(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134298
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】厨房排気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240926BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044527
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】舘林 恵介
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】二渡 直樹
(72)【発明者】
【氏名】白川 拓也
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
【Fターム(参考)】
3L056BA03
3L056BD07
3L056BE01
3L056BF02
3L058BB04
3L058BE01
3L058BG04
3L058BK09
(57)【要約】
【課題】 フードの外部への蒸気の漏洩を抑制することを可能とする厨房排気システムを提供する。
【解決手段】 火源を含む厨房機器900の上方に配置されたフード部101と、フード部101から排気を吸込み外部へ送り出す送風部103と、厨房機器900の使用時に発生する蒸気であってフード部101に吸い込まれずにフード部101の外部に漏れる蒸気を検出する蒸気検出部104と、送風部103における送風量を制御する制御部105であって、蒸気検出部104により前記蒸気が検出されない送風量に制御する制御部105と、が設けられたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨房機器の使用時における排気を制御する厨房排気システムであって、
火源を含む前記厨房機器の上方に配置されたフード部と、
前記フード部から排気を吸込み外部へ送り出す送風部と、
前記厨房機器の使用時に発生する蒸気であって前記フード部に吸い込まれずに前記フード部の外部に漏れる前記蒸気を検出する蒸気検出部と、
前記送風部における送風量を制御する制御部であって、前記蒸気検出部により前記蒸気が検出されない前記送風量に制御する前記制御部と、が設けられた厨房排気システム。
【請求項2】
前記フード部における排気が吸い込まれる開口には、開口率を変更可能とする開口変更部が更に設けられ、
前記制御部は、更に、前記送風量の制御に基づいて前記開口変更部を制御して前記開口率を変更することを特徴とする請求項1記載の厨房排気システム。
【請求項3】
前記厨房機器で使用されるエネルギ量を測定するエネルギ測定部が更に設けられ、
前記制御部は、更に、エネルギ測定部により測定されたエネルギ量に基づいて、前記送風量の下限値を算出し、前記送風量が前記下限値以上となるように前記送風部を制御することを特徴とする請求項1記載の厨房排気システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記送風部があらかじめ定められた第1送風量で送風している場合であって、前記蒸気検出部が前記蒸気を検出しないときには、前記送風部による送風量を時間の経過に伴い前記第1送風量から減少させる制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の厨房排気システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記送風部による送風量を時間の経過に伴い前記第1送風量から減少させる制御を行っている間に前記蒸気検出部が前記蒸気を検出した場合、前記送風部による送風量を、前記蒸気を検出する所定時間前の送風量に制御することを特徴とする請求項4記載の厨房排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
厨房やキッチンには、ガスコンロ、電磁調理器、および、フライヤー等の厨房機器により加熱調理された際に生じる蒸気を屋外に排気する厨房排気システムが設けられている。厨房排気システムには、蒸気を収集するフードが設けられている。
【0003】
