(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134331
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】農業ハウス内張りカーテン
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20240926BHJP
D03D 15/283 20210101ALI20240926BHJP
D03D 15/46 20210101ALI20240926BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A01G9/24 H
D03D15/283
D03D15/46
D03D1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044573
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000185178
【氏名又は名称】小泉製麻株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(74)【代理人】
【識別番号】100187399
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 敏文
(72)【発明者】
【氏名】山澤 富雄
(72)【発明者】
【氏名】二藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】大西 郁
【テーマコード(参考)】
2B029
4L048
【Fターム(参考)】
2B029RA07
4L048AA15
4L048AA34
4L048AB10
4L048AB11
4L048AB28
4L048BA01
4L048BA02
4L048CA00
4L048CA12
4L048CA15
4L048DA28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】農業ハウスのスライド式内張りカーテンについて、簡易な構成で折り畳み容易で、折り畳んだ際の平面視面積が小さなカーテンを提供すること
【解決手段】合成樹脂製の経糸及び緯糸を製織した農業ハウス用スライド式内張りカーテンにおいて、前記経糸は、一定幅を有するテープと一定の剛性を有するポリオレフィン系樹脂製の1本又は複数本の第1のモノフィラメントと前記第1のモノフィラメントより高い剛性を有するポリオレフィン系樹脂製の1本又は複数本の第2のモノフィラメントにより構成され、その配置は、前記テープと前記第1のモノフィラメント又は前記第2のモノフィラメントが交互に配置され、かつ、前記テープと前記第1のモノフィラメントが一定回数連続して配置された後に前記テープと前記第2のモノフィラメントが1回配置されるパターンを繰り返すものであり、前記緯糸はテープであること、を特徴とする
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の経糸及び緯糸を製織した農業ハウス用スライド式内張りカーテンにおいて、
前記経糸は、一定幅を有するテープと一定の剛性を有するポリオレフィン系樹脂製の1本又は複数本の第1のモノフィラメントと前記第1のモノフィラメントより高い剛性を有するポリオレフィン系樹脂製の1本又は複数本の第2のモノフィラメントにより構成され、
その配置は、前記テープと前記第1のモノフィラメント又は前記第2のモノフィラメントが交互に配置され、かつ、前記テープと前記第1のモノフィラメントが一定回数連続して配置された後に前記テープと前記第2のモノフィラメントが1回配置される
パターンを繰り返すものであり、
前記緯糸はテープである
ことを特徴とする内張りカーテン
【請求項2】
前記第1のモノフィラメントは一定の繊度を有するモノフィラメントであり、前記第2のモノフィラメントは、第1のモノフィラメントより大きい繊度を有するモノフィラメントであることを特徴とする内張りカーテン
【請求項3】
