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特開2024-134326作業機械用空気調和システムおよびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134326
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】作業機械用空気調和システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20240926BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
E02F9/16 C
B60H1/00 101U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044565
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
【テーマコード(参考)】
2D015
3L211
【Fターム(参考)】
2D015EC01
3L211BA01
3L211BA05
3L211DA03
3L211EA14
3L211EA18
3L211EA20
3L211GA03
(57)【要約】
【課題】運転室内の環境を改善可能な作業機械用空気調和システムおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】環境センサ31は、運転室14の室内環境条件と室外環境条件とを検出する。環境改善装置は、運転室の室外から室内への外気の取込量を調整する。コントローラは、環境センサにより検出された室内環境条件と室外環境条件との差異に基づいて環境改善装置の動作を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室と、
前記運転室の少なくとも室内環境条件を検出する環境センサと、
前記運転室の室外から室内への外気の取込量を調整する環境改善装置と、
前記環境センサにより検出された前記室内環境条件に基づいて前記環境改善装置の動作を制御するコントローラと、を備えた、作業機械用空気調和システム。
【請求項2】
前記環境センサは、前記運転室の室外環境条件を検出し、
前記コントローラは、前記環境センサにより検出された前記室内環境条件と前記室外環境条件との差異に基づいて前記環境改善装置の動作を制御する、請求項1に記載の作業機械用空気調和システム。
【請求項3】
前記環境センサは、前記室内環境条件を検出する室内環境センサと、前記室外環境条件を検出する室外環境センサと、を含み、
前記室内環境センサは前記室内の気圧を検出する第1圧力センサであり、前記室外環境センサは前記室外の気圧を検出する第2圧力センサである、請求項2に記載の作業機械用空気調和システム。
【請求項4】
前記環境センサは、前記室内環境条件を検出する室内環境センサを含み、
前記室内環境センサは前記室内の二酸化炭素濃度を検出する、請求項1に記載の作業機械用空気調和システム。
【請求項5】
前記環境センサは、前記室内環境条件を検出する室内環境センサを含み、
前記室内環境センサは前記室内のダスト濃度を検出する、請求項1に記載の作業機械用空気調和システム。
【請求項6】
前記環境改善装置は前記室外から前記室内へ空気を取り込む外気ファンを有し、
前記コントローラは、少なくとも前記室内環境条件に基づいて前記外気ファンの回転数を制御する、請求項1に記載の作業機械用空気調和システム。
【請求項7】
前記環境改善装置は前記室内の内気を循環させる内気ファンを有し、
前記コントローラは、少なくとも前記室内環境条件に基づいて前記内気ファンの回転数を制御する、請求項1に記載の作業機械用空気調和システム。
【請求項8】
前記環境改善装置は、内気用開口に対向する位置と外気用開口に対向する位置との間で移動するファンである、請求項1に記載の作業機械用空気調和システム。
【請求項9】
運転室と前記運転室の室外から室内への外気の取込量を調整する環境改善装置とを有する作業機械用空気調和システムの制御方法であって、
前記運転室の少なくとも室内環境条件を検出するステップと、
前記室内環境条件に基づいて前記環境改善装置の動作を制御するステップと、を備えた、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械用空気調和システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械において運転室内の気圧を調整する技術が、特開2012-144928号公報(特許文献1)、特開2008-44564号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
特許文献1では、運転室内と連通した吸気ボックス内の圧力上昇により減圧弁が自動的に開くことにより吸気ボックス内の空気が外部へ放出される。
【0004】
特許文献2では、吸気切換ダンパがエアコンユニットの操作スイッチで開度調整されることにより、内気と外気の吸込量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-144928号公報
【特許文献2】特開2008-44564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外気から導入される風量の大きさが変わると運転室内の圧力も変わる。外気から導入される風量が小さいと、運転室内の圧力が低く、シリカなどのオペレータにとって好ましくない物質が運転室内に侵入する。また外気から導入される風量が大きいと、運転室内の圧力が高くなりすぎて、オペレータの耳が痛くなる。
【0007】
本開示の目的は、運転室内の環境を改善可能な作業機械用空気調和システムおよびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の作業機械用空気調和システムは、運転室と、環境センサと、環境改善装置と、コントローラとを備える。環境センサは、運転室の少なくとも室内環境条件を検出する。環境改善装置は、運転室の室外から室内への外気の取込量を調整する。コントローラは、環境センサにより検出された室内環境条件に基づいて環境改善装置の動作を制御する。
