(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134340
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】連絡システム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/56 20220101AFI20240926BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H04L51/56
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044592
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 一広
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201CA01
5K201CA08
5K201CA09
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】状況の変化に対応して最適な連絡の順序や媒体を変更することができ、これにより構成員全体への連絡を迅速に完了することを可能にする連絡システムを提供する。
【解決手段】本開示に係る連絡システムは、グループの複数の構成員に対する連絡を行うための連絡システムであって、連絡を要求する連絡要求を受け付ける連絡要求受付部と、構成員への連絡に用いる連絡媒体、及び受信率に関する評価テーブルを生成する評価テーブル生成部と、評価テーブルに従って、グループの複数の構成員に対する連絡の順序、又は複数の構成員に連絡をするための連絡媒体を変更する連絡制御部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループの複数の構成員に対する連絡を行うための連絡システムであって、
連絡を要求する連絡要求を受け付ける連絡要求受付部と、
前記構成員への連絡に用いる連絡媒体、及び受信率に関する評価テーブルを生成する評価テーブル生成部と、
前記評価テーブルに従って、前記グループの複数の構成員に対する連絡の順序、又は前記複数の構成員に連絡をするための連絡媒体を変更する連絡制御部と
を備えたことを特徴とする、連絡システム。
【請求項2】
前記複数の構成員のスケジュールに関する情報であるスケジュール情報を記憶するスケジュール情報記憶部を更に備え、
前記連絡制御部は、選択された前記連絡の順序、又は前記連絡媒体が前記スケジュール情報と矛盾するか否かを判定するよう構成される、請求項1に記載の連絡システム。
【請求項3】
前記評価テーブル生成部は、前記構成員の受信率を、異なる時間単位で表現した複数の評価テーブルを生成し、
前記連絡制御部は、前記複数の評価テーブルの組合せから得られる評価値に基づいて前記連絡の順序、又は前記連絡媒体を変更する、請求項1に記載の連絡システム。
【請求項4】
前記連絡制御部は、前記複数の評価テーブルに含まれる前記受信率に基づいて前記連絡の順序又は前記連絡媒体を変更する、請求項3に記載の連絡システム。
【請求項5】
前記連絡制御部は、変更後の前記連絡の順序及び/又は連絡媒体による連絡完了時間と、変更前の前記連絡の順序及び/又は連絡媒体による連絡完了時間との間に閾値以上の差があるか否かを判定するよう構成され、
前記閾値以上の差が認められる場合、前記連絡制御部は、変更後の前記連絡の順序及び/又は前記連絡媒体を使用し、
前記閾値以上の差が認められない場合、前記連絡制御部は、変更前の前記連絡の順序及び/又は前記連絡媒体を使用する、請求項1に記載の連絡システム。
【請求項6】
前記連絡制御部は、前記連絡の順序、及び前記連絡媒体の両方を制御対象とするか、又は前記連絡の順序又は前記連絡媒体のいずれか一方を制御対象とするかを切り替え可能とされる、請求項1に記載の連絡システム。
【請求項7】
前記グループ毎に、前記グループの構成員への連絡の順序及び使用する連絡媒体を規定するグループ情報を記憶するグループ情報記憶部を更に備え、
前記連絡制御部は、前記評価テーブルに従って、前記グループ情報に規定される連絡の順序及び連絡媒体を変更する、請求項1に記載の連絡システム。
【請求項8】