加熱調理により発生した蒸気が厨房やキッチンに溜まることを抑制する厨房排気システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された厨房排気システムには、フードの内部に温度検知器が設けられている。温度検知器に検出された温度に基づいて排気量を調整することにより、蒸気が厨房やキッチンに溜まることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、フードの内部に温度検出器を設けた場合には、フードの外部に蒸気が漏洩した場合の対策ができず、臭気漏れや湿度上昇が発生するといった問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、フードの外部への蒸気の漏洩を抑制することを可能とする厨房排気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の一態様に係る厨房排気システムは、厨房機器の使用時における排気を制御する厨房排気システムであって、火源を含む前記厨房機器の上方に配置されたフード部と、前記フード部から排気を吸込み外部へ送り出す送風部と、前記厨房機器の使用時に発生する蒸気であって前記フード部に吸い込まれずに前記フード部の外部に漏れる前記蒸気を検出する蒸気検出部と、前記送風部における送風量を制御する制御部であって、前記蒸気検出部により前記蒸気が検出されない前記送風量に制御する前記制御部と、が設けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る厨房換気によれば、フード部の外部に漏れた蒸気は蒸気検出部に検出される。蒸気の漏洩が検出された場合には、送風部の送風量が制御されてフード部の外部への蒸気の漏洩が抑制される。例えば、蒸気が検出されない量まで、送風部の送風量を増やす制御が行われ、フード部の外部への蒸気の漏洩を防止しやすくなる。
【0009】
上記発明の一態様においては、前記フード部における排気が吸い込まれる開口には、開口率を変更可能とする開口変更部が更に設けられ、前記制御部は、更に、前記送風量の制御に基づいて前記開口変更部を制御して前記開口率を変更することが好ましい。
【0010】
このように、開口変更部はフード部の開口率を変更することができる。開口率を変更することによって、フード部の開口周囲の風速を所定の値に保つことができ、蒸気の捕集率の低下を抑制することができる。例えば、送風部の送風量が減少した場合、開口率を小さくすることにより、フード部の開口周辺の風速の低下を抑制することができ、蒸気の捕集率の低下を抑制することができる。
【0011】
更に、フード部の形状や設置位置を変更しなくても、蒸気の捕集率の低下を抑制することができるため、厨房排気システムの設置におけるレイアウトの柔軟性を確保しやすい。
上記発明の一態様においては、前記厨房機器で使用されるエネルギ量を測定するエネルギ測定部が更に設けられ、前記制御部は、更に、エネルギ測定部により測定されたエネルギ量に基づいて、前記送風量の前記下限値を算出し、前記送風量が下限以上となるように前記送風部を制御することが好ましい。
【0012】
このように、エネルギ測定部に測定されたエネルギ量に基づいて送風量の下限値を算出することにより、フード部の外部への蒸気の漏洩を更に防止しやすくなる。エネルギ量としては、例えば、火源で燃焼されるガスの流量を挙げることができる。エネルギ量に基づくことにより、厨房機器において発生する蒸気の量が推定され、推定した蒸気の量に基づいて送風量の下限値が算出される。算出した送風量の下限値以上となるように送風機を制御することで、フード部の外部への蒸気の漏洩を防止しやすくなる。
【0013】
上記発明の一態様においては、前記制御部は、前記送風部があらかじめ定められた第1送風量で送風している場合であって、前記蒸気検出部が前記蒸気を検出しないときには、前記送風部による送風量を時間の経過に伴い前記第1送風量から減少させる制御を行うことが好ましい。
【0014】
このように、時間の経過に伴い送付部の送風量が第1送風量から減少させる制御が行われることにより、蒸気を排出する送風に必要な電力の削減を図りやすくなる。
上記発明の一態様においては、前記送風部による送風量を時間の経過に伴い前記第1送風量から減少させる制御を行っている間に前記蒸気検出部が前記蒸気を検出した場合、前記送風部による送風量を、前記蒸気を検出する所定時間前の送風量に制御することが好ましい。
【0015】
このように、送付部の送風量が第1送風量から減少させる制御中に蒸気検出部に蒸気の漏洩が検出された場合に、送風部の送風量が蒸気を検出する所定時間前の送風量になるように制御される。送風部の送風量が制御されることによって、フード部の外部への蒸気漏洩の抑制と、送風に必要な電力の消費削減の両立を図りやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の厨房排気システムによれば、フード部の外部に漏洩した蒸気を蒸気検出部が検出することに基づいて制御部は送風量を制御するため、フードの外部に蒸気が漏洩することを防止することを可能とする効果を奏ずる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る厨房排気システムの構成を示す模式図である。
【
図2】制御部による送風部の制御を説明するグラフである。
【
図3】制御部による送風部の制御を説明するグラフである。
【