【0009】
本開示の作業機械用空気調和システムの制御方法は、運転室と運転室の室外から室内への外気の取込量を調整する環境改善装置とを有し、以下のステップを備える。
【0010】
運転室の少なくとも室内環境条件が検出される。室内環境条件に基づいて環境改善装置の動作が制御される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、運転室内の環境を改善可能な作業機械用空気調和システムおよびその制御方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態における作業機械の一例として油圧ショベルの構成を示す斜視図である。
図2図1に示す油圧ショベルに採用される空気調和システムの構成を示す図である。
図3図2に示す空気調和システムにおける冷房時の様子を示す図である。
図4図2に示す空気調和システムにおける暖房時の様子を示す図である。
図5】本開示の一実施形態における空気調和システムに含まれるコントローラの機能ブロック図である。
図6】本開示の一実施形態における空気調和システムの制御方法の第1例を示すフロー図である。
図7】本開示の一実施形態における空気調和システムの制御方法の第2例を示す第1フロー図である。
図8】本開示の一実施形態における空気調和システムの制御方法の第2例を示す第2フロー図である。
図9】本開示の一実施形態における空気調和システムの制御方法の第2例を示す第3フロー図である。
図10】本開示の一実施形態における空気調和システムの制御方法の第2例を示す第4フロー図である。
図11】環境改善装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0014】
明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態と変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0015】
以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」とは、図1に示す運転室14内の運転席14Sに着座したオペレータを基準とした方向である。また作業機械の一例として以下においては油圧ショベルについて説明するが、本開示が適用される作業機械は、ホイールローダ、モータグレーダなどの他の作業機械であってもよく、車体フレームに開閉可能に支持されたドアパネルを有する作業機械であればよい。
【0016】
<作業機械の構成>
【0017】
図1は、本開示の一実施形態における作業機械の一例として油圧ショベルの構成を示す斜視図である。図1に示されるように、本実施形態の油圧ショベル10は、本体11と、油圧により作動する作業機12とを有している。本体11は、旋回体13と、走行体15とを有している。
【0018】
走行体15は、一対の履帯15Crと、走行モータ15Mとを有している。油圧ショベル10は、履帯15Crの回転により走行可能である。走行モータ15Mは、走行体15の駆動源として設けられている。
【0019】
旋回体13は、走行体15の上に配置され、かつ走行体15により支持されている。旋回体13は、旋回モータ(図示せず)により旋回軸RXを中心として走行体15に対して旋回可能である。旋回軸RXは、旋回体13の旋回中心となる仮想の直線である。
【0020】
旋回体13は、運転室14(キャブ)を有している。運転室14内には、オペレータが着座する運転席14Sが設けられている。運転者(乗員)は、運転室14に搭乗して、作業機12の操作、走行体15に対する旋回体13の旋回操作、および走行体15による油圧ショベル10の走行操作が可能である。
【0021】
作業機12は、旋回体13に支持されている。作業機12は、ブーム16と、アーム17と、バケット18とを有している。作業機12は、ブームシリンダ19aと、アームシリンダ19bと、バケットシリンダ19cとをさらに有している。
【0022】
ブーム16は、本体11に回動可能に接続されている。具体的にはブーム16の基端部は、ブームフートピンBFを支点として旋回体13に回動可能に接続されている。アーム17は、ブーム16に回動可能に接続されている。具体的にはアーム17の基端部は、ブームトップピンBTを支点としてブーム16の先端部に回動可能に接続されている。バケット18は、アーム17に回転可能に接続されている。具体的にはバケット18の基端部は、アームトップピンATを支点としてアーム17の先端部に回動可能に接続されている。
【0023】
<空気調和システム>
【0024】
次に、本実施形態における空気調和システムについて図2図4を用いて説明する。
【0025】
図2は、図1に示す油圧ショベルに採用される空気調和システムの構成を示す図である。図3および図4の各々は、図2に示す空気調和システムにおける冷房時および暖房時の様子を示す図である。
【0026】
図2に示されるように、空気調和システムは、空気調和装置20と、ダクト27と、環境センサ31と、コントローラ50とを有している。空気調和装置20は、たとえば運転室14の室内に配置されている。空気調和装置20は、運転席14Sのたとえば後方に配置されている。
【0027】
空気調和装置20は、内気フィルタ21aと、外気フィルタ21bと、環境改善装置22と、エバポレータ23と、ヒータコア24と、エアミックスダンパ25と、ケース26とを有している。
【0028】
ケース26は、たとえば運転室14の室内に配置されている。ケース26は、運転席14Sのたとえば後方に配置されている。ケース26は運転室14の室内と区切られた内部空間を有している。
【0029】
ケース26は、内気用開口26aと、外気用開口26bと、ダクト接続部26cとを有している。内気用開口26aは、運転室14の室内に開口している。内気用開口26aは、運転室14の室内とケース26の内部空間とを繋いでいる。内気用開口26aは、上方に向かって開口していてもよく、下方または側方(右方、左方)に向かって開口していてもよい。
【0030】