前記複数の構成員のスケジュールに関する情報であるスケジュール情報を記憶するスケジュール情報記憶部を更に備え、
前記連絡制御部は、選択された前記連絡の順序、又は前記連絡媒体が前記スケジュール情報と矛盾するか否かを判定するよう構成される、請求項7に記載の連絡システム。
【請求項9】
前記評価テーブル生成部は、前記構成員の受信率を、異なる時間単位で表現した複数の評価テーブルを生成し、
前記連絡制御部は、前記複数の評価テーブルの組合せから得られる評価値に基づいて前記連絡の順序、又は前記連絡媒体を変更する、請求項7に記載の連絡システム。
【請求項10】
前記連絡制御部は、前記複数の評価テーブルに含まれる前記受信率に基づいて前記連絡の順序又は前記連絡媒体を変更する、請求項9に記載の連絡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業等の複数の構成員の間で連絡を行うための連絡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業、公共団体、学校などの組織体において、複数の構成員の間での連絡を行うための連絡システムが用いられている。連絡システムを用いることで、複数の構成員の間での迅速な情報の伝達/共有が可能となり、さらに情報の伝達/共有の結果としての意思決定及び行動を促進することができる。
【0003】
連絡システムにおいては、組織体の組織体系や役割分担に鑑みて、情報伝達に用いる連絡媒体や連絡の順序が予め定められ、連絡の必要が生じた場合、その定められた連絡媒体や順序に従って連絡が実行される。
【0004】
しかし、定められた順序や媒体が、時間の経過とともに最適ではなくなったり、状況において最適な順序や媒体が変化したりする場合があり得る。従来の連絡システムは、このような状況の変化に対応したものではなく、全体への連絡が遅延することが生じることが避けられなかった。例えば、構成員の一部が電話に出ず、そのために後続の別の構成員への連絡が遅れ、構成員全体への連絡が遅れることが生じていたが、現状の連絡システムは、このような事態に柔軟に対応できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、状況の変化に対応して最適な連絡の順序や媒体を変更することができ、これにより構成員全体への連絡を迅速に完了することを可能にする連絡システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る連絡システムは、グループの複数の構成員に対する連絡を行うための連絡システムであって、連絡を要求する連絡要求を受け付ける連絡要求受付部と、前記構成員への連絡に用いる連絡媒体、及び受信率に関する評価テーブルを生成する評価テーブル生成部と、前記評価テーブルに従って、前記グループの複数の構成員に対する連絡の順序、又は前記複数の構成員に連絡をするための連絡媒体を変更する連絡制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、状況の変化に対応して最適な連絡の順序や媒体を変更することができ、これにより構成員全体への連絡を迅速に完了することを可能にする連絡システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の連絡システム1の全体構成を示す概略図である。
【
図2】連絡情報サーバ100の構成の一例を説明するブロック図である。
【
図3】グループ情報データベース112に記憶されるグループ情報のデータ構造の一例を説明する。
【
図4】連絡先情報データベース114に記憶される連絡先情報のデータ構造の一例を説明する。
【
図5】スケジュール情報データベース115に記憶されるスケジュール情報のデータ構造の一例を説明する。
【
図6】評価テーブル生成/蓄積部116において生成され蓄積(記憶)される評価テーブルの一例を示す。
【
図7】第1の実施の形態の連絡システム1の動作を説明するフローチャートである。
【
図8A】評価テーブル生成/蓄積部116において生成され蓄積(記憶)される評価テーブルの別の例を示す。
【
図8B】評価テーブル生成/蓄積部116において生成され蓄積(記憶)される評価テーブルの別の例を示す。
【
図8C】評価テーブル生成/蓄積部116において生成され蓄積(記憶)される評価テーブルの別の例を示す。
