(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134308
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】作業管理システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
B66F9/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044543
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 宙潤
(72)【発明者】
【氏名】五島 代介
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA02
3F333FA01
3F333FD03
3F333FD06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フォークリフトから得られる稼働情報のみから、フォークリフトを用いた作業の内容をより詳細に把握できるようにする。
【解決手段】フォークリフト200によって積み降ろしされる荷物が載置される荷台の高さを示す荷台高さ情報を記憶している荷台高さ情報記憶部D1と、フォークリフト200のフォーク高さを示すフォーク高さ情報およびフォーク201に載せられた荷物の重量を示す荷物重量情報を取得するフォークリフト稼働情報取得部1と、荷物重量が変化したタイミングでのフォーク高さを荷台高さと比較することによって、フォークリフト200による荷物のハンドリング状態を判定するハンドリング状態判定部2とを設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトによって積み降ろしされる荷物が載置される荷台の高さを示す荷台高さ情報を記憶する荷台高さ情報記憶部と、
フォークリフトのフォーク高さを示すフォーク高さ情報およびフォークに載せられた荷物の重量を示す荷物重量情報を取得するフォークリフト稼働情報取得部と、
荷物重量が変化したタイミングでのフォーク高さを荷台高さと比較することによって、フォークリフトによる荷物のハンドリング状態を判定するハンドリング状態判定部と、を備えることを特徴とする作業管理システム。
【請求項2】
前記ハンドリング状態判定部は、
荷物重量が減少したタイミングにおけるフォーク高さが、記憶されている荷台高さに合致すると判断される場合、フォークリフトが当該荷台に荷物を積んだと判定する請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記ハンドリング状態判定部は、
荷物重量が増大したタイミングにおいて、フォーク高さが、記憶されている荷台高さと合致すると判断される場合、フォークリフトが当該荷台から荷物を降ろすと判定する請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項4】
前記ハンドリング状態判定部は、
フォーク高さが、記憶されている荷台高さよりも低く、かつ、荷物重量が一定以上の状態が所定の時間を超えて継続されている場合、フォークリフトが荷物を搬送していると判定する請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項5】
荷台高さ情報には、荷台の種類を示す荷台種類情報が紐づけられている請求項1記載の作業管理システム。
【請求項6】
荷台がトラックの荷台である請求項1記載の作業管理システム。
【請求項7】
フォークリフトによって積み降ろしされる荷物が載置される荷台の高さを示す荷台高さ情報を記憶する荷台高さ情報記憶部と、
フォークリフトのフォーク高さを示すフォーク高さ情報およびフォークに載せられた荷物の重量を示す荷物重量情報を取得するフォークリフト稼働情報取得部と、
荷物重量が変化したタイミングでのフォーク高さを荷台高さと比較することによって、フォークリフトによる荷物のハンドリング状態を判定するハンドリング状態判定部と、としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする作業管理プログラム。
【請求項8】
フォークリフトによって積み降ろしされる荷物が載置される荷台の高さを示す荷台高さ情報を記憶しておき、
フォークリフトのフォーク高さを示すフォーク高さ情報およびフォークに載せられた荷物の重量を示す荷物重量情報を取得し、
