(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001343
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】医療器具をドッキングするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188487
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2021517183の分割
【原出願日】2019-09-27
(31)【優先権主張番号】62/738,483
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ミンエン
(72)【発明者】
【氏名】グレッツェル・チョーンシー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイレル・エイドリアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医療器具をドッキングするためのシステム及び技術を提供する。
【解決手段】医療システム10は、ロボット医療器具上の対応する駆動入力を回転させこれに係合する駆動出力と、駆動出力を回転させるように構成されたモータと、駆動出力に付与されたトルクを測定するように構成されたトルクセンサと、を含むことができる。ロボット医療器具は、駆動入力によって作動される予め張力をかけられたプルワイヤを含むことができる。システムは、駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、駆動出力を駆動入力と整合させるために、駆動出力に関連付けられたトルクセンサからのトルク信号に応答して駆動出力を回転させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット医療用システムであって、
器具駆動機構であって、
ロボット医療器具のハンドル上の対応する駆動入力を回転させこれに係合するように構成された駆動出力であって、前記ロボット医療器具が、前記駆動入力によって固定された予め張力をかけられたプルワイヤを備える、駆動出力と、
前記駆動出力に関連付けられ、前記駆動出力を回転させるように構成されたモータと、
前記駆動出力に関連付けられ、前記駆動出力に付与されたトルクを測定するように構成されたトルクセンサと、を備える、器具駆動機構と、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記器具駆動機構への前記ロボット医療器具の前記ハンドルのドッキング中に、前記駆動出力に関連付けられた前記モータを起動させて、前記駆動出力に関連付けられた前記トルクセンサからの、前記駆動出力に付与された前記トルクの大きさを示すトルク信号に応答して前記駆動出力を回転させる、コンピュータ実行可能命令を記憶している、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を含み、
前記器具駆動機構は、器具ドライバ軸と回転アセンブリとを備え、
前記駆動出力は、前記回転アセンブリに収容され、
前記ロボット医療器具の前記ハンドルは前記回転アセンブリと結合すると、前記器具ドライバ軸を中心に前記回転アセンブリと一緒に回転する、システム。
【請求項2】
前記コンピュータ実行可能命令が、前記駆動出力を対応する前記駆動入力と整合させるために、前記少なくとも1つのプロセッサに前記駆動出力を回転させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータ実行可能命令が、前記トルク信号に応答して前記少なくとも1つのプロセッサに前記モータを起動または停止させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記駆動出力は、前記モータの回転運動を前記駆動入力に伝達するように構成され、
前記トルク信号が、前記駆動出力上に付与された前記トルクの方向をさらに示し、前記コンピュータ実行可能命令が、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記モータを起動させて、付与された前記トルクの前記方向と同じ方向に前記駆動出力を回転させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
器具駆動機構の駆動出力と、ロボット医療器具の駆動入力を整合させるための方法であって、
前記器具駆動機構への前記ロボット医療器具のハンドルのドッキング中において、前記方法は、
前記器具駆動機構の前記駆動出力に関連付けられたトルクセンサからトルク信号を受信することであって、前記トルク信号が、前記駆動出力に付与されたトルクの大きさを示す、トルク信号を受信することと、
前記トルク信号を閾値と比較することと、
前記駆動出力に関連付けられた前記器具駆動機構のモータを起動させて、前記閾値を超える前記トルク信号に応答して前記駆動出力を回転させることと、を含み、
前記器具駆動機構は、器具ドライバ軸と回転アセンブリとを備え、
前記駆動出力は、前記回転アセンブリに収容され、
前記ロボット医療器具の前記ハンドルは前記回転アセンブリと結合すると、前記器具ドライバ軸を中心に前記回転アセンブリと一緒に回転する、方法。
【請求項6】
前記駆動出力が回転されて、前記駆動出力を前記ロボット医療器具の前記駆動入力と整合させる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ロボット医療器具が、前記駆動入力に関連付けられた少なくとも1つの予め張力をかけられたプルワイヤを含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先出願)
本出願は、2018年9月28日出願の米国特許仮出願第62/738,483号の優先権を主張し、参照によりその開示の全体が本書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に開示されるシステム及び方法は、医療器具をドッキングすることを目的とし、より具体的には、予め張力をかけられたプルワイヤを含むことができるロボット医療器具を対応する器具駆動機構にドッキングするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ロボット制御可能な医療システムは、内視鏡法、腹腔鏡法、及びその他を含む、多種多様な医療処置において使用することができる。これらの処置のいくつかでは、ロボット制御式医療器具をロボットアームなどの器具位置付け装置にドッキングさせることができる。一旦ドッキングされると、器具位置付け装置は、医療器具を操作して処置を行うことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のシステム、方法及び装置はそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つも、本明細書に開示される望ましい属性を単独で司るものではない。
【0005】
第1の態様では、ロボット医療システムは、ロボット医療器具のハンドル上の対応する駆動入力を回転させこれに係合するように構成された駆動出力であって、ロボット医療器具が、駆動入力によって作動される予め張力をかけられたプルワイヤを含む、駆動出力と、駆動出力と関連付けられ、駆動出力を回転させるように構成されたモータと、駆動出力に関連付けられ、駆動出力に付与されたトルクを測定するように構成されたトルクセンサと、を含む、器具駆動機構と、少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、少なくとも1つのプロセッサに、駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、駆動出力に関連付けられたトルクセンサからのトルク信号に応答して駆動出力を回転させる、そこに記憶されたコンピュータ実行可能命令を有する、コンピュータ可読メモリと、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、ロボット医療システムは、次の機能の1つ以上を任意の組み合わせで含めることができ、(a)命令が駆動出力を回転させて、駆動出力を対応する駆動出力と整合させ、(b)命令が、トルク信号が閾値を超えたことに応答して、プロセッサにモータを起動させ、(c)命令が、閾値を下回るトルク信号に応答して、プロセッサにモータを停止させ、(d)トルク信号が、駆動出力上に付与されたトルクの方向を示し、命令が、プロセッサに、モータを起動させて、付与されたトルクの方向と同じ方向にモータを回転させ、(e)モータの回転速度が、トルク信号に基づいて決定された測定トルクに比例し、(f)モータの回転速度が一定であり、(g)駆動出力がギヤであり、駆動入力がソケットであり、(h)駆動出力がソケットであり、駆動入力がギヤであり、(i)命令は、プロセッサに、システムが負荷器具状態にあるとき、駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、トルク信号に応答して駆動出力を回転させ、(j)トルクセンサはひずみゲージを含み、(k)ひずみゲージが、器具駆動機構のハウジングとモータとの間に位置付けられ、及び/又は(l)トルクセンサが双方向である。
【0007】
別の態様では、コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサに、器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたトルクセンサからトルク信号を受信させ、トルクセンサからのトルク信号が閾値を超えることに応答して、駆動出力を回転させるために、駆動出力に関連付けられたモータを起動させ、モータを停止させて、トルクセンサからのトルク信号が閾値を下回ったことに応答して、モータを停止させるように構成された命令を含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで更に含んでもよく、(a)命令が、少なくとも1つのプロセッサに、駆動出力を回転させて、駆動出力を駆動入力又はロボット医療器具と整合させるように構成され、ロボット医療器具が、駆動入力に関連付けられた少なくとも1つの予め張力をかけられたプルワイヤを含み、(b)トルク信号が、駆動出力上に付与されたトルクの方向を示し、命令が、少なくとも1つのプロセッサに、モータを起動させて、付与されたトルクの方向と同じ方向にモータを回転させ、(c)命令は、モータに、トルク信号に基づいて決定された測定トルクに比例する回転速度で駆動出力を回転させるように構成され、(d)命令は、モータに、一定の回転速度で駆動出力を回転させるように構成されており、及び/又は(e)命令は、システムが負荷器具状態にあるときに、トルク信号に応答して、少なくとも1つのプロセッサに駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、駆動出力を回転させる。
【0009】
別の態様では、ロボット医療器具の駆動入力と器具駆動機構の駆動出力とを整合させるための方法は、器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたトルクセンサからトルク信号を受信することを含み、トルク信号は、駆動出力に付与されたトルクを示し、トルク信号を閾値と比較することと、駆動出力に関連付けられた器具駆動機構のモータを起動させて、閾値を超えるトルク信号に応答して駆動出力を回転させることと、モータを停止させて、トルクセンサからのトルク信号が閾値を下回ったことに応答して、モータを停止させることと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、方法は、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができ(a)駆動出力が、駆動出力をロボット医療器具の駆動入力と整合させるために回転され、(b)ロボット医療器具が、駆動入力に関連付けられた少なくとも1つの予め張力をかけられたプルワイヤを含み、(c)トルク信号が、駆動出力上に付与されたトルクの方向を示し、方法が、モータを起動させて、付与されたトルクの方向と同じ方向にモータを回転させることを含み、(d)モータの回転速度が、トルク信号に基づいて決定された測定トルクに比例し、(e)モータの回転速度が一定であり、(f)駆動出力がギヤであり、駆動入力がソケットであり、(g)駆動出力がソケットであり、駆動入力がギヤである、及び/又は(h)起動工程及び停止工程が、負荷器具状態にあるときに発生する。
【0011】
別の態様では、ロボット医療システムは、ロボット医療器具のハンドル上の駆動入力を回転させこれに係合するように構成された駆動出力であって、ロボット医療器具は、駆動入力に関連付けられたプルワイヤを含む、駆動出力と、駆動出力に関連付けられ、駆動出力を回転させるように構成されたモータと、駆動出力に関連付けられ、駆動出力に付与されたトルクを測定するように構成されたトルクセンサと、を備える、器具駆動機構と、少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、メモリは、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリに記憶されたコンピュータ実行可能命令を有し、少なくとも1つのプロセッサに、駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、駆動出力に関連付けられたトルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第1の回転位置まで、駆動出力を第1の方向に回転させ、トルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える、第2の回転位置が閾値を超えるまで、モータに駆動出力を第2の方向に回転させ、第1の回転位置と第2の回転位置との間の回転距離を決定させる、メモリと、を備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよく、(a)回転距離が、駆動出力と駆動入力との間の間隙を示し、(b)閾値を超えるトルク信号が、駆動入力に接触する駆動出力を示し、(c)命令は、少なくとも1つのプロセッサに、駆動出力を回転させて医療器具の細長いシャフトを関節運動させ、回転が、決定された回転距離の少なくとも一部に基づいており、(d)駆動出力がギヤであり、駆動入力がソケットであり、(e)駆動出力がソケットであり、駆動入力がギヤであり、(f)命令は、プロセッサに、システムがホーミング状態にあるときにトルク信号に応答して駆動出力を駆動入力と整合させるために、駆動出力に関連付けられたモータを起動させ駆動出力を回転させ、(g)医療器具が器具駆動機構にドッキングされた後、システムがホーミング状態に入り、(h)トルクセンサがひずみゲージを含み、(i)ひずみゲージが、器具駆動機構のハウジングとモータとの間に位置付けられ、及び/又は(j)トルクセンサが双方向である。
【0013】
別の態様では、コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサに、器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたトルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第1の回転位置まで、駆動出力を第1の方向に回転させるために、駆動出力に関連付けられたモータを起動させ、トルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第2の回転位置が閾値を超えるまで、モータに駆動出力を第2の方向に回転させ、第1の回転位置と第2の回転位置との間の回転距離を決定するように構成される命令を含む方法。
【0014】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読命令は、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ以上を更に含んでもよく、(a)回転距離が、駆動出力と器具駆動機構にドッキングされたロボット医療器具の駆動入力との間の間隙を示し、(b)閾値を超えるトルク信号が、駆動入力に接触する駆動出力を示し、(c)命令は、少なくとも1つのプロセッサに、駆動出力を回転させて医療器具の細長いシャフトを関節運動させ、回転が、決定された回転距離の少なくとも一部に基づいており、(d)命令は、少なくとも1つのプロセッサに、駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、システムがホーミング状態にあるとき、トルク信号に応答して駆動出力を駆動入力と整合させるように駆動出力を回転させ、及び/又は(e)医療器具が機器駆動機構にドッキングされた後、システムはホーミング状態になる。
【0015】
別の態様では、方法は、器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたトルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第1の回転位置まで、駆動出力を第1の方向に回転させるために、駆動出力に関連付けられたモータを起動させることと、トルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第2の回転位置まで、モータに駆動出力を第2の方向に回転させることと、第1の回転位置と第2の回転位置との間の回転距離を決定することと、を含む。
【0016】
この方法は、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよく、(a)回転距離が、駆動出力と器具駆動機構にドッキングされたロボット医療器具の駆動入力との間の間隙を示し、(b)閾値を超えるトルク信号は、駆動入力に接触する駆動出力を示す、及び/又は(c)駆動出力を回転させて医療器具の細長いシャフトを関節運動させ、回転が、決定された回転距離の少なくとも一部に基づく。
【0017】
別の態様では、ロボット医療システムは、ロボット医療器具のハンドル上の対応する駆動入力を回転させこれに係合するように構成された駆動出力であって、ロボット医療器具は、駆動入力によって作動される予め張力をかけられたプルワイヤを備える駆動出力と、駆動出力に関連付けられ、駆動出力を回転させるように構成されたモータと、ロボット医療器具のハンドルが器具駆動機構からの閾値負荷距離内にあるときを検出するように構成されたセンサと、を備える、器具駆動機構を含む。システムはまた、少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つのコンピュータ可読メモリを含み、メモリは、少なくとも1つのプロセッサに、センサの出力に基づいて、ロボット医療器具が、器具駆動機構の閾値負荷距離内にあると判定させるコンピュータ実行可能命令を記憶し、駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、駆動出力を振動させて、駆動出力及び対応する駆動入力の整合を容易にする。
