(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134305
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】車両処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240926BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044539
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青木 徹夫
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC60
5L050CC60
(57)【要約】
【課題】洗剤の補充にあたり車両処理場の管理者が自ら対応する必要がない車両処理システムを提供する。
【解決手段】
車両に表面処理剤を散布する車両処理装置と、前記車両処理装置を有する車両処理場と、前記車両処理装置の表面処理剤消費量を取得する処理剤消費量取得手段と、前記表面処理剤消費量と、該表面処理剤消費量の取得元となった前記車両処理装置を有する前記車両処理場にサービスを提供する事業者または該事業者の拠点を関連付けて記憶する記憶手段と、表面処理剤の発送指令を生成する発送指令生成手段を備え、前記発送指令生成手段は、特定の前記事業者の情報を参照し、特定の前記事業者がサービスを提供している前記車両処理場で消費された表面処理剤の総量に基づき前記発送指令を生成し、前記発送指令には、表面処理剤の送付先として該発送指令生成時に参照された前記事業者または該事業者の拠点の情報が含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に表面処理剤を散布する車両処理装置と、
前記車両処理装置を有する車両処理場と、
前記車両処理装置の表面処理剤消費量を取得する処理剤消費量取得手段と、
前記表面処理剤消費量と、該表面処理剤消費量の取得元となった前記車両処理装置を有する前記車両処理場にサービスを提供する事業者または該事業者の拠点を関連付けて記憶する記憶手段と、
表面処理剤の発送指令を生成する発送指令生成手段を備え、
前記発送指令生成手段は、特定の前記事業者の情報を参照し、特定の前記事業者がサービスを提供している前記車両処理場で消費された表面処理剤の総量に基づき前記発送指令を生成し、
前記発送指令には、表面処理剤の送付先として該発送指令生成時に参照された前記事業者または該事業者の拠点の情報が含まれる
ことを特徴とする車両処理システム。
【請求項2】
前記車両処理装置は、前記発送指令において送付先とされた前記事業者により車両処理剤が補充される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両処理システム。
【請求項3】
コンピュータに、
車両処理装置と通信し、該車両処理装置の表面処理剤消費量を取得させることと、
前記表面処理剤消費量と、該表面処理剤消費量の取得元となった前記車両処理装置を有する車両処理場にサービスを提供する事業者または該事業者の拠点を関連付けて記憶させることと、
特定の前記事業者の情報を参照し、特定の前記事業者がサービスを提供している前記車両処理場で消費された表面処理剤の総量に基づき発送指令を生成することを実行させ、
前記発送指令には、表面処理剤の送付先として該発送指令の生成時に参照された前記事業者または該事業者の拠点の情報を含ませる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
実公平04-009675(以下、特許文献1とする)には、無人の車両処理場における遠隔監視装置が記載されている。特許文献1に記載されている遠隔監視装置は、洗車機に洗剤切れなどのトラブルが生じていないかどうか監視する。当該遠隔監視装置は、トラブルが生じた場合には、車両処理場の管理者へメッセージを送り報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗剤切れを報知された車両処理場の管理者は自ら洗剤を発注したり、自ら車両処理場へ行って洗剤を補充したりする必要があった。
【0005】