【
図9】評価テーブル生成/蓄積部116において生成され蓄積(記憶)される評価テーブルの更に別の例を示す。
【
図10】第2の実施の形態に係る連絡システム1の連絡情報サーバ100の詳細の一例を説明するブロック図である。
【
図11】第2の実施の形態の連絡システム1の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1を参照して、第1の実施の形態の連絡システムの全体構成を説明する。
図1に示すように、この連絡システム1は、連絡情報サーバ100と、各種端末装置200と、オペレータ用コンピュータ300とから大略構成される。
【0013】
連絡情報サーバ100は、本連絡システム1の中核をなすコンピュータであり、各種端末装置200からの検出信号又は連絡要求に従って、連絡システム1の対象である企業等の構成員に対する連絡を制御する機能を有する。
【0014】
各種端末装置200は、例えばネットワークNWを介して連絡情報サーバ100と接続される装置であり、一例としては、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの通信端末、AIカメラ、各種センサ等であり得る。通信端末の操作者は、通信端末を用いて、企業等の構成員に対して行うべき連絡を要求する連絡要求を発信することができる。例えば、構成員の一人は、他の構成員に対し連絡すべき事項がある場合、自身が管理するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などを操作し、連絡内容を示した連絡要求を連絡情報サーバ100に送信することができる。
【0015】
また、AIカメラは、例えば監視対象の物体や人が検知された場合に、その検知信号を連絡情報サーバ100に送信する。連絡情報サーバ100は、この検知信号を連絡要求とみなして必要な連絡を実行する。
【0016】
また、各種センサは、例えば温度センサ、煙センサ、圧力センサ、加速度センサ、電流センサ、光センサ、磁気センサ等であり、その検出信号を連絡情報サーバ100に向けて送信する。連絡情報サーバ100は、所定の検出信号が得られた場合に、それを連絡要求とみなして必要な連絡を実行する。
【0017】
オペレータ用コンピュータ300は、連絡情報サーバ100から連絡情報(連絡先である構成員の名前またはID、構成員への連絡媒体等を含む)を受信し、オペレータの操作の下、企業等の構成員に対し、電話、チャット、SMS、メールその他類似の連絡手段(SNS、電子掲示板、社内放送システムなど)を用いて必要な連絡を行う。なお、オペレータ用コンピュータ300は、連絡情報サーバ100による連絡情報を受信して構成員に対し連絡を実行するためのコンピュータの一例である。オペレータにより操作されるオペレータ用コンピュータ300に代えて、又はこれに加えて、連絡情報をコンピュータにより無人で解析して必要な連絡情報を自動的に生成するようなシステムが採用されてもよい。
【0018】
図2を参照して、連絡情報サーバ100の構成の一例を説明する。連絡情報サーバ100は、一例として、連絡要求受付部101、連絡実行部102、連絡制御部103、グループ情報データベース112、連絡先情報データベース114、スケジュール情報データベース115、及び評価テーブル生成/蓄積部116から構成され得る。
図2の構成は一例であり、図示以外のデータベースが追加されてもよいし、また、図示のデータベースが統合されて同様のデータを保持していてもよい。
【0019】
連絡要求受付部101は、各種端末装置200から受信した連絡要求情報を受け付ける部分である。各種端末装置200がAIカメラや各種センサである場合、連絡要求受付部101は、AIカメラや各種センサの検知信号を分析して連絡要求データに変換した上で受け付けるようにされ得る。
【0020】
連絡実行部102は、連絡要求に従い、連絡制御部103での制御により生成された連絡情報に従い、連絡情報を生成し、その連絡情報をオペレータ用コンピュータ300に送信することで連絡を実行する機能を有する。連絡制御部103は、連絡要求の受領をトリガとして、各種情報に従って連絡情報を変更する機能を有する。
【0021】