前記第2のモノフィラメントが前記第1のモノフィラメントよりも3倍以上の繊度であることを特徴とする内張りカーテン
【請求項4】
前記第2のモノフィラメントが5ないし10センチメートルの一定間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載する内張りカーテン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に農業ハウスに用いられる内張りカーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
作物を栽培する農業用ハウスでは、作物に応じた環境を整えるために内張りカーテンが設置されるケースが多い。内張カーテンに求められる主な機能には、照射量の調整、温度調整、通気性、透湿性がある。
【0003】
照射量の調整は、カーテンを閉じることによって太陽光の過度な照射を抑制し、作物に適切な照射量を確保することを目的とする。作物の種類にもよるが、カーテンを閉じた時でも一定量の照射量が必要であることから、カーテン全体としては半透明の素材が採用されることが多い。
【0004】
温度調整は保温と遮熱を目的とする。カーテンを閉じることによって、冬場は暖気の上昇を妨げ、夏場は太陽光の遮熱を妨げるものである。温度調整のためには、断熱性が高く、隙間のないカーテンが好ましい。
【0005】
通気性は熱の滞留、透湿性は湿度の滞留を防止することを目的とする。いずれもカーテンを閉じた際に、空気や水分の通過を確保するものである。通気性や透湿性を確保するには、一定の隙間を有したカーテンが好ましい。
【0006】
内張りカーテンは、これらの一部相互に矛盾する目的をバランス良く満たすものでなければならない。また、開閉が容易に行えるような軽量の素材、開閉しやすい構造が求められる。広い農業ハウスに対応可能な広幅の材料であること、工場からの運搬や横持ちが可能なコンパクトに畳める材料であること等も求められる。
【0007】
農業ハウスの内張りカーテンには、駆動ワイヤーの運動によりカーテンの折り畳みと展張を行って開閉するスライド式、カーテンを巻き取りと巻き戻しにより開閉する巻き取り式、カーテンをラック等の駆動部により移動させてトラスに押さえ込み・収納したり、反対方向に移動させることにより開閉するラック式があるが、多種多様なハウスに対応可能であること等からスライド式が大半を占めている。本発明はスライド式向けの内張りカーテンである。
【0008】
スライド式内張りカーテンはカーテンを折り畳んだ時のカーテン部分が空間を遮る面積を小さくすることがカーテン開閉の効果をより発揮することとなる。このため、より小さな平面視面積で収まるようなカーテンの折り畳み方が課題となる。
【0009】
アルミ泊と合成樹脂のストリップを経糸及び緯糸に用い、経糸ストリップ間に一定間隔で空隙部を設けた遮光スクリーンの技術がある。(特許文献1)本技術は空隙部を折り曲げ自由な柔軟部としてアコーデイオン状に折り畳まれるとしている。係る空隙部を折り目とする構成ではカーテンは緩やかに折り畳まれることとなるので、カーテン面積は十分小さな面積で収まらないものと思料される。
【0010】
又、並列に配置されたリボンに一定間隔で補強用の伸張用帯線を覆い、支持具の移動によって伸張用帯線で覆われた部分が山、伸張用帯線で覆われていない部分の中央付近が他にとなって折り畳まれる技術がある。(特許文献2)剛性を高めた部分を折り目とすることにより折り畳まれた際のカーテン面積は小さくなる効果があるが、構造的・製造工程的に複雑・煩瑣になり、谷部の折り目については特段の技術が示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平2-82789号
【特許文献2】特表平10-502817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、農業ハウスのスライド式内張りカーテンについて、簡易な構成で折り畳み容易で、折り畳んだ際の平面視面積が小さなカーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