本発明の一目的は、洗剤の補充にあたり車両処理場の管理者が自ら対応する必要がない車両処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段に係る車両処理システムは、車両に表面処理剤を散布する車両処理装置と、前記車両処理装置を有する車両処理場と、前記車両処理装置の表面処理剤消費量を取得する処理剤消費量取得手段と、前記表面処理剤消費量と、該表面処理剤消費量の取得元となった前記車両処理装置を有する前記車両処理場にサービスを提供する事業者または該事業者の拠点を関連付けて記憶する記憶手段と、表面処理剤の発送指令を生成する発送指令生成手段を備え、前記発送指令生成手段は、特定の前記事業者の情報を参照し、特定の前記事業者がサービスを提供している前記車両処理場で消費された表面処理剤の総量に基づき前記発送指令を生成し、前記発送指令には、表面処理剤の送付先として該発送指令生成時に参照された前記事業者または該事業者の拠点の情報が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗剤の補充にあたり車両処理場の管理者が自ら対応する必要がない車両処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両処理システムの構成図である。
【
図2】
図1の車両処理システムが備えるサーバの構成図である。
【
図3】
図1の車両処理システムが備える車両処理装置の模式的な正面図である。
【
図4】
図3の車両処理装置の模式的な側面図である。
【
図6】
図3の車両処理装置が備える記憶部が記憶するデータベースの一例である。
【
図7】
図3の車両処理装置の車両処理の流れを示すフロー図である。
【
図8】
図1の車両処理システムの発送処理の流れを示すフロー図である。
【
図9】
図1の車両処理システムが備える記憶部が記憶するデータベースの一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0010】
図面をもとに本発明の実施形態について説明する。
図1は車両処理システム10の構成図である。車両処理システム10は、サーバ20と、地域30を有している。地域30は少なくとも1か所の車両処理場40を有している。車両処理場40は少なくとも1台の車両処理装置41を有している。本実施形態においては、車両処理システム10は区分けされた複数の地域30(すなわち地域30a、地域30b、地域30c)を有するものとして説明する。
【0011】
地域30は特定の事業者がサービスを提供する区画であり、少なくとも1か所の車両処理場40を有している。事業者は自身の営業範囲とする地域30内の車両処理場40にサービスを提供する。例えば地域30aを営業範囲とするある事業者は、地域30a内に存在する車両処理場40a-1と40a-2にサービスを提供する。例えば地域30bを営業範囲とする他の事業者は、地域30b内に存在する車両処理場40b-1にサービスを提供する。本実施形態においては、事業者は車両処理場40に清掃サービスを提供するものとして説明する。なお、事業者が提供するサービスの種別は特に限定されるものではない。各地域30を営業範囲とする各事業者は必ずしも同種のサービスを提供する事業者でなくてもよい。各地域30を営業範囲とする各事業者同士は資本関係や系列関係がなくてもよい。
【0012】
図2はサーバ20の構成図である。サーバ20はコンピュータなどの情報処理装置であり、制御部21と、通信部22と、記憶部23を備えている。制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成され、サーバ20を統括的に制御することができる。制御部21は、任意の通信路を介して通信部22および記憶部23と通信可能に接続されている。通信部22は、例えばNIC(Network Interface Controller)で構成され、ネットワーク11を介してサーバ20と各車両処理装置41などとの接続を確立することができる。記憶部23は、RAM(Read Only Memory)、ROM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、外部メモリなどのストレージ手段であり、プログラムや各種データを記憶することができる。
【0013】
各車両処理場40は少なくとも1台の車両処理装置41を備えている。車両処理場40では車両処理装置41を用いた車両の洗浄や塗装、コーティングなどの車両処理サービスが提供される。本実施形態においては、車両処理場40を無人で営業される洗車場として説明する。なお、車両処理場40の営業形態は特に限定されるものではない。車両処理場40は有人で営業される洗車場であってもよいし、車両処理装置41を有するガソリンスタンドであってもよい。各車両処理場40は異なる形態で運営されていてもよい。
【0014】
