(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134309
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 73/06 20060101AFI20240926BHJP
A01B 33/08 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A01B73/06
A01B33/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044544
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078949
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 勝美
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
【テーマコード(参考)】
2B033
2B041
【Fターム(参考)】
2B033AA04
2B033AB01
2B033AB11
2B033AC05
2B033DA08
2B033DA10
2B033DB02
2B033DB50
2B041AA02
2B041AA20
2B041AB05
2B041AC03
2B041BA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回動による作業体の固定と固定解除を少ない構成部材によりなし、装置構成の簡素化、各部材の精度の厳格化防止が図られた農作業機を提供する。
【解決手段】第1リンク4、第2リンク5及び第3リンク6を備え、側部作業体3が中央作業体2に対し回動自在である。第1リンク4は本体部に回動支点42が設けられ、傾斜部に第1長孔41が設けられ、回動自在である。第2リンク5は一端部に回動支点51が設けられ、他端部に連結ピン8が回動自在に設けられる。第3リンク6は回動自在であり、第2長孔63が設けられる。第1リンク、第2リンク及び第3リンクが共通の連結ピンにて回動自在に連結され、連結ピンは、第1長孔及び第2長孔内に遊嵌され、第2リンクに連結されるシリンダ9の進退動作により、各長孔内での遊嵌位置を変化させる。側部作業体は回動動作により作業時には展開されて固定状態となり、非作業時には折畳まれて格納状態となる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リンク、第2リンク及び第3リンクを備え、側部作業体が中央作業体に対し回動自在である農作業機であって、
第1リンクは本体部と、該本体部に対し傾斜して形成された傾斜部からなる回動自在のリンク部材であり、上記本体部に回動支点が設けられ、上記傾斜部に長手方向に沿って長円形の第1長孔が設けられ、
第2リンクは長尺に形成された回動自在のリンク部材からなり、一端部に回動支点が設けられ、他端部に連結ピンが回動自在に設けられ、
第3リンクは長尺の連結部と該連結部に直交して設けられたリンク部からなる回動自在のリンク部材であり、該リンク部に上記連結部の長手方向に沿って長円形の第2長孔が設けられ、
上記第1リンク、上記第2リンク及び上記第3リンクが夫々共通の連結ピンにて回動自在に連結され、該連結ピンは、上記第1長孔及び上記第2長孔内に遊嵌され、上記第2リンクに連結される進退機構の進退動作により、上記第1長孔及び上記第2長孔内での遊嵌位置を変化させ、
上記側部作業体は回動動作により作業時には展開されて固定状態となり、非作業時には折畳まれて格納状態となることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
請求項1記載の農作業機において、上記第1長孔には本体部側に連結ピンの第1位置が形成されるとともに、反対側に第2位置が形成され、上記第2長孔には連結部側に上記連結ピンの第3位置が形成されるとともに、反対側に第4位置が形成されることを特徴とする農作業機。
【請求項3】
請求項2記載の農作業機において、第3リンクの回動支点を中心にして回転半径の小なる位置に上記第3位置が形成され、回転半径の大なる位置に上記第4位置が形成されることを特徴とする農作業機。
【請求項4】
請求項1記載の農作業機において、上記第1長孔と上記第2長孔とは互いの長手方向が交差することを特徴とする農作業機。
【請求項5】
請求項1記載の農作業機において、上記第1長孔の長手方向の長さが連結ピンの直径の2倍以下であることを特徴とする農作業機。
【請求項6】
請求項1記載の農作業機において、上記進退機構が進退動作をするロッドを有するシリンダからなることを特徴とする農作業機。
【請求項7】
請求項1記載の農作業機において、上記進退機構が上記中央作業体に設けられることを特徴とする農作業機。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一記載の農作業機において、上記第1リンクは本体部が上記中央作業体に回動自在に連結され、上記第2リンクは上記一端部が上記側部作業体に回動自在に連結され、上記第3リンクは連結部が上記第1リンクに回動自在に連結され、上記連結ピンが上記第1長孔及び第2長孔並びに上記第2リンクの他端部に回動自在に貫通されることを特徴とする農作業機。
【請求項9】
請求項1記載の農作業機において、上記中央作業体と上記側部作業体の一方に係合部が設けられ、他方に受部が設けられることを特徴とする農作業機。
【請求項10】
請求項1記載の農作業機において、上記中央作業体と上記側部作業体の一方に係合ピンが設けられ、他方に固定部材が設けられることを特徴とする農作業機。