【0018】
システムは、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができ、(a)命令は、モータをアドミッタンスモードにするようにプロセッサを更に構成し、ロボット医療器具は器具駆動機構の閾値負荷距離内にあり、(b)センサが近接センサであり、(c)センサが磁気センサであり、(d)センサは、RFID読み取り機であり、(e)駆動出力の振動が、少なくとも30度、少なくとも20度、少なくとも15度、少なくとも10度、少なくとも5度、少なくとも3度、又は少なくとも1度の回転範囲にわたって、時計回り及び反時計回りの方向の前後の駆動出力の回転を含み、(f)駆動出力の振動が、30度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、又は1度以下の回転範囲にわたって、時計回り及び反時計回りの方向の前後の駆動出力の回転を含み、(g)命令は、センサの出力に基づいて、ロボット医療器具が、器具駆動機構にドッキングされたと判定し、ロボット医療器具がドッキングされたときに、駆動出力の振動を引き起こさせることを停止するように、プロセッサを更に構成し、(h)閾値負荷距離は、少なくとも20cm、少なくとも15cm、少なくとも10cm、少なくとも5cm、又は少なくとも1cmであり、及び/又は(i)閾値負荷距離は、20cm以下、15cm以下、10cm以下、5cm以下、又は1cm以下である。
【0019】
別の態様では、方法は、器具駆動機構上のセンサの出力に基づいて、ロボット医療器具が、器具駆動機構の閾値負荷距離内にあると判定することと、ロボット医療器具が器具駆動機構の閾値負荷距離内にあるときに駆動出力及び対応する駆動入力の整合を容易にするために、駆動出力を振動させるために、器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたモータを起動させることと、を含む。
【0020】
本方法は、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができ、(a)モータを、ロボット医療器具が器具駆動機構の閾値負荷距離内にあるアドミッタンスモードに置くことと、(b)センサが近接センサであり、(c)センサが磁気センサであり、(d)センサは、RFID読み取り機であり、(e)駆動出力の振動が、少なくとも30度、少なくとも20度、少なくとも15度、少なくとも10度、少なくとも5度、少なくとも3度、又は少なくとも1度の回転範囲にわたって、時計回り及び反時計回りの方向の前後の駆動出力の回転を含み、(f)駆動出力の振動が、70度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、又は1度以下の回転範囲にわたって、時計回り及び反時計回りの方向の前後の駆動出力の回転を含み、(g)センサの出力に基づいて、ロボット医療器具が、器具駆動機構にドッキングされたと判定し、ロボット医療器具がドッキングされたときに、駆動出力の振動を停止することと、を含み、(h)閾値負荷距離は、少なくとも20cm、少なくとも15cm、少なくとも10cm、少なくとも5cm、又は少なくとも1cmであり、及び/又は(i)閾値負荷距離は、20cm以下、15cm以下、10cm以下、5cm以下、又は1cm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、限定するものではなく、同様の指定は同様の要素を示す。
【
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図2】
図1のロボットシステムの更なる態様を描写する。
【
図3】尿管鏡検査のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す。
【
図4】血管処置のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す。
【
図5】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図6】
図5のロボットシステムの代替的な図である。
【
図7】ロボットアーム(複数可)を収容するように構成された例示的なシステムを示す。
【
図8】尿管鏡検査処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図10】ピッチ又は傾斜調整を備えた
図5~
図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態である。
【
図11】
図5~
図10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図示を提供する。
【
図12】テーブルベースのロボットシステムの代替的実施形態を示す。
【
図13】
図12のテーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
【
図14】ロボットアームが取り付けられた、テーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
【
図16】ペア器具ドライバを備えた例示的な医療器具を示す。
【
図17】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。
【
図18】器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。
【
図20】
図1~
図10のロボットシステムの1つ以上の要素の位置(例えば
図16~
図18の器具の位置など)を推定する、例示的な実施形態に係る位置特定システムを示すブロック図である。
【
図21A】医療器具の対応する複数の駆動入力に係合するように構成された複数の駆動出力を含む器具駆動機構の実施形態の等角図及び端面図をそれぞれ示す。
【
図21B】医療器具の対応する複数の駆動入力に係合するように構成された複数の駆動出力を含む器具駆動機構の実施形態の等角図及び端面図をそれぞれ示す。
【
図22A】器具駆動機構の対応する複数の駆動出力に係合するように構成された複数の駆動入力を含む医療器具の器具ハンドルの実施形態の等角図及び端面図をそれぞれ示す。
【
図22B】器具駆動機構の対応する複数の駆動出力に係合するように構成された複数の駆動入力を含む医療器具の器具ハンドルの実施形態の等角図及び端面図をそれぞれ示す。
【
図23】器具駆動機構への医療器具のドッキング中に器具駆動出力に係合する器具駆動出力の斜視図を示す。
【
図24】駆動入力の一実施形態と整合された駆動出力の実施形態を示す。
【
図25A】駆動入力による駆動出力の整合を示す。第1の位置ずれ位置にある駆動出力及び駆動入力を示す。
【
図25B】駆動入力による駆動出力の整合を示す。第2の位置ずれ位置にある駆動出力及び駆動入力を示す。
【
図25C】駆動入力による駆動出力の整合を示す。整合位置にある駆動入力及び駆動出力を示す。
【
図25D】駆動入力による駆動出力の整合を示す。
図25A~
図25Cに示される整合プロセス中の駆動出力に関連付けられたトルクセンサの出力の例示的なグラフを示す。
【
図26】医療器具の駆動入力と器具駆動機構の駆動出力を整合させるように構成された医療システムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図27】器具駆動機構の駆動出力を医療器具の駆動入力と整合させるための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図28A】駆動出力及び駆動入力を使用する例示的なホーミングプロセスを示す。駆動入力と係合された駆動出力を示す。
【
図28B】駆動出力及び駆動入力を使用する例示的なホーミングプロセスを示す。第1の方向に第1の回転位置に回転された駆動出力を示す。
【
図28C】駆動出力及び駆動入力を使用する例示的なホーミングプロセスを示す。第2の回転位置に第2の方向に回転された駆動出力を示す。
【
図28D】駆動出力及び駆動入力を使用する例示的なホーミングプロセスを示す。
図28A~
図28Cに示されるホーミング処理中の駆動出力に関連付けられたトルクセンサの出力のグラフを示す。
【
図29】医療システムの例示的なホーミング方法を示すフローチャートである。
【
図30】器具駆動機構への医療器具のドッキング中のロボット医療システムの一例を示す。
【
図31】ロボット医療システムのための例示的な整合方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.概論。
本開示の態様は、腹腔鏡などの低侵襲性、及び内視鏡などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボットで使用可能な医療用システムに統合され得る。内視鏡処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことができる。
【0023】
幅広い処置を実行することに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。加えて、システムは、厄介なアーム運動及び位置を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0024】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示された概念の多くの他の実施態様が可能であり、開示された実施態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0025】
A.ロボットシステム-カート
ロボットで使用可能な医療用システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。
図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置されたカートベースのロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査の間、システム10は、気管支鏡検査のための処置特有の気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療器具を、診断及び/又は治療用具を送達するための自然開口部アクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置付けられている患者の口)に送達するための1つ以上のロボットアーム12を有するカート11を備えることができる。示されるように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置付けすることができる。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置付けするために作動させることができる。
図1の配置はまた、胃腸管(gastro-intestinal、GI)処置を、GI処置のための特殊な内視鏡である胃鏡を用いて実行するときに利用することができる。
図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に描画する。
【0026】
図1を引き続き参照すると、一旦カート11が適切に位置付けられると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。示されるように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダ部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を備えてもよく、各部分は、器具ドライバのセット28から別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端に結合されている。リーダ部分をシース部分と同軸上に整合させるのを容易にする器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再位置付けされ得る「仮想レール」29を作成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムの物理的構造を示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進又は後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び旋回させられてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0027】
内視鏡13は、対象の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下方に指向されてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操作して、内側リーダ部分を外側シース部分から入れ子状に延ばし、高められた関節運動及びより大きな曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダ部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能にする。
【0028】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように指向されてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下方に展開されて、病理医によって分析される組織試料を得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下方に展開されてもよい。小結節を悪性と識別した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するために器具を内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別々の手順で提供することができる。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の場所を「マーク」するために基準を送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0029】
システム10はまた、カート11に支持ケーブルを介して接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のための支持を提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフがより容易に調整及び/又は再位置付けすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して位置付けされてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように遠隔位置に格納されてもよい。
【0030】
上述のロボットシステムの支持において、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素(複数可)を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11で行われるのかにかかわらず、そのシステム又はサブシステム(複数可)全体を制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるときに、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置付けしてもよい。
【0031】
タワー30は、内視鏡13を通して配置することができるシステムに、制御された灌注及び吸引機能を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスも含むことができる。これらの構成要素は、タワー30のコンピュータシステムも使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブル(複数可)を通して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0032】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート11はより小さく、より移動可能になる。
【0033】
タワー30は、ロボットシステム10全体に配置されたセンサのための支持機器も含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10を通して光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30は、展開された電磁(EM)センサから受信した信号を受信及び処理するための電子サブシステムも含んでもよい。タワー30は、医療器具内又は医療器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、位置付けするためにも使用されてもよい。
【0034】
タワー30は、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部上に取り付けられされたコンソールに追加して、コンソール31も含んでもよい。コンソール31は、医師操作者のためのユーザインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール31は、看護師などの第2の操作者によって使用されて、患者の健康又は生命及びシステム10の動作を監視し、並びにナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。その他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別個の本体内に収容される。
【0035】
タワー30は、1つ以上のケーブル又は接続(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からの支持機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個の配線及び接続で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカート11に電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのための支持は、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0036】