荷物重量が変化したタイミングでのフォーク高さを荷台高さと比較することによって、フォークリフトによる荷物のハンドリング状態を判定することを特徴とする作業管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトを用いた荷物の積み降ろし作業を管理するための作業管理システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばウイング型トラック車両の場合、トラックに対する荷物の積み降ろし作業(荷物を積む作業および荷物を降ろす作業のこと)のほとんどまたは全部は、フォークリフトを用いて行われる。
【0003】
ところで、このような荷物の積み降ろし作業については、フォークリフト運転者やトラックドライバーが作業の開始及び終了時間を機器に手動入力などして、その作業時間を自己申告する(例えば、する)ことにより情報を得ている程度であり、客観的な作業情報が得られているとはいい難い。
【0004】
例えば、実際の荷物量はどれほどか、作業者の自己申告しているうちの実際の積み降ろし作業に要した時間や回数はどれくらいだったのかはわからない。そのため、人ごとの作業時間(効率)や、荷主ごとの荷物段取りの良さや、荷待ち時間等については作業者個々の感覚によるところが大きく、実態把握が難しく改善活動等も進めにくい状況である。
【0005】
もちろん、トラック、フォークリフトそれぞれの稼働情報を把握することは現在も進められている。
【0006】
例えばトラックには、効率的な運行管理のために、特許文献1に示すように、デジタルタコグラフのような運行管理計が搭載され、走行時間や走行速度、走行ルートなどが自動的に記録されて管理者に送信されるようになっている。
【0007】
しかしながら、フォークリフトに関していえば、その稼働状況は個別に把握できても、トラック側の稼働情報とは連携がとれていないし、また連携するためには新たなシステム構築が必要となるため、現状においては、稼働状況からそれがトラックの荷台に対する荷積みなのか、荷降ろしなのか、それ以外の荷物の積み降ろしなのか、荷物の搬送なのかなどといった荷物のハンドリング情報を把握することはできず、そのために作業効率や作業安全性の改善を進めることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑み、フォークリフトのフォーク高さに着目して初めてなされたものであって、フォークリフトから得られる稼働情報のみから、フォークリフトを用いた作業の内容をより詳細に把握できるようにすべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る作業管理システムは、
フォークリフトによって積み降ろしされる荷物が載置される荷台の高さを示す荷台高さ情報を記憶している荷台高さ情報記憶部と、
フォークリフトのフォーク高さを示すフォーク高さ情報およびフォークに載せられた荷物の重量を示す荷物重量情報を取得するフォークリフト稼働情報取得部と、
荷物重量が変化したタイミングでのフォーク高さを荷台高さと比較することによって、フォークリフトによる荷物のハンドリング状態を判定するハンドリング状態判定部と、を備えることを特徴とする作業管理システム。
【発明の効果】
【0011】
以上の構成によれば、荷台高さ情報をあらかじめ記憶(登録)し、フォークリフトが積載している荷物重量とフォーク高さ情報とを含んだフォークリフト稼働情報を取得することにより、従来では得られなかったフォークリフトによる荷物の詳細なハンドリング情報、例えば、荷台に対する荷積み/荷降ろし、それ以外の荷物の積み/降ろし、荷物の搬送などをそれぞれ区別して判定することができ、フォークリフトの作業効率や作業安全性の改善等を効果的に推し進めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における作業管理システムの全体機能ブロック図である。
【
図2】同実施形態における荷台高さ情報記憶部のデータ構造図である。
【
図3】同実施形態におけるハンドリング状態判定の具体的な態様を説明するための、フォークの昇降と荷物重量の変化とのタイミングを示すタイミングチャート。
【
図4】同実施形態におけるハンドリング状態判定の具体的な態様を説明するための、フォークの昇降と荷物重量の変化とのタイミングを示すタイミングチャート。
【
図5】同実施形態におけるハンドリング状態判定の具体的な態様を説明するための、フォークの昇降と荷物重量の変化とのタイミングを示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係る作業管理システムを、図面を参照して説明する。
【0014】
[1]概要
