(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134307
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】切断装置及びプリンタ装置
(51)【国際特許分類】
B26D 1/38 20060101AFI20240926BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20240926BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20240926BHJP
B26D 7/22 20060101ALI20240926BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240926BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B26D1/38 K
B26D1/38 U
B26D1/38 N
B26D7/18 A
B26D3/00 601B
B26D7/22 A
B41J11/70
A46B15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044542
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 秀治
(72)【発明者】
【氏名】猪股 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公一
【テーマコード(参考)】
2C058
3B202
3C021
【Fターム(参考)】
2C058AB16
2C058AC06
2C058AE04
2C058AE07
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA37
2C058LA39
2C058LB09
2C058LB34
3B202AB03
3B202BA15
3C021FA02
3C021HA08
(57)【要約】
【課題】切断した布ラベルの出力を効率的に行うことが可能な切断装置及びプリンタ装置を提供する。
【解決手段】搬送されてくる長尺の布媒体を所定の長さに切断する切断部と、前記切断部で切断された前記布媒体が載置される載置面と、前記布媒体の搬送方向に回転可能な回転軸に取り付けられ、前記回転軸の軸周りの回転により前記載置面に接触し、前記布媒体を前記搬送方向に掻き出すパドル部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくる長尺の布媒体を所定の長さに切断する切断部と、
前記切断部で切断された前記布媒体を載置するための載置面と、
前記布媒体の搬送方向に回転可能な回転軸に取り付けられ、前記回転軸の軸周りの回転により前記載置面に接触し、前記布媒体を前記搬送方向に掻き出すパドル部と、
を備える、切断装置。
【請求項2】
前記パドル部は、前記回転軸に対して異なる取り付け角度で複数個取り付けられ、前記回転軸の軸周りの回転により互いに異なるタイミングで前記載置面に接触する、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記布媒体の搬送路において、前記載置面から掻き出される前記布媒体に下方から接触可能な位置に設けられ、接触した前記布媒体の除電を行う除電部材を更に備える、
請求項1又は2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記除電部材は、前記回転軸の略鉛直方向下方で且つ、前記回転軸の軸周りを回転する前記パドル部の先端と接触可能な高さに設けられる、
請求項3に記載の切断装置。
【請求項5】
長尺の布媒体に印刷を行う印刷部と、
前記印刷部から搬送される前記布媒体を所定の長さに切断する切断部と、
前記切断部で切断された前記布媒体を載置するための載置面と、
前記布媒体の搬送方向に回転可能な回転軸に取り付けられ、前記回転軸の軸周りの回転により前記載置面に接触し、前記布媒体を前記搬送方向に掻き出すパドル部と、
を備える、プリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、切断装置及びプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の紙媒体(以下、紙ラベル)に印刷を行うプリンタ装置が知られている。このようなプリンタ装置には、印刷が完了した媒体部分を切断するためのカッター機構を有した切断装置が設けられる。