図4】第2の実施形態に係る厨房排気システムの構成を示す模式図である。
【
図5】開口変更部における開口率が最小の状態を示す模式図である。
【
図6】開口変更部における開口率が最大の状態を示す模式図である。
【
図7】制御部による開口変更部の制御を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施形態〕
この発明の第1の実施形態に係る厨房排気システム100について説明する。本実施形態の厨房排気システム100は、厨房機器900から発生する蒸気を厨房外に排出するシステムである。
【0019】
厨房は、少なくとも一つ以上の厨房機器900、エネルギ測定部901、および、厨房排気システム100を有する部屋である。厨房機器900とは、具体的には、ガスコンロ、電磁調理器、および、フライヤー等の加熱調理器のことである。また、厨房機器900により加熱調理された際に蒸気が発生する。
【0020】
エネルギ測定部901は、ガス配管を通じて厨房機器900と接続されている機器であり、厨房機器900によって加熱調理された際に、厨房機器900で使用されるガスの流量を測定する機器である。なお、エネルギ測定部901は、厨房内に配置されてもよいし、厨房外に配置されてもよい。また、エネルギ測定部901としては、公知の方式でガスの流量を測定する機器を用いることができる。
【0021】
また、エネルギ測定部901が測定するエネルギは、厨房機器900が加熱調理される際に使われるエネルギであればよい。例えば、厨房機器900が電磁誘導加熱機器(以後、IHヒータとも記載する。)である場合には、エネルギ測定部901はIHヒータに使われる電気エネルギを測定してもよい。
【0022】
厨房排気システム100は、厨房機器900から発生した蒸気を、厨房内から厨房外へ排気するシステムである。また、厨房排気システム100は、
図1に示すように、フード部101、ダクト部102、送風部103、蒸気検出部104、および、制御部105が設けられている。
【0023】
フード部101は、収集部111と給気口部113とを備えている。
収集部111は厨房機器900から発生する蒸気を収集する部材である。また、収集部111は開放された面(以後、開口面112とも記載する。)を有した直方体形状で形成されている。なお、収集部111は直方体以外の形状を有してもよい。開口面112は、蒸気が収集部111内に流入する開口である。収集部111は、少なくとも1つ以上の厨房機器900の上部に配置される。収集部111は、開口面112が厨房機器900側と対向する姿勢で配置される。
【0024】
給気口部113は、収集部111に収集された蒸気をダクト部102へ導く貫通孔である。また、給気口部113は収集部111における開口面112とは対面に位置する面に配置される。なお、貫通孔は矩形形状を有する貫通孔であってもよいし、円形形状など他の形状を有する貫通孔であってもよい。
【0025】
ダクト部102は蒸気が内部を流れる筒状に形成された部材である。ダクト部102の一方の端部は給気口部113に接続され、他方の端部は厨房外に接続されている。なお、ダクト部102の形状は角ダクトでもよいし、丸ダクトでもよい。
【0026】
送風部103は、ダクト部102の内部に配置される機器である。なお、送風部103は、ダクト部102の外側に配置されてもよい。送風部103は、厨房内の蒸気を収集部111およびダクト部102を通じて厨房外へ向かって送り出す構成を有している。本実施形態で説明する送風部103には、蒸気を送り出すファン(図示しない。)と、ファンを回転させるモータ(図示しない。)と、が設けられている。ファンの回転速度は、後述する制御部105の制御に基づいて変更される。
【0027】
蒸気検出部104は、厨房機器900から発生した蒸気を検出する機能を有するセンサである。蒸気検出部104により検出された情報は、制御部105に出力される。蒸気検出部104としては、公知の方式で蒸気を検出するセンサを用いることができる。
【0028】
蒸気検出部104は、収集部111の外側に配置される機器である。なお。蒸気検出部104が配置される位置は、収集部111に収集されず厨房内へ漏洩した蒸気を検出できる位置であればよい。本実施形態では、フード部101の外面以外に蒸気検出部104が配置される例にて説明するが、フード部101の外側以外の場所に配置されてもよい。例えば、フード部101以外の部材に配置されてもよい。
【0029】
制御部105は、送風部103の動作を制御する機器である。制御部105には、蒸気検出部104からに蒸気を検出された情報が入力される。制御部105は送風部103の回転速度を制御する制御信号を送風部103へ出力する。制御部105による送風部103の動作を制御する内容については後述する。また、制御部105は、後述する下限回転速度Eをエネルギ測定部901に基づいて求める機器である。下限回転速度Eに関する内容については後述する。
【0030】