外気用開口26bは、運転室14の室外に開口している。外気用開口26bは、運転室14の室外とケース26の内部空間とを繋いでいる。外気用開口26bは、たとえば運転室14の後壁または側壁(右壁、左壁)に開口している。
【0031】
内気フィルタ21aは、ケース26の内気用開口26aに配置されている。内気フィルタ21aは、内気用開口26aのたとえば全体を覆っている。運転室14の室内の空気は、内気フィルタ21aを通じてケース26の内部空間に取り込まれる。内気フィルタ21aは、運転室14の室内空間からケース26の内部空間に取り込まれる空気のダストなどを取り除く。
【0032】
外気フィルタ21bは、ケース26の外気用開口26bに配置されている。外気フィルタ21bは、外気用開口26bのたとえば全体を覆っている。運転室14の室外の空気は、外気フィルタ21bを通じてケース26の内部空間に取り込まれる。外気フィルタ21bは、運転室14の室外空間からケース26の内部空間に取り込まれる空気のダストなどを取り除く。
【0033】
環境改善装置22は、運転室14の室内への外気の取込量を調整する。環境改善装置22は、内気ファン22aと、外気ファン22bとを有している。内気ファン22aは、ケース26の内部空間に配置されている。内気ファン22aは、内気用開口26aの付近に配置されている。内気ファン22aは、内気用開口26aに対向するように配置されている。内気ファン22aの回転軸における仮想の延長線は内気用開口26aを通り、内気用開口26aの開口面にたとえば直交する。
【0034】
内気ファン22aは、駆動力を生じる駆動源M1(図5)と、その駆動源M1からの駆動力をうけて回転する羽根車W1(図5)とを有している。内気ファン22aは、羽根車W1が回転することにより運転室14の室内からケース26の内部空間に空気を取り込む働きをする。
【0035】
外気ファン22bは、ケース26の内部空間に配置されている。外気ファン22bは、外気用開口26bの付近に配置されている。外気ファン22bは、外気用開口26bに対向するように配置されている。外気ファン22bの回転軸における仮想の延長線は外気用開口26bを通り、外気用開口26bの開口面にたとえば直交する。
【0036】
外気ファン22bは、駆動力を生じる駆動源M2(図5)と、その駆動源M2からの駆動力をうけて回転する羽根車W2(図5)とを有している。外気ファン22bは、羽根車W2が回転することにより運転室14の室外からケース26の内部空間に空気を取り込む働きをする。駆動源M1、M2の各々はたとえば電動モータであるが、これに限定されない。
【0037】
エバポレータ23は、ケース26の内部空間に配置されている。エバポレータ23は、内気用開口26aまたは外気用開口26bからケース26の内部空間へ取り込まれた空気の通風経路において内気ファン22aおよび外気ファン22bの下流に配置されている。エバポレータ23は、内気ファン22aまたは外気ファン22bから送られた空気を冷やす働きをする。
【0038】
ヒータコア24は、ケース26の内部空間に配置されている。ヒータコア24は、ケース26の内部空間における通風経路においてエバポレータ23の下流に配置されている。ヒータコア24は、内気ファン22aまたは外気ファン22bから送られた空気を温める働きをする。
【0039】
エアミックスダンパ25は、ケース26の内部空間に配置されている。エアミックスダンパ25は、ケース26の内部空間における通風経路においてエバポレータ23の下流であってヒータコア24の上流に配置されている。エアミックスダンパ25は、たとえば回動可能に支持されている。
【0040】
エアミックスダンパ25は、回動することによりケース26の内部空間に取り込まれた空気の経路を切り替える働きをする。具体的にはエアミックスダンパ25は、エバポレータ23を通過した空気がヒータコア24を通過しない状態(第1状態:図3)と、ヒータコア24を通過する状態(第2状態:図4)とを切り替える働きをする。
【0041】
図3に示されるように、第1状態は、エアミックスダンパ25がヒータコア24への空気の流れを遮断する状態である。空気調和装置20において冷房をする際には、エアミックスダンパ25は第1状態となる。
【0042】
図4に示されるように、第2状態は、エアミックスダンパ25がヒータコア24へ空気を導く状態である。空気調和装置20において暖房をする際には、エアミックスダンパ25は第2状態となる。
【0043】
図2に示されるように、ダクト27は、ケース26のダクト接続部26cに接続されている。ダクト27は、開口部27aを有している。開口部27aは、運転室14の室内に向けて開口している。ダクト27は、ケース26のダクト接続部26cから排出された空気を開口部27aを通じて運転室14の室内に吹き出す。
【0044】
環境センサ31は、運転室14の少なくとも室内環境条件を検出する。このため環境センサ31は、少なくとも室内環境センサ31aを有している。環境センサ31は、室外環境センサ31bをさらに有していてもよい。
【0045】
室内環境センサ31aは、運転室14の室内に配置されている。室内環境センサ31aは、運転室14の室内環境条件を検出する。室外環境センサ31bは、運転室14の室外に配置されている。室外環境センサ31bは、運転室14の室外環境条件を検出する。室内環境センサ31aおよび室外環境センサ31bの各々は、たとえば圧力センサである。室内環境センサ31aは第1圧力センサに対応し、室外環境センサ31bは第2圧力センサに対応する。
【0046】
なお室内環境センサ31aおよび室外環境センサ31bの各々は、二酸化炭素(CO2)濃度検出センサであってもよい。二酸化炭素濃度検出センサは、運転室14の室内および室外における二酸化炭素濃度を検出する。
【0047】
また室内環境センサ31aおよび室外環境センサ31bの各々は、パーティクルカウンタであってもよい。パーティクルカウンタは、運転室14の室内および室外におけるダスト濃度を検出する。
【0048】
コントローラ50は、環境センサ31により検出された室内環境条件に基づいて環境改善装置22の動作を制御する。またコントローラ50は、環境センサ31により検出された運転室14の室内環境条件と室外環境条件との差異に基づいて環境改善装置22の動作を制御する。またコントローラ50は、環境改善装置22の動作状況に基づいて報知装置60(図5)が警報を発報するように制御する。