【請求項11】
請求項1記載の農作業機において、上記第3リンクが連結ロッドを介して上記側部作業体に回動自在に連結されることを特徴とする農作業機。
【請求項12】
請求項1記載の農作業機において、上記第1リンク及び上記第2リンクが上記進退機構の進行方向前後に一対設けられることを特徴とする農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は農作業機に関し、とくにその折畳機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種農作業機は図示しないトラクタに連結されて移動し、水田での代掻作業や耕耘作業等をする。
【0003】
農作業をする作業体は幅方向に長尺のため、折畳んだ格納状態で移動し、作業時に作業体を展開状態にして作業する。
【0004】
展開状態で作業しまた格納状態で移動する際、固定が確実でないと危険であるため、多くの部品を用いて作業体の固定やその解除を確実にしていた。
【0005】
従来はこのような構成であるため、部品点数が多くなり、かつ複雑化していた。このため各部品に精度が要求されるという難があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-158327号公報
【特許文献2】特開2006-129764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記背景より、回動による作業体の固定と固定解除を少ない構成部材によりなすことにあり、これにより、装置構成を簡素化し、各部材の精度の厳格化防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題解決のため、本願発明による農作業機は、第1リンク、第2リンク及び第3リンクを備え、側部作業体が中央作業体に対し回動自在である農作業機であって、第1リンクは本体部と、該本体部に対し傾斜して形成された傾斜部からなる回動自在のリンク部材であり、上記本体部に回動支点が設けられ、上記傾斜部に長手方向に沿って長円形の第1長孔が設けられ、第2リンクは長尺に形成された回動自在のリンク部材からなり、一端部に回動支点が設けられ、他端部に連結ピンが回動自在に設けられ、第3リンクは長尺の連結部と該連結部に直交して設けられたリンク部からなる回動自在のリンク部材であり、該リンク部に上記連結部の長手方向に沿って長円形の第2長孔が設けられ、上記第1リンク、上記第2リンク及び上記第3リンクが夫々共通の連結ピンにて回動自在に連結され、該連結ピンは、上記第1長孔及び上記第2長孔内に遊嵌され、上記第2リンクに連結される進退機構の進退動作により、上記第1長孔及び上記第2長孔内での遊嵌位置を変化させ、上記側部作業体は回動動作により作業時には展開されて固定状態となり、非作業時には折畳まれて格納状態となることを特徴とする。
また、請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記第1長孔には本体部側に連結ピンの第1位置が形成されるとともに、反対側に第2位置が形成され、上記第2長孔には連結部側に上記連結ピンの第3位置が形成されるとともに、反対側に第4位置が形成されることを特徴とする。
また、請求項3記載の農作業機は、請求項2記載の農作業機において、第3リンクの回動支点を中心にして回転半径の小なる位置に上記第3位置が形成され、回転半径の大なる位置に上記第4位置が形成されることを特徴とする。
また、請求項4記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記第1長孔と上記第2長孔とは互いの長手方向が交差することを特徴とする。
また、請求項5記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記第1長孔の長手方向の長さが連結ピンの直径の2倍以下であることを特徴とする。
また、請求項6記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記進退機構が進退動作をするロッドを有するシリンダからなることを特徴とする。
また、請求項7記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記進退機構が上記中央作業体に設けられることを特徴とする。
また、請求項8記載の農作業機は、請求項1乃至請求項7のいずれか一記載の農作業機において、上記第1リンクは本体部が上記中央作業体に回動自在に連結され、上記第2リンクは上記一端部が上記側部作業体に回動自在に連結され、上記第3リンクは連結部が上記第1リンクに回動自在に連結され、上記連結ピンが上記第1長孔及び第2長孔並びに上記第2リンクの他端部に回動自在に貫通されることを特徴とする。
また、請求項9記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記中央作業体と上記側部作業体の一方に係合部が設けられ、他方に受部が設けられることを特徴とする。
また、請求項10記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記中央作業体と上記側部作業体の一方に係合ピンが設けられ、他方に固定部材が設けられることを特徴とする。
また、請求項11記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記第3リンクが連結ロッドを介して上記側部作業体に回動自在に連結されることを特徴とする。