車両処理装置41は車両に処理剤を散布し、車体表面の洗浄や塗装、コーティングなどの処理を行うことができる。本実施形態においては、車両処理装置41として門型の洗車装置が用いられる場合について説明する。
図3は車両処理装置41の模式的な正面図であり、
図4は車両処理装置41の模式的な側面図である。
【0015】
車両処理装置41は、地面Gに起立して設けられた本体部42を備えている。本体部42は、車両Cに対して洗浄などの処理を行うことができる。本体部42は、処理対象となる車両Cを跨ぐ門型状のフレーム(筐体)で構成されている。このため、本体部42は、地面Gから起立する一対の脚フレーム42aと、この一対の脚フレーム42aにかかる梁フレーム42bを有する。
【0016】
また、車両処理装置41は、一対のレール43と、車輪44を備えている。一対のレール43は、互いが平行となるように地面Gに敷設されている。車輪44は、脚フレーム42aの底部に設けられている。本体部42は、レール43間に車両Cが停車した状態で、車輪44を介してレール43上を前後に移動(往復走行)することができる。なお、本体部42は、レール43の後端(
図5の左方)で車両処理動作の開始を待機する。
【0017】
車両処理装置41は、走行用モータ45と走行用エンコーダ46を備えている。走行用モータ45は脚フレーム42aに設けられており、車輪44と接続されている。走行用エンコーダ46は脚フレーム42aの一方に設けられており、その一方側の走行用モータ45の出力軸に連結されている。走行用エンコーダ46は、走行用モータ45の回転方向(すなわち車輪44の回転方向)を検出しながら単位角度回転ごとにパルス信号を出力する。
【0018】
車両処理装置41は、トップブラシ47および一対のサイドブラシ48を備えている。トップブラシ47は本体部42に設けられており、待機時には梁フレーム42bに収容されている。トップブラシ47は本体部42の移動に伴って回転しながら上下に昇降し、主に車両Cの上面をブラッシングすることができる。一対のサイドブラシ48は、トップブラシ47と同様に本体部42に設けられており、待機時にはそれぞれ脚フレーム42aに収容されている。一対のサイドブラシ48は本体部42の移動に伴って回転しながら開閉動作(互いが近づいたり離れたりする動作)し、主に車両Cの前面、側面、および後面をブラッシングすることができる。
【0019】
車両処理装置41は、トップスプレー49および一対のサイドスプレー50を備えている。トップスプレー49は梁フレーム42bに設けられている。トップスプレー49は、本体部42の移動に伴って噴射ノズル(不図示)から洗剤などの車両処理剤や水を噴射し、主に車両Cの上面を洗浄することができる。一対のサイドスプレー50は、脚フレーム42aに設けられている。サイドスプレー50は、本体部42の移動に伴って噴射ノズル(不図示)から洗剤などの車両処理剤や水を噴射し、主に車両Cの側面を洗浄することができる。トップスプレー49およびサイドスプレー50は、トップブラシ47およびサイドブラシ48によるブラッシング前に車両Cに付着する汚れなどを洗い流せるよう、各ブラシよりも本体部42の前側に設けられている。
【0020】
トップスプレー49およびサイドスプレー50は図示しない給水管でタンク70と接続されている。タンク70は一対の脚フレーム42aの少なくともいずれか一方に設けられた室71内に保管されており、車両処理剤を貯蔵している。管路上にはチューブポンプなどの送水手段が設けられている。車両処理装置41はこうした送水手段を制御し、タンク70内の液剤をトップスプレー49やサイドスプレー50から噴射する。なお、車両処理剤とは、車両処理装置41が車両の表面に処理を施すにあたり消費する液剤である。車両処理剤の例としては、車両Cの表面に付着した汚れを落とすシャンプー剤や、車両Cの表面に撥水性や光沢、滑り性を付与するワックス剤やコーティング剤、およびこれらを水で希釈した液剤などが挙げられる。
【0021】
車両処理装置41は、トップノズル51(ブロワノズル)および一対のサイドノズル52(ブロワノズル)を備えている。トップノズル51は本体部42に設けられており、待機時には梁フレーム42bに収容されている。トップノズル51は本体部42の移動に伴って送風しながら車両Cと接触せずに上下に昇降し、主に車両Cの上面を乾燥することができる。一対のサイドノズル52は、トップノズル51と同様に本体部42に設けられており、待機時にはそれぞれ脚フレーム42aに収容されている。サイドノズル52は本体部42の移動に伴って送風し、主に車両Cの側面を乾燥することができる。
【0022】