本実施形態に係る作業管理システム100は、
図1に示すように、フォークリフト200を用いた荷役作業の管理に用いられるものである。
【0015】
この作業管理システム100は、物理的には、CPU、メモリ、通信インタフェース、I/Oインタフェース等を備えた1又は複数のコンピュータで構成されたものであり、前記メモリにあらかじめ記憶された所定のプログラムにしたがって、CPUをはじめとする周辺機器が協動することにより、機能的には、後述する荷台高さ情報記憶部D1、フォークリフト稼働情報取得部1、ハンドリング状態判定部2等としての機能を発揮する。
【0016】
なお、この作業管理システム100の設置場所は、特に限定されるものではない。例えば、屋内に設置してもよいし、フォークリフト200に設置してもよい。複数のコンピュータで構成する場合、その一つをフォークリフト200200に設け、他を屋内に設けるなどしてもよい。
【0017】
[2]各機能部の説明
次に、各機能部について説明する。
【0018】
(2-1)荷台高さ情報記憶部D1
この荷台高さ情報記憶部D1は、メモリの所定領域に設定されたものであり、フォークリフト200によって積み降ろしされる荷物が載置される荷台の地面からの高さ(以下、荷台高さともいう。)を示す荷台高さ情報を記憶している。
【0019】
ここでの荷台は、例えばウイング型のトラックの荷台である。荷台高さは、トラックの種類ごとに異なるため、この荷台高さ情報記憶部D1には、
図2に示すように、複数の異なる荷台の高さ情報が、それぞれトラックの種類を示すトラック種類情報(請求項でいう荷台種類情報と紐づけられて予め格納されている。
【0020】
(2-2)フォークリフト稼働情報取得部
フォークリフト稼働情報取得部1は、フォークリフト200の稼働状態を示すフォークリフト稼働情報を、フォークリフト200に設けられた、あるいはフォークリフト200とは別に設けられたセンサの出力値から直接的にまたは演算をするなどして間接的に取得するものである。なお、センサ等からの出力をIoT機器などを介した無線通信によりリアルタイムで取得してもよいし、時間情報を付して一旦メモリに記録しオフラインで取得するようにしてもよい。
【0021】
(フォークリフト稼働情報)
ここでのフォークリフト稼働情報とは、フォーク201の高さ(以下、フォーク高さともいう。)を示すフォーク高さ情報およびフォーク201に載せられた荷物の重量を示す荷物重量情報を含んだものである。
【0022】
(フォーク高さ)
フォーク高さは、地面からのフォークの高さのことであり、ここではフォークリフト200のマスト高さから算出される。マスト高さは、原理的には、フォーク201を上下動させるリフトシリンダ内にある作動流体(作動油)の体積に比例することを利用して算出される。
【0023】
すなわち、ここでのフォークリフト稼働情報取得部1は、リフトシリンダに対して流出入する作動流体の流量を時間積分することによりマスト高さを算出する。作動流体の流量は、リフトシリンダに作動流体を送り込む液圧ポンプ(図示しない)の吐出圧力、液圧ポンプの回転数およびリフトシリンダに対する作動流体の流出入をコントロールするコントロールバルブ(図示しない)のスプールストローク量等から算出される。
【0024】
その他、フォーク高さの取得手法は前述に限られない。例えば、フォーク201やマストの高さ位置を検出するレーザなどを用いた測距センサを用いて直接的に測定する、リフトチェーン(図示しない)に係合しているチェーンギヤの回転位相を検出するエンコーダ等の出力値から算出し取得するなどといった手法でもよい。
【0025】
また、フォーク高さを所定範囲に亘って連続的に測定できるようにする必要はなく、1点ないし複数点の離散的なフォーク高さをリミットスイッチなどによって取得してもかまわない。例えばフォーク高さ情報として、フォーク高さが1m以上かそれよりも低いか、などの2値情報だけでも十分な場合もあるし、20cm刻みでフォーク高さ情報が得られればよいという場合もある。さらに、離散的に得たフォーク高さ情報を、必要に応じて、前記実施形態や上記変形例などの連続的なフォーク高さ取得手法によって補間するなどしてもよい。
【0026】
(荷物重量)
荷物重量は、ここではフォークリフト200のリフトシリンダ内の圧力を検出する圧力センサの検出値に基づいて算出される。すなわち、荷物重量はリフトシリンダ内の圧力と1対1の相関関係にあるため、フォークリフト稼働情報取得部1は、シリンダ圧センサの検出値と前記相関関係から荷物重量を算出する。
【0027】