また、請求項12記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、上記第1リンク及び上記第2リンクが上記進退機構の進行方向前後に一対設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明においては、回動自在の第1リンクが本体部と、該本体部に対し傾斜して形成された傾斜部からなり、上記本体部に回動支点が設けられ、上記傾斜部に長手方向に沿って第1長孔が設けられており、また回動自在の第2リンクが長尺に形成され、一端部に回動支点が設けられ、他端部に連結孔が設けられており、さらに回動自在の第3リンクが長尺の連結部と該連結部に直交して設けられたリンク部からなり、上記第1リンク、上記第2リンク及び上記第3リンクが夫々共通の連結ピンにて回動自在に連結され、上記各リンクに遊嵌される連結ピンがシリンダの進退動作により上記第1長孔及び上記第2長孔内での遊嵌位置を変化させ、これにより、上記側部作業体が回動され、上記側部作業体の回動動作により作業時には展開されて固定状態となり、非作業時には折畳まれて格納状態となる。
よって中央作業体に対する側部作業体の固定と固定解除が少ない部品数によって確実になされる。
【0010】
また側部作業体の固定と固定解除に係る装置構成が簡素化されるから、各部材の精度の厳格化防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願発明による農作業機の実施の形態を示す正面図であり、展開状態を示す。
【
図9】(A)は第1リンク、(B)は第2リンク、(C)は第3リンクの各単品図である。
【
図10】側部作業体のシリンダ機構の油圧回路図である。
【
図11】
図1による農作業機の動作を説明する図(格納状態)である。
【
図12】
図1による農作業機の動作を説明する図(展開動作中)である。
【
図13】
図1による農作業機の動作を説明する図(展開動作中)である。
【
図14】
図1による農作業機の動作を説明する図(展開動作中)である。
【
図15】
図1による農作業機の動作を説明する図(展開動作中)である。
【
図16】
図1による農作業機の動作を説明する図(展開動作中)である。
【
図17】
図1による農作業機の動作を説明する図(展開動作中)である。
【
図18】
図1による農作業機の動作を説明する図(展開動作終了、固定状態)である。
【
図19】
図1による農作業機の格納状態を示す背面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、実施の形態を示す図面に基づき、本願発明による農作業機をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0013】
農作業機1は図示しないトラクターに連結、索引されて移動し、また圃場での農作業をする。
【0014】
図1乃至
図9において、農作業機1は、中央作業体2と、該中央作業体2の両側に設けられる同一構成の側部作業体3とからなる。中央作業体2はパイプフレーム21が進行方向に対し直交する方向に横設され、その中央部に変速部22が設けられる。該変速部22の先端部にはトップマスト23が設けられる。24はトップピンである。上記変速部22の基端部には駆動力の入力軸25が設けられる。上記変速部22の両側には後記するシリンダ9が設けられる。26は第2パイプフレームであり、上記パイプフレーム21に平行に横設される。該パイプフレーム26には、上記変速部22の両側にロワピン27が設けられる。28はカバー体である。
【0015】
上記側部作業体3は上記中央作業体2に対し回動自在に設けられ、後述のように、上記中央作業体2の両側に固定可能に又は固定解除可能に設けられる。31は上記中央作業体2のパイプフレーム21の両側に設けられる側部作業体3のパイプフレームであり、上記パイプフレーム21の長手方向と同一延長線上に設けられる。
【0016】
上記パイプフレーム21と上記パイプフレーム31の中央部に設けられる折畳端部31aには、
図9に最も良く示すように第1リンク4、第2リンク5及び第3リンク6からなるリンク機構7が設けられる。
【0017】
第1リンク4は、長方形状の本体部4aと、該本体部4aと一体に形成され、本体部4aに対し傾斜して形成された傾斜部4bからなる回動自在のリンク部材であり、シリンダ9の前後(
図1に矢示する方向の前後)に一対設けられる。上記本体部4aの基端部には、回動支点42が回動自在に嵌合されるための回動孔4cが設けられ、他端部には後記する第3リンク6の回動支点64が嵌合される回動孔4dが設けられる。上記傾斜部4bには長手方向に沿って、即ち、上記回動孔4dに向かって長円形の第1長孔41が設けられる。該第1長孔41には連結ピン8が遊嵌され、基端側(
図9では下部)に第1位置41aが形成されるとともに、反対側(
図9では上部)に第2位置41bが形成される。即ち、第2位置41bは、第1リンク4の回動支点42と第1位置41aとを結んだ仮想直線L2より、
図11~
図15では上方に位置し、
図16~
図18では下方に位置する。これにより仮想直線L2が90°を超えると位置関係が反転する。上記回動孔4dは第3リンク6の回動孔62aに対応する回動孔である。上記第1長孔41の長手方向の長さは、連結ピン8の直径の2倍以下程度の小であることが望ましく、本実施例では1.6倍とされる。
【0018】
第2リンク5は長尺に形成された回動自在のリンク部材からなり、一端部に回動支点51が回動自在に嵌合される回動孔5aが設けられ、他端部に連結ピン8が回動自在に嵌合される回動孔5bが設けられる。該第2リンク5はシリンダ9の前後(