連絡制御部103は、一例として、グループ情報データベース112、連絡先情報データベース114、及びスケジュール情報データベース115と連携している。
【0022】
図3に示すように、グループ情報データベース112は、一例として、複数のグループの情報を管理するデータベースである。各グループにはグループIDが割り振られると共に、そのグループIDと紐づけて、そのグループの構成員の名前(又はID)、及び使用する連絡媒体が記憶されている。なお、グループは、例えばその連絡の目的に応じて生成され得る。例えば、グループID=1000は災害時緊急連絡用のグループであり、グループID=2000は社内周知のためのグループであり得る。一の構成員は、複数のグループに重複して登録されていてもよい。また、一の連絡要求に対応して、連絡制御部103において複数のグループが選択されてもよい。
【0023】
グループ情報データベース112のグループ情報は、グループ毎に、構成員の名前(又はID)、及び連絡媒体(電話、チャット、SMS、メール等)を列記したデータ構造を有している。構成員の名前の記載順は、その記載順に連絡がなされるべき順序を示している。
図3の場合、グループID=1000については、Aさん、Bさん、Cさんの順に、いずれも電話による連絡をすべきことが示されている。グループID=2000については、A、B、Cの順で、且つ、連絡媒体としては、Aさんにはチャット、BさんにはSMS、Cさんにはメールにて連絡し、さらにCさんには電話でも併せて連絡をすることが示されている。なお、グループ情報データベース112のデータは、評価テーブル生成/蓄積部116で生成された評価テーブルに従って変更され得る。
【0024】
図4に示すように、連絡先情報データベース114は、構成員(ユーザ)の名前を、各種連絡媒体の番号、ID、又はアドレスと共に記憶するデータベースである。連絡要求に従って連絡対象のグループがグループIDに基づき特定されると、そのグループに係るグループ情報に従い、各構成員について連絡媒体が特定され、特定された連絡媒体に基づいて連絡先情報データベース114が参照され、連絡媒体の番号、ID又はアドレスが特定され、連絡情報に含められる。
【0025】
図5に示すように、スケジュール情報データベース115は、各構成員(ユーザ)に対する複数の連絡媒体(電話、チャット、SMS、メール等)による連絡の可否(〇は可、×は不可を示す)に関する情報を、時間帯に分けて記憶するデータベースである。連絡実行部102は、グループ情報データベース112に記憶されているグループ情報において定められている連絡の順序及び連絡媒体に従って連絡を実行する一方、このスケジュール情報データベース115に記憶されているスケジュール情報にこのグループ情報が合致しない場合(両者が矛盾する場合)、グループ情報を修正して連絡を実行する。
【0026】
図6は、評価テーブル生成/蓄積部116において生成され蓄積(記憶)されている評価テーブルの一例を示す。評価テーブルは、構成員(ユーザ)の名前と、連絡媒体の種類と、その連絡媒体を使った場合の受信率とを関連付けて記憶するテーブルである。ここで、「受信率」とは、電話の場合には発呼に対して着信応答があった割合であり、メール、SMS、チャット等の場合には、送信に対して開封動作等が行われた割合を示している。この評価テーブルにより、ある構成員(ユーザ)の連絡媒体毎の連絡のつきやすさを評価することが可能になり、この評価テーブルをベースとして、構成員への連絡の順序及び/又は連絡媒体を最適化した連絡を実現することができる。
【0027】
評価テーブルは、過去における構成員への連絡の履歴と、その際の受信の成否のデータに従って生成することができる。或いは評価テーブルは、構成員を対象として行われた訓練(例えば、非常事態の発生を想定とした非常事態連絡訓練)の結果に従っても生成することができる。また、評価テーブルは、こうした過去の連絡実績や訓練の結果に加え、各種分析結果(構成員の性格診断、構成員の役職、構成員の在席時間の長さ等)に従って生成されることもできる。
【0028】
図7を参照して、第1の実施の形態の連絡システム1による連絡の実行手順の一例を説明する。まず、各種端末装置200は、連絡の必要が生じた場合、又は所定の信号が検出された場合に、連絡システム1に対し連絡要求を発する(又は所定の検出信号を送信する)(ステップS11)。その際、連絡の対象とするグループのグループIDを端末装置200において指定してもよい。端末装置200でグループIDを指定する代わりに、連絡情報サーバ100において連絡要求の内容を解析し、その解析結果に応じてグループIDを特定することもできる。