車両処理装置41は、車両Cの形状を検出する車両検出部53を備えている。車両検出部53は本体部42の前側に設けられており、光電センサを用いた公知の手法により車両Cの形状を検出することができる。より具体的には、本体部42の移動に伴い、車両Cの側方からの形状(シルエット)を読み取ることができる。
【0023】
車両処理装置41は、車両検出部53の検出結果をもとに洗浄ブラシやブロワノズルを駆動する。車両処理装置41は、車両検出部53で取得した車両Cの形状に沿って洗浄ブラシやブロワノズルを駆動することにより、例えばブラッシング時にトップブラシ47が車両Cに強く押し当てられることを防止したり、乾燥時にトップノズル51が車両Cと接触することを防止したりすることができる。
【0024】
車両処理装置41は、制御部54と、通信部55と、記憶部56を備えている。
図5は車両処理装置41の構成図である。制御部54は、例えばCPUなどで構成され、車両処理装置41を統括的に制御することができる。制御部54は、任意の通信路を介して本体部42の走行や車両の洗浄処理に係る各部と通信可能に接続されている。通信部55は、例えばNICなどで構成され、車両処理装置41と受付装置60の間の通信や、車両処理装置41とサーバ20の間の通信を確立することができる。記憶部56はRAM、ROM、HDD、SSD、外部メモリなどのストレージ手段である。記憶部56は、本体部42の走行や、車両検出処理や、各種ブラシやブロワノズルなどを用いた洗浄処理などを行うためのコンピュータプログラムを記憶している。
【0025】
記憶部56は、車両処理装置41が実行可能な複数の車両処理シーケンスを記憶している。車両処理シーケンスは車両処理装置41の車両処理動作の一連の流れを規定するものである。本実施形態においては、車両処理装置41は車両処理シーケンスとしてシャンプーコースとワックスコースとコーティングコースを記憶しているものとして説明する。シャンプーコースにおいて、本体部42は、レール43上を往復移動しなら車両Cにシャンプー剤を散布する。ワックスコースにおいて、本体部42は、レール43上を往復移動しなら車両Cにワックス剤を散布する。コーティングコースにおいては、本体部42はシャンプーコースと同様の処理内容を実行した後、さらにレール43上を追加で往復し、車両Cにコーティング剤を散布する。
【0026】
記憶部56は、各車両処理シーケンスで消費される車両処理剤の量が記録されたデータベース80を記憶している。
図6はデータベース80の一例である。データベース80は、例えば車両処理シーケンス名、車両処理剤の消費量(本実施形態においてはシャンプー剤消費量、ワックス剤消費量、コーティング剤消費量)、その車両処理装置41が属する地域30を一意に識別するためのID(本実施形態においては地域コード)などを項目として含む。なお、IDはその車両処理装置41が属する地域30を営業範囲とする事業者を一意に識別するためのもの(事業者コード)であってもよい。すなわち、データベース80は項目として事業者コードを含んでもよい。
【0027】
制御部54は、各構成部などからの信号・テータに基づき、プログラムされたシーケンスに従って、本体部42の機能を発揮させるための種々の手段(機能構成部)を備えている。例えば、制御部54は、走行用エンコーダ46のパルス信号から本体部42の走行位置を検出する手段(走行検出手段57)を備えている。また、制御部54は、走行用エンコーダ46のパルス信号をトリガに車両検出部53を駆動して車両Cの高さ位置を検出する手段(車形検出手段58)を備えている。また、制御部54は、走行検出手段57と車形検出手段58の検出結果から車形データを作成する手段(車形データ作成手段59)を備えている。この車形データは、記憶部56に記憶される。また、制御部54は、記憶部56から読み出した車形データなどに基づいて洗浄ブラシやブロワノズルなどの駆動部を駆動する手段(駆動手段66)を備えている。
【0028】
車両処理装置41は、受付装置60を備えている。受付装置60は、表示部61を備えている。表示部61は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイから構成され、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネル機能を備えている。車両処理装置41の利用者は、表示部61を操作することで、車両処理装置41に関するデータを見たり、車両処理を開始したりすることができる。
【0029】