その他、荷物重量の取得手法は前述に限られない。例えば、荷物重量に応じて液圧ポンプを駆動する電動モータ(図示しない)の電流値が変化することを利用して、荷物重量を電動モータに流れる電流を検出する電流センサの値から算出してもよいし、液圧ポンプの圧力を検出するポンプ圧センサの検出値から荷物重量を算出してもよい。フォーク201に歪ゲージなどの重量センサを装着し、この重量センサの出力値を用いるなどしてもよい。
【0028】
本実施形態のフォークリフトはエンジンフォークリフト、バッテリーフォークリフトのいずれに限られるものではないが、バッテリーフォークリフトであれば、荷物をフォークリフトで持ち上げる際のバッテリの電圧降下量から荷物重量を取得することもできる。
【0029】
さらに、荷物に、その重量を示したタグや電子タグ(RFIDなど)を付けるなどして、これをタグリーダなどのセンサによって読み取り、荷物重量を取得してもかまわない。
【0030】
また、フォーク高さと同様、荷物重量情報として、連続的に荷物重量を取得する必要はなく、必要なハンドリング情報に応じて、離散的な値としてもよい。具体的には、荷物重量情報が、例えば30kg以上かそれよりも下か、などといった2値情報であってもよいし、5kgごと、20kgごとなどといった分解能での離散値情報であってもよい。定格重量5tのフォークリフトに1kgとか1g単位での荷物重量情報は不要な場合もあるからである。このように、荷物重量情報の取得方法やその値は、前述した例に限られるものではない。
【0031】
(他のフォークリフト稼働情報)
なお、フォークリフト稼働情報としては、GPS等によって得られるフォークリフト200の位置情報、車速センサから得られるフォークリフト200の車速情報、フォークリフト200に取り付けられたカメラから得られる画像情報等を含んでいてもよい。
【0032】
(2-3)ハンドリング状態判定部
このハンドリング状態判定部2は、荷物重量が変化したタイミングでのフォーク高さを荷台高さと比較することによって、フォークリフト200による荷物のハンドリング状態を判定するものである。
【0033】
[3]判定動作の説明
次に、ハンドリング状態判定部2による、具体的なハンドリング状態の判定の一例について、
図3~
図5を参照しながら説明する。なお、
図3~
図5中、点線は、フォーク高さが荷役作業のために、荷台高さにまで上昇して次に下降するサイクルを示し、実線は、荷物重量の変化を示している。
【0034】
(3-1)荷台からの荷物の荷降ろし判定
図3に示すように、荷物重量が0から一定以上増大したタイミングT
Uにおいて、フォーク高さが、記憶されているいずれかの荷台高さと合致し、次に荷物重量が減少してゼロになったタイミングT
Dにおいて、フォーク高さが当該荷台高さと合致しないと判断される場合、ハンドリング状態判定部2は、フォークリフト200が当該荷台から地面に荷物を降ろしたと判定するとともに、荷台高さ情報記憶部D1を参照して、その荷台高さからトラックの車種を特定する。
【0035】
同図中、(3)では、フォーク高さが荷台高さと合致している間に荷物重量が一旦0まで減少し、その後、再度上昇している。このような場合、ハンドリング状態判定部2は、トラックの荷台上でフォークリフト200が一旦荷物を持ち、少し移動させる必要があるなど、何らかの理由で、当該荷台上で再度荷物を置いたと判定する。
【0036】
なお、「合致」とは、一定程度の範囲内での誤差は許容するものであり、正確な一致という意味ではない。
【0037】
同図中、(1)~(4)までは、フォーク高さが一旦下降してから、次に荷台高さにまで上昇するまでの時間が予め定めた一定時間内で、かつ、フォーク高さが一定程度の範囲で一致しているので、ハンドリング状態判定部2は、同じトラックの荷台から荷物を4回に分けて降ろしたと判定する。
【0038】
同図中、(5)では、フォーク高さが別の荷台高さと合致しているので、(1)~(4)のトラックとは別のトラックから荷物を降ろしたと判定する。
【0039】
(3-2)荷台への荷物の荷積み判定
図4に示すように、荷物重量が0から一定以上増大したタイミングT
Uにおいて、フォーク高さが、記憶されている荷台高さのいずれとも合致せず、次に荷物重量が減少してゼロになったタイミングT
Dにおいて、フォーク高さが、記憶されているいずれかの荷台高さと合致していると判断される場合、ハンドリング状態判定部2は、フォークリフト200が地面から当該荷台に荷物を積んだと判定するとともに、荷台高さ情報記憶部D1を参照して、その荷台高さからトラックの車種を特定する。
【0040】