図1に矢示する方向の前後)に一対設けられる。
【0019】
第3リンク6は回動自在のリンク部材であり、長尺の連結部61と、該連結部61の先端部側に該連結部61に直交して設けられたリンク部62とからなる。該リンク部62に上記連結部61の長手方向に沿って長円形の第2長孔63が設けられる。上記第1長孔41と該第2長孔63とは交差して交わる。ここで「交差」とは、連結ピン8が第1位置41aに位置するときは、
図20(A)、(E)、(F)及び(G)に示す如く、約70°であり、連結ピン8が第2位置41bに位置するときは、
図20(B)、(C)、(D)及び(H)に示す如く、約55°である。これは90°で交差させると第3リンク6が回動不可となるためである。
【0020】
上記第2長孔63には連結ピン8が遊嵌され、連結部61の側(
図9では下部)に第3位置63aが形成されるとともに、反対側(
図9では上部)に第4位置63bが形成される。
【0021】
つまり、第3リンク6の回動支点64を中心にして、回転半径の小なる位置に第3位置63aが形成され、回転半径の大なる位置に第4位置63bが形成される。換言すれば、第3位置63aは第2リンク5の回動支点51に近い位置に形成され、第4位置63bは第2リンク5の回動支点51に遠い位置に形成される。これにより、第1長孔41と第2長孔63との長手方向が交差して配されることになる。
【0022】
上記第3リンク6は、連結ピン8が第1長孔41内を移動することに連動し第2長孔63に対しても移動する。つまり、第1長孔41を移動する連結ピン8が同時に第2長孔63内も移動することによって、第3リンク6が第1リンク4に対して相対的に回動する。
【0023】
第3リンク6には、
図6及び
図7に最も良く示すように、第1リンク4の回動支点42と第1長孔41との間に、回動支点64が回動自在に嵌合される回動孔62aが設けられる。上記第3リンク6は該回動支点64を中心に回動するため、上記側部作業体3が回動しても回動支点42と回動支点64の位置関係が変更しない。上記回動支点64は、上記第1リンク4及び上記第3リンク6の各嵌合孔4d、62aに回動自在に嵌合される。
【0024】
図5に示すように、第3リンク6の連結部61の基端部に連結ロッド11が回動自在に連結される。65は連結ロッド9を連結するための孔である(
図9)。該連結ロッド11の先端部11aは、上記側部作業体3のカバー体32の下端部に回動自在に設けられた固定部材17に連結される(
図8)。かくして上記第3リンク6が回動支点64を中心に回動することにより、固定部材17を回動させる。
【0025】
上記第1リンク4及び上記第2リンク5がシリンダ9の
図1に矢示する機体の進行方向前後に一対設けてあるのは、これにより、シリンダ9の突没によって前後方向に偏荷重が発生するのを防ぐためである。
【0026】
本実施の形態では、上記第3リンク6が上記第1リンク4の外側(進行方向の前後方向に対する外側)に設けられており、該第3リンク6に連結される連結ロッド11を側部作業体3のパイプフレーム31とカバー体32の間に通すように設けられる。これは、連結ロッド11がパイプフレーム21の上方に積み重なるように配されるのを防ぐためである。つまり、連結ロッド11が農作業機1の外側に配されないので、人の手に触れ難くなり、不測の変形が防止され、また外観上も意匠的効果を奏するためである。
【0027】
8は上記第1リンク4、上記第2リンク5及び上記第3リンク6を回動自在に連結するリンク機構7の連結ピン8である。即ち、該連結ピン8は、
図7に最も良く示すように、上記第1長孔41及び上記第2長孔63並びに上記回動孔5bを貫通し、上記第1リンク4、上記第3リンク6及び上記第2リンク5を回動自在に連結する共通のピンである。
【0028】
上記側部作業体3は、後述する回動動作により作業時には展開されて固定状態となり、非作業時には折畳まれて格納状態となる。
【0029】
9は上記側部作業体3に設けられるシリンダであり、該側部作業体3を回動させる。該シリンダ9は中央作業体2のパイプフレーム21の上にシリンダ支点9bが形成される支点部9aを設ける。9cは上記シリンダ9の先端部に設けられるシリンダロットであり、図示しないポンプから送られる圧油により進退動作する。該シリンダロット9cは第2リンク5に連結され、その進退動作により、上記第2リンク5及び上記第1リンク4を介して、上記側部作業体3を回動せしめる。
【0030】
10は上記リンク機構7の折畳支点部である。即ち、折畳支点部10は、
図7に示すように、上記第1リンク4内に内設される上記中央作業体2のパイプフレーム21の折畳端部21aと、該折畳端部21a内に内設される上記側部作業体3のパイプフレーム31の折畳端部31aとの重畳部に、回動自在にピン10aが挿通されて構成される。
【0031】
11は、所定長に設けられ上記第3リンク6に連結された連結ロッドであり、
図5に示すように、先端部11aが側部作業体3のカバー体32に設けられる固定部材17に回動自在に係合される。なお、連結ロッド11はねじ部により所定長に伸縮可能とされるものでもよい。
【0032】
図8に示すように、上記中央作業体2と上記側部作業体3の各連結側の端部には、連結の固定又は固定解除の機構が設けられる。即ち、上記中央作業体2側のカバー体28の連結側の端部2bには、円滑回動のため頂上部13aを突孤状に形成した係合部13が設けられ、先端部に係合ピン13bが突設される。一方、上記側部作業体3側のカバー体32の連結側端部3bには、上記係合ピン13に係合される係合孔14aを凹設した受部14が設けられる。上記受部14には回動自在の上記固定部材17が設けられる。上記固定部材17の一端部にはフック孔17aが形成され、連結固定時に上記係合部13に係合され、また固定解除時には係合部13から外される。上記固定部材17の基端部17bには連結ロッド11の先端部11aが回動自在に係合される。