【0049】
コントローラ50は、プロセッサと、メインメモリと、ストレージとを含む。プロセッサはたとえばCPU(Central Processing Unit)などである。メインメモリは、たとえばROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。
【0050】
コントローラ50は、油圧ショベル10に搭載されていてもよく、油圧ショベル10の外部に離れて配置されていてもよい。コントローラ50が油圧ショベル10の外部に離れて配置されている場合、コントローラ50は、環境センサ31および環境改善装置22と無線により接続されていてもよい。コントローラ50は、油圧ショベル10から離れたサーバに格納されていてもよい。
【0051】
コントローラ50は、ストレージに記憶されているプログラムを読み出してメインメモリに展開し、プログラムに従って所定の処理を実行する。またプログラムは、ネットワークを介してコントローラ50に配信されてもよい。
【0052】
<コントローラ>
【0053】
次に、図2に示されるコントローラの機能ブロックについて図5を用いて説明する。
【0054】
図5は、本開示の一実施形態における空気調和システムに含まれるコントローラの機能ブロック図である。図5に示されるように、コントローラ50は、環境条件取得部51と、室内環境評価部52と、装置制御部53と、記憶部54とを有している。
【0055】
環境条件取得部51は、環境センサ31から環境条件を示す信号を取得する。環境条件取得部51は、取得した環境条件を示す信号を室内環境評価部52へ出力する。環境条件取得部51は、たとえば室内環境条件取得部51aと、室外環境条件取得部51bとを有している。
【0056】
環境条件を示す信号は、運転室14の室内の気圧、室外の気圧、室内の二酸化炭素濃度、室外の二酸化炭素濃度、室内のダスト濃度および室外のダスト濃度よりなる群から選ばれる1つ以上を示す信号である。
【0057】
室内環境条件取得部51aは、環境センサ31の室内環境センサ31aから室内環境条件を示す信号を取得する。室内環境条件取得部51aは、たとえば運転室14の室内における気圧を示す信号を取得する。室内環境条件取得部51aは、たとえば運転室14の室内における二酸化炭素濃度を示す信号またはダスト濃度を示す信号を取得してもよい。
【0058】
室外環境条件取得部51bは、環境センサ31の室外環境センサ31bから室外環境条件を示す信号を取得する。室外環境条件取得部51bは、たとえば運転室14の室外における気圧を示す信号を取得する。室外環境条件取得部51bは、たとえば運転室14の室外における二酸化炭素濃度を示す信号またはダスト濃度を示す信号を取得してもよい。
【0059】
室内環境評価部52は、取得した環境条件に基づいて運転室14の室内の環境を判定する。室内環境評価部52は、この判定をするに際して記憶部54に記憶された情報を参照する。室内環境評価部52は、判定結果を示す信号を装置制御部53へ出力する。
【0060】
室内環境評価部52は、たとえば室内外環境条件差異算出部52aと、室内環境判定部52bとを有している。室内外環境条件差異算出部52aは、室内環境条件取得部51aから取得した室内環境条件と室外環境条件取得部51bから取得した室外環境条件とに基づいて室内と室外との環境条件の差異を算出する。室内外環境条件差異算出部52aは、算出した室内と室外との環境条件の差異を示す信号を室内環境判定部52bへ出力する。
【0061】
環境条件を示す信号が運転室14の室内の気圧(内圧)と室外の気圧(外圧)である場合、室内外環境条件差異算出部52aは、たとえば室内環境条件取得部51aから取得した内圧と室外環境条件取得部51bから取得した外圧とに基づいて内圧と外圧との差圧を算出する。
【0062】
環境条件を示す信号が運転室14の室内と室外の二酸化炭素濃度である場合、室内外環境条件差異算出部52aは、たとえば室内環境条件取得部51aから取得した室内の二酸化炭素濃度と室外環境条件取得部51bから取得した室外の二酸化炭素濃度とに基づいて室内外の二酸化炭素濃度の差異を算出する。
【0063】
環境条件を示す信号が運転室14の室内と室外のダスト濃度である場合、室内外環境条件差異算出部52aは、たとえば室内環境条件取得部51aから取得した室内のダスト濃度と室外環境条件取得部51bから取得した室外のダスト濃度とに基づいて室内外のダスト濃度の差異を算出する。
【0064】
室内環境判定部52bは、取得した環境条件を示す信号に基づいて、運転室14の室内における環境条件を判定する。たとえば運転室14の室内外における気圧、二酸化炭素濃度、ダスト濃度などに基づいて、運転室14の室内における環境条件を判定する。また室内環境判定部52bは、室内外環境条件差異算出部52aから取得した環境条件の差異を示す信号に基づいて、室内外の環境条件の差異が設定値以下であるか否かを判定する。また室内環境判定部52bは、環境改善装置22の動作状況に基づいて、運転室14の室内における環境条件を判定する。
【0065】
室内環境判定部52bは、この判定をする際に、記憶部54に記憶された設定値を参照する。室内環境判定部52bは、たとえば運転室14の室内と室外との差圧が記憶部54に記憶された設定値以下であるか否かを判定する。また室内環境判定部52bは、たとえば運転室14の室内における二酸化炭素濃度が記憶部54に記憶された基準値以下か否かを判定する。また室内環境判定部52bは、たとえば運転室14の室内におけるダスト濃度が記憶部54に記憶された基準値以下か否かを判定する。また室内環境判定部52bは、内気ファン22aにおける羽根車W1の回転数または外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数が記憶部54に記憶された所定回転数(たとえば最大回転数)か否かを判定する。
【0066】
また室内環境評価部52は、環境改善装置22の駆動状況を示す信号を取得する。室内環境評価部52の室内環境判定部52bは、取得した環境改善装置22の駆動状況と室内環境条件とに基づいて運転室14の室内環境を判定する。室内環境評価部52は、室内環境を評価するに際し、記憶部54に記憶された室内の目標圧力を参照する。