【0029】
連絡情報サーバ100は、特定されたグループIDに従ってグループ情報データベース112を参照して、グループ情報を読み出すと共に(ステップS12)、グループ情報に含まれる構成員の連絡媒体に従って連絡先情報データベース114を参照し、構成員の連絡媒体の番号、ID、又はアドレスを抽出する(ステップS13)。抽出された構成員の名前等と連絡媒体の番号、ID、又はアドレス等により、連絡順序と連絡媒体とを含む連絡情報が生成される。
【0030】
続いて連絡制御部103は、評価テーブル生成/蓄積部116から読み出された評価テーブルの中の受信率を評価値として、その評価値に従い、連絡情報に含まれる連絡順序及び/又は連絡媒体を変更する(ステップS14)。例えば、グループ情報で定められた連絡順序、及び連絡媒体では、評価テーブルに定められた受信率を考慮すると大幅に連絡の完了が遅れると判断される場合、その受信率に応じて、連絡順序及び/又は連絡媒体を変更する。こうして、連絡順序/媒体の最適化が図られ、連絡の完了時間を短縮することが可能になる。
【0031】
なお、連絡制御部103は、連絡順序及び連絡媒体の両方を変更対象にすることもできるし、どちらか一方のみを変更対象とすることもできる。本システム1のユーザは、事前設定により、両者を変更対象にするか、いずれか一方のみを変更対象にするか、あるいは条件に応じて両者を変更対象にするか一方のみを変更対象にするかを適宜切り替えることもできる。更に、条件に応じて、連絡順序又は連絡媒体のいずれか一方を優先的に変更し、他方は補助的に又は追加的に変更するようにしてもよい。
【0032】
ステップS14で連絡順序及び/又は連絡媒体が決定されると、続いて連絡制御部103は、スケジュール情報データベース115を参照し、連絡情報が対応するスケジュール情報と矛盾しないか(連絡が不可能又は困難な抑止時間帯に該当しないか)が判定される(ステップS15)。例えば、連絡情報に定められる連絡順序及び/又は連絡媒体によれば、構成員のAさんに21時に電話で行うことになるが、対応するスケジュール情報によれば、Aさんへの電話は不可能である場合には、連絡情報とスケジュール情報に矛盾が生じていることになる。そのため、連絡制御部103は、スケジュール情報に従い、再度連絡情報を更新し、連絡情報とスケジュール情報の間の矛盾を解消するように情報を再調整する。その後、再調整された連絡情報が連絡実行部102によりオペレータ用コンピュータ300に送信され、連絡が実行される(ステップS16)。
【0033】
図8A~
図8Cを参照して、評価テーブル生成/蓄積部116で生成される評価テーブルの別の例を説明する。
【0034】
先の例に係る評価テーブルは、構成員の連絡媒体と受信率の関係のみを示すものであるが、この
図8A~
図8Cの例は、連絡媒体と受信率の関係を、異なる時間単位(例えば、1日の間の時間帯、週単位、及び月単位)で表現したものである。これ以外にも、図示は省略するが、年単位、四半期単位、月初/月末、煩忙期/閑散期などの評価テーブルを生成することもできる。また、複数生成された評価テーブルを全て利用することは不要であり、状況に応じて複数のうちのいくつかの評価テーブルだけを用いるようにすることも可能である。
図8A~
図8Cは、あるグループのCさんについての評価テーブルを示しているが、同様の評価テーブルが構成員ごとに生成・蓄積される。
【0035】
図8A~
図8Cの評価テーブルを用いる場合、連絡制御部103は、これらの複数の評価テーブルを適宜組み合わせて得られた受信率を評価値として、連絡順序及び連絡媒体を変更する。例えば、月末の金曜日の19時に連絡要求が受信され、連絡情報にはCさんについて連絡媒体として電話が指定されている場合を想定する。この場合には、まず月単位の評価テーブル(
図8C)を参照して、月末におけるCさんの電話連絡の受信率を判定する。続いて、週単位の評価テーブル(
図8B)を参照して、金曜日におけるCさんの電話連絡の受信率を判定する。そして、時間単位の評価テーブル(