係る課題を解決するため、合成樹脂製の経糸及び緯糸を製織した農業ハウス用スライド式内張りカーテンにおいて、前記経糸は、一定幅を有するテープと一定の剛性を有するポリオレフィン系樹脂製の1本又は複数本の第1のモノフィラメントと前記第1のモノフィラメントより高い剛性を有するポリオレフィン系樹脂製の1本又は複数本の第2のモノフィラメントにより構成され、その配置は、前記テープと前記第1のモノフィラメント又は前記第2のモノフィラメントが交互に配置され、かつ、前記テープと前記第1のモノフィラメントが一定回数連続して配置された後に前記テープと前記第2のモノフィラメントが1回配置されるパターンを繰り返すものであり、前記緯糸はテープであることを特徴とする内張りカーテンが提供される。
【0014】
経糸は合成樹脂製のテープとポリオレフィン系樹脂のモノフィラメントから成る。テープはフラットヤーンとも称される扁平な糸である。モノフィラメントは1本の繊維からなる糸であり、単繊維とも称される。緯糸は合成樹脂製のテープである。
【0015】
又、上記テープは一定幅を有し、上記モノフィラメントは、一定の剛性を有する1本又は複数本の第1のモノフィラメント及び第1のモノフィラメントより高い剛性を有する1本又は複数本の第2のモノフィラメントより成る。テープと第1のモノフィラメント又はテープと第2のフィラメントはいずれも交互に配置されている。一定の剛性を有する1本又は複数本の第1のモノフィラメントと第1のモノフィラメントより高い剛性を有する1本又は複数本の第2のモノフィラメント間の配置は交互ではなく、第1のモノフィラメントが一定回数連続して配置された後に第2のモノフィラメントが1回配置される並びとなっている。
【0016】
テープの幅は一定であり、第1のモノフィラメントの本数も一定なので、一定回数配置されるテープ及び第1のモノフィラメントの合計幅(距離)は一定である。このため、配置される第2のモノフィラメント間の距離はほぼ一定になる。すなわち、剛性の高い第2のモノフィラメントがほぼ均等距離で配置されることとなる。なお、剛性とは、物体が曲げ・ねじれなどに対して破壊に耐える能力をいい、変形のしにくさを表す。モノフィラメントの繊度を大きくすれば剛性は高まるが、それに限らず他の方法で剛性を高めても良い。
【0017】
前記経糸及び緯糸のテープはいずれも合成樹脂製フィルムをスリットし、延伸したテープであることが好ましい。フィルムを短冊状にカット(スリット)し延伸することにより、強度を持たせたテープとすることができる。
【0018】
又、前記第1のモノフィラメントは一定の繊度を有するモノフィラメントであり、前記第2のモノフィラメントは、第1のモノフィラメントより大きい繊度を有するモノフィラメントであることを特徴とする内張りカーテンが提供される。
【0019】
繊度の大小により容易に剛性を調整することができる。繊度とは糸の太さを表す語であり、ここでは糸1本の一定長の重量を表す恒長式(デシテックス)により繊度を示す。
【0020】
又、前記第2のモノフィラメントが前記第1のモノフィラメントよりも3倍以上の繊度であることを特徴とする内張りカーテンが提供される。
【0021】
又、前記第2のモノフィラメントが5ないし10センチメートルの一定間隔で配置されていることを特徴とする内張りカーテンが提供される。
【発明の効果】
【0022】
上述のように、スライド式内張りカーテンは、カーテンに、開閉方向に対して垂直方向に直交する折り曲げ部を多数形成したりそれらを解除してフラットな形状としたりすることを繰り返すことによって、カーテンの折り畳み(カーテンの開)と展張(カーテンの閉)を行うものである。折り畳み時、すなわちカーテンを開いたときにカーテンの平面視面積をいかに小さくするかが最大のポイントである。
【0023】
カーテンの平面視面積を小さくするためには、折り畳んだ際に折り曲げ部がシャープであり、中間部にたるみがないことが必要である。スライド式内張カーテンは一般に織物の幅方向に折り畳み又は展張するため、経糸を構成する各糸の性質の相違がシャープな折り曲げ部やたるみのない中間部の形成に大きく影響する。