図2は、
図1に示されるカートベースのロボットで使用可能なシステムからのカート11の実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、一般に、細長い支持構造14(「カラム」と呼ばれることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ以上のロボットアーム12(
図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置付けするために垂直軸に沿って回転してロボットアーム12の基部を調整する、個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0037】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に位置付けられているスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジ17を位置付けし、保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0038】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進する際にカラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置付けられているばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ17が上下方向に垂直方向に並進するのにつれてコイル状から伸縮するように展開されるまで、スプール内でコイル巻きされている。スプールのバネ荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進するときにカバーをスプールに後退する力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れて並進するときにはタイトなシールも維持する。カバーは、キャリッジ17が並進する際にカバーが適切に伸縮するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0039】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に整合された主ねじを使用するように設計された、ギヤ及びモータなどの機構を内部に備えてもよい。
【0040】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連のリンク23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を備えてもよく、各関節は独立したアクチュエータを備え、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを備える。それぞれ独立して制御可能な関節は、ロボットアーム12が利用可能な独立した自由度を表す。ロボットアーム12の各々は、7つの関節を有してもよく、したがって、7つの自由度を提供することが可能である。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度を有することにより、ロボットアーム12は、異なるリンク位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置付けすることが可能となる。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療器具を位置付けし、指向させることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながらよりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0041】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17、及びロボットアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカート11の移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカート11が部屋中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、処置中にカート11を所定の場所に保持するためのホイールロックを使用して静止させられてもよい。
【0042】
カラム14の垂直方向の端部に位置付けされたコンソール16は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザに提供することを可能にする。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、及び/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、及び呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側のカラム14側からコンソール16にアクセスすることを可能にするように位置付けされ、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、及び患者を見ることができる。示されるように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0043】
図3は、尿管鏡検査のために配置されたロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように位置付けられてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接整合して、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。示されるように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直接直線状にアクセスするために位置付けすることを可能にするように、テーブルの脚部に整合されてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0044】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技術を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために、膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32を尿管や腎臓に向けて、尿管鏡32の作動チャネルの下方に配置されたレーザ又は超音波結石破砕デバイスを用いて、腎臓結石の蓄積を破砕することができる。砕石術が完了した後、得られた結石片は、尿管鏡32の下方に展開されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0045】
図4は、血管処置のために同様に配置されたロボットで使用可能なシステム10の一実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、ナビゲーションを簡素化する、患者の心臓への、遠回り曲がりくねりが比較的少ない経路の両方を示す。尿管鏡処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向かって位置付けられて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療器具34が指向され、挿入されてもよい。代替的には、カートは、例えば、肩及び手首付近の頸動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置付けられてもよい。
【0046】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボットで使用可能な医療用システムの実施形態は、患者テーブルも組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートを除去することによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。
図5は、気管支鏡検査処置のために配置されたそのようなロボットで使用可能なシステムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、器具ドライバ42の線形整合から形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、
図5の気管支鏡40などの細長い医療器具を操作するように設計された器具ドライバ42を備える。実際には、蛍光透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置付けられてもよい。
【0047】
図6は、説明を目的として、患者及び医療器具なしのシステム36の代替的な図を提供する。示されるように、カラム37は、1つ以上のロボットアーム39のベースとなり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置付けられ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ(複数可)43は、カラム37内に位置付けられている機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の多数の側面へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置付けられてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要はないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システム36は、内視鏡及び腹腔鏡などの医療器具を患者の異なるアクセスポイントに整合させることができる。その他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延びるバー又はレールの形態の調整可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ以上のロボットアーム39を、(例えば、肘関節を有する肩部を介して)垂直方向に調整することができる調整可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直方向の調整を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容されることが可能であり、その後、処置中に引き上げられることが可能である。
【0048】
ロボットアーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延び得る一連の関節を含むアームマウント45のセットを介してキャリッジ43に取り付けられてもよい。加えて、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されると、アームマウント45がテーブル38の同じ側(
図6に示すように)、テーブル38の両側(
図9に示すように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置付けられ得るように、キャリッジ43上に位置付けられ得る。
【0049】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジ43の垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジ43の並進を機械化するためのモータを備えていてもよい。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に取り付けられたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0050】
テーブル基部46は、
図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスタを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスタは、基部46の両側で反対方向に延ばし、システム36を移動させる必要があるときに後退してもよい。
【0051】
引き続き
図6を参照すると、システム36はまた、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々な支持機能をテーブルに提供してもよい。タワーは、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置付けられるように移動可能でもあってもよい。加えて、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアーム39の潜在的な収容のために、テーブル基部46内により多くの保管空間を可能にする。タワーは、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェース、並びにリアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)の両方を提供するマスターコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、送気のために使用されるガスタンク用のホルダを含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。
図7は、テーブルベースのシステムの実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内へと垂直方向に並進させられてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びロボットアーム50をカラム53の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0053】
図8は、尿管鏡処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置付けするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように位置付けするために、旋回点(例えば、患者の頭部の下方に配置)を中心に回転又は旋回してもよい。例えば、スイベル部分55の旋回により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置付けられることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、患者の鼠径部領域に直接尿管鏡56を挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にあぶみ58が固定されてもよい。
【0054】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部(複数可)を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを実施するように方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを備えることができる。
図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。
図9に図示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようにアームマウント45を使用して位置付けられ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置付けしてもよい。
【0055】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボットで使用可能なテーブルシステムは、プラットフォームを所望の角度に傾斜もさせてもよい。
図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボットで使用可能な医療用システムの実施形態を示す。
図10に示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方の部分を他方の部分より床から離れた距離に位置付けすることができる。加えて、アームマウント45は、ロボットアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。急角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触するか又はテーブル基部46と衝突するのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延びるのを可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0056】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図示を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を多数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置付けによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動させられる。一方のネジ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、一方、他方のネジ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手が用いられてもよい。
【0057】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置付けしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の上腹部よりも床からより高い位置に患者の下腹部を位置付けしようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、重力によって患者の内臓を患者の上腹部に向かってスライドさせ、低侵襲性ツールが入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科又は医療処置を実施するために、腹腔を空にする。