次に、上記から構成される厨房排気システム100における動作について説明する。まず、厨房機器900から発生する蒸気について説明し、その後に厨房排気システム100における動作を説明する。
【0031】
まず、厨房機器900は、加熱調理することにより、蒸気を発生させる。具体的には、厨房機器900によって、食材等が加熱調理された際に、食材等に含まれる水分が蒸発することによって蒸気が発生する。
【0032】
次に、厨房排気システム100における動作を説明する。第1に蒸気検出部104に蒸気が検出されない場合における厨房排気システム100の動作について説明し、第2に蒸気検出部104に蒸気が検出された場合における厨房排気システム100の動作について説明する。
【0033】
まず、蒸気検出部104に蒸気が検出されない場合における厨房排気システム100の動作について説明する。厨房排気システム100は、送風部103のファンを回転させることにより、フード部101における開口面112周辺に、厨房からフード部101の内部に向かう空気の流れを発生させる。
【0034】
具体的には、送風部103におけるファンの回転に基づいて、厨房内から厨房外の方向に送り出される空気の流れが発生する。送風部103におけるファンの回転は、フード部101における開口面112から給気口部113、ダクト部102、送風部103の順に流れる空気の流れも発生させる。つまり、厨房内からフード部101における開口面112に吸い込まれる空気の流れが発生する。更に、フード部101における給気口部113からダクト部102に吸い込まれる空気の流れが発生する。
【0035】
フード部101における開口面112周辺に発生した、厨房内からフード部101の開口面112に吸い込まれる空気の流れは、厨房内の蒸気をフード部101における開口面112へ流入させる。開口面112から流入された蒸気は、収集部111によってフード部101に収集される。
【0036】
フード部101に収集された蒸気は、フード部101における給気口部113からダクト部102に吸い込まれる空気の流れに基づいて、給気口部113からダクト部102へ流入する。ダクト部102に流入された蒸気は、厨房内から厨房外へ流れる空気の流れによって排出される。
【0037】
第2に蒸気検出部104に蒸気が検出された場合における厨房排気システム100の動作について説明する。なお、厨房内の蒸気がフード部101に収集され、ダクト部102を通じて厨房外へ排出される仕組みに関する説明は、蒸気検出部104に蒸気が検出されない場合の記載と同様のため説明を省略する。
【0038】
蒸気検出部104は、厨房において蒸気を検出すると、蒸気が検出された情報を制御部105に入力する。蒸気検出部104から蒸気を検出した情報を入力された制御部105は、送風部103におけるファンの回転速度を制御する制御信号を送風部103へ出力する。
【0039】
制御部105は、
図2と
図3とに示すように、送風部103におけるファンの回転速度を制御する。なお、制御部105のおける送風部103のファンの回転速度を制御する方法は、公知の方法を用いてもよい。
【0040】
図2は送風部103におけるファン回転速度の時間変化を説明するグラフである。なお、後述する
図3と比較して、
図2のグラフは蒸気検出部104が蒸気を検出した際の制御が図示している点が異なる。
【0041】
図2における縦軸は送風部103におけるファンの回転速度を表す。横軸は厨房排気システム100の起動後の時間軸を表す。送風部103におけるファンの回転速度の制御は、ステップA、ステップB、およびステップCの3つの場合に応じて制御の内容が変わる。ステップAは、厨房排気システム100の起動時の場合である。ステップBは、ステップAの後に蒸気検出部104が蒸気を検出しない場合である。ステップCは、ステップBの制御中に蒸気検出部104が蒸気を検出した場合である。
【0042】
まず、ステップAにおけるファンの回転速度の制御について説明する。厨房排気システム100が起動されると、制御部105は、送風部103におけるファンの回転速度を起動初期値まで上昇させる。なお、本実施形態では起動初期値が最大の回転速度である場合について説明する。つまり、制御部105は、送風部103におけるファンの回転速度を最大にするように制御する場合について説明する。
【0043】
次に、ステップBにおけるファン回転速度の制御について説明する。ステップAの制御によって、送風部103におけるファンの回転速度が最大になった後、制御部105は、送風部103におけるファンの回転速度を時間の経過に伴い減少させる制御をする。ファン回転数を減少させる単位時間当たりの変化量、言い換えると、
図2のステップBにおけるグラフの傾きは、予め定められた傾きであってもよい。送風部103におけるファンの回転速度を減少させる制御方法は、公知の技術を用いてもよい。
【0044】