【0003】
また、上述のプリンタ装置は、紙以外の媒体への印刷に使用することも行われている。例えば、プリンタ装置は、洋服等に付加される品質表示用のケアラベルの印刷に使用されることがある。この場合、プリンタ装置は、ポリエステル等の材質で形成された長尺の布媒体(以下、布ラベルともいう)に印刷を行い、印刷が完了した媒体部分を切断装置で切断することで、ケアラベルの発行を行う。
【0004】
ところで、布ラベルは紙ラベルとは異なる性質を有する。具体的には、布ラベルは、紙ラベル媒体と比較し、コシが弱く帯電し易いという性質を有する。そのため、例えば、切断時の摩擦等により布ラベルが帯電する可能性があり、帯電した布ラベルがカッター周辺に張り付く等、切断後にJAMが発生しやすいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、切断した布ラベルの出力を効率的に行うことが可能な切断装置及びプリンタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の搬送装置は、切断部と、載置面と、パドル部と、を備える。切断部は、搬送されてくる長尺の布媒体を所定の長さに切断する。載置面は、前記切断部で切断された前記布媒体を載置する。パドル部は、前記布媒体の搬送方向に回転可能な回転軸に取り付けられ、前記回転軸の軸周りの回転により前記載置面に接触し、前記布媒体を前記搬送方向に掻き出す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るプリンタ及び後処理装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の後処理装置に設けられた切断部及び搬送部の要部を拡大して示す縦断右側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る切断部及び搬送部の動作を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る切断部及び搬送部の動作を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る切断部及び搬送部の動作を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る切断部及び搬送部の動作を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る切断部及び搬送部の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、実施形態に係るプリンタ1及び後処理装置4の概略構成の一例を示す図である。プリンタ1は、本開示におけるプリンタ装置の一例である。なお、
図1では、左側がプリンタ1の正面側である。以降、図面を用いた説明での上下左右、手前、奥、正面などの表現は、プリンタ1の正面を基準に行う。
【0010】
プリンタ1は、筐体11の内部に、媒体保持部2と、印刷部3とを備える。また、プリンタ1の正面側にが、後処理装置4が接続される。
【0011】
媒体保持部2は、ロール状に卷回された布ラベルLを繰り出し自在に保持するものである。ここで、布ラベルLは、ポリエステル等の材質で形成された長尺の布媒体である。
【0012】
印刷部3は、印刷ヘッド31とプラテン32とを備える。媒体保持部2から繰り出された布ラベルLは、印刷ヘッド31とプラテン32との間に挿通され、後述する後処理装置4に向けて搬送される。
【0013】
印刷ヘッド31は、例えばサーマルヘッドであって、媒体保持部2から繰り出された布ラベルLに印刷する。この場合、印刷ヘッド31は、印刷ヘッド31とプラテン32との間に挿通されたインクリボン(図示せず)を用いて印刷を行うものであってよい。印刷部3で印刷された布ラベルLは、プリンタ1と後処理装置4との間に設けられた連通口12を通じて後処理装置4へと搬送される。なお、印刷部3の印刷方式は特に問わないものとする。
【0014】
後処理装置4は、切断装置の一例である。後処理装置4は、筐体41の内部に、切断部5と、搬送部6とを備える。切断部5は、印刷部3で印刷された布ラベルを切断する。搬送部6は、切断部5で切断された布ラベルLを搬送し、筐体41の正面側に設けられた排出口42から排出させる。ここで、プリンタ1の連通口12から排出口42に向けて搬送される布ラベルLの経路が、後処理装置4における布ラベルLの搬送路となる。
