実施形態1では、PCM60は、AWS制御において、車速が、減速時切替車速以上でかつ加速時切替車速未満の状態で、加速運転と減速運転とが切り替えられたときには、エンジン6の回転数を切り替えずに現在の回転数を維持する。これにより、減速運転と加速運転とを繰り返すシーンにおいて、エンジン回転数の切替頻度をより低くすることができ、運転者に違和感をより与えにくくすることができる。
【0149】
また、実施形態1では、加速時切替車速は、同じバッテリ温度において、バッテリSOCが低いときにはバッテリSOCが高いときと比較して低く設定されている。また、加速時切替車速は、同じバッテリSOCにおいて、バッテリ温度が低いときにはバッテリ温度が高いときと比較して低く設定されている。これにより、バッテリ4からの出力が低くなるシーンにおいて、排気触媒36を早期に暖機状態にすることができるため、早期にスタータジェネレータ5で適切に発電できる状態にすることができる。
【0150】
また、実施形態1では、PCM60は、加速運転時において、バッテリSOCが高くかつバッテリ温度が高い高出力状態のとき(第3ゾーンZ3に属しているとき)には、車速が第3回転数領域R3に属した時からAWS制御を実行すべくエンジン6を始動させる一方で、バッテリSOCが低くかつバッテリ温度が低い低出力状態のとき(第1ゾーンZ1に属しているとき)には、車速が第1回転数領域R1に属する時からAWS制御を実行すべくエンジン6を始動させる。これにより、バッテリ4が高出力状態であるときには、車速が第3回転数領域R3に属する程度に高くなるまでエンジン6が駆動されないため、エンジン6の作動に伴う騒音を出来る限り抑制することができる。一方で、バッテリ4が低出力状態であるときには、第1回転数領域R1に属する時からエンジン6を駆動させて、AWS制御を行うことで、排気触媒36を早期に暖機状態にして、スタータジェネレータ5で適切に発電できる状態にすることができる。
【0151】
また、実施形態1では、PCM60は、バッテリ4が高出力状態のときには、車速が第3回転数領域R3に属してエンジン6を始動させた後、加速運転から減速運転に切り替えられて、車速が第1回転数領域R1に属したときには、エンジン6の回転数を低下させてAWS制御を継続する。これにより、エンジン6が始動した後は排気触媒36の暖機が優先されるため、この後にバッテリ4のSOCが低下したとしても、スタータジェネレータ5で適切に発電することができる。
【0152】
また、実施形態1では、バッテリ4が高出力状態のときには、無回転数領域R0から第3回転数領域R3への加速時切替車速(第4加速時切替車速Va4)は、バッテリ4が低出力状態のときの第3回転数領域R3への加速時切替車速(第2加速時切替車速Va2)よりも高く設定されている。これにより、エンジン6の作動に伴う騒音をより効果的に抑制することができる。
【0153】
また、実施形態1では、PCM60は、バッテリ4が高出力状態のときには、車速が第3減速時切替車速Vd3未満になったときには、エンジン6を停止させ、PCM60はまた、排気触媒36が暖機状態となるまでは、エンジン6が停止したとしても、AWS制御を継続させる。これにより、排気触媒36を早期に暖機状態にすることができる。
【0154】
また、実施形態1では、PCM60は、一のゾーンにおけるAWS制御の実行中に、バッテリ4の状態が変化して、バッテリ4が属するゾーンが他のゾーンに切り替えられたとしても、当該一のゾーンにおけるAWS制御を継続させる。これにより、加速時切替車速及び減速時切替車速が頻繁に変更されることを抑制することができ、運転者に違和感を与えにくくすることができる。
【0155】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0156】
本実施形態2では、減速運転時における第2回転数領域R2の範囲が前記実施形態1とは異なる。
【0157】
図16は、バッテリ4の状態が第1ゾーンZ1に属するときの回転数設定マップである第1回転数設定マップ1600であり、図17は、バッテリ4の状態が第2ゾーンZ2に属するときの回転数設定マップである第2回転数設定マップ1700であり、図18は、バッテリ4の状態が第3ゾーンZ3に属するときの回転数設定マップである第3回転数設定マップ1800である。図16図18に示すように、実施形態2では、減速運転時における第2回転数領域R2の範囲が、加速運転時における第2回転数領域R2の範囲よりも広くなっている。第1~第3回転数設定マップ1600,1700,1800は、PCM60の記憶部に記憶されている。
【0158】
より具体的には、第1回転数設定マップ1600では、第2減速時切替車速Vd2は、前記実施形態1と同じである一方で第1減速時切替車速Vd1’は、前記実施形態1における第1減速時切替車速Vd1よりも低い車速に設定されている。また、第2及び第3回転数設定マップ1700,1800では、減速運転時には第1回転数領域R1がなく、該第1回転数領域R1の部分にまで第2回転数領域R2が広がっている。
【0159】
このように、実施形態2では、減速運転時においてエンジン6の回転数を出来る限り高い状態に維持することができるため、排気触媒36を出来る限り早期に暖機状態にすることができる。一方で、実施形態2でも、前記実施形態1と同様に、加速時切替車速は減速時切替車速よりも高いため、運転者に違和感を与えにくくすることができる。
【0160】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0161】
前述の実施形態1及び2では、エンジン本体としてロータリエンジン14を採用していた。これに限らず、エンジン本体としてレシプロエンジンを採用してもよい。
【0162】
また、前述の実施形態1及び2では、AWS制御における排気触媒36の暖機状態の判定基準として、エンジン水温Twと投入熱量との両方を採用していた。これに限らず、エンジン水温Tw又は投入熱量の一方のみで、排気触媒36の暖機状態を判定するようにしてもよい。
【0163】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0164】
ここに開示された技術は、シリーズ式のハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置として有用である。
【符号の説明】
【0165】
1 ハイブリッド車両
2 駆動用モータ
4 バッテリ
5 スタータジェネレータ
6 エンジン
36 排気触媒
60 PCM(コントローラ)
R0 無回転数領域(低回転数領域)
R1 第1回転数領域(低回転数領域)
R2 第2回転数領域(中回転数領域)
R3 第3回転数領域(高回転数領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18