【0024】
本発明による内張りカーテンは、剛性の高い第2のモノフィラメントが山折り及び谷折りのシャープな折り曲げ部となって折り畳まれる。山部と山部、谷部と谷部は隙間なくぴったりと重なりうることとなる。第2のモノフィラメントの本数は限定されないが、剛性の確保の観点及び多本数による折り曲げ部の幅の広がり防止の観点のバランスから、2ないし4本が好適である。
【0025】
又、山部と谷部の中間部は、一定の剛性を有するモノフィラメントがテープと交互に配置されている。テープのみの場合は軽量で剛性が低いことから幅方向への膨らみが発生しやすいが、テープとテープの間に一定の重量と剛性を有するモノフィラメントが存在することによって、隣接する上方のテープやさらに上方のテープを引っ張ることとなり中間部の平坦性を担保する。平坦性を保ち折り畳んだ際のカーテン中間部の膨らみを抑えることができることとなる。一定の剛性を有するモノフィラメントの本数は限定されないが、平坦性を担保するための剛性の確保の観点及びできるだけテープ部分の面積を広く確保するとの観点のバランスから2ないし4本が好適である。農業ハウス用カーテンはカーテン素材の光反射性・透過性に基づいて照射量の調整等を行うが、その調整のための素材はテープが適切なので、機能性発揮のためにテープ部分を広く確保する必要がある。
【0026】
剛性の高低をモノフィラメントの繊度の調整で行うことによって、簡易に剛性の調整を行うことができる。
【0027】
第2のモノフィラメントと第1のモノフィラメントの剛性の差が小さければ、折り畳み・展張の繰り返しによって、その都度異なる位置で折り畳んでしまう問題が生じる。第2のモノフィラメントの繊度を第1のモノフィラメントの3倍以上の繊度にすることにより、第2のモノフィラメント以外の位置に折り曲げ部を形成することを防止することができる。
【0028】
カーテンの折り畳み回数は、多すぎると折り曲げ部の累積厚みが大きくなり過ぎる一方、少なすぎると山部と谷部の中間部の平坦度が保てずに腰がなく、へたった状態になりやすい。又、折り畳み回数が少ないと山が高くなり棚線との接触による開閉動作への負荷が大きくなるという問題もある。本発明による構成では中間部の長さは5ないし10センチメートルが平坦度を保てる適切な範囲と考えられことから、折り曲げ部である第2のモノフィラメントの配置も5ないし10センチメートルごとに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2A】本発明に係るカーテンの取付けと動作の概念斜面図
【
図2B】本発明に係るカーテンの取付けと動作の概念側面図
【
図4A】折り畳み時の従来のカーテンの形状の概念図
【
図4B】折り畳み時の本発明に係るカーテンの形状の概念図
【
図7A】開動作(カーテン展張)時の従来品と本発明に係るカーテンの対比写真
【
図7B】閉動作(カーテン折り畳み)時の従来品と本発明に係るカーテンの対比写真
【
図7C】閉動作(カーテン折り畳み)時の従来品と本発明に係るカーテンの対比拡大写真
【
図8】閉動作(カーテン折り畳み)時の従来品と本発明に係るカーテンの対比計測概念図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明に係るスライド式内張りカーテンを従来技術と比較しながらより詳細に説明する。
【0031】
スライド式カーテンには、カーテンの駆動部先端がパイプである先端パイプ式とロープであるロープ式がある。又、単棟において、カーテンの枚数が2枚の2枚張りと、4枚の4枚張りがある。4枚張りは2枚張りの一枚が2枚に分割されているもので、2枚張りよりやや高価になるが、カーテンの駆動距離が短いことに基づく装置への低負荷、張設のしやすさ等から近年は4枚張りのカーテンが多い。又、スライド式カーテンは傾斜張りと水平張りのいずれも可能であるが、モーターの負荷が少ないこと、カーテンの劣化が遅いことから傾斜張りの方が多い。本発明はこれらの様々なタイプのスライド式カーテンのいずれに対しても適用可能である。
【0032】
本発明に係るスライド式カーテンを用いた開閉について説明する。