【0015】
図2は、後処理装置4に設けられた切断部5及び搬送部6の要部を拡大して示す縦断右側面図である。なお、
図2では、布ラベルLの搬送路を破線で示している。
【0016】
切断部5は、印刷部3から搬送された布ラベルLを切断するための動作を行う。具体的には、切断部5は、固定刃51と、可動刃52と、可動刃駆動部53とを備える。
【0017】
固定刃51は、連通口12の後段の搬送路の上方に設けられ、搬送路に向かう刃を下端に有している。なお、
図2では、プリンタ1から後処理装置4への搬送をガイドするガイド部材を連通口12に設けた例を示している。
【0018】
可動刃駆動部53は、搬送路の下方に設けられる搬送方向に延在した略箱状の部材である。可動刃駆動部53は、搬送方向下流側(プリンタ1の手前側)にプリンタ1の幅方向に平行な軸531を有しており、この軸531の軸周りに回動自在に支持されている。
【0019】
ここで、可動刃駆動部53の上面は、切断された布ラベルLを載置するための載置面となる。可動刃駆動部53の上面は平面としてもよいし、
図2に示すように、布ラベルLの搬送を考慮した山形の形状等としてもよい。但し、可動刃駆動部53の上面は、スムースな搬送を実現するため、滑らかな滑面とすることが好ましい。なお、固定刃51及び可動刃52(可動刃駆動部53)のプリンタ1の幅方向の長さは、布ラベルLの幅方向の長さより大なるものとする。
【0020】
可動刃52は、可動刃駆動部53の搬送方向上流側(プリンタ1の奥側)の上端部に固定され、搬送路に向かう刃を有している。ここで、固定刃51及び可動刃52は、切断部の一例である。可動刃52は、可動刃駆動部53の軸531周りの回動に伴い、搬送路の下方から上方、上方から下方に移動することによって、固定刃51との間に布ラベルLを挟んで切断する。つまり、可動刃駆動部53の奥側は、軸531周りの回動により可動刃52が固定刃51と噛み合う位置を通過するよう、長さや形状が設計されている。
【0021】
搬送部6は、切断部5の搬送方向下流側に設けられ、切断部5で切断された布ラベルLを排出口42から排出させるための動作を行う。具体的には、搬送部6は、第1パドル部61と、第2パドル部62と、パドル回転軸63と、ガイド部64とを備える。
【0022】
パドル回転軸63は、プリンタ1の幅方向と平行に設けられた回転軸であり、例えば固定刃51の後段の搬送路の上方に設けられる。パドル回転軸63は、図示しないリンク機構等を介して可動刃駆動部53の回動動作に連動して、つまり布ラベルLの切断動作に連動して回転可能に構成されている。具体的には、パドル回転軸63は、布ラベルLの搬送方向に対応する図中時計回りの方向に回転する。
【0023】
第1パドル部61及び第2パドル部62は、パドル部の一例である。第1パドル部61及び第2パドル部62は、パドル回転軸63に取り付けられことで、パドル回転軸63の軸周りに回転可能に保持されている。
【0024】
ここで、第1パドル部61と第2パドル部62とは、パドル回転軸63に対する取り付け角度が異なっている。具体的には、パドル回転軸63の図中時計回り方向への回転に伴い、第1パドル部61が先に搬送路内に進入し、続いて第2パドル部62が搬送路内に進入するよう、パドル回転軸63に対する取り付け角度を相違させている。なお、第1パドル部61と第2パドル部62との間の取り付け角度差は特に問わないものとするが、布ラベルLの種別等に応じて調整可能な構成とするこることが好ましい。
【0025】
第1パドル部61は、第1パドル羽611と、第1パドル羽611をパドル回転軸63に固定するための第1固定部612とを有する。また、第2パドル部62も同様に、第2パドル羽621と、第2パドル羽621をパドル回転軸63に固定するための第2固定部622とを有する。第1固定部612及び第2固定部622は、例えばネジ等の係止部材で構成される。
【0026】
第1パドル羽611と第2パドル羽621とは、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等の弾性部材で形成される。また、第1パドル羽611と第2パドル羽621とは、パドル回転軸63の回転に伴い、可動刃駆動部53の上面に接することが可能な長さを有する。ここで、パドル羽の長さとは、例えばパドル回転軸63の中心からパドル羽の先端までの長さを意味し、パドル羽自体の長さに限定されないものとする。なお、第1パドル羽611と第2パドル羽621との長さは同じであってもよいし、相違させてもよい。本実施形態では、第2パドル羽621の長さは、第1パドル羽611よりも長く形成されているものとする。