図1等において16は上記カバー体28に設けられた支持部材である。
図1中3aは側部作業体3の外端部である。
【0033】
図5において、18は耕耘部であり、回転自在のロータ軸18aと該ロータ軸18aに設けられる爪18bからなる。19は整地体であり、上段の第1整地体19aと下段の第2整地体19bとが回動可能に連接されてなる。
図1等に示す20aは上記中央作業体2のチェーンケース、20bは上記側部作業体3のチェーンケースである。
【0034】
図10は上記シリンダ9の油圧回路図である。便宜上、上記側部作業体3のいずれかを回動させるシリンダの回路のみを示す。図中、9dは方向制御弁を示し、Pは図示しないトラクタのポンプ側に接続され、Tは同タンク側に接続される。
【0035】
ここで、連結ピン8の遊嵌位置を第1位置~第4位置に特定する場合の効果を考える。第1位置41aについて、展開側への回動時に連結ピン8が第1長孔41の基端側の第1位置41aに移動すると、即ち、側部作業体3が回動方向に自重による負荷をリンク機構7に加えると、仮想直線L1に近い側であって重力方向である第1位置41aの側に連結ピン8が移動する。反対に、展開側への回動時に連結ピン8が第1長孔41の先端側の第2位置41bに移動すると、即ち、格納時においては、仮想直線L1から離れる側であって重力方向とは逆の側である第2位置41bの側に連結ピン8が移動する。よって、第1長孔41の基端側の第1位置41aと、先端側の第2位置41bの位置を限定する効果がある。
また第3位置63a及び第4位置63bについては、第3リンク6を回動せる方向によって決められる。本実施形態の位置にすることによって、展開時に第3リンク6自体をリンク機構7の中央或いは下方に位置させ、リンク機構7から不用意に突出させることがない。つまり、リンク機構7から第3リンク6だけが上方に突出することがないので、作業者による不測の接触を防ぎ、かつ、外観の向上を図ることができる。
【0036】
次に、上記実施の形態による農作業機1の各部の動作を
図11~
図19に基づき説明する。図中、Gは上記側部作業体3の重心を示す。
【0037】
(格納→展開)
まず農作業機1が格納状態から展開状態にする動作を説明する。
図11に示す格納状態のとき、シリンダ9は短縮状態であり、連結ピン8は、第1長孔41において第1位置41a、第2長孔63において第3位置63aにそれぞれ位置している(
図20(A))。このとき、連結ピン8の位置は第1位置41aであり、シリンダ9の連結部であるシリンダ支点9bと第2リンク回動支点51を結ぶ仮想直線L1より上方に位置している。また、固定部材17は他の部材と係合していない状態である。
【0038】
次に
図12に示すように、シリンダ9のロッド9cを突出させる。すると、ロッド9cの突出する方向と第1長孔41の長手方向とは互いに傾斜しているので、第1位置41aにあった連結ピン8は、ロッド9cの突出する方向に対する分力によって第1長孔41内を移動し、第2位置41bに移動する(
図20(B))。より詳細に説明すると、シリンダ9のボトム側に圧力をかけることによって、ロッド9cを伸長させる。このとき、連結ピン8は上記した仮想直線L1より上方に位置しているので、ロッド9cを伸長させる力が上方にも分かれて、第1長孔41内の連結ピン8を第1位置41aから第2位置41bに向けて押し上げる。ロッド9cはポンプ側から送られる流体によって、一定の速度で動作する。
【0039】
第3リンク6は、連結ピン8が第1位置41aから第2位置41bに向けて押し上がり、第3位置63aから第4位置63bに移動することにより、第1リンク4に対して相対的に回動する。この結果、固定部材17(
図8に示す)が回動するが、この時点では他に対して特に影響は及ぼさない(
図12)。
【0040】
次に
図13に示すように、シリンダ9のロッド9cをさらに突出させ続ける。第2位置41bにあった連結ピン8は、伸長するロッド9cの分力によって第1位置41aから第2位置41bに向かって移動しようとするが、既に第2位置41bにあるため、この第2位置41bを維持する(
図20(C))。そして、シリンダ9のロッド9cの伸長によって、第1リンク4を回動させる。この結果、側部作業体3は展開側に向かって持ち上がるようにして回動する。
【0041】
第3リンク6は、連結ピン8が第2長孔63内の第4位置63bを維持したままであるので、第1リンク4とともに第1リンク回動支点42のまわりに回動するものの、第1リンク4に対しては相対的な位置を維持する(
図13)。
【0042】
次に
図14に示すように、さらにシリンダ9のロッド9cを突出させ続けると側部作業体3の回動は引き続き継続し、やがて、側部作業体3の重心Gが折り畳支点部10の直上を通過する手前に差し掛かる。ここまでは、側部作業体3の重心Gが中央作業体2の上部に位置しており、ポンプ側からシリンダ9のボトム側に送り込まれる流体によってロッド9cが伸長するため、側部作業体3が持ち上がっていた。シリンダ9のボトム側の回路(バルブ~ボトム側)の圧力は、側部作業体3の重心Gが折畳支点部10の直上を通過までの間に徐々に低下していく。また、シリンダ9のロッド9c側から排出される回路側の圧力は高くなっていない状態である。
【0043】
さらに