【0067】
室内環境評価部52は、たとえば外気ファン22bから外気ファン22bの駆動状況を示す信号を取得する。室内環境評価部52の室内環境判定部52bは、たとえば外気ファン22bの回転数を上げた場合に室内環境センサ31aにより検出される室内の圧力が所定時間内に目標圧力に達するか否かを判定する。
【0068】
装置制御部53は、取得した判定結果を示す信号に基づいて環境改善装置22または報知装置60を制御する。これにより環境改善装置22または報知装置60の動作は、コントローラ50の装置制御部53により制御される。装置制御部53は、報知装置制御部53aと、環境改善装置制御部53bとを有している。報知装置制御部53aは、室内環境判定部52bの判定結果に基づいて報知装置60に指令信号を出力して報知装置60の動作を制御する。環境改善装置制御部53bは、室内環境判定部52bの判定結果に基づいて環境改善装置22に指令信号を出力して環境改善装置22の動作を制御する。
【0069】
装置制御部53は、たとえば運転室14の内圧と外圧との差圧が設定値以下であるとの判定結果を取得した場合、外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を上げるように駆動源M2を制御する。また装置制御部53は、たとえば運転室14の内圧と外圧との差圧が設定値より大きいとの判定結果を取得した場合、外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を維持するように駆動源M2を制御する。
【0070】
また装置制御部53は、たとえば運転室14の室内における二酸化炭素濃度が基準値より大きいとの判定結果を取得した場合、外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を上げるように駆動源M2を制御する。また装置制御部53は、たとえば運転室14の室内における二酸化炭素濃度が基準値以下であるとの判定結果を取得した場合、外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を維持するように駆動源M2を制御する。
【0071】
また装置制御部53は、たとえば運転室14の室内におけるダスト濃度が基準値より大きいとの判定結果を取得した場合、内気ファン22aにおける羽根車W1の回転数を上げるように駆動源M1を制御する。また装置制御部53は、たとえば運転室14の室内におけるダスト濃度が基準値以下であるとの判定結果を取得した場合、内気ファン22aにおける羽根車W1の回転数を維持するように駆動源M1を制御する。
【0072】
また装置制御部53は、たとえば外気ファン22bの回転数を上げたにもかかわらず運転室14の内圧が所定時間内に目標圧力に達しないとの判定結果を取得した場合、報知装置60が警報などを発報するように制御する。
【0073】
なお記憶部54は、コントローラ50に設けられていてもよく、またコントローラ50の外に設けられていてもよい。また記憶部54には、入力装置(図示せず)から様々な情報が入力されてもよい。入力装置から記憶部54に入力(記憶)される情報は、たとえば室内と室外との環境条件の差異を判定するための設定値、室内の目標圧力などである。
【0074】
入力装置は、タッチパネル、ボタン、スイッチなどのいずれであってもよい。
【0075】
<空気調和システムの制御方法>
【0076】
(第1例)
【0077】
次に、本実施形態における空気調和システムの制御方法の第1例として、運転室14の内圧および外圧に基づいて外気ファンの動作を制御する場合を例に挙げて図5および図6を用いて説明する。
【0078】
図6は、本開示の一実施形態における空気調和システムの制御方法を示すフロー図である。図5および図6に示されるように、本実施形態の空気調和システムの制御方法においては、環境センサ31により運転室14の室内環境条件と室外環境条件とが検出される(ステップS1:図6)。
【0079】
室内環境条件は、たとえば運転室14の室内の気圧(内圧)であり、室内環境センサ31aとしての圧力センサにより検出される。室外環境条件は、たとえば運転室14の室外の気圧(外圧)であり、室外環境センサ31bとしての圧力センサにより検出される。検出された内圧と外圧とは、コントローラ50の環境条件取得部51により取得される。環境条件取得部51は、取得した内圧と外圧とを室内環境評価部52へ出力する。
【0080】
室内環境評価部52の室内外環境条件差異算出部52aは、内圧と外圧との差圧を算出する(ステップS2:図6)。室内外環境条件差異算出部52aは、算出した差圧を示す信号を室内環境判定部52bへ出力する。内圧と外圧との差圧は、内圧から外圧を差し引いた値の絶対値を示す。
【0081】
室内環境判定部52bは、取得した差圧を示す信号に基づいて、その差圧が設定値以下か否かを判定する(ステップS3:図6)。室内環境判定部52bは、この判定をする際に記憶部54に記憶された設定値を参照する。室内環境判定部52bは、判定結果を示す信号を装置制御部53へ出力する。
【0082】
装置制御部53は、室内環境判定部52bから取得した判定結果を示す信号に基づいて環境改善装置22の動作を制御する。具体的には装置制御部53の環境改善装置制御部53bは、室内環境判定部52bから取得した判定結果に基づいて環境改善装置22における外気ファン22bの動作を制御する。
【0083】
環境改善装置制御部53bは、内圧と外圧との差圧が設定値以下であるとの判定結果を取得した場合、外気ファン22bの回転数を上げるように外気ファン22bの駆動源M2を制御する(ステップS4a:図6)。また環境改善装置制御部53bは、内圧と外圧との差圧が設定値より大きいとの判定結果を取得した場合、外気ファン22bの回転数を維持するように外気ファン22bの駆動源M2を制御する(ステップS4b:図6)。
【0084】
本実施形態における空気調和システムの制御方法の第1例は上記のように実施される。
【0085】
(第2例)
【0086】