【0058】
図12及び
図13は、テーブルベースの外科用ロボットシステム100の別の実施形態の等角図及び端面図を示す。外科用ロボットシステム100は、テーブル101に対して1つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る1つ以上の調整可能なアーム支持体105(例えば、
図14参照)を含む。図示される実施形態では、単一の調整可能なアーム支持体105が示されているが、テーブル101の反対側に追加のアーム支持体を設けることができる。調整可能アーム支持体105は、テーブル101に対して移動して、調整可能アーム支持体105及び/又はテーブル101に対してそれに取り付けられた任意のロボットアームの位置を調整及び/又は変更できるように構成され得る。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101に対して1つ以上の自由度で調整することができる。調整可能なアーム支持体105は、1つ以上の調整可能なアーム支持体105及びそれに取り付けられた任意のロボットアームをテーブル101の下に容易に収容する能力を含む、システム100への高い汎用性を提供する。調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の下の位置まで上昇させることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の上方の位置まで上昇させることができる。
【0059】
調整可能なアーム支持体105は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、いくつかの自由度を提供することができる。
図12及び
図13の図示の実施形態では、アーム支持体105は、第4の自由度で構成され、
図12に矢印で示されている。第1の自由度は、z方向(「Zリフト」)における調整可能なアーム支持体105の調整を可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101を支持するカラム102に沿って、又はそれに対して上下に動くことができるように構成されたキャリッジ109を含むことができる。第2の自由度は、調整可能なアーム支持体105が傾くことを可能にできる。例えば、調整可能なアーム支持体105は、回転接合部を含むことができ、それは、例えば、調整可能なアーム支持体105を、トレンデレンブルグ位置のベッドと整合することを可能にする。第3の自由度は、調整可能なアーム支持体105は「上方旋回する」ことを可能にでき、それを使用して、テーブル101の側面と調整可能なアーム支持体105との間の距離を調整することができる。第4の自由度は、テーブルの長手方向の長さに沿って調整可能なアーム支持体105の並進を可能にできる。
【0060】
図12及び
図13の外科用ロボットシステム100は、ベース103に取り付けられたカラム102によって支持されるテーブルを備えることができる。したがって、基部103及びカラム102は、支持面に対してテーブル101を支持する。床軸131及び支持軸133は、
図13に示される。
【0061】
調整可能なアーム支持体105は、カラム102に取り付けることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101又は基部103に取り付けることができる。調整可能なアーム支持体105は、キャリッジ109、バー又はレールコネクタ111、及びバー又はレール107を含むことができる。いくつかの実施形態では、レール107に取り付けられた1つ以上のロボットアームは、互いに対して並進及び運動することができる。
【0062】
キャリッジ109は、第1の接合部113によってカラム102に取り付けられてもよく、それにより、キャリッジ109がカラム102に対して運動することが可能になる(例えば、第1又は垂直軸123の上下など)。第1の接合部113は、調整可能なアーム支持体105に第1の自由度(「Zリフト」)を提供することができる。調整可能なアーム支持体105は、調整可能なアーム支持体105の第2の自由度(傾斜)を提供する第2の接合部115を含むことができる。調整可能なアーム支持体105は、第3の自由度(「上方旋回」)を調整可能なアーム支持体105に提供することができる第3の接合部117を含むことができる。レールコネクタ111が第3の軸127を中心にして回転させられるときにレール107の方向を維持するように第3の接合部117を機械的に拘束する、追加の接合部119(
図13に示す)を設けることができる。調整可能なアーム支持体105は、第4の軸129に沿って調整可能なアーム支持体105に対して第4の自由度(並進)を提供することができる第4の接合部121を含むことができる。
【0063】
図14は、テーブル101の両側に取り付けられた2つの調整可能なアーム支持体105A、105Bを有する、外科用ロボットシステム140Aの端面図を示す。第1のロボットアーム142Aは、第1の調整可能なアーム支持体105Bのバー又はレール107Aに取り付けられる。第1のロボットアーム142Aは、レール107Aに取り付けられた基部144Aを含む。第1のロボットアーム142Aの遠位端は、1つ以上のロボット医療器具又はツールに取り付けることができる器具駆動機構146Aを含む。同様に、第2のロボットアーム142Bは、レール107Bに取り付けられた基部144Bを含む。第2のロボットアーム142Bの遠位端は、器具駆動機構146Bを含む。器具駆動機構146Bは、1つ以上のロボット医療器具又はツールに取り付けるように構成され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、7つ以上の自由度を有するアームを備える。いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、挿入軸(挿入を含む1自由度)、リスト(リストピッチ、ヨー及びロールを含む3自由度)、エルボ(エルボピッチを含む1自由度)、ショルダ(ショルダピッチ及びヨーを含む2自由度)、及び基部144A、144B(並進を含む1自由度)、を含む8自由度を含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム142A、142Bによって提供することができるが、他の実施形態では、器具自体は、器具ベースの挿入アーキテクチャを介して挿入を提供する。
【0065】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と呼ばれる)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療器具と、を含み得る。この二分法は、医療処置に使用される医療器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び敏感な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことに推進される可能性がある。したがって、医療器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外し、除去、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布をすることができる。
【0066】
図15は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に配置される器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療器具に制御トルクを提供するために平行軸を伴って配置された1つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギヤヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を備える。各駆動ユニット63は、独立して制御され電動化され、器具ドライバ62は、複数(
図15に示すように4つ)の独立した駆動出力を医療器具に提供することができる。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0067】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療器具との間に位置する、滅菌ドレープに接続された滅菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。滅菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な滅菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力及び出力と、器具に対する駆動入力とを含み得る。滅菌アダプタに接続される滅菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置付けられている間に、資本設備を患者に近接して配置することが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療器具は、滅菌(すなわち、滅菌野)を必要とする領域において患者とインターフェースしてもよい。
【0068】
D.医療器具
図16は、ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を備える。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、一般に、ロボットアーム76の遠位端において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延びる駆動出力74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力73、例えば、レセプタクル、プーリー、又はスプールを備えてもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は結合されるときに、器具基部72の嵌合された駆動入力73は、器具ドライバ75における駆動出力74と回転軸線を共有して、駆動出力74から駆動入力73へのトルクの伝達を可能とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力74は、駆動入力73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを備えてもよい。
【0069】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は、例えば、腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計される。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであってもよく、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含んでもよい。腹腔鏡のために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合されたリストから延びるエンドエフェクタ、及び駆動入力が器具ドライバ75の駆動出力74から受け取ったトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみである、手術用ツール又は医療器具に接続することができる。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0070】
器具ドライバ75からのトルクは、細長いシャフト71に沿った腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ以上のプルルーメン(pull lumen)に向けられ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分のリストに固定される。腹腔鏡、内視鏡、又はハイブリッド処置などの外科処置中、これらの腱は、リスト、把持具、又ははさみなどの遠位に取り付けられたエンドエフェクタに連結されてもよい。このような構成の下で、駆動入力73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的には、腱は、細長いシャフト71の遠位端で把持具の1つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具は閉鎖される。
【0071】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端に)位置付けられている屈曲部又は関節運動部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端に固定的に取り付けられる場合、駆動入力73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部(関節運動可能部又は領域と呼ばれることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)指向する個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。螺旋の角度及び/又はそれらの間の間隔は、特定の目的のために変更又は設計することができ、よりきつい螺旋は負荷力の下でより少ないシャフト圧縮を示し、一方、より少ない量の螺旋は負荷力の下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲を制限する。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に指向されて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0072】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフト71は、シャフト71の遠位端における手術領域に対して手術ツール(又は医療器具)を展開する、灌注する、及び/又は吸引するための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71は、遠位先端部の光学アセンブリに/光学アセンブリから信号を伝送するためのワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよく、これは光学カメラを含んでもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフト71の遠位端に光を搬送するための光ファイバを収容してもよい。
【0073】
器具70の遠位端では、遠位先端部は、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口部を備えてもよい。遠位先端部はまた、内部解剖学的空間の画像を捕捉するために、繊維スコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端部はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源用のポートを含んでもよい。
【0074】
図16の例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は、細長いシャフト71の軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることにより、腱が駆動入力73から延び、細長いシャフト71内のプルルーメンに入る際に、腱の望ましくない絡まりをもたらす。そのような腱の結果としての絡まりは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフト71の動きを予測することを意図した制御アルゴリズムを混乱させる可能性がある。
【0075】
図17は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。示されるように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に整合された駆動出力81を備える4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバ80の非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持され得る電気接点を介して、器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力81を回転させることを可能にする。
【0076】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力81を受容するように構成された複数の駆動入力89(レセプタクル、プーリー、及びスプールなど)を備えた器具基部87(説明目的のために透明な外部スキンで示される)と、を備えてもよい。先の開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延び、軸は、
図16の設計にあるように直交するのではなく、駆動入力89の軸に実質的に平行である。
【0077】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されると、器具基部87及び器具シャフト88を備える医療器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置付けられているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力81、駆動入力89、及び器具シャフト88の軸の平行性は、制御腱を絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0078】
図18は、いくつかの実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。器具150は、上述の器具ドライバのいずれかに連結することができる。器具150は、細長いシャフト152と、シャフト152に接続されたエンドエフェクタ162と、シャフト152に連結されたハンドル170とを備える。細長いシャフト152は、近位部分154及び遠位部分156を有する管状部材を備える。細長いシャフト152は、その外側表面に沿った1つ以上のチャネル又は溝158を備える。溝158は、1つ以上のワイヤ又はケーブル180をそれを通して受容するように構成されている。したがって、1つ以上のケーブル180は、細長いシャフト152の外側表面に沿って延びる。他の実施形態では、ケーブル180は、細長いシャフト152を通って延びることもできる。いくつかの実施形態では、これらのケーブル180のうちの1つ以上の操作(例えば、器具ドライバを介して)により、エンドエフェクタ162の作動がもたらされる。