図15に示すように、シリンダ9のロッド9cを突出させると、側部作業体3の回動によって側部作業体3の重心Gが折畳支点部10の直上を通過する。すると側部作業体3の重心Gが中央作業体2より側方に移動したことによって、側部作業体3が展開する向きに自重で落下しようとする。このとき、一定速度で伸長するロッド9cより速く、側部作業体3が自重方向に回動落下しようとするので、第1リンク4を押し上げていたロッド9cの押圧も緩和され、シリンダ支点9bと第2リンク回動支点51を結ぶ仮想直線L1より上方であって、第1位置41aより上方の第2位置41bに位置する連結ピン8は、自重で落下しようとする側部作業体3に引かれて、上記仮想直線L1に近づこうと第1位置41aに移動する。つまり、連結ピン8は、展開側に移動しているときにおいて、側部作業体3の自重落下動作を受けて、第1長孔41の第2位置41bから第1位置41aに移動する(
図20(E))。また、連結ピン8の移動を受けて第2長孔63内の第4位置63bから第3位置63aに移動し、固定部材17(
図8に示す)を回動させる。
【0044】
第1長孔41の長手方向の距離は、連結ピン8の直径の2倍以下(望ましくは本実施例のように1.6倍)に設定する。これにより、第2位置41bから第1位置41aに移動する際に生じる側部作業体3の自重により回動しようとする距離又は角度たる、空走距離又は空走角度を小とすることができる。換言すれば、側部作業体3の回動の円滑化はもちろん、側部作業体3の空走距離を可能な限り小さくし、かつ、第3リンク6の回動角度を効果的かつ最小限にすることができる。よって、側部作業体3が自然回動に勢いがついた状態で第1リンク4及び第2リンク5による再度支持を開始することを防げるので、農作業機全体が揺れ動くことがない(
図15)。
【0045】
この点をさらに詳しく説明する。空走距離又は角度は、シリンダ9の出没によらず側部作業体3が自由に回動できる区間であり、空走中は自重による回動が可能な区間である。空走を開始した場合は、加速度的に回動速度が高まる。仮に第1長孔41の長手方向の距離を連結ピン8の直径の2倍以上の長さにすると、加速度的に回動速度が高まった状態の側部作業体3を、連結ピン8が第1長孔41の長孔端部に到達することにより、空走を停止させることとなるので、衝撃が大きくなる傾向にある。よって上記長さを直径の2倍以下にすることにより、空走による回動速度が高まる前に停止させることができるので、衝撃の発生を限りなく小さくすることができる。また、第1長孔41の長さを小さくすると第3リンク6に設ける第2長孔63の長さも小さくすることができるので、第3リンク6が必要最小限の回動により回動部材を回動させることができる。したがって、第3リンク6の巨大化を防止し、リンク機構7全体の巨大化を防ぐことができる。換言すれば、コンパクトなリンク機構7とすることが可能となり、外観的な意匠性も向上する。
【0046】
またシリンダ9は一定の速度で動作するので、急速に自重方向に回動落下しようとする側部作業体3の手綱を引くように動作する。このとき、第2リンク5を介して側部作業体3の回動速度が抑えられている状態であるので、ポンプ側から送り込まれるシリンダ9のボトム側からの流体によってロッド9cが伸長するものの、ロッド9cを引こうとする力によって、シリンダ9のロッド9c側の回路(ロッド9c側~バルブ)の圧力は上昇を開始する。つまり背圧が上昇するのである。側部作業体3の重心Gが折畳支点部10の直上を通過して、自重による回動荷重を受けたシリンダ9は、背圧が高い状態のままとなる。シリンダ9のボトム側の回路の圧力は展開動作の開始時に対して低下するが、ポンプからの流体の圧送が続くのでロッド9cは一定の速度で伸長動作を続ける(
図15)。
【0047】
また重心Gの移動でシリンダ9に加わる荷重が変化することにより、シリンダ9に背圧がかかる。この圧力の切り替わりを条件にして、連結ピン8は第1長孔41内の位置を第2位置41bから第1位置41aに変更する。さらに、この連結ピン8の移動によって、他の部材である第3リンク6を動作させる(
図15)。
【0048】
次に
図16に示すように、側部作業体3自体の展開動作は、側部作業体3が有する受部14に中央作業体2の係合部13が係合するまでおこなわれる。係合までの間、連結ピン8の位置は第1長孔41内においては第1位置41aのまま、第2長孔63内においては第3位置63aのままであり、この状態で側部作業体3は展開方向に回動する。
【0049】
受部14に係合部13が係合した瞬間、
図17に示すように、側部作業体3は自重方向への回動が停止するので、シリンダ9はロッド9c側に引かれるような負荷が解除される。つまり、シリンダ9に係る背圧の上昇は解除される。
【0050】
受部14に係合部13が係合した状態で、さらにロッド9cを突出させると、
図18に示すように、シリンダ9はボトム側に圧力が加わるので、ロッド9cがさらに突出しようとする。このとき、第1長孔41の長手方向は、シリンダ9の進退方向とほぼ同じか、進退方向よりやや傾斜した向きに配置されているので、第1長孔41内に位置する連結ピン8は第1位置41aから第2位置41bに移動する(
図20(H))。また、第1長孔41内を移動する連結ピン8は、第3リンク6の第2長孔63内の第3位置63aから第4位置63bに移動することとなる(
図20(H))。したがって第3リンク6は回動し、連結ロッド11を押し下げる。これにより連結ロッド11の他端に連結された固定部材17も連動して回動する。固定部材17の回動によって、フック部17aが係合部13に引っ掛かり、側部作業体3の格納側への回動を阻止するように中央作業体2に固定され、側部作業体3の展開側への回動動作が終了する。これにより、各作業体は