次に、ステップCにおけるファン回転速度の制御ついて説明する。ステップCの制御は、ステップBの制御中に蒸気検出部104が蒸気を検出した場合に行われる制御である。制御部105は、蒸気検出部104が蒸気を検出すると、送風部103におけるファンの回転速度を減少させる制御を終了する。次いで、ファンの回転速度を、蒸気検出部104が蒸気を検出した時点よりも予め定められた所定時間前のファンの回転速度とする制御を行う。所定時間は、0以上の任意の時間を設定してもよい。
【0045】
所定時間が0よりも大きな値の場合、制御部105は、ファンによる送風量を蒸気検出部104が蒸気を検出した時点よりも所定量だけ大きな送風量とする制御を行う。言い換えると、制御部105は、送風部103におけるファンの回転速度が蒸気検出部104により蒸気が検出されない回転速度のうち、最も少ない回転速度になるように制御する。
【0046】
所定時間が0である場合、制御部105は、ファンによる送風量を蒸気検出部104が蒸気を検出した時点の送風量を維持する制御を行う。所定時間が0の場合には、
図2におけるC´で示す回転速度となる。
【0047】
図3は、送風部103におけるファン回転速度の時間変化を説明するグラフである。なお、
図2のグラフと比較して、
図3のグラフはファンの回転速度が下限回転速度Eに達して際の制御が図示している。
【0048】
図3における縦軸は送風部103におけるファンの回転速度を表す。横軸は厨房排気システム100の起動後の時間軸を表す。送風部103におけるファンの回転速度の制御は、ステップA、ステップB、およびステップDの3つの場合に応じて制御の内容が変わる。ステップAは、厨房排気システム100の起動時の場合である。ステップBは、ステップAの後に蒸気検出部104が蒸気を検出しない場合である。ステップDは、ステップBの制御中にファンの回転速度が下限回転速度Eまで低下した場合である。なおステップA、および、ステップBにおける具体的な制御内容に関しては、
図2における制御内容と同様のため省略する。
【0049】
ステップDにおけるファン回転速度の制御ついて説明する。ステップDの制御は、ステップBの制御中にファンの回転速度が下限回転速度Eまで低下した場合に行われる制御である。制御部105が送風部103は、送風部103におけるファンの回転速度が下限回転速度Eまで低下すると、送風部103におけるファンの回転速度を下限回転速度Eに固定する制御を行う。言い換えると、ステップDにおいて送風部103におけるファンの回転速度は、下限回転速度Eにて一定になる。
【0050】
下限回転速度Eは、厨房機器900により加熱調理される際に消費されるガスの流量に基づいて設定部により求められる。言い換えれば、エネルギ測定部901に測定されるガスの流量に基づいて、下限回転速度Eは求められる。例えば、厨房機器900による加熱調理の設定を強火にした場合は、ガスの消費量が増加してガスの流量が増加する。エネルギ測定部901に測定されるガスの流量が増回し、制御部105により求められる下限回転速度Eの値は大きくなる。また、厨房機器900による加熱調理の設定を弱火にした場合は、ガスの消費が減少してガスの流量が低下する。エネルギ測定部901に測定されるガスの流量が減少し、制御部105により求められる下限回転速度Eの値は小さくなる。
【0051】
上記の構成の厨房排気システム100によれば、フード部101の外部に漏洩した蒸気を蒸気検出部104が検出することにより、制御部105は送風部103におけるファンの回転を制御するため、フード部101の外部に蒸気が漏洩することを防止することができる。
【0052】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について
図4を参照して説明する。
本実施形態の厨房排気システム100Aの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、制御部105Aと開口変更部120Aとが異なる。よって、本実施形態においては、第1実施形態とは異なる内容のみ説明する。
【0053】
厨房排気システム100Aは、
図4に示すようにフード部101、ダクト部102、送風部103、蒸気検出部104、制御部105A、および、開口変更部120Aが設けられている。
【0054】
制御部105Aは、実施形態1で説明した制御部105の制御内容に加えて、開口変更部120Aにおける稼働部122Aを制御する機器である。制御部105Aは、開口変更部120Aにおける稼働部122Aを制御する制御信号を通信部125Aへ出力する。制御部105Aによる開口変更部120Aにおける稼働部122Aを制御する内容については後述する。
【0055】
図5と
図6とに示すように、開口変更部120Aは、ケーシング部121A、稼働部122A、回転軸部123A、羽板部124A、および、通信部125Aを備えている。ケーシング部121Aは、4つの辺から構成される枠状の部材である。
【0056】