【0079】
器具基部とも称され得る器具ハンドル170は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ以上のトルカプラと往復嵌合するように設計された1つ以上の機械的入力174、例えばレセプタクル、プーリー又はスプールを有する取り付けインターフェース172を備えることができる。いくつかの実施形態では、器具150は、細長いシャフト152がハンドル170に対して並進することを可能にする一連のプーリー又はケーブルを備える。換言すれば、器具150自体は器具の挿入を収容する器具ベースの挿入アーキテクチャを備え、それによって器具150の挿入を提供するためにロボットアームへの依存を最小化する。他の実施形態では、ロボットアームは、器具の挿入に大きく関与することができる。
【0080】
E.コントローラ
本明細書に記載の任意のロボットシステムは、ロボットアームに取り付けられた器具を操作するための入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、器具と連結(例えば、通信的に、電子的に、電気的に、無線的に、及び/又は機械的に)することができ、それによりコントローラの操作は、例えば、マスタースレーブ制御を介して、器具の対応する操作を引き起こす。
【0081】
図19は、コントローラ182の実施形態の斜視図である。本実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を有することができるハイブリッドコントローラを備える。他の実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス又は受動的制御だけ利用することができる。他の実施形態では、コントローラ182は、アドミタンス制御だけ利用することができる。ハイブリッドコントローラであることにより、コントローラ182は、有利には、使用中、より低い知覚慣性を有することができる。
【0082】
図示される実施形態では、コントローラ182は、2つの医療器具の操作を可能にするように構成され、2つのハンドル184を含む。ハンドル184の各々は、ジンバル186に接続されている。各ジンバル186は位置付けプラットフォーム188に接続されている。
【0083】
図19に示されるように、各位置付けプラットフォーム188は、プリズム接合部196によってカラム194に連結されたSCARAアーム(selective compliance assembly robot arm)198を含む。プリズム接合部196は、(例えば、レール197に沿って)カラム194に沿って並進するように構成され、ハンドル184のそれぞれがz方向に並進され、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム198は、x-y平面におけるハンドル184の運動を可能にし、2つの更なる自由度を提供するように構成されている。
【0084】
いくつかの実施形態では、1つ以上のロードセルがコントローラ内に位置付けられる。例えば、いくつかの実施形態では、ロードセル(図示せず)は、ジンバル186の各々の本体内に位置付けられる。ロードセルを設けることによって、コントローラ182の一部分は、アドミタンス制御下で動作することができ、それによって、使用中にコントローラの知覚慣性を有利に低減する。いくつかの実施形態では、位置付けプラットフォーム188はアドミタンス制御用に構成され、一方、ジンバル186はインピーダンス制御用に構成されている。他の実施形態では、ジンバル186はアドミタンス制御用に構成され、位置付けプラットフォーム188はインピーダンス制御用に構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置付けプラットフォーム188の並進又は位置自由度は、アドミタンス制御に依存することができ、一方、ジンバル186の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。
【0085】
F.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、操作者である医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の暴露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、用語「位置特定」は、基準座標系内のオブジェクトの位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用されるその他の場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0086】
図20は、例示的な実施形態にかかる、器具の位置など、ロボットシステムの1つ以上の要素の位置を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ以上の命令を実行するように構成されている1つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上で考察された1つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、
図1に示されるタワー30、
図1~
図4に示されるカート11、
図5~
図14に示されるベッドなどの形態であってよい。
【0087】
図20に示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療器具の遠位先端部の位置データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端の場所及び/又は配向を表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の考察を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0088】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの収集を利用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の断面図の「スライス」として可視化される3次元画像へと再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の3次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルもまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0089】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ(又は画像データ)92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データ92を処理して、1つ以上の視覚ベースの(又は画像ベースの)位置追跡モジュール又は機能を有効にしてもよい。例えば、術前モデルデータ91は、医療器具(例えば、内視鏡又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいて、モデルから、予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端でのカメラ)で捕捉されたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照することができる。
【0090】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、カメラの動き、したがって内視鏡を判定するための特徴追跡を使用する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を判定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技術を更に向上させることがある。
【0091】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技術は、カメラの動きを推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動き検出、オブジェクトセグメンテーション計算、輝度、動き補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたり多数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を判定することができる。
【0092】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に整合され得るグローバル座標系内に、内視鏡のリアルタイム位置を生成することができる。EM追跡では、医療器具(例えば、内視鏡器具)内の1つ以上の位置及び向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に位置付けされた1つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の位置を整合する幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」され得る。一旦登録されると、医療器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端部)に埋め込まれたEMトラッカは、患者の解剖学的構造を通る医療器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0093】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定され得る。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定し得る。あるいは、これらの計算は、ネットワーク内の医療器具の位置を推定するために、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析することができる。
【0094】
図20が示すように、いくつかの他の入力データは、位置特定モジュール95によって使用することができる。例えば、
図20には示されていないが、形状検知繊維を利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の位置及び形状を判定するために使用することができる形状データを提供することができる。
【0095】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて(複数可)使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された位置に信頼重みを割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼でき得ない場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された位置の信頼性を低下させることができ、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0096】
上で考察されるように、本明細書で考察されるロボットシステムは、上記の技術のうちの1つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートに基づいているロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0097】
2.医療器具のドッキング
本開示の実施形態は、医療器具をドッキングするための装置、システム、及び技術に関する。いくつかのロボット制御可能な医療器具は、ロボット医療システムの追加の構成要素とドッキングすることができる基部又はハンドルを含む。一例として、ロボット制御可能な内視鏡は、ロボットアーム上の器具駆動機構(IDM)とドッキングされるように構成された基部又はハンドルを含み得る。器具駆動機構は、医療器具の対応する駆動入力と係合して、医療器具の制御を容易にかつ有効にする駆動出力を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び技術は、器具駆動機構の駆動出力と医療器具の駆動入力との間の整合を容易にするように構成される。駆動出力を駆動入力と整合させることにより、医療器具を器具駆動機構にドッキングすることを容易にすることができる。例えば、駆動出力及び駆動入力を整合させることにより、医療器具を器具駆動機構にすばやく容易にドッキングすることができる。本明細書に記載されるシステム及び技術は、例えば、
図1~
図20を参照して上述したもの並びに以下に記載されるもの及び他のロボットシステムなどのロボット制御可能な医療システムと共に使用することができる。例示的な医療器具及び器具駆動機構は、例えば、
図15~
図18を参照して上述及び以下に記載されている。
【0098】
ロボット医療処置中に
図16に示されるように、医療器具70は、ロボットアーム76上に位置付けられ得る器具駆動機構75にドッキングされ得る。医療器具70は、器具駆動機構75と係合するように構成された器具ベース又はハンドル72を含み得る。図示のように、器具ハンドル72は、器具駆動機構75上の対応する駆動出力74と係合するように構成された複数の駆動入力73を含むことができる。駆動入力及び駆動出力の詳細な例示的実施形態を以下に記載される
図21A~
図23に示す。上述したように、駆動出力74は、器具駆動機構75内のモータによって駆動され得る(
図15を参照)。駆動出力74は、モータの回転(又は他の運動)を駆動入力75に伝達して、医療器具70の細長いシャフト71の関節運動、又は細長いシャフト71の遠位端に位置付けられたツールの作動など、医療器具70の様々な機能を制御することができる。器具ハンドル72は、処置中に使用するために医療器具70を保持するために器具駆動機構75にラッチすることができる。
【0099】
医療器具70を器具駆動機構75にドッキングしようとするとき、器具ハンドル72の駆動入力73及び器具駆動機構75の駆動出力74は整合されなくてもよい。駆動入力73及び駆動出力74の位置ずれは、医療器具70を器具駆動機構75にドッキングすることが困難又は不可能であり得る。医療器具70が器具駆動機構75にドッキングするために、駆動出力74又は駆動入力73は、適切に整合されるまで回転される必要があり得る。
【0100】
駆動出力74及び駆動入力73を整合させることができるいくつかの方法がある。例えば、いくつかの実施形態では、器具駆動機構75は、モータが駆動可能に戻るように構成されてもよい。このような実施形態では、医療器具70を器具駆動機構75にドッキングする力は、駆動出力74が駆動入力73と適切に整合するまで駆動出力74を回転させるのに十分であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、これは、モータのいずれの抵抗も、それらが後方駆動されるときに克服されなければならないため、著しい力を必要とする場合がある。同様に、いくつかの実施形態では、器具駆動機構75内のモータは、駆動出力74が駆動入力73と整合するまで回転することを可能にするために、ドッキング中にオフにされてもよい。これらの実施形態によって提供される性能は、調整可能であってもよい。例えば、駆動出力74を回転させるのに必要なトルクは、調整可能であってもよい。
【0101】
別の例として、いくつかの実施形態では、ドッキング中に印加される力は、器具駆動機構75の駆動出力74と適切に整合するまで、医療器具70上の駆動入力73を回転させることができる。医療器具70のいくつかの実施形態は、予め張力をかけられていない駆動入力73によって作動されるプルワイヤを含んでもよい。予め張力をかけられたプルワイヤを含まない医療器具70では、駆動入力73は、自由運動に対するいくらかの許容差を有し得る。すなわち、予め張力をかけられたプルワイヤを含まない医療器具70では、プルワイヤを作動させることなく、駆動入力73(少なくともある程度の回転)を回転させることが可能であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、駆動入力73が駆動出力74とずれているとき、駆動入力73は、ドッキング中にこの許容範囲内でそれ自体を調整するように回転し得る。
【0102】
医療器具70の他の実施形態は、予め張力をかけられたプルワイヤを含んでもよい。これらの器具のいくつかの実施形態(予め張力をかけられたプルワイヤを含む)では、駆動入力73の任意の回転は、プルワイヤの対応する作動を引き起こすことができる。例えば、張力をかけられたプルワイヤが器具70の細長いシャフト71の関節運動を引き起こすように構成されている場合、駆動入力73の任意の回転は、細長いシャフト71の関節運動を引き起こすことになる。これらの実施形態では、駆動入力73を自由に回転させて、ドッキング中の整合を容易にすることが望ましくない場合がある。例えば、この回転によって細長いシャフト71を関節運動させ得るため、駆動入力73がドッキング中に自由に回転することを可能にすることは望ましくない場合があり、これは、医療器具70の細長いシャフト71がドッキング中に真っ直ぐに維持されることが望ましい場合があるため許容できない。したがって、駆動出力74を自動的に調整して駆動入力75と整合させる方法が望ましい場合がある。そのような方法の実施例が、以下でより詳しく述べられる。
【0103】
いくつかの実施形態では、器具駆動機構75は、駆動出力74に印加されるトルク又は力を感知するように構成されたセンサを含むことができる。駆動出力74及び駆動入力73がずれている場合、医療器具70のドッキング中、駆動入力73は、医療器具70及び器具駆動機構75が一緒になったときに、駆動出力74に接触して押し当ててもよい。ずれ中に経験される駆動出力74と駆動入力73との間のこの接触は、センサの出力に基づいて決定することができる。例えば、ずれは、センサによって測定され得る駆動入力73によって駆動出力74にトルクを付与させることができる。測定されたトルクは、駆動出力74及び駆動入力73がずれているという指示を提供することができる。いくつかの実施形態では、システムは、駆動出力74に関連付けられたモータを起動させて、駆動出力74を回転させることができる。駆動出力74は、駆動入力73と整合するまで回転することができる。いくつかの実施形態では、システムは、駆動出力74に付与された測定されたトルクがゼロに減少又は低下するときに、駆動出力74が駆動入力73と整合されると判定する。これが発生すると、システムは駆動出力74の回転を停止することができる。