受付装置60は、制御部62と、通信部63と、記憶部64を備えている。制御部62は、例えばCPUなどで構成され、受付装置60を統括的に制御することができる。制御部62は、任意の通信路を介して通信部63や記憶部64と通信可能に接続されている。通信部63は、例えばNICなどで構成され、受付装置60と車両処理装置41の間の通信を確立することができる。記憶部64はRAM、ROM、HDD、SSD、外部メモリなどのストレージ手段である。記憶部64には、表示部61の表示内容の制御を行うためのコンピュータプログラムなどが保存される。
【0030】
利用客が車両処理場40に来場し、車両処理サービスを受ける際の流れについて、
図7のフロー図をもとに説明する。利用客は車両処理場40に来場したら、自身の車両Cを受付装置60付近に移動させる。その後、利用客は表示部61に表示される案内に従い、所望の車両処理シーケンスを選択する。
【0031】
利用客により車両処理シーケンスが選択されたら、制御部62はその旨を表示部61に表示し、さらに車両Cをレール43間の所定位置まで進めるよう画面表示で利用客に案内する。利用客は案内に従い、車両Cをレール43間の所定位置へ進行させる。車両処理装置41は、図示しない光電センサなどにより車両Cが所定位置に停止したことを検出したら、利用客が選択した車両処理シーケンスに基づく洗浄処理を開始する。以降、利用客は車両処理シーケンスとしてシャンプーコースを選択したものとして説明する。
【0032】
車両処理装置41は、第1往工程として本体部42を前方に移動(往行走行)させながら車両検出部53により車両Cの形状を検出しつつ[1]、トップスプレー49およびサイドスプレー50から洗浄水と車両処理剤を散布する[2]。さらに車両検出部53で求められた車両Cの形状に合わせ、トップブラシ47やサイドブラシ48を用いて車両Cの表面をブラッシング洗浄する[3]。
【0033】
次いで、車両処理装置41は、復工程として本体部42を後方に移動(復行走行)させながらトップスプレー49およびサイドスプレー50から車両Cに洗浄水を散布し、汚れや車両処理剤を流し落とす[4]。
【0034】
最後に、車両処理装置41は、第2往工程として、本体部42を前方に移動(往行走行)させながらトップノズル51およびサイドノズル52を用いて車両Cに送風し、水滴を除去して乾燥を図る[5]。その後、音声などにより利用客に車両Cを退出させるよう案内し、洗浄処理終了とする。
【0035】
車両Cを退出させるよう案内を受けた利用客は、車両Cを前進等させてレール43間から退出させる。退出の案内から所定時間経過したら、車両処理装置41は待機位置へ移動する。利用客は以上の流れで車両処理を受けることができる。
【0036】
車両処理装置41は車両処理シーケンスを実行するたびに、タンク70内の車両処理剤を消費する。そこで、各車両処理装置41の車両処理剤消費量情報をサーバ20に集め、補充が必要となりうる車両処理剤を検出可能とするとよい。
【0037】
さらに、各車両処理装置41の車両処理剤消費量情報をサーバ20に集めるにあたり、消費量情報を各事業者が管轄する地域30単位でまとめ、車両処理剤の送付先としてその地域30を管轄する事業者を指定するとよい。この事業者には、例えば自社の清掃サービスを提供するために車両処理場40を訪問した際、同時に車両処理装置41の車両処理剤を補充させることができる。
図8はこのように構成された車両処理システム10の車両処理剤発送処理および供給処理の流れを示すフロー図である。
【0038】
車両処理装置41の消費量情報送信手段65は、車両処理シーケンスを完了するごとに、サーバ20に車両処理剤消費量情報を送信する[6]。車両処理剤消費量情報は、サーバ20側でどの地域30においてどんな車両処理剤がどのくらい消費されたかがわかるよう、例えばその車両処理装置41が設置されている地域を特定するための情報と、車両処理剤の種別に関する情報と、車両処理剤の量に関する情報を含む。車両処理装置41が送信する車両処理剤消費量情報は、例えばデータベース80に記録された情報をもとに生成される。
【0039】
制御部21は消費された車両処理剤の情報をいずれかの車両処理装置41から取得したら、記憶部23に記憶させる。さらに、各地域30における各車両処理剤の消費量がわかるよう、データベース100を更新する[7]。
【0040】
図9はサーバ20の記憶部23が記憶するデータベース100の一例である。データベース100は、例えばID(本実施形態においては地域コード)と、業者名と、その業者の拠点(例えば送付された車両処理剤などを保管するための倉庫)の住所と、その地域30の車両処理剤の総消費量(本実施形態においてはシャンプー剤の総消費量、ワックス剤の総消費量、コーティング剤の総消費量)を項目として含む。IDは各地域30を一意に識別するためのものであり、車両処理システム10が含む地域30それぞれに割り当てられる。なお、IDは各事業者を識別するためのものであってもよい。