図1Aは骨組みに支えられた透明屋根の下方に、本発明に係る内張りカーテンを装着した農業用ハウス1の斜視図である。
図1Aのカーテンは一軸一層タイプのスライド式カーテンであるが本発明はこのタイプに限定されない。
図1Bは、上記農業ハウスの断面図であり、駆動ワイヤー31が中央部を境に下方に傾斜配置されていることを示している。
【0033】
棚線34はカーテン開閉方向に沿って数十本固定的に設置され、カーテン全体を支持している。本発明に係るカーテンは緯糸に沿った方向を開閉方向、経糸に沿った方向を開閉方向に直交する方向(農業用ハウスの長さ方向)として棚線の上に設置される。カーテンの開閉動作を操作する駆動ワイヤー31はカーテン開閉方向に沿って数本設置されている。
【0034】
本発明に係るカーテンの開閉動作について
図2A及び
図2Bに基づき説明する。カーテン駆動機構3は、図示しない原動機35の他駆動ワイヤー31,駆動パイプ32を含む。カーテンの枚数は4枚で、左右の2枚は一端面がハウス壁側に固定され、中央の2枚は一端面がハウス中央のセンターパイプ11に固定されている。又、各カーテンの他端面はそれぞれ駆動パイプ32に繋止されている。4本の駆動パイプ32は各々駆動ワイヤーに固定されており、駆動ワイヤー31に連動して動く。
【0035】
図2Aの下側の駆動ワイヤーが左方向に移動したとき、右側のカーテン及び中央左のカーテンは左側(下側矢印の方向)に動く。同時に、上側の駆動ワイヤーは右方向に移動し、左側のカーテン及び中央右のカーテンは右側(上側矢印の方向)に動く。これらにより、カーテンは閉じることとなる。一方、駆動ワイヤーが逆方向に移動したときは、上記と反対の動きとなって、カーテンは緯糸に沿った方向に押し戻されることとなり、折り畳まれ、多数のシャープな折れ線が形成されて開くこととなる。
図2Bはカーテンの動きを側面から示した図である。左右のカーテンは駆動ワイヤーの下側、中央のカーテンは駆動ワイヤーの上側に設置されているが、本発明はこの態様に限定されるものではない。カーテン端面が繋止された駆動パイプの駆動ワイヤーと交差する部分にはカーテン抑えカバーが設けられている。
【0036】
次に、本発明に係るカーテン2の構成について説明する。カーテンが閉動作となったとき、カーテンは緯糸方向に平面視面積を圧縮することが求められるため、緯糸は柔軟な性質を有するテープとした。経糸は、一定間隔で山折り及び谷折りの折れ線23を形成することによってアコーデイオン状に折り畳まれるべく、一定間隔で繊度の大きな(剛性の大きな)モノフィラメントを配置した。また、折れ線と折れ線の中間部について、緩みを生じさせず平坦な形状を保持できるように、テープとモノフィラメントを交互に配することとした。この中間部のモノフィラメントは、折れ線を形成するモノフィラメントと競合しないように繊度(剛性)を調整した。なお、経糸すべてをモノフィラメントにすると、折り畳んだ際の嵩高さ、カーテンの重量増、透光率の調整の困難さ等の問題が生じるので、経糸全体としてはテープ部分を主としつつ、2段階の繊度(剛性)のモノフィラメントを組み合わせることによって折り畳み時の平面視面積のコンパクトさを担保することとした。
【0037】
図3Aは本発明に係るカーテンの構成を示す。本発明に係るカーテン2は合成樹脂製又はポリオレフィン系樹脂製の経糸及び合成樹脂製の緯糸を製織した織物である。経糸は、テープと2本のモノフィラメントが交互に配置されている。又、この2本のモノフィラメントは、一定繊度のものが一定回数連続して配置された後に、より太い繊度のものが1回配置されている。例えば、310dtのモノフィラメント(2本のセット)が、テープと交互に20回配置された後に、テープと1100dtのモノフィラメント(2本のセット)が1回配置され、その後は再びテープと交互に310dtのモノフィラメント(2本のセット)が20回配置されるというパターンを繰り返す。なお、緯糸はすべてテープである。
【0038】
閉動作(カーテン折り畳み)時となったときの形状変化について説明する。
図4Aは従来のカーテンの形状の概念図である。明確な折れ線は形成されず波打っており、その位置も一定ではなく閉動作の際の力のバランスによって変動する。又、折れ線と折れ線の中間部は張りがなく緩んでいる。