【0104】
したがって、いくつかの実施形態では、システムは、駆動出力74に関連付けられたセンサによって測定されたトルク又は力に応答して、駆動出力74を駆動入力73と自動的に整合させるように構成されてもよく、トルクは、駆動出力74と駆動入力73との位置ずれによって引き起こされる。これは、医療器具70の器具駆動機構75へのドッキングを有利に促進することができる。いくつかの実施形態では、これは、駆動出力74に関連付けられたモータを後方駆動する必要なく、駆動入力73との駆動出力74の整合を有利に可能にする。更に、いくつかの実施形態では、駆動入力73の回転を必要とせずに、駆動出力74と駆動入力73との整合を有利に可能にする。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される自動整合システムは、予め張力をかけられたプルワイヤを含む医療器具と共に有利に使用され得る。
【0105】
開示されるシステム及び方法のこれら及び他の特徴及び利点は、
図21A~
図29に示される実施例及び実施形態を参照して以下でより詳細に説明する。これらの実施例及び実施形態は、例示として提供され、本開示を限定することを意図するものではない。
【0106】
図21A及び
図21Bは、医療器具の対応する複数の駆動入力に係合するように構成された複数の駆動出力208を含む器具駆動機構200の実施形態の等角図及び端面図をそれぞれ示す。図示されるように、器具駆動機構200は、ハウジング202を含むことができる。ハウジング202は、医療器具にドッキングするように構成された取り付け面204を含むことができる。器具駆動機構200は、ドッキングされたときに医療器具を器具駆動機構200に固定するラッチ機構206を含むことができる。
【0107】
図21A~
図21Bに示されるように、器具駆動機構200は、駆動出力208を含むことができる。駆動出力208は、例えば、ハウジング内に位置付けされたモータによって駆動されるように構成された回転可能な要素であってもよい。図示した実施形態では、駆動出力208は、取り付け面204から突出するスプライン又はギヤとして構成されているが、駆動出力208の他の構成も可能である。例えば、駆動出力208は、取り付け面204内に凹部として形成されたレセプタクル又はソケットを備えることができる。駆動出力208は、医療器具上の対応する駆動入力と結合し、これに係合するように構成されている。駆動出力208は、器具駆動機構208内のモータから医療器具の駆動入力に回転運動(又は実施形態に応じた他の運動)を伝達することにより、処置中にモータを使用して医療器具を制御することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、器具駆動機構200は、通信モジュール210などの追加の機構を含み得る。通信モジュール210は、器具駆動機構200にドッキングされた医療器具から情報を読み取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信モジュール210(又は器具駆動機構200のいくつかの他の部分)は、1つ以上の近接センサを備える。近接センサは、医療器具が器具駆動機構であるか、又は器具駆動機構にドッキングされているかを判定するように構成されてもよい。近接センサは、例えば、1つ以上の磁気近接センサを備えてもよい。
【0109】
図22A及び
図22Bは、器具駆動機構200の対応する複数の駆動出力208に係合するように構成された複数の駆動入力228を含む医療器具の器具ハンドル220の実施形態の等角図及び端面図をそれぞれ示す。示されるように、器具ハンドル220はハウジング222を含むことができる。ハウジング222は、器具駆動機構200の取り付け面204にドッキングするように構成された取り付け面224を含むことができる。器具ハンドル220は、ドッキングされたときに器具ハンドル220を器具駆動機構200に固定するラッチ機構226を含むことができる。
【0110】
図22A~
図22Bに示されるように、器具ハンドル220は駆動入力228を含むことができる。駆動入力228は、器具駆動機構200の駆動出力208によって駆動されるように構成された回転可能要素であってもよい。図示した実施形態では、駆動入力228は、取り付け面224内に凹んでいるレセプタクル又はソケットとして構成されているが、駆動入力228のための他の構成も可能である。例えば、駆動入力228は、取り付け面224から延びる突出スプライン又はギヤを備えることができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、器具ハンドル220は、器具駆動機構200の通信モジュール210に情報を送信するように構成され得る通信モジュール230などの追加の機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、通信モジュール230(又は器具ハンドル220のいくつかの他の部分)は、1つ以上の近接センサを備える。近接センサは、医療器具が器具駆動機構200であるか又は器具駆動機構200にドッキングされているかどうかを判定するように構成されてもよい。近接センサは、1つ以上の磁気近接センサを備えてもよい。
【0112】
図23は、器具ハンドル220の器具駆動機構200へのドッキング中に駆動入力228に係合する器具駆動出力208の実施形態の斜視図を示す。図示のように、駆動出力208は、駆動入力229の対応する溝229内に受容されるように構成された歯209(例えば、隆起部、突出部、切欠き部、窪みなど)を備えてもよい。図示された例では、歯209及び溝229は相互作用して回転運動を伝達する。
【0113】
以下に説明する実施例の多くでは、駆動出力208は歯209を含むギヤとして示され、駆動入力228は、溝229を含むソケットとして構成される。しかしながら、これは、全ての実施形態に当てはまる必要はなく、駆動出力208と駆動入力228との間で回転運動を伝達するための多くの他の構造的構成が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、駆動出力208はソケットを備えてもよく、駆動入力228は、ソケット内に受容されるように構成されたギヤを備えることができる。別の例として、いくつかの実施形態では、駆動出力208及び駆動入力228の両方は、互いに噛み合うように構成されたギヤとして構成され得る。説明を容易にするために、以下の実施例は、ギヤとしての駆動出力208及び駆動入力228をソケットとして説明及び例示し続けるが、これは例示として行われ、特定の例示された構造的配置に本開示を限定することを意図するものではないことを理解する。他の実施形態では、駆動出力208及び駆動入力228は、直線運動などの他の種類の運動を伝達するように構成され得る。
【0114】
図24は、駆動出力208が駆動入力228と整合されている例の図を示す。図示のように、整合されると、駆動出力208の歯209は、駆動入力228の溝229内に受容されてもよい。いくつかの実施形態では、歯209が溝229内で整合されるため、駆動入力228は、駆動出力208にいかなるトルク又は力も付与しないか、又はその逆である。これは、駆動入力228と駆動出力208との間の所望の整合を表すことができる。図示された整合はまた、整合されると、駆動出力208が駆動入力228内に容易に受容され得るため、器具駆動機構への医療器具のドッキングを容易にし得る。
【0115】
図25A~
図25Dは、医療器具の器具駆動機構へのドッキング中に駆動出力208を駆動入力228と整合させるために使用され得る例示的な整合プロセスを示す。
図25A~
図25Cは、プロセス中の様々な段階における駆動出力208及び駆動入力228の例示的な図を示し、
図25Dは、プロセス中の駆動出力208に関連付けられたトルクセンサの出力を示す例示的なグラフを示す。
【0116】
図25Aに示されるように、多くの場合、医療器具を器具駆動機構にドッキングしようとするとき、器具駆動機構の1つ以上の駆動出力208、及び医療器具の1つ以上の駆動入力228は、適切に整合されない。例えば、駆動出力208の歯209は、
図25Aに示すように、駆動入力228の溝229とずれてもよい。これが発生すると、医療器具及び器具駆動機構が完全に合体されるのを防ぐことができるため、医療器具を器具駆動機構に完全にドッキングすることは困難であり得る。したがって、駆動出力208及び駆動入力228を整合させることが望ましい場合がある。
【0117】
ずれているとき、駆動入力228は、図示のようにトルクτを作り出す力を駆動出力208に付与することができる。トルクτは、医療器具が器具駆動機構に向かってもたらされる際に、溝229の壁が歯209の壁に接触して押圧されることによって引き起こされてもよい。このことは、医療器具が予め張力をかけられたプルワイヤを含む実施形態において、特に当てはまる可能性があり、そのような医療器具では、駆動入力228は自由に回転することができない場合があるためである。また、いくつかの実施形態では、駆動出力208に関連付けられたモータは、駆動出力208が自由に回転することを可能にしなくてもよく、したがって、ずれた駆動出力208と駆動入力228との間の接触は、示されるようにトルクτを発生させることができる。トルクτを示す信号は、駆動出力208に関連付けられたセンサ(トルク又は力センサなど)によって感知又は測定することができる。
図25Aでは、トルクτは時計回りの方向を有するように示されているが、これは全ての実施形態ではケースである必要はない。例えば、トルクτは、駆動出力208及び駆動入力228がどのようにずれているかに応じて反時計回り方向を有し得る。
【0118】
トルクτに基づいて
図25Bに示すように、駆動出力208は、駆動出力208を駆動入力228と整合させるように、トルクτの方向と同じ回転方向Rに回転され得る。
図25Bに示す段階では、駆動出力208は時計回り方向に回転されている。
図25Bに示すように、駆動出力208は依然として駆動入力228とずれている。しかしながら、回転Rにより、(
図25Aと比較して)ずれが減少する。回転Rは、本出願全体を通して論じられるように、測定されたトルクτに応答して、駆動出力208に関連付けられたモータによって駆動され得る。
【0119】
図25Cに示すように、駆動出力208の回転Rは、駆動出力208が駆動入力228と整合するまで継続することができる。この段階では、
図25Cに示すように、駆動出力208と駆動入力228とが整合されるため、トルクτは駆動出力208に付与されなくなる。図示のように、整合されると、駆動出力208の歯209は、駆動入力228の溝229と整合され得る。駆動出力208の歯209は、駆動入力228の溝229と整合されているため、駆動入力228はトルクτを付与しなくてもよい。これは、駆動出力208の回転を停止するようにモータをトリガすることができる。駆動出力208及び駆動入力228が整合されると、医療器具の器具駆動機構へのドッキングが促進され得る。
【0120】
図25Dは、
図25A~
図25Cに示されるドッキング及び整合プロセス中の、駆動出力208に関連付けられたトルク又は力センサの出力の例示的なグラフを示す。図示した実施形態では、グラフは、測定されたトルクを示しているが、これは全ての実施形態ではそうである必要はない。例えば、グラフは、測定された力若しくはトルク、又はトルク若しくは力を示すセンサの出力を表すことができる。
【0121】
図25Dに示すように、最初に、測定されたトルクτは実質的にゼロである。これは、医療器具が器具駆動機構に接触していない状態を表すことができる。この状態では、駆動出力208に関連付けられたトルクセンサがトルクを測定しないように、駆動出力208に接触していない。図示されるように、測定されたトルクは、ずれた駆動出力208が駆動入力228に接触し始めることができるため、測定トルクは、ドッキング中に器具駆動機構と接触すると、上昇し始めることができる。
【0122】
図25Aに示す状態を表すことができる
図25Dに示す時間t
aでは、トルクτは上昇しているが、閾値τ
thresh未満である。いくつかの実施形態では、測定されたトルクτは閾値τ
thresh未満のままであるが、駆動出力208の回転はトリガされない。閾値τ
threshは、ノイズを考慮し、システムの感度を調整するように選択されてもよい。
【0123】
時間t
aから、測定されたトルクτは閾値τ
threshを超えて増加し続けることができる。測定されたトルクτが閾値τ
threshを超えると、駆動出力208の回転Rがトリガされ得る。例えば、時間t
bは、
図25Bに示される段階を示し得、上述のように、駆動出力208が依然として駆動入力228とずれており、測定されたトルクτが依然として存在し、駆動出力208が駆動出力208を駆動入力228と整合させるように回転Rを受けている。
【0124】
図25Dに時間t
bから示されるように、測定されたトルクτは、測定されたトルクτが閾値τ
threshを下回るまで減少し続ける。測定されたトルクτが閾値τ
threshを下回るとき、駆動出力208及び駆動入力228は、ここで、時間t
cを示すことができる
図25Cに示されるように整合されるので、回転Rは停止し得る。時間t
cは、例えば、
図25Cに示すような適切な整合に対応することができる。
【0125】
図26は、医療器具314の駆動入力318と器具駆動機構306の駆動出力312を整合させるように構成された医療システム300の実施形態を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、整合は、
図25A~
図25Dを参照して説明され、
図27を参照して以下でより詳細に説明したものと同様の方法で、駆動出力312に関連付けられたトルク又は力センサ308の出力に基づいて自動的に発生してもよい。
【0126】
図26に示すように、システム300は、プロセッサ302と通信する1つ以上のプロセッサ302及び1つ以上のコンピュータ可読媒体又はメモリ304を含み得る。メモリ304は、様々な特徴を実行するようにプロセッサ302を構成される命令を備えて構成されてもよい。例えば、メモリ304は、プロセッサ302に、出願全体にわたって記載された自動整合及びドッキング機構を実行させる命令で構成することができる。
【0127】
システム300はまた、器具駆動機構306を含む。例示的な器具駆動機構は、例えば、
図15、
図16、
図21A及び
図21Bを参照して上述されている。いくつかの実施形態では、器具駆動機構306は、ロボットアーム又は他の器具位置付け装置の遠位端上に位置付けられる。器具駆動機構306は、医療器具314とドッキングするように構成され得る。図示した実施形態では、器具駆動機構306は、トルクセンサ308、モータ310及び駆動出力312を含む。器具駆動機構306はまた、
図26に図示されていない追加の機構(例えば、近接センサ、通信モジュールなど)を含んでもよい。
【0128】
前述したように、駆動出力312は、医療器具314上の対応する駆動入力318と係合するように構成され得る。駆動出力312は、モータ310によって駆動され得る。モータ310は、駆動出力312を、例えば、時計回り及び反時計回りの方向に回転させるように構成され得る。駆動出力312は、モータ310の回転運動を医療器具314の駆動入力318に伝達するように構成され得る。そのため、駆動出力312は、例えばギヤ及びソケットなどの回転運動を伝達するのに好適な任意の構造を含むことができる。
【0129】
図26に示すように、器具駆動機構306はまた、図示されたトルクセンサ308などのセンサ308を含むことができる。前述したように、力センサなどの他の種類のセンサも使用されてもよい。トルクセンサ308は、駆動出力312と関連付けることができる。例えば、トルクセンサ308は、駆動出力312に付与されたトルク又は力を示す出力信号を提供してもよい。いくつかの実施形態では、トルクセンサ308は、1つ以上のひずみゲージを含み得る。トルクセンサは、器具駆動機構306のハウジングとモータ310との間に位置付けするがでこときる。いくつかの実施形態では、トルクセンサ308は双方向である。つまり、いくつかの実施形態では、トルクセンサ308は、時計回り及び反時計方向の両方でトルクを測定するように構成されてもよい。トルクセンサ308の出力信号は、駆動出力312に付与されたトルクの方向を示すことができる。
【0130】
図示のように、トルクセンサ308及びモータ310は、プロセッサ302に通信可能に連結され得る。これにより、例えば、トルクセンサ308の出力信号がプロセッサ302によって使用されることを可能にし、プロセッサ302がモータ310を制御することを更に可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ302は、トルクセンサ308の出力信号に基づいてモータ310を制御して、本明細書に記載される自動整合及びドッキング機構を実装する。
【0131】
図26は、システム300が医療器具314も含み得ることを示す。例示的な医療器具314は、例えば、
図1、
図3~
図5、
図8、
図9、
図16~
図18、
図22A及び
図22Bを参照して上述されている。医療器具314は、器具基部又はハンドル316、及び細長いシャフト320を含み得る。器具ハンドル316は、器具駆動機構306にドッキングするように構成され得る。細長いシャフト320は、器具ハンドル316から延びることができる。いくつかの実施形態では、細長いシャフト320は、医療処置中に患者の身体(例えば腹腔鏡下又は内視鏡)に挿入するように構成され得る。
【0132】
器具ハンドル316は、器具駆動機構306の駆動出力312と係合するように構成された駆動入力318を含むことができる。いくつかの実施形態では、駆動入力318は、医療器具314と様々な機能を実行することができる1つ以上のプルワイヤ322と関連付けられる。例えば、いくつかの実施形態では、プルワイヤ322を作動させることは、細長いシャフト320を関節運動させるか、又は細長いシャフト320の遠位端に位置付けられたツールを動作させる。いくつかの実施形態では、プルワイヤ322は、駆動入力318を回転させることによって作動される。上述したように、駆動入力318は、駆動出力312と係合するように構成されてもよく、それにより、モータ310からの回転運動が駆動出力312を通って駆動入力318に伝達され、プルワイヤ322を作動させ得る。いくつかの実施形態では、プルワイヤ322は予め張力をかけられてもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、医療器具314は、予め張力をかけられたプルワイヤを備える。すなわち、いくつかの実施形態では、駆動入力318の任意の回転は、プルワイヤの作動を引き起こす。このような実施形態では、そのような回転が医療器具の不注意な又は意図しない関節運動を引き起こし得るため、駆動入力318の不注意な又は意図しない回転は望ましくない場合がある。