図1に示す展開状態となり、この状態で農作業を行うことになる。
【0051】
なお、係合部13が受部14に係合した瞬間、背圧の上昇が解除されたことを条件にして、第1長孔41内に位置する連結ピン8は再度移動を開始する。連結ピン8の第1長孔41内での位置移動によって、第3リンク6の移動が開始される。
【0052】
(展開→格納)
次に上記実施の形態による農作業機1が展開状態から格納状態にする動作を説明する。
図18に示すように、展開状態のとき、シリンダ9は伸長状態であり、連結ピン8は、第1長孔41において第2位置41b、第2長孔63において第4位置63bにそれぞれ位置している(
図20(H))。連結ピン8は中央作業体2側のシリンダ支点9bと第2リンク回動支点51を結ぶ仮想直線L1より上方に位置している。また、固定部材17は係合ピン13bにフック孔17aをかけた固定状態である。シリンダ9は伸長状態を維持しており、連結ピン8は第2位置41b及び第4位置63bを維持している。
【0053】
次に
図17に示すように、シリンダ9のロッド9cを没方向に移動させると、第2位置41bにあった連結ピン8は第1長孔41内を移動し第1位置41aに移動する(
図20(G))。シリンダ9にはポンプ側からロッド9c側に流体を送ることによって、ロッド9cが一定の速度で没方向に移動する。
【0054】
第3リンク6に対する連結ピン8の位置は、連結ピン8が第2位置41bから第1位置41aに向けて移動することに連動して、第4位置63bから第3位置63aに移動する(
図20(G))。そして第3リンク6が第1リンク4に対して相対的に回動し、固定部材17のフックが係合ピン13bから外れる方向に回動する。つまり、側部作業体3の中央作業体2に対する固定が解除される。
【0055】
さらに
図16に示すように、シリンダ9のロッド9cを没入方向に移動させると、側部作業体3は格納側に回動を開始する。連結ピン8の位置は、第1リンク4においては第1位置41a、第2リンク5においては第3位置63aを維持したまま、側部作業体3が格納側に回動する(
図20(F))。
【0056】
側部作業体3は格納側に回動を継続すると、
図15に示すように、やがて、側部作業体3の重心Gが折畳支点部10の直上を通過する手前に差し掛かる。ここまでは、側部作業体3の重心Gが折畳支点部10より側方位置しており、ポンプ側からシリンダ9のロッド9c側から送り込まれる流体によってロッド9cが没入し、展開位置から側部作業体3が持ち上がっている。シリンダ9のロッド9c側の回路(バルブ~ロッド9c側)の圧力は、側部作業体3の重心Gが折畳支点部10の直上に位置するまでの間に徐々に低下していく。また、シリンダ9のボトム側から排出される回路側の圧力は高くなっていない状態である。
【0057】
さらにシリンダ9のロッド9cを没入させると、
図14に示すように、側部作業体3の重心Gが折畳支点部10の直上を通過する。側部作業体3の重心Gが中央作業体2の側方から中央作業体2の上方に移動したことによって、側部作業体3が格納する向きに自重で落下しようとする。このとき、連結ピン8は、シリンダ支点9bと第2リンク支点回動より上方に位置している。側部作業体3が一定速度で没入するロッド9cより速く自重方向に回動落下しようとするので、連結ピン8は第2リンク5を介し、第1長孔41内の上方側である第2位置41bに押し上げられようとする。つまり、連結ピン8は、格納方向に移動している場合において、側部作業体3の自重落下動作を受けて、第1長孔41の第1位置41aから第2位置41bに移動する(
図20(D))。また、連結ピン8の移動を受けて第2長孔63内の第3位置63aから第4位置63bに移動する(
図20(D))。連結ピン8の移動により第3リンク6が回動して固定部材17を回動させるが、この時点で固定部材17は他の部材に対して作用を及ぼさない。
【0058】
シリンダ9は一定の速度で没入動作をしているので、急速に自重方向に回動落下しようとする側部作業体3を支えるように作用する。このとき、第2リンク5を介して側部作業体3が支えられている状態であるので、ポンプ側からシリンダ9のロッド9c側に送り込まれる流体によりロッド9cが没入するものの、ロッド9cをさらに没入させようとする力が発生する。つまり、シリンダ9のボトム側の回路(ボトム側~バルブ)の圧力は上昇を開始し、背圧が上昇し始める。格納動作中の側部作業体3の重心Gが折畳支点部10の直上を通過して、自重による回動荷重を受けたシリンダ9は、背圧が高い状態に切り替わる。シリンダ9のロッド9c側の回路の圧力は、格納開始時に対しては低下するが、ポンプからの流体の圧送が続くのでロッド9cは一定の速度で伸長動作を続ける。
【0059】
第1長孔41の長手方向は小に形成されているので、第1位置41aから第2位置41bに移動する際に生じる側部作業体3が自重で回動しようとする距離又は角度である、空走距離又は空走角度を小さくすることができる。したがって、側部作業体3の自然落下による回動により勢いがついた状態で第1リンク4及び第2リンク5による再度の支持を開始することを防ぐことができるので、農作業機全体が揺れ動くことがない。
【0060】
重心Gの移動でシリンダ9に加わる荷重が変化することにより、シリンダ9に背圧がかかる。このシリンダ9内の圧力の切り替わりを条件にして、連結ピン8は第1長孔41内の位置を第1位置41aから第2位置41bに変更する(
図20(D))。さらに、この連結ピン8の移動によって、他の部材である第3リンク6を動作させる。
【0061】
次に