【0027】
ガイド部64は、切断部5で切断された布ラベルLの搬送をガイドするための部材である。具体的には、ガイド部64は、布ラベルLの搬送路において、可動刃駆動部53の上面から掻き出された布ラベルLに下方から接触可能な位置に設けられる。より具体的には、ガイド部64は、パドル回転軸63の鉛直方向略下方に設けられる。
【0028】
ガイド部64は、除電ブラシ641と、支持部642とを備える。除電ブラシ641は、除電部材の一例である。除電ブラシ641は上方に向けて設けられており、搬送路を搬送される搬送物(布ラベルL)の除電を行う。支持部642は、除電ブラシ641を下方から支持する支持部材である。
【0029】
なお、上述した切断部5及び搬送部6において、第1パドル羽611、第2パドル羽621及び除電ブラシ641のプリンタ1の幅方向の長さは特に問わないものとするが、布ラベルLの搬送を安定化するため、布ラベルLの幅方向の長さ以上とすることが好ましい。
【0030】
また、プリンタ1及び後処理装置4は、上述した構成以外にもプリンタ1及び後処理装置4の駆動制御に係る構成を備えるものとする。例えば、プリンタ1は、各種のセンサや、プラテン32を回転させるための駆動源、当該駆動源や印刷ヘッド31の駆動を制御するプロセッサ等を備える。また、例えば、後処理装置4は、各種のセンサや、可動刃駆動部53を回動やパドル回転軸63を回転させるための駆動源、当該駆動源の駆動を制御するプロセッサ等を備える。
【0031】
以下、
図3~
図7を参照して、切断部5及び搬送部6の動作について説明する。ここで、
図3~
図7は、切断部5及び搬送部6の動作を説明するための図である。なお、
図3~
図7は、
図2と同様に切断部5及び搬送部6の縦断右側面図を示している。
【0032】
印刷部3で印刷が行われると、布ラベルLは連通口を通じで切断部5に搬送される。このとき、布ラベルLの先端部は、固定刃51と可動刃52との間を通過することで、可動刃駆動部53の上面へと移動する。
【0033】
可動刃駆動部53は、布ラベルLが所定量搬送されたタイミングで上方に向けて回動し、固定刃51と可動刃52との間で布ラベルLを挟むことで布ラベルLを切断する。またこのとき、布ラベルLの先端部分は、可動刃駆動部53の回動に伴い上方に押し上げられることで、ガイド部64の上方を通過し、排出口42の方向へと移動する。
【0034】
図3は、切断部5によって布ラベルLが切断された直後の状態を示している。
図3に示すように、切断された布ラベルLの一部は可動刃駆動部53の上面に載置した状態となる。
【0035】
ところで、本実施形態で使用する布ラベルLは、ポリエステル等の材質で形成されるため、紙媒体の紙ラベルと比較しコシが弱く帯電し易いという性質を有している。そのため、布ラベルLを取り扱う場合には、切断や搬送時の摺動(摩擦)によって帯電する可能性がある。帯電した布ラベルLは、静電気力により周囲の部材に張り付いてしまうため、例えば印刷部3からの搬送速度を維持した状態で切断することができたとしても、正常に排出することができない可能性がある。
【0036】
そこで、本実施形態のプリンタ1では、上述した搬送部6の機構により、布ラベルの効率的な搬送を実現する。具体的には、
図3に示すように、可動刃駆動部53による布ラベルの切断動作、つまり上方への回動動作に連動してパドル回転軸63が図中時計回りに回転する。そして、第1パドル部61の第1パドル羽611は、パドル回転軸63の回転に伴い可動刃駆動部53の上面に接触し、接触状態を維持しながら搬送方向に移動することで、可動刃駆動部53の上面に置かれた布ラベルの搬送方向への掻き出しを開始する。
【0037】
これにより、例えば、布ラベルLが、可動刃駆動部53の上面に張り付いた状態であったとしても、第1パドル部61による搬送方向への掻き出し動作により、布ラベルLを搬送方向に移動させることができる。
【0038】
また、
図3に示すように、ガイド部64は、布ラベルLの搬送路上での移動をガイドするとともに、先端に設けられた除電ブラシ641が布ラベルLに接することで、布ラベルLの除電を行う。これにより、ガイド部64は、布ラベルLの搬送路上での搬送を効率的にガイドすることができる。
【0039】
可動刃駆動部53は、布ラベルLの切断を終えると、可動刃駆動部53を初期位置(例えば