【0134】
いくつかの実施形態では、システム300は、ドッキングを容易にするために駆動出力312及び駆動入力318を自動的に整合させるための整合プロセスを実施するように構成される。
【0135】
図27は、医療器具の駆動入力を伴う器具駆動機構の駆動出力の整合の例示的な方法400を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、方法400は、
図26のシステム300、並びに本明細書に記載される他の医療システム上に実装することができる。
【0136】
方法400は、ブロック402において開始し、トルク信号は、器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたトルクセンサから受信される。いくつかの実施形態では、トルク信号は、駆動出力に付与されるトルクの方向を示すことができる。トルクは、いくつかの実施形態では、上述のように、駆動出力と駆動入力との間のずれによって引き起こされてもよい。いくつかの実施形態では、方法400は、トルクではなく、力を示す信号を使用してもよい。
【0137】
次に、方法400は、駆動出力に関連付けられたモータが起動されて、閾値を超えるトルク信号(ブロック402で受信される)に応答して駆動出力を回転させるブロック404に移動する。閾値は、システムの感度及び/又は信号内のノイズのアカウントを調整するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、閾値は、医療器具に基づいて構成されてもよい。例えば、より硬い医療器具は、より可撓性の医療器具よりも高い閾値を含んでもよい。いくつかの実施形態では、閾値情報は、各器具(いくつかの実施形態では、器具自体に)記憶され、方法400で使用するために読み取られる。
【0138】
いくつかの実施形態では、回転は、駆動出力を駆動入力と整合させるように構成される。いくつかの実施形態では、駆動出力は、駆動出力に付与されたトルクと同じ方向に回転される。例えば、トルクが時計回り方向にある場合、駆動入力は時計回り方向に回転されてもよい。いくつかの実施形態では、駆動出力は、トルクの方向と反対の方向に回転するように構成される。
【0139】
いくつかの実施形態では、回転速度は、ブロック402で測定されたトルクの大きさに比例し得る。例えば、トルクが大きいほど、回転速度が大きくなる。トルクは位置ずれの程度に関連し得るため、駆動出力及び駆動入力が著しくずれているとき、回転はより速くなり得、駆動出力及び駆動入力が整合するように回転するにつれて回転が遅くなり得る。他の実施形態では、回転速度は一定であってもよい。
【0140】
次いで、方法400は、ブロック406に移動し、モータが停止されて、モータが閾値を下回るトルク信号に応答して駆動出力の回転を停止させる。閾値を下回るトルク信号は、駆動出力と駆動入力との間の適切な整合を示し得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、方法400は、器具ドッキング又は器具負荷状態の間に実行される。例えば、方法400は、いくつかの実施形態では、医療器具を器具駆動機構にドッキングしている間に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、システムが、例えば、器具駆動機構及び医療器具内の近接センサに基づいて自動であるか、又はユーザ入力に基づいて手動であり得るかを判定する。いくつかの実施形態では、ドッキングが完了すると、システムは器具負荷状態を出て、方法400をもはや実行しない。
【0142】
いくつかの実施形態では、方法400は、器具駆動機構の各駆動出力に対して実行されてもよく、したがって、複数の駆動出力を複数の駆動入力と整合させるために使用されてもよい。
【0143】
図28A~
図28Dは、上述の駆動出力208及び駆動入力228を使用する例示的なホーミングプロセスを示す。いくつかの実施形態では、ホーミングプロセスは、医療器具が器具駆動機構にドッキングされた後に完了する。ホーミング処理は、駆動出力208の歯209と駆動入力228の溝229との間の間隙gの大きさを推定又は決定するために使用されてもよい。間隙gは、駆動出力208と駆動入力228との間のクリアランス又は許容差を表し得る。以下に記載されるように、ロボット医療器具を制御しながら、間隙gを考慮することができるように、間隙gのサイズを計算することが望ましい場合がある。
【0144】
図28Aは、駆動入力228と係合された駆動出力208を示す。図示のように、駆動出力208の歯209は、駆動入力228の溝229内に受容される。許容差及びクリアランスの理由のために、歯209と溝229との間に間隙gが存在してもよい。間隙gは、駆動出力208と駆動入力228との間のドッキング及び嵌合を容易にし得る。図示のように、間隙gは、歯209の片側又は両側に存在し得る。例えば、間隙g全体が第1の側面上に存在してもよく、間隙g全体が第2の側面に存在してもよく、又は間隙gの一部が第1の側面に存在してもよく、間隙gの別の部分が歯209の第2の側面に存在し得る。間隙gのため、駆動出力208の対応する回転を引き起こすことなく駆動出力208を回転させることが可能であり得る。例えば、駆動出力208は、駆動出力208が回転し始める前に、歯209の壁が溝229の壁に接触するまで回転しなければならない。したがって、この距離を考慮することができるように、間隙gのサイズを決定又は推定することが望ましい場合がある。間隙は、バックラッシュと称されてもよい。回転方向を切り替える際のバックラッシュを考慮することが望ましい場合がある。例えば、時計回り方向に回転させた後、反時計回りの回転が医療器具の作動を引き起こす前に、間隙gの距離を通って反時計回りに回転する必要がある。
【0145】
図28Bは、間隙gのサイズを決定するホーミングプロセスの一部として、駆動出力208を第1の方向に第1の回転位置に回転させることができることを示す。図示の例では、駆動出力208は、回転Rと同じ方向にトルクτが測定されるまで反時計回り方向に回転Rで回転される。トルクτは、歯209が溝229に接触することによって引き起こされ得る。このようにして、プロセスは、第1の方向に回転させたときに歯209が溝229に接触する回転位置を決定することができる。
【0146】
図28Cに示すように、駆動出力208はその後、第2の方向に第2の回転位置に回転され得る。図示の例では、駆動出力208は、次いで、トルクτが、回転Rと同じ方向にトルクτが測定されるまで、回転Rを時計回り方向に回転させる。再び、トルクτは、歯209が溝229に接触することによって引き起こされ得る。このようにして、プロセスは、第2の方向に回転させたときに歯209が溝229に接触する回転位置を決定することができる。
【0147】
次に、第1の回転位置(
図28Bに示す)と第2の回転位置(
図28Cに示す)との間の回転距離を決定し、間隙gとして使用することができる。これは、駆動出力208が駆動入力228の溝229の各側壁を位置付けすることによってホーミングされているためである。回転距離は、次いで、回転方向を変えるときにシステム内のバックラッシュを考慮するために使用することができる。
【0148】
図28Dは、
図28A~
図28Cに示されるホーミング処理中の駆動出力に関連付けられたトルクセンサの出力の例示的なグラフを示す。前述のように、グラフは、力又は力又はトルクを示す出力信号を表し得る。図示のように、時間t
a(
図28Aの状態を表す)では、駆動出力208及び駆動入力228が整合されるため、トルクτは実質的にゼロである。時間t
b(
図28Bの状態を表す)では、トルクτは、駆動出力208との接触を示すトルク閾値+τ
threshを上回って増加している。時間t
c(
図28Cの状態を表す)において、トルクτは、駆動入力228との反対方向の接触を示す閾値-τ
threshまで減少している。グラフでは、正及び負のトルク閾値τ
threshは、反対の回転方向の限界を示す。
【0149】
図29は、医療システムのための例示的なホーミング方法500を示すフローチャートである。医療システムは、例えば、
図26の医療システム300、並びに本明細書に記載される他の医療システムであり得る。ホーミング方法500は、
図28Aを参照して説明したように、駆動入力と駆動出力との間の間隙を決定又は推定するために使用することができ、これにより、医療システムの更なる使用中に間隙を考慮することができる。
【0150】
方法500は、ブロック502において開始し、このブロック502において、器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたモータが起動されて、駆動出力に関連付けられたトルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超えるまで、駆動出力を第1の方向に回転させる。いくつかの実施形態では、閾値を超えるトルク信号は、例えば、
図28Bに示すように、駆動入力に接触する駆動出力を示すことができる。
【0151】
次に、方法500は、トルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第2の回転位置まで、モータが駆動出力を第2の方向に回転させるブロック504に移動する。いくつかの実施形態では、閾値を超えるトルク信号は、例えば、
図28Cに示すように、駆動入力と反対方向に接触する駆動出力を示すことができる。
【0152】
最後に、ブロック506において、方法500は、第1の回転位置(
図28B)と第2の回転位置(
図28C)との間の回転距離を決定する。回転距離は、駆動出力と駆動入力との間の間隙又はクリアランスを表すことができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、方法500が間隙を決定すると、間隙は、今後の命令された運動のために考慮される。例えば、駆動出力の回転は、医療器具を制御するために使用される。しかしながら、駆動出力の回転が方向を変化させると、駆動出力は、駆動入力と反対方向に接触する前に、間隙距離を通って回転して戻さなければならない。
【0154】
図30は、器具駆動機構への医療器具のドッキング中のロボット医療システム600の例を示す。図示した実施形態では、システム600は、器具駆動機構602及びロボット医療器具610を含む。ロボット医療器具610は、器具基部又はハンドル612と、細長いシャフト614と、を含む。細長いシャフト614は、関節運動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長いシャフトは、細長いシャフト614の関節運動を引き起こすように作動可能な1つ以上のプルワイヤを含む。いくつかの実施形態では、プルワイヤは、予め張力をかけられたプルワイヤである。
【0155】
ロボット医療器具610は、器具駆動機構602がロボット医療器具610を駆動することができるように器具駆動機構602にドッキングするように構成され得る。図示されるように、器具駆動機構602は器具駆動出力604を含む。器具駆動出力604は、ロボット医療器具610の基部又はハンドル612上の対応する器具駆動入力616と係合するように構成され得る。上述のように、駆動出力604と駆動入力610との間の整合は、ドッキングを容易にすることができる。
【0156】
図30の例示的な実施例では、器具駆動機構600はセンサ606を含む。センサ606は、ロボット医療器具610が器具駆動機構602の閾値負荷距離D内にあるときを判定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、センサ606は、近接センサ、磁気センサ、RFID読み取り機、又はロボット医療器具が器具駆動機構602の距離D内にあるときを判定するための任意の他の種類の好適なセンサである。いくつかの実施形態では、器具駆動機構は、器具駆動機構602のセンサ606によって読み取ることができる対応するセンサ618を含む。例えば、センサ618は、距離D内にあるときにセンサ606によって読み取ることができる磁石又はRFIDタグであってもよい。いくつかの実施形態では、距離Dは、少なくとも20cm、少なくとも15cm、少なくとも10cm、少なくとも5cm、又は少なくとも1cmである。いくつかの実施形態では、距離Dは、20cm以下、15cm以下、10cm以下、5cm以下、又は1cm以下である。
【0157】
図示した実施形態では、ロボット医療器具610が、器具駆動機構602の距離D内にもたらされるとき、器具駆動機構602のモータは、駆動出力604の振動を駆動し始めることができる。例えば、駆動出力の振動は、少なくとも30度、少なくとも20度、少なくとも15度、少なくとも10度、少なくとも5度、少なくとも3度、又は少なくとも1度の回転範囲を介して、(矢印で
図30に例示されるように)時計回り及び反時計回りの方向の前後の駆動出力の回転を含むことができる。いくつかの実施形態では、振動は、30度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、又は1度以下の回転範囲である。
【0158】
いくつかの実施形態では、器具駆動機構602がロボット医療器具の閾値ドッキング距離D内にあるとき、駆動出力を駆動するモータをアドミッタンスモードに置くことができる。例えば、モータは、駆動出力604が振動している間、アドミッタンスモードにあってもよい。
【0159】
駆動出力604の振動は、駆動出力と駆動入力616との間の整合を容易にすることができ、これにより、医療器具610が器具駆動機構602にドッキングすることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、システムは、センサの出力に基づいて、ロボット医療器具が、器具駆動機構にドッキングされたことを判定し、ロボット医療器具がドッキングされたときに、駆動出力の振動を引き起こさせることを停止することができる。
【0160】
図31は、ロボット医療システムのための例示的な整合方法700を示すフローチャートである。方法700は、ブロック702で開始してもよい。ブロック702において、方法700は、器具駆動機構上のセンサの出力に基づいて、ロボット医療器具が、器具駆動機構の閾値負荷距離内にあると判定することを含む。これは、上記のようなセンサで行うことができる。ブロック704において、方法700は、駆動入力に関連付けられたモータをアドミッタンスモードに置くことを含む。ブロック706において、方法700は、器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、ロボット医療器具が器具駆動機構の閾値負荷距離内にあるときに駆動出力及び対応する駆動入力の整合を容易にするように駆動出力を振動させることを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、上述の医療器具ドッキングのためのシステム及び技術は、駆動ギヤとソケットとの間の位置ずれから生じる入力力/トルクを有する器具駆動機構の接合部のアドミッタンス制御と見なすことができる。
【0162】
3.実施システム及び用語。
本明細書に開示される実施態様は、医療器具をドッキングするためのシステム、方法、及び装置を提供し、いくつかの実施形態では、1つ以上の予め張力をかけられたプルワイヤ含むことができるロボット医療器具を器具駆動機構にドッキングする。システム、方法、及び装置は、医療器具上の駆動入力を有する器具駆動機構上の駆動出力の整合を容易にし得る。
【0163】
本明細書で使用するとき、用語「連結する」、「連結している」、「連結された」、又は単語結合の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「連結される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続される、又は第2の構成要素に直接的に接続される、のいずれかであってもよい。
【0164】
本明細書に記載される特定のコンピュータ実装プロセス及び機能を指す語句は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として記憶されてもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、用語「コード」は、コンピューティング装置又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0165】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序のステップ又は行為が必要とされない限り、特許請求の範囲から逸脱することなく、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0166】
本明細書で使用するとき、用語「複数」は、2つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ以上の構成要素を示す。用語「判定する」は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、算出する、調査する、見る(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受信する(例えば、情報を受信すること)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0167】
語句「基づく」は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0168】
開示される実装形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装形態に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装形様に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、取り付け、連結、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を使用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0169】
〔実施の態様〕
(1) ロボット医療用システムであって、
器具駆動機構であって、
ロボット医療器具のハンドル上の対応する駆動入力を回転させこれに係合するように構成された駆動出力であって、前記ロボット医療器具が、前記駆動入力によって作動された予め張力をかけられたプルワイヤを備える、駆動出力と、