図13に示すように、シリンダ9のロッド9cをさらに没入させ続ける。第2位置41bにあった連結ピン8は第2位置41bを維持したままロッド9cが没入されるとともに、第1リンク4を回動させる(
図20(C))。そして、連結ピン8に連結した第2リンク5を介して、シリンダ9のロッド9cに支えられながら側部作業体3が格納方向に回動する。第3リンク6は、連結ピン8が第2長孔63内の第4位置63bを維持したままであるので、第1リンク4とともに第1リンク回動支点42のまわりに回動するものの、第1リンク4に対しては相対的な位置関係を維持する。
【0062】
さらにシリンダ9のロッド9cを没入させると、
図12に示すように、側部作業体3は格納位置に到達する。図示はしないが、格納位置に到達した側部作業体3は、中央作業体2の中央付近に備えた支持部(図示省略)によって、側部作業体3の折畳支点部10とは異なる側部作業体3の側部3aを支持するため、格納位置を維持する。側部作業体3が格納位置に到達した瞬間、連結ピン8は第2位置41b及び第4位置63bを維持している(
図20(B))。このとき、側部作業体3の自重による回動運動は停止するので、シリンダ9にかかっていた背圧は解消され、シリンダ9内での圧力変化が生じることとなる。
【0063】
さらに
図11に示すように、シリンダ9のロッド9cを没入させる。このとき、第2位置41b及び第4位置63bに位置する連結ピン8は、シリンダ支点9bと第2リンク回動支点51を結ぶ仮想直線L1より上方に位置しているが、シリンダ9が側部作業体3を支える必要が無くなるので、ロッド9cのさらなる没入側への移動により連結ピン8を仮想直線L1に近づけよと作用する。つまり、ロッド9cの没入がシリンダ9および第2リンク5を仮想直線L1と平行にしようと作用するので、連結ピン8を第1長孔41に対しては第2位置41bから第1位置41aに、第2長孔63に対しては第4位置63bから第3位置63aに向けて移動させる(
図20(A))。
【0064】
この結果、圧力変化を受けて動作したシリンダ9によって連結ピン8が第2位置41bから第1位置41aに向けて移動したことに連動して第4位置63bから第3位置63aに移動することにより(
図20(A))、第3リンク6は第1リンク4に対して相対的に回動する。本実施例では、第3リンク6の回動によって固定部材17が回動するが、該固定部材17が他の部材に係合することはない。
【0065】
連結ピン8は、第1リンク4及び第2リンク5及びシリンダ9のロッド9cを単品で連結するピンでもあるので、本実施の形態によれば、構成部材を簡素化することができる。また連結ピン8は、第1長孔41を移動することによって第3リンク6を回動させる操作部材ともなるので、第3リンク6を動作させるために他の部材を追加することもない。
【0066】
本願発明は上記実施の形態に限定されない。例えば、第1長孔41の長さは農作業の形態や仕様により適宜に変更することができる。
【0067】
また連結の固定/固定解除機構である係合部13と受部14、あるいは係合ピン13bと固定部材17に関しては、どちらか一方が中央作業体2に、他方が側部作業体3に設けられればよい。係合部13と受部14との形状は任意である。
【0068】
またシリンダ9の突没による偏荷重の発生を他の方法で防止をすることができれば、シリンダ9に対する第1リンク4及び第2リンク5の一対設置をしなくてもよい。この場合は構成部材のさらなる簡略化となる。またシリンダ9の代えて、回転可能なギヤを設けたモータと、ギヤと咬合するラック(直線状ギヤ)を一部に設けたロッドとによりロッドの進退機構としてもよい。また、第1リンク4をモータで直接又は間接的に回動させてもよい。さらにシリンダの種類は問わない。
【0069】
第1リンクに関し、本体部は第1リンク回動支点及び第3リンク回動支点を形成できれば、その長さや形状は不問である。
【0070】
連結ロッド11は中央作業体2のパイプフレーム21とカバー体28の間に通すように設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本願発明は水田での代掻作業や耕耘作業等に活用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 農作業機
2 中央作業体
2b 連結側端部
21 パイプフレーム
21a 折畳端部
22 変速部
23 トップマスト
24 トップピン
25 入力軸
26 第2パイプフレーム
27 ロワピン
28 カバー体
3 側部作業体
3a 外端部
3b 連結側端部
31 パイプフレーム
31a 折畳端部
32 カバー体
4 第1リンク
4a 本体部
4b 傾斜部
4c 回動孔
4d 回動孔
41 第1長孔
41a 第1位置
41b 第2位置
42 回動支点
5 第2リンク
5a 回動孔
5b 回動孔
51 回動支点
6 第3リンク
61 連結部
62 リンク部
62a 回動孔
63 第2長孔
63a 第3位置
63b 第4位置
64 回動支点
65 連結孔
7 リンク機構
8 連結ピン
9 シリンダ
9a 支点部
9b シリンダ支点
9c シリンダロッド
9d 方向制御弁
10 折畳支点部
10a ピン
11 連結ロッド
11a 先端部
13 係合部
13a 頂上部
13b 係合ピン
14 受部
14a 係合孔
16 支持部材
17 固定部材
17a フック孔
17b 基端部
18 耕耘部
18a ロータ軸
18b 爪
19 整地体
19a 第1整地体
19b 第2整地体
20a チェーンケース
20b チェーンケース
G 重心
L1 仮想線
L2 仮想線
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】