【0041】
制御部21は、サーバ20がいずれかの車両処理装置41から車両処理剤消費量情報を取得するたびに、データベース100の車両処理剤消費量を更新する。例えば車両処理装置41a-2がコーティングコースを実行し、サーバ20に車両処理剤消費量情報を送信したとする。この場合、まず、制御部21は、その車両処理剤消費量情報が含むID情報から、車両処理装置41a-2が設置されている区画が例えば地域コード1として識別される地域30であることを特定する。そして、データベース100に記憶された情報から、その地域30(すなわち地域コード1として識別される区画)を営業範囲とする事業者を特定する。さらに、その車両処理剤消費量情報が含む車両処理剤の種別に関する情報と量に関する情報から、例えばシャンプー剤30mLとコーティング剤100mLが消費されたことを特定する。そして、データベース100の地域コード1の列のシャンプー剤消費量に30mLを加算する。同様に、地域コード1の列のコーティング剤消費量に100mLを加算する。
【0042】
車両処理剤の消費に基づき、発送指令生成手段24はその車両処理剤について発送指令を生成する[8]。発送指令には少なくとも発送する車両処理剤の種別と量、さらに送付先として当該地域30の事業者の拠点に関する情報を含めるとよい。発送指令の形態としては、例えば電子メールを用いることができる。
【0043】
発送指令が生成されたら、発送指令送信手段25は車両処理剤の製造会社または販売会社へ発送指令を送信する[9]。発送指令には事業者の情報が送付先として含まれているため、車両処理剤は当該事業者のもとへ送付される[10]。
【0044】
車両処理剤を受け取った事業者は、自身の業務で地域30内の車両処理場40を訪問した際、車両処理装置41の室71を確認し、必要であればタンク70に車両処理剤を注いだり、車両処理剤で満たされた新しいタンク70と交換したりするなどして、車両処理装置41の車両処理剤を補充する[11]。事業者に送付される車両処理剤には補充先となる特定の車両処理装置41や補充期日がないため、事業者は自身の業務を妨げることなく、自身の業務に合わせて車両処理剤を補充することができる。
【0045】
また、車両処理システム10においては発送処理がサーバ20において自動で行われることから、車両処理剤を補充する事業者が車両処理剤の受発注業務や売上金の管理をしなくてよい。そのため、事業者は自身の業務で訪問する車両処理場40において、車両処理装置の室71を確認し、必要であれば車両処理剤を補充するだけでよい。車両処理剤を補充する事業者の負担が少ないため、多様な形態の事業者を車両処理システム10に含めることができる。これにより、車両処理場40の管理者は、車両処理場40の形態に合わせ、他の事業者に車両処理剤の補充を任せられるため、自ら車両処理場40へ行って洗剤を補充する必要がない。
【0046】
清掃業者のほか、例えば貨物運送業者や信書便事業者を車両処理システム10に含めることができる。こうした事業者は、自身の業務に基づき地域30内の各地を回る際、車両処理場40を訪れたら、ついでに車両処理装置41の室71を確認するとよい。室71を確認し、車両処理剤の補充が必要であれば、トラックの荷台から車両処理剤を取り出し、補充すればよい。このようにして、車両処理システム10は、車両処理剤を補充する事業者の負担が少ないため、多様な形態の事業者を含めることができる。これにより、車両処理場40の管理者は、車両処理場40の形態に合わせ、他の事業者に車両処理剤の補充を任せられるため、自ら車両処理場40で洗剤を補充する必要がない。
【0047】
各車両処理装置41につき、車両処理剤を補充する事業者は必ずしも1者でなくてもよい。すなわち、各事業者の営業範囲の区画である地域30は重なり合っていてもよい。例えば「清掃業者わ」が清掃サービスを提供する区画と「貨物運送業者を」が運送サービスを提供する区画は重なり合っていてもよい。つまり、ある車両処理装置41が複数の地域30に属するといった場合が考えられる。複数の事業者の営業区画内に位置する車両処理場40は、そのぶん事業者が訪問する機会が多いため、車両処理装置41の室71が確認される機会も多くなる。このようにして、各車両処理装置41の車両処理剤消費量情報を各事業者が管轄する地域30単位でまとめ、各事業者に地域30単位で補充させることで、1台の車両処理装置41の点検を複数の事業者に任せることができる。これにより、車両処理場40の管理者が自ら車両処理場40へ行って洗剤を補充する手間をなくすことができる。