次に、本実施形態における空気調和システムの制御方法の第2例として、運転室14の室内における気圧、二酸化炭素濃度およびダスト濃度に基づいて環境改善装置22の動作を制御する場合を例に挙げて図5および図7図10を用いて説明する。
【0087】
なお図7図10に示される点PA、PB、PCの各々は、図7図10に示す制御方法におけるフローの繋がりを示す点である。図7および図8に示す点PAは制御方法におけるフロー上の互いに同じ点を表わしている。図8および図9に示す点PBは制御方法におけるフロー上の互いに同じ点を表わしている。図9および図10に示す点PCは制御方法におけるフロー上の互いに同じ点を表わしている。
【0088】
図7図10は、本開示の一実施形態における空気調和システムの制御方法の第2例を示す第1~第4フロー図である。図5および図7に示されるように、初期設定が実施される(ステップS11:図7)。初期設定は、運転室14の内圧の範囲と、運転室14の室内における二酸化炭素濃度の基準値と、運転室14の室内におけるダスト濃度の基準値とを記憶部54に記憶させることにより実施される。記憶部54への各種情報の記憶は作業者が入力装置を用いて各種情報を入力することにより行われる。
【0089】
この後、環境条件が検出される(ステップS12:図7)。環境条件として運転室14の内圧と、運転室14の室内における二酸化炭素濃度と、運転室14の室内におけるダスト濃度とが検出される。これらの環境条件は、室内環境センサ31aにより検出される。
【0090】
この後、内圧が、記憶部54に記憶された内圧の下限値よりも大きいか否かが判定される(ステップS13:図7)。この判定は、室内環境判定部52bにより実施される。内圧が下限値以下であると判定された場合、環境改善装置制御部53bは外気導入量を増やすように環境改善装置22を制御する(ステップS14:図7)。この場合、たとえば環境改善装置制御部53bは外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を上げるように駆動源M2を制御する。
【0091】
この後、内圧が一定時間の間に上昇するか否かが判定される(ステップS15:図7)。この判定は、室内環境センサ31aにより検出された内圧が一定時間の間に上昇したか否かを室内環境判定部52bが判定することにより実施される。
【0092】
内圧が一定時間の間に上昇しないと判定された場合、報知装置制御部53aは、内圧が低下している旨を発報するように報知装置60を制御する(ステップS16:図7)。また内圧が一定時間の間に上昇したと判定された場合、内圧が下限値よりも大きいか否かの判定(ステップS13:図7)が繰り返される。
【0093】
またステップS13において室内環境判定部52bにより内圧が下限値より大きいと判定された場合、内圧が、記憶部54に記憶された内圧の上限値よりも小さいか否かが判定される(ステップS17:図7)。この判定は、室内環境判定部52bにより実施される。
【0094】
内圧が上限値以上であると判定された場合、環境改善装置制御部53bは外気導入量を減らすように環境改善装置22を制御する(ステップS18:図7)。この場合、たとえば環境改善装置制御部53bは外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を下げるように駆動源M2を制御する。
【0095】
またステップS17において室内環境判定部52bにより内圧が上限値より小さいと判定された場合、図8に示すフローに移行する。
【0096】
図5および図8に示されるように、図7のステップS17において内圧が上限値より小さいと判定された場合、運転室14の室内におけるダスト濃度が、記憶部54に記憶された基準値以下か否かが判定される(ステップS21:図8)。この判定は、室内環境センサ31aにより検出されたダスト濃度が基準値以下か否かを室内環境判定部52bが判定することにより実施される。
【0097】
ダスト濃度が基準値より大きいと判定された場合、運転室14の内気の循環量が最大か否かが判定される(ステップS22:図8)。この判定は、内気ファン22aの駆動状況を室内環境判定部52bが判定することにより実施される。具体的にはこの判定は、内気ファン22aの羽根車W1の回転数が最大か否かを室内環境判定部52bが判定することにより実施される。
【0098】
運転室14の内気の循環量が最大ではないと判定された場合、環境改善装置制御部53bは内気循環量を増やすように環境改善装置22を制御する(ステップS23:図8)。この場合、たとえば環境改善装置制御部53bは内気ファン22aにおける羽根車W1の回転数を上げるように駆動源M1を制御する。内気循環量が増やされた後には、ダスト濃度が基準値以下か否かの判定(ステップS21:図8)が繰り返される。
【0099】
またステップS22において運転室14の内気循環量が最大であると判定された場合、内圧が記憶部54に記憶された上限値に達しているか否かが判定される(ステップS24:図8)。この判定は、室内環境センサ31aにより検出された内圧が上限値に達しているか否かを室内環境判定部52bが判定することにより実施される。
【0100】
内圧が上限値に達していないと判定された場合、環境改善装置制御部53bは外気導入量を増やすように環境改善装置22を制御する(ステップS25:図8)。この場合、たとえば環境改善装置制御部53bは外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を上げるように駆動源M2を制御する。外気導入量が増やされた後には、ダスト濃度が基準値以下か否かの判定(ステップS21:図8)が繰り返される。
【0101】
またステップS24において内圧が上限値に達していると判定された場合、ダスト濃度が基準値以下か否かの判定(ステップS21:図8)が繰り返される。
【0102】
またステップS21において運転室14の室内におけるダスト濃度が基準値以下であると判定された場合、図9に示すフローに移行する。
【0103】
図5および図9に示されるように、図8のステップS21において室内のダスト濃度が基準値以下であると判定された場合、運転室14の室内における二酸化炭素濃度が記憶部54に記憶された基準値以下か否かが判定される(ステップS31:図9)。この判定は、室内環境センサ31aにより検出された二酸化炭素濃度が基準値以下か否かを室内環境判定部52bが判定することにより実施される。