図2の状態)に戻すため下方への回動を開始する。一方、パドル回転軸63は時計回りの回転を継続する。このため、第1パドル羽611が可動刃駆動部53の上面に接している間、布ラベルLの搬送方向への掻き出しが継続される。
【0040】
図4は、第1パドル羽611が可動刃駆動部53の上面から離脱した直後の状態を示す図である。ここで、例えば、布ラベルLに発生する静電気力によっては、布ラベルLの後端部分が可動刃駆動部53の上面に張り付くことで、可動刃駆動部53の上面に残留する可能性がある。そこで、本実施形態では、第1パドル部61に続く第2パドル部62により、可動刃駆動部53の上面に残った布ラベルLの後端部分の掻き出しを行う。
【0041】
具体的には、
図5に示すように、パドル回転軸63の時計回りの回転に伴い、可動刃駆動部53の上面に接触した第2パドル部62の第2パドル羽621が、当該上面に沿って搬送方向に移動する。これにより、第2パドル部62は、可動刃駆動部53の上面に残った布ラベルLの後端側から搬送方向への掻き出しを開始する。そして、第1パドル羽611が可動刃駆動部53の上面に接している間、布ラベルLの搬送方向への掻き出しが継続される。
【0042】
図6は、第2パドル羽621が可動刃駆動部53の上面から離脱した直後の状態を示す図である。このように、搬送部6は、第1パドル部61及び第2パドル部62の2段に亘って搬送方向への掻き出し動作を行うことで、搬送方向への布ラベルLの搬送をより確実に行うことができる。
【0043】
また、上述したように、本実施形態では、第2パドル羽621の長さは第1パドル羽611よりも長くなっている。そのため、第2パドル部62による掻き出し動作の際には、
図7に示すように、除電ブラシ641の位置において、布ラベルLに対する下方向への押圧力が第1パドル部61と比較して大きくなる。これにより、搬送部6では、帯電により特に張り付きやすい布ラベルL後端部分の除電をより確実に行うことができる。
【0044】
また、除電ブラシ641は、第2パドル羽621の先端に接する高さに設けられるため、第2パドル羽621と除電ブラシ641との間に布ラベルLが挟持された際に、第2パドル羽621による搬送方向への力を布ラベルLに付勢することができる。これにより、布ラベルLの排出をより確実に行うことができる。
【0045】
なお、パドル回転軸63は、布ラベルLの搬送を終えた後、第1パドル部61及び第2パドル部62が所定の待機位置(例えば、
図2の状態)に到達するまで回転を継続する。
そして、切断部5及び搬送部6は、後処理装置4のプロセッサ(図示せず)の制御の下、印刷が完了した布ラベルLがプリンタ1から搬送される毎に上述の動作を行うことで、印刷が完了した布ラベルLを排出口42から排出させる。
【0046】
以上のように、本実施形態の後処理装置4は、印刷部3から搬送されてくる布ラベルLを切断部5で所定の長さに切断し、切断された布ラベルLを可動刃駆動部53の上面で保持する。また、後処理装置4は、切断部5の切断動作に連動して、布ラベルLの搬送方向にパドル回転軸63を回転されることで、当該パドル回転軸63に取り付けられた第1パドル部61により、可動刃駆動部53の上面に置かれた布ラベルLを搬送方向へと掻き出す。
【0047】
これにより、後処理装置4では、例えば切断された布ラベルLが帯電した状態であっても、第1パドル部61の掻き出しにより搬送方向に付勢することができるため、布ラベルLの出力(排出)を効率的に行うことができる。
【0048】
また、後処理装置4では、第1パドル部61とは異なる取り付け角度でパドル回転軸63に取り付けられた第2パドル部62により、第1パドル部61とは異なるタイミングで可動刃駆動部53の上面に置かれた布ラベルLを搬送方向に掻き出すことができる。
【0049】
これにより、後処理装置4では、例えば第1パドル部61による掻き出し後、可動刃駆動部53の上面に布ラベルLの後端部分が残留している状態であっても、第2パドル部62の掻き出しにより搬送方向に付勢することができるため、布ラベルLの出力(排出)をより確実に行うことができる。
【0050】
また、後処理装置4では、可動刃駆動部53の後段の搬送路において、可動刃駆動部53の上面から掻き出された布ラベルLに下方から接触可能な位置に設けた除電ブラシ641を用いて、布ラベルLの除電を行う。これにより、後処理装置4では、例えば可動刃駆動部53の上面の摺動等で生じた静電気を除電することができ、搬送途中で張り付く等の事態を防ぐことができるため、布ラベルLの出力(排出)を効率的に行うことができる。