同図中、(4)では、フォーク高さが荷台高さと合致している間に、荷物重量が一旦減少し、再度上昇している。このような場合、ハンドリング状態判定部2は、トラックの荷台上でフォークリフト200が一旦荷物を持ちあげ、少し移動させる必要があるなど、何らかの理由で、当該荷台上で再度荷物を置いたと判定する。
【0041】
同図中、(1)~(5)までは、フォーク高さが一旦下降してから、次に荷台高さにまで上昇するまでの時間が予め定めた一定時間内で、かつ、フォーク高さが一定程度の範囲で一致しているので、ハンドリング状態判定部2は、同じトラックの荷台に荷物を5回に分けて積んだと判定する。
【0042】
同図中、(6)では、フォーク高さが別の荷台高さと合致しているので、(1)~(5)のトラックとは別のトラックに荷物を積んだと判定する。
【0043】
なお、同図中、(5)から(6)の間、すなわち、フォーク高さが一旦下降してから、次に荷台高さにまで上昇するまでの時間が、予め定めた一定時間を越えており、かつ、その間のフォーク高さが荷台高さに到達しておらず、荷物重量も発生していないため、ハンドリング状態判定部2は、フォークリフトが空荷で移動したか、待ち状態であると判定する。
【0044】
(3-3)他の箇所での荷降ろし判定
図示しないが、荷物重量が0から一定以上増大したタイミングにおいて、フォーク高さが、記憶されている荷台高さのいずれとも合致せず、次に荷物重量が減少してゼロになったタイミングにおいて、フォーク高さが低くなっており、かつ、記憶されているいずれかの荷台高さとも合致しないと判断される場合、ハンドリング状態判定部2は、フォークリフト200が記憶された荷台以外の箇所で荷物を降ろしたと判定する。
【0045】
(3-4)他の箇所での荷積み判定
図示しないが、荷物重量が0から一定以上増大したタイミングにおいて、フォーク高さが、記憶されている荷台高さのいずれとも合致せず、次に荷物重量が減少してゼロになったタイミングTDにおいて、フォーク高さが高くなっており、かつ、記憶されているいずれかの荷台高さとも合致しないと判断される場合、ハンドリング状態判定部2は、フォークリフト200が記憶された荷台以外の箇所で荷物を積んだと判定する。
【0046】
(3-5)荷物の搬送判定
図3中、(4)から(5)の間、すなわち、フォークが一旦下降してから、次に荷台高さにまで上昇するまでの間において、フォーク高さが荷台高さに到達していない状態で、荷物重量が発生している場合は、ハンドリング状態判定部2は、フォークリフト200が荷物を、現場での定置整理などによる少しの移動も含め、別の箇所に搬送したと判定する。特にこの間では、フォーク高さが0、すなわち地面に近い状態で荷物重量の変化が発生しているので、地面に対して荷役作業をしていると判定する。フォークリフト作業では棚や荷台への荷役作業だけでなく、地面に荷物を置く作業を行うことも多く、それを把握できる。
【0047】
図5(1)に示すように、フォーク高さが荷台高さにまで上昇して下降する荷降ろしと判定され、その後、同図(2)に示すように、フォーク高さが荷台高さに至ることなく一定時間以上経過し、かつその期間、荷降ろしと同じ荷物重量が発生しており、次に同図(3)に示すように、別の荷台に対する同じ荷物重量の荷積みと判定される場合、ハンドリング状態判定部2は、同図(2)の期間は、フォークリフト200が荷台から降ろした荷物を搬送して別の荷台に積んだと判定する。
【0048】
[4]効果
以上の構成によれば、荷台高さ情報記憶部D1に荷台高さをあらかじめ登録しておきさえすれば、あとはフォークリフト200が積載している荷物重量とフォーク高さ情報とを含んだフォークリフト稼働情報を取得すれば、従来では得られなかったフォークリフトによる荷物の詳細なハンドリング情報、例えば、荷台に対する荷積み/荷降ろし、それ以外の荷積み/荷降ろし、荷物の搬送などを区別して判定することができ、フォークリフトの作業効率や作業安全性の改善等を効果的に推し進めることができるようになる。
【0049】
また、荷台側(トラック側)の稼働情報や管理システムを必要としないので、システムを短時間で構築でき、かつ荷台側(トラック側)の管理システムに引きずられてエラーを起こすといったシステムの不安定性を招くことも防止できる。
【0050】
[5]変形実施形態
本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0051】
登録可能な荷台は、トラックの荷台に限られず、工場内の棚などでもよい。
【0052】
荷台高さ情報は、入力によらず、自動取得するようにしてもよい。例えば、登録されていないフォーク高さでの荷役(荷積み・荷降ろし)が所定回数以上発生したとフォークリフト稼働情報から判断された場合、そのフォーク高さに合致する荷台高さを新たな荷台高さ情報として自動的に登録する(荷台高さ情報記憶部に記憶させる)ようにしてもよい。