【0104】
室内の二酸化炭素濃度が基準値より大きいと判定された場合、内圧が記憶部54に記憶された上限値に達しているか否かが判定される(ステップS32:図9)。この判定は、室内環境センサ31aにより検出された内圧が上限値に達しているか否かを室内環境判定部52bが判定することにより実施される。内圧が上限値に達していると判定された場合、室内の二酸化炭素濃度が基準値以下か否かの判定(ステップS31:図9)が繰り返される。
【0105】
内圧が上限値に達していないと判定された場合、環境改善装置制御部53bは外気導入量を増やすように環境改善装置22を制御する(ステップS33:図9)。この場合、たとえば環境改善装置制御部53bは外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を上げるように駆動源M2を制御する。外気導入量が増やされた後には、室内の二酸化炭素濃度が基準値以下か否かの判定(ステップS31:図9)が繰り返される。
【0106】
またステップS31において室内の二酸化炭素濃度が基準値以下であると判定された場合、図10に示すフローに移行する。
【0107】
図5および図10に示されるように、図9のステップS31において室内の二酸化炭素濃度が基準値以下であると判定された場合、内圧が記憶部54に記憶された下限値に達しているか否かが判定される(ステップS41:図10)。この判定は、室内環境センサ31aにより検出された内圧が下限値に達しているか否かを室内環境判定部52bが判定することにより実施される。
【0108】
内圧が下限値に達していないと判定された場合、環境改善装置制御部53bは外気導入量を減らすように環境改善装置22を制御する(ステップS42:図10)。この場合、たとえば環境改善装置制御部53bは外気ファン22bにおける羽根車W2の回転数を下げるように駆動源M2を制御する。外気導入量が減らされた後には、内圧が下限値に達しているか否かの判定(ステップS41:図10)が繰り返される。
【0109】
内圧が下限値に達していると判定された場合、風量が設定風量よりも大きいか否かが判定される(ステップS43:図10)。この判定は、ケース26内に取り込まれた内気と外気との風量の和がユーザが設定した設定風量よりも大きいか否かを室内環境判定部52bが判定することにより実施される。
【0110】
風量が設定風量以下であると判定された場合、環境改善装置制御部53bは内気循環量を減らすように環境改善装置22を制御する(ステップS44:図10)。この場合、たとえば環境改善装置制御部53bは内気ファン22aにおける羽根車W1の回転数を下げるように駆動源M1を制御する。内気循環量が減らされた後には、風量が設定風量より大きいか否かの判定(ステップS43:図10)が繰り返される。
【0111】
風量が設定風量より大きいと判定された場合、環境改善装置制御部53bは内気循環量を増やすように環境改善装置22を制御する(ステップS45:図10)。この場合、たとえば環境改善装置制御部53bは内気ファン22aにおける羽根車W1の回転数を上げるように駆動源M1を制御する。内気循環量が増やされた後には、風量が設定風量より大きいか否かの判定(ステップS43:図10)が繰り返される。
【0112】
本実施形態における空気調和システムの制御方法の第2例は上記のように実施される。
【0113】
<変形例>
【0114】
上記においては環境改善装置22としての内気ファン22aと外気ファン22bとの回転数を制御することにより運転室14の室内の環境を改善する場合について説明したが、運転室14の室内の環境を改善する環境改善装置22は上記構成に限定されない。
【0115】
そこで次に、環境改善装置22の変形例について図11を用いて説明する。
【0116】
図11は、環境改善装置の変形例を示す図である。図11に示されるように、第2変形例における環境改善装置22は、ファン22dを有している。ファン22dは、ケース26の内部空間に配置されている。ファン22dは、内気用開口26aに対向する位置と外気用開口26bに対向する位置との間でたとえばスイングすることにより移動する。
【0117】
ファン22dが内気用開口26aに対向する位置とは、ファン22dの回転軸における仮想の延長線が内気用開口26aを通る位置であり、内気用開口26aの開口面にたとえば直交する位置である。
【0118】
ファン22dが外気用開口26bに対向する位置とは、ファン22dの回転軸における仮想の延長線が外気用開口26bを通る位置であり、外気用開口26bの開口面にたとえば直交する位置である。
【0119】
ファン22dがスイング移動することにより、たとえば風量が小さいときには内気の取込量を多くし、外気の取込量を少なくすることができる。またたとえば風量が大きいときには内気の取込量を少なくし、外気の取込量を多くすることができる。
【0120】
また上記変形例以外に、環境改善装置22がファンと、シャッター(開閉装置に対応)とを有していてもよい。ファンは図2に示されるように内気ファン22aと外気ファン22bとを有していてもよく、1つのファンからなっていてもよい。
【0121】
シャッターは、複数のスラットよりなるブラインド状に構成されており開閉可能に構成されていてもよい。シャッターは、内気用開口26aおよび外気用開口26bの一方または双方の下流に配置されている。このシャッターを開閉することにより内気の取込量と外気の取込量とを調整することができる。
【0122】
<効果>
【0123】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0124】
本実施形態においては図5に示されるように、環境センサ31により検出された室内環境条件に基づいて環境改善装置22の動作が制御される。これにより室内環境に応じて自動で運転室14の室内環境が改善される。
【0125】
また本実施形態においては図5に示されるように、環境センサ31により検出された室内環境条件と室外環境条件との差異に基づいて環境改善装置22の動作が制御される。これにより運転室14の室外の環境との対比で室内の環境が安定的に保たれる。たとえば空気調和装置20の風量が少なくても、運転室内を高い内圧に保つことができる。