【0051】
また、後処理装置4では、パドル回転軸63の略鉛直方向下方に除電ブラシ641を設け、除電ブラシ641を第1パドル部61及び第2パドル部62と接触可能な高さとしている。これにより、第1パドル部61及び第2パドル部62が掻き出し動作を行う際に、布ラベルLと除電ブラシ641とが接する状態を実現できるため、布ラベルLの除電をより確実に行うことができる。
【0052】
なお、上述した実施形態は、プリンタ1及び後処理装置4が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0053】
(変形例1)
上述の実施形態では、プリンタ1と後処理装置4とを別体としたが、これに限らず、一体としてもよい。この場合、プリンタ1の筐体11内に、切断部5及び搬送部6を設けることで、筐体11に設けられる排出口から印刷が完了した布ラベルLを排出可能な構成としてもよい。
【0054】
(変形例2)
上述の実施形態において、例えば、可動刃駆動部53を金属等の導電性部材で形成し、可動刃駆動部53を筐体41等のフレームにGND接続する構成としてもよい。これにより、布ラベルLの帯電による電位差を抑えることができるため、布ラベルLの搬送をより効率的に行うことができる。
【0055】
(変形例3)
上述の実施形態では、第1パドル部61及び第2パドル部62を用いた構成を説明したが、これに限らず、第1パドル部61(又は第2パドル部62)のみを用いる構成としてもよい。例えば、使用する布ラベルLの特性や変形例2の構成を採用すること等により、単一のパドル部による掻き出し動作のみで、布ラベルLの搬送を行うことができるのであれば、単一のパドル部を用いる構成としてもよい。
【0056】
また、パドル部の個数は2つに限らず、使用する布ラベルLの特性等により、3以上のパドル部をパドル回転軸63に設ける構成としてもよい。なお、パドル回転軸63に対する各パドル部の取り付け角度は、互いに相違させるものとする。
【0057】
(変形例4)
上述の実施形態では、可動刃52を可動刃駆動部53に取り付けることで、可動刃52と布ラベルLの載置面とが一体的に構成される例を説明した。しかしながら、この構成に限るものではない。
【0058】
例えば、可動刃52を上下方向に移動可能な構成とし、可動刃52の後段に、切断された布ラベルLを載置するための載置面(載置台)を設ける構成としてもよい。なお、この構成を採用する場合、搬送部6の第1パドル部61及び第2パドル部62は、載置面に載置された布ラベルLを順次掻き出す動作を行うことで、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0059】
(変形例5)
上述の実施形態では、ガイド部64を設けることで、布ラベルLの搬送をガイドする構成を説明した。しかしながら、この構成に限るものではない。
【0060】
例えば、排出口42の位置や、切断後の布ラベルLの出力位置等によっては、ガイド部64が不要となる可能性がある。このような場合には、ガイド部64を設けない構成としてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、ガイド部64の先端に除電部材(除電ブラシ641)を設ける構成としたが、この構成に限るものではない。
【0062】
例えば、除電を行わずとも布ラベルLの排出を行うことができる場合には、除電部材を取り除き、支持部642を除電ブラシ641の高さまで延設したガイド部64を設けることで、布ラベルLの搬送をガイドする構成としてもよい。
【0063】
(変形例6)
上述の実施形態では、切断部5の構成を、固定刃51に対し可動刃52が上下に移動(スイング)するスイングカッター方式としたが、これに限るものではない。例えば、切断部5は、ロータリカッター方式等、他の方式であってもよい。但し、何れの方式であっても、切断後の布ラベルLを載置するための載置面は設けられるものとする。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 プリンタ
2 媒体保持部
3 印刷部
4 後処理装置
5 切断部
51 固定刃
52 可動刃
53 可動刃駆動部
6 搬送部
61 第1パドル部
62 第2パドル部
63 パドル回転軸
64 ガイド部
641 除電ブラシ
642 支持部
L 布ラベル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】