【0053】
フォークリフト稼働情報として、フォークリフトの位置情報、フォークリフトの車速情報、フォークリフトからの画像情報等を利用することにより、より詳細で正確なハンドリング状態の判定が可能となる。
【0054】
荷台側(トラック側)の稼働情報と連携させてもかまわない。荷台側(トラック側)の稼働情報とは、例えばGPS等によって求められた荷台の位置情報、重量センサやタイヤ空気圧等から算出される荷物の積載重量、開閉スイッチや接触センサ等から判断される、荷台の扉の開閉状態等である。
【0055】
その他、本発明は前記説明や図示例の一部同士を組み合わせるなど、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0056】
[6]まとめ
以上に述べた本構成の特徴は、次のようにまとめることができる。
【0057】
(1)
フォークリフトによって積み降ろしされる荷物が載置される荷台の高さを示す荷台高さ情報を記憶している荷台高さ情報記憶部と、
フォークリフトのフォーク高さを示すフォーク高さ情報およびフォークに載せられた荷物の重量を示す荷物重量情報を取得するフォークリフト稼働情報取得部と、
荷物重量が変化したタイミングでのフォーク高さを荷台高さと比較することによって、フォークリフトによる荷物のハンドリング状態を判定するハンドリング状態判定部と、を備えることを特徴とする作業管理システム。
【0058】
以上の構成によれば、荷台高さ情報をあらかじめ記憶(登録)し、フォークリフトが積載している荷物重量とフォーク高さ情報とを含んだフォークリフト稼働情報を取得することにより、従来では得られなかったフォークリフトによる荷物のハンドリング情報、例えば、荷台に対する荷積み/荷降ろしと、それ以外の荷物の積み/降ろし、荷物の搬送などとをそれぞれ区別して判定することができ、フォークリフトの作業効率や作業安全性の改善等を効果的に推し進めることができるようになる。
【0059】
(2)
前記ハンドリング状態判定部は、
荷物重量が減少したタイミングにおけるフォーク高さが、記憶されている荷台高さに合致すると判断される場合、フォークリフトが当該荷台に荷物を積んだと判定する(1)に記載の作業管理システム。
【0060】
以上の構成によれば、フォークリフトが積載している荷物重量とフォーク高さ情報とを含んだフォークリフト稼働情報を取得することにより、フォークリフトが荷台に荷物を積んだか否かの判定をすることができる。
【0061】
(3)
前記ハンドリング状態判定部は、
荷物重量が増大したタイミングにおいて、フォーク高さが、記憶されている荷台高さと合致すると判断される場合、フォークリフトが当該荷台から荷物を降ろすと判定する(1)または(2)に記載の作業管理システム。
【0062】
以上の構成によれば、フォークリフトが積載している荷物重量とフォーク高さ情報とを含んだフォークリフト稼働情報を取得することにより、フォークリフトが荷台から荷物を降ろしたか否かの判定をすることができる。
【0063】
(4)
前記ハンドリング状態判定部は、
フォーク高さが、記憶されている荷台高さよりも低く、かつ、荷物重量が一定以上の状態が所定の時間を超えて継続されている場合、フォークリフトが荷物を搬送していると判定する(1)ないし(3)いずれかに記載の作業管理システム。
【0064】
以上の構成によれば、フォークリフトが積載している荷物重量とフォーク高さ情報とを含んだフォークリフト稼働情報を取得することにより、フォークリフトが荷物を搬送していたか否かを判定することができる。
【0065】
(5)
荷台高さ情報には、荷台の種類を示す荷台種類情報が紐づけられている(1)ないし(4)いずれかに記載の作業管理システム。
【0066】
以上の構成によれば、どの荷台に対して荷物の荷積み、荷降ろしを行ったかを把握できるので、より詳細なハンドリング情報を得られ、フォークリフトの作業効率や作業安全性の改善等を効果的に推し進めることができるようになる。
【0067】
(6)
荷台がトラックの荷台である(1)ないし(5)いずれかに記載の作業管理システム。
【0068】
以上の構成によれば、トラックに対するフォークリフトのハンドリング情報を得られるので、フォークリフトの作業効率や作業安全性の改善等を効果的に推し進めることができるようになる。
【符号の説明】
【0069】
100・・・作業管理システム
200・・・フォークリフト
201・・・フォーク
D1・・・荷台高さ情報記憶部
1・・・フォークリフト稼働情報取得部
2・・・ハンドリング状態判定部