具体的には、ケーシング部121Aを構成する4つの辺は、フード部101における収集部111の4つの辺それぞれに配置されることが好ましく、フード部101の開口面112を囲って配置されることが好ましい。
【0057】
稼働部122Aは、回転軸部123Aを回転させる部材である。稼働部122Aはケーシング部121Aに配置されるのが好ましい。枠状に形成されたケーシング部121Aにおける一辺の外側面に配置されることが更に好ましい。なお、稼働部122Aはケーシング部121A以外に配置されてもよい。また、回転軸部123Aを回転させる構成は公知の構成を用いてもよい。
【0058】
回転軸部123Aは、稼働部122Aによって回転させられる部材であり、回転を羽板部124Aに伝達する棒状の部材である。回転軸部123Aの一方の端部はケーシング部121Aの対向する2辺の一方に配置され、他方の端部は、対向する2辺の他方に配置される。対向する2辺には、外側面に稼働部122Aが配置された辺が含まれてもよい。
【0059】
回転軸部123Aは少なくとも一つ以上、ケーシング部121Aに配置される。また、複数の回転軸部123Aが配置される場合、複数の回転軸部123Aは互いに平行に配置されることが好ましい。また、複数の回転軸部123Aは、等間隔の距離をあけて配置されるのが好ましい。
【0060】
羽板部124Aは、回転軸部123Aに配置された細長い矩形状に形成された板部材である。羽板部124Aは、回転することによってフード部101における開口面112の開口率を変更する部材である。羽板部124Aによる開口面112の開口率を変更する内容については後述する。
【0061】
羽板部124Aは全ての回転軸部123Aに配置される。具体的には、羽板部124Aの2つの短辺の中央を結ぶように、回転軸部123Aが配置されるのが好ましい。さらに、羽板部124Aの長軸方向の軸線と、回転軸部123Aの中心線とが一致して配置されてもよい。また、回転軸部123Aの円周面に羽板部124Aが接して配置されてもよい。
【0062】
羽板部124Aが回転して、羽板部124Aの板の面とフード部101の開口面112とが交差する角度が小さくなると開口面112の開口率が小さくなる。逆に、交差する角度が大きくなると開口率が大きくなる。
【0063】
例えば、羽板部124Aの向きが開口面112と平行の場合(以後、平行の場合とも記載する。)は、開口面112の開口率は最も低くなる。羽板部124Aの向きが開口面112と直交の場合(以後、直交の場合とも記載する。)は、開口面112の開口率は最も高くなる。
【0064】
複数の羽板部124Aは、面の向きがすべて同じ方向になることが好ましい。言い換えれば、一つの羽板部124Aの向きが開口面112と平行の場合には、他の全ての羽板部124Aの向きも開口面112と平行になることが好ましい。一つの羽板部124Aの向きが開口面112と直交の場合には、他の全ての羽板部124Aの向きも開口面112と直交になることが好ましい。また、羽板部124A面の向きが平行の場合に、一つの羽板部124Aが隣接する他の羽板部124Aと、重ならないように配置されるのが好ましい。
【0065】
通信部125Aは、制御部105Aの信号を受信する部材である。通信部125Aはケーシング部121Aに配置されるのが好ましい。なお、通信部125Aはケーシング部121A以外に配置されてもよい。制御部105Aの信号を受信する方法に関しては公知の方法を用いてもよい。
【0066】
次に、上記から構成される厨房排気システム100Aにおける動作について説明する。なお、実施形態1と同様の内容については説明を省略する。
蒸気検出部104から蒸気を検出した情報を入力された制御部105Aは、開口変更部120Aの稼働部122Aを制御する制御信号を、開口変更部120Aの通信部125Aへ出力する。制御部105Aから情報を入力された開口変更部120Aの通信部125Aは、稼働部122Aを制御する信号を稼働部122Aに入力する。
【0067】
情報が入力された稼働部122Aは、回転軸部123Aを回転させる。回転軸部123Aの回転に伴って、羽板部124Aも回転する。羽板部124Aは回転することによって、フード部101における開口面112の開口率を制御する。
【0068】
具体的には、
図7示すように、開口変更部120Aの開口率を制御部105Aは制御する。なお、制御部105Aにおける開口変更部120Aの開口率を制御する方法は、公知の方法を用いてもよい。
【0069】
図7は開口変更部120Aの開口率を説明するグラフである。
図7における縦軸は開口変更部120Aの開口率を表す。横軸は厨房排気システム100Aの起動後の時間軸を表す。
【0070】
開口変更部120Aの開口率の制御は、ステップA、ステップB、およびステップCの3つの場合に応じて制御の内容が変わる。ステップAは、厨房排気システム100Aの起動時の場合である。ステップBは、ステップAの後に蒸気検出部104が蒸気を検出しない場合である。ステップCは、ステップBの制御中に蒸気検出部104が蒸気を検出した場合である。