【0126】
また本実施形態においては図5に示されるように、室内環境センサ31aは室内の圧力を検出する圧力センサであり、室外環境センサ31bは室外の圧力を検出する圧力センサである。これによりシリカなどのオペレータにとって好ましくない物質が運転室14の室内に侵入することが抑制される。また運転室14の内圧が高くなりすぎることによるオペレータの耳痛も抑制される。
【0127】
また本実施形態においては図5に示されるように、室内環境センサ31aは室内の二酸化炭素濃度を検出する。運転室14の室内における二酸化炭素濃度が高くなるとオペレータが眠気を催して感度が低下するが、本実施形態においてはそのような感度の低下が抑制される。
【0128】
また本実施形態においては図5に示されるように、室内環境センサ31aは室内のダスト濃度を検出する。これによりシリカなどのオペレータにとって好ましくない物質が運転室14の室内に侵入することが抑制される。
【0129】
また本実施形態においては図5に示されるように、コントローラ50は、少なくとも室内環境条件に基づいて外気ファン22bの回転数を制御する。これにより運転室14の室内への外気の取込量が調整されるため、運転室14の室内環境が自動で改善される。
【0130】
また本実施形態においては図5に示されるように、コントローラ50は、少なくとも室内環境条件に基づいて内気ファン22aの回転数を制御する。これにより運転室14の室内への内気の取込量が調整されるため、運転室14の室内環境が自動で改善される。
【0131】
また本実施形態においては図11に示されるように、環境改善装置22は、内気用開口26aに対向する位置と外気用開口26bに対向する位置との間で移動するファン22dである。ファン22dの移動により運転室14の室内への外気の取込量が調整されるため、運転室14の室内環境が自動で改善される。
【0132】
<付記>
【0133】
上述したような実施形態は、以下のような技術思想を含む。
【0134】
(付記1)
運転室と、
前記運転室の少なくとも室内環境条件を検出する環境センサと、
前記運転室の室外から室内への外気の取込量を調整する環境改善装置と、
前記環境センサにより検出された前記室内環境条件に基づいて前記環境改善装置の動作を制御するコントローラと、を備えた、作業機械用空気調和システム。
【0135】
(付記2)
前記環境センサは、前記運転室の室外環境条件を検出し、
前記コントローラは、前記環境センサにより検出された前記室内環境条件と前記室外環境条件との差異に基づいて前記環境改善装置の動作を制御する、付記1に記載の作業機械用空気調和システム。
【0136】
(付記3)
前記環境センサは、前記室内環境条件を検出する室内環境センサと、前記室外環境条件を検出する室外環境センサと、を含み、
前記室内環境センサは前記室内の圧力を検出する第1圧力センサであり、前記室外環境センサは室外の圧力を検出する第2圧力センサである、付記2に記載の作業機械用空気調和システム。
【0137】
(付記4)
前記環境センサは、前記室内環境条件を検出する室内環境センサを含み、
前記室内環境センサは前記室内の二酸化炭素濃度を検出する、付記1から付記3のいずれか1つに記載の作業機械用空気調和システム。
【0138】
(付記5)
前記環境センサは、前記室内環境条件を検出する室内環境センサを含み、
前記室内環境センサは前記室内のダスト濃度を検出する、付記1から付記4のいずれか1つに記載の作業機械用空気調和システム。
【0139】
(付記6)
前記環境改善装置は前記室外から前記室内へ空気を取り込む外気ファンを有し、
前記コントローラは、少なくとも前記室内環境条件に基づいて前記外気ファンの回転数を制御する、付記1から付記5のいずれか1つに記載の作業機械用空気調和システム。
【0140】
(付記7)
前記環境改善装置は前記室内の内気を循環させる内気ファンを有し、
前記コントローラは、少なくとも前記室内環境条件に基づいて前記内気ファンの回転数を制御する、付記1から付記6のいずれか1つに記載の作業機械用空気調和システム。
【0141】
(付記8)
前記環境改善装置は、内気用開口に対向する位置と外気用開口に対向する位置との間で移動するファンである、付記1から付記7のいずれか1つに記載の作業機械用空気調和システム。
【0142】
(付記9)
運転室と前記運転室の室外から室内への外気の取込量を調整する環境改善装置とを有する作業機械用空気調和システムの制御方法であって、
前記運転室の少なくとも室内環境条件を検出するステップと、
前記室内環境条件に基づいて前記環境改善装置の動作を制御するステップと、を備えた、制御方法。
【0143】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0144】
10 油圧ショベル、11 本体、12 作業機、13 旋回体、14 運転室、14S 運転席、15 走行体、15Cr 履帯、15M 走行モータ、16 ブーム、17 アーム、18 バケット、19a ブームシリンダ、19b アームシリンダ、19c バケットシリンダ、20 空気調和装置、21a 内気フィルタ、21b 外気フィルタ、22 環境改善装置、22a 内気ファン、22b 外気ファン、22c,22d ファン、23 エバポレータ、24 ヒータコア、25 エアミックスダンパ、26 ケース、26a 内気用開口、26b 外気用開口、26c ダクト接続部、27 ダクト、27a 開口部、28 開閉装置、31 環境センサ、31a 室内環境センサ、31b 室外環境センサ、50 コントローラ、51 環境条件取得部、51a 室内環境条件取得部、51b 室外環境条件取得部、52 室内環境評価部、52a 室内外環境条件差異算出部、52b 室内環境判定部、53 装置制御部、53a 報知装置制御部、53b 環境改善装置制御部、54 記憶部、60 報知装置、AT アームトップピン、BF ブームフートピン、BT ブームトップピン、M1,M2 駆動源、W1,W2 羽根車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11