図8A)を参照して、19時におけるCさんの電話連絡の受信率を判定する。3つの受信率が判定された場合、例えばそれら3通りの受信率に基づいて、月末の金曜日の19時における受信率を判定することができる。このとき、受信率は、3つの受信率の積として算出されてもよいし、平均値重み付け平均値、中央値により算出されてもよい。
【0036】
図9を参照して、評価テーブル生成/蓄積部116で生成される評価テーブルの更に別の例を説明する。この
図9の例は、月単位/週単位/時間単位で、1グループ毎の評価テーブルを生成するものである。
図9の例は、月末の金曜日の18時、19時、20時のように分割して評価テーブルをグループ毎に生成し蓄積している。この形式によれば、連絡要求があった場合、その連絡要求の受信タイミングに合致又は近似する評価テーブルを読み出し、読み出された評価テーブルに示される受信率に基づいて、連絡順序及び連絡媒体の変更を行うことができる。
【0037】
以上説明したように、第1の実施の形態の連絡システム1によれば、連絡要求に従って生成された連絡情報に含まれる連絡順序及び/又は連絡媒体を、過去の連絡実績等により生成された評価テーブルに従って変更することができる。従って、状況の変化に対応して最適な連絡の順序や媒体を変更することができ、これにより構成員全体への連絡を迅速に完了することを可能にする連絡システムを提供することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
次に、
図10を参照して、第2の実施の形態に係る連絡システム1を説明する。この第2の実施の形態の連絡システム1の全体構成は、第1の実施の形態と同一であるので、重複する説明は省略する。
【0039】
ただし、この第2の実施の形態の連絡情報サーバ100は、連絡順序/媒体評価部117を備えている。連絡順序/媒体評価部117は、連絡制御部103により変更された連絡順序及び/又は連絡媒体を評価して、変更後の連絡順序及び/又は連絡媒体を採用するか、それとも変更前の連絡順序及び/又は連絡媒体を採用するかを決定する。
【0040】
図11を参照して、第2の実施の形態の連絡システム1による連絡の実行手順の一例を説明する。ステップS11~S16の手順は、第1の実施の形態と同一であるが、ステップS15の後のステップS18において、決定した(変更後の)連絡順序/連絡媒体による連絡完了時間と、変更前の連絡順序/連絡媒体による連絡完了時間との間に閾値以上の差があるか否かが判定される。判定が肯定的であれば、変更後の連絡順序及び/又は媒体を使用するが、判定が否定的であれば、変更前の連絡順序及び/又は媒体を使用することができる。
【0041】
連絡順序/媒体の変更の前後で有意な連絡完了時間の短縮が得られない場合には、連絡完了時間の短縮によるメリットよりも、連絡順序/媒体の変更による混乱によるデメリットが上回ることがあり得る。第2の実施の形態では、このような観点から、ステップS18を実行することで、柔軟に連絡順序/媒体の変更を実行することができる。
【0042】
上述のように、連絡順序/媒体評価部117は、連絡順序/媒体による連絡完了時間の差に基づく評価を行うが、これ以外の判断要素を考慮することも可能である。例えば、連絡内容を解析し、その内容次第で上記の閾値を変更することも可能である。例えば、緊急度の高い連絡については閾値を大きく設定する一方、緊急度の低い連絡については閾値を小さくすることができる。或いは、連絡内容を解析し、連絡完了の迅速性よりも組織体の中の指示系統を重視した連絡順序を優先すべき場合もあり得る。その場合には、連絡完了時間を重視せずに、予め定められている連絡順序を採用すべき場合もあり得る。この第2の実施の形態によれば、連絡完了時間以外の様々な判断要素を判定の対象とすることができ、第1の実施の形態に比べより柔軟に連絡順序及び/又は連絡媒体を決定することができる。
【0043】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…連絡システム
100…連絡情報サーバ
101…連絡要求受付部
102…連絡実行部
103…連絡制御部
112…グループ情報データベース
114…連絡先情報データベース
115…スケジュール情報データベース
116…評価テーブル生成/蓄積部
200…端末装置
300…オペレータ用コンピュータ
NW…ネットワーク