【0048】
発送指令の生成の条件は、適宜設定することができる。1週間ごとや1か月ごとなど、所定の期間ぶんの消費量をまとめて発送指令を生成してもよい。所定の数のタンク70の総容量に相当する量の車両処理剤が消費されたことを条件として発送指令を生成してもよい。発送指令生成に係る条件は、車両処理剤を補充する事業者ごとに当該事業者が在庫可能な車両処理剤の量に基づき設定してもよい。発送指令生成に係る条件は、各事業者の車両処理場訪問頻度に基づき事業者ごとに設定してもよい。発送指令生成に係る条件を事業者ごとに設定することにより、さらに車両処理剤を補充する事業者の負担を少なくすることができる。このようにして、車両処理システム10は多様な形態の事業者を含めることができる。これにより、車両処理場40の管理者は、車両処理場40の形態に合わせ、他の事業者に車両処理剤の補充を任せられるため、自ら車両処理場40へ行って洗剤を補充する必要がない。なお、ある地域30について発送指令を生成したら、データベース100を更新し、その地域30の車両処理剤消費量を発送する車両処理剤のぶん減算するとよい。
【0049】
車両処理剤を補充する事業者が車両処理剤の種別に戸惑わずに済むよう、車両処理装置41を事業者にわかりやすいよう構成してもよい。例えばタンク70は車両処理剤の種別ごとに異なる色や形状にしてもよい。室71内において、各タンク70の設置位置に各タンク70と対応する色の印や台を設けてもよい。
【0050】
車両処理剤を補充する事業者が車両処理剤を補充すべきかどうか戸惑わずに済むよう、車両処理装置41を事業者にわかりやすいよう構成してもよい。例えば室71内に報知手段を設けてもよい。タンク70に補充時期を知らせる目盛りなどを設けてもよい。
【0051】
補充した車両処理剤ぶんの代金は、月額制など従量課金制ではない支払いプランで車両処理場40の管理者から徴収するとよい。従量課金制ではない支払いプランを採用することにより、車両処理剤を補充する事業者は各車両処理場での補充の有無や量を記録する必要がなくなるため、さらに事業者の負担を少なくすることができる。このようにして、車両処理剤の送付手続きから車両処理剤の販売手続きを切り離すことにより、車両処理剤の商流とは本来無関係であった多様な形態の事業者へ車両処理剤の補充を委託可能となる。すなわち、車両処理システム10は多様な形態の事業者を含めることができる。これにより、車両処理場40の管理者は、車両処理場40の形態に合わせ、他の事業者に車両処理剤の補充を任せられるため、自ら車両処理場40へ行って洗剤を補充する必要がない。
【0052】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば発送指令に含まれる車両処理剤の量に関する情報は、必ずしも車両処理装置41から受信する消費量情報に基づいて設定されなければならないものではなく、推定される車両処理剤の消費量に基づき設定されてもよい。洗車等の車両処理サービスの需要は天候や季節などにより異なる。将来の推定消費量に基づき車両処理剤を事業者に発送しておくことで、事業者に必要充分な量の車両処理剤を在庫させることができる。これにより、事業者が自社サービスのためにいずれかの車両処理場40を訪れたが、ついでに補充するための車両処理剤がないといった事態を防ぐことができる。そのうえ、事業者が車両処理剤の在庫を大量に抱えてしまう自体を防ぐことができる。事業者に適正な量の車両処理剤が発送されるため、事業者の負担を少なくすることができる。このため、車両処理システム10は多様な形態の事業者を含めることができる。車両処理場40の管理者は、車両処理場40の形態に合わせ、他の事業者に車両処理剤の補充を任せられるため、自ら車両処理場40へ行って洗剤を補充する必要がない
【0053】
車両処理シーケンスごとの車両処理剤消費量をデータベース80に予め記録しておくのではなく、例えば室71内に各タンク70の液面や重量を検出可能なセンサを設け、タンク70の実際の車両処理剤の残量に基づき車両処理剤消費量情報を生成してもよい。例えば車両処理装置41の利用客に車両処理シーケンスの内容を都度設定させる場合などにこのような構成が効果的である。利用客の要望に合わせ柔軟に車両処理サービスを提供しつつ、車両処理場40の管理者が自ら洗剤を補充する手間も無くすことができる。
【符号の説明】
【0054】
21 制御部
23 記憶部
24 発送指令生成手段
40 車両処理場
41 車両処理装置
100 データベース