図4Bは本発明に係るカーテンの形状の概念図である。明確な折れ線が形成され、中間部は平坦である。
【0039】
図5は、閉動作(カーテン折り畳み)時のカーテンの膨らみを示している。カーテン2は、繋止されている駆動パイプ32がセンターパイプ11等と近い所定の停止位置に達したときに平面視最小の面積となる。このときにセンターパイプ等と駆動パイプ間の範囲を越えて現れるカーテンのはみ出し部分がカーテン膨らみ243である。カーテンの最大の出っ張り部分とセンターパイプ11との距離241からセンターパイプ11と駆動パイプの距離242を差し引いた距離がカーテンの膨らみ部分243となる。
【0040】
図6Aはセンターパイプ11と駆動パイプの距離242、
図6Bはカーテンの最大の出っ張り部分とセンターパイプ11との距離を計測している写真である。
【実施例0041】
以下、実施例、及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
経糸の幅方向に対する配置を説明する。5.35目/2.54cm(約4.7mm/目)の中に繊度310dtのモノフィラメント212を2本とテープを交互に配置し、テープはアルミ箔のテープ213Aと高密度ポリエチレン製テープを交互に配置した。アルミ箔のテープと高密度ポリエチレン製テープはいずれも4mm幅とした。さらに、1100dtの大繊度のモノフィラメントを幅方向に10cm間隔で310dtのモノフィラメント212に代えて配置した。本カーテンの製法は、プロジェクタイル織機を使用し、310dtのモノフィラメントを巻き取ったビームを装着、フィルムに関しては専用のスリット装置を通して2種共4mm幅にスリットした上で上記の配置とした。緯糸は550dtのテープとして密度11.2本/2.54cmで製織し、幅3mのカーテン地を完成させた。製織したカーテン地を1.7m幅×19mに縫製し、ガラスハウスに展張し収束性評価を実施した。
[比較例1]
カーテンは、実施例同様に経糸をモノフィラメントとテープ、緯糸をテープとして平織りで製織した。経糸のモノフィラメントは実施例1同様に高密度ポリエチレン製モノフィラメントであるが、繊度310dtのモノフィラメント212のみである。又、経糸のテープは実施例1同様に、アルミ箔を高密度ポリエチレンフィルムで両面接着し50μmのリボン状テープとしたものと高密度ポリエチレンフィルム23μmをスリットしたものを使用した。緯糸も実施例1同様に高密度ポリエチレン製延伸テープ221を使用した。
比較例1の配置は、モノフィラメントが1種類であることを除き実施例1に係る配置と同様である。5.35目/2.54cm(約4.7mm/目)の中に繊度310dtのモノフィラメント2本とテープを交互に配置し、テープはアルミ箔のテープ213Aと高密度ポリエチレン製テープを交互に配置した。テープはいずれも4mm幅である。製法としてはプロジェクタイル織機を使用し、310dtのモノフィラメントを巻き取ったビームを装着、フィルムに関しては専用のスリット装置を通して2種共4mm幅にスリットの上で上記、記述の配置で、緯糸は550dtのテープとして密度11.2本/2.54cmで製織し、幅3mのカーテン地を完成させた。製織したカーテン地を1.7m幅×19mに縫製し、ガラスハウスに展張し収束性の比較評価を実施した。
[比較例2]
経糸、緯糸共に比較例1と同様であり、配置も比較例1と同様であるが、製織ではなくアルミ箔リボン状テープを編み込んでラッセル地のカーテンを作成した。又、実施例1、比較例1と同じハウスで展張し、収束性の比較評価を実施した。
カーテンの収束性(折り畳み性)評価は、カーテンの膨らみ243を、固定部(センターパイプ)とカーテンの最大膨らみ部間の距離(寸法)241から固定部(センターパイプ)と駆動パイプ間の距離(寸法)242を差し引いた寸法とした。なお、固定部(センターパイプ)と駆動パイプ間の距離(寸法)242は左右のくびれ部分の小さい距離(寸法)とした。くびれ部分で区切られるカーテン幅は右から2つ目が2メートル、その他は3メートルである。