【0071】
まず、ステップAにおける開口変更部120Aの開口率の制御について説明する。厨房排気システム100Aが起動されると、制御部105Aは、開口変更部120Aの開口率を起動初期値まで上昇させる。なお、本実施形態では起動初期値が最大の開口率である場合について説明する。つまり、制御部105Aは、開口変更部120Aの開口率を最大にするように制御する場合について説明する。
【0072】
また、制御部105Aは、ステップAにおける開口変更部120Aの開口率を最大まで上昇させる制御に連動して、
図2で示すように送風部103におけるファンの回転速度も最大まで上昇させる制御をすることが好ましい。
【0073】
次に、ステップBにおける開口変更部120Aの開口率の制御について説明する。ステップAの制御によって、開口変更部120Aの開口率が最大になった後、制御部105Aは、開口変更部120Aの開口率を時間の経過に伴い減少させる制御をする。開口変更部120Aの開口率を減少させる単位時間当たりの変化量、言い換えると、
図2のステップBにおけるグラフの傾きは、予め定められた傾きであってもよい。開口変更部120Aの開口率を減少させる制御方法は、公知の技術を用いてもよい。
【0074】
また、制御部105Aは、ステップBにおける開口変更部120Aの開口率を、時間の経過に伴い減少させる制御に連動して、送風部103におけるファンの回転速度も減少させる制御をすることが好ましい。
【0075】
次に、ステップCにおけるファン回転速度の制御ついて説明する。ステップCの制御は、ステップBの制御中に蒸気検出部104が蒸気を検出した場合に行われる制御である。制御部105Aは、蒸気検出部104が蒸気を検出すると、開口変更部120Aの開口率を減少させる制御を終了する。次いで、開口変更部120Aの開口率を、蒸気検出部104が蒸気を検出した時点よりも予め定められた所定時間前の開口率とする制御を行う。所定時間は、0以上の任意の時間を設定してもよい。
【0076】
所定時間が0よりも大きな値の場合、制御部105Aは、開口変更部120Aの開口率を、蒸気検出部104が蒸気を検出した時点よりも所定量だけ大きな開口率とする制御を行う。言い換えると、制御部105Aは、開口変更部120Aの開口率が蒸気検出部104により蒸気が検出されない開口率のうち、最も少ない開口率になるように制御する。
【0077】
所定時間が0である場合、制御部105Aは、開口変更部120Aの開口率を蒸気検出部104が蒸気を検出した時点の開口率を維持する制御を行う。所定時間が0の場合には、
図7におけるC´で示す開口率となる。
【0078】
また、制御部105Aは、ステップBにおける開口変更部120Aの開口率を予め定められた所定時間前の開口率とする制御を行う際に、送風部103におけるファンの回転速度を実施形態1で記載した
図2と
図3におけるステップCとステップC´よりも少ない回転速度に制御することが好ましく、開口面112周辺の風速は、ステップCとステップC´よりも早くなる制御をすることが好ましい。
【0079】
言い換えると、実施形態1と比べて、厨房排気システム100Aに開口変更部120Aを設けることにより、ファンの回転速度が減少した場合にも、フード部101の開口面112周辺の風速が上昇し厨房内の蒸気収集しやすくなる。
【0080】
つまり、厨房排気システム100Aに開口変更部120Aを設けることにより、送風部103におけるファンの回転速度を低減したうえで、フード部101の外部に蒸気が漏洩することを防止することができる。
【0081】
上記の構成の厨房排気システム100Aによれば、開口変更部120Aはフード部101の開口率を変更することができる。開口率を変更することによって、フード部101の開口周囲の風速を所定の値に保つことができ、蒸気の捕集率の低下を抑制することができる。例えば、送風部103の送風量が減少した場合、開口率を小さくすることにより、フード部101の開口周辺の風速の低下を抑制することができ、蒸気の捕集率の低下を抑制することができる。言い換えれば、送風部103が送風するエネルギを減少することができる。
【0082】
更に、フード部101の形状や設置位置を変更しなくても、蒸気の捕集率の低下を抑制することができるため、厨房排気システム100Aの設置におけるレイアウトの柔軟性を確保しやすくできる。
【符号の説明】
【0083】
100,100A…厨房排気システム、101…フード部、102…ダクト部、103…送風部、104…蒸気検出部、105,105A…制御部、111…収集部、112…開口面、113…給気口部、120A…開口変更部、121A…ケーシング部、122A…稼働部、123A…回転軸部、124A…羽板部、125A…通信部、900…厨房機器、901…エネルギ測定部、A,B,C,D…ファンの回転速度の制御ステップ、E…下限回転速度