前記駆動出力に関連付けられ、前記駆動出力を回転させるように構成されたモータと、
前記駆動出力に関連付けられ、前記駆動出力に付与されたトルクを測定するように構成されたトルクセンサと、を備える、器具駆動機構と、
少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記駆動出力に関連付けられた前記モータを起動させて、前記駆動出力に関連付けられた前記トルクセンサからのトルク信号に応答して前記駆動出力を回転させる、コンピュータ実行可能命令を記憶している、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を含む、システム。
(2) 前記命令が、前記駆動出力を前記対応する駆動出力と整合させるために、前記プロセッサに前記駆動出力を回転させる、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記命令が、前記プロセッサに、前記トルク信号が閾値を超えることに応答して前記モータを起動させる、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記命令が、前記プロセッサに、前記閾値を下回る前記トルク信号に応答して前記モータを停止させる、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記トルク信号が、前記駆動出力上に付与されたトルクの方向を示し、前記命令が、前記プロセッサに、前記モータを起動させて、付与された前記トルクの前記方向と同じ方向に前記モータを回転させる、実施態様1に記載のシステム。
【0170】
(6) 前記モータの回転速度が、前記トルク信号に基づいて決定された測定トルクに比例する、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記モータの回転速度が一定である、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記駆動出力がギヤであり、前記駆動入力がソケットである、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記駆動出力がソケットであり、前記駆動入力がギヤである、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記命令が、前記システムが負荷器具状態にあるとき、前記トルク信号に応答して前記駆動出力を回転させるために、前記プロセッサに、前記駆動出力に関連付けられた前記モータを起動させる、実施態様1に記載のシステム。
【0171】
(11) 前記トルクセンサは、ひずみゲージを含む、実施態様1に記載のシステム。
(12) 前記ひずみゲージが、前記器具駆動機構のハウジングと前記モータとの間に位置付けられている、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記トルクセンサは、双方向である、実施態様1に記載のシステム。
(14) コンピュータ可読媒体であって、
少なくとも1つのプロセッサに、
器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたトルクセンサからトルク信号を受信させ、
前記トルクセンサからの前記トルク信号が閾値を超えたことに応答して、前記駆動出力を回転させるために、前記駆動出力に関連付けられたモータを起動させ、
前記トルクセンサからの前記トルク信号が前記閾値を下回ったことに応じて、前記モータに前記駆動出力を回転させることを停止させるように、前記モータを停止させるように構成される命令を含む、コンピュータ可読媒体。
(15) 前記命令は、少なくとも1つのプロセッサに、前記駆動出力を回転させて、前記駆動出力を駆動入力又はロボット医療器具と整合させるように構成され、前記ロボット医療器具が、前記駆動入力に関連付けられた少なくとも1つの予め張力をかけられたプルワイヤを含む、実施態様14に記載のコンピュータ可読媒体。
【0172】
(16) 前記トルク信号が、前記駆動出力上に付与されたトルクの方向を示し、前記命令が、前記少なくとも1つのプロセッサに前記モータを起動させて、付与された前記トルクの前記方向と同じ方向に前記モータを回転させる、実施態様14に記載のコンピュータ可読媒体。
(17) 前記命令が、前記モータに、前記トルク信号に基づいて決定された測定トルクに比例する回転速度で前記駆動出力を回転させるように構成されている、実施態様14に記載のコンピュータ可読媒体。
(18) 前記命令が、前記モータに、一定の回転速度で前記駆動出力を回転させるように構成されている、実施態様14に記載のコンピュータ可読媒体。
(19) 前記命令が、前記システムが負荷器具状態にあるとき、前記トルク信号に応答して前記駆動出力を回転させるために、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記駆動出力に関連付けられた前記モータを起動させる、実施態様14に記載のコンピュータ可読媒体。
(20) ロボット医療器具の駆動入力と器具駆動機構の駆動出力を整合させるための方法であって、
前記器具駆動機構の前記駆動出力に関連付けられたトルクセンサからトルク信号を受信することであって、前記トルク信号が、前記駆動出力に付与されたトルクを示す、トルク信号を受信することと、
前記トルク信号を閾値と比較することと、
前記駆動出力に関連付けられた前記器具駆動機構のモータを起動させて、前記閾値を超える前記トルク信号に応答して前記駆動出力を回転させることと、
前記トルクセンサからの前記トルク信号が前記閾値を下回ったことに応答して、前記モータに前記駆動出力を回転させることを停止させるように、前記モータを停止させることと、を含む、方法。
【0173】
(21) 前記駆動出力が回転されて、前記駆動出力を前記ロボット医療器具の前記駆動入力と整合させる、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記ロボット医療器具が、前記駆動入力に関連付けられた少なくとも1つの予め張力をかけられたプルワイヤを含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記トルク信号が、前記駆動出力上に付与されたトルクの方向を示し、前記方法が、前記モータを起動させて、付与された前記トルクの前記方向と同じ方向に前記モータを回転させることを含む、実施態様20に記載の方法。
(24) 前記モータの回転速度が、前記トルク信号に基づいて決定された測定トルクに比例する、実施態様20に記載の方法。
(25) 前記モータの回転速度が一定である、実施態様20に記載の方法。
【0174】
(26) 前記駆動出力がギヤであり、前記駆動入力がソケットである、実施態様20に記載の方法。
(27) 前記駆動出力がソケットであり、前記駆動入力がギヤである、実施態様20に記載の方法。
(28) 前記起動工程及び前記停止工程が、負荷器具状態にあるときに生じる、実施態様20に記載の方法。
(29) ロボット医療用システムであって、
器具駆動機構であって、
ロボット医療器具のハンドル上の駆動入力を回転させこれに係合するように構成された駆動出力であって、前記ロボット医療器具が、前記駆動入力に関連付けられたプルワイヤを備える、駆動出力と、
前記駆動出力に関連付けられ、前記駆動出力を回転させるように構成されたモータと、
前記駆動出力に関連付けられ、前記駆動出力に付与されたトルクを測定するように構成されたトルクセンサと、を備える、器具駆動機構と、
少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、前記メモリは、前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリに記憶されたコンピュータ実行可能命令を有し、前記コンピュータ実行可能命令が、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記駆動出力に関連付けられた前記モータを起動させて、前記駆動出力に関連付けられた前記トルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第1の回転位置まで、前記駆動出力を第1の方向に回転させ、
前記トルクセンサによって測定された前記トルク信号が前記閾値を超える第2の回転位置まで、前記モータに前記駆動出力を第2の方向に回転させ、
前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との間の回転距離を決定させる、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、を含む、システム。
(30) 前記回転距離が、前記駆動出力と前記駆動入力との間の間隙を示す、実施態様29に記載のシステム。
【0175】
(31) 前記閾値を超える前記トルク信号が、前記駆動入力に接触する前記駆動出力を示す、実施態様29に記載のシステム。
(32) 前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記駆動出力を回転させて前記医療器具の細長いシャフトを関節運動させ、前記回転が、決定された前記回転距離の少なくとも一部に基づく、実施態様29に記載のシステム。
(33) 前記駆動出力がギヤであり、前記駆動入力がソケットである、実施態様29に記載のシステム。
(34) 前記駆動出力がソケットであり、前記駆動入力がギヤである、実施態様29に記載のシステム。
(35) 前記命令は、前記プロセッサに、前記システムがホーミング状態にあるとき、前記トルク信号に応答して前記駆動出力を前記駆動入力と整合させるために、前記駆動出力に関連付けられた前記モータを起動させ、前記駆動出力を回転させる、実施態様29に記載のシステム。
【0176】
(36) 前記システムが、前記医療器具が前記器具駆動機構にドッキングされた後、前記ホーミング状態に入る、実施態様35に記載のシステム。
(37) 前記トルクセンサは、ひずみゲージを含む、実施態様29に記載のシステム。
(38) 前記ひずみゲージが、前記器具駆動機構のハウジングと前記モータとの間に位置付けられている、実施態様37に記載のシステム。
(39) 前記トルクセンサは、双方向である、実施態様29に記載のシステム。
(40) コンピュータ可読媒体であって、
少なくとも1つのプロセッサに、
器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたトルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第1の回転位置まで、前記駆動出力を第1の方向に回転させるために、前記駆動出力に関連付けられたモータを起動させ、
前記トルクセンサによって測定された前記トルク信号が前記閾値を超える第2の回転位置まで、前記モータに前記駆動出力を第2の方向に回転させ、
前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との間の回転距離を決定させるように構成される命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【0177】
(41) 前記回転距離が、前記駆動出力と前記器具駆動機構にドッキングされたロボット医療器具の駆動入力との間の間隙を示す、実施態様40に記載のコンピュータ可読媒体。
(42) 前記閾値を超える前記トルク信号が、前記駆動入力に接触する前記駆動出力を示す、実施態様40に記載のコンピュータ可読媒体。
(43) 前記命令が、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記駆動出力を回転させて前記医療器具の細長いシャフトを関節運動させ、前記回転が、決定された前記回転距離の少なくとも一部に基づく、実施態様40に記載のコンピュータ可読媒体。
(44) 前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記システムがホーミング状態にあるとき、前記トルク信号に応答して前記駆動出力に関連付けられた前記モータを起動させて、前記駆動出力を前記駆動入力と整合させるために前記駆動出力を回転させる、実施態様40に記載のコンピュータ可読媒体。
(45) 前記医療器具が前記器具駆動機構にドッキングされた後、前記システムが前記ホーミング状態に入る、実施態様44に記載のコンピュータ可読媒体。
【0178】
(46) 方法であって、
器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたトルクセンサによって測定されたトルク信号が閾値を超える第1の回転位置まで、前記駆動出力を第1の方向に回転させるために、前記駆動出力に関連付けられたモータを起動させることと、
前記トルクセンサによって測定された前記トルク信号が前記閾値を超える第2の回転位置まで、前記モータに前記駆動出力を第2の方向に回転させることと、
前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との間の回転距離を決定することと、を含む、方法。
(47) 前記回転距離が、前記駆動出力と前記器具駆動機構にドッキングされたロボット医療器具の駆動入力との間の間隙を示す、実施態様46に記載の方法。
(48) 前記閾値を超える前記トルク信号が、前記駆動入力に接触する前記駆動出力を示す、実施態様47に記載の方法。
(49) 前記駆動出力を回転させて前記医療器具の細長いシャフトを関節運動させることを更に含み、前記回転が、決定された前記回転距離の少なくとも一部に基づく、実施態様48に記載の方法。
(50) ロボット医療用システムであって、
器具駆動機構であって、
ロボット医療器具のハンドル上の対応する駆動入力を回転させこれに係合するように構成された駆動出力であって、前記ロボット医療器具が、前記駆動入力によって作動された予め張力をかけられたプルワイヤを備える、駆動出力と、
前記駆動出力に関連付けられ、前記駆動出力を回転させるように構成されたモータと、
前記ロボット医療器具の前記ハンドルが前記器具駆動機構からの閾値負荷距離内にあるときを検出するように構成されたセンサと、を備える、器具駆動機構と、
少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つのコンピュータ可読メモリであって、前記メモリは、前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリに記憶されたコンピュータ実行可能命令を有し、前記コンピュータ実行可能命令が、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記センサの出力に基づいて、前記ロボット医療器具が、前記器具駆動機構の前記閾値負荷距離内にあると判定させ、
前記駆動出力に関連付けられた前記モータを起動させて、前記駆動出力を振動させて、前記駆動出力及び前記対応する駆動入力の整合を促進させる、コンピュータ可読メモリと、を含む、システム。
【0179】
(51) 前記命令が、前記モータを、前記ロボット医療器具が前記器具駆動機構の前記閾値負荷距離内にあるアドミッタンスモードに置くように前記プロセッサを更に構成する、実施態様50に記載のシステム。
(52) 前記センサは、近接センサである、実施態様50に記載のシステム。
(53) 前記センサは、磁気センサである、実施態様50に記載のシステム。
(54) 前記センサは、RFID読み取り機である、実施態様50に記載のシステム。
(55) 前記駆動出力の振動が、少なくとも30度、少なくとも20度、少なくとも15度、少なくとも10度、少なくとも5度、少なくとも3度、又は少なくとも1度の回転範囲にわたって、時計回り及び反時計回りの方向の前後の前記駆動出力の回転を含む、実施態様50に記載のシステム。
【0180】
(56) 前記駆動出力の振動が、30度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、又は1度以下の回転範囲にわたって、時計回り及び反時計回りの方向の前後の前記駆動出力の回転を含む、実施態様50に記載のシステム。
(57) 前記命令は、
前記センサの出力に基づいて、前記ロボット医療器具が、前記器具駆動機構にドッキングされたと判定し、
前記ロボット医療器具がドッキングされたときに、前記駆動出力の振動を引き起こさせることを停止するように、前記プロセッサを更に構成する、実施態様50に記載のシステム。
(58) 前記閾値負荷距離が、少なくとも20cm、少なくとも15cm、少なくとも10cm、少なくとも5cm、又は少なくとも1cmである、実施態様50に記載のシステム。
(59) 前記閾値負荷距離が、20cm以下、15cm以下、10cm以下、5cm以下、又は1cm以下である、実施態様50に記載のシステム。
(60) 方法であって、
器具駆動機構上のセンサの出力に基づいて、ロボット医療器具が、前記器具駆動機構の閾値負荷距離内にあると判定することと、
前記器具駆動機構の駆動出力に関連付けられたモータを起動させて、前記ロボット医療器具が前記器具駆動機構の前記閾値負荷距離内にあるときに、前記駆動出力及び前記対応する駆動入力の整合を容易にするよう前記駆動出力を振動させることと、を含む、方法。
【0181】
(61) 前記モータを、前記ロボット医療器具が前記器具駆動機構の前記閾値負荷距離内にあるアドミッタンスモードに置くことを更に含む、実施態様60に記載の方法。
(62) 前記センサは、近接センサである、実施態様60に記載の方法。
(63) 前記センサは、磁気センサである、実施態様60に記載の方法。
(64) 前記センサが、RFID読み取り機である、実施態様60に記載の方法。
(65) 前記駆動出力の振動が、少なくとも30度、少なくとも20度、少なくとも15度、少なくとも10度、少なくとも5度、少なくとも3度、又は少なくとも1度の回転範囲にわたって、時計回り及び反時計回りの方向の前後の前記駆動出力の回転を含む、実施態様60に記載の方法。
【0182】
(66) 前記駆動出力の振動が、60度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、又は1度以下の回転範囲にわたって、時計回り及び反時計回りの方向の前後の前記駆動出力の回転を含む、実施態様60に記載の方法。
(67) 前記センサの出力に基づいて、前記ロボット医療器具が、前記器具駆動機構にドッキングしていると判定することと、
前記ロボット医療器具がドッキングされたときに前記駆動出力の振動を停止することと、を更に含む、実施態様60に記載の方法。
(68) 前記閾値負荷距離が、少なくとも20cm、少なくとも15cm、少なくとも10cm、少なくとも5cm、又は少なくとも1cmである、実施態様60に記載の方法。
(69) 前記閾値負荷距離が、20cm以下、15cm以下、10cm以下、5cm以下、又は1cm以下である、実施態様60に記載の方法。